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何でもコラム
個人の尊厳、生命の絶対的尊重、両性の本質的平等のために
―― 「全建総連関東地協 2007年秋の大手企業交渉」関連(2) ――
―― 「全建総連関東地協 2007年秋の大手企業交渉」関連(2) ――
海野和夫
 
◎ 全建総連関東地協第47回大手企業交渉のまとめ
 2007/10/24,25を中心に全建総連関東地協第47回大手企業交渉が行われ、全建総連関東地協の10県連・組合から1,584人が参加。
 今回からゼネコンのピーエス三菱、サブコンのダイダンが交渉対象に追加され、交渉企業は、ゼネコン29社、住宅企業11社、サブコン6社の合計46社となっています。
 今後の課題は、パワービルダーとの交渉です。
1 回答の特徴
 (1)「コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)」について
全企業が法令遵(じゅん)守と回答。国土交通省ホットラインへの通報者に不利益な扱いはしないと、約束させました。
関係機関(行政)からの指導については、防衛施設庁談合事件で指導を受けたとの回答が多数ありました。また、大手ゼネコンの多数が労働局などから時間外管理の不備を中心に指導を受けていました。自社の社員の管理もできないのに、現場労働者の管理ができているはずがありません。時間外労働の管理体制については、今後もきびしく追及していく必要があります。
(2)「現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ」の要求、この賃金引き上げの要求に対しては、明確な「引き上げる」との回答を得るまでには至りませんでした。
賃金引上げ要求を実現するには、大手企業交渉に加えて、大手企業交渉と結びつけて、建設労組の組織拡大、強化、大手企業の現場で働く現場従事者の結集、現場従事者会議、建設労組による建設現場への訪問・立ち入り・調査行動、現場従事者の組織を作り、拡大強化すること、現場従事者からの労働条件改善の要求にもとづき建設労組が建設現場で団体交渉をおこなうこと、憲法28条がさだめている争議権の行使などでの決定的前進が必要です。
(参考)
○ 憲法第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
○ 争議権行使の実例 
@ ディズニーシー建設工事の現場で、休憩所なし、労災事故がおきても救急車をよべないなどの実態を東京土建一般労組に訴え、その結果、全建総連関東地協によるディズニーシー建設工事現場前宣伝行動、ビッグゼネコン各社への申し入れ行動がおこなわれ、場内にたくさん休憩所がつくられ、テレビも置かれるなどの改善が実現された。
A 戸田建設に対して全建総連関東地協として1000人規模の本社前宣伝、抗議行動を準備し、建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払を行わせた。
B 熊谷組に対して本社前宣伝行動を実施し、建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払を行わせた。(埼玉土建一般労組の経験)
○ 現場訪問・調査行動による現場改善の実例(埼玉土建一般労組川口鳩ヶ谷支部の経験)
東急建設が元請のマンション建設現場。「朝礼や打ち合わせでの安全対策教育」、「施工体系図の見やすい場所への掲示」、「応援等での、下請業者との諸条件の十分な打ち合わせ」、「労働安全衛生法の基準によるトイレ、給水場の設置」など12項目にわたり「現場改善要望」を申し入れた。東急建設から申し入れを「守る」との回答を得ることができた。現場の空気は一変した。
(3)「雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定」では、鉄建建設との交渉で、「36協定の(労基署への)届出確認を元請の責任でおこなう」との回答を引き出すことができました。
この回答を、多くの企業に広げることができれば、「現場での実質的賃金引上げ」を実現することにつながります。
(参考)労使間で36協定を結び、それを労基署に届け出ることではじめて企業は労働者に残業をさせることができるようになります。届出がないのに残業させるのは、違法です。
 法律で1日の労働時間は8時間、1週の労働時間は40時間と決まっていますから、それを超えて労働させる場合は、36協定の労基署への届出が必要になります。36協定というのは、労働組合または労働者を代表する者と使用者の間で残業時間について取り決める協定のことです。
 36協定を労基署に届け出たからといって、いくらでも残業させていいというわけではありません。法律で残業時間の上限が決められています。
 1998年の「労働省告示第154号」が残業の上限について次のようにさだめています。
1週間  15時間
2週間  27時間
4週間  43時間
1ヶ月  45時間
2ヶ月  81時間
3ヶ月 120時間
1年  360時間
 また、36協定を労基署に届け出たからといって、労働者に残業を強制することはできません。残業をさせるには、労働者の(本人の)同意が必要です。
(4)「建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化」では、産廃処理費、駐車場代が大きな問題になりました。
 産廃処理費は発注者からもらうべきものであり、下請に負担させるのは元請の二重取りになると追及し、多くの企業から「下請からは徴収しない」との回答を得ることができました。
 駐車場代については、「下請に負担させていない」(ピーエス三菱)、「原則徴収しない」(竹中工務店)との企業がある反面、「協議・合意の上、下請に負担させることもある」との回答も目立ち、引き続き追及が必要な課題です。       
 (産廃処理費と駐車場代の元請負担については、住宅企業の全社が元請負担で対処と回答しています)
鹿島建設は、交渉の結果、「産廃は元請が費用負担しなくてはならない。それについて控除することは禁止の方向で考えている」と回答。清水建設や大林組のように「1次との契約に含まれている」と回答している企業については、是正の回答を引き出していくことが今後の課題となります。
2001年の環境省通達には、「建設廃棄物処理費用の負担は、発注者の責務である」と明記されています。
建設廃棄物の処理費用については、発注者からもらうべきものであり、下請に負担させることは、元請の二重取りとなることを強く追及していくことが必要です。
(参考)国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」の問題点
建設業法令遵守ガイドラインには、「下請との協議・合意」、「見積条件・契約書面への明示」があれば、建設廃棄物の処理費用を下請に負担させてもいいとの説明が行われている箇所があります。
一つには、下請に負担させることは元請の二重取りになるという意味で、もう一つには、「協議・合意」と言っても元請の圧倒的力量という建設現場の力関係の下での「協議・合意」は「強制」、「泣き寝入り」が実態であり、建設廃棄物処理費用については元請負担を明確にすべきだと考えます。
また、駐車場代の過大な負担が下請に押しつけられているのが、建設現場の実態です。 
駐車場代についても、明確に元請負担として、下請保護を明確にすべきだと考えます。今回の企業交渉の中でも、多くの住宅企業が「駐車場代は元請負担」と回答しています。またゼネコンの一部も、たとえば鉄建建設は「駐車料金については、場内は下請に請求していないし、場外のときも、5人5台で金をくれと言われても無理だが、1台数人で来れば元請として負担している」と回答しています。
(5)「不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施」では、最近の倒産増加の傾向を反映して、戸田建設、三井ホーム、ピーエス三菱など多くの企業に、不払い被害者が直接交渉に参加して、元請責任での解決を迫ったのも、今回交渉での特徴の一つです。
 不払い問題では、大手企業交渉の力で、24年47回にわたる企業交渉の蓄積の結果形成された、一定の信頼関係がベースになって、多くの解決事例を生み出しています。現時点での、大手企業交渉の最大の成果と言い得るものです。
(6)「建退共加入促進」では、ゼネコンではほとんどの企業から「官民問わず貼付」との回答を得ましたが、ビッグゼネコンの大成建設が「元請責任での証紙の交付は公共工事だけ」と回答。今後、是正を求めていきます。
住宅企業は、建退共については消極的な回答が多く、自社の退職金制度の活用(積水ハウス、積水化学工業、旭化成ホームズ、パナホーム)が中心でした。
(7)「アスベスト対策の完全な実施」では、(アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの直接交付)について、全ての企業から「交付する、協力する」との回答が出ました。
 また、アスベスト関連労災認定・申請中の数については、ゼネコン13社から「いる」との回答があり、申請中も含めて、社員で合計29人いるとの回答。協力会社・下請からもあったとの回答が4社ありました。サブコンも申請中との回答が増えています。私たちの追及が数字の回答という形であらわれました。しかし、現状として数はまだまだ少ないです。
2 資本従事者の交渉への参加と発言
 @ 企業交渉への企業従事者の結集の重視
 竹中工務店との企業交渉では、参加した竹中工務店の従事者が直接声をあげ、「現場の休憩室で、密閉された部屋で、400人くらいがタバコを吸っていて、タバコを吸わない私は苦しい」、「今年の3月〜9月、千葉の竹中の現場をやったが、最後のほうは1日も休めなかった。最後の1ヶ月は業者の半分は1日も休めなかったのではないか。そういう工程は非常に負担になるのでやめてほしい」、「私はサブクラスの職長をしていて1日15,000円だ」、「竹中の現場で、建退共の手帳を持って、2回貼ってくれと言いにいったが、1次業者から貰えと言われた。1日は少額でも、何ヶ月もいると結構たまるので、こんなことはなくしてほしい」と回答と実態の違いを追及し、「調査し、改善する」と約束させました。
 A 東京土建一般労組「職長の会」(PAL)の行動
 従事している企業との交渉に直接参加し、直接声をあげ、現場名を明らかにして、企業を追及し、調査、改善を約束させていると言われています。
 東京土建一般労組「職長の会」(PAL)の、今回企業交渉での行動をまとめる必要があると感じています。
3 次回交渉 主な課題
○ 交渉相手の企業の現場で働いている「企業従事者」を交渉に参加させ、交渉の場で、現場の実態について直接声を上げてもらい、現場の労働条件、労働安全衛生条件の改善を、強く要求していきます。
○ 賃金引き上げ要求のところでは、企業のホームページなどにのっている企業情報を使って、利益について、株主への配当に偏(かたよ)ることなく、もっと下請業者、労働者に分配するように、要求していきます。
○ 企業の「ため込み」である「利益剰余金残高」に注目し、賃金引き上げの原資として、ため込みの現場への還元を、要求していきます。
○ 下請の36協定の届出確認を元請責任で行わせることを、重視し、建設現場で労働基準法を守らせ、時間外労働、休日労働、深夜作業について法定の割増賃金を必ず支払わせるようにして、賃金の実質的引き上げを実現していきます。
○ 下請との協議、合意があれば、産廃処理費用、駐車場代、いろいろな名目の引き去り、支払い留保等々を下請に負担させてもいいと説明している「建設業法令遵守ガイドライン」の問題点を正確につかんだ上で、そういったものは当然元請負担であり、下請に負担させるべきではないとの要求を、交渉の力で、たたかいの力で、力関係を変えながら、実現する方向を強めていきます。
○ 倒産・不払いが再び増加傾向にあることを直視し、「元請責任での不払い解決」については、少なくとも国土交通省関東地方整備局の回答の水準で、すなわち「二重払いを立替払拒否の理由にすることはできない」、「賃金はもとより工事代金も建設資材納入代金も立替払の対象」、「下請保護が建設業法の主旨」、「下請保護ということで特定建設業者の許可は与えられている」と企業に回答させていきます。
○ 企業の回答「1次への発注単価を上げたが、下請労働者の賃金は上がっていないようだ。重層を避け、不良不適格業者を排除し、1次に支払う金額の引き上げが労働者の賃金に反映されるようにしていきたい」については、下請業者、中小業者を数多く組織している建設労働運動としてどう考え、対応すればいいのか? 次回交渉に向けて、知恵を絞る必要があると感じています。 
 問題点は、
 @ 「1次への発注単価を上げた」といっても、「下請業者の経費の適正な確保」と「下請労働者の賃金引き上げ」の両方を実現できるほどの引き上げとはなっていないことが、問題です。 
「下請業者の経費の適正な確保」の部分に吸収されて、賃金の引き上げに回るほどの余裕はない位の、その程度の「1次への発注単価の引き上げ」にとどまっているのが実態ではないかと思います。
 A 「重層化」について言うと、企業はほぼ共通して「原則3次までにしている」と回答しています。しかし、企業従事者は、「私は4次で従事している」等々、「3次まで」は実態と違う、と証言しています。
 経験で言うと、たとえば、元請〜5次という深い重層下請構造の現場で不払いトラブルが発生しています。
 B 「重層化の排除」、「不良不適格業者の排除」について言うと、本当の不良不適格業者の排除は正しいことだと思いますが、「重層化の排除」、「不良不適格業者の排除」の名目で下請業者が不当に現場から排除されるのではないかとの心配、不安があります。
 上記@〜Bを考慮すると、次回交渉の要求として、「重層下請の、最終下請に至るまで『下請業者の経費の適正な確保』と『下請労働者の賃金引き上げ』の両方を実現できる『1次への発注単価の引き上げを』」を打ち出すべきではないかと考えます。
○ 建退共問題では、次回交渉では、「元請責任での事務受託の徹底」を要望の中心に据えるべきではないかと考えます。
 理由は、
 @ 建設労働運動が建退共普及促進の中心的ルートと考えているのが、「元請責任での事務受託の徹底」であること。
 A 「元請責任での事務受託の徹底」については、行政の通達の中にも一定の根拠があること、文書での明示があること。
○ 元請の労災適用を求める「労働者性」の要求では、要求の根拠として、あらためて「労基研報告」を打ち出し、「労基研報告」に基づいて労働者性を判断するとの回答を、各企業から引き出すこと。
「労基研報告」 労働者かどうかの判断基準として厚生労働省が認めているものです。
 
 
◎ 大手企業交渉  住宅企業トップ  大和ハウス工業の回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での大和ハウス工業の回答の特徴です。差し支えない範囲で記載しておきます。記録者の主観もありますし、記録ミスの可能性も排除できませんので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ 法令遵守・社会的責任について
 役職員への周知徹底、社内の教育・研修を実施。
 法令遵守は当然。特に建設業法については、技術部門と総務経理責任者でダブルチェックしている。建設業法令遵守ガイドラインについては、半年に一度の技術部門の全体会で社内教育を始めた。
 「駆け込みホットライン」は全国の支店に通知した。通報者に対し不利益な扱いはしない。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2,000円以上の賃金引き上げ
 (現場の賃金実態調査)835人に渡し、411人回収。大工は月額9,000円アップしている。交渉参加者への「現場の賃金実態調査」のプリント配布の要望については、検討する。
 安定的に仕事があって、安定した収入になるよう努力していく。工法の改善、ムダをなくし、みなさんのふところが潤うように取り組む。
 「1日2,000円以上の賃金引き上げ」については、前向きに検討させていただく。
○ 元請・下請取引の適正化
 現場にしわ寄せしていない。請負については、みなさんと合意して行なっている。
 積算根拠については、詳細を明示し、条件を満たしている。
 産廃処理費、現場管理費は全て当社負担。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
 (後継者育成のための基金制度の創設)要請あれば賛同する。
 (認定職業訓練校、後継者育成事業への助成)検討中。
 (外国人研修生の受け入れ)今のところ聞いていない。
 (派遣労働者の使用)使用していない。
○ 現場が働きやすい環境作り
 最低限のトイレ、手洗い場は設置している。
 (時間外就労、残業代支払い)法違反があれば是正させていく。
 (盗難防止)道具について全て持ち帰りにさせている。この何年かは盗難について聞いていない。
○ アスベスト対策の完全な徹底
 含有製品、一切使用していない。
 標準的な処理方法を指示している。
 (アスベスト関連の労災認定のための過去の工事についての施工証明書の交付)協力していく。
○ 不払い発生の場合、元請責任での立替払の実施を
 前向きに理解している。
○ 手間請、一人親方への元請労災の適用
 「手間請労働者」は、非常に紛らわしい。当社は、労働者であることに対する補強を行なっていく。雇入通知書、賃金台帳などで。
 まず労災を適用させることを考え、社員にも指導している。
○ 安全経費の確保、適正な工期設定、労災事故の根絶
 安全経費の削減、下請負担の押し付けは、やっていない。
 安全設備は、元請責任で管理し、配置している。
 労災隠し根絶について、厳しく言っている。
○ 建退共加入促進
 協力する。
 (現場での、組合が参加する、建退共説明会の開催)協力する。
○ 「不払い」、「建退共」、「アスベスト」、「労働安全」確認書の締結
 締結した。
◎ 大手企業交渉  住宅企業トップ  積水ハウスの回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での積水ハウスの回答の特徴です。差し支えない範囲で記載しておきます。記録者の主観もありますし、記録ミスの可能性も排除できませんので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ 法令遵守・社会的責任について
 コンプライアンス並びにCSR(社会的責任)は特に重要。
 H13年度より内部通報システムを導入している。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2,000円以上の賃金引き上げ
 賃金については、強い関心を持って向上に取り組んでいる。
 単価を下げていない。
 高速代、駐車場代は全て当社負担。
 努力をしていきたい。生産性向上で賃金アップにつながるように考慮している。
○ 元請・下請取引の適正化
 協力業者と合意の上、工期設定し、発注している。
 (産廃処理費、現場管理費)下請転嫁はしていない。負担は全て、当社が行なっている。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
 営業本部、支店単位で行なっている。内装大工育成では、費用援助を行なっているケースもある。
 外国人研修生は、受け入れていない。
 派遣労働者は使用していない。
○ 現場が働きやすい環境作り
 (トイレ・手洗い場)適切な設置を行なっている。都内ではほぼ、80%は水洗トイレと認識している。
 (盗難防止)盗難時は保険で適用。できるだけ持ち帰りを指導。
○ アスベスト対策の完全な徹底
 (アスベスト)新築工事は既に使用していない。
 法に沿って徹底して行なっている。
 (アスベスト関連の労災認定のための過去の工事についての施工証明書の交付)確認の上、対応している。交付している。
○ 不払い発生の場合、元請責任での立替払の実施を
 あった場合は、早急に対応する。
○ 手間請、一人親方への元請労災の適用
 監督署が労働者と認めれば、元請労災を適用。
○ 安全経費の確保、適正な工期設定、労災事故の根絶
 (過重労働にならないよう)適正な工期設定に努めている。
 
○ 建退共加入促進
 当社独自の退職金制度を優先に行なっている。
○ 「不払い」、「建退共」、「アスベスト」、「労働安全」確認書の締結
 「労働安全確認書」は平成11年に交わしていて、継続したいと認識している。
◎ 大手企業交渉  住宅企業トップ  大東建託の回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での大東建託の回答の特徴です。差し支えない範囲で記載しておきます。記録者の主観もありますし、記録ミスの可能性も排除できませんので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ 法令遵守・社会的責任について
 各支店の末端まで周知徹底をはかるよう指導。
 取引業者への指導は年に一度の支店総会で徹底している。再下請業者との契約確認を行い、健全な枠組み契約を指導、実施している。支払上のトラブルを事前に抑制するため、施工体制の重層化を排除するよう支店に指導をおこなっている。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2,000円以上の賃金引き上げ
 地域相場に応じた発注金額を、業者と協議して決めている。
 1次のところの作業員の賃金に関して直接的にコントロールするのは難しい。
 週40時間労働については、現場の土日完全休業化に向け、取り組んでいる。
 2次、3次に下請を出すところとの取引は極力控え、直接仕事をしてくれるところに直接賃金を払えるような体制を強化し、労働条件の改善がはかれるよう努力していく。
○ 元請・下請取引の適正化
 工期と受注額については、地域相場に応じた価格を協議して決めている。
 (労務費、法定福利費、交通関係費)取り決めの中に包括して含まれていると認識している。
 産廃処理費等の必要経費については、当社の負担でおこなうよう指導している。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
 昨年は下請業者に対する助成金を実施。
 現場作業員の派遣労働者はいない。
○ 現場が働きやすい環境作り
 (トイレ・手洗い場)適切な設置を行なっている。また、可能な限り、休憩所を設置するようにしている。
 (時間外就労、残業代支払い)これまで違反があったという報告はないが、あれば元請として介入し、解決にあたる。
 (盗難防止)仮囲いを設置している。出入口にゲートを設け施錠。各部屋の鍵も二重ロック。
○ アスベスト対策の完全な徹底
 (アスベスト)2000年より順次使用中止、代替化をすすめてきた。2003年6月以降、納入資材より全面使用禁止している。
 法令の周知徹底。
 (アスベスト関連の労災認定のための過去の工事についての施工証明書の交付)要望があったら、診断書を出していただき、当社で就労していたことの確認ができたら、対応します。
○ 不払い発生の場合、元請責任での立替払の実施を
 建設業法で言われているのは、払わなくてはならないということではない。弁護士と相談して、対応している。
 実際に不払いが発生した場合、状況によって対応が異なるが、@当社に債務が残っていて、下請業者が存続している場合、1次下請に支払いをするよう指導する。A当社に支払うべき債務がない場合、条件があえば当社取引会社になってもらい、今後直接発注できるようにする、などとなっており、やむを得ない場合、二重払いをしたケースもある。
 建設業法41条をむげにしているとか払わなくていいというスタンスではないことを理解してほしい。
○ 手間請、一人親方への元請労災の適用
 手間請でも労働者と認められれば、元請労災を適用する。一人親方については、元請労災の適用は困難だということで、特別労災加入を促進している。
○ 安全経費の確保、適正な工期設定、労災事故の根絶
 法で定められた安全経費は、当社負担とし、安全対策もするよう指導している。
 労災隠しは犯罪と認識している。
 
○ 建退共加入促進
 (現場での、組合も参加した、建退共説明会の開催)申し出があれば、できる範囲で協力する。
○ 「不払い」、「建退共」、「アスベスト」、「労働安全」確認書の締結
 以前、確認書は締結している。当社の見解では、法人同士でおこなった締結で効力を持つと考えているので、今回あらためての締結は控えたい。
◎ 大手企業交渉  大手サブコン  きんでんの回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での、大手サブコン、きんでんの回答の特徴です。記録者の主観の入り込みを考慮し、また記録ミスの可能性も考慮し、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ 法令遵守、社会的責任について
 「業務の適正化を確保する体制に関する基本方針」を作り、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会を作り、社内対応をしている。
 社内にも「ホットライン」(社長に直結)を作っている。
 国土交通省ホットラインへの通報者に、不利益な扱いはしない。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2,000円以上の賃金引き上げ
 ゼネコンの指導で2次までにし、大きな現場は工区を分けたりして、重層にならないようにしている。
 受注は、労務費の絶対値を確保して、安い仕事を受けないようにしている。
 (賃金を)安くすればいいとは考えていない。電気の仕事が大変だと世間が認めてくれるように努力していく。それが一番の解決法だろうと思う。
 今は単価が上がっている。単価をよくする努力と指導をしていく。契約している単価、賃金の絶対値は上がっている。
 電工の地位を上げるべきだと考えている。
○ 雇用関係の明確化と適正工期の設定
 採用時には、「労働条件書」的なものが労働者に手渡されているはずである。
 多くの場合、ゼネコンの1次下請。特に電気工事が一番最後に入る業種であり、他の業種の工程遅れが直接、私たちにかかることが多い。その意味でも、適正な工期設定は重要だと考えている。
 (下請の36協定の届出確認)それぞれの現場ごと提出している。協力会社についても同様の指示をしている。
 (時間外労働)当然、割増賃金の支払いは必要。
○ 元請・下請取引の適正化
 適正な見積が前提。追加工事になった場合にも、書面で内容と金額をはっきりさせている。
 (産廃処理費)費用を協力会社に負担させることはやっていない。ゼネコンに全部見積で出している。
 (駐車場代)資材搬入など、一定の駐車台数を決め、それ以外は負担してもらっている。現場内の駐車場については、雑費その他で処理しているが、2〜3台のところを10台来たので全部処理してというのはむずかしいが、ゼネコンと話して、処理してきた。現場内駐車場はゼネコンが取る。これは、設備業者同士で処理している。
 私たちの監督責任で手戻りが生じた場合は、当然私たちのほうでやっている。
 派遣監督はいない。
 (赤伝処理)きんでんとして、やっていない。
 キャド関係、現場事務に関しては派遣をお願いすることはある。(派遣労働者の受け入れ)現場はやっていない。キャド、事務に限っている。
 (盗難防止)ガードマンを多くしている。施錠。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
 大阪で技能研修、技能教育を全部やっている。
 (外国人研修生の受け入れ)研修生は7人。社に「国際事業本部」があり、毎年6〜7人は技術者の教育として受け入れている。
○ 不払い発生の場合、元請責任での立替払の実施
 不払いが発生したときには、調査、確認し、建設業法に則った対応をすべきだと考えている。
○ 建退共加入促進
 新規入場者教育資料の中に、「建退共手帳の有無」という確認欄を設けている。
 建退共手帳を持っている人には、証紙を貼付する。
 現時点では、公共、民間を問わず、交付の申請があれば交付している。
○ アスベスト対策の完全な徹底
 (アスベスト関連の労災認定・申請中の数)労災認定は5件。申請中のものはない。
 メーカー関係もよくわかっているので、ノンアスベストになっている。
 石綿障害予防規則に定められたとおりに、当社で指針を作っている。
 (アスベスト関連の労災認定のための過去の工事についての施工証明書の交付)当然、誠意をもって対応する。
◎ 大手企業交渉  大手サブコン  関電工の回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での、大手サブコン、関電工の回答の特徴です。記録者の主観の入り込みを考慮し、また記録ミスの可能性も考慮し、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ 法令遵守、社会的責任について
 重要なことと考え、企業行動憲章を定めている。
 引き続き、現場等での建設業法等の法令遵守のための教育を行っていく。
 国土交通省ホットラインへの通報者に、不利益な扱いはしない。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2,000円以上の賃金引き上げ
 9〜10月にかけて実施。39現場。139人。1次〜2次。20〜64歳。職人に直接聞き取りをした。
 3次以下の実態が出ない。不払い、労災の際に、3次であることが出てくる。 
 (月額50万円以上の確保)必要な金額だと思うが、約束するのは難しい。
 (1日2,000円以上の引き上げ)適正な発注を心がけていく。人手不足等もあり、認識は持っているので、今後、考えていく。
○ 雇用関係の明確化と適正工期の設定
 (無理な工期・工程の設定をやめること)ゼネコンに、工程管理の依頼をしている。
 (36協定の届出確認)36協定を締結し、各現場で提出している。
 時間外賃金の支払いは、指導している。
○ 元請・下請取引の適正化
 しわ寄せはしていない。
 労務費、法定福利費については、積算して、発注金額を出している。
 交通費等の必要経費については、契約に含まれている。
 産廃処理費は、当社が負担。下請には出させていない。
 (駐車場料金)当社が元請の場合は、徴収していない。駐車場の確保はしていない。
 元請の責任で手戻りが生じた場合は、元請の負担。
 派遣監督はいない。
 施工条件等については、明示している。
 安全協力費については、協議の上、差し引くことはあるが、一方的に差し引くことはない。
 (派遣労働者の受け入れ)事務・設計部門はある。現場では若干ある。施工管理、工程管理の補助的要員としている。
  
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
 大きな問題。1社だけでは対応できない。業界全体で考えていく問題。
 (外国人研修生の受け入れ)受け入れていない。協力会社にも「いない」ということだった。
○ 不払い発生の場合、元請責任での立替払の実施
 不払いの事実が判明すれば、適正な処理をする。
○ 建退共加入促進
 元請負担で貼付する。
 
○ アスベスト対策の完全な徹底
 (アスベスト関連の労災認定・申請中の数)労災認定はない。申請中が2件。
 (アスベスト含有製品)使用禁止している。
 石綿障害予防規則通りに実施しており、社内でマニュアルを作り、対応している。
 (アスベスト関連の労災認定のための過去の工事についての施工証明書の交付)確認できる部分については、実施している。
◎ 大手企業交渉について出されている意見等の紹介
 全建総連関東地協第47回企業交渉について、多くの意見等がだされています。以下に、差し支えない範囲で、一部を紹介しておきます。
○ 今回の企業交渉は、若年技能工不足と下請契約の不備、低賃金の打開を求め、特に低価格競争の是正が急務であり、低価格競争の是正のための有効策は現場労働者の賃金を上げることにある、入落札制度をいじることだけでは低価格競争は防止できない、法令遵守を元請企業に迫ることが重要になっているという認識の下に取り組まれた。
○ 要望の重点は、「企業の社会的責任」を果たさせること、法令遵守の流れを現場にまで徹底すること、下請契約の改善、生活でき、後継者が育つ賃金・単価の確保、建退共普及促進などだった。
○ 元請の指示ミス等による手戻り工事について、大部分の企業が元請責任を認めた。
○ 労働局等から「社員の時間外管理に不備がある」等と指摘された企業が目立った。自社の社員の管理もできていないのに、現場労働者の管理ができているはずがない。時間外の管理体制については、今後も厳しく追及していく必要がある。
○ 現場の仲間と深く結び付き、常に作業環境改善や適正取引について具体的な苦情や要望を取り上げ、解決を迫っていく態勢を強化していくことが、法令遵守を現場の隅々に太く貫いていくことになっていく。
○ 産廃処理費と駐車場代の元請負担について、住宅企業の全社が元請負担で対処、と回答。
○ ゼネコン、サブコンで駐車場代を取らないとしたのは、東洋建設、安藤建設、淺沼組、熊谷組、鉄建建設、ピーエス三菱、佐藤工業、関電工、新菱冷熱工業など。
○ 産廃処理費は、長谷工、フジタ、東急建設、鉄建建設、東洋建設、ピーエス三菱、関電工、きんでん、新菱冷熱工業、高砂熱学、三機工業、ダイダンなどが元請負担とした。
○ 大和ハウス工業では、下請業者(工務店等)に雇入通知書や賃金台帳の整備を指導し、労働者性補強の取り組みを強めているとの回答があった。
○ 今回、新たに積水化学工業との間で「アスベスト・粉じんに関する安全確認書」が締結された。これは、企業側が文面を一部加筆・修正することで実現された。
◎ 五洋建設と企業交渉 差し支えない範囲で報告しておきます
 2007/11/30 ゼネコンの五洋建設と全建総連関東地協との企業交渉がおこなわれました。以下に同社の回答を、差し支えない範囲で報告しておきます。
○ 法令遵守の徹底。
○ 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」について、社内への周知徹底をはかっている。現場の作業員への周知徹底は考えていない。これは、下請の事業主から周知徹底があるものであると考える。下請業者に違反行為があった場合には、(元請責任での下請指導を定めている)建設業法24条の6に基づき適切に対処する。
○ 国土交通省「駆け込みホットライン」への通報者に対し不利な取り扱いはしない。
○ 2次以降の契約書の交付の推進をすすめる。
○ 1次が労働者を雇用するのを、私たちは望んでいる。指導してもなかなか変わらないのが現実だが、変えたいと思っている。管理しやすいし、それが本音である。
○ 無理な工期設定にならないよう施工可能な条件で応札している。
○ 下請の36協定の届出について、一般論としては指導していく。
○ 下請へのしわ寄せはしていない。双方合意の上契約している。
○ 産廃処理費用を下請に押し付けていない。
○ 駐車場代は、契約に含まれている。契約時に協議、合意している。
○ 派遣監督を、一部で使用している。能力に問題はないと考えている。
○ 後継者の育成は、1企業ではなく業界として対処すべき課題。
○ 外国人研修生は、調査した範囲では、いない。
○ 建設業法41条2項の、賃金については、従前より立替払を実施している。41条3項については、「他人」が受けた損害を限度として、関係当事者とよく協議して、ケースバイケースで考えていく。要請の趣旨に沿って対応していく。
○ 新規入場時に「建退共手帳の有無」を申告させている。手帳を持っていない場合には、事業者が手続をするようフォローする。
○ 公共・民間を問わず、請求があれば、(建退共)証紙を配布する。
○ 「アスベスト関連の労災認定に使用するための、過去の工事についての現場施工証明書の元請からの直接交付」については、行政の要請があれば、交付を含めて誠意をもって対応する。
◎ 前田建設工業、錢高組、大豊建設、五洋建設 企業交渉回答の特徴
(以下は、2007/11/30に行われた、全建総連関東地協の、前田建設工業、錢高組、大豊建設、五洋建設との企業交渉での4社の回答の特徴をまとめたものです。記録者の主観も当然入っていると思いますので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。また、差し支えない範囲で公表しておきます)
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について
1 前田建設工業
名古屋市営地下鉄の談合事件や防衛施設庁の件で、独禁法違反等による処分を受けたことは事実。皆さんとも協力し合って、コンプライアンスを進めていきたい。
(国土交通省ガイドラインの徹底)当然のことと考えている。
(国土交通省「駆け込みホットライン」への通報)「おかしい」と思うことがあったら、解決できるように誠実に対応するので、まず当社に相談してほしい。対応が不誠実だというなら、ホットラインへ通報してもかまわない。元請で「現場の声」をつぶすことはしない。
2 錢高組
サービス残業で監督署から指導を受けたことがある。是正した。 
(国土交通省ガイドラインの徹底)徹底している。
3 大豊建設
旧防衛施設庁の「談合」問題で、営業停止処分を受けた。労基署から、管理監督権限のない管理職に時間外を支給していなかった点で、指摘を受け、是正した。
(国土交通省ガイドラインの徹底)徹底している。
(国土交通省ホットラインへの通報者に対して)不利益な取り扱いはしていない。
4 五洋建設
(防衛施設庁談合事件について、おわびの表明がありました)労働安全問題で監督署から指導を受けたことがある。違反行為再発防止のシステムを作った。
(国土交通省ガイドラインの徹底)徹底している。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
1 前田建設工業
(賃金実態調査について、交渉団にプリントを配布した)
賃金については上げられるように考えていかなければならないが、当社だけではなく、業界全体でやっていかなければならない。
賃金を上げるには、施工能率を上げなければならない。また、重層下請構造にならないよう協力業者にお願いしている。
2 錢高組
(賃金実態調査は、現在公共工事はないので、民間工事のみ)
月額50万円以上は妥当だと思う。
重層下請をなくしていくことで、賃金アップをはかりたい。
3 大豊建設
(13ヶ所の現場で、1〜3次下請の協力会社、82人にヒアリングして賃金実態調査した)
業界全体の底上げのために、みなさんと一緒に協力することは、惜しまない。
4 五洋建設
2次以降の契約書の交付推進を、すすめていきたい。
重層下請構造を改めたいと思っている。1次までにできれば、一番いい。
主旨は理解しているが、1次下請とは材工一式で契約しているので、個々の労働者の賃金を指導することはできない。
元請と協力会社が協力していい方向に持っていくのがいいと、考えている。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
1 前田建設工業
新規入場者について、教育の際に、雇入通知書を貰ったか等アンケートをするようにしている。
無理な工期にならないよう、工期・工程についてはよく相談して決めている。
36協定は各当事者の問題だと思うので、全て確認というのは無理である。36協定を結ばないで残業をさせている事実があった場合は、元請として指導する。
2 錢高組
雇用関係は新規入場時に確認するようにすすめている。
(無理な工期・工程の設定はやめること)努力する。
(時間外労働で問題があれば)是正する。
3 大豊建設
時間外労働削減には、全社一丸となって、努めている。
(下請の36協定の届出確認、届出がない場合の時間外就労の禁止)事業主等には指導している。届出をしていなければ指導する。
4 五洋建設
当初から残業を見込んでいるような工期の設定はしていない。
1次下請と工事着工前に、施工条件等、文書を交わしている。
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
1 前田建設工業
低価格受注を下請にしわ寄せはしないし、指値発注はしていない。
産廃処理費の下請からの徴収はやっていない。下請とは、梱包材など産廃になるようなものは持ち込まないでくれ、と当初の契約の条件で明示している。
(駐車場代)不公平が生じないように(駐車場)確保できた分の割当については、職長会に運営を任せてある。
(手戻り)元請に非がある場合は、元請の責任で対応している。
2 錢高組
指値発注はしていない。
(資材高騰、必要経費増加を考慮しての契約、価格協議)実際、要望があったので、検討中である。
(下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)現場で出たものは元請責任で処理している。
(手戻り)元請に責任がある場合は、元請負担でやっている。
協議なしで一方的に差し引くことはない。双方確認の上でやっているし、確認印のないものは差し引かない。
3 大豊建設
指値はしていない。
(資材高騰、必要経費増加を考慮しての契約、価格協議)協力会社から申し出があれば、相談にのる。
(下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)協力会社とも協議して、負担してもらっている事例はある。当社も相応の負担をしている。
(駐車場代)協力会社から徴収していない。
(手戻り)当社の責任であれば、当社が負担する。
一方的な赤伝処理はしていない。
4 五洋建設
見積り条件を示し、元請、下請合意の下に行なっている。
(下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)下請に負担をさせていない。
工事敷地内に駐車スペースが確保できない場合、近くの駐車場を利用してもらっている。料金は協力会社に負担してもらっている。マイクロバスの利用は契約に含まれていると考える。
(手戻り)元請の不手際の場合、下請に負担させていない。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
1 前田建設工業
後継者の育成については、建設業協会と協議もしている。行政と協力しながらやっていくことだと思う。
2 錢高組
我々も(後継者育成)いいことだと思っている。
3 大豊建設
業界にとっても重要な課題。
当社単独でできるのは、資格を取らせること。特別教育は無料、職長教育も無料でやっている。
4 五洋建設
後継者育成は重要と考えている。1企業ではなく、業界全体で取り組む問題である。
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
1 前田建設工業
当社は未払いの範囲内で責任を負うのを原則としている。
救済しないと言っているのではない。具体的な事案に応じて誠意を持って対応している。
2 錢高組
労務費については基本的に支払う。材工持ちも含めて検討はする。申出があった場合は、立替払いをしている。協力業者等に確認後支払っている。
3 大豊建設
倒産が多いので、その対応に追われている。不払いについて、関係者と話し合い、解決に向けて努力している。
4 五洋建設
建設業法41条2項については、従前から立替払いを行なっている。
他人への損害(建設業法41条3項)については、当社現場の場合に限って、調査を行ない、ケースバイケースで対応。
○ 建退共加入促進
1 前田建設工業
証紙は、事業主を通じて、出面帳に基づいて、受け渡ししている。証紙は全て、当社が負担している。
2 錢高組
公共工事がほとんどない中で民間に貼っている。
3 大豊建設
(現場での加入説明会の開催と組合の説明会への参加)以前協力したことがある。協力はするが、事前に連絡してほしい。
4 五洋建設
新規入場時に、手帳を持っているかどうか申告してもらっている。持っていない人には、制度を説明し、事業者に対処をお願いしている。
○ アスベスト対策の完全な実施を
1 前田建設工業
禁止以降は、アスベスト含有製品は一切使用していない。
(解体・改修工事)規則に従い、きちんとやっている。
(アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)できることがあれば、手続きが円滑に進むよう協力する。当社が「最終事業場」であることが必要で、その場合は協力する。
2 錢高組
(アスベスト含有製品使用)禁止している。
(アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)調査はする。確認できれば、証明する。
3 大豊建設
(アスベスト含有製品使用)一切使用していない。
(アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)申請者がいて、その事実が確認できれば、当社として「施工証明書」を発行する。
4 五洋建設
(アスベスト含有製品使用)一切使用していない。
(アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)調査した結果、当社現場に従事していたことが事実であれば、誠意をもって対応していく。
 
更新日時:
2008/02/20
――――  「全建総連関東地協第48回大手企業交渉」関連  ――――
――――  「全建総連関東地協第48回大手企業交渉」関連  ――――
海野和夫
 
◎ ―――  全建総連関東地協第48回大手企業交渉へ向けて  ―――
1 歴史の中での位置
 建設労働運動の中で、全建総連が生まれ、全建総連の賃金引き上げ運動として「協定賃金運動」が、大きな役割を発揮し、成果をあげてきました。しかし、大手企業が市場への支配力を強め、賃金の相場についても大手企業が決めていく状況の強まり、広がりに対応して、全建総連の賃金引き上げ運動は、新しい運動形態として「大手企業交渉」を生み出し、編み出し、今日に至っています。
 言い換えると、「大手企業交渉」こそが、全建総連の賃金引き上げ運動の主力であり、主要な方向だということです。
2 到達点
 清水建設、大成建設、大林組、鹿島建設、竹中工務店のビッグゼネコン5社、また積水ハウス、大和ハウス工業といった大手住宅企業など、多数のゼネコン、サブコン、住宅企業が、全建総連関東地協を交渉相手として認め、そして、不払いなどトラブル発生の場合には、全建総連の各県連・組合を交渉窓口として認め、重層下請構造下での賃金、工事代金等の不払いについては、建設業法41条2項、3項にもとづく元請責任での立替払いがおこなわれる構造が、形成されています。
 現場の賃金実態の調査を大手企業自身におこなわせ、低賃金の実態を大手企業に認識させています。
 大手企業の一部から、重層下請構造下で、「1次下請への発注単価を引き上げた」との回答を引き出しています。
 また、大手企業の一部から「月収50万円、年収600万円」は「妥当、必要」との回答を得ています。
 賃金以外の労働条件についても、雇用関係の明確化(36協定の届出、残業代の支払い)、適正工期、元下関係の適正化、建退共加入促進、労働安全衛生、アスベスト対策、等々、要求し、一定の改善を実現しています。
 
3 めざすもの
 2008年4月におこなわれる全建総連関東地協第48回大手企業交渉でめざすものは、「雇用関係の明確化(36協定の届出、残業代の支払い)、適正工期、元下関係の適正化、建退共加入促進、労働安全衛生、アスベスト対策、等々」での徹底した改善の実現です。
 同時に、賃金引き上げの本格的な、本当の実現であり、「重層下請の、最終下請に至るまで『下請業者の適正な経費の確保』と『下請労働者の1日2000円以上の賃金引き上げ』の両方を実現できる、1次への発注単価の引き上げ」と「現場労働者の賃金が1日2000円以上上がるよう元請責任での手立て」を強く要求していきます。
4 今後の方向
 全建総連の賃金引き上げ運動は、協定賃金運動→大手企業交渉と大きな役割を発揮し、成果をあげてきました。
 本格的な賃金引き上げを実現するために、求められる運動形態は何か? 闘争形態は何か?
 一言で言うと、大手企業交渉と結び付けて、憲法28条が保障する労働組合の団体行動権(争議権)の行使が欠かせないのではないかと思います。
 現実に全建総連関東地協は、建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払いを戸田建設や熊谷組におこなわせる上で、争議権行使の経験を持っています。
 大手企業交渉と争議権行使の結合の探求が、いま、求められています。
 
 
◎ ――――――  住宅企業への要望について考えました  ――――――
 2008年春には、全建総連関東地協第48回大手企業交渉がおこなわれます。
 住宅企業への要望について、考えました。
 前回(2007年秋におこなわれた全建総連関東地協第47回大手企業交渉)の要望を見ると、大きくわけると、「コンプライアンス、CSR」、「現場の賃金実態の調査」、「賃金引き上げ」、「『建設業法令遵守ガイドライン』を現場に徹底し、元請・下請関係の適正化を」、「後継者育成」、「働きやすい(現場)環境づくり」、「アスベスト対策」、「元請責任での不払い解決」、「労働者性」、「労働安全の確立、労災事故の減少」、「建退共」、「不払い解決、建退共、アスベスト、労働安全の確認書の締結」の12項目です。
 上記の12項目を「大項目」とよぶとすれば、これらをさらに細分化、具体化した「小項目」が多数、存在します。
 2時間という交渉時間を考慮する必要があります。
 12項目をどのように絞り込むか?
 「働きやすい(現場)環境づくり」、「労働者性」、「労働安全の確立、労災事故の減少」の3項目を「労働安全衛生」として1項目に絞り込むことが必要だと思います。
 そして、「現場の賃金実態の調査」、「賃金引き上げ」、「『建設業法令遵守ガイドライン』を現場に徹底し、元請・下請関係の適正化を」、「労働安全衛生」、「アスベスト対策」、「元請責任での不払い解決」、「建退共」、「不払い解決、建退共、アスベスト、労働安全の確認書の締結」の8項目に絞り込むのがいいのではないかと考えます。 
 その上で、小項目の絞り込みと適正化ということになると思います。
 「現場の賃金実態の調査」では、交渉時間を保障するために、「必ず短時間での回答」、「必ず回答のプリントでの配布」を要望に入れることです。現場の賃金実態の回答を20分、30分にわたり延々と読み上げられることは、交渉時間の保障を破壊するものであり、許すべきではないことです。
 「賃金引き上げ」については、「建設現場の、最終下請に至るまで『下請業者の経費の適正な確保』と『下請労働者の1日2000円以上の賃金引き上げ』の両方を実現できる『1次への発注単価の引き上げを』を行なって下さい」、「現場労働者の賃金が1日2000円以上上がるよう元請責任で手立てをして下さい」がいいのではないかと思います。
「『建設業法令遵守ガイドライン』を現場に徹底し、元請・下請関係の適正化を」では、その小項目の一つに「産業廃棄物処理費の下請への負担転嫁をやめてください。また、安全協力費等の名目で、現場管理費の下請転嫁もやめてください。下請契約の中に負担を押し付ける条項がある場合は削除してください」があります。
ガイドラインも2001年環境省通達も「建設廃棄物」と表現していますから、「産業廃棄物」→「建設廃棄物」と表現を変更したほうがいいと思います。
 また「現場管理費」という表現はわかりづらいので、「工事現場の費用」としたほうがいいのではないかと思います。
「元請責任での不払い解決」では、倒産の相当な増加傾向を重視し、国土交通省関東地方整備局の回答の水準で、すなわち「二重払いを立替払拒否の理由にすることはできない」、「賃金はもとより工事代金も建設資材納入代金も立替払の対象」、「建設業法の主旨は不払いを受けた下請業者の窮状の救済である」、「下請保護ということで特定建設業者の許可は与えられている」と企業に回答させることです。
 「建退共」では、「元請責任での事務受託の徹底」を要望の中心に据えるべきではないかと考えます。
 理由は、
 @ 建設労働運動が建退共普及促進の中心的ルートと考えているのが、「元請責任での事務受託の徹底」であること。
 A 「元請責任での事務受託の徹底」については、行政の通達の中にも一定の根拠があること、文書での明示があること。
 「労働安全衛生」では、労災隠しの根絶だけでなく労災そのものの根絶を強く要求すべきです。「元請の責任で、建設現場の全体で、最終下請に至るまで、労災の防止を徹底し、労災を根絶して下さい」を打ち出します。
 
 
◎ ―――――  最近のゼネコン、住宅企業の状況について  ―――――
 2008年3月期(2007年4月1日〜9月30日)の各社の中間決算短信または有価証券報告書にもとづいて、最近のゼネコン、住宅企業の状況について、少しまとめてみました。
 ビッグゼネコンと大手住宅企業、そして準大手、中堅ゼネコンの一部の中間決算短信または有価証券報告書を見ただけですから、断定的なことは言えませんが、だいたい次のようなことなのではないかと考えます。
(ゼネコン)
 最近の半期(2007年4月1日〜9月30日)で見ても、ビッグゼネコンは次のように利益をあげ、同時に強固な財務体質を形成しています。(竹中工務店は2006年1月1日〜2006年12月31日) 
 ○ 大林組 売上高6467億11百万円 中間純利益49億85百万円 利益剰余金期末残高1877億3百万円
 ○ 清水建設 売上高6073億39百万円 中間純利益61億27百万円 利益剰余金期末残高1224億48百万円
 ○ 大成建設 売上高7191億15百万円 中間純利益119億9百万円 利益剰余金期末残高820億87百万円
○ 鹿島建設 売上高8151億33百万円 中間純利益248億55百万円 利益剰余金期末残高950億96百万円
 ○ 竹中工務店(2006年1月1日〜2006年12月31日) 売上高1兆4224億87百万円 当期純利益274億68百万円 利益剰余金期末残高2582億1百万円 
 様相が異なるのが、準大手、中堅ゼネコンです。三井住友建設、前田建設工業、西松建設等々、純損益を半期(2007年4月1日〜9月30日)で見ると、三井住友建設3億21百万円、前田建設工業△36億31百万円、西松建設△4億84百万円、等々、というような状況です。
 同時に見逃してはならないのが、そうは言っても一定強固な、準大手、中堅ゼネコンの財務基盤です。利益剰余金期末残高(2007年9月30日残高)を見ると、戸田建設1270億65百万円、前田建設工業993億65百万円、西松建設1060億71百万円、等々、という状況です。
(住宅企業)
 調べた範囲で言うと、最近の半期(2007年4月1日〜9月30日)で見ても、以下のように、大和ハウス工業、積水ハウス、大東建託が相当な好調さを示すと同時に、強固な財務基盤を形成しています。
 ○ 積水ハウス 売上高7967億56百万円 中間純利益286億65百万円 利益剰余金期末残高3539億95百万円 
 ○ 大和ハウス工業 売上高8258億80百万円 中間純利益236億39百万円 利益剰余金期末残高3994億78百万円
 ○ 大東建託 売上高2537億72百万円 中間純利益149億64百万円 利益剰余金期末残高2260億53百万円
 マスメディアも、企業利益の配分が株式配当に偏り、賃金に回っていないことについては報道していますが、それを象徴しているのがたとえば、大東建託の株式配当金の流れです。大東建託の株式の約3割を株式会社ダイショウが保有し、半期だけでもその配当金は16億円になります。(株式会社ダイショウは、大東建託会長の多田勝美氏の出資比率が81.41%となっています)
 
 
◎ ―――――――  ゼネコンへの要望項目について  ―――――――
 2008年春に、第48回目の全建総連関東地協企業交渉がおこなわれます。
 とりあえず「ゼネコンへの要望項目」について、検討してみました。
 前回(第47回目)の交渉でのゼネコンへの要望項目は、大づかみに言うと、@コンプライアンス、CSR、A現場の賃金実態の調査、B賃金引き上げ、C雇用関係の明確化、適正工期、D元下関係の適正化、E後継者育成、F元請責任での不払い解決、H建退共加入促進、Hアスベスト対策の9点です。
 最初に、大掴みに捉えた場合の、要望項目を考えてみました。交渉時間は2時間です。時間という要素も当然、考慮する必要があります。
 追加を考えると、「労働安全衛生」があります。また、「労働者性」の問題があります。建設現場で働いている人たちのすべてを、「手間請」、「一人親方」、「事業者」等々、名目がどうであろうと、労働者として認めて元請労災を適用する課題です。前回(第47回目)の交渉でも、住宅企業への要望項目には「労働者性」の問題が入っています。
 これだけでも要望項目は11項目になります。
 大掴みに捉えた場合の要望項目を「大項目」とよぶとすれば、大項目をさらに細分化、具体化した「小項目」が、前回交渉時も多数存在しています。
 大項目について、「コンプライアンス、CSR」、「後継者育成」を削除し、「労働安全衛生」を追加し、「@現場の賃金実態の調査、A賃金引き上げ、B雇用関係の明確化、適正工期、C元下関係の適正化、D元請責任での不払い解決、E建退共加入促進、F労働安全衛生、Gアスベスト対策」の8項目にし、その中で小項目を絞り込むのがいいのではないかと考えます。「労働者性」の問題は、「F労働安全衛生」に組み込みます。
 次に、小項目について検討してみます。
 「@現場の賃金実態の調査」には、交渉時間を保障するため、「調査結果を、必ずプリントで配布して下さい。また、必ず短時間で回答して下さい」を入れておいたほうがいいと思います。
 「A賃金引き上げ」では、「重層下請の、最終下請に至るまで『下請業者の経費の適正な確保』と『下請労働者の1日2000円以上の賃金引き上げ』の両方を実現できる『1次への発注単価の引き上げを』を行なって下さい」、「現場労働者の賃金が1日2000円以上上がるよう元請責任で手立てをして下さい」がいいのではないかと思います。
 「B雇用関係の明確化、適正工期」には、前回、小項目として「36協定」、「時間外労働」が入っており、ここはさらに重視し、時間外労働への割り増し賃金を適正に支払わせることにより「賃金の実質的引き上げ」をめざすべきです。 
 「C元下関係の適正化」では、前回、小項目として「産業廃棄物処理費を下請から徴収することは『二重取り』になります。やめてください」がありましたが、2001年の環境省通達に「建設廃棄物処理費の負担は発注者の責務」と明記されていますから、要求の根拠として「建設廃棄物処理費の負担は発注者の責務」を入れ、「産業廃棄物処理費」は「建設廃棄物処理費」と表現をあらためるべきだと思います。
 また前回は、要求の根拠として国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」を提示し、「不当に低い請負代金」、「指値発注」、「やり直し工事」、「見積条件の提示」、「赤伝処理」の問題を追及しましたが、ガイドラインへの理解を深めながら、これらの要求は継続すべきです。
 「労働者供給」、「派遣」、「偽装請負」関連の要求も継続します。ただし、表現を以下のように、より正確なものにしていきます。
「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。ただちにやめてください」
「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 「D元請責任での不払い解決」では、倒産の相当な増加傾向を重視し、国土交通省関東地方整備局の回答の水準で、すなわち「二重払いを立替払拒否の理由にすることはできない」、「賃金はもとより工事代金も建設資材納入代金も立替払の対象」、「建設業法の主旨は不払いを受けた下請業者の窮状の救済である」、「下請保護ということで特定建設業者の許可は与えられている」と企業に回答させることです。
 「E建退共加入促進」では、「元請責任での事務受託の徹底」を要望の中心に据えるべきではないかと考えます。
 理由は、
 @ 建設労働運動が建退共普及促進の中心的ルートと考えているのが、「元請責任での事務受託の徹底」であること。
 A 「元請責任での事務受託の徹底」については、行政の通達の中にも一定の根拠があること、文書での明示があること。
 「F労働安全衛生」は、前々回(第46回目)はゼネコンへの要望項目になっています。
「元請として、責任ある安全衛生管理を行うために、予算と人員を十分に確保してください」、「手間請労働者、一人親方は、労働者として元請労災を適用してください」、「元請の責任で、冷・暖房、ロッカー、分煙(喫煙スペースと禁煙スペースを分けること)などの設備をはじめ、労働安全衛生法に定められたトイレ・手洗い場や給水機・休憩所を適切に確保、配置してください。安心して弁当が食べられる場所の確保やトイレを水洗にするなど、適正な労働安全衛生環境を確保して下さい」、「元請責任で、重層下請構造の最終下請に至るまで、労災の防止を徹底し、労災を根絶して下さい」がいいと思います。
 
 
◎ ―――――  社団法人日本空調衛生工事業協会との懇談  ―――――
 (先日、社団法人日本空調衛生工事業協会(日空衛)の坂山修平専務理事、大坊進事務局長と懇談し、お話を聞く機会を得ることができました。お二人のお話の中身の要旨を、差し支えない範囲で以下に記述させていただきました――海野)
○ 「分離発注は、一生懸命やっている、徐々に浸透している」
○ 「分離発注については、公的発注機関はよりご理解を示していただいている。ディベロッパーによっては、異なる姿勢にある」
○ 「分離発注を広げるのは、永遠の課題」
○ 「国土交通省は、きちんと実力主義、法令遵守を打ち出している。それに沿った、その日空衛版を作りたいと考えている」
○ 「地球環境問題が大事。CO2(二酸化炭素)の削減は、省エネと同じで、うちの事業活動の本体部分だ。環境憲章と同行動計画は『自主行動計画を作りなさい』としている」
○ 「うちは、技術者を抱えているが、技能者を抱えていない。会長企業の高砂熱学には、高砂マイスター制度がある」
○ 「元請企業に工期のこととか話せればいいのだが、建設的な提案をしなければならない。我々も(元請の場合)、ダクトや管から言われるだろうが、元請として対応していかなければならないと思っている」
○ 「新規入職があっても、定着が課題」
○ 「技能者は、60歳とか一定の年齢を超えるとリタイアされる」
○ 「(定着問題等は)賃金が労働条件に見合った賃金になっていないからではないか。『払えないから、払わない』が実態」
○ 「業界自体としては、供給過剰状態にある」
○ 「資材価格が上がっている」
○ 「重層下請構造は、解消の方向ではなく、むしろ深まっているのではないか」
○ 「ディベロッパーが利益をあげているのではないか」
 
 
◎ ───── 元請が大手ゼネコンの現場での下請事業主の声 ─────
○ 職種 タイル
 超高層マンションの現場 「トイレ男女別、シャワー室など設備はよく整っている」、「場内駐車場代として月1万円を職長会に納めている。会費報告はしてくれる」、「時々行く場合、(場内駐車場代)1日千円徴収される」
○ 職種 タイル
 「工期遅れ、1ヶ月位日曜も仕事、大変」
○ 職種 型枠
 「工期厳しい。8時〜19時という2時間の残業。事業主として2時間の残業代を払っているが、割増しにはなっていない。上とは請負契約なので、下には割増しを払えない」
○ 職種 型枠
 「打ち終ってから変更。自分たちが被ってしまう。監督との間で書類化しておくが、監督がいなくなり、別の監督になってしまう」
○ 職種 鉄筋
 「応援に行ったとき、駐車場代とられたが、職長会で管理。余ったら返してくれる」
○ 職種 鉄筋
 「事故が多い。事故にうるさい」
○ 職種 不明
 「当て逃げされて、工作物を壊されたとき、(元請の大手ゼネコンに)話したら、『自分たちがやったのだろう』と30数万円の修理代、自腹になった」
○ 職種 衛生設備
 「遅刻すると、(午前8時には)門を閉められてしまい、入れない」
○ 職種 型枠
 「不満はいろいろあるが、それを乗り越えてやっていきたい」
○ 職種 不明
 「建退共証紙を請求したら、交付してくれなかった」
 
 
◎ ─── ビッグゼネコン5社の「業績悪化すすむ」は本当か? ───
 一部で、「ビッグゼネコン5社の業績悪化すすむ」が言われているようですが、違和感を覚え、あらためて資料にあたってみました。
1 ビッグゼネコン5社のHPに載っている2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)等によると、次のようになっています。
○ 大林組 
 中間期売上高 6467億11百万円 
 中間(当期)純利益 49億85百万円
 利益剰余金残高  1877億3百万円
(利益剰余金について、中間純利益49億85百万円をため込むこと等で、2007年3月31日残高1835億99百万円→2007年9月30日残高1877億3百万円へと増大させています。安定した財務基盤の形成と言えますが、有利子負債残高2007年9月末3120億円との関係を考えると、どうなのか、という問題は残ります。なお、株式配当は43億19百万円です)
○ 清水建設
 中間期売上高 6073億39百万円 
 中間(当期)純利益 61億27百万円
 利益剰余金残高 1224億48百万円
(利益剰余金について、中間純利益61億27百万円をため込むことで、2007年3月31日残高1187億90百万円→2007年9月30日残高1224億48百万円へと増大させています。なお、株式配当は27億54百万円です)
○ 大成建設 
中間期売上高 7191億15百万円 
 中間(当期)純利益 119億9百万円
 利益剰余金残高  820億87百万円
(利益剰余金について、中間純利益119億9百万円をため込むことで、2007年3月31日残高748億92百万円→2007年9月30日残高820億87百万円へと増大させています。なお、株式配当は31億93百万円です)
○ 鹿島建設
 中間期売上高 8151億33百万円
 中間(当期)純利益 248億55百万円
 利益剰余金残高  950億96百万円
 (利益剰余金について、2007年3月31日残高750億95百万円→2007年9月30日残高950億96百万円と増大させています。中間(当期)純利益248億55百万円をため込んだ結果です。なお、株式配当は41億94百万円です)
○ 竹中工務店
(竹中工務店の場合は2007年1月1日〜12月31日の1年間)
売上高 1兆3085億円
 当期純利益  101億円
2 (最近出た)ビッグゼネコン5社のHP掲載の2008年3月期第3四半期(2007年4月1日〜12月31日)の連結業績を見ると、次のようになっています。
○ 大林組
 売上高 1兆578億9千万円  
 営業利益 121億16百万円
 経常利益 161億76百万円
 四半期(当期)純利益 78億78百万円
 利益剰余金残高 1877億11百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆6800億円
 営業利益   400億円
 経常利益   430億円
 当期純利益  230億円
○ 清水建設
 売上高 9369億21百万円  
 営業利益 168億91百万円
 経常利益 164億77百万円
 四半期(当期)純利益 79億56百万円
 利益剰余金残高 1218億29百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆6850億円
 営業利益   500億円
 経常利益   480億円
 当期純利益  280億円
○ 大成建設
 売上高 1兆1252億94百万円
 営業利益 155億15百万円
 経常利益 118億3千万円
 四半期(当期)純利益 132億17百万円
 利益剰余金残高 801億88百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆7900億円
 営業利益   520億円
 経常利益   440億円
 当期純利益  260億円
○ 鹿島建設
 売上高 1兆2200億1千万円
 営業利益 61億74百万円
 経常利益 154億36百万円
 四半期(当期)純利益 207億3百万円
 利益剰余金残高 873億5百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆8500億円
 営業利益   170億円
 経常利益   270億円
 当期純利益  270億円
○ 竹中工務店
(竹中工務店の場合は2007年1月1日〜12月31日の1年間)
売上高 1兆3085億円
 営業利益   226億円
 経常利益   275億円 
当期純利益  101億円
3 どう評価するか
 「業績悪化すすむ」というより「一定の業績を保持し、利益のためこみを増やし続けている」と表現するのが、ビッグゼネコン5社への正当な評価と言えるのではないでしょうか。
 これを根拠にして、建設労働運動は、「利益のためこみを、株式配当に回すだけでなく、現場の労働者、下請業者に還元すること」を要求することができるわけです。 
「業績悪化すすむ」は、現場の労働者、下請業者から「搾取」して、利益のためこみを増やし続けているビッグゼネコンを免罪することになりかねない表現だと思います。
 中小建設業者の倒産が続く中、大手企業は利益のためこみ(利益剰余金)を増やし続けています。9ヶ月間(07年4月1日〜12月31日。積水ハウスと竹中は1年間、大和ハウスは半年間)を見ても、大手住宅企業、ビッグゼネコン5社は次のように、利益をあげ、利益剰余金を増やし続けています。
 積水ハウス(純利益604億円、利益剰余金3776億円)、大和ハウス(純利益236億円、利益剰余金3995億円)、大東建託(純利益129億円、利益剰余金2177億円)、大林組(純利益79億円、利益剰余金1877億円)、清水建設(純利益80億円、利益剰余金1218億円)、大成建設(純利益132億円、利益剰余金802億円)、鹿島(純利益207億円、利益剰余金873億円)、竹中(純利益101億円)
 利益のためこみの、現場労働者、下請業者への還元を要求していきます。
 
 
◎ 大手企業の利益のためこみの、現場労働者、下請業者への還元を 
1 大手住宅企業、ビッグゼネコンの利益のためこみ
 中小建設業者の倒産が続く中、大手企業は利益のためこみ(利益剰余金残高)を増やし続けています。9ヶ月間(07年4月1日〜12月31日。積水ハウスと竹中は1年間、大和ハウスは半年間)を見ても、大手住宅企業、ビッグゼネコン5社は次のように、利益をあげ、利益剰余金残高を増やし続けています。
 積水ハウス(純利益604億円、利益剰余金残高3776億円)、大和ハウス工業(純利益236億円、利益剰余金残高3995億円)、大東建託(純利益129億円、利益剰余金残高2177億円)、大林組(純利益79億円、利益剰余金残高1877億円)、清水建設(純利益80億円、利益剰余金残高1218億円)、大成建設(純利益132億円、利益剰余金残高802億円)、鹿島建設(純利益207億円、利益剰余金残高873億円)、竹中工務店(純利益101億円)
 利益のためこみの、現場労働者、下請業者への還元を要求していきます。   
2 三極化傾向
 大手ゼネコン28社、大手住宅企業11社、サブコン5社のあわせて大手44社のHPに載っている2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)などを見ると、大手と言っても、その財務基盤、財務状況は三極化しているのではないか、ということを感じます。仮にそれをA、B、Cと名付けるとすれば、次のような傾向への三極化です。
A 半期(半年)で見ても利益をあげ、利益のためこみである利益剰余金残高等を見る限り、強大な財務基盤を形成している。
B 半期(半年)で見ると損失(マイナス)になっているが、利益のためこみである利益剰余金残高等を見る限り、一定強固な財務基盤を形成している。
C 半期(半年)で見ると損失(マイナス)になっているし、利益のためこみである利益剰余金残高等を見ても、安定した財務基盤の形成が課題になっている。
3 ビッグゼネコン5社は利益のためこみを増やし続けている
@ ビッグゼネコン5社のHPに載っている2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)等によると、次のようになっています。
○ 大林組 
 中間期売上高 6467億11百万円 
 中間(当期)純利益 49億85百万円
 利益剰余金残高  1877億3百万円
(利益剰余金について、中間純利益49億85百万円をため込むこと等で、2007年3月31日残高1835億99百万円→2007年9月30日残高1877億3百万円へと増大させています。安定した財務基盤の形成と言えますが、有利子負債残高2007年9月末3120億円との関係を考えると、どうなのか、という問題は残ります。なお、株式配当は43億19百万円です)
○ 清水建設
 中間期売上高 6073億39百万円 
 中間(当期)純利益 61億27百万円
 利益剰余金残高 1224億48百万円
(利益剰余金について、中間純利益61億27百万円をため込むことで、2007年3月31日残高1187億90百万円→2007年9月30日残高1224億48百万円へと増大させています。なお、株式配当は27億54百万円です)
○ 大成建設 
中間期売上高 7191億15百万円 
 中間(当期)純利益 119億9百万円
 利益剰余金残高  820億87百万円
(利益剰余金について、中間純利益119億9百万円をため込むことで、2007年3月31日残高748億92百万円→2007年9月30日残高820億87百万円へと増大させています。なお、株式配当は31億93百万円です)
○ 鹿島建設
 中間期売上高 8151億33百万円
 中間(当期)純利益 248億55百万円
 利益剰余金残高  950億96百万円
 (利益剰余金について、2007年3月31日残高750億95百万円→2007年9月30日残高950億96百万円と増大させています。中間(当期)純利益248億55百万円をため込んだ結果です。なお、株式配当は41億94百万円です)
○ 竹中工務店
(竹中工務店の場合は2007年1月1日〜12月31日の1年間)
売上高 1兆3085億円
 当期純利益  101億円
A (最近出た)ビッグゼネコン5社のHP掲載の2008年3月期第3四半期(2007年4月1日〜12月31日)の連結業績を見ると、次のようになっています。
○ 大林組
 売上高 1兆578億9千万円  
 営業利益 121億16百万円
 経常利益 161億76百万円
 四半期(当期)純利益 78億78百万円
 利益剰余金残高 1877億11百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆6800億円
 営業利益   400億円
 経常利益   430億円
 当期純利益  230億円
○ 清水建設
 売上高 9369億21百万円  
 営業利益 168億91百万円
 経常利益 164億77百万円
 四半期(当期)純利益 79億56百万円
 利益剰余金残高 1218億29百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆6850億円
 営業利益   500億円
 経常利益   480億円
 当期純利益  280億円
○ 大成建設
 売上高 1兆1252億94百万円
 営業利益 155億15百万円
 経常利益 118億3千万円
 四半期(当期)純利益 132億17百万円
 利益剰余金残高 801億88百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆7900億円
 営業利益   520億円
 経常利益   440億円
 当期純利益  260億円
○ 鹿島建設
 売上高 1兆2200億1千万円
 営業利益 61億74百万円
 経常利益 154億36百万円
 四半期(当期)純利益 207億3百万円
 利益剰余金残高 873億5百万円
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)の連結業績予想)は、
 売上高 1兆8500億円
 営業利益   170億円
 経常利益   270億円
 当期純利益  270億円
○ 竹中工務店
(竹中工務店の場合は2007年1月1日〜12月31日の1年間)
売上高 1兆3085億円
 営業利益   226億円
 経常利益   275億円 
当期純利益  101億円
B どう評価するか
 一部で言われている「業績の悪化すすむ」というより「一定の業績を保持し、利益のためこみを増やし続けている」と表現するのが、ビッグゼネコン5社への正当な評価と言えるのではないでしょうか。これを根拠にして、「利益のためこみを、株式配当に回すだけでなく、現場の労働者、下請業者に還元すること」を要求することができるわけです。 
 
 
◎ ────── 清水建設との交渉に参加してきました ──────
 全建総連関東地協の企業交渉の一員として、ビッグゼネコンの清水建設との交渉に参加してきました。
 差し支えない範囲で、簡単に、特徴点だけ書いておきます。
 清水建設の現場で実際に働いている「資本従事者」が複数、交渉に参加していました。そして、参加するだけでなく、現場名をあげて、現場の実態を明らかにし、現場の労働条件等の改善を要求したのが、前進面です。
たとえば、
@ 「オス」と朝礼で言わせる。現場で「おはようございます」と言うと、「オス」と言えと直させられる。こういう「軍隊方式」はやめてほしい。(清水建設は、「強制しないようにする」、「緩和するようにする」と約束しました)
A 大手町再開発の現場、3交代制になっている。溶接の夜間作業、証明設備不十分ではないか。(清水建設も「事故もいくつか起き始めている」と認めました)
 また、建設廃棄物処理費の下請からの徴収について、清水建設は「双方合意の上、下請から徴収」と回答。
 建設業法令遵守ガイドラインは、建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要と、さだめています。この点を指摘すると、清水建設は「基本要綱に明示してあるので、問題ない」と回答。
 「国土交通省で確認するので、その基本要綱のコピーをください」とさらに言うと、「いま調べたら、ガイドラインでは見積条件と契約書への明示が必要となっているのが、わかった」と清水建設。
 「それなら是正してください」と要求すると、「契約書に書いてあるかどうか調べる」と約束しました。
 
 
◎ 資本主義の枠内での民主的改革 大手企業との協力共同
 積水ハウスとの交渉に参加してきました。利益のためこみ(蓄積)である利益剰余金残高が3500億円を超えるような大企業です。
 大企業を敵視することなく、資本主義の枠内での民主的改革へ向けて大企業とも協力共同していく立場で、交渉に参加。
 賃金引き上げでは、「今後のテーマ、課題、宿題」との回答にとどまりましたが、建設業法令遵守ガイドラインの協力会社への周知、工期問題での改善の約束、駐車場代や「高速代の一部」の元請負担、建設廃棄物処理の元請責任、建設廃棄物処理費を下請に転嫁しない、応援を入れる場合の手間の一部元請負担、ゴミ(梱包材)を建設廃棄物と認め下請に持ち帰りを指示することをやめることの徹底、後継者育成、36協定の徹底の方向での検討、アスベスト労災認定のための現場施工証明書の元請からの直接交付、不払い解決での元請責任、労働安全確認書の継続など、多くの前進面のあった交渉でした。
 
 
◎ ───────── 大東建託との交渉に参加して ─────────
 大東建託との企業交渉に参加してきました。
 コンプライアンスとCSRのところで、「株主、お客がステークホルダー(stakeholder 利害関係者)。現場従事者も大事な利害関係者」と回答。これが建前です。
 交渉の過程で、大東建託が自社HPで公表している情報等によっても、膨大な利益のためこみ、株式配当の一方、現場従事者への利益の還元がおこなわれていないのが実態であることが、浮上しました。大東建託が、現場従事者への利益の還元という点で、今後具体化するのか、どのように具体化するのか、注目していく必要があります。
 不払いの元請責任での解決については、建設業法41条3項の構造が、元請責任での立替払へ向けての行政による指導、誘導とそれへの元請の特定建設業者の協力によって成立していることを、認めました。
 建設廃棄物処理費については、元請が負担すべきものであり、下請からは取らないという趣旨の回答を行ないました。
 また、「現場駐車場は当社負担を指導」、「全建総連が参加しての建退共現場説明会の開催については、協力する」と回答。
 「不払い解決」、「建退共普及促進」、「アスベスト対策」、「労働安全」の四つの確認書について、有効に継続しているとの認識を示しました。
 
 
◎ 淺沼組「一人親方への元請労災の適用 認められたことがある」(補強版)
 2008/4/23 ゼネコンの淺沼組との交渉に参加してきました。
 「一人親方を労働者として認めて元請労災を適用してほしい」という建設労働組合の要求に対して、淺沼組は「一人親方であっても手間請のときは、元請労災を申請するようにしている。一人親方への元請労災の適用が、労基署によって認められたことがある」と注目すべき回答をおこないました。
 一人親方を労働者として認めさせる運動への、元請ゼネコンの側からの貴重な支援と言い得るものです。
(その他の淺沼組の回答)
 淺沼組「技能があって、1万5千円未満は安いと思う」
 淺沼組「(全建総連が参加しての建退共現場説明会の開催)現場所長など現場で働いている人の参加について努力する」
 淺沼組「工期の遅れについて当社に非がある場合は、当社で負担」
 淺沼組「(労働条件書・雇入通知書)新規入場時に、安全書類に添付、確認」
 淺沼組「(建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要)であることについて、調べて確認する」
 淺沼組「(駐車場代)基本的に相殺しないが、維持・管理等で多少引いている場合もある」
 淺沼組「鉄、石油関係上がっているので、単価の切り上げをしている」
 淺沼組「手戻りについて当社に責任があるときは、当社で負担」
 淺沼組「(建退共証紙)公共工事だけでなく、民間工事も、要請があれば貼付する」
 淺沼組「(アスベスト労災認定のための現場施工証明書の元請からの直接交付)要請があれば、至急検討したい」
 
 
◎ 元請・下請取引の適正化へ向けての大手ゼネコンの回答
(以下は、全建総連関東地協2008年春の企業交渉での「元請・下請取引の適正化へ向けての大手ゼネコンの回答」の要旨です。記録者の主観もあると思いますので、あくまでも参考資料として扱って下さい──海野)
○ 鹿島建設
建設業法令遵守ガイドライン、周知徹底をはかっている。
(建設廃棄物処理費)環境省通達では、減量化のためならば、下請との協議を経て、下請からも徴収できる。現場でこの項目については負担させないなどの原則を定めたリストを作成中。
(駐車場代)維持・管理費用を除き徴収しないよう指導。(手戻り)原則元請負担。(応援手間)一方的に差し引くことのないよう、指導を徹底する。
盗難防止も元請の責任。
○ 大成建設
(建設業法令遵守ガイドライン)徹底している。
(建設廃棄物処理費)工事の見積・契約時に含んでおり(条件書に明示)、処理費を含めて発注するので、排出量によって下請担当者の確認の上負担してもらっている。
市街は駐車場確保は困難。駐車場代を含めて見積り、契約している。郊外では、職長会で一部負担をお願いしている。
(手戻り)当社の責任の場合、当社負担。
○ 清水建設
建設業法令遵守ガイドラインにもとづいて行っている。
(建設廃棄物処理費)徴収する際は、下請と合意の上、徴収している。(契約書に書いていない徴収はガイドラインに反することがわかったので)契約書に書いてあるかどうか確認する。
○ 大林組
建設業法令遵守ガイドラインにもとづいて行っている。
(建設廃棄物処理費)協力会社との間では、取引の見積りで、合意して、処理費用の実費を戻入する手続きを取っている。(駐車場代)前もって条件の見積りを出してもらい、協議の上徴収している。(手戻り)誤った指導等を行った場合、元請負担である。(盗難防止)警備会社に夜間警備をお願いしている。
○ 竹中工務店
(建設業法令遵守ガイドライン)周知徹底している。
(建設廃棄物処理費)原則として、処理費は、当社が産廃処理会社に払っている。
(応援手間の赤伝処理)1次と協議し、合意されたものについてのみ控除。1次には2次以降から差し引かないよう指導。
○ 長谷工コーポレーション
(建設業法令遵守ガイドライン)徹底している。(建設廃棄物処理費)徴収することはない。(駐車場代)場内での料金徴収はない。(手戻り)当社で負担。
(応援手間の赤伝処理)当社が直接引くことはない。
○ 三井住友建設
(建設業法令遵守ガイドライン)幹部会議で取り上げ、現場で講習実施。(建設廃棄物処理費用)下請との契約で、処理費用含みの金額で契約している。
(駐車場代)敷地内駐車場の場合、整備費用分の負担をしてもらっている。双方の合意にもとづかないものは、行わない。(手戻り)手戻りの原因を作ったものが負担。
○ 戸田建設
(建設業法令遵守ガイドライン)徹底を指導。(建設廃棄物処理費)各協力会社の分は、説明して了解を得て、費用を負担してもらっている。(駐車場代)協力会社との契約条件の中に盛り込んで契約している。あくまでも双方合意で契約している。
(手戻り)協力会社の責任でない場合は、元請負担。
(応援手間の赤伝処理)合意の上でやっている。
○ 前田建設工業
(建設業法令遵守ガイドライン)周知徹底。(建設廃棄物処理費)積算の中で出た分の産廃処理費の元請負担は当然。
(駐車場代)徴収の運営を職長会で管理。安全大会や懇親会で協力業者に還元。契約時に合意して、もらっている。(手戻り)当社の責任で生じたことを、下請に押し付けることはあり得ない。
(応援手間の赤伝処理)ない。
○ 西松建設
(建設業法令遵守ガイドライン)説明、教育。(建設廃棄物処理費)多く出してしまう業者に対しては、費用分担をしていただくことになっている。(駐車場代)車で来る場合、見積り時に見積条件確認書で認識。現場内については、鉄板を敷いたりもしているので、費用を負担させている現場もある。
(応援手間)協力会社と協議して、支払い条件書で決めている。
○ 五洋建設
(建設業法令遵守ガイドライン)周知している。(建設廃棄物処理費)元請負担。(駐車場)広い工事現場の場合は、駐車スペースを確保。(手戻り)そのような事実はない。下請に負担させていない。
(応援手間の赤伝処理)元下合意のもとに行なっている。
○ 熊谷組
(建設業法令遵守ガイドライン)研修、周知。(建設廃棄物処理費)下請に負担させていない。(駐車場代)個人負担にはしていない。
手戻り工事の元請負担は当然。労務費についての赤伝処理はしていない。
○ フジタ
(建設業法令遵守ガイドライン)徹底している。(建設廃棄物処理費)下請に負担してもらう場合は、見積りをしてもらい、契約条件に明記して、行なう場合もある。(駐車場代)公平にするため、徴収するところもある。(手戻り)元請に責任がある場合は、元請が負担。
○ 鴻池組
(建設廃棄物処理費)条件書を出して、協力会社から見積書をもらっている。下請から請求されたら、産廃費は支払っている。(駐車場代)状況に応じて違う。契約段階の中で決めている。徴収については、不公平のないようにしている。基本的に、公共工事現場では、徴収していない。
 
 
◎ 「労働安全衛生法の遵守、労災隠しの根絶」への大手ゼネコンの回答
(以下は、全建総連関東地協2008年春の企業交渉での「労働安全衛生法の遵守、労災隠しの根絶」への大手ゼネコンの回答の要旨です。「労働者性」の問題での注目すべき回答もありますが、記録者の主観もあると思いますので、あくまでも参考資料として扱って下さい──海野)
○ 鹿島建設
(労災隠し)本気で根絶する。
詰め所やシャワールームの設置などに努力。徐々に分煙化。
下請については、3次までを許容限度としている(設備関係は4次まで)。
○ 大成建設
一人親方が増えているという印象を持っている。
労働安全衛生法の定める施設は確保している。
最優先の課題である労災防止の教育を徹底している。
○ 清水建設
全て適正に、法令の基準どおりに行っている。
○ 大林組
(労災隠し)根絶、徹底している。
トイレ、休憩所など、労働安全衛生法どおりきちんとやっている。元請で設置すべき足場などきちんと管理、設置している。
○ 竹中工務店
トイレの不備、駐車場代の徴収など確認して、事実なら是正する。(労災防止、労災隠し根絶)教育、指導。
○ 長谷工コーポレーション
一人親方、手間請親方が被災した場合、要請があれば(労災の)手続きをするが、労基署の指示に従い実施する。
全現場に冷暖房施設を設置。喫煙場も要請があれば設置。手洗い場も設置。食堂のある現場もある。
○ 三井住友建設
分煙については、協議していく。
原則、下請管理の観点から3次下請まで入場としている。安全・施工の担当者が月1回、パトロール実施。
○ 戸田建設
冷暖房、トイレ、手洗い場、給水所、休憩室、全て整っている。法令を守り、災害をなくしていきたい。
○ 前田建設工業
ある時は労働者、ある時は一人親方という人もいるので、元請労災が適用できる場合には、適用できるようにしたい。
(労働安全衛生環境)最大限努力。
協力業者には、労働者名簿と施工体制台帳を事前に提出するようお願いし、最終までの業者の把握に努めている。
○ 西松建設
手間請労働者は元請労災。一人親方については、行政の判断だが、一人親方も労働者ということで元請労災を適用するケースもある。
労災防止の徹底。
○ 五洋建設
労働者性が強い場合は、元請労災を使っている。最終的には労基署の判断。
冷暖房などの整備は当社の責任。分煙化もすすめている。労災根絶、全力。
○ 熊谷組
適正な労働安全衛生環境の確保は、魅力ある建設産業にするためにも必要。今年は災害ゼロをめざしていきたい。
○ フジタ
(労働者性の確認)労基署と協議しながらすすめている。最終下請・労働者までの安全を考え、パトロール実施。
○ 鴻池組
(労働者性)手間請だからダメとはしていない。原則、労基署の判断。
安全パトロール、月1回実施。分煙化の要望については、次回までに調査して、報告します。
(労働安全衛生環境の整備)できる限りの整備を、現場へ指導。災害根絶。
 
 
◎ 「雇用関係の明確化と適正工期の設定」への大手ゼネコンの回答
(以下は、全建総連関東地協2008年春の企業交渉での「雇用関係の明確化と適正工期の設定」への大手ゼネコンの回答の要旨です。記録者の主観もあると思いますので、あくまでも参考資料として扱って下さい──海野)
○ 鹿島建設
短工期とならないよう受注努力をしている。労賃に響かないよう努力する。
36協定、協力会で周知・指導している。残業代も指導。
○ 大成建設
適正工期を確保したい。努力する。
(雇入通知書)グリーンファイルの点検時に、「いつ確認したか」下請に点検・指示をしている。
(36協定)現場の安全協議会で指導。(残業代)払われていると認識。
○ 清水建設
(雇入通知書)受け入れ教育時に交付を本人に確認。
(36協定)指導している。
○ 大林組
適正な工期の確保に努力している。(36協定)指導している。(残業代の支払い)指導している。
○ 竹中工務店
工法改善、生産性の向上、人員の適正配置でカバーしている。
就労カードで作業員の雇用関係を把握。
(36協定)法令遵守を指導。確認については、次回までに検討。(残業代)適正に払うよう指導。
○ 長谷工コーポレーション
工期短縮は行っていない。計画を立てているので、当初から無理な工期というのは、ない。変更があった場合は、双方協議。新規入場時に雇用契約を確認。
残業はほとんどない。(36協定の届出)労務安全書類と一緒に提出するように1次に言っている。36協定締結を指導。
○ 三井住友建設
無理な工期設定はしていない。(36協定)届出が出されていないようであれば、届出を促す。
○ 戸田建設
適正工期を推進していきたい。(労働条件書・雇入通知書の確認)入場時に出してもらい、チェック。(36協定)遵守を指導。
○ 前田建設工業
無理な工期設定はしていない。(労働条件書・雇入通知書)新規入場者全員に聞き取り調査やアンケートを実施。事業主に対し交付を指導。(残業代)支払いを指導。
○ 西松建設
(工期)やみくもにしわ寄せを押し付けることはしていない。(36協定)グリーンファイルへの追加を検討。
○ 五洋建設
適正な工期を確保。(36協定、残業代)指導。
○ 熊谷組
(工期)下請へしわ寄せが行かないようにしている。(労働条件書・雇入通知書)元請として確認実施。(36協定、残業代)協力会社を指導。
○ フジタ
(労働条件書・雇入通知書)新規入場者教育の時に、アンケートで確認。(36協定)問題はない。(残業代)当然支払っている。
○ 鴻池組
(残業代)指導している。
 
 
◎ (2008年春)「賃金引き上げ」要望への大手ゼネコンの回答の要旨
(以下は、全建総連関東地協2008年春の企業交渉での「賃金引き上げ」要望への大手ゼネコンの回答の要旨です。記録者の主観もあると思いますので、あくまでも参考資料として扱って下さい──海野)
○ 鹿島建設
生産性向上の検討。協力業者会で「どう還元していくのか」議論している。どうやって上げるか、日々努力している。
○ 大成建設
不良不適格業者の排除。不必要な重層下請の排除。
業界あげて取り組むべき課題。
ここ2〜3年を見ると、20%は上がっている。(単価)
○ 清水建設
物価高騰の関係で、1次下請との関係では上昇分を配慮している。
生産性と歩掛りの確保。
「1日2000円引き上げ、月50万円確保」の要望はわかる。下げているつもりはない。
みなさんとともに取り組んでいかなければならない。
○ 大林組
多くの職種で契約単価は上昇している。それが労務賃金に反映されていないのが現状。どうしたら労務賃金が上がる仕組みになるのか、努力していきたい。
生産性を上げる。
○ 竹中工務店
赤字工事を押し付けているということはない。
ディベロッパーにも言うべきことは言っていく。
○ 長谷工コーポレーション
「月50万円」という金額は考えている。単価や歩掛りを上げたい。
6月、単価、改定した。11月と2月、資材の単価を上げた。
u400円、tあたり4000円、上げた。
○ 三井住友建設
安全と品質確保のため、(引き上げを)考えていきたい。
ディベロッパーなどの施主に対しても単価の合わない工事は断っている。
○ 戸田建設
「月50万円」は、建設産業活性化のために、魅力ある金額だと思う。
作業効率や生産性を上げる努力は惜しまない。単価は、実勢単価を採用している。
○ 前田建設工業
施工能率を上げることで、実質賃金を増やせるよう努力。重層下請構造の解消。
○ 西松建設
「月額50万円以上」は必要だと考える。
元請が適正価格で受注し、1次下請と適正価格で契約していく。ペーパーカンパニーなどの排除。法的な整備(公契約法)。
○ 五洋建設
趣旨は理解。1企業の問題ではない。
○ 熊谷組
年令、経験、熟練度などに見合った賃金は大切。1次に対しては、賃金が下がらないよう、力量にあった賃金とするよう、指導・教育している。
土工協等の中で、声を上げていきたい。
○ フジタ
育成とコストをかけることが必要な時代だ。
生産性の向上が賃金に反映されるようにしている。
賃金や安全を考えて、2次下請までにしているが、この下に一人親方が増えている。
○ 鴻池組
要望はわかる。「月額50万円」は、決して高くない。底上げについては、要望は、当社で協議する。
 
 
◎ ──────── 大手企業交渉の結果について若干 ────────
 2008年4月17日、18日を中心に全建総連関東地協第48回大手企業交渉がおこなわれました。
 交渉企業は、ゼネコン28社、住宅企業11社、サブコン5社の、合わせて44社です。
 ゼネコン28社=鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店、三井住友建設、戸田建設、前田建設工業、西松建設、五洋建設、熊谷組、フジタ、鴻池組、東急建設、ハザマ、飛島建設、大豊建設、佐藤工業、長谷工コーポレーション、奥村組、東亜建設工業、錢高組、東洋建設、松井建設、大日本土木、淺沼組、安藤建設、鉄建建設
 住宅企業11社=大和ハウス工業、積水ハウス、積水化学工業、住友林業、旭化成ホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、大成建設住宅事業部、エス・バイ・エル、大東建託、パナホーム
 サブコン5社=きんでん、関電工、三機工業、高砂熱学工業、新菱冷熱工業
 今回交渉は、賃金引き上げ、雇用関係の明確化、適正工期の設定、元請・下請取引の適正化、不払いの元請責任での解決、建退共加入促進、労働安全衛生法の遵守、アスベスト対策の徹底などをかかげておこない、「交渉企業の現場で働いている現場従事者(資本従事者)が参加し、現場の実態、現場改善の要求について声をあげる」ことをテーマとし、また国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」にもとづく建設現場の改善を重視しました。
 O社との交渉に協力業者が参加し、「戻入明細書で、一方的に相殺される」問題が出されました。
「本来見積りの段階で条件提示していると思う。『事前に説明責任、合意した上で戻入』、これは繰り返し現場に徹底している。(戻入)合意されていなければ、申し訳ない」とO社。
 S社との交渉では、現場従事者から「朝礼やあいさつで、『オス』と言わされる。『おはようございます』と言うと『オスと言え』と言い直しを指示される。こういう軍隊方式はやめてほしい」との要望が出され、「強制しないようにする」とS社は約束。同様に、現場従事者から「大手町の再開発の現場は、3交代制で24時間工事をしている。安全の徹底を」との指摘がおこなわれ、「事故もいくつか起こり始めている」とS社は認めました。
 D社との交渉では、現場従事者が具体的に現場名をあげ、「墨なし、若い監督わからない、所長が午後来る。結局午前中は、職人4人が遊んでしまった」、「図面にないものをやらされた。変更工事なので作業証明出してくれと頼んだが、断られた」、「休憩所がない」、「ビル工事で、トイレ、手洗い場がない。200m離れた公園のトイレ使用」と指摘したとのことです。 
D社は、調査し、事実であれば指導、改善すると回答したとのことです。
 建設廃棄物処理費の下請からの徴収について、S社は「双方合意の上、下請から徴収」と回答。建設業法令遵守ガイドラインは、建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要と、さだめています。この点を指摘すると、S社は「基本要綱に明示してあるので、問題ない」と回答。「国土交通省で確認するので、その基本要綱のコピーをください」と言うと、「基本要綱への明示ではダメなのがわかった。いま調べたら、ガイドラインでは見積条件と契約書への明示が必要となっているのが、わかった」とS社は認めました。
住宅企業のS社は、駐車場代や「高速代の一部」の元請負担、建設廃棄物処理費を下請に転嫁しない、ゴミ(梱包材)を建設廃棄物と認め下請に持ち帰りを指示することをやめることの徹底、アスベスト労災認定のための現場施工証明書の元請からの直接交付、労働安全確認書の継続など、約束しました。
(下請業者が上位下請業者の倒産・不払いの被害を受けた件で、元請の住宅企業○○社に建設業法41条3項にもとづく立替払を求めたことに対して)○○社は「前向きに解決したい。立替払の方向で解決したい」と回答。
 
 
◎ 「不払い発生の場合の元請責任での解決」要望への大手ゼネコンの回答
(以下は、全建総連関東地協2008年春の企業交渉での「不払い発生の場合の元請責任での解決」要望への大手ゼネコンの回答の要旨です。記録者の主観もあると思いますので、あくまでも参考資料として扱って下さい──海野)
○ 鹿島建設
労働者の救済を優先し、早期解決をしている。
○ 大成建設
誠意をもって対応する。
○ 清水建設
事実を見極め対処している。
○ 大林組
協議の場を設け、事実関係を確認し、必要な場合は対応を検討。
○ 竹中工務店
事実関係を把握して、きちんと対応している。
○ 長谷工コーポレーション
要望の趣旨にそって努力する。
○ 三井住友建設
その都度、対応する。
○ 戸田建設
不払いをしている会社と被害者との間に入って、調査した上で、解決の努力をしていく。
○ 前田建設工業
賃金については、最大限努力。工事代金についても、誠実に対応していきたい。
○ 西松建設
事実関係を確認して対応。賃金は最優先。二重払いについても、やむなしだと考えている。
○ 五洋建設
調査し、立替払いを行なっている。
○ 熊谷組
下請企業間で不払いが発生の都度、調査し、対処。全建総連からの不払いの連絡については、誠意をもって対応してきた。実績を見てほしい。
○ フジタ
賃金、工事代金の不払い報告があった場合、当該の支店が調査、確認し、それぞれの案件にそって対応している。
○ 鴻池組
建設業法41条2項について重点的に考えている。41条3項については、窮状の内容を検討して判断する。二重払いをしたこともある。
 
 
◎ 2008年春の大手企業交渉から見えてくるものを少し
1 資本従事者(ゼネコン、住宅企業、サブコン、パワービルダーなどの現場で働いている現場従事者)の企業交渉への進出、中でも、従事している企業との交渉に資本従事者が参加し、参加するだけでなく現場の実態や現場改善の要望について声をあげ、改善を要望したことが、企業交渉を動かし、それを通じて現場を動かしています。
 清水建設、大林組、竹中工務店、大和ハウス工業などが調査、改善を約束し、竹中工務店の現場では、トイレの増設、リフトへの常駐の運転者の配置などすぐに改善が実現した、とのことです。
 パルの会などによる資本従事者の組織化、資本従事者会議などでの資本従事者の結集、資本従事者の名簿化、建設労組の現場訪問・調査行動などの努力も、資本従事者の企業交渉への進出に役割をはたした、と捉えることができます。
2 金融機関、ディベロッパー、ゼネコンの相互関係 
 「金融機関、ディベロッパー、ゼネコンの相互関係」、特にディベロッパーによるゼネコンへの低単価発注を問題にすべきだとの「理論」が影響して、賃金引き上げ交渉でのゼネコンへの追及が弱まった側面を見ておく必要があると思います。
 単年度の、あるいは半期の業績を見る限り、業績が低下しているとしても、長年の利益の蓄積(ためこみ)である利益剰余金残高は、むしろ増え続け、多大な金額に達しているのが、大手ゼネコンの財務状況です。大手住宅企業の利益剰余金残高は膨大と言い得るものです。
 このあたりを見ないで、ゼネコンに「賃金・単価の引き上げ」ではなく、「ディベロッパーへの発注金額引き上げの働きかけ」を求めるのは、ゼネコンの利益ためこみを免罪する役割をはたすことになってしまいます。
3 建設業法令遵守ガイドラインの活用の方向
 大林組との交渉では、「戻入明細書で、一方的に相殺されている。建設業法令遵守ガイドライン違反ではないか」という問題が出されたとのことです。
「本来見積りの段階で条件提示していると思う。『事前に説明責任、合意した上で戻入』、これは繰り返し現場に徹底している。(戻入)合意されていなければ、申し訳ない」と大林組は回答した、とのことです。
 建設業法令遵守ガイドラインは、建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要と、さだめています。企業交渉のとき、この点を指摘すると、清水建設は「基本要綱に明示してあるので、問題ない」と回答。
その後、「調べたら、ガイドラインでは見積条件と契約書への明示が必要となっているのが、わかった」と清水建設は認めました。
 同様のことが、淺沼組との交渉でも実現し、「建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要」であることを、淺沼組に説明し、「わかりました、調べて確認します」と淺沼組は約束。
 建設廃棄物処理費について、下請との協議・合意の名の下に元請による一方的な引き去り、相殺が行なわれているのが、建設現場の実態であり、「建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要」とさだめている建設業法令遵守ガイドラインは、元請による一方的な引き去り、相殺を規制する上で、有効です。
「契約書があるのは元請─1次の間だけで、1次─2次、まして2次─3次、3次─4次、4次─5次……の間には契約書がない」、「違法な無許可業者が存在する」、「施工体系図に2次までしか載っていない」、「労務費まで手形払い」、「手形サイトが120日を超えている」、「協議・合意がないままの一方的な引き去り、相殺」などの建設業法違反、建設業法令遵守ガイドライン違反が、重層下請構造の現場には、普通のことのように存在しています。
建設業法、建設業法令遵守ガイドラインを活用し、元請責任を追及することで、建設現場改善の可能性は広がります。
 
更新日時:
2008/06/06
―――――――――「建設労組の不払い対策活動」関連―――――――――
―――――――――「建設労組の不払い対策活動」関連―――――――――
海野和夫
 
◎ ───  公共工事に準ずる工事での元下間の「不払い」問題  ───
発注者  公共に準ずる機関
元請   A社
1次下請 B社
2次下請 C社
3次下請 D社等数社
 以上のような重層下請構造の下で発生した、元下間、下請間の「不払い」トラブルです。
 工事は、○○外壁修繕他工事です。
 多額の工事代金不払い被害を受けていると、2次下請のC社は主張しています。
1次―2次間での多額の未払いトラブルの発生です。
2007/10/15におこなわれた1次と2次との話し合いでは、1次は「追加工事について、ある程度認識している」、「金がない」、「元請から直接、2次が工事代金を受領していい。『代理受領』を認める」と発言しました。(これは、元請から1次への未払い代金600万円が存在し、この600万円を2次が元請から直接受領していい、ということを意味します)
2007/10/29の元請と2次との話し合いのとき、元請も「1次にあと600万円支払っていない」ことを認めました。
 @ 着工の大幅な遅れが事実としてあり、2ヶ月の工期が1ヶ月で完成しなければならなくなり、半分の工期になってしまったわけです。工事開始の遅れが、トラブル発生のもとになっています。工期の遅れを取り戻すために、実際に建設工事を施工する下請業者は、相当な無理を強いられます。工事開始の遅れの責任は誰にあるのか? 一つのポイントです。その責任が発注者にあるのか、元請にあるのか、あるいは1次にあるのか?
 2次には、工事開始の遅れの責任はありません。
着工の大幅な遅れの責任が主として元請にある可能性が濃厚です。
2007/12/25の元請と2次の交渉のとき、元請は「遅れの原因については、元請の責任の可能性が強いのは認める」と回答しています。
少なくとも、2次に工事開始の遅れの責任はないことは明白ですから、工事開始の遅れに伴う負担を2次に負わせるべきではなく、元請責任での解決が求められます。
 A 人工について、延べにすると相当な数の待機が存在し、元請の所長の指示による待機だと、2次は主張しています。
 2007/11/21におこなわれた元請、1次、2次の3社交渉のとき、元請は「待ってくれ」、「確保してくれ」と言ったことは認めました。その際1次も「工期が2ヶ月だったのが1ヶ月でやることになったので、2次の言い出したことはわかる」と発言しています。
 B 1次が2次に指示して常用の約束で2次に施工させた工事部分があり、この部分の常用人工分が未払いと2次は主張しています。事実とすれば、元請責任での解決が必要です。
 元請は「当社の職員の中に、常用の約束をした者はいない」と文書回答してきました。仮にそうだとしても、1次が2次に常用の約束をして施工させたとすれば、その未払いについては、元請が責任を負うことになります。
 1次が2次に常用の約束で施工させた工事部分があることについては、それを推測させる1次の書いた文書が残っていますから、その可能性が大きいと思います。
 C 多大な人工ロス、材料ロス、手戻り(やり直し)が存在しています。このようなロスを発生させた責任が、元請側にあるのか、2次の側にあるのか、が問題です。元請の不適切な指示がロス発生の原因だと、2次は主張しています。元請の責任で発生したとすれば、国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」にも明記されているように、(ロス発生について)元請に責任がある場合には、元請の負担で解決する必要があります。このような場合に、下請に負担を転嫁するのは、建設業法違反になります。
 元請は「不適切な指示はしていない」と文書回答してきました。
 D 「やり直し」の一部は、元請に責任がないような箇所もあるようです。「請負契約で決められた工事が適正に行われていないので、適正な工事になるよう指示しただけである」と元請は主張しています。請負契約ですから、2次の責任でロスが生じた部分は、2次の負担で解決せざるを得ないでしょう。
 E 元請の所長による指示が全て、口頭での指示であり、書面による指示が行われていないことは、主として元請の責任を問われる部分です。その上、元請として下請指導、現場管理をする上で当然必要な日報が、存在していない、日報が付けられていない、という問題があります。元請の責任が問われます。
 「口頭による指示」、「日報の不存在」については、元請も認めています。
 F 元請の所長が工期の途中で(元請企業)を退社してしまい、所長交代という事態が発生しています。元請の責任が問われます。
 所長の工期途中での退社、交代についても、元請は認めています。 
 なお、1次も責任を感じているからだと思いますが、毎月少しずつ1次は2次に支払いをおこなっています。
 
 
◎ ――――――――  最近の不払い対策活動から  ――――――――
 NHKテレビなどでも報じられているように、倒産が増加傾向にあります。特に建設業、中小企業で増加傾向にある、とのことで、今後も増加傾向は続く、とのことです。
 あらためて、不払い対策活動の体制を整え、不払い被害を受けた業者、労働者の困難の解決に取り組むことが、緊急の課題です。
 その関係で、最近のいくつかの事例を紹介しておきます。(匿名にしてあります)
@ ○○社 民事再生事件
 ○○社が民事再生で倒産。資材の供給を受けて、住宅新築及び改築工事でのユニットバス(システムバス)の設置作業をおこなっていた「業者」が不払い被害を受けました。
 私たちは、形式は「業者」であっても実態は労働者であると主張し、労働債権と認めて保護することを求めて運動。
 ○○社の代理人弁護士が、「業者」7人の未払金約1200万円について準労働債権(労働債権に準ずる債権)として位置付け、賃金支払確保法の申請をおこないました。ただ、法人の業者の分については準労働債権として認めず、課題として残っています。
A 残土排出、産廃処理での不払い
 ゼネコンの現場で、残土排出、産廃処理といった建設業法上の「建設工事」とは言えない仕事での倒産・不払いが発生しています。 
 重層下請構造の現場でおこった倒産・不払いについては、賃金・工事代金以外のものであっても、元請責任での立替払の対象になるというのが、国土交通省の見解です。
 国土交通省関東地方整備局の指導・誘導もあり、残土排出での倒産・不払いについては、大手ゼネコンが立替払いを行ない、円満に解決しました。
 産廃処理での倒産・不払いについては、国土交通省関東地方整備局の指導も受けながら、現在、交渉中です。
B 4次とか6次という深い重層下請構造下での倒産・不払い
 元請〜4次という重層下請構造、そして元請〜6次という重層下請構造のところで倒産・不払いが発生しています。
 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」も活用しながら、解決をめざし、「元請〜6次」のケースは立替払いを受けることで、解決しました。「元請〜4次」のケースでは、公共工事に準じる工事なので、発注者の独立行政法人UR都市機構に発注者責任での不払い解決を申し入れるなど、交渉中です。
 
 
◎ 憲法に基づく人間らしい生活と労働のために――多発する不払いとのたたかい
(以下の文書は、2005年11月20〜21日におこなわれた建設政策研究所等主催の第12回全国建設研究交流集会第10分科会での報告に、多少手を加え、再構成したものです――海野)
1 はじめに
 建設産業で多発している倒産・不払いに苦しむ仲間への支援を、憲法を守る闘いに位置づけて報告します。
 日本国憲法、特に憲法9条を守る闘いは、「平和・いのち・くらし・仕事を守るための戦後最大の闘い」だと、そういうように強く感じています。憲法9条を守ってこそ、憲法が保障する「基本的人権」、「個人の尊厳」と「生存権」を守ることができると思っていますし、戦争というのはまさに、平和・いのち・くらしのすべてを破壊するものだと考えています。同時に、日本国憲法が保障する基本的人権、個人の尊重、生存権を守る闘いが憲法9条を守ることに通じていくのだと思います。
 現実に、建設産業の実態は、倒産、不払い等で悲惨な状態にあります。「長時間労働などでつぶされていく若年労働者」、あるいは「多重債務問題」などにつながります。
憲法や平和を、核兵器の問題を含めて、考える心のゆとり、感情が湧くには、やはり生活が守られているということが前提だと思います。生活がメチャクチャな状態で、平和を守ろうとか、憲法を守ろうとか、考えることはなかなか至難のわざだと思いますので、そういう意味で、建設産業で多発する倒産、不払いの被害から建設労働者、建設中小業者、下請業者を「救済」し、生活を守るたたかいはまさに、憲法9条を守るたたかいにつながっていると信じるものです。
 憲法の基本の一つに「個人の尊厳」というのがあります。
 これは、民法第1条にあらわれていまして、現在の民法第1条の中には「民法の解釈・運用・運営というのは、個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいて行うべきである」とあります。
現実に、倒産・不払いとたたかう上で民法第1条の「個人の尊厳に基づいて、行うべきである」、これを、前提として必ず言います。「賃金が払われない、工事代金が払われない、これは、個人の尊厳を踏みにじるものであり、なんとしても解決する必要がある」というような趣旨で、ここにも憲法が生きていると思います。
 この間の長期不況に伴い、建設就業者数は減少を続けています。2005年1月現在の建設就業者数は575万人(総務省「労働力調査」)で、ピーク時が1997年の685万人ですから、実に110万人もの人達が建設現場から退場しています。
 建設産業というのは「重層下請構造」と言われていますし、その通りです。特に、最終下請のところでは「一人親方」に見られるように、労働者か業者かが外形上明確でない人達がいっぱいいます。今までは、労働法の保護の外に置かれてきましたが、こういう中で倒産・不払いが多発し、下請業者・労働者を苦しめています。こういうことで、建設労働運動でなんとかしようということになったわけです。
2 「労働者性」拡大の流れ
「賃金支払確保法」適用拡大の流れを建設労働運動は作り出してきました。
 先ほど言いましたように、建設産業には、実態としては「労働者」であっても、「施工員」だとか、あるいは「請負契約を結んでいる」だとか、「下請」とか、そういう形の上の名目では「業者」というような形で使用されている労働者が大量に存在しています。
重層下請構造のもとでの中間業者の倒産・不払いであれば、下位業者の「工事代金」であっても、建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払で下位業者に支払われる可能性があるのですが、元請倒産の場合だと、「工事代金」が支払われないという被害に泣き寝入りせざるを得ませんでした。
建設労働運動は、「施工員」、「一人親方」、「請負業者」等々が実態としては「労働者」であることを証明し、「救済」に努めてきました。
「労働者」ということになれば、倒産・不払いという場合に国が払ってくれる「賃金支払確保法」という法律・制度があります。この制度にはわかれめがありまして、「業者が受けた工事代金不払い」ということだと国は払ってくれませんが、「労働者」と認められれば国は払うというものなので、「労働者」として認められる範囲を広げるというのが非常に建設労働運動にとっては大事な問題です。
3 「労働者性」拡大の事例
 この間、建設労組のほうで運動を続けてきまして、「労働者」として認められる範囲を広げてきた流れをちょっと簡単に整理してみました。
@ 2001年「リモテックス破産事件」
 この時、最後に争点になったのが、「商号」とか「屋号」の問題でした。労働者と同様に実態は1人で施工に従事している場合でも、「○○建設」といった屋号、商号を使っている人たちが結構いるんです。そういう屋号を使っている人たちも含めた約220人の人たちを「労働者」と、東京地裁の裁判長が認め、国が未払い賃金の支払いを行いました。
A 2004年「新興産業倒産事件」(1)
 この場合は、「請負契約」と、まさに契約書を結んでいたわけです。請負契約ということは業者です。形の上では書類まで揃って完全に「業者」ということだったのですが、実態は「労働者」だということでたたかいまして、全国に800人ぐらいいた人たちの大半は「労働者」として認められました。しかし、「塗装」とか「営繕」の材料持ちの人たちについては「労働者」ではなく「業者」だと、東京の立川労基署が労働者と認めませんでした。
それに対して、建設労組は、「材料持ちでも、実態は労働者だ」ということで運動をしまして、埼玉土建一般労組の運動で埼玉の春日部労基署が、千葉土建一般労組の運動で千葉の柏労基署が「材料持ちでも労働者」と認めてくれました。
 そして今年(2005年)、立川労基署も含めまして、全員を「労働者」として認めたのですが、この話はまた後で話します。
B 2004年「朝日ハウス産業破産事件」
 この事件の特徴は一言で言うと、「一人親方」を労働者として認めるだけではなく、人を使っている小規模の業者についても「労働者」として認めたということです。
3人以上はダメだけれど、労働者を1人、2人使っている事業主であれば労働者と一緒に働いていたということで、事業主1人、労働者1人〜2人と、合わせて3人までは「労働者」として認め、国が未払い賃金を払ったという非常に珍しい例です。実は、独立行政法人労働政策研究・研修機構のホームページにも、この事例が取り上げられています。建設労組の運動の成果で、労働政策研究・研修機構のHPに載っている唯一の例ではないかと思っています。
C 2005年「東京新興リフォーム倒産事件」
 これは埼玉土建一般労組川口鳩ヶ谷支部の運動の結果として、「材料持ちの施工員」が「労働者」として認められました。
D 2005年「新興産業倒産事件」(2)
 これは、2004年の事件の続きで、東京労働局が立川労基署の決定を取り消して、「材料持ち施工員」を「労働者」として認めました。この事件の最大の特徴は、東京労働局が「材料持ち施工員(一人親方)を、労働者として認めた」という点です。これは一つの画期的な事例だと言えます。
4 国会答弁
 国会答弁でも、「法人など形の上では業者であっても、実態によっては労働者として認められることは十分にあり得る」と、答弁されています。
5 元請責任での不払い解決
 さらに、倒産・不払い問題での解決の前進ということでは、重層下請構造の頂点にある元請の責任で不払いを払わせる。これは「建設業法」というものがあって、大きな企業については「特定建設業者」の許可が必要ということになっています。
建設業法は元請の特定建設業者に、「下請保護の特に重い義務」を課しています。要するに、元請で大きい企業については「下請のところで倒産・不払いがあった場合、賃金や工事代金などを元請の責任で払わなければいけない」という建設業法上の要請があります。しかし、いまひとつハッキリしない点がありまして、「行政は元請に対して勧告できる」という規定なので、強制力があるとかないとかいろいろな争いがあります。
 全建総連関東地協は、21年42回にわたり大手企業50社くらいと企業交渉を積み重ね、行ってきました。1回1回はそれほど大きな成果は得られないかもしれませんが、交渉を積み重ね、ていねいに説得し、まともな労働組合だということが相手企業にも伝わった結果、元請の責任で不払いを解決するということができるようになってきました。ただし、企業交渉を積み重ねていない企業と話し合う場合は非常に苦労します。やはり、なかなか理解していませんから、「なんで1回払ったものをまた払わなきゃいけないんだ」と、いろいろややこしい話になります。それでも、粘り強く解決してきています。
6 新興産業倒産事件 全面解決の報告
 新興産業は、2003年1月に社長が行方不明となり事実上の倒産となりました。新興産業という会社は、「ぱっとサイデリア」のテレビ・コマーシャルで知られている会社です。
 全国に施工センターがありまして、約800人の人たちが形式上では「請負契約」と書類で交わしていましたから、完ぺきにそういう意味では「業者」だということでなかなか労働者と認められませんでした。しかし、建設労組のほうでは、実態は「労働者」だということで争い、労働者と認めさせることができました。
 春日部労基署とか柏労基署は、「材料持ちも含めて全員が労働者である」と認めてくれましたが、東京の立川労基署は「材料持ちは労働者と認めない」ということで労働者と認めない状況が続きました。私たち建設労組と材料持ちの新興産業施工員は東京労働局に「労働者と認めるように」と、審査請求を申し立て、結果として東京労働局が立川労基署の決定を取り消し、「材料持ちの施工員」についても「労働者」と認めました。
 認めてくれた理由について、非常に重要な点なので報告します。
 東京労働局「裁決書」は、「取付施工について新興産業は、施工業務を行う労働者を雇用することによって生じる、人員調整の硬直性、労働基準法上の責務、労働社会保険料の会社負担、施工不良による損害賠償責任等を回避して、経費の節減を図るため、そして各施工業務を自らの完全な支配下に置くために、誰にも雇われず誰も雇わないで工事を請け負うことを建前とする一人親方との間で専属的に契約してその施工業務を行わせるようになった」と、そういう経費節減のために(「請負契約」という偽装を)新興産業がやったことを明らかにしました。
 次に、材料持ちの施工員のところでは「塗装施工に係る塗料を、新興産業が施工員に支給していなかったのは、会社(新興産業)は、塗料の相当の費用を要する管理責任を回避して経費を節減するために、塗料を塗装施工員に負担させていた事情によるものであった」と解明し、これも、管理責任を回避して施工員に押し付けたという判断を示しています。「塗装施工に当たり、(施工員)は、塗料、自動車、刷毛、塗装用ローラー、養生用ビニール等その施工に必要な機械、器具等の大半を負担しており、外形上の事業者性がうかがえる。しかしながら、そもそも会社(新興産業)は、施工業務について労働者を雇用することによる責任を回避して経費の節減を図るために、一人親方との間で専属的に契約して、その施工業務を行わせてきた事情があるのであり、高価な機械、器具等もないことから、このこと(外形上の事業者性)を重視するのは相当ではない」という判断を下しました。東京労働局が、まさに建設労組と同じ判断を示したということです。
 東京労働局の判断の影響で、立川労基署が、否認、保留にしていた材料持ち施工員6人全員の労働者性を認めました。立川労基署の認め方、査定の仕方は次のようになっていて、工賃の内訳を賃金80%、材料20%と査定して、賃金と査定した80%について国が支払うという形にしました。
 このことで、材料持ちであっても労働者として認められる、特に東京労働局は一人親方という表現を使っていますから、材料持ちの一人親方であっても労働者として認める、ということになったわけです。まさに、材料持ちで働いていた一人親方についても労働者として認めました。こういう点で、建設労組の主張は認められたわけです。
 私からすれば、労務を提供して働いていれば誰であろうと「労働者」だと思っていますから、「労働者として認めて当然」だと思っていますし、そういうように法律上しっかりと確立させるべきだと思っています。これは憲法の精神と結び付いていまして、「働いて収入を得ていれば全部労働者として保護すべき」だというのは、日本国憲法の精神と合致していると信じるものです。
 
 
◎ 最近の事例から 「仕事完成義務の放棄」 瑕疵 損害賠償請求
 最近、「『仕事完成義務の放棄』 瑕疵 損害賠償請求」関係で、以下のような相談を受けました。
 マンション管理組合との契約で、A業者はマンション改修工事を受注した。
マンション管理組合の指示のとおりに改修したのだが、マンション居住者の1人から「瑕疵だ」としてクレームを付けられ、損害賠償を請求されている。
 そのマンション居住者からは、改修工事中にパソコンを落とされハードディスクを壊されたとして、そのほうの損害賠償も請求されている。A業者は、パソコンを落とした覚えはない、と言っている。
 そのマンション居住者から嫌がらせを受け、A業者は、(あと2〜3日で終わるのに)改修工事完成の前に工事を中止してしまった。この件でも、管理組合から損害賠償を請求されている。
 管理組合は、残工事を他の業者に頼む予定。
 A業者は、他の工事の分は代金を貰っている。言い換えると、工事代金1200万円のうち1000万円を貰っている。
 
(対策)
 「マンション管理組合の指示のとおりに改修した」、言い換えると「仕事の目的物の瑕疵が、注文者の与えた指図によって生じた」ときは請負人に担保責任は生じません(『民法(6)契約各論』(有斐閣))。注文者であるマンション管理組合は請負人に損害賠償を請求することはできません。
 パソコンを落としたことがないのが事実とすれば、この件の損害賠償については、不当な請求としてはねつければいいだけです。
「そのマンション居住者から嫌がらせを受け、A業者は、(あと2〜3日で終わるのに)改修工事完成の前に工事を中止してしまった。この件でも、管理組合から損害賠償を請求されている」この点は、難しい面を含んでいます。
請負人には仕事完成義務があり、この義務を放棄した以上、損害賠償を請求されても仕方がありません。というより損害賠償を請求されるのが当然です。
但し、今回のケースでは、居住者の嫌がらせを原因として仕事完成義務を放棄しています。居住者も管理組合の一員です。
「嫌がらせ」の程度によっては、損害賠償を免れる、または逆に管理組合に損害賠償を求めることも可能かもしれません。
事実関係が問題です。マンション管理組合やその居住者の言い分も当然、聞く必要があります。
 
 
◎ 多発する倒産・不払い事件に建設労働運動として立ち向かう
1、大手企業交渉と建設業法の役割、活用――不払いの元請責任での解決
1 建設業法の行政解釈も元請責任での立替払い・二重払いを肯定
 大手ゼネコン、大手住宅企業、大手サブコンに対する全建総連関東地協や建設首都圏共闘等の交渉力を背景とし、その力に支えられながら、私たちは、倒産・不払い発生の際の元請責任での解決を求める上で、建設業法に注目し、依拠し、建設業法がその役割を果すようその活用をはかってきました。
 国土交通省のメンバー(担当者)が共同で執筆した『建設業法解説』(大成出版社)という建設業法についての解説書があります(以下、『解説書』と言います)。国土交通省の人たちが行政の立場から書いた本ですから、もちろん限界はあるわけですが、私たち労働組合の運動の反映もあるし、また本として公刊するわけですから国民の監視の目もあるし、結構私たちの見解に近い解説がおこなわれています。
 また、国土交通省も、大林組、熊谷組などのゼネコンも、この『解説書』を不払いなど紛争解決の上での「ルール」、「バイブル」として認めています。
 不払い発生の場合、元請責任での立替払いでの解決を私たちが求める根拠となっているのが、建設業法41条2項、3項です。41条の2項は、賃金の不払い発生の場合に元請責任での解決を定め、41条の3項は工事代金、資材納入代金等について不払い発生の場合の元請責任での解決を定めています。
――以下は建設業法41条の1項〜3項です――
(建設業を営む者及び建設業者団体に対する指導、助言及び勧告)
 建設業法41条 国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業を営む者又は第27条の37の届出のあった建設業者団体に対して、建設工事の適正な施工を確保し、又は建設業の健全な発達を図るために必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。
 建設業法41条の2 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工のために使用している労働者に対する賃金の支払を遅滞した場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
 建設業法41条の3 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
───以下は建設業法28条1項、3項です───
 建設業法28条1項「国土交通大臣又は都道府県知事は……場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。特定建設業者が第41条第2項又は第3項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときも、同様とする」
 建設業法28条3項「国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が……指示に従わないときは、その者に対し、1年以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる」
――――――――――――――――――――――――――――――――
 『解説書』が、特定建設業者(建設業法は、建設業の許可を一般建設業の許可と特定建設業の許可に区分し、発注者から直接請け負った1件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額が3000万円以上〔建築工事業にあっては4500万円以上〕となる下請契約を締結して施工しようとする者は、特定建設業の許可を受けなければならない、と定めています)である元請が不払い解決の最終責任を負っていることについて、どのように明らかにしているかを、紹介しておきます。
 (1)建設業法41条2項の行政解釈
 『解説書』には次のように記述されています。 
「(賃金不払いの場合、特定建設業者である元請に)通常の賃金水準、いわば賃金相場に相応する賃金額に限って立替払等をさせようというものである」、「本項(建設業法41条2項)の規定による勧告に従わない場合においてなおかつ、さらに必要があると認めるときは、指示処分の対象になり得るとされており、この点が単なる勧告とは異なるものであるといえよう」
 
 (2)建設業法41条3項の行政解釈
 『解説書』には次のように記述されています。「(工事代金、資材納入代金等の不払いの場合、特定建設業者である元請に対して)立替払い等の勧告の対象となる金額は……損害の額を限度とし当面の窮状を救済するに足りるかどうかを基本として求めるべきであろう」
 なお、埼玉土建一般労組の要望を取り入れて、2002年春の全建総連関東地協の大手企業交渉の要求のなかに、「元請がまだ支払っていない場合に支払うのは、当然のことです。それが支払われなければ、不法行為になります。建設業法41条2項、3項は、元請がすでに支払っている場合に、下請のところで不払いがおこり、被害を受けた下請業者・労働者を、元請の責任で救済すべきことを定めたものです。『いったん払ったから』、『二重払いになるから』と元請の責任での不払い解決はしないという主張は、今後いっさいやめて下さい」が入りました。
 この点について、『解説書』は、次のように明らかにしています。
 「本項(建設業法41条3項)の『損害』のなかには、不法行為にもとづく損害と取引行為にもとづく損害とが考えられる。まず、下請負人の不法行為にもとづく損害としては、下請負人が建設工事を適切に施工しなかったため第三者の生命、身体又は財産に危害を与えた場合、及び同じく下請負人が建設工事の安全な施工に関する監督を怠り雇用する労働者に労働災害を生じさせた場合とがある。しかしながら、これらの下請負人の不法行為にもとづく損害であっても、下請負人の選任及びその工事の施工の指導監督について元請負人に過失がある場合には、元請負人も当然に損害賠償の責に任ずるのであるので、本項(建設業法41条3項)の『損害』とはならず、本項(建設業法41条3項)の勧告の対象となるものではない。次に、下請負人の取引行為にもとづく損害であるが、この損害には、下請負人がさらに工事を下請施工させる場合におけるその下請負人(いわゆる孫請負人)に対する下請代金の支払の遅滞するような場合、下請負人の建設資材納入業者との間の取引関係にもとづく代金の不払等をする場合、下請負人と工事現場周辺の商店等との取引関係にもとづく代金の不払等をする場合の損害が考えられる。これらの損害は、いずれも特定建設業者にとって直接の責任があるものでなく、したがって、元請負人である特定建設業者には、下請負人と第三者(下請負人がさらに工事を下請施工させる場合の下請負人、建設資材納入業者、工事現場周辺の商店など)との間における取引関係における損害を賠償する義務はないので、(これらの損害は)すべて本項(建設業法41条3項)の『損害』と解すべきであろう」。
 このように難解な表現ではありますが、元請の特定建設業者が工事代金をすでに下請に支払っている場合など特定建設業者に民法上の責任がない場合に初めて建設業法41条3項が適用になることを、『解説書』は明らかにしており、まさに建設業法は元請の特定建設業者に二重払い、場合によっては三重払いを求めているのです。(実際に三重払いをおこなった大手ゼネコンも存在します)
 「二重払いはしなくていい」というのは、民法の世界の話であり、「不払いを受けて困難におちいっている下請業者・労働者を元請の特定建設業者の責任で『二重払いをして』救済しなさい」というのが建設業法の世界であり、そのために民法とは別に建設業法が存在しているのです。
 そして、民法と建設業法との矛盾を避けるために、建設業法41条2、3項では、「立替払い」という表現を使い、形式は「立替払い」(債権を債務者にかわって支払い、債務者に対する債権を取得すること)になっていますが、結果として内容は「二重払い」になるわけです。
 2 元請の特定建設業者の工事代金立替払いについての政府見解
 2002年7月23日の参議院国土交通委員会での「政府に対して、元請の特定建設業者の責任での不払い解決への指導を強めることを求める」(日本共産党)富樫練三参院議員(当時)の質問が引き出した国土交通大臣と国土交通省総合政策局長の答弁(「元請の特定建設業者は、下請保護の特別の義務を負っている」、「下請保護の特別の義務の中には、建設業法41条2、3項にもとづく不払い解決が含まれる」、「元請の特定建設業者がおこなう立替払いの中には賃金だけでなく工事代金も含まれる」、「立替払いの中には結果としての二重払いも含まれる」等々)は、埼玉土建一般労組など建設労組の不払い対策活動のなかで大きく生かされ、不払い解決へと結実しています。
 また、この政府答弁は、国土交通省関東地方整備局の、建設業法にもとづく不払い解決に向けての元請指導にも反映し、指導の強化となってあらわれています。
その後、2005年12月に、全建総連関東地協賃対事務局からの申し入れに対して国土交通省関東地方整備局は「元請の特定建設業者は『二重払い』を立替払い拒否の理由にすることはできない」と回答しています。
 3 元請側(大手ゼネコン)代理人弁護士も下請保護を主張
 東京高裁2001年7月18日判決が出た控訴審での清水建設の代理人弁護士(近藤恵嗣氏、柳誠一郎氏)の答弁書からの抜粋を以下に紹介しておきます。
 「建設業法上の要請のみならず、建設業界を取り巻く現在の厳しい環境の中、下請業者の倒産が頻繁に起きている現状においては、被控訴人のような特定建設業者が倒産した下請業者の代わりに立替払いしなければ、かなりの数の孫請業者らが連鎖倒産に追い込まれることが明白であり、そうなれば、日本の建設業全体、ひいては日本全体の景気や経済状況に計り知れない打撃を与えることもまた明白である。被控訴人のような特定建設業者は、建設業界の頂点にあって下請及び孫請業者らの存立をも考慮しなければならない立場にある以上、このような状況において、被控訴人には、孫請業者らに立替払いしないという選択肢は事実上存在しないのである。もし、このような特定建設業者の立替払いを否定されるなら、現実的に建設業界でしか生きていけないと言っても過言ではない孫請業者や作業員の生活は、脆くも崩壊せざるを得ないのである」
2、共同企業体(JV)の責任
 倒産した企業が共同企業体(JV)の構成員の場合、下請業者はJVの他の構成員に対して工事代金等を請求できるかどうかについては、国土交通省監修の本『改訂版JV制度Q&A』(大成出版社)が、次のように解説しています。
 《通常は請求できます。下請はJVに対して請求できるほか、(JVの)各構成員に対して出資分に応じた請求ができます。最近の判例では、JVの構成員が会社である場合には、各構成員はJVがその事業のために第三者に対して負担した債務について、商法第511条1項により連帯責任を負うとされました。従って、下請は下請代金の全額について、JVの構成員に請求できることになる道が開かれました》  
現実に松栄建設破産事件のときには、埼玉土建一般労組、全建総連東京都連が力をあわせて、松栄建設とJVを組んでいた高元建設と交渉し、高元建設の出資分(出資割合)が40%だったことから、高元建設から(松栄建設・高元建設JV現場の工事代金の)40%の支払い(弁済)を受けることができました。
3、不払い対策活動の最近の事例、傾向、特徴
 全体の感じで言いますと、ここ1年(2005年4月〜2006年3月)、建設労組が不払い相談を受ける件数、度合いが減っていると、そう感じていたのですが、ここのところ、最近、2006年5月あたりからまた増えてきているというのが実感です。帝国データバンク公表資料によると、最近、建設中小企業の倒産が増加基調とのことなので、それが反映しているのかもしれません。
――「労働者性」の事例――
 新興産業倒産事件での多数の施工員の「労働者性」認定以来、埼玉土建一般労組の範囲内での目立った事例としては、埼玉土建一般労組川口鳩ヶ谷支部が取り組み、十数人の施工員の労働者性を認定させた東京新興リフォーム倒産事件が存在します。
ちなみに、新興産業倒産事件での「労働者性」認定の到達は、「材料持ちの一人親方」である施工員についても労働者として認められた、言い換えると、東京労働局、春日部労基署(埼玉)、立川労基署(東京)、柏労基署(千葉)が「材料持ちの一人親方」である施工員を労働者として認めて賃金支払確保法を適用した、ということです。
 「材料持ち」とは自分で材料を購入、管理することです。建設労組は、新興産業の材料持ち施工員について、新興産業の指揮監督下での材料の購入、管理であることを、言い換えると、新興産業から指示命令を受けての材料の購入、管理であることを証拠、証言に基づいて明らかにし、新興産業の材料持ち施工員の「労働者性」を主張しました。東京労働局がこれを認め、次のように東京労働局裁決書が記述しています。
「取付施工について、新興産業は、施工業務を行う労働者を雇用することによって生じる、人員調整の硬直性、労働基準法上の責務、労働社会保険料の会社負担、施工不良による損害賠償責任等を回避して、経費の節減を図るため、(そして)各施工業務を自らの完全な支配下に置くために、誰にも雇われず誰も雇わないで工事を請負うことを建前とする一人親方との間で専属的に契約してその施工業務を行わせるようになった」、「(塗装施工に係る塗料を、新興産業が施工員に支給していなかったのは)新興産業は、塗料の(相当の費用を要する)管理責任を回避して経費を節減するために、塗料を塗装施工員に負担させていた事情によるものであった」、「塗装施工に当たり、請求人(材料持ち塗装施工員のSさん)は、塗料、自動車、刷毛、塗装用ローラー、養生用ビニール等その施工に必要な機械、器具等の大半を負担しており、外形上の事業者性がうかがえる。しかしながら、そもそも会社(新興産業)は、施工業務について、労働者を雇用することによる責任を回避して、経費の節減を図るため……一人親方との間で専属的に契約して、その施工業務を行わせてきた事情があるのであり、高価な機械、器具等もないことから、このこと(塗料、自動車、刷毛、塗装用ローラー、養生用ビニール等その施工に必要な機械、器具等の大半を負担)を重視するのは相当でない」
――元請責任の追及――
 最新の大規模事例として錦江設備工業破産事件があり、この事例の構図は、元請として多数のゼネコンが存在し、また1次下請として多数の有力サブコンが存在し、2次の錦江設備工業が破産した結果、多数の3次下請業者が不払い被害を受けた、というものです。
 2005年9月13日、株式会社錦江設備工業(本社 茨城)が破産に至り、茨城や埼玉の業者の中に不払い被害が広がっています(全部で24社)。負債総額は13億円位と破産管財人は話しています。株式会社錦江設備工業は、帝国データバンク企業情報による企業評価=D2の「事実上の倒産状態」またはそれに近いような状態の企業でした。
 元請として、大林組、戸田建設、錢高組、五洋建設、清水建設等々がいることから、元請との交渉等による立替払いでの解決を求めて、全建総連関東地協の(東京、埼玉、茨城の)各県連・組合が連携しての取り組みとなりました。埼玉土建一般労組からは、猿島支部、八潮支部、本部がたたかいに参加しました。
 錦江設備工業は2次下請で、1次下請として三晃空調、須賀工業、ユアテック、大氣社、東洋熱工業、三機工業、等のサブコンがいることがわかりました。
 また、被害状況の特徴は、錦江設備工業による被害業者への支払いが100%手形払いということです。まさに労務費も手形払い、国土交通省通達違反の労務費の手形払いになっていることです。さらに、国土交通省通達が求める「120日以内」に違反する150日手形なのです。このことが、被害を大きくしています。
 建設労組は共闘を広げ、確立し、全建総連関東地協の東京、埼玉、茨城の各県連・組合と被害業者が参加して「錦江設備工業被害業者対策会議」という共闘組織を作り、節目節目で繰り返し「錦江設備工業被害業者対策会議」を開き、方針、方向、闘争形態を決め、意思統一をはかってきました。「錦江設備工業被害業者対策会議」を5回開きました。前述のように、埼玉土建一般労組からは、八潮支部、猿島支部、本部が共闘組織に参加して、たたかいました。
 その結果、時間がかかりましたし、満足、不満足ということもあったと思いますが、全建総連70万人の力、全建総連関東地協22年44回に及ぶ大手企業交渉の力に支えられながら、錦江設備工業破産管財人の弁護士→1次下請サブコン→元請ゼネコン→国土交通省関東地方整備局と協議、交渉を「下から上にコツコツと積み重ね」、現場ごとに、ゼネコン、サブコンの多様な組み合わせで建設業法に基づく立替払いが実施され、下請業者「救済」に至りました。
 残っているのは、元請・錢高組、サブコン・須賀工業のケースだけです。解決に向け、進行中です。
――「その筋」問題――
 建設労組の不払い対策活動を進めていると、時として元請が「その筋」だったりあるいは「その筋」の建設業者が組合員に不払いを起こしたり、「その筋」問題が絶えず発生してきます。
 現在進行中の事例があります。現在進行形ですし、相手が相手ですから、具体的経過を紹介することはできませんが、この問題が発生しています。
 この種の問題を解決するには、立ち向かう勇気が前提として必要です。同時に、建設労組の戦術、闘争形態、方針、方向としては、「その筋」と戦術、闘争形態の鋭さ、激しさを競い合うことは避け、建設労組を「その筋」との「抗争」に引き込み、巻き込む愚を犯すことなく、行政の力、法律の力に依拠し、行政の力、法律の力を引き出しながら、たたかっていくことになります。
 この場合にも、「下から上にコツコツと」協議、交渉を積み重ねて解決をめざす点は同じです。相手の性質から言うと、「顔を潰す」、「営業妨害」などいろいろ言われないためにも、建設労組としてあくまでも「下から上に」を、法律、ルール、正当性を守りながら、解決をめざすことです。
 書記(事務局)の体制について言いますと、担当書記一人に任せるのではなく、書記長が加わるあるいはベテラン書記が加わる、場合によっては書記長、ベテラン書記の両方が加わるなど必ず複数体制で臨むことです。
 「伊丹十三監督の『ミンボーの女』を見るといいですよ」と埼玉土建一般労組さいたま北支部の書記の田中悌二さんからすすめられて、ビデオ屋さんで借りて見てみました。立ち向かうことができる根拠を知り、立ち向かう気構えを作る上で、いい作品だと思います。
――建設労組の組合員同士の不払いトラブル――
 現在進行中の事例があります。この事例も現在進行形でかつ建設労組の組合員同士というケースなので、具体的経過を明らかにすることはできませんから、一般的な話になってしまいますが、組合員同士の不払いトラブルという問題にどう対応するのか? 少しでも明らかにできればと思い、抽象的な記述になりますが記述してみました。
 組合員同士の場合、建設労組は、建設労組書記(事務局)は、組合員が法律、ルール、マナーを守りながら、自主的、自覚的、積極的に協議、話し合いを通じて、譲るべきところは譲り合って合意を形成する、その方向へ促進、援助、誘導することを心がけ、めざします。
 組合員の不当な要求、不当なルール無視、マナー無視に対しては、建設労組として、建設労組書記としてはっきりものを言うことが必要です。「強大な圧力」をかけられる場合も、実際あります。経験で言うと、「組合がそんなことを言うのなら、従業員30人と一緒に全員で組合から脱退する」と言われたこともあります。まさに「強大な圧力」です。しかし、不当な要求に屈するわけにはいきません。立ち向かうことです。建設労組の正当性を守り抜くことです。正当性は、建設労組の力の源泉です。
 
――建設労働運動としての不払い対策活動――
 請け負うのではなく組合員を主体として、労働運動として取り組むことです。憲法28条が保障する労働組合の団体行動権を重視していきます。
労働運動の力の源泉は正当性です。正当性を失ったとき、「ミンボー」に転化していきます。
 憲法28条(勤労者の団結権) 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動する権利は、これを保障する。
4、公共工事の倒産・不払い解決での「入契法」付帯決議の役割、活用
 以下に紹介するのは、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(略称=入契法)成立時に自民党から共産党まで全会一致で採択された参議院付帯決議です。平成12年(2000年)11月16日に参議院国土・環境委員会で採択されました。
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公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会
平成12年11月16日
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せにつながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
 10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
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 上記の入契法成立時の参院付帯決議は、公共工事での倒産・不払い事件の解決に一定の役割を果していますし、また入契法付帯決議が解決に役割を果すよう入契法付帯決議の活用に建設労組は努めています。
 たとえば、公共工事で1次下請が倒産し2次下請業者に工事代金不払い被害を与えた場合を考えてみましょう。この場合には元請企業が存在するわけですから、建設業法に基づく元請責任を果たして、不払い被害を受けた2次下請業者に立替払いを実施し、2次下請業者を「救済する」ことが解決の道になるし、建設業法は元請の特定建設業者に対して、この解決の道を歩むよう求めています。これがルールです。
 しかし、建設労組の経験でも、ルールをなかなか守らない元請が存在します。建設業法に基づく立替払いでの下請保護、下請救済を実施せず、ゼロ回答を続ける元請が存在します。こうしたケースでは普通は、特定建設業者の許可行政庁である国土交通省や都道府県に元請への指導を申し入れるのですが、公共工事でのこの種のケースでは、特定建設業者の許可行政庁である国土交通省や都道府県に相談に行く前にまず、この公共工事を直接発注した部署に、その担当者に申し入れを行い、元請業者への働きかけを要請します。
 言い換えると、元請業者が建設業法を守って下請業者を救済するよう発注者から元請に働きかけることを、公共工事の発注者に要請するということです。
 前記のように、参院付帯決議6項は「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」と定め、7項は「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」と定めています。参院付帯決議は、公共工事の発注者にこれを求めているということです。
 「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」、「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」が公共工事の発注者には課せられているのです。発注者(お客)だから、業者間の不払いについては関知しないではすまないのです。業者間に不払いが起こるということは、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われなくなるということであり、この事態を打開するためには、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるようにするためには不払い解決が必要であり、このケースでの解決への唯一の道は、建設業法に基づく元請の責任での不払い解決なのです。
 公共工事の発注者の責任として、建設業法を守る方向へ元請を誘導することが求められます。解決へ向けての形態としては、発注者のところに元請業者、不払い被害を受けた2次下請業者、建設労組の三者を呼んで、発注者立会いのもとに三者協議を実施し、お互いに譲り合って合意点を形成し、円満解決を実現する、こういった形態がこの種のケースでは一般的に行われ、円満解決へと結実しています。
5、労働運動としての構え
 1 労働運動と位置づけて連帯・団結の力で
 最後に、多発する倒産・不払い事件に建設労働運動として立ち向かうにあたっての、構えというか姿勢というか、その辺を少し明らかにしておきたいと思います。
 これらの活動は労働組合としておこなうわけですから、労働運動として位置づけておこなっていくことになります。「債権回収業者」としてやるわけではないのですから、労働者、労働組合の連帯を大事にしながら、傾向の違う組合とも力をあわせて不払い解決等の活動をおこなっていくことになり、連帯・団結の力がたいせつです。
 2 ルールを守る
 建設業法にもとづく元請の責任での不払い解決=下請業者救済というルールを守るよう、元請の大手企業、特定建設業者に要求するわけですから、私たちのほうもルールを守ることが必要ですし、決定的、絶対的なことです。
 たとえば、2次下請が倒産して3次下請の業者(埼玉土建一般労組の組合員)に不払いが発生した場合、いきなり元請に「救済」を求めるのではなく、下から上へ階段をのぼるように順番に交渉をしていく、それがルールです。倒産した2次下請とまず交渉する、支払うよう交渉するわけです。倒産ですから払えないと言われるわけですが、それでいいのです。
 倒産した2次下請の破産管財人などから、「元請が3次下請に直接支払った金額は本来2次下請に支払うべき金銭だから、元請と3次下請は連帯してその金銭を2次下請に返還すること」を求める裁判をおこされることなどを防ぐためにも、2次下請と交渉しておくことが大事なのです。 
 次に、1次下請と交渉します。1次下請を飛び越して元請に行くことは1次下請の取引に打撃を与える可能性があり、トラブルのもとになります。元請が1次下請を指導して1次下請に立替払いをさせる、または1次下請が元請に行かれるのをいやがって自分で自主的に立替払いをする事例もありますので、1次下請との交渉は大事です。
 また、要求の内容や金額については、いうまでもなく正当な要求、正当な金額であることが必要であり、要求金額の水増しは絶対に許されません。組合員の要求に水増しがあることがわかった場合、組合は「手を引く」ことになります。
 3 要求金額を明確にし、文書化する
 「こまっているから何とかしてほしい」だけでは、たとえ相手に救済の意思があっても解決はなかなか困難です。要求金額とその根拠を明確にしたうえで交渉することが必要です。要求の中身と根拠がはっきりすれば、相手も対応を考えることができるようになります。そして、要求金額とその根拠を文書化して、相手に示すことです。社内で協議し調整し、または上司と相談する場合、文書になっていれば相手としてもとてもやりやすいわけで、解決を促進することになります。
 4 本人ががんばりぬくことが決定的
 たとえば、元請と交渉してもどうしてもダメな場合でも、@国土交通省や自治体に元請への指導を求める、A発注者がディベロッパー、大手不動産会社などの場合は発注者の責任で不払いを解決するよう求める、B元請企業を実質的にコントロール下に置いている銀行、背景の銀行資本に解決を要求する、C議員にたのむなど政治の力を引き出す、D元請企業前での宣伝行動や社長への直訴等々、あきらめないでがんばることです。とくに、不払い被害を受けた本人ががんばりぬくかどうかが決定的な点です。
 社会的な正当性を持つ要求であれば、たたかいぬけば解決の可能性が消えることはありません。
 
 
◎ 困難を切り開いて前進する全建総連首都圏組合の不払い対策活動
1、はじめに
 2003年10月23日、24日を中心に全建総連関東地協第39回大手企業交渉がおこなわれ、賃金引き上げ、元請責任での不払い解決、職長の待遇改善、粉じん・アスベスト対策の徹底、労務費の現金払いの徹底と手形サイトの短縮、元請労災適用の徹底、建退共への加入促進などを要求して大手ゼネコン・サブコン・住宅企業あわせて48社と交渉をおこないました。
 「困難を切り開いて前進する全建総連首都圏組合の不払い対策活動」を考えるばあい、20年39回にわたる全建総連関東地協の大手企業交渉の積み重ねがあったからこそ、首都圏組合の不払い対策活動は困難を切り開いて前進しつつあるのだということを、はっきりと見ておく必要があります。
 私(海野)自身について言うと、東京土建一般労組書記の小野寺康夫さんから、不払い対策活動についてはいろいろ学びました。@交渉の場で組合が「相談してあとで答える」などと後回しにすることは基本的に正しくなく、あくまでも交渉の席での決着をはかるべきだということ、A不払い被害を受けた下請業者が細かい資料にもとづいて不払い被害を立証するということに片寄るのではなく、不払い被害の実態は元請の責任でつかむべきであり、あくまでも元請の責任で実態をつかませ、不払いを解決させること、など学びました。
 また、全建総連の首都圏組合の不払い対策活動の前進を考える場合、その中心に座ってがんばっている全建総連東京都連の田口正俊書記長、宮本英典書記次長の存在があります。そして今回は、首都圏組合の頑張りをということで、東京土建一般労組、全建総連神奈川県連、千葉土建一般労組、埼玉土建一般労組の活動の一端を紹介したいと思います。
2、共栄冷機工業会社更生事件
(1)立替払いを求めて元請交渉
 さいたま市大宮区大成町に本店がある共栄冷機工業株式会社(丹義明社長、資本金20億円、従業員195人、空調・給排水等の建物付帯設備工事の設計・施工)が2003年5月19日、東京地裁に会社更生法の申請をおこない倒産しました。
共栄冷機工業の場合、空調・給排水等の設備工事業者であることから、元請のゼネコンから仕事を受注している1次下請の現場が多く、2次下請業者が被害を受けています。
 元請として、勝村建設、大成建設、安藤建設、フジタ、東急建設、埼玉建興、三井住友建設、熊谷組、淺沼組、五洋建設、奥村組、環境建設、西松建設など多数の特定建設業許可取得のゼネコンがいることから、全建総連関東地協は共栄冷機工業債権者(不払い被害者)対策会議を作り、建設業法にもとづく元請の特定建設業者の責任での下請業者救済を求めてゼネコン交渉をおこなってきました。それまで組合に入っていなかった下請業者も、組合に加入し、組合に結集してたたかいました。
そして、たとえば埼玉土建一般労組の場合、交渉する元請ゼネコンの数が多数にのぼることから、元請ゼネコンとの交渉窓口を10支部で分担して、交渉を進めてきました。
(2)共栄冷機工業の現場の問題点
 共栄冷機工業の手形は、国土交通省の通達に違反する140日手形で、その上労務費の部分まで手形払いになっています。建設業法24条6項がさだめる、建設業法などの法律やルールを下請に守らせるための下請への的確な指導をおこなわず、これを放置してきた元請ゼネコンの責任は重大です。
(3)元請交渉の経過
 大きな被害を受けた業者、労働者、組合員の救済に向け、たとえば埼玉土建一般労組の場合、埼玉土建一般労組の各支部執行委員会などへの報告を通じて組織の力をより一層引き出すなど、立替払いを渋り、さらに拒否するゼネコン包囲へ向け、組織対組織のたたかいの様相を強めていくことが求められたたたかいでした。
 20年にわたる全建総連関東地協の大手企業交渉の積み重ねは、交渉相手の大手企業との間に紛争解決での一定のルール、ある意味では一定の「信頼関係」を確立してきました。それが、今回の共栄冷機工業会社更生事件にあざやかにあらわれました。
元請ゼネコンは、「共栄冷機工業に支払い済みだし、今回の事件ではうちも大損害を受けている。二重払いになるので下請業者の救済はできない」、「今回は会社更生なので、建設業法にもとづく立替払いはあてはまらない」、「二重払いはしない、材料代は払わない、手形で払ってあるものは払わない」などといろいろな理由を付けて最初は立替払いを拒否しました。一番わけがわからないのが、「手形で払ったものは払わない」という元請ゼネコンの理屈です。共栄冷機工業からもらった手形は不渡りになる手形であり、ただの紙切れに過ぎません。
会社更生管財人の弁護士も、「会社更生に建設業法にもとづく立替払いは通用しない。元請が直接お金を2次下請業者に支払った場合、裁判をおこす」と債権者説明会の場で明言しました。
組合は、国土交通省関東地方整備局の担当者に聞いて、「不渡りになるような手形、お金にならない手形をもらっても、それは支払われたことにはならず、不払いということで建設業法にもとづく立替払いの対象に当然なる」ことを確認し、また東京弁護士会が会社更生の場合にも建設業法にもとづく立替払いが通用することを明らかにしていることを、元請ゼネコンに説明しました。そして元請ゼネコンの多くが、結局は組合の説得を受け入れ、国土交通省の指導を受け入れ、支払いをおこないました。
不払い被害を受けた2次下請業者は埼玉土建一般労組だけでも23社にのぼります。東京、神奈川、千葉、茨城をあわせれば40社を超えます。
たとえば三井住友建設は、埼玉土建一般労組だけでも、9人の業者に対して合計1511万4000円の立替払いをおこないました。
五洋建設は「二重払いになるので、立替払いはできない。国土交通省でも都市基盤整備公団でもどこでも行って下さい」との回答から一変して、「全建総連関東地協とのこれまでの信頼関係を大事にして、立替払いの方向で努力したい」と組合に申し入れてきました。「5人の業者に対して、不払い金額の60%を五洋建設が支払う」ということで決着。
同じように、淺沼組、大成建設、東急建設、勝村建設に支払いをおこなわせて解決しました。熊谷組は、7社に対して総額500万円の立替払いを提案してきました。6社が受諾。「金額が少なすぎて、これでは救済にならない」と納得できない業者(1社)については、再交渉中です。安藤建設は1社解決、残り1社。奥村組は支払い金額を示す予定です。西松建設、フジタなどとは引き続き交渉中です。
(4)なぜ厳しさを突破して支払いを行わせることができたのか
@『建設業法解説』(大成出版社)の活用
 国土交通省の担当者が書いた本『建設業法解説』(大成出版社)については、国土交通省自身が書いた本ですから当然のことですが、国土交通省は「この本に書いてあるとおりです」と回答しています。そして、この本に書いてあるのが「特定建設業者である元請は下請負人保護の特に重い義務を負っている」、「元請の特定建設業者が最終的責任者」、「元請の特定建設業者による立替払いの基準は、賃金については世間相場での金額、工事代金や納入代金については損害額を限度として当面の窮状を救済するのに足りるかどうかを基本として定める」等々であり、ここに書いてあることをおこなってほしいと組合は言っているだけだと元請ゼネコンに迫ると、元請ゼネコンもなかなかこれを否定できないということがあります。
A参議院国土交通委員会での政府答弁の活用
 2002年7月23日の参議院国土交通委員会での政府答弁は、「元請の特定建設業者が負っている下請負人保護の特に重い義務の中には、建設業法41条2項、3項が含まれる」、「立替払いの中には、結果としての二重払いが含まれる」等々、『建設業法解説』(大成出版社)に書いてあることを国会の場で再確認しています。
B有価証券報告書の活用
 有価証券報告書を購入して読むと、企業の業績がわかるだけでなく、会社役員の中に国土交通省(旧建設省)等の出身者がどの程度いるのか、国土交通省発注の工事をどの程度受注しているのか、大株主の状況、等々もわかりますから、「取締役の中に国土交通省出身者がいるのに、国土交通省の『建設業法解説』を守れないのか」の追及ができるようになります。
C国土交通省の力を引き出す
 国土交通省関東地方整備局の担当者にも、『建設業法解説』を含めて事情や実態をよく事前に説明し、国土交通省から元請ゼネコンに対して指導をおこなわせることです。
D組織力を背景に
 そしてやはり、全建総連70万人の組織力を背景にして交渉を進めることです。場合によっては労働組合としての争議行為に及ぶこともあり得ることを、元請ゼネコンにきちんと伝えることです。
E政治の力を引き出す
 最後の手段として、組合と協力関係にある国会議員の力を借りることです。
3、労働者として認められる範囲の拡大
 リモテックス社破産事件に続いて「春日部労基署、手間請父子など3人を労働者と認め賃金を保護」、「新興産業(テレビCM「ぱっとサイデリア」)施工員を労働者と認める」など請負の形で働いているなかまを労働者として認め、その賃金を保護する事例が積み重ねられ、私達の運動が実りつつあります。
 千葉土建一般労組の三楠正広さんから言われて、2003年9月21日におこなわれた「千葉土建一般労組第1回建設政策研究交流集会」の第4分科会(労働債権確保)で埼玉土建一般労組の経験を報告したときに、千葉土建一般労組の資料を見て大変な成果だと思ったのは、三楠さんが中心になって進めてきた千葉土建一般労組の賃金支払確保法適用の経験の規模の大きさです。千葉土建一般労組は、労基署経由では、ミナミハウス(地域のリフォーム業者)倒産での一人親方等の施工員、元取締役を含めて30人への賃金支払確保法の適用、管財人経由では、山下組倒産での型枠大工(施工班)98人への適用、日立精機サービス倒産での代表取締役を含む下請社員全員と一人親方あわせて14人への適用などなど、多くの解決事例を積み上げてきています。
 2003年6月〜7月の衆参法務委員会での審議では、民主党、共産党、社民党が、形が法人の場合(法人の社長の場合)であっても、実態が労働者と同じであれば、労働者と認めてその報酬を保護することは十分にあり得るとの政府答弁を引き出しました。この3党に対しては、全建総連関東地協賃金対策事務局が国会質問の直前に説明に行きました。また、私たちに対してこの問題で大門実紀史参院議員からの事前のアドバイスなどがあったことは、言うまでもありません。
4、建設業法41条にもとづく勧告の歴史的な意義
 東京土建一般労組と全建総連神奈川県連が力をあわせて、行政からはじめて建設業法第41条にもとづく勧告を出させることができました。2003年9月16日に神奈川県知事名で出された建設業法第41条1項にもとづく勧告が、それです。船津建設倒産により不払い被害を受けた下請業者に対して建設業法にもとづく立替払いを拒否し続ける元請・特定建設業者の丸山工務所に対して出された勧告です。
 東京土建一般労組の不払い対策活動と言えば、百瀬文治さん(当時)、溜口芳明さんですし、また、全建総連神奈川県連は佐野昭広さん(当時)、田中政広さん、吉良比呂志さんと強者が存在します(現在は、紺野広巳さんが加わっています)。またもちろん、全建総連首都圏組合の各支部の不払い対策担当書記のがんばりを特記する必要があります。
 さて、東京土建一般労組と全建総連神奈川県連が力をあわせて、行政からはじめて引き出した建設業法第41条にもとづく勧告については、その到達の重み、歴史的な意義を強調しておく必要があります。これは、はじめての出来事です。旧建設省、国土交通省、そして全国自治体を通じて勧告書(建設業法に基づく元請責任での不払い解決についての勧告書)が出されたことは一度もありません。全建総連関東地協の長年の不払い対策活動の大きな到達としてこの勧告を正当に評価しておく必要があります。
 勧告書など出るわけがないとたかをくくっていた大手ゼネコン・住宅企業には大きなショックですし、また今後、国土交通省や全国の自治体に勧告書を出すように迫っていく上での大きな力になるものです。
 
5、労働協約の方向こそ
 2003年10月23日、24日を中心に行われた全建総連関東地協第39回大手企業交渉でも、月額50万円の賃金要求については、「理解はできる」としながらも、「不況の中激しい競争があり1企業では何ともならない」などとする回答が目立ち、また仲間からの声として「賃金額だけを決めても意味はない、働いている日数が大幅に減っているのだから」が出ていることから、大手企業交渉の今後の方向として、たとえば日本建設業団体連合会(略称「日建連」。大手ゼネコンの中央団体)と全建総連関東地協の間で「賃金の決定」、「仕事がなかった場合の賃金補償」、「不払い発生の場合そこからお金を支払うようにする『基金』の設置」などまさにドイツやフランスのように「労働協約」を結ぶ方向の追求が必要になってきているのではないかと感じています。
 
 
◎ (建設業、中小企業、地方)倒産増加の中での最近の不払い対策活動
1 大手企業の状況
 最近の半期(2007年4月1日〜9月30日)で見ても、ビッグゼネコン5社は次のように利益をあげ、強固な財務地盤を形成しています。(竹中工務店は2006年1月1日〜2006年12月31日) 
 ○ 大林組 売上高6467億11百万円 中間純利益49億85百万円 利益剰余金期末残高1877億3百万円
 ○ 清水建設 売上高6073億39百万円 中間純利益61億27百万円 利益剰余金期末残高1224億48百万円
 ○ 大成建設 売上高7191億15百万円 中間純利益119億9百万円 利益剰余金期末残高820億87百万円
○ 鹿島建設 売上高8151億33百万円 中間純利益248億55百万円 利益剰余金期末残高950億96百万円
 ○ 竹中工務店(2006年1月1日〜2006年12月31日) 売上高1兆4224億87百万円 当期純利益274億68百万円 利益剰余金期末残高2582億1百万円 
 様相が異なるのが、準大手、中堅ゼネコンです。純損益を半期(2007年4月1日〜9月30日)で見ると、三井住友建設3億21百万円、前田建設工業△36億31百万円、西松建設△4億84百万円、等々、というような状況です。そうは言っても見逃してはならないのが、一定強固な、準大手、中堅ゼネコンの財務基盤です。利益剰余金期末残高(2007年9月30日残高)を見ると、戸田建設1270億65百万円、前田建設工業993億65百万円、西松建設1060億71百万円、等々、という状況です。
大手住宅企業について、最近の半期(2007年4月1日〜9月30日)で見ると、大和ハウス工業、積水ハウス、大東建託が相当な好調さを示すと同時に、強固な財務基盤を形成しています。
 マスメディアも、企業利益の配分が株式配当に偏り、賃金に回っていないことについては報道していますが、それを象徴しているのが、大東建託の株式配当金の流れです。大東建託の株式の約3割を株式会社ダイショウが保有し、半期だけでもその配当金は16億円になります。(株式会社ダイショウは、大東建託会長の多田勝美氏の出資比率が81.41%となっています)
2 建設業、中小企業、地方での倒産増大 
 NHKテレビの報道によると、倒産が増加傾向にあり、特に地方、中小企業、建設業で増加傾向にあり、今後も増加傾向は続く、とのことです。
 帝国データバンクによると、2007年の倒産件数は1万959件。前年と比べて1608件(17.2%)増加しています。中小企業の倒産増加、また建設業、小売業、サービス業の倒産の大幅増加が特徴です。
 同様に帝国データバンクによると、倒産件数のトップは建設業で、2939件にのぼり、倒産件数全体に占める建設業の割合は26.8%に達しています。建設業で倒産の原因を見ると、2007年に倒産した2939件のうち、「不況型倒産」が前年比16.2%増の2509件に達し、85.4%を占めています。帝国データバンクは、「中小・零細企業の業況は一層厳しさが増しているのが実態」と指摘しています。
3 最近の不払い対策活動の経験から
最近の特徴的な事例を紹介しながら、傾向を明らかにできればと思います。
@ T社 民事再生事件
 T社が民事再生で倒産。資材の供給を受けて、住宅新築及び改築工事でのユニットバス(システムバス)の設置作業をおこなっていた「業者」が不払い被害を受けました。
 私たちは、形式は「業者」であっても実態は労働者であると主張し、労働債権と認めて保護することを求めて運動。
 T社の代理人弁護士が、「業者」7人の未払金約1200万円について準労働債権(労働債権に準ずる債権)として位置付け、賃金支払確保法の申請をおこないました。ただ、法人の業者の分については準労働債権として認めず、課題として残っています。
A 残土排出、産廃処理での不払い
 ゼネコンの現場で、残土排出、産廃処理といった建設業法上の「建設工事」とは言えない仕事での倒産・不払いが発生しています。 
 重層下請構造の現場でおこった倒産・不払いについては、賃金・工事代金以外のものであっても、元請責任での立替払いの対象になるというのが、国土交通省の見解です。
 国土交通省関東地方整備局の指導・誘導もあり、残土排出での倒産・不払いについては、大手ゼネコンが立替払いを行ない、円満に解決しました。
 産廃処理での倒産・不払いについては、交渉中。
B 4次とか6次という深い重層下請構造下での倒産・不払い
 元請〜4次という重層下請構造、また元請〜6次という重層下請構造のところで倒産・不払いが発生しています。
 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」も活用しながら、解決をめざし、「元請〜6次」のケースは立替払いを受けることで、解決しました。「元請〜4次」のケースでは、発注者の独立行政法人UR都市機構に申し入れるなど、交渉中です。
C 許可行政庁の群馬県、福島県の指導、誘導による元請の立替払い
 直近の事例としては、群馬県の指導、誘導による元請の立替払いがあります。群馬県知事許可の特定建設業者が、最初は立替払いを拒否していたのですが、許可行政庁の群馬県からの指導、誘導を受け、立替払いを実施したものです。(約700万円の未払い工事代金のうち520万円を立替払いしました)
 また、福島県知事許可の特定建設業者が、許可行政庁の福島県の指導、誘導を受け、一定の立替払いを実施しました。
 どちらも、建設労組による両県への申し入れが影響していることは、建設労組の不払い対策活動の結果と言えるものです。
 建設業、中小企業、地方への倒産の拡大とそれへの建設労組の不払い対策活動の対応を反映して、許可行政庁の都道府県からの建設業法にもとづく指導の広がりを示しているのではないでしょうか。
 
 
◎ ―――――――― 2007年 建設業 倒産状況 ――――――――
 帝国データバンク等を参考にして、建設業での2007年の倒産状況をまとめると、次のようになります。
 NHKテレビ等の報道によると、倒産が増加傾向にあり、特に地方、中小企業、建設業で増加傾向にあり、今後も増加傾向は続く、とのことです。
 帝国データバンクによると、2007年の倒産件数は1万959件。前年と比べて1608件(17.2%)増加しています。
 中小企業の倒産増加、また建設業、小売業、サービス業の倒産の大幅増加が、全体の倒産件数を押し上げています。
倒産・不払いでの相談を受けた経験で言っても、ここ1年での建設業の大型倒産は「みらい建設グループ民事再生」ぐらいで、あとは中小建設業者の倒産です。
 倒産件数1万959件のうち、倒産件数のトップは建設業で、2939件にのぼり、倒産件数全体に占める建設業の割合は26.8%に達しています。まさに4件に1件以上が建設業の倒産です。
建設業の倒産件数は、公共工事の縮小、「脱談合」の影響、また改定建築基準法関係の影響、資材高騰の影響などの打撃が重なり、前年(2606件)を12.8%(333件)上回りました。
 全体の負債総額も増加しています。2007年の負債総額は5兆4917億2800万円で、前年に比べて2199億3100万円(4.2%)増えています。
 倒産の原因を見ると、販売不振を主な原因とする「不況型倒産」が全体の77.1%を占めています。
 建設業で倒産の原因を見ると、2007年に倒産した2939件のうち、「不況型倒産」が前年比16.2%増の2509件に達し、85.4%を占めています。建設業の「不況型倒産」は年々増加傾向にある、とのことです。NHKテレビ等も報じているように、建設業は、特に地方での倒産増加が顕著です。
 帝国データバンクは、「中小・零細企業の業況は一層厳しさが増しているのが実態である」と指摘しています。
最近の倒産・不払い相談の増加傾向を考えると、この指摘は実感と一致しています。
 今後の全体の見通しとして帝国データバンクは「しばらくは小規模企業の倒産多発が続き、年度末にかけても倒産は高水準で推移する見通しである」としています。
 
 
◎ 名前だけの取締役(名義貸しの取締役)に倒産・不払いの責任は及ぶのか?
 「企業倒産。社長は行方不明状態。社長の親(母親)が取締役になっている。名前を貸しているだけのようだ。倒産・不払いについて、名前だけの取締役(名義貸しの取締役)の責任を追及できるのか?」という質問を受けました。
 倒産多発の状況下、よくある事例です。
 あらためて調べてみました。
 会社法429条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
 会社法429条は、上記のように定めていますが、調べた限り、判例の傾向は、第三者保護を重視する立場から、名前だけの取締役にも責任を負わせる傾向と、報酬も貰っていないような名前だけの取締役に責任を負わせることに慎重な傾向の、二傾向に分かれているような気がします。
 しかし、名義貸しの取締役といっても取締役としての責任を負わされるのが原則のようです。
 原則は、名前だけの取締役であっても取締役としての責任を第三者に対して負う、ということのようですが、報酬を全く貰っていないとかワンマン社長で取締役が何を言っても聞き入れないというような場合にまで取締役としての責任を負わせるのはどうなのか、ということで、名前だけの取締役になった経過とか会社との関係、会社の規模、倒産に至る経過など総合的に判断して、責任の有無、軽重を決める、ということになるようです。
 取締役の義務として、社長などへの監視義務というのもあるとのことです。社長の行為を適切に監視していなかったために、会社や第三者に損害を与えたような場合、名前だけの取締役でも、第三者(取引先など)への損害賠償責任を負う場合がある、ということのようです。
 
更新日時:
2008/09/05
工事基本契約書、厚生労働省交渉、労災上積み保険、中小企業庁設置法
工事基本契約書、厚生労働省交渉、労災上積み保険、中小企業庁設置法
海野和夫
 
◎ ――――― 元下間の「工事基本契約書」の問題点について ―――――
 ある業者間の(元請・下請間の)「工事基本契約書」を読みました。元下間の対等・平等とはほど遠い部分がある契約だと感じました。
国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』にも、「やり直し工事を下請に施工させる場合は、やり直し工事が下請に責任がある場合を除き、その費用は元請が負担することが必要」と定められているように、下請に責任がないものまで下請に負担させることは、法令違反のおそれがあります。
上記の角度から、この「工事基本契約書」を読むと、いくつかの問題点が浮上してきます。
甲が元請、乙が下請です。
問題点の@ 「目的物にかかわる人的または物的事故が発生したときは、乙は、自らの責任と費用負担で、当該事故の処理、解決に当たらなければならない」と規定し、「目的物にかかわる人的または物的事故の発生の」責任が誰にあるのかにかかわらず下請に責任と費用負担を負わせています。
 問題点のA 「目的物の瑕疵について、甲は乙に、修補又は損害賠償を請求できる」と規定し、瑕疵の責任が誰にあるかにかかわらず下請に修補又は損害賠償を負担させています。
 問題点のB 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづく(住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に対する)住宅の新築工事の請負人の10年間の瑕疵担保責任についても、その瑕疵の責任が誰にあるかにかかわらず、元請は責任を負わず、全て下請に責任を転嫁しています。さらに、発注者と元請の契約で10年を超える期間を定めた場合は、下請はその期間責任を負わされることになっています。
 問題点のC 「甲が引き渡しを受けた目的物に、基礎、柱、はり等構造耐力上主要な部分にかかわる欠陥、不備が存在するときは、甲は乙との契約を直ちに解除できる」との規定があり、欠陥、不備の責任が誰にあるかを問うことなく、下請に不利な規定になっています。
 上記の全般について、元請に責任がある場合は元請の責任と費用負担でという趣旨を盛り込む方向で、元下間の協議、合意を通じての契約内容の改善、適正化が求められると思います。
 
 
◎ ―――――――  厚生労働省交渉の結果について  ―――――――
(2008/1/25 建設首都圏共闘の国土交通省交渉、厚生労働省交渉がおこなわれました。要求は多岐にわたるものでしたが、厚生労働省の回答の中から、その一部を、言い換えると「労働福祉事業」、「労働者性」、「建退共」、「派遣」での回答を、特徴点に絞って、以下にのせておきます。主観も入っていると思いますが、とりあえずのせておきます)
(厚生労働省の回答)
 ○ (労働福祉事業)労働福祉事業の中の必要な事業は残す。賃確法、義肢等の補装具の支給などは残す。必要な事業は残すということだ。(特に質問しませんでしたが、当然、労働福祉事業の中の必要な事業として「労災の2割上乗せ支給」も残すということだと思います――海野)
 ○ (建退共)公共事業での元請の、建退共証紙購入の基準とされている「対象労働者の分を購入すれば足りる」の「対象労働者」を、「建退共手帳を持っている労働者」と解釈するのはどうかと思う。そうではなく、「実態に応じて購入する」ということである。
(従来、厚生省(当時)や建退共本部は、「対象労働者」について「建退共手帳を持っている労働者」を意味するとの解釈を示してきました。これに対して埼玉県は「『対象労働者』というのは建退共の対象となる労働者を意味する」との解釈を示してきました。今回の厚生労働省の回答は、正しい解釈を示したものとして、注目に値するものと思います――海野)
 ○ (労働者性)法人の事業主であっても、労災事故で死傷した現場での実態が「労働者として働いていた」ということであれば、労働者として認められ、元請労災が適用になる。事業主あるいは一人親方とよばれているかどうかが問題ではなく、実態が労働基準法上の労働者かどうかが問題なのだ。
 ○ (派遣)建設業での派遣は、過去に中間搾取、強制労働などの問題があったということもあり、派遣法で禁止されている。
 
 
◎ 「労災上積み保険への加入を義務付ける」問題と元請責任
(以下に紹介するのは、ビッグゼネコンの某社某支店による協力会社への「労災上積み保険への加入を義務付ける」通知の要旨です。最後に問題点を明らかにしておきます――海野))
労災上積み保険への加入を義務付ける件(通知)
 このたび、弊社では「下請負工事基本契約書」ならびに「個別工事下請負契約約款」を改訂し、弊社の工事を請け負う全ての協力会社について、自社の従業員又は下請作業員が労働災害に被災して示談に至った場合で、協力会社が示談金の一部を負担する場合に備えて、弊社が定めた条件を満たす労災上積み保険(法定外労災補償)へ加入することを同第5条(労務安全管理等)第6項に定め、平成20年4月1日より実施することとなりました。(下記抜粋参照)
 つきましては、平成20年4月1日以降は、下記の通り労災上積み保険へ加入していることが弊社と取引する条件となることをお知らせするとともに、貴社の保険加入状況を確認させていただきたく、別添の「保険加入状況調査シート」の提出にご協力願います。貴社が現在、保険未加入もしくは弊社の指定する条件に満たない保険に加入している場合は、平成20年4月1日までに、労災上積み保険への加入または付保内容の変更手続きを行っていただくことになりますので、重ねてお願いいたします。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
○ 基本契約書第5条の抜粋(個別工事下請負契約約款は第4条に同文を記載)
(労務安全管理等)
第5条 乙(協力会社のことです――海野)は、工事の施工にあたって、事業者として従業員(作業員を含む。以下同じ。)の災害防止に万全を期すとともに労務管理の徹底を図る。
(途中省略)
5、乙は、労災事故に被災した乙の従業員又は再下請負人の従業員から、労災事故に伴う損害賠償請求等がなされた場合は、甲(元請のことです――海野)と協力して解決に取り組むものとし、損害賠償金、和解金、弁護士報酬等の費用については、甲に過失がない限り、原則として乙が負担する。
6、乙は、前項の規定により乙が費用を負担する場合に備えて、甲の指定する条件を満たす労災上積み保険に加入するものとし、甲に対して、当該保険証券の写しを提出する。但し、甲があらかじめ加入の必要がないと認めた場合はその限りではない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
1 労災上積み保険の加入義務付け開始日
 平成20年4月1日
2 労災上積み保険の加入を義務付ける取引先
 弊社から工事を請け負う協力会社
3 弊社が定める労災上積み保険の加入条件
(1)付保する保険の補償範囲及び保険金額
 @補償範囲  死亡及び障害等級1級〜7級
 A保険金額  ・死亡及び障害等級1級:2000万円以上
        ・障害等級2級〜3級:1500万円以上
        ・障害等級4級〜7級:保険金額は問わない
(2)補償対象者
 1次協力会社(弊社の直接の取引先)の従業員及びその後次の下請負人とする。
(一人親方や中小事業主については、原則として、加入する労災上積み保険の被保険対象者とする。但し、労災保険法による特別加入制度を利用した労災保険に必ず加入させる)
(3)保険の種類
 政府労災の適用に連動して支払われる法定外労災補償制度である労災上積み保険(「労働災害総合保険」等、保険会社や保険商品によって異なる)とする。
また、「建設共済」等も可とする。ただし、生命保険及び傷害保険は、訴訟となった場合に示談金として認められない場合があるため、原則として不可とする。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(上記通知については、いくつかの点で、問題を感じます。以下に記述しておきます――海野)
@ 協力会社に労災上積み保険への加入を義務付けるのであれば、その費用は、協力会社に負担させるのではなく、元請が負担すべきだと考えます。 
A 基本契約書第5条に「乙(協力会社のことです――海野)は、労災事故に被災した乙の従業員又は再下請負人の従業員から、労災事故に伴う損害賠償請求等がなされた場合は、甲(元請のことです――海野)と協力して解決に取り組むものとし、損害賠償金、和解金、弁護士報酬等の費用については、甲に過失がない限り、原則として乙が負担する」(アンダーラインは海野)とありますが、アンダーラインの部分が問題です。
 建設業法が定める元請責任を放棄して、下請に負担を転嫁するものであり、この部分は削除または改正し、法とルールを遵守したものにあらためるべきです。  
 
 
◎ 中小企業庁設置法が規定する中小業者の権利について
(中小企業庁設置法第4条5項、6項、7項に、次に紹介するように、不当な取引行為から中小業者が自己を守るために中小企業庁に申し出る規定が存在します。余り知られていない規定であり、活用されていない規定ですので、今後の活用に向けて注目しておきたいと思います――海野)
○ 中小企業庁設置法第4条の5項「中小企業者は、行政庁の行為により不当にその事業を阻害されたとき、又は他人の行為により不当な取引制限を受け、若しくは他人の行為が不公正な取引方法であると認めるときは、中小企業庁にその事実を申し出ることができる」
○ 中小企業庁設置法第4条の6項「前項後段の場合において、中小企業庁は、必要があると認めるときは、意見を附して当該事件を公正取引委員会に移すものとする」
○ 中小企業庁設置法第4条の7項「中小企業庁は、中小企業者が他の事業者の不当な取引制限若しくは不公正な取引方法によりその事業を阻害されているかどうか、又は中小企業等協同組合の組合員が小規模の事業者であるかどうかを調査し、公正取引委員会に対しその事実を報告し、及び適当な措置を求めることができる」
 
更新日時:
2008/02/16
―――  「偽装請負、違法派遣、労働者供給、出向」関連  ―――
―――― 「偽装請負、違法派遣、労働者供給、出向」関連 ――――
海野和夫
 
◎ 派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(厚生労働省パンフ)と労働者性
(以下は、「派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(厚生労働省パンフ)」です。これは、「請負とは」の基準を示しています。示された基準を全て満たす場合のみ請負です。逆に言うと、一つでも欠落していれば請負ではない、ということです。これを工夫して使えば、形式上「一人親方」、「事業主」の労働者性の証明に活用できる可能性があります。一つでも欠けていれば「請負」ではないということは、逆に言うと「労働者」だということにつなげていく、少なくとも可能性、展望は存在します。何しろ一つでも欠けていればいいわけですから、「請負」否定の点では――海野)
「派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(厚生労働省パンフ)」
T 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること
 1 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うこと
  @ 労働者に対する仕事の割り付け、順序、緩急の調整等を自ら行っている
  A 業務の遂行に関する技術的な指導、勤惰点検、出来高査定等について、自ら行っている
 2 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うこと
  @ 労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等について事前に注文主と打ち合わせている
  A 業務中に注文主から直接指示を受けることのないよう書面が作成されている
  B 業務時間の把握を自ら行っている
  C 労働者の時間外、休日労働は業務の進捗状況をみて自ら決定している
  D 業務量の増減がある場合には、事前に注文主から連絡を受ける体制としている
 3 企業秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うこと
  @ 事業所への入退場に関する規律の決定及び管理を自ら行っている
  A 服装、職場秩序の保持、風紀維持のための規律の決定及び管理を自ら行っている
  B 勤務場所や直接指揮命令する者の決定、変更を自ら行っている
U 請負業務を自己の業務として契約の相手方から独立して処理すること
  @ 事業運転資金等をすべて自らの責任の下に調達・支弁(支払)している
  A 業務の処理に関して、民法、商法その他の法律に規定された事業主としての全ての責任を負っている
  B 業務の処理のための機械、設備、器材、材料、資材を自らの責任と負担で準備している又は自らの企画又は専門的技術、経験により処理している
  C 業務処理に必要な機械、資材等を相手方から借り入れ又は購入した場合には、別個の双務契約(有償)が締結されている
 
 
◎ ――― 建設業での派遣問題、偽装請負問題などについて ―――
(先日、千葉土建一般労組の三楠正広氏から「建設における『違法派遣』・『偽装請負』問題 実情と対策、トラブル解決のポイント」と題して講演を聞く機会がありました。その一部を以下に紹介します――海野)
○ 1985年 26業種に限定し、労働者派遣法を制定し、派遣を認めた。
○ 1999年 建設・港湾・警備・製造・医療業務の5業務以外は全て派遣を認める。但し、「建設業務」を「建設工事の現場において直接これらの作業に従事するものに限られる」とし、「建設現場の施工管理業務、事務員」を「建設業務」から除外し、派遣を認めた。
○ 2004年 製造業務を解禁、医療の一部も認める。
○ 2005年 「建設業務労働者就業機会確保事業」の「送出労働者」に該当する場合は認めた。
 「送出労働者」とは、「事業主が自己の常時雇用する建設業務労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他の事業主の指揮命令を受けて、当該他の事業主のために建設業務に従事させる労働者」
○ 労働者派遣の仕組み
 労働者派遣とは、派遣元事業主の雇用する労働者を派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させること。
 派遣元と派遣労働者の間に雇用関係があり、派遣元と派遣先の間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、派遣先は派遣労働者を指揮命令する。
 労働者派遣事業には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の2種類がある。
 特定労働者派遣事業とは、常用雇用労働者(派遣元が常用雇用している労働者)を派遣する事業であり、厚生労働大臣に届出する。(人材派遣を特定の派遣先に派遣する「専ら派遣」は認められていない)
 一般労働者派遣事業とは、登録型(派遣元に登録しておき、派遣先に派遣する際に派遣元が雇用する)や臨時・日雇の労働者を派遣する事業であり、厚生労働大臣の許可を受ける。
○ 出向
 出向の場合、利益を求めてはならない。業として行えば、派遣法違反となる。
 ゼネコン:「出向」扱いで下請から元請へ派遣させていた。これが「違法行為」と行政から指導され、一斉に下請に「特定労働者派遣事業の届出」を出させている。
○ 労働者供給事業
 労働者供給とは「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当する者は含まない」(職安法第4条第6項)
 供給元と労働者の間に雇用関係がないもの、供給元と労働者の間に雇用関係がある場合でも供給先に労働者を雇用させることを約して行われるものは、職安法第44条に基づき「労働者供給事業」として禁止。労働者を継続的に支配下に置いて他人に使用させる点で、労働者の強制、中間搾取、使用者責任の不明確化などの弊害があり、職安法44条により禁止されている。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合だけである。
○ 職業紹介
 職業紹介とは、求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立を斡旋(あっせん)すること。
 改正建設労働者雇用改善法により、建設業で有料職業紹介事業が行えることとなった。
○ 請負と労働者派遣の区分をめぐる問題
 @ 請負とは
 注文者と請負業者との間で業務の遂行とそれに対する対価の支払いを約する契約をすること。注文者が請負業者の従業員に指揮命令することは偽装請負(請負契約名目で実質派遣を行うこと)となり、派遣法に反する違法派遣となる。
 A 「偽装請負」とは
 派遣法に基づいて、許可・届出がある派遣元事業者が行わなければならない労働者派遣事業を、請負・業務委託契約の名目を利用して法の規制を受けずに行う契約形態。派遣か請負かの区分は、契約の名目ではなく、実態で判断する。
 B 請負と派遣との区分の基準(昭和61年4月17日 労働省告示37号)
(この告示は、請負形式、請負名目であっても派遣に該当する場合を明らかにする基準です。告示に示された基準を全て満たす場合のみ請負です。違反があれば派遣に該当し、違法派遣となります。告示の内容は「請負とは」を示しています)
(以下は、厚生労働省パンフ、東京労働局パンフからの抜粋です。前述のように、「請負とは」の基準を示しています。示された基準を全て満たす場合のみ請負です)
 1 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用する者であること。
  ・ 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
  ・ 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
  ・ 企業での秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うこと。
 2 請負契約で請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。
 ・ 業務の処理に要する資金につき、全て自らの責任の下に調達し、かつ、支弁(金銭を支払うこと)すること。
 ・ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としての全ての責任を負うこと。
 ・ 単に肉体的な労働力を提供するものではないこと。
 ・ 業務の処理のための機械、設備、材料、資材を自らの責任と負担で準備している、又は処理すべき業務を自らの企画又は専門的技術、経験により処理していること。
 ・ 業務処理に必要な機械、資材等を相手方から借り入れ又は購入した場合には、別個の双務契約(有償)が締結されていること。
○ 二重、多重派遣
 二重労働者派遣とは、派遣先に労働者派遣するために、第三者から労働者派遣を受け入れ、それを派遣先に再派遣することを言う。
 二重派遣は、雇用していない労働者を派遣することから、労働者供給に該当し、業として行えば、職安法の労働者供給事業違反となります。
 
 
◎ ―――労働者の「派遣」とは何か 少しまとめてみました―――
 いま、「偽装請負」問題をマスメディアが大きく取り上げています。「請負」、「雇用」、「派遣」とよく出てくる言葉ですが、その意味とか相違を考えると、そう簡単ではありません。一番わかりにくいと思われる「派遣」について、今回少しまとめさせていただき、「請負」、「雇用」、「派遣」の相互の区別を少しでも明らかにできればと考えます。
―――――――――――――――――――
Wikipediaのサイトを見ると、以下のように解説されています。
偽装請負とは、契約上(形式上)は業務請負であっても実態が人材派遣に該当するものを指す。
業務請負の場合、本来はメーカーなどの顧客から仕事の発注のみが行われ、請負側は作業責任者を置き、配下に人員がいる場合は作業指示を行うのは請負側である。偽装請負となるのは、請負側が人の派遣のみを行って責任者がいないか実質的に機能しておらず、顧客の正社員が作業指示を行っている状態を指す。
―――――――――――――――――――
 「派遣」とは何かについて、『疑問・トラブルにこの1冊! 派遣労働法便利事典』(著者 小見山敏郎氏 発行所 こう書房)を参考にして、それに基づいて、以下に書かせていただきました。
 「労働者派遣は、募集・面接・選考から労働保険・社会保険の手続き、給与計算に至るまでの事務手続きを自ら行う必要がないため、総務部門に人員を配置する余裕のない中小企業や、起業間もないベンチャー企業などにも、大きなメリットのある制度」と言われています。
 派遣とは、派遣元が、派遣元と雇用関係のある派遣労働者を、派遣先との契約に基づいて、派遣先の指示のもとで就労させる形態をいいます。つまり、実際に労働が行われている派遣先と派遣労働者のあいだに雇用関係はありません。
 派遣とは、自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることです。
 派遣元事業主と派遣労働者には雇用関係があり、派遣元は事業主としてさまざまな責任を負っています。
 労働者派遣契約では、雇用する事業主(派遣元事業主)は、賃金は支払いますが、自ら使用することも、指揮命令することもありません。
派遣が禁止されている業務は、@港湾運送業務、A建設業務、B警備業務、C派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、行政書士、等々)
 許可や届け出を行っている派遣事業者でも、他の派遣事業者から派遣された者をさらに第三者へ派遣する「二重派遣」行為は違法です。
 ストライキ対策としての派遣労働者の導入は、禁止されています。(派遣法24条)
 派遣先事業所と派遣労働者の間には雇用関係が存在しないため、派遣先で労働・社会保険に加入させることはできません。
 社会保険料の納付義務は、雇用主である派遣元にあります。
 派遣労働者が派遣先で労働災害にあった場合は、派遣元の労災保険を使って補償を行うこととされています。しかし、その労働災害の原因が、派遣先の施設に欠陥があったとか、派遣先の不適切な命令で危険な作業を行わせたような場合には、派遣先は、労働安全衛生法違反に問われる場合があります。また、労災で補償されるのは労働基準法上の補償部分ですから、それを超える補償や慰謝料などの民事上の責任を、労働災害にあった派遣労働者が訴えた場合は、その部分について派遣先への追及がなされることもあり得ます。
 派遣先と派遣労働者の間には、雇用関係がありません。派遣労働者に対し賃金支払いの義務を負っているのは派遣元であり、派遣先に必要なのは派遣元への派遣料金の支払いだけです。
 派遣事業には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の二種類があります。
「一般労働者派遣事業」 派遣労働者として働くことを希望する者をあらかじめ登録しておき、具体的な派遣先が決まり、実際に労働者派遣が行われる期間だけ、雇用するという形態です。
「特定労働者派遣事業」 常時雇用する者だけを派遣する形態です。
 「一般労働者派遣事業」では、派遣労働者としての登録をしても、常に派遣労働者としての仕事があるわけではありません。仕事がない間は雇用関係もなく、実際に派遣されることになってはじめて、その期間だけ派遣元と雇用契約を結んで雇用され、賃金が支払われるわけです。このような形態は、「特定労働者派遣事業」に働く者と比べると、雇用が不安定な状態になることは明らかです。
 コスト削減などの面から、自社で労働者を直接雇用するのではなく、子会社として派遣会社をつくり派遣労働者を受け入れることは、雇用によって生じるさまざまな責任を回避しようとすることに他ならず、本来の派遣のあり方とは言えず、原則として認められません。
 派遣労働者にも、労働基準法や労働安全衛生法などの労働者保護規定は適用されます。
 
 
◎ 請負労働、偽装請負、労働者派遣
1、はじめに
 「請負を偽装した労働者派遣が建設現場に横行している」、「建設現場事務所に暴力団が常駐している」と今、言われています。このような事態がさらに広がっていくのではないかと懸念されています。
 是正の一助になればと願い、請負、偽装請負、労働者派遣の問題を少しまとめてみました。
2、請負、偽装請負、労働者派遣の違い、区別
(1)労働者派遣事業
 派遣元=労働者を派遣する側、派遣先=労働者を派遣される側。
 労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働させることを業として行うことを言います。労働者派遣事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(略称「労働者派遣法」)の適用を受けます。
 派遣元と労働者の間に雇用関係のないもの、及び派遣元と労働者との間に雇用関係がある場合であっても、派遣先に労働者を雇用させることを約して行われるものについては、法律で禁止されています。
 派遣元と労働者の間に雇用関係があり、派遣先と労働者との間に指揮命令関係しか生じさせないような形態についてだけ労働者派遣事業として、「労働者派遣法」による規制の下に行うことができるようになっています。
(2)請負と労働者派遣
 請負と労働者派遣との違いは、請負には、注文主と労働者との間に指揮命令関係を生じないという点にあります。請負の場合、注文主と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間には雇用関係が存在しますが、注文主と労働者との間には雇用関係も指揮命令関係も生じません。
(3)労働者派遣事業を行うことができない業務
 @港湾運送業務、A建設業務、B警備業務、C病院等での医療関係の業務等々の業務については、労働者派遣事業を行うことはできません。  
(4)偽装請負
 前述のように、注文者(注文主)と請負事業者との間に請負契約が成立し、請負事業者と労働者との間に雇用関係、指揮命令関係の両方が存在し、注文者と労働者との間には雇用関係も指揮命令関係も存在せず、労働者は注文者との関係ではただ業務を遂行するだけという場合、適法な請負事業になります。
 そして、注文者(注文主)と請負事業者との間に請負契約が成立し、請負事業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者と労働者との間に指揮命令関係が存在する場合は、「偽装請負」となり、要するに労働者派遣となります。
注文者(注文主)と請負事業者との間に請負契約が成立し、請負事業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者従業員が請負人従業員を指揮命令している場合も、同様に「偽装請負」となり、労働者派遣となります。
3、「赤旗」記事から
 2006年3月23日「赤旗」記事によると、日本共産党の小池晃参院議員が2006年3月22日、参院厚生労働委員会で請負労働、偽装請負の問題を質問、追及しています。記事全文を下記に載せておきます。
―――正規求人増というが
4分の1が請負労働(製造業)
小池氏追及 違法横行、是正求める
 求人の4人に1人が請負の仕事。日本共産党の小池晃参院議員が追及した(2006年3月)22日の厚生労働委員会で、そんな雇用実態が明らかになりました。小池氏の質問に厚生労働省が答えたものです。
 小池氏は、(2006年3月)3日に発表された労働力統計をもとに、けた違いに正規雇用が減り、非正規雇用が増えている状況をただしました。この4年間に正規労働者数は計115万人減る一方、非正規労働者数は計182万人増加し、過去最多になっています。
 小池氏は、厚労大臣が増えたといっている正規労働者の就職数には作業現場が別会社になって転々と移動する業務請負の求人が含まれているとして、同省が今年1月に調査した製造業における新規求人数に占める業務請負の割合を明らかにするよう求めました。
 同省が明らかにした数字によると、全国平均は24.7%と4人に1人が請負の求人になっていました。地域別では一番高いのが九州地域の33.9%です。次いで東北31.1%、東海29.5%と軒並み3割前後に達しています。
 小池氏は、確かに求人全体では求人倍率は1倍を超え、正社員も増える変化はあるとはいえ、依然として0.67倍にとどまり、厳しい状況に変わりないとのべました。
 しかも、正社員の枠で募集されている請負労働者は、労働基準法や派遣法違反が常態化し、とても正社員の雇用と呼べない職場環境で働かされていると指摘しました。
 小池氏は「請負求人の高い地域も含め全国調査を実施し、全容を明らかにし、法違反を是正することが必要ではないか」とただしました。
 鈴木直和・職業安定局長は「今後、大都市部以外も調査したい」と答えました。
(「赤旗」の解説)「業務請負」=メーカーなどの製造ラインや営業業務を一括して受託し、自社で業務遂行責任を負うアウトソーシング(外部委託)型のビジネス。しかし、業務請負とは名ばかりで実態は派遣法逃れの偽装請負(実態は派遣)が多く労働者は無権利状態に置かれています―――
 
 
◎ ―――――  労働者供給、労働者派遣、労働者送出  ―――――
 「労働者供給」というのは、一言で言うと、自分が雇用していない労働者を他人に提供(供給)して利益を得ることです。「労働者供給」は、職業安定法44条によって、原則、禁止されています。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう場合だけです。
 「労働者派遣」は、自分の雇用している労働者を他人に提供(派遣)して利益を得ることです。原則、解禁されていますが、労働者派遣法59条によって、建設業務と港湾運送業務への「労働者派遣」は禁止されています。
 「労働者供給、労働者派遣、労働者送出」の中で、建設業務で唯一認められているのが、「労働者送出」です。
「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」(建設労働法)第31条によって、建設業務への労働者送出が認められています。自分が雇用する労働者を他人に提供(送出)して利益を得るという点で「労働者派遣」と似ていますが、以下のように「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」(建設労働法)第31条に書かれているように、いろいろな条件を満たす必要があり、使いづらいということで現実には、「労働者送出」は広がりを見せていないようです。
建設労働法第31条第1項  建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行おうとする事業主は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
同第2項  前項の許可を受けようとする事業主は、次に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
1  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
2  法人にあっては、その役員の氏名及び住所
3  建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行う事業所の名称及び所在地
4  雇用管理責任者の氏名及び住所
同第3項  前項の申請書には、建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書、当該事業に係る実施計画について認定があったことを証する書面その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
同第4項  前項の事業計画書には、厚生労働省令で定めるところにより、建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行う事業所ごとの当該事業に係る送出労働者の数、建設業務労働者の就業機会確保(労働者送出)に関する料金の額その他建設業務労働者の就業機会確保(労働者送出)に関する事項を記載しなければならない。
同第5項  厚生労働大臣は、第1項の許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
 また、建設労働法第45条には、次のようにさだめられています。
建設労働法第45条  受入事業主がその指揮命令の下に労働させる送出労働者の当該建設業務労働者の就業機会確保(労働者送出)に係る就業に関しては、当該送出事業主を当該受入事業主の請負人とみなして、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定(同法第3条に規定する労災保険に係る労働保険の保険関係に係るものに限る。)を適用する。(アンダーラインは海野)
アンダーラインの箇所の意味するものは、送出された労働者の、受入事業主と送出事業主の関係を請負契約の関係とみなすということです。これにより、受入事業主が元請であれば、受入事業主の労災保険が適用になるし、また受入事業主の上に元請がいる場合は、その元請の労災が適用になる、そういうことになるわけです。この部分は、元請責任を明確にすべきだという全建総連の要求にもとづいてそうなったものです。
 
 
◎ 大手企業交渉での「偽装請負、派遣、労働者供給」関係の要求について
全建総連関東地協の大手企業交渉での「偽装請負、派遣、労働者供給」関係の要求として、次のような趣旨のものが、かかげられています。
@ 「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。ただちにやめてください」
A 「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 @、Aともわかりづらいとの指摘を受けています。
 少しかじって、食べてみて、少しでもわかりやすく説明できたらと思い、以下を記述します。
@ 「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。ただちにやめてください」
 元請と雇用関係にある労働者を元請の指揮命令の下に労働させる行為は、言うまでもなく適法な行為です。この労働者を「応援」に入れたのだとすれば、その賃金を「応援手間」として赤伝で差し引く行為が、ただちに違法行為になるわけではありません。国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』によれば、元請が赤伝で一方的に差し引く行為は建設業法違反のおそれがあります。
 元請と請負関係にある労務費であれば、言い換えると、別の下請と請負契約を結び、その下請を「応援」に入れたということであれば、その分を「応援手間」として赤伝で差し引く行為が、ただちに違法行為になるわけではありません。前述のように、国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』によれば、元請が赤伝で一方的に差し引く行為は建設業法違反のおそれがあります。
 自らと雇用関係にない労働者を供給する行為は、「労働者供給」として職業安定法44条によって禁止されています。同様に「『労働者供給』として供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為」も、職業安定法44条によって禁止されています。
(禁止の例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう「労働者供給」だけです)
 別の業者等が自分と雇用関係にない労働者を供給し、供給されたその労働者を元請が自らの指揮命令の下に労働させ、その分を『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。
なお、別の業者等が自分と雇用関係にある労働者を提供し、提供されたその労働者を元請が自らの指揮命令の下に労働させたとすれば、それは、労働者派遣法59条が禁止する建設業務への労働者派遣となり、違法派遣となります。
@の要求については、次のように、「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法44条違反)のおそれがあります。また、労働者派遣法59条が禁止する建設業務への労働者派遣(違法派遣)のおそれがあります。ただちにやめてください」とアンダーラインの部分を追加したほうがわかりやすいでしょう。
A 「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 Aについては、以下のように「建設業務への違法派遣」を追加するとわかりやすくなります。(@の場合もそうでしたが)
「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』、『建設業務への違法派遣』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』、『建設業務への違法派遣』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 厚生労働省の示す基準によれば、「単に肉体的な労働力を提供する」場合は請負に該当しません。
 
 
◎ ―――――  労働者派遣 労働者供給 職業安定法  ―――――
職業安定法第64条は、「職業安定法第44条の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」とさだめています。
 それでは、職業安定法44条の規定とは何か?
 職業安定法第44条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
職業安定法第45条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 上記の職業安定法64条、44条、そして45条を総合してとらえると、次のようになるのがわかります。
 労働者供給事業をおこなったり、労働者供給事業をおこなう者から供給される労働者を自らの指揮命令のもとに労働させたりすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる、ということです。ただし、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受け、かつ無料でおこなう場合は、労働者供給事業をおこなうことができる、ということです。
 労働組合が許可を受けて無料でおこなう場合を除いて、労働者供給事業をおこなうことは、懲役刑をもって罰せられるような犯罪だということです。職業安定法はこのように厳しく、労働者供給事業を禁止しています。
 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)も違反行為に対して、同様の罰則を設けています。
労働者派遣法第59条は、以下の者を1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する、とさだめています。
 ○ 港湾運送業務や建設業務で労働者派遣事業をおこなった者
 ○ 厚生労働大臣の許可を受けないで一般労働者派遣事業をおこなった者
また労働者派遣法第60条は、以下の者を6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する、と定めています。
○ 厚生労働大臣に届出をしないで特定労働者派遣事業をおこなった者
 それでは、労働者供給と労働者派遣との違いは何か? 一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業との違いは何か? 次に説明します。
 三楠正広氏の説明を参考にさせていただくと、以下のようになります。
 @ 労働者派遣 
労働者派遣とは、派遣元事業主の雇用する労働者を派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させること。
 派遣元と派遣労働者の間に雇用関係があり、派遣元と派遣先の間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、派遣先は派遣労働者を指揮命令する。
 労働者派遣事業には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の2種類がある。
 A 特定労働者派遣事業
 特定労働者派遣事業とは、常用雇用労働者(派遣元が常用雇用している労働者)を派遣する事業であり、厚生労働大臣に届出する。
 B 一般労働者派遣事業
 一般労働者派遣事業とは、登録型(派遣元に登録しておき、派遣先に派遣する際に派遣元が雇用する)や臨時・日雇の労働者を派遣する事業であり、厚生労働大臣の許可を受ける。
C 労働者供給
 労働者供給とは「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当する者は含まない」(職業安定法第4条第6項)
職業安定法第4条第6項 この法律において「労働者供給」とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。
 供給元と労働者の間に雇用関係がないもの、供給元と労働者の間に雇用関係がある場合でも供給先に労働者を雇用させることを約して行われるものは、職業安定法第44条に基づき「労働者供給事業」として禁止。強制労働、中間搾取、使用者責任の不明確化などの弊害があり、職業安定法44条により禁止されている。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合だけである。
 
 
◎ ────── 労働者供給、派遣、出向の区別、相違は? ──────
「労働者供給」というのは、自分が雇用していない労働者を他人に提供(供給)して利益を得ることです。「労働者供給」は、職業安定法44条によって、原則、禁止されています。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう場合だけです。
 「労働者派遣」は、自分の雇用している労働者を他人に提供(派遣)して利益を得ることです。原則、解禁されていますが、労働者派遣法59条によって、建設業務と港湾運送業務への「労働者派遣」は禁止されています。
 出向には2種類あり、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と出向先の会社に籍を移した出向(移籍型出向)があります。「移籍型出向」は要するに、移籍先(出向先)に雇用されるということです。
どちらの会社にも籍がない「出向」は、労働者供給であり、偽装出向になります。また、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で建設業務に従事することは、建設業務への違法派遣となり、偽装出向になります。
 ここで出てくる疑問は、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で働くことが「派遣」だとすれば、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と派遣とが同一になってしまい、どこが違うのか? ということです。
 インタネットで出向を検索してみました。
「民主法律協会派遣労働研究会 派遣労働者の悩み110番相談」HP
<http://www.asahi-net.or.jp/~RB1s-WKT/110.htm>
に、「出向と派遣とはどう違う?」が載っていました。
 要約すると、同HPでは、次のように説明されています。
 (以下の「出向」は全て、「在籍型出向」のことです――海野)
 在籍出向と派遣は、きわめて類似しています。実際にも、また、法的にも出向と派遣を区別するのが難しい事例も少なくありません。
 その会社では「出向」という用語を用いていたとしても、実際には、「派遣」と考えられる場合も出てきます。
 労働省(旧労働省のことだと思います――海野)の解釈では、「出向」とは出向元と出向先の両方で二重の雇用契約が成立するものであるとされています。
労働者にとっては、「出向元との間の雇用契約」と「出向先との間の雇用契約」の二重の雇用契約が成立することになります。出向元と出向先の間に出向契約が結ばれることが前提になります。
この出向契約にもとづいて、出向労働者の労働条件や業務内容などの大枠が決まることになります。「出向先」が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働契約上の相手当事者として雇用関係が存在することになります。つまり、出向では、従来の直接雇用と同様に、「雇用関係」と「使用関係」は分離されていないのです。
 これに対して、「派遣」は、派遣元との間にのみ「雇用関係」が存在し、派遣先との間には指揮命令を受けるだけの「使用関係」のみが生ずることになる、というのが労働省の解釈です。
 この「雇用関係と使用関係の分離」こそ、労働者派遣の最大の特徴であり、労働者にとっては、使用者責任があいまいになる=労働者の権利保障があいまいになる、という点で大きな問題を生む根源なのです。
 
 
◎ ─── 「労働者供給」「派遣」「出向」の区別、相違(2) ───
○ 「労働者供給」というのは、自分が雇用していない労働者を他人に提供(供給)して利益を得ることです。「労働者供給」は、職業安定法44条によって、原則、禁止されています。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう場合だけです。
○ 「労働者派遣」は、自分の雇用している労働者を他人に提供(派遣)して利益を得ることです。原則、解禁されていますが、労働者派遣法59条によって、建設業務と港湾運送業務への「労働者派遣」は禁止されています。
○ 「出向」には2種類あり、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と出向先の会社に籍を移した出向(移籍型出向)があります。「移籍型出向」は要するに、移籍先に雇用される、ということです。
○ どちらの会社にも籍がない「出向」は、労働者供給であり、偽装出向になります。また、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で建設業務に従事することは、建設業務への違法派遣となり、偽装出向になります。
○ ここで出てくる疑問は、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で働くことが「派遣」だとすれば、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と派遣とが同一になってしまい、どこが違うのか? ということです。
○ 「出向」(在籍出向)とは、労働者から見て、「出向元との間の雇用契約」と「出向先との間の雇用契約」の二重の雇用契約が成立することです。言い換えると、出向労働者は出向元と出向先の両方に籍がある、ということです。出向元と出向先の間に出向契約が結ばれることが前提になります。「出向先」が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働者との間に雇用関係がある雇用主になります。出向(在籍出向)では、「雇用」と「使用」は分離していないのです。これに対して、「派遣」は、派遣元との間にだけ「雇用関係」があり、派遣先との間には指揮命令を受ける「使用関係」だけが生まれることになるわけです。
 ○ 従って、出向(在籍出向)の場合、労働基準法107条(労働者名簿)、108条(賃金台帳)にもとづき、出向労働者の労働者名簿、賃金台帳は、出向元、出向先の両方で作成、備え付けなければならないということになるわけです。
「労働基準法第107条」 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
「労働基準法第108条」 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
 
 
◎ 国土交通省中部地方整備局「請負、労働者派遣、労働者供給の違い」
 国土交通省中部地方整備局建政部建設産業課が2003年3月に出した「続『公共工事の発注者等のための建設業法』 施工体制点検時のチェックポイントと留意点」の中に、「『請負』と『労働者派遣事業』、『労働者供給事業』との違い」があります。
 国土交通省の見方を知る上で参考になると思い、以下に要旨を紹介しておきます。
1 請負
「請負」とは、仕事の完成を目的とするもので、注文者と労働者の間には指揮命令関係を生じません。(注文者から受注した請負業者が、労働者を指揮命令する、ということです。発注者と元請との関係では発注者が注文者であり、元請と1次下請との関係では元請が注文者、以下、1次と2次の関係では1次が注文者、等々と連鎖していきます──海野)
2 労働者派遣
「労働者派遣事業」とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。労働者派遣事業は、許可要件等を満たしたものが、許可等を受けた場合に行うことができるものです。(港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係業務は、労働者派遣が禁止されています──海野)
3 労働者供給
 労働者派遣事業は、1986年の労働者派遣法の施行に伴い改定される前の職業安定法44条によって、労働組合が労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除き全面的に禁止されていた労働者供給事業の中から、供給元と労働者との間に雇用関係があり、供給先と労働者との間に指揮命令関係しか生じさせないような形態を取り出し、種々の規制の下に適法に行えるようにしたものです。そのため、現在、職業安定法44条に基づき労働者供給事業として(労働組合が労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除き)全面的に禁止されているのは、以下の2形態に該当するものです。
 @ 供給元と労働者の間に雇用関係がないもの
供給元が雇用関係にはないが親分子分的な封建的支配関係を有する労働者について供給先に労働者を雇用させること(又は指揮命令して使用すること)を約して行われるもの。(「親分子分的な封建的支配関係を有する労働者」に限定し、狭めるのは、間違っているのではないか? 単に「供給元が雇用関係にない労働者について供給先に労働者を雇用させること(又は指揮命令して使用すること)を約して行われるもの」とすべきではないでしょうか? ──海野)
A 供給元と労働者の間に雇用関係があるもの
供給元が雇用関係のある労働者について供給先に労働者を雇用させることを約して行われるもの。(供給元との間に雇用関係があるまま供給先に雇用させることは、労働者供給というより出向(在籍型出向)になります。労働者供給という場合、供給する時点以降、供給元との雇用関係はなくなります。言い換えると、@と同様、雇用していない労働者を供給先に供給するということになるのではないでしょうか? @、Aの2形態ということで分ける意味はないような気がするのですが──海野)
 
 
◎ ── 労働者派遣法が規定する罰則 派遣元 派遣先 ──
 建設業務への労働者派遣は禁止されていますが、建設現場の事務、施工管理業務への派遣は認められています。言い換えると、建設現場の事務員、現場監督は、派遣が認められている、ということです。大手ゼネコン等の回答でも、派遣監督は一定の広がりを見せています。
 そのようなこともあり、以下に、労働者派遣法での罰則を調べてみました。ほとんどの罰則は派遣元にのみ適用されますが、一部、派遣先に適用される罰則もあるのが、わかりました。
○ 労働者派遣法第58条 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。(派遣元のみが罰則の対象です──海野)
 
○ 同第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。(派遣元のみが罰則の対象です──海野)
1.第4条第1項又は第15条の規定に違反した者
2.第5条第1項の許可を受けないで一般労働者派遣事業を行った者
3.偽りその他不正の行為により第5条第1項の許可又は第10条第2項の規定による許可の有効期間の更新を受けた者
4.第14条第2項又は第21条の規定による処分に違反した者
(以下は、第59条に関連する条文または説明です)
「第4条第1項」 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
1.港湾運送業務
2.建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう)
3.警備業法に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
「第15条」 一般派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に一般労働者派遣事業を行わせてはならない。
「第14条第2項」 (厚生労働大臣が一般派遣元事業主に対して一般労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができることを定めた規定です──海野)
「第21条」 (厚生労働大臣が特定派遣元事業主に対して特定労働者派遣事業の廃止又は停止を命ずることができることを定めた規定です──海野)
○ 同第60条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(以下に出てくる第49条の3第2項違反は、派遣元だけでなく派遣先も、罰則の対象です──海野)
1.第16条第1項に規定する届出書を提出しないで特定労働者派遣事業を行った者
2.第22条又は第49条の3第2項の規定に違反した者
3.第49条の規定による処分に違反した者
(以下は、第60条に関連する条文又は説明です)
「第22条」 特定派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に特定労働者派遣事業を行わせてはならない。
「第49条の3第1項」 労働者派遣をする事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、派遣労働者は、その事実を厚生労働大臣に申告することができる。 「第49条の3第2項」 労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者は、前項の申告をしたことを理由として、派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
「第49条第1項」 (厚生労働大臣が派遣元事業主に対して労働者派遣事業の改善を命ずることができることを定めた規定です──海野)
「第49条第2項」 厚生労働大臣が、派遣先に違反がある場合に、派遣元事業主に対して派遣先への労働者派遣の停止を命ずることができることを定めた規定です──海野)
○ 同第61条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。(第41条、第42条、第50条、第51条第1項の違反は、派遣先に罰則が及びます──海野)
1.第5条第2項に規定する申請書、第5条第3項に規定する書類、第16条第1項に規定する届出書又は同条第2項に規定する書類に虚偽の記載をして提出した者
2.第11条第1項、第13条第1項、第19条第1項、第20条若しくは第23条第3項の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は第11条第1項若しくは第19条第1項に規定する書類に虚偽の記載をして提出した者
3.第34条、第35条、第35条の2第1項、第36条、第37条、第41条又は第42条の規定に違反した者
4.第50条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
5.第51条第1項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
(以下は、第61条に関連する条文又は説明です)
「第5条第2項に規定する申請書」 (一般労働者派遣事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないので、そのために提出する申請書──海野)
「第5条第3項に規定する書類」 (第5条第2項に規定する申請書には、一般労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならないことを、第5条第3項は定めています──海野)
「第16条第1項」 特定労働者派遣事業を行おうとする者は、届出書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
「第16条第2項」 前項(第16条第1項)の届出書には、特定労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
「第11条第1項」 (一般派遣元事業主による変更の届出を定めています──海野)
「第13条第1項」 (一般派遣元事業主による事業廃止の届出を定めています──海野)
「第19条第1項」 (特定派遣元事業主による変更の届出を定めています──海野)
「第20条」 (特定派遣元事業主による事業廃止の届出を定めています──海野)
「第23条第3項」 派遣元事業主は、「海外派遣」をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
「第34条」 (派遣元が労働者派遣を行おうとするときは、事前に派遣労働者に就業条件等を明示しなければならないことを定めた規定です──海野)
「第35条」 派遣元事業主は、労働者派遣をするときは、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を派遣先に通知しなければならない。
1.当該労働者派遣に係る派遣労働者の氏名
2.当該労働者派遣に係る派遣労働者に関する健康保険法第39条第1項の規定による被保険者の資格の取得の確認、厚生年金保険法第18条第1項の規定による被保険者の資格の取得の確認及び雇用保険法第9条第1項の規定による被保険者となったことの確認の有無に関する事項であって厚生労働省令で定めるもの
3.その他厚生労働省令で定める事項
「第36条」 (派遣元事業主による派遣元責任者の選任義務を定めています──海野)
「第37条」 (派遣元事業主による派遣元管理台帳の作成義務を定めています──海野)
「第41条」 (派遣先による派遣先責任者の選任義務を定めています──海野)
「第42条」 (派遣先による派遣先管理台帳の作成義務を定めています──海野)
「第50条」 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、必要な事項を報告させることができる。
「第51条第1項」 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
○ 同第62条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第58条から前条(第61条)までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
 
 
◎ ─── 労働者派遣法 職業安定法 罰則について ───
○ 職業安定法44条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。(違反には、職業安定法64条により、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」)
 ○ 職業安定法45条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 上記のように、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けておこなう場合を除き、労働者供給事業は禁止されています。
 また、ここは注意深く把握してほしいのは、職業安定法44条に違反すると、労働者供給をおこなう者も、供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる者も、両者とも職業安定法64条により、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処せられる、という点です。
 ○ 職業安定法64条  次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 (1〜8を略します)
9 (職業安定法)44条の規定に違反した者
 他方、労働者派遣法は、派遣元のみに罰則を適用し、派遣先には罰則がない、と言われています。労働者派遣法を調べてみました。確かにそのようです。
 たとえば、
○ 労働者派遣法4条1項  何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
1 港湾運送業務
2 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう)
3 警備業法に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
○ 労働者派遣法59条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1 (労働者派遣法)4条1項の規定に違反した者
(以下略)
 上記のように、建設業務等に違法派遣した者(派遣元)は罰せられるが、それを受け入れた側(派遣先)に罰則は適用されないということです。
 
 
◎ 建設産業 「労働者供給」 「労働者派遣」 「偽装請負」 「偽装出向」
(以下は、三楠正広さんの書いた論文、資料等を参考にさせていただき、書かせていただきました)
1 労働者供給は禁止
 ○ 労働基準法6条  何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。(違反には、労働基準法118条により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)
 ○ 職業安定法44条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。(違反には、職業安定法64条により、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」)
 ○ 職業安定法45条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 上記のように、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けておこなう場合を除き、労働者供給事業は禁止されています。
2 在籍出向、労働者派遣、請負、業務委託
 「在籍出向」 出向労働者と出向元との間に雇用関係が存在すると同時に出向労働者と出向先との間にも雇用関係が発生するので、出向先の指揮命令の下で、業務に従事させることができる形態。
 「労働者派遣」 派遣契約により、派遣元が雇用する派遣労働者を派遣先の指揮命令の下で、業務に従事させることができる形態。
 「請負」 請負契約の注文者は、請負業者の労働者を指揮命令して業務に従事させることができない。
 「業務委託」 事務処理など業務の処理を委託する形態。業務委託契約の注文者は、受託業者の労働者を指揮命令して業務に従事させることができない。
3 建設業での違法な4形態
 建設業での違法な4形態として、労働者供給、労働者派遣、偽装請負、偽装出向が存在します。
 ○ 「労働者供給」 自分と雇用関係にない労働者を他人に「供給」して、他人の指揮命令を受けて労働に従事させることを、「労働者供給」と言い、前述のように職業安定法44条等によって禁止されています。
 ○ 「労働者派遣」 自分と雇用関係にある労働者を他人に「派遣」して、他人の指揮命令を受けて労働に従事させることを、「労働者派遣」と言います。港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院等での医療関係の業務については、労働者派遣は禁止されています。  
 建設現場での事務や施工管理業務は、「建設業務」に該当せず、労働者派遣が認められています。
建設労働者の雇用の改善等に関する法律(建設雇用改善法)31条が規定する「建設業務労働者就業機会確保事業」の要件を満たせば、「労働者の送出」が建設業でも認められています。
「労働者の送出」 事業主が自己の常時雇用する建設業務労働者を、当該雇用関係の下に、他の事業主の指揮命令を受けて、当該他の事業主のために建設業務に従事させること。建設業で禁止されている「労働者派遣」の例外を形成しています。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)4条  何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
1 港湾運送業務
2 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう)
3 警備業法に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
○ 「偽装請負」 外部から派遣で来てもらっているのに、労働者派遣契約を結ばず、請負契約を装うことです。注文者と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間に雇用関係、指揮命令関係の両方が存在し、注文者と労働者との間には雇用関係も指揮命令関係も存在せず、労働者は注文者との関係ではただ業務を遂行するだけという場合、適法な請負になります。注文者と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者と労働者との間に指揮命令関係が存在する場合は、「偽装請負」となり、要するに労働者派遣となります。注文者と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者の従業員が請負人の従業員を指揮命令している場合も、同様に「偽装請負」となり、労働者派遣となります。
 また、実態としては労働者に業務の指揮命令を行なっている(雇用している)のに、雇用契約を結ばず、請負契約のように装うのも、「偽装請負」です。
 単に肉体的な労働力を提供するのは、請負にはなりません。
 ○ 「偽装出向」 前述のように、出向者は、出向元、出向先双方と雇用契約関係が必要。「出向」という形をとっていても、出向先と雇用関係がなければ、「出向」要件を満たしていないので、偽装出向となります。
 出向元と出向先の間に出向契約が結ばれることが前提になります。出向先が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働者との間に雇用関係がある雇用主になります。出向では、雇用と使用は分離していないのです。これに対して、派遣は、派遣元との間にだけ「雇用関係」があり、派遣先との間には指揮命令を受ける「使用関係」だけが生まれることになるわけです。
 
 
◎ 「一人親方」との下請負契約はあり得ないのではないか? 偽装請負か?
 元請─1次下請、1次下請─2次下請、2次─3次、等々、同じなのですが、元請や上位下請がいわゆる「一人親方」との間に下請負契約を結ぶことは、形式上はあり得ても、実体としてはあり得ないのではないか? よく考えると、そうなるのではないか?
 というのは、
(請負契約で)元請や上位下請からの指揮命令は、下位下請の現場責任者等事業主の組織をとおし、下位下請の責任者から作業員に行なうものであること。元請や上位下請からの指揮命令が、下位下請の作業員に直接おこなわれることは、偽装請負となる、わけですし、
また、
 職業安定法施行規則第4条が、請負であるためには、次の4条件を全て満たす必要があると、定めているからです。
1 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。
2 作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。
3 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。
4 自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
東京労働局などのまとめによると、偽装請負のパターンは五つだとのことです。建設業にあてはめると、次のように表現できるのではないかと思います。
@ 請負という形式を装いながら、実体は、元請が下請の労働者を、また上位下請が下位下請の労働者を、直接指揮命令するもの。
A 実体は、元請が下請の労働者を、また上位下請が下位下請の労働者を、直接指揮命令しているが、書類上、下請業者や下位下請業者を現場責任者として、その責任者に指揮命令しているように装い、違法をのがれようとするもの。
B 社員と複数の請負や派遣労働者が混在するなかで、同じ作業をしていながら、どこに雇われているのか、誰が責任者かもわからなくなってしまうパターン。
C 「一人親方」のように、一人で工事を請け負っている形式にしてしまうもの。
D 派遣会社からの出向という形をとるもの。旧労働省は1986年の告示で、法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、目的が派遣にあるときは偽装請負であるとしている、とのことです。
 上記のCのパターンが偽装請負だとすれば、やはり一人親方との下請負契約というのはあり得ない、ということになるのではないかと思います。
 
 
◎ 偽装請負と派遣法・建設業法・労働安全衛生法 下請への打撃?
1 偽装請負と派遣法・建設業法・労働安全衛生法
 みなとみらい労働法務事務所の 菊一 功 所長の講演を聞くことができました。「偽装請負に関連して派遣法・建設業法・労働安全衛生法の接点」というようななかみの講演でした。また、同氏の書いた『偽装請負 労働安全衛生法と建設業法の接点』(労働新聞社)を読みました。以下に、印象に残ったところを、羅列します。
○ 請負代金が「労務単価×人数×日数・時間数」となっていると、請負とは言えない。同時に、請負代金が「労務単価×人数×日数・時間数」となっているというだけで、派遣である、ということにはならない。
○ (請負契約で)元請からの指揮命令は、下請現場責任者等事業主の組織をとおし、その責任者から作業員に行なうものであること。元請からの指揮命令が、下請の作業員に直接おこなわれることは、偽装請負となる。
 同時に、元請が下請現場責任者等事業主の組織に指揮命令をおこなわないことは、丸投げ(一括下請負)を意味する。
○ 建設工事の施工体制で、1次下請が元請との打ち合わせの結果を2次下請に伝えるだけの行為をおこなっているだけでは、1次下請は当該工事に実質的に関与しているとは言いがたく、丸投げに該当する可能性が高い。
○ 下請が現場に形式的に責任者を置いて、元請の指示を下請の個々の労働者に伝えるだけでは、元請が下請の個々の労働者に直接指示しているのと同じ。偽装請負のパターン。
○ 派遣労働者・在籍出向者の監理技術者・主任技術者は違反。監理技術者・主任技術者は、工事を請け負った建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係(3ヶ月以上の雇用関係)が必要。移籍出向は認められるが、一つの工事のみの短期間の移籍出向の場合は違反となる。
○ 派遣元のみ処罰……派遣法違反
 1 建設業で禁止されている労務者の派遣をした場合。
 2 偽装請負を行なった場合。
 派遣法の処罰対象は派遣元であり、派遣先は対象外である。しかし、理論的には、派遣先についても共犯として派遣法違反で立件される可能性はある。
○ 派遣元と派遣先の双方を処罰……職業安定法違反
 1 二重派遣の場合。
 2 労働者供給事業を行なった場合。
○ 建設業者が派遣法違反、職業安定法違反で罰金刑を受けると……建設業許可不更新(5年)
○ 下請が派遣労働者を使用したときの元請の責任
 建設業法による「指示処分」の対象となるおそれがある。
○ 建設業務への労働者派遣は解禁されていないが、建設業は、重層下請構造になっていて、1次下請、2次、3次と重層化が進むにつれて、単に労働者のみ現場に入れ、責任者が不在の状態となり、請負か派遣か区別がつかなくなっているのが実態である。
○ 元請が下請労働者を直接指揮命令すると、そこに元請との使用従属関係が発生し、黙示(もくし)の労働契約が成立する。
○ 派遣法施行以来、派遣法を適用して、元請の下請労働者に対する事業者責任を追及される事案が多くなってきた。行政や裁判所は、元請が下請労働者を直接指揮命令している場合、請負を否定した上、派遣労働者として認定して、派遣先としての事業者責任を元請に負わせている。
○ 災害が発生すると、安全措置義務違反と安全配慮義務違反に関して、重層請負での元請の責任が厳しく追及される事案が多くなっている。
○ 偽装請負は、労働者供給との考えもあるが、行政は派遣として扱っている。
○ 派遣と労働者供給の違いは、自己の労働者であるか否かであり、労働者供給は労働者の供給先と労働者の間に雇用関係があるのが特徴である。
2 下請への打撃?
(1) 処罰されるのは?
 みなとみらい労働法務事務所の 菊一 功 所長の講演や著書でも述べられていましたが、派遣法違反で処罰されるのは派遣元のみで、職業安定法違反のときは派遣元、派遣先の双方が処罰されます。
 菊一功氏は次のように整理しています。
○ 派遣元のみ処罰……派遣法違反
 @ 建設業で禁止されている労務者の派遣をした場合。
 A 偽装請負を行なった場合。
 派遣法の処罰対象は派遣元であり、派遣先は対象外である。しかし、理論的には、派遣先についても共犯として派遣法違反で立件される可能性はある。
○ 派遣元と派遣先の双方を処罰……職業安定法違反
 @ 二重派遣の場合。
 A 労働者供給事業を行なった場合。
○ 建設業者が労働者派遣法違反、職業安定法違反で罰金刑を受けると……建設業許可不更新(5年)
○ 下請が派遣労働者を使用したときの元請の責任
 建設業法による「指示処分」の対象となるおそれがある。
○ 派遣法施行以来、派遣法を適用して、元請の下請労働者に対する事業者責任を追及される事案が多くなってきた。行政や裁判所は、元請が下請労働者を直接指揮命令している場合、請負を否定した上、派遣労働者として認定して、派遣先としての事業者責任を元請に負わせている。
(2) 下請への打撃?
 建設現場の重層下請構造下で、偽装請負、派遣法違反を追及していくと、下請が派遣元で元請が派遣先になっているわけですから、徹底的に追及すると、理論上、派遣元である下請のみが処罰され(懲役または罰金)、建設業許可不更新(5年)という致命的打撃を受けることになります。
 また、職業安定法違反(二重派遣、労働者供給)で徹底的に追及していくと、派遣元、派遣先の双方が処罰され、言い換えると下請、元請の双方が処罰され(懲役または罰金)、元下の双方が建設業許可不更新(5年)という致命的打撃を受けることになります。
 少なくとも、理論上は、そうなるわけであり、下請への打撃を結果します。偽装請負等を追及していく上で、注意すべき点だと思います。
 その意味で、重層下請構造の解消・廃止の追求、一括下請負(丸投げ)の追及、「元請の特定建設業者の通報義務」の追求と同じ側面を持っています。
 「諸刃(もろは)の剣(つるぎ)」なのです。
建設業法22条の1 建設業者は、その請け負った建設工事を、如何なる方法をもってするを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
建設業法22条の2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。
建設業法24条の6の第1項 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
建設業法24条の6の第2項 前項の特定建設業者は、その請け負った建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
建設業法24条の6の第3項 第1項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
 
更新日時:
2008/08/21

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Last updated: 2010/3/12