COLUMN

何でもコラム
個人の尊厳、生命の絶対的尊重、両性の本質的平等のために
―――  「偽装請負、違法派遣、労働者供給、出向」関連  ―――
―――― 「偽装請負、違法派遣、労働者供給、出向」関連 ――――
海野和夫
 
◎ 派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(厚生労働省パンフ)と労働者性
(以下は、「派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(厚生労働省パンフ)」です。これは、「請負とは」の基準を示しています。示された基準を全て満たす場合のみ請負です。逆に言うと、一つでも欠落していれば請負ではない、ということです。これを工夫して使えば、形式上「一人親方」、「事業主」の労働者性の証明に活用できる可能性があります。一つでも欠けていれば「請負」ではないということは、逆に言うと「労働者」だということにつなげていく、少なくとも可能性、展望は存在します。何しろ一つでも欠けていればいいわけですから、「請負」否定の点では――海野)
「派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(厚生労働省パンフ)」
T 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること
 1 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うこと
  @ 労働者に対する仕事の割り付け、順序、緩急の調整等を自ら行っている
  A 業務の遂行に関する技術的な指導、勤惰点検、出来高査定等について、自ら行っている
 2 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うこと
  @ 労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等について事前に注文主と打ち合わせている
  A 業務中に注文主から直接指示を受けることのないよう書面が作成されている
  B 業務時間の把握を自ら行っている
  C 労働者の時間外、休日労働は業務の進捗状況をみて自ら決定している
  D 業務量の増減がある場合には、事前に注文主から連絡を受ける体制としている
 3 企業秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うこと
  @ 事業所への入退場に関する規律の決定及び管理を自ら行っている
  A 服装、職場秩序の保持、風紀維持のための規律の決定及び管理を自ら行っている
  B 勤務場所や直接指揮命令する者の決定、変更を自ら行っている
U 請負業務を自己の業務として契約の相手方から独立して処理すること
  @ 事業運転資金等をすべて自らの責任の下に調達・支弁(支払)している
  A 業務の処理に関して、民法、商法その他の法律に規定された事業主としての全ての責任を負っている
  B 業務の処理のための機械、設備、器材、材料、資材を自らの責任と負担で準備している又は自らの企画又は専門的技術、経験により処理している
  C 業務処理に必要な機械、資材等を相手方から借り入れ又は購入した場合には、別個の双務契約(有償)が締結されている
 
 
◎ ――― 建設業での派遣問題、偽装請負問題などについて ―――
(先日、千葉土建一般労組の三楠正広氏から「建設における『違法派遣』・『偽装請負』問題 実情と対策、トラブル解決のポイント」と題して講演を聞く機会がありました。その一部を以下に紹介します――海野)
○ 1985年 26業種に限定し、労働者派遣法を制定し、派遣を認めた。
○ 1999年 建設・港湾・警備・製造・医療業務の5業務以外は全て派遣を認める。但し、「建設業務」を「建設工事の現場において直接これらの作業に従事するものに限られる」とし、「建設現場の施工管理業務、事務員」を「建設業務」から除外し、派遣を認めた。
○ 2004年 製造業務を解禁、医療の一部も認める。
○ 2005年 「建設業務労働者就業機会確保事業」の「送出労働者」に該当する場合は認めた。
 「送出労働者」とは、「事業主が自己の常時雇用する建設業務労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他の事業主の指揮命令を受けて、当該他の事業主のために建設業務に従事させる労働者」
○ 労働者派遣の仕組み
 労働者派遣とは、派遣元事業主の雇用する労働者を派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させること。
 派遣元と派遣労働者の間に雇用関係があり、派遣元と派遣先の間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、派遣先は派遣労働者を指揮命令する。
 労働者派遣事業には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の2種類がある。
 特定労働者派遣事業とは、常用雇用労働者(派遣元が常用雇用している労働者)を派遣する事業であり、厚生労働大臣に届出する。(人材派遣を特定の派遣先に派遣する「専ら派遣」は認められていない)
 一般労働者派遣事業とは、登録型(派遣元に登録しておき、派遣先に派遣する際に派遣元が雇用する)や臨時・日雇の労働者を派遣する事業であり、厚生労働大臣の許可を受ける。
○ 出向
 出向の場合、利益を求めてはならない。業として行えば、派遣法違反となる。
 ゼネコン:「出向」扱いで下請から元請へ派遣させていた。これが「違法行為」と行政から指導され、一斉に下請に「特定労働者派遣事業の届出」を出させている。
○ 労働者供給事業
 労働者供給とは「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当する者は含まない」(職安法第4条第6項)
 供給元と労働者の間に雇用関係がないもの、供給元と労働者の間に雇用関係がある場合でも供給先に労働者を雇用させることを約して行われるものは、職安法第44条に基づき「労働者供給事業」として禁止。労働者を継続的に支配下に置いて他人に使用させる点で、労働者の強制、中間搾取、使用者責任の不明確化などの弊害があり、職安法44条により禁止されている。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合だけである。
○ 職業紹介
 職業紹介とは、求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立を斡旋(あっせん)すること。
 改正建設労働者雇用改善法により、建設業で有料職業紹介事業が行えることとなった。
○ 請負と労働者派遣の区分をめぐる問題
 @ 請負とは
 注文者と請負業者との間で業務の遂行とそれに対する対価の支払いを約する契約をすること。注文者が請負業者の従業員に指揮命令することは偽装請負(請負契約名目で実質派遣を行うこと)となり、派遣法に反する違法派遣となる。
 A 「偽装請負」とは
 派遣法に基づいて、許可・届出がある派遣元事業者が行わなければならない労働者派遣事業を、請負・業務委託契約の名目を利用して法の規制を受けずに行う契約形態。派遣か請負かの区分は、契約の名目ではなく、実態で判断する。
 B 請負と派遣との区分の基準(昭和61年4月17日 労働省告示37号)
(この告示は、請負形式、請負名目であっても派遣に該当する場合を明らかにする基準です。告示に示された基準を全て満たす場合のみ請負です。違反があれば派遣に該当し、違法派遣となります。告示の内容は「請負とは」を示しています)
(以下は、厚生労働省パンフ、東京労働局パンフからの抜粋です。前述のように、「請負とは」の基準を示しています。示された基準を全て満たす場合のみ請負です)
 1 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用する者であること。
  ・ 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
  ・ 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
  ・ 企業での秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うこと。
 2 請負契約で請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。
 ・ 業務の処理に要する資金につき、全て自らの責任の下に調達し、かつ、支弁(金銭を支払うこと)すること。
 ・ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としての全ての責任を負うこと。
 ・ 単に肉体的な労働力を提供するものではないこと。
 ・ 業務の処理のための機械、設備、材料、資材を自らの責任と負担で準備している、又は処理すべき業務を自らの企画又は専門的技術、経験により処理していること。
 ・ 業務処理に必要な機械、資材等を相手方から借り入れ又は購入した場合には、別個の双務契約(有償)が締結されていること。
○ 二重、多重派遣
 二重労働者派遣とは、派遣先に労働者派遣するために、第三者から労働者派遣を受け入れ、それを派遣先に再派遣することを言う。
 二重派遣は、雇用していない労働者を派遣することから、労働者供給に該当し、業として行えば、職安法の労働者供給事業違反となります。
 
 
◎ ―――労働者の「派遣」とは何か 少しまとめてみました―――
 いま、「偽装請負」問題をマスメディアが大きく取り上げています。「請負」、「雇用」、「派遣」とよく出てくる言葉ですが、その意味とか相違を考えると、そう簡単ではありません。一番わかりにくいと思われる「派遣」について、今回少しまとめさせていただき、「請負」、「雇用」、「派遣」の相互の区別を少しでも明らかにできればと考えます。
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Wikipediaのサイトを見ると、以下のように解説されています。
偽装請負とは、契約上(形式上)は業務請負であっても実態が人材派遣に該当するものを指す。
業務請負の場合、本来はメーカーなどの顧客から仕事の発注のみが行われ、請負側は作業責任者を置き、配下に人員がいる場合は作業指示を行うのは請負側である。偽装請負となるのは、請負側が人の派遣のみを行って責任者がいないか実質的に機能しておらず、顧客の正社員が作業指示を行っている状態を指す。
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 「派遣」とは何かについて、『疑問・トラブルにこの1冊! 派遣労働法便利事典』(著者 小見山敏郎氏 発行所 こう書房)を参考にして、それに基づいて、以下に書かせていただきました。
 「労働者派遣は、募集・面接・選考から労働保険・社会保険の手続き、給与計算に至るまでの事務手続きを自ら行う必要がないため、総務部門に人員を配置する余裕のない中小企業や、起業間もないベンチャー企業などにも、大きなメリットのある制度」と言われています。
 派遣とは、派遣元が、派遣元と雇用関係のある派遣労働者を、派遣先との契約に基づいて、派遣先の指示のもとで就労させる形態をいいます。つまり、実際に労働が行われている派遣先と派遣労働者のあいだに雇用関係はありません。
 派遣とは、自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることです。
 派遣元事業主と派遣労働者には雇用関係があり、派遣元は事業主としてさまざまな責任を負っています。
 労働者派遣契約では、雇用する事業主(派遣元事業主)は、賃金は支払いますが、自ら使用することも、指揮命令することもありません。
派遣が禁止されている業務は、@港湾運送業務、A建設業務、B警備業務、C派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、行政書士、等々)
 許可や届け出を行っている派遣事業者でも、他の派遣事業者から派遣された者をさらに第三者へ派遣する「二重派遣」行為は違法です。
 ストライキ対策としての派遣労働者の導入は、禁止されています。(派遣法24条)
 派遣先事業所と派遣労働者の間には雇用関係が存在しないため、派遣先で労働・社会保険に加入させることはできません。
 社会保険料の納付義務は、雇用主である派遣元にあります。
 派遣労働者が派遣先で労働災害にあった場合は、派遣元の労災保険を使って補償を行うこととされています。しかし、その労働災害の原因が、派遣先の施設に欠陥があったとか、派遣先の不適切な命令で危険な作業を行わせたような場合には、派遣先は、労働安全衛生法違反に問われる場合があります。また、労災で補償されるのは労働基準法上の補償部分ですから、それを超える補償や慰謝料などの民事上の責任を、労働災害にあった派遣労働者が訴えた場合は、その部分について派遣先への追及がなされることもあり得ます。
 派遣先と派遣労働者の間には、雇用関係がありません。派遣労働者に対し賃金支払いの義務を負っているのは派遣元であり、派遣先に必要なのは派遣元への派遣料金の支払いだけです。
 派遣事業には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の二種類があります。
「一般労働者派遣事業」 派遣労働者として働くことを希望する者をあらかじめ登録しておき、具体的な派遣先が決まり、実際に労働者派遣が行われる期間だけ、雇用するという形態です。
「特定労働者派遣事業」 常時雇用する者だけを派遣する形態です。
 「一般労働者派遣事業」では、派遣労働者としての登録をしても、常に派遣労働者としての仕事があるわけではありません。仕事がない間は雇用関係もなく、実際に派遣されることになってはじめて、その期間だけ派遣元と雇用契約を結んで雇用され、賃金が支払われるわけです。このような形態は、「特定労働者派遣事業」に働く者と比べると、雇用が不安定な状態になることは明らかです。
 コスト削減などの面から、自社で労働者を直接雇用するのではなく、子会社として派遣会社をつくり派遣労働者を受け入れることは、雇用によって生じるさまざまな責任を回避しようとすることに他ならず、本来の派遣のあり方とは言えず、原則として認められません。
 派遣労働者にも、労働基準法や労働安全衛生法などの労働者保護規定は適用されます。
 
 
◎ 請負労働、偽装請負、労働者派遣
1、はじめに
 「請負を偽装した労働者派遣が建設現場に横行している」、「建設現場事務所に暴力団が常駐している」と今、言われています。このような事態がさらに広がっていくのではないかと懸念されています。
 是正の一助になればと願い、請負、偽装請負、労働者派遣の問題を少しまとめてみました。
2、請負、偽装請負、労働者派遣の違い、区別
(1)労働者派遣事業
 派遣元=労働者を派遣する側、派遣先=労働者を派遣される側。
 労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働させることを業として行うことを言います。労働者派遣事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(略称「労働者派遣法」)の適用を受けます。
 派遣元と労働者の間に雇用関係のないもの、及び派遣元と労働者との間に雇用関係がある場合であっても、派遣先に労働者を雇用させることを約して行われるものについては、法律で禁止されています。
 派遣元と労働者の間に雇用関係があり、派遣先と労働者との間に指揮命令関係しか生じさせないような形態についてだけ労働者派遣事業として、「労働者派遣法」による規制の下に行うことができるようになっています。
(2)請負と労働者派遣
 請負と労働者派遣との違いは、請負には、注文主と労働者との間に指揮命令関係を生じないという点にあります。請負の場合、注文主と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間には雇用関係が存在しますが、注文主と労働者との間には雇用関係も指揮命令関係も生じません。
(3)労働者派遣事業を行うことができない業務
 @港湾運送業務、A建設業務、B警備業務、C病院等での医療関係の業務等々の業務については、労働者派遣事業を行うことはできません。  
(4)偽装請負
 前述のように、注文者(注文主)と請負事業者との間に請負契約が成立し、請負事業者と労働者との間に雇用関係、指揮命令関係の両方が存在し、注文者と労働者との間には雇用関係も指揮命令関係も存在せず、労働者は注文者との関係ではただ業務を遂行するだけという場合、適法な請負事業になります。
 そして、注文者(注文主)と請負事業者との間に請負契約が成立し、請負事業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者と労働者との間に指揮命令関係が存在する場合は、「偽装請負」となり、要するに労働者派遣となります。
注文者(注文主)と請負事業者との間に請負契約が成立し、請負事業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者従業員が請負人従業員を指揮命令している場合も、同様に「偽装請負」となり、労働者派遣となります。
3、「赤旗」記事から
 2006年3月23日「赤旗」記事によると、日本共産党の小池晃参院議員が2006年3月22日、参院厚生労働委員会で請負労働、偽装請負の問題を質問、追及しています。記事全文を下記に載せておきます。
―――正規求人増というが
4分の1が請負労働(製造業)
小池氏追及 違法横行、是正求める
 求人の4人に1人が請負の仕事。日本共産党の小池晃参院議員が追及した(2006年3月)22日の厚生労働委員会で、そんな雇用実態が明らかになりました。小池氏の質問に厚生労働省が答えたものです。
 小池氏は、(2006年3月)3日に発表された労働力統計をもとに、けた違いに正規雇用が減り、非正規雇用が増えている状況をただしました。この4年間に正規労働者数は計115万人減る一方、非正規労働者数は計182万人増加し、過去最多になっています。
 小池氏は、厚労大臣が増えたといっている正規労働者の就職数には作業現場が別会社になって転々と移動する業務請負の求人が含まれているとして、同省が今年1月に調査した製造業における新規求人数に占める業務請負の割合を明らかにするよう求めました。
 同省が明らかにした数字によると、全国平均は24.7%と4人に1人が請負の求人になっていました。地域別では一番高いのが九州地域の33.9%です。次いで東北31.1%、東海29.5%と軒並み3割前後に達しています。
 小池氏は、確かに求人全体では求人倍率は1倍を超え、正社員も増える変化はあるとはいえ、依然として0.67倍にとどまり、厳しい状況に変わりないとのべました。
 しかも、正社員の枠で募集されている請負労働者は、労働基準法や派遣法違反が常態化し、とても正社員の雇用と呼べない職場環境で働かされていると指摘しました。
 小池氏は「請負求人の高い地域も含め全国調査を実施し、全容を明らかにし、法違反を是正することが必要ではないか」とただしました。
 鈴木直和・職業安定局長は「今後、大都市部以外も調査したい」と答えました。
(「赤旗」の解説)「業務請負」=メーカーなどの製造ラインや営業業務を一括して受託し、自社で業務遂行責任を負うアウトソーシング(外部委託)型のビジネス。しかし、業務請負とは名ばかりで実態は派遣法逃れの偽装請負(実態は派遣)が多く労働者は無権利状態に置かれています―――
 
 
◎ ―――――  労働者供給、労働者派遣、労働者送出  ―――――
 「労働者供給」というのは、一言で言うと、自分が雇用していない労働者を他人に提供(供給)して利益を得ることです。「労働者供給」は、職業安定法44条によって、原則、禁止されています。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう場合だけです。
 「労働者派遣」は、自分の雇用している労働者を他人に提供(派遣)して利益を得ることです。原則、解禁されていますが、労働者派遣法59条によって、建設業務と港湾運送業務への「労働者派遣」は禁止されています。
 「労働者供給、労働者派遣、労働者送出」の中で、建設業務で唯一認められているのが、「労働者送出」です。
「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」(建設労働法)第31条によって、建設業務への労働者送出が認められています。自分が雇用する労働者を他人に提供(送出)して利益を得るという点で「労働者派遣」と似ていますが、以下のように「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」(建設労働法)第31条に書かれているように、いろいろな条件を満たす必要があり、使いづらいということで現実には、「労働者送出」は広がりを見せていないようです。
建設労働法第31条第1項  建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行おうとする事業主は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
同第2項  前項の許可を受けようとする事業主は、次に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
1  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
2  法人にあっては、その役員の氏名及び住所
3  建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行う事業所の名称及び所在地
4  雇用管理責任者の氏名及び住所
同第3項  前項の申請書には、建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書、当該事業に係る実施計画について認定があったことを証する書面その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
同第4項  前項の事業計画書には、厚生労働省令で定めるところにより、建設業務労働者就業機会確保事業(労働者送出事業)を行う事業所ごとの当該事業に係る送出労働者の数、建設業務労働者の就業機会確保(労働者送出)に関する料金の額その他建設業務労働者の就業機会確保(労働者送出)に関する事項を記載しなければならない。
同第5項  厚生労働大臣は、第1項の許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
 また、建設労働法第45条には、次のようにさだめられています。
建設労働法第45条  受入事業主がその指揮命令の下に労働させる送出労働者の当該建設業務労働者の就業機会確保(労働者送出)に係る就業に関しては、当該送出事業主を当該受入事業主の請負人とみなして、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定(同法第3条に規定する労災保険に係る労働保険の保険関係に係るものに限る。)を適用する。(アンダーラインは海野)
アンダーラインの箇所の意味するものは、送出された労働者の、受入事業主と送出事業主の関係を請負契約の関係とみなすということです。これにより、受入事業主が元請であれば、受入事業主の労災保険が適用になるし、また受入事業主の上に元請がいる場合は、その元請の労災が適用になる、そういうことになるわけです。この部分は、元請責任を明確にすべきだという全建総連の要求にもとづいてそうなったものです。
 
 
◎ 大手企業交渉での「偽装請負、派遣、労働者供給」関係の要求について
全建総連関東地協の大手企業交渉での「偽装請負、派遣、労働者供給」関係の要求として、次のような趣旨のものが、かかげられています。
@ 「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。ただちにやめてください」
A 「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 @、Aともわかりづらいとの指摘を受けています。
 少しかじって、食べてみて、少しでもわかりやすく説明できたらと思い、以下を記述します。
@ 「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。ただちにやめてください」
 元請と雇用関係にある労働者を元請の指揮命令の下に労働させる行為は、言うまでもなく適法な行為です。この労働者を「応援」に入れたのだとすれば、その賃金を「応援手間」として赤伝で差し引く行為が、ただちに違法行為になるわけではありません。国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』によれば、元請が赤伝で一方的に差し引く行為は建設業法違反のおそれがあります。
 元請と請負関係にある労務費であれば、言い換えると、別の下請と請負契約を結び、その下請を「応援」に入れたということであれば、その分を「応援手間」として赤伝で差し引く行為が、ただちに違法行為になるわけではありません。前述のように、国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』によれば、元請が赤伝で一方的に差し引く行為は建設業法違反のおそれがあります。
 自らと雇用関係にない労働者を供給する行為は、「労働者供給」として職業安定法44条によって禁止されています。同様に「『労働者供給』として供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為」も、職業安定法44条によって禁止されています。
(禁止の例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう「労働者供給」だけです)
 別の業者等が自分と雇用関係にない労働者を供給し、供給されたその労働者を元請が自らの指揮命令の下に労働させ、その分を『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法第44条違反)のおそれがあります。
なお、別の業者等が自分と雇用関係にある労働者を提供し、提供されたその労働者を元請が自らの指揮命令の下に労働させたとすれば、それは、労働者派遣法59条が禁止する建設業務への労働者派遣となり、違法派遣となります。
@の要求については、次のように、「元請と雇用関係にない労働者の賃金や元請と請負関係にない労務費を、『応援手間』として元請が赤伝で差し引く行為は、『労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる行為』(職業安定法44条違反)のおそれがあります。また、労働者派遣法59条が禁止する建設業務への労働者派遣(違法派遣)のおそれがあります。ただちにやめてください」とアンダーラインの部分を追加したほうがわかりやすいでしょう。
A 「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 Aについては、以下のように「建設業務への違法派遣」を追加するとわかりやすくなります。(@の場合もそうでしたが)
「建設現場では、下請の労働者を元請が、自社の作業員として名簿登録し作業指揮を直接行ったり、下請の労働者に自社のヘルメットを提供し自社の作業員と同様に作業指揮を行ったり、あるいは単なる肉体的な労働力の提供だけであったり、請負といえる基準に該当しない事例が見られます。これらは『労働者供給事業』、『偽装請負』、『建設業務への違法派遣』のおそれがあります。『労働者供給事業』、『偽装請負』、『建設業務への違法派遣』と判断された場合の元請責任を明確にしてください」
 厚生労働省の示す基準によれば、「単に肉体的な労働力を提供する」場合は請負に該当しません。
 
 
◎ ―――――  労働者派遣 労働者供給 職業安定法  ―――――
職業安定法第64条は、「職業安定法第44条の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」とさだめています。
 それでは、職業安定法44条の規定とは何か?
 職業安定法第44条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
職業安定法第45条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 上記の職業安定法64条、44条、そして45条を総合してとらえると、次のようになるのがわかります。
 労働者供給事業をおこなったり、労働者供給事業をおこなう者から供給される労働者を自らの指揮命令のもとに労働させたりすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる、ということです。ただし、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受け、かつ無料でおこなう場合は、労働者供給事業をおこなうことができる、ということです。
 労働組合が許可を受けて無料でおこなう場合を除いて、労働者供給事業をおこなうことは、懲役刑をもって罰せられるような犯罪だということです。職業安定法はこのように厳しく、労働者供給事業を禁止しています。
 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)も違反行為に対して、同様の罰則を設けています。
労働者派遣法第59条は、以下の者を1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する、とさだめています。
 ○ 港湾運送業務や建設業務で労働者派遣事業をおこなった者
 ○ 厚生労働大臣の許可を受けないで一般労働者派遣事業をおこなった者
また労働者派遣法第60条は、以下の者を6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する、と定めています。
○ 厚生労働大臣に届出をしないで特定労働者派遣事業をおこなった者
 それでは、労働者供給と労働者派遣との違いは何か? 一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業との違いは何か? 次に説明します。
 三楠正広氏の説明を参考にさせていただくと、以下のようになります。
 @ 労働者派遣 
労働者派遣とは、派遣元事業主の雇用する労働者を派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させること。
 派遣元と派遣労働者の間に雇用関係があり、派遣元と派遣先の間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、派遣先は派遣労働者を指揮命令する。
 労働者派遣事業には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の2種類がある。
 A 特定労働者派遣事業
 特定労働者派遣事業とは、常用雇用労働者(派遣元が常用雇用している労働者)を派遣する事業であり、厚生労働大臣に届出する。
 B 一般労働者派遣事業
 一般労働者派遣事業とは、登録型(派遣元に登録しておき、派遣先に派遣する際に派遣元が雇用する)や臨時・日雇の労働者を派遣する事業であり、厚生労働大臣の許可を受ける。
C 労働者供給
 労働者供給とは「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当する者は含まない」(職業安定法第4条第6項)
職業安定法第4条第6項 この法律において「労働者供給」とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。
 供給元と労働者の間に雇用関係がないもの、供給元と労働者の間に雇用関係がある場合でも供給先に労働者を雇用させることを約して行われるものは、職業安定法第44条に基づき「労働者供給事業」として禁止。強制労働、中間搾取、使用者責任の不明確化などの弊害があり、職業安定法44条により禁止されている。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合だけである。
 
 
◎ ────── 労働者供給、派遣、出向の区別、相違は? ──────
「労働者供給」というのは、自分が雇用していない労働者を他人に提供(供給)して利益を得ることです。「労働者供給」は、職業安定法44条によって、原則、禁止されています。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう場合だけです。
 「労働者派遣」は、自分の雇用している労働者を他人に提供(派遣)して利益を得ることです。原則、解禁されていますが、労働者派遣法59条によって、建設業務と港湾運送業務への「労働者派遣」は禁止されています。
 出向には2種類あり、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と出向先の会社に籍を移した出向(移籍型出向)があります。「移籍型出向」は要するに、移籍先(出向先)に雇用されるということです。
どちらの会社にも籍がない「出向」は、労働者供給であり、偽装出向になります。また、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で建設業務に従事することは、建設業務への違法派遣となり、偽装出向になります。
 ここで出てくる疑問は、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で働くことが「派遣」だとすれば、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と派遣とが同一になってしまい、どこが違うのか? ということです。
 インタネットで出向を検索してみました。
「民主法律協会派遣労働研究会 派遣労働者の悩み110番相談」HP
<http://www.asahi-net.or.jp/~RB1s-WKT/110.htm>
に、「出向と派遣とはどう違う?」が載っていました。
 要約すると、同HPでは、次のように説明されています。
 (以下の「出向」は全て、「在籍型出向」のことです――海野)
 在籍出向と派遣は、きわめて類似しています。実際にも、また、法的にも出向と派遣を区別するのが難しい事例も少なくありません。
 その会社では「出向」という用語を用いていたとしても、実際には、「派遣」と考えられる場合も出てきます。
 労働省(旧労働省のことだと思います――海野)の解釈では、「出向」とは出向元と出向先の両方で二重の雇用契約が成立するものであるとされています。
労働者にとっては、「出向元との間の雇用契約」と「出向先との間の雇用契約」の二重の雇用契約が成立することになります。出向元と出向先の間に出向契約が結ばれることが前提になります。
この出向契約にもとづいて、出向労働者の労働条件や業務内容などの大枠が決まることになります。「出向先」が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働契約上の相手当事者として雇用関係が存在することになります。つまり、出向では、従来の直接雇用と同様に、「雇用関係」と「使用関係」は分離されていないのです。
 これに対して、「派遣」は、派遣元との間にのみ「雇用関係」が存在し、派遣先との間には指揮命令を受けるだけの「使用関係」のみが生ずることになる、というのが労働省の解釈です。
 この「雇用関係と使用関係の分離」こそ、労働者派遣の最大の特徴であり、労働者にとっては、使用者責任があいまいになる=労働者の権利保障があいまいになる、という点で大きな問題を生む根源なのです。
 
 
◎ ─── 「労働者供給」「派遣」「出向」の区別、相違(2) ───
○ 「労働者供給」というのは、自分が雇用していない労働者を他人に提供(供給)して利益を得ることです。「労働者供給」は、職業安定法44条によって、原則、禁止されています。例外は、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料でおこなう場合だけです。
○ 「労働者派遣」は、自分の雇用している労働者を他人に提供(派遣)して利益を得ることです。原則、解禁されていますが、労働者派遣法59条によって、建設業務と港湾運送業務への「労働者派遣」は禁止されています。
○ 「出向」には2種類あり、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と出向先の会社に籍を移した出向(移籍型出向)があります。「移籍型出向」は要するに、移籍先に雇用される、ということです。
○ どちらの会社にも籍がない「出向」は、労働者供給であり、偽装出向になります。また、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で建設業務に従事することは、建設業務への違法派遣となり、偽装出向になります。
○ ここで出てくる疑問は、もとの会社に籍を置いたまま「出向」先の会社の指揮命令下で働くことが「派遣」だとすれば、もとの会社に籍を置いたままの出向(在籍型出向)と派遣とが同一になってしまい、どこが違うのか? ということです。
○ 「出向」(在籍出向)とは、労働者から見て、「出向元との間の雇用契約」と「出向先との間の雇用契約」の二重の雇用契約が成立することです。言い換えると、出向労働者は出向元と出向先の両方に籍がある、ということです。出向元と出向先の間に出向契約が結ばれることが前提になります。「出向先」が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働者との間に雇用関係がある雇用主になります。出向(在籍出向)では、「雇用」と「使用」は分離していないのです。これに対して、「派遣」は、派遣元との間にだけ「雇用関係」があり、派遣先との間には指揮命令を受ける「使用関係」だけが生まれることになるわけです。
 ○ 従って、出向(在籍出向)の場合、労働基準法107条(労働者名簿)、108条(賃金台帳)にもとづき、出向労働者の労働者名簿、賃金台帳は、出向元、出向先の両方で作成、備え付けなければならないということになるわけです。
「労働基準法第107条」 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
「労働基準法第108条」 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
 
 
◎ 国土交通省中部地方整備局「請負、労働者派遣、労働者供給の違い」
 国土交通省中部地方整備局建政部建設産業課が2003年3月に出した「続『公共工事の発注者等のための建設業法』 施工体制点検時のチェックポイントと留意点」の中に、「『請負』と『労働者派遣事業』、『労働者供給事業』との違い」があります。
 国土交通省の見方を知る上で参考になると思い、以下に要旨を紹介しておきます。
1 請負
「請負」とは、仕事の完成を目的とするもので、注文者と労働者の間には指揮命令関係を生じません。(注文者から受注した請負業者が、労働者を指揮命令する、ということです。発注者と元請との関係では発注者が注文者であり、元請と1次下請との関係では元請が注文者、以下、1次と2次の関係では1次が注文者、等々と連鎖していきます──海野)
2 労働者派遣
「労働者派遣事業」とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。労働者派遣事業は、許可要件等を満たしたものが、許可等を受けた場合に行うことができるものです。(港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係業務は、労働者派遣が禁止されています──海野)
3 労働者供給
 労働者派遣事業は、1986年の労働者派遣法の施行に伴い改定される前の職業安定法44条によって、労働組合が労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除き全面的に禁止されていた労働者供給事業の中から、供給元と労働者との間に雇用関係があり、供給先と労働者との間に指揮命令関係しか生じさせないような形態を取り出し、種々の規制の下に適法に行えるようにしたものです。そのため、現在、職業安定法44条に基づき労働者供給事業として(労働組合が労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除き)全面的に禁止されているのは、以下の2形態に該当するものです。
 @ 供給元と労働者の間に雇用関係がないもの
供給元が雇用関係にはないが親分子分的な封建的支配関係を有する労働者について供給先に労働者を雇用させること(又は指揮命令して使用すること)を約して行われるもの。(「親分子分的な封建的支配関係を有する労働者」に限定し、狭めるのは、間違っているのではないか? 単に「供給元が雇用関係にない労働者について供給先に労働者を雇用させること(又は指揮命令して使用すること)を約して行われるもの」とすべきではないでしょうか? ──海野)
A 供給元と労働者の間に雇用関係があるもの
供給元が雇用関係のある労働者について供給先に労働者を雇用させることを約して行われるもの。(供給元との間に雇用関係があるまま供給先に雇用させることは、労働者供給というより出向(在籍型出向)になります。労働者供給という場合、供給する時点以降、供給元との雇用関係はなくなります。言い換えると、@と同様、雇用していない労働者を供給先に供給するということになるのではないでしょうか? @、Aの2形態ということで分ける意味はないような気がするのですが──海野)
 
 
◎ ── 労働者派遣法が規定する罰則 派遣元 派遣先 ──
 建設業務への労働者派遣は禁止されていますが、建設現場の事務、施工管理業務への派遣は認められています。言い換えると、建設現場の事務員、現場監督は、派遣が認められている、ということです。大手ゼネコン等の回答でも、派遣監督は一定の広がりを見せています。
 そのようなこともあり、以下に、労働者派遣法での罰則を調べてみました。ほとんどの罰則は派遣元にのみ適用されますが、一部、派遣先に適用される罰則もあるのが、わかりました。
○ 労働者派遣法第58条 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。(派遣元のみが罰則の対象です──海野)
 
○ 同第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。(派遣元のみが罰則の対象です──海野)
1.第4条第1項又は第15条の規定に違反した者
2.第5条第1項の許可を受けないで一般労働者派遣事業を行った者
3.偽りその他不正の行為により第5条第1項の許可又は第10条第2項の規定による許可の有効期間の更新を受けた者
4.第14条第2項又は第21条の規定による処分に違反した者
(以下は、第59条に関連する条文または説明です)
「第4条第1項」 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
1.港湾運送業務
2.建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう)
3.警備業法に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
「第15条」 一般派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に一般労働者派遣事業を行わせてはならない。
「第14条第2項」 (厚生労働大臣が一般派遣元事業主に対して一般労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができることを定めた規定です──海野)
「第21条」 (厚生労働大臣が特定派遣元事業主に対して特定労働者派遣事業の廃止又は停止を命ずることができることを定めた規定です──海野)
○ 同第60条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(以下に出てくる第49条の3第2項違反は、派遣元だけでなく派遣先も、罰則の対象です──海野)
1.第16条第1項に規定する届出書を提出しないで特定労働者派遣事業を行った者
2.第22条又は第49条の3第2項の規定に違反した者
3.第49条の規定による処分に違反した者
(以下は、第60条に関連する条文又は説明です)
「第22条」 特定派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に特定労働者派遣事業を行わせてはならない。
「第49条の3第1項」 労働者派遣をする事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、派遣労働者は、その事実を厚生労働大臣に申告することができる。 「第49条の3第2項」 労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者は、前項の申告をしたことを理由として、派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
「第49条第1項」 (厚生労働大臣が派遣元事業主に対して労働者派遣事業の改善を命ずることができることを定めた規定です──海野)
「第49条第2項」 厚生労働大臣が、派遣先に違反がある場合に、派遣元事業主に対して派遣先への労働者派遣の停止を命ずることができることを定めた規定です──海野)
○ 同第61条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。(第41条、第42条、第50条、第51条第1項の違反は、派遣先に罰則が及びます──海野)
1.第5条第2項に規定する申請書、第5条第3項に規定する書類、第16条第1項に規定する届出書又は同条第2項に規定する書類に虚偽の記載をして提出した者
2.第11条第1項、第13条第1項、第19条第1項、第20条若しくは第23条第3項の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は第11条第1項若しくは第19条第1項に規定する書類に虚偽の記載をして提出した者
3.第34条、第35条、第35条の2第1項、第36条、第37条、第41条又は第42条の規定に違反した者
4.第50条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
5.第51条第1項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
(以下は、第61条に関連する条文又は説明です)
「第5条第2項に規定する申請書」 (一般労働者派遣事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないので、そのために提出する申請書──海野)
「第5条第3項に規定する書類」 (第5条第2項に規定する申請書には、一般労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならないことを、第5条第3項は定めています──海野)
「第16条第1項」 特定労働者派遣事業を行おうとする者は、届出書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
「第16条第2項」 前項(第16条第1項)の届出書には、特定労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
「第11条第1項」 (一般派遣元事業主による変更の届出を定めています──海野)
「第13条第1項」 (一般派遣元事業主による事業廃止の届出を定めています──海野)
「第19条第1項」 (特定派遣元事業主による変更の届出を定めています──海野)
「第20条」 (特定派遣元事業主による事業廃止の届出を定めています──海野)
「第23条第3項」 派遣元事業主は、「海外派遣」をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
「第34条」 (派遣元が労働者派遣を行おうとするときは、事前に派遣労働者に就業条件等を明示しなければならないことを定めた規定です──海野)
「第35条」 派遣元事業主は、労働者派遣をするときは、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を派遣先に通知しなければならない。
1.当該労働者派遣に係る派遣労働者の氏名
2.当該労働者派遣に係る派遣労働者に関する健康保険法第39条第1項の規定による被保険者の資格の取得の確認、厚生年金保険法第18条第1項の規定による被保険者の資格の取得の確認及び雇用保険法第9条第1項の規定による被保険者となったことの確認の有無に関する事項であって厚生労働省令で定めるもの
3.その他厚生労働省令で定める事項
「第36条」 (派遣元事業主による派遣元責任者の選任義務を定めています──海野)
「第37条」 (派遣元事業主による派遣元管理台帳の作成義務を定めています──海野)
「第41条」 (派遣先による派遣先責任者の選任義務を定めています──海野)
「第42条」 (派遣先による派遣先管理台帳の作成義務を定めています──海野)
「第50条」 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、必要な事項を報告させることができる。
「第51条第1項」 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
○ 同第62条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第58条から前条(第61条)までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
 
 
◎ ─── 労働者派遣法 職業安定法 罰則について ───
○ 職業安定法44条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。(違反には、職業安定法64条により、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」)
 ○ 職業安定法45条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 上記のように、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けておこなう場合を除き、労働者供給事業は禁止されています。
 また、ここは注意深く把握してほしいのは、職業安定法44条に違反すると、労働者供給をおこなう者も、供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる者も、両者とも職業安定法64条により、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処せられる、という点です。
 ○ 職業安定法64条  次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 (1〜8を略します)
9 (職業安定法)44条の規定に違反した者
 他方、労働者派遣法は、派遣元のみに罰則を適用し、派遣先には罰則がない、と言われています。労働者派遣法を調べてみました。確かにそのようです。
 たとえば、
○ 労働者派遣法4条1項  何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
1 港湾運送業務
2 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう)
3 警備業法に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
○ 労働者派遣法59条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1 (労働者派遣法)4条1項の規定に違反した者
(以下略)
 上記のように、建設業務等に違法派遣した者(派遣元)は罰せられるが、それを受け入れた側(派遣先)に罰則は適用されないということです。
 
 
◎ 建設産業 「労働者供給」 「労働者派遣」 「偽装請負」 「偽装出向」
(以下は、三楠正広さんの書いた論文、資料等を参考にさせていただき、書かせていただきました)
1 労働者供給は禁止
 ○ 労働基準法6条  何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。(違反には、労働基準法118条により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)
 ○ 職業安定法44条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。(違反には、職業安定法64条により、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」)
 ○ 職業安定法45条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 上記のように、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けておこなう場合を除き、労働者供給事業は禁止されています。
2 在籍出向、労働者派遣、請負、業務委託
 「在籍出向」 出向労働者と出向元との間に雇用関係が存在すると同時に出向労働者と出向先との間にも雇用関係が発生するので、出向先の指揮命令の下で、業務に従事させることができる形態。
 「労働者派遣」 派遣契約により、派遣元が雇用する派遣労働者を派遣先の指揮命令の下で、業務に従事させることができる形態。
 「請負」 請負契約の注文者は、請負業者の労働者を指揮命令して業務に従事させることができない。
 「業務委託」 事務処理など業務の処理を委託する形態。業務委託契約の注文者は、受託業者の労働者を指揮命令して業務に従事させることができない。
3 建設業での違法な4形態
 建設業での違法な4形態として、労働者供給、労働者派遣、偽装請負、偽装出向が存在します。
 ○ 「労働者供給」 自分と雇用関係にない労働者を他人に「供給」して、他人の指揮命令を受けて労働に従事させることを、「労働者供給」と言い、前述のように職業安定法44条等によって禁止されています。
 ○ 「労働者派遣」 自分と雇用関係にある労働者を他人に「派遣」して、他人の指揮命令を受けて労働に従事させることを、「労働者派遣」と言います。港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院等での医療関係の業務については、労働者派遣は禁止されています。  
 建設現場での事務や施工管理業務は、「建設業務」に該当せず、労働者派遣が認められています。
建設労働者の雇用の改善等に関する法律(建設雇用改善法)31条が規定する「建設業務労働者就業機会確保事業」の要件を満たせば、「労働者の送出」が建設業でも認められています。
「労働者の送出」 事業主が自己の常時雇用する建設業務労働者を、当該雇用関係の下に、他の事業主の指揮命令を受けて、当該他の事業主のために建設業務に従事させること。建設業で禁止されている「労働者派遣」の例外を形成しています。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)4条  何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
1 港湾運送業務
2 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう)
3 警備業法に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
○ 「偽装請負」 外部から派遣で来てもらっているのに、労働者派遣契約を結ばず、請負契約を装うことです。注文者と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間に雇用関係、指揮命令関係の両方が存在し、注文者と労働者との間には雇用関係も指揮命令関係も存在せず、労働者は注文者との関係ではただ業務を遂行するだけという場合、適法な請負になります。注文者と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者と労働者との間に指揮命令関係が存在する場合は、「偽装請負」となり、要するに労働者派遣となります。注文者と請負業者との間に請負契約が成立し、請負業者と労働者との間に雇用関係が存在していても、注文者の従業員が請負人の従業員を指揮命令している場合も、同様に「偽装請負」となり、労働者派遣となります。
 また、実態としては労働者に業務の指揮命令を行なっている(雇用している)のに、雇用契約を結ばず、請負契約のように装うのも、「偽装請負」です。
 単に肉体的な労働力を提供するのは、請負にはなりません。
 ○ 「偽装出向」 前述のように、出向者は、出向元、出向先双方と雇用契約関係が必要。「出向」という形をとっていても、出向先と雇用関係がなければ、「出向」要件を満たしていないので、偽装出向となります。
 出向元と出向先の間に出向契約が結ばれることが前提になります。出向先が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働者との間に雇用関係がある雇用主になります。出向では、雇用と使用は分離していないのです。これに対して、派遣は、派遣元との間にだけ「雇用関係」があり、派遣先との間には指揮命令を受ける「使用関係」だけが生まれることになるわけです。
 
 
◎ 「一人親方」との下請負契約はあり得ないのではないか? 偽装請負か?
 元請─1次下請、1次下請─2次下請、2次─3次、等々、同じなのですが、元請や上位下請がいわゆる「一人親方」との間に下請負契約を結ぶことは、形式上はあり得ても、実体としてはあり得ないのではないか? よく考えると、そうなるのではないか?
 というのは、
(請負契約で)元請や上位下請からの指揮命令は、下位下請の現場責任者等事業主の組織をとおし、下位下請の責任者から作業員に行なうものであること。元請や上位下請からの指揮命令が、下位下請の作業員に直接おこなわれることは、偽装請負となる、わけですし、
また、
 職業安定法施行規則第4条が、請負であるためには、次の4条件を全て満たす必要があると、定めているからです。
1 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。
2 作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。
3 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。
4 自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
東京労働局などのまとめによると、偽装請負のパターンは五つだとのことです。建設業にあてはめると、次のように表現できるのではないかと思います。
@ 請負という形式を装いながら、実体は、元請が下請の労働者を、また上位下請が下位下請の労働者を、直接指揮命令するもの。
A 実体は、元請が下請の労働者を、また上位下請が下位下請の労働者を、直接指揮命令しているが、書類上、下請業者や下位下請業者を現場責任者として、その責任者に指揮命令しているように装い、違法をのがれようとするもの。
B 社員と複数の請負や派遣労働者が混在するなかで、同じ作業をしていながら、どこに雇われているのか、誰が責任者かもわからなくなってしまうパターン。
C 「一人親方」のように、一人で工事を請け負っている形式にしてしまうもの。
D 派遣会社からの出向という形をとるもの。旧労働省は1986年の告示で、法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、目的が派遣にあるときは偽装請負であるとしている、とのことです。
 上記のCのパターンが偽装請負だとすれば、やはり一人親方との下請負契約というのはあり得ない、ということになるのではないかと思います。
 
 
◎ 偽装請負と派遣法・建設業法・労働安全衛生法 下請への打撃?
1 偽装請負と派遣法・建設業法・労働安全衛生法
 みなとみらい労働法務事務所の 菊一 功 所長の講演を聞くことができました。「偽装請負に関連して派遣法・建設業法・労働安全衛生法の接点」というようななかみの講演でした。また、同氏の書いた『偽装請負 労働安全衛生法と建設業法の接点』(労働新聞社)を読みました。以下に、印象に残ったところを、羅列します。
○ 請負代金が「労務単価×人数×日数・時間数」となっていると、請負とは言えない。同時に、請負代金が「労務単価×人数×日数・時間数」となっているというだけで、派遣である、ということにはならない。
○ (請負契約で)元請からの指揮命令は、下請現場責任者等事業主の組織をとおし、その責任者から作業員に行なうものであること。元請からの指揮命令が、下請の作業員に直接おこなわれることは、偽装請負となる。
 同時に、元請が下請現場責任者等事業主の組織に指揮命令をおこなわないことは、丸投げ(一括下請負)を意味する。
○ 建設工事の施工体制で、1次下請が元請との打ち合わせの結果を2次下請に伝えるだけの行為をおこなっているだけでは、1次下請は当該工事に実質的に関与しているとは言いがたく、丸投げに該当する可能性が高い。
○ 下請が現場に形式的に責任者を置いて、元請の指示を下請の個々の労働者に伝えるだけでは、元請が下請の個々の労働者に直接指示しているのと同じ。偽装請負のパターン。
○ 派遣労働者・在籍出向者の監理技術者・主任技術者は違反。監理技術者・主任技術者は、工事を請け負った建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係(3ヶ月以上の雇用関係)が必要。移籍出向は認められるが、一つの工事のみの短期間の移籍出向の場合は違反となる。
○ 派遣元のみ処罰……派遣法違反
 1 建設業で禁止されている労務者の派遣をした場合。
 2 偽装請負を行なった場合。
 派遣法の処罰対象は派遣元であり、派遣先は対象外である。しかし、理論的には、派遣先についても共犯として派遣法違反で立件される可能性はある。
○ 派遣元と派遣先の双方を処罰……職業安定法違反
 1 二重派遣の場合。
 2 労働者供給事業を行なった場合。
○ 建設業者が派遣法違反、職業安定法違反で罰金刑を受けると……建設業許可不更新(5年)
○ 下請が派遣労働者を使用したときの元請の責任
 建設業法による「指示処分」の対象となるおそれがある。
○ 建設業務への労働者派遣は解禁されていないが、建設業は、重層下請構造になっていて、1次下請、2次、3次と重層化が進むにつれて、単に労働者のみ現場に入れ、責任者が不在の状態となり、請負か派遣か区別がつかなくなっているのが実態である。
○ 元請が下請労働者を直接指揮命令すると、そこに元請との使用従属関係が発生し、黙示(もくし)の労働契約が成立する。
○ 派遣法施行以来、派遣法を適用して、元請の下請労働者に対する事業者責任を追及される事案が多くなってきた。行政や裁判所は、元請が下請労働者を直接指揮命令している場合、請負を否定した上、派遣労働者として認定して、派遣先としての事業者責任を元請に負わせている。
○ 災害が発生すると、安全措置義務違反と安全配慮義務違反に関して、重層請負での元請の責任が厳しく追及される事案が多くなっている。
○ 偽装請負は、労働者供給との考えもあるが、行政は派遣として扱っている。
○ 派遣と労働者供給の違いは、自己の労働者であるか否かであり、労働者供給は労働者の供給先と労働者の間に雇用関係があるのが特徴である。
2 下請への打撃?
(1) 処罰されるのは?
 みなとみらい労働法務事務所の 菊一 功 所長の講演や著書でも述べられていましたが、派遣法違反で処罰されるのは派遣元のみで、職業安定法違反のときは派遣元、派遣先の双方が処罰されます。
 菊一功氏は次のように整理しています。
○ 派遣元のみ処罰……派遣法違反
 @ 建設業で禁止されている労務者の派遣をした場合。
 A 偽装請負を行なった場合。
 派遣法の処罰対象は派遣元であり、派遣先は対象外である。しかし、理論的には、派遣先についても共犯として派遣法違反で立件される可能性はある。
○ 派遣元と派遣先の双方を処罰……職業安定法違反
 @ 二重派遣の場合。
 A 労働者供給事業を行なった場合。
○ 建設業者が労働者派遣法違反、職業安定法違反で罰金刑を受けると……建設業許可不更新(5年)
○ 下請が派遣労働者を使用したときの元請の責任
 建設業法による「指示処分」の対象となるおそれがある。
○ 派遣法施行以来、派遣法を適用して、元請の下請労働者に対する事業者責任を追及される事案が多くなってきた。行政や裁判所は、元請が下請労働者を直接指揮命令している場合、請負を否定した上、派遣労働者として認定して、派遣先としての事業者責任を元請に負わせている。
(2) 下請への打撃?
 建設現場の重層下請構造下で、偽装請負、派遣法違反を追及していくと、下請が派遣元で元請が派遣先になっているわけですから、徹底的に追及すると、理論上、派遣元である下請のみが処罰され(懲役または罰金)、建設業許可不更新(5年)という致命的打撃を受けることになります。
 また、職業安定法違反(二重派遣、労働者供給)で徹底的に追及していくと、派遣元、派遣先の双方が処罰され、言い換えると下請、元請の双方が処罰され(懲役または罰金)、元下の双方が建設業許可不更新(5年)という致命的打撃を受けることになります。
 少なくとも、理論上は、そうなるわけであり、下請への打撃を結果します。偽装請負等を追及していく上で、注意すべき点だと思います。
 その意味で、重層下請構造の解消・廃止の追求、一括下請負(丸投げ)の追及、「元請の特定建設業者の通報義務」の追求と同じ側面を持っています。
 「諸刃(もろは)の剣(つるぎ)」なのです。
建設業法22条の1 建設業者は、その請け負った建設工事を、如何なる方法をもってするを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
建設業法22条の2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。
建設業法24条の6の第1項 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
建設業法24条の6の第2項 前項の特定建設業者は、その請け負った建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
建設業法24条の6の第3項 第1項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
 
更新日時:
2008/08/21
「不払い解決での元請責任を明記している国・都・県通達」関連
「不払い解決での元請責任を明記している国・都・県通達」関連
海野和夫
 
◎ (紹介)不払い問題での元請責任を明記している国土交通省通達
 参考資料として、不払い問題での元請の特定建設業者の責任を明記している国土交通省通達「下請契約における代金支払の適正化等について」を以下に紹介致します。
この通達の7項「下請業者への配慮等について」に注目して下さい。「元請業者は、下請業者の倒産、資金繰りの悪化等により、下請契約における関係者に対し、建設工事の施工に係る請負代金、賃金の不払等、不測の損害を与えることのないよう十分配慮すること」、「特定建設業者は、建設業法第24条の6、第41条第2項及び第3項の適用があることも踏まえ、下請契約の関係者保護に特に配慮すること」と明記されています。
――――――――――――――――――――
国総入企 第21号
平成18年8月2日
建設業者団体の長 あて
国土交通省総合政策局長
下請契約における代金支払の適正化等について
標記については、従来から元請業者に対する指導方お願いしているところであるが、建設投資が低迷し、厳しい経営環境が続く中、資金需要の増大が予想される夏期を控え、経営基盤の脆弱な中小企業が多数を占める下請業者に対する適正な代金支払等の確保について、その経営の安定・健全性を確保するため特段の配慮が必要である。
国土交通省においては、平成3年2月5日に策定した「建設産業における生産システム合理化指針」(以下「指針」という。)に基づき、適正な契約の締結及び代金支払の適正化等について指導を行ってきたところであり、平成16年6月9日に策定した「建設産業構造改善推進プログラム2004」においても、元請下請取引の適正化に向け、建設業者団体が自主的な取り組みを強化するとともに、行政においても指導を徹底することとしている。
しかしながら、下請代金支払状況等実態調査(以下「下請代金調査」という。)等によれば、徐々に改善しているものの、書面による下請契約が行われていない例や前払金や労務費相当分などの必要な資金についても下請業者に対して適正に支払われていない例のほか、元請業者によるいわゆる「指値」による発注が多く見られるなど、依然としてその改善が遅れている状況が見受けられる。特に、下請契約の内容を変更する場合、当該変更部分の建設工事の開始に先立って書面による契約が行われていない例が多く見られる。
最近の厳しい建設産業の経営環境の中で、とりわけ元請下請取引の適正化が従来にも増して強く求められており、また、それが上位下請と下位下請の取引にも大きな影響を与えている。このことを踏まえ、関係法令や指針等を遵守するほか、下記事項に十分留意し、下請契約における請負代金の設定及び代金支払の適正化等元請下請取引の適正化に一層努められるよう、貴会傘下建設業者に対し、会議や講習会の開催などにより現場事務所に至るまで指導をさらに徹底されたい。
国土交通省においても、立入調査を行い、見積りや契約の方法、前払金の取扱い、支払期日、現金払の比率、手形期間など、元請下請関係の適正化のための指導を行うこととしている。 また、最近、公共工事において、低入札価格調査制度対象工事が増加傾向にあり、下請業者へのしわ寄せが懸念されることから、国土交通省では、今後、下請契約の締結状況や代金の支払状況等について、より詳細な実態把握を行うための立入調査を実施することとしているので、併せて周知されたい。
1.見積り及び契約について
下請代金調査によると、徐々に改善しているものの、依然として下請契約において書面による契約がなされていない例が多く見られることから、建設工事の開始に先立って、建設業法第19条に基づき、建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容を持つ契約書により、適正な工期及び工程の設定を含む契約を締結すること。特に、建設工事が「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」の対象工事の場合は、解体工事に要する費用、再資源化等に要する費用、分別解体等の方法、再資源化等をするための施設の名称及び所在地について書面に記載するよう留意すること。
下請代金の設定については、施工責任範囲、施工条件等を反映した合理的なものとすることとし、そのため、見積依頼書の提示及び建設業法施行令第6条で定める見積期間の設定、明確な経費内訳による見積書の提出、それらを踏まえた双方の協議等の適正な手順を徹底すること。特に、下請代金の見積りに当たっては、賃金等に加えて必要な諸経費を適正に考慮すること。なお、昨今の原油価格の高騰に伴い、材料価格・燃料価格の上昇が懸念される状況にあることから、市場価格を参考にしつつ適切な見積りとなるよう留意すること。
今回、併せて、公共工事設計労務単価を見積り等の参考資料として取り扱う際の留意事項について通達したので、その内容についても、周知徹底を図ること。
なお、見積条件の明確化については、建設生産システム合理化推進協議会において「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の内容の普及促進について申合せがなされているので、当該申合せの周知徹底を図ること。
また、工事内容に変更が生じ、工期又は請負代金を変更する必要があるときは、双方の協議等の適正な手順により書面による契約をもってこれを変更すること。
特に、適切な契約手続きに基づかず、元請下請双方の協議がないまま、建設工事現場で発生する諸費用を下請負代金額から差し引く事例が多く見られることから、これらの諸費用を一方的に下請業者から徴収することのないよう留意すること。
2.前払金について
元請業者が前払金の支払を受けたにもかかわらず、当該前払金を他の建設工事の支払に流用しているなど、受注者に対して資材の購入、建設労働者の募集その他当該前払金に係る下請工事の着手に必要な費用を前払金として支払わない例があるとの指摘がなされているが、前払金を受領した場合には、建設業法第24条の3第2項に基づき、下請業者に対して必要な費用を前払金として適正に支払うよう配慮すること。
特に、公共工事においては、発注者からの前金払は現金でなされるので、企業の規模にかかわらず、前金払制度の趣旨を踏まえ、下請業者に対して相応する額を速やかに現金で前金払するよう十分配慮すること。
また、公共工事に係る前払金については、下請業者(保証事業会社と保証契約を締結した元請業者と下請契約を締結した下請業者に限る。以下この段落において同じ。)の請求により下請業者の口座へ振込が可能なので、この旨を下請業者に対して周知するとともに、保証事業会社と保証契約を締結した元請業者においては、この方式により下請業者に対して前金払を行うよう努めること。 なお、下請業者に対する前払金の適正な支払を確保するため、保証事業会社による監査が行われることになっており、保証契約時に使途内訳明細書に支払先名、支払方法等を明記させ、前払金支払時においては、できる限り下請業者の口座に直接振込を行うことを基本とするが、それによらず立替払とする場合は請求書等により支払先等の確認を徹底することとしている。また、前払金の払出しに係る不適正な取扱いがあった場合は、払い出した前払金を預託口座に払い戻させるなど厳正な措置を講じているところであり、これらの内容についても、周知徹底を図ること。
3.検査及び引渡しについて
元請業者は、下請業者から建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から20日以内で、かつ、できる限り短い期間内に検査を完了すること。
また、検査によって建設工事の完成を確認した後、下請業者からの申し出があったときは、直ちに当該建設工事の目的物の引渡しを受けること。
4.支払期日について
下請契約における代金の支払は、請求書提出締切日から支払日(手形の場合は手形振出日)までの期間をできる限り短くすること。また、注文者から部分払(出来高払)や完成払を受けた時は、出来形に対して注文者から支払を受けた金額の割合に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないことにも留意すること。特に、特定建設業者においては、注文者から支払を受けたか否かにかかわらず、建設工事の完成検査終了後、下請業者からの工事目的物の引渡しの申出の日から50日を経過する日以前で、かつできるだけ短い期間内において支払期日を定めることとしているが、50日というのはあくまで上限の日数であるので、できる限り短くするよう留意すること。
5.支払方法について
下請契約における代金の支払は、できる限り現金払とし、現金払と手形払を併用する場合であっても、支払代金に占める現金の比率を高めるとともに、少なくとも労務費相当分については、現金払とすること。
6.手形期間について
手形期間は、120日以内でできる限り短い期間とするよう従来より通知しているが、120日を超える期間を設定している例も依然として見受けられるので、さらに徹底すること。
また、特定建設業者については、一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならないことにも留意すること。
7.下請業者への配慮等について
下請業者をめぐる最近の厳しい経営環境や、工事の安全性及び品質の確保の必要性に鑑み、元請業者は、下請契約の締結に当たり、必要な諸経費を適正に考慮するとともに、下請業者の資金繰りや雇用確保に十分配慮すること。
また、元請業者は、下請業者の倒産、資金繰りの悪化等により、下請契約における関係者に対し、建設工事の施工に係る請負代金、賃金の不払等、不測の損害を与えることのないよう十分配慮すること。
特に、公共工事や一定の民間工事については、「下請セーフティーネット債務保証事業」による資金調達も可能となっており、その活用による下請業者への支払の適正化に配慮すること。
特定建設業者は、建設業法第24条の6、第41条第2項及び第3項の適用があることも踏まえ、下請契約の関係者保護に特に配慮すること。
8.適正な施工体制の確保について
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律において、公共工事の受注者は、施工体制台帳の写しに二次以下の下請契約の請負代金の額を明示した請負契約書を添付して発注者に提出すること及び施工体系図を公衆が見やすい場所に掲げることが義務付けられているので、遵守するよう徹底を図ること。また、平成16年12月28日に改定された「施工体制台帳等活用マニュアル」においても現場の施工体制の確認の徹底が求められていることも踏まえ、これまで以上に下請契約の適正化に努めること。
9.関係者への配慮について
資材業者、建設機械又は仮設機材の賃貸業者、警備業者、運送事業者等に対しても上記1から8までの事項に準じた配慮をすること。
 
 
◎ 不払い発生の際、元請責任での解決を求める都県通達の紹介
 要望がありましたので、不払い発生の際、元請責任での解決を求める東京都、埼玉県、神奈川県の通達、そして不払い問題での建設業法41条1項に基づく神奈川県知事の勧告を掲載、紹介させていただきます。
(1 埼玉県通達)
                            建 管634号
平成11年8月12日
関係団体の長 様
埼玉県土木部長
施工体制の適正化、下請負人の保護及び建設労働者の
労働条件の改善について(通知)
 県の建設行政の推進につきましては、日頃格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、ご承知のように、建設工事の下請契約の締結にあたっては、これまでも工事の適正な施工、下請負人の保護や建設労働者の労働条件の改善という観点から、不必要な重層下請契約を行わないよう十分な配慮を求めております。
 しかしながら、最近の建設業をめぐる厳しい経済環境の中、重層下請関係において、倒産等による工事代金の不払や労働条件へのしわ寄せなどのケースが依然として多発しております。
 ついては、工事代金の不払の予防や不払が発生した場合等における下請負人の保護、また、資機材業者・建設労働者に対する不当なしわ寄せの防止のため、今後、別記の事項に十分留意いただき、元請・下請関係の健全化及び雇用・労働条件の改善等に努められるようお願い致します。
 また、貴会会員に対しても周知くださるよう重ねてお願い申し上げます。
                 担当  建設管理課
                     紛争相談・業者指導担当 池田
     電話  048−830−5171
FAX 048−830−4867
別記  施工体制の適正化、下請負人の保護及び建設労働者の労働条件の改善について  
1 下請契約は中央建設業審議会が作成した「建設工事標準下請契約約款」又はこれに準拠した契約書で締結すること。また、請負代金の設定については、見積及び協議を行う等の適正な手順によって決定すること。
《下請契約があいまいなままで工事が行われると、請負代金の問題をはじめ、さまざまな面でトラブルを招く原因となります。下請契約は必ず書面で交わし、適正な手順により決定された施工責任範囲や請負代金等を明確にしておく必要があります。》
2 下請契約の締結にあたり、一括下請はもとより、不必要な重層下請契約は行わないこと。また、下請負人の選定にあたっては、「建設産業における生産システム合理化指針」に沿った優良な者を選定するとともに、施工体制台帳を整備すること等により、適正な施工体制の確保を図ること。
《建設工事で不必要な重層下請が行われると、下請代金の不払や欠陥工事などのトラブルの原因となります。下請契約を締結する際は、一括下請はもちろんのこと、不必要な重層下請契約を行わないように十分配慮してください。
また、下請負人の選定にあたっては、再下請負人に対する代金不払を起こすおそれがない者を選定するなど、「建設産業における生産システム合理化指針」を遵守して、適正な評価にもとづく選定を行うとともに、的確に建設工事の施工体制を把握してください》
3 下請関係において、工事代金や労働賃金の不払が発生した場合の対応及び雇用・労働条件の改善については、元請業者が解決に努力する必要があること。
《元請業者は、工事に関して全般的な責任があり、下請業者を指導する立場にあります。したがって、「建設産業における生産システム合理化指針」を遵守し、下請関係で工事代金の不払などの問題が発生した場合は、迅速に対応し、被害者の救済に努める必要があります。
また、建設労働者の雇用・労働条件の改善を図るため、安定的な雇用関係の確立や建設労働者の収入の安定のための賃金の適正な支払等について配慮する必要があります。
なお、具体的な事例での申し入れがあったときには、話し合いなどの環境づくりについて協力をお願いします。》
4 下請代金の支払については、建設業法及び「建設産業における生産システム合理化指針」等に定められた事項を遵守すること。また、新たに導入された「公共工事に係る中間前金払制度」については、制度の趣旨を踏まえその活用に努めるとともに、下請業者への前払金の支払にあたっては経営の安定に資するよう十分な配慮をすること。
《元請業者は、下請代金の支払いについて建設業法や「建設産業における生産システム合理化指針」等を遵守し、下請業者の保護に努める必要があります。
一方、県では、先の総合経済対策本部で決定した「公共工事に係る中間前金払制度」の導入を図り、建設業者の資金繰りの改善と適正な施工の確保に努めております。ついては、元請業者は、一層の前金払制度の活用を図るとともに、下請業者の経営の安定に十分配慮してください。》
(2 東京都通達)
9都市建建第833号
平成9年12月22日
建設業者届出団体
(社)東京建設業協会会長 殿
                       東京都都市計画局     
建築指導部長 佐藤 淳一
建設工事の適正な施工の確保及び下請負人の保護について(通知)
 建設業者届出団体の皆様方には、都の建設業行政の推進、また東京のまちづくりにつきまして格別のご理解とご協力を賜り、心から厚くお礼申し上げます。 
 日本経済の動向は、バブル崩壊以来景気の停滞が続き、都市銀行や大手証券などの金融機関の破綻が相次ぎました。建設業界を取り巻く環境も先に大手ゼネコン等が会社更生法の適用に追い込まれるなど、誠に厳しい現状にあります。
 さて、ご承知のように、建設産業は総合的管理監督機能を担う総合工事業者と直接施工機能を担う専門工事業者が、それぞれ対等のパートナーとして、その負うべき役割と責任を分担しながら生産活動を行っています。
 しかし、現在の厳しさを反映して、最近重層下請負契約関係について、工事代金の支払いの遅延、工事代金の一部カット、また倒産やその影響による工事代金の不払いなどが頻発し、行政庁に対する相談指導件数も増加するなど、憂慮すべき事態を迎えております。
 このため、適正な施工体制の確立、代金支払い等の適正化、下請負人の保護等について、下記の事項に十分留意いただき、元請・下請関係の健全化・適正化に努められるよう、ご通知申し上げますので、よろしくご指導方お願いいたします。
 また、傘下の組合員(支部、協会員)に対しても周知下さるよう重ねてお願い申しあげます。
1、下請契約等は中央建設業審議会が作成した「建設工事標準下請契約約款」又はこれに準じた契約書で締結すること。
 まだまだ口頭や請書、発注書など簡単なメモに近い契約がみられます。請負金額、工事内容、工期、支払い条件など、下請契約があいまいなため、様々な面でトラブルの原因となっています。契約は必ず書面で交わし、請負内容を明確にしておくことがトラブル防止になります。特に追加・変更工事についても書面を作成し、内容を明確にする必要があります。
2、下請契約の締結に当たっては、一括下請はもとより、不必要な重層下請契約は行わないこと。
 また下請負人の選定については、施工能力や経営管理能力等を熟慮しながら、「建設産業における生産システム合理化指針について」(H3.2月建設省通達)に沿って優良な者を選定すること。
 建設工事で不必要に多くの重層下請契約が行われたため、下請代金の不払いや欠陥工事などのトラブルの原因となった事例がみられます。下請契約を締結する際は、一括下請はもちろんのこと、不必要な重層下請契約にならないよう十分に配慮してください。
 また下請負人の選定に当たっては、
 @施工能力、経営管理能力等を的確に把握すること。A賃金の不払い等を起こす恐れがないこと。B取引先企業、再下請負人に対する代金不払い等を起こす恐れがないこと。などを慎重に見極めるとともに、上記建設省通達を守り、適正な評価に基づく選定を行ってください。
3、下請関係において、工事代金や労働賃金等の不払いが生じた場合は、元請業者にも責任があり、その解決に努めること。
 元請業者(特定建設業者)は、下請負業者の施工に対し、適正な施工の確保、下請負人の保護など一般建設業者より元請責任が強く求められています。元請業者は工事に関して全般的な責任があり、下請業者が「法令に違反しない」ための指導や、下請関係で工事代金や労働賃金等の不払いなどの問題が発生した場合は、元請業者としての責任から迅速に対応するなど、適切な措置を講ずる必要があります。
(3 神奈川県通達)
建業年第522号   
平成16年12月13日
各建設業団体の長 殿
神奈川県県土整備部長 
下請契約における代金支払の適正化等について(通知)
 標記については、かねてからご理解とご協力をお願いしているところですが、このたび別添のとおり国土交通省総合政策局建設業課長から通知がありました。
 最近の厳しい経営環境の中で、とりわけ元請下請取引の適正化が従来にも増して強く求められており、またそれが上位下請と下位下請の間の取引にも影響を与えていることを踏まえ、経営基盤の脆弱な中小企業が多数を占める下請業者に対する適正な代金支払等の確保について、その経営の安定・健全性を確保するため特段の配慮が求められています。
 つきましては、下請契約における代金支払の適正化等に一層努められるよう、貴団体会員に対し、この通知の趣旨の徹底と、指導の徹底を図られるようお願いします。
 貴団体の個々の会員が、現場事務所に至るまで、平成3年に示された「建設産業における生産システム合理化指針」を遵守するとともに、上記通知の趣旨に沿った措置をとられるよう、傘下会員に対する指導にあたっては十分留意されるようお願いします。
 特に、下請代金の見積りに当たり、公共工事設計労務単価を見積り等の参考資料として取り扱う際には、当該単価が所定労働時間内8時間当たりの労務単価として設定されたものであって、所定時間外の労働に対する割増賃金や現場管理費、一般管理費等の諸経費は含まれていないことに留意するとともに、この趣旨を踏まえ、下請代金の設定に当たっては、賃金等に加えて必要な諸経費を適正に考慮されるよう併せてお願いします。
 また、特定建設業の許可を受けた者が発注者から直接請け負った建設工事を施工する場合、下請関係において賃金や工事代金等の不払いが生じたときに、建設業法第41条第2項又は第3項の適用があり得ることを踏まえ、元請業者としてその解決に努めるよう、貴団体の特定建設業者に対して周知願います。
(4 建設業法41条1項に基づく神奈川県知事勧告)
建業第310号
平成15年9月16日
平塚市河内370
 株式会社丸山工務所 代表取締役 保 坂 正 和  
大阪市北区西天満2丁目11番8号アメリカンビル3階
 同代理人弁護士 神 田  孝 様
神奈川県知事 松 沢 成 文
勧  告  書
 貴社が元請業者として受注した「あきる野市内赤坂邸新築工事」(以下「本件工事」という。)に関して、貴社の下請業者である船津建設株式会社(以下「第一次下請業者」という。)が倒産したことに伴い、第一次下請業者の下請業者である有限会社揃江工業(以下「第二次下請業者」という。)において、本件工事にかかる下請代金の不払による損害(以下「損害問題」という。)が発生したため、貴社に対する建設業法第41条の規定に基づく立替払等の勧告を求める旨の申し立てが第二次下請業者からありました。
 県としては、下請代金の不払等の問題については、関係当事者間で十分な話し合いが行われそれに基づく解決が基本と考え、この問題に取り組んでまいりました。
 しかしながら、関係当事者間による自主的な解決が進まないという状況、また、元請業者である貴社が、下請契約の関係者保護に配慮が求められる特定建設業者であるという状況を踏まえ、建設業法第41条第1項の規定に基づいて次のとおり勧告します。
 上記損害問題について、特定建設業者である元請業者として、建設業法第41条第3項に規定する適切な措置を講ずることの検討を含め、その解決に向けて適切な対応を図ること。
問い合わせ先             
県土整備部建設業課調査指導班     
山崎 電話 (045)210−6307
 
更新日時:
2008/01/31
「建設業法に基づく立替払が破産法の否認権より優先」裁判、判決、和解
「建設業法に基づく立替払が破産法の否認権より優先」裁判、判決、和解
海野和夫
 
◎ 建設業法41条3項に基づく立替払の優位性を明らかにした東京高裁判決全文
(掲載の要望がありましたので、建設業法41条3項に基づく立替払の優位性を明らかにした東京高裁判決全文を以下に載せておきます。「破産法に基づく否認権よりも建設業法41条3項に基づく立替払いのほうが優位にあること」、「建設業法41条3項は、実際に建設工事を施工した再下請負人の保護を目的としている」、「建設業法41条3項は元請の特定建設業者に対して立替払いを強く要求している」等々を明らかにした画期的判決です――海野)
平成13年(ネ)第2301号 請負代金請求控訴事件(原審・東京地方裁判所 平成12年(ワ)第15360号)
平成13年6月4日口頭弁論終結
判決
東京都港区虎ノ門一丁目1番21号
新虎ノ門実業会館4階 あかつき総合法律事務所
控訴人  破産者株式会社大正屋破産管財人 吉成外史
東京都港区芝浦一丁目2番3号
被控訴人  清水建設株式会社
代表者代表取締役 野村哲也
訴訟代理人弁護士 近藤惠嗣
         柳 誠一郎
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一 控訴の趣旨
 一 原判決を取り消す。
 二 被控訴人は、控訴人に対し、金1455万1000円及びこれに対する平成12年9月6日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
 一 事案の概要は、原判決4頁12行目の「平成12年2月」を「破産会社の支払停止前の平成12年2月」に改め、控訴人の当審における補充主張を次頁のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
 すなわち、本件は、元請会社である被控訴人が、下請会社である破産会社が破産申立てをしたことを知り、それ以前に破産会社との間で締結していた工事下請基本契約(本件約款)に基づき、破産会社の孫請会社に対する債務を立替払し、その結果取得した立替金債権を自働債権として自己の破産会社に対する債務と対当額において相殺した(本件相殺1)事案であるが、争点は、上記立替金債権の取得が破産法第104条第4号但書(中段)にいう「前に生じたる原因」に基づくものということができるか否かである。
 二 控訴人の当審における主張
 本件相殺1は、破産法第104条第4号但書に該当しない。その理由は、次のとおりである。
 1 破産法第104条が相殺についての例外を規定したのは、破産債権者間の公平及び破産財団の減少の防止を図るためであるが、同条第4号但書が更に相殺禁止の例外を規定したのは、破産者の危機状態を認識する以前に生じた相殺期待を保護するためである。したがって、債権者間の公平を図るという同条の趣旨に反しないためには、この相殺期待は保護に値する具体的なものでなければならない。しかるに、本件約款第40条は、「これを立替払することができる。」と規定しているのであって、立替払を義務づけていないから、被控訴人の相殺期待は、抽象的なものにすぎない。そして、孫請会社が有する請負代金回収に対する期待権が大きいことは否定できないが、このことが当然に元請会社の期待権につながるものでもない。
 以上のとおりであるから、被控訴人の有する相殺に対する期待はとうてい保護に値するものとはいえない。
 2 前記のとおり破産法第104条が相殺についての例外を規定したのは、破産債権者間の公平及び破産財団の減少の防止を図るためであるから、同条の趣旨に反しないかどうかを判断するに当たっては、単に被控訴人が実価の低下した債権を買い求めて相殺したか、相殺が被控訴人の現実に立替払した金額と対当額において行われたかを形式的に判断するのではなく、より実質的に、破産債権者間の公平を害しないか、不当に破産財団を減少させないかという観点から判断すべきである。
 この観点から検討すると、本件相殺1の有効性を認めると、本件約款が立替払を義務的なものとはしていない以上、被控訴人に対して恣意的に配当することを認めることになり、破産債権者間の公平はとうてい実現し得ないし、また、相殺が対当額において独占的に債権を回収できる点で別除権者以上に強力な債権回収手段であることから、実質的に被控訴人に対して破産財団を減少させる裁量権を与えることになる。
 3 本件相殺1の有効性を認めると、当事者の約定により、結果的には財団債権を創設したことに等しく、労働債権においても一定の限定の下にしか優先権としての地位が与えられていないことに照らしても著しく不当であり、さらには、破産裁判所の監督なくして債務者による恣意的な配当を認めることになる。また、事案によって否認権の対象になったり、ならなかったりして、運用上の画一性が確保されず、債権者平等の理念にも反する結果になる。
第三 当裁判所の判断
 一 当裁判所も、本件相殺1は破産法第104条第4号但書(中段)の「前に生じたる原因」に基づくものであって有効であり、本件相殺2も有効であるから、被控訴人の控訴人に対する平成13年3月5日の31万8660円の支払により本件請負代金債務はすべて消滅し、したがって、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、控訴人の当審における主張に対する判断を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第3 争点に対する判断」1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。
 二 控訴人の当審における主張に対する判断
 1 破産法第104条第4号本文は、破産宣告の当時破産者に対して債務を負担していた破産債権者の相殺期待を保護するため相殺を許容する同法第98条の例外として、破産者に対して債務を負担している者が、危殆時期に陥り実価の下落した破産者に対する債権を買い求め、これをもって相殺しようとする弊害を防止する趣旨で設けられたものと解されるところ、このような同号の趣旨からすれば、相殺禁止の例外を定めた同号但書(中段)の「前に生じたる原因」とは、債権取得を目的とする法律関係自体のほか、債権取得の効果を生ずべき直接の基礎をなす法律関係をも含むものと解される。そして、本件約款は、被控訴人の下請業者である破産会社が孫請業者に対する請負代金の支払ができない状態となった場合に、元請業者である被控訴人が破産会社に代わって孫請業者に立替払をし、その立替金債権をもって破産会社に対する債務と相殺することを認めるものであるところ、本件約款に基づく被控訴人の立替払及び相殺を認めたとしても、実価の下落した債権を買い求めて相殺に供することにより自己の債務を有利に免れるという弊害は生じない上、本件約款は建設業法第24条の3並びに第41条第2項及び第3項の規定の趣旨に沿うものであり、元請業者である被控訴人には保護すべき相殺期待が存するというべきである。
 したがって、本件相殺1は、破産法第104条第4号但書(中段)の「前に生じたる原因」に基づいて取得した債権をもってする相殺に当たるものであり、有効であると解するのが相当である。
 2 これに対し、控訴人は、本件相殺1が破産法第104条第4号但書に該当しないと解すべき理由について縷々主張するが、これを要するに、本件相殺1の有効性を認めると、本件約款が立替払を義務的なものとはしていない以上、破産債権者間の公平及び破産財団の減少の防止を図るために設けられた同条の趣旨に反することになることを主張するものと解される。
 しかしながら、@ 前記のとおり、本件約款は、再下請業者(孫請業者)の保護を目的として設けられた建設業法第24条の3並びに第41条第2項及び第3項の規定の趣旨に沿うものであるところ、これらの規定は、再下請業者に対する賃金や請負代金を立替払することを法律上の義務としていないものの、元請負人に上記立替払を強く要求しているものと解されること、A 下請業者が倒産した場合に、元請負人が、注文主に対する義務を果たすため、再下請業者に対して賃金等を立替払して工事を続行させることは、社会的に是認することができるとともに、元請負人の負担する経済上の出費には変わりがないこと、B 本件においては、被控訴人において実価の下落した債権を買い求めて自己の債務を有利に免れる意図があったとか、あるいは、特定の再下請業者に対してのみ立替払をしたなど、破産法第104条の規定の趣旨を潜脱し、破産法の理念である債権者平等に反するような特段の事情があるとは認められないことなどを総合して考えると、本件相殺1は有効であるというべきである。
 控訴人の前記主張は、採用することができない。
 第四 結論
 よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法第67条第1項、第61条を適用して、主文のとおり判決する。
 東京高等裁判所第5民事部
 裁判長裁判官  魚住庸夫
    裁判官  飯田敏彦
    裁判官  菅野博之
 
 
◎ 建設業法に基づく立替払が破産法の否認権より優先するとの東京地裁判決
以下は、「東京地裁平成12年(ワ)第15360号(被告=清水建設株式会社、原告=破産者株式会社大正屋破産管財人)東京地裁判決」からの抜粋です。
(なお、上記の東京地裁判決の控訴審としての「平成13年(ネ)第2301号 請負代金請求控訴事件(被控訴人=清水建設株式会社、控訴人=破産者株式会社大正屋破産管財人)」の判決のなかみは、基本的に上記東京地裁判決のなかみと同一です――海野)
○ 平成9年8月25日 清水建設と大正屋は工事下請基本契約締結
 工事下請基本契約第40条  乙(破産会社)又は乙の下請負者が、賃金などの支払いを遅延し、甲(被告)が乙に対してその支払いを勧告してもなお支払わないときは、甲は、乙又は乙の下請負者の作業員などからの書面による申出により、これを立替払いすることができる。ただし、原則として事前に乙から事情を聴取する。
 同40条の2  甲は、前項の規定によって、乙の下請負者の不払賃金などの立替払をしたときは、これを乙に対する立替金として処理することができる。
 同41条  前条の規定による賃金などの立替金及びこの約款に定める乙の賠償金などは、甲の債権発生と同時に、乙に対する工事支払金と相殺となる。
○ 原告の主張
 被告は、破産会社の破産宣告後、下請業者に立替払を行っているものであり、破産法104条4号但書の「前に生じたる原因」とはいえない。
 建設業法で定める元請負人の義務は、いわば道義的義務で法的な義務に昇華しているものではない。
○ 被告の主張
 本件相殺は、本件約款(工事下請基本契約)が破産会社の支払い停止及び破産申立より以前から、被告と破産会社との間で締結されていたものであるから、破産法104条4号但書の「債務者が支払いの停止若しくは破産の申立ありたることを知りたる時より前に生じたる原因に基づくとき」に該当するので、有効である。
○ 東京地裁判決
 「前に生じたる原因」とは、債権取得を目的とする法律関係自体のほか、債権取得の効果を生ずべき直接の基礎をなす法律関係をも含むものと解される。
 とすれば、本件約款は、支払停止等前に締結された基本契約により支払停止等後に具体的債権を発生させた場合には、破産法104条4号但書にいう「原因」として許容される範囲にあるものと解される。
 相殺による期待を保護すべきかの点であるが、この点、被告は、わざわざ孫請会社に立替払することによって取得した債権で相殺をなすものであるので、被告に保護すべき相殺期待が存するかの問題となる。しかしながら、孫請会社には、建設業法24条の3及び同法41条2項、3項の規定により、下請会社が孫請会社に支払いができない状態となった場合に、元請会社から直接に孫請会社にその請負代金が支払われることの期待は大きいものであり、元請会社としては、この立替払により下請会社に対して取得した債権により、自己の下請会社に対する債務と相殺が保障されていなければ、孫請会社への直接の支払いを躊躇せざるを得ないことになる結果、元請会社には保護すべき相殺期待が存するというべきである。
 
 
◎ 建設業法に基づく立替払いの優位性を明らかにした東京地裁判決、東京高裁判決の要旨の紹介
1、2000年東京地裁判決からの抜粋等
東京地裁平成12年(ワ)第15360号(被告=清水建設株式会社、原告=破産者株式会社大正屋破産管財人)
(基本的に平成13年(ネ)第2301号 請負代金請求控訴事件(被控訴人=清水建設株式会社、控訴人=破産者株式会社大正屋破産管財人)の東京高裁判決と同じなかみです)
○平成9年8月25日 清水建設と大正屋は工事下請基本契約締結
工事下請基本契約第40条 乙(破産会社)又は乙の下請負者が、賃金などの支払いを遅延し、甲(被告)が乙に対してその支払いを勧告してもなお支払わないときは、甲は、乙又は乙の下請負者の作業員などからの書面による申出により、これを立替払いすることができる。ただし、原則として事前に乙から事情を聴取する。
同40条の2 甲は、前項の規定によって、乙の下請負者の不払い賃金などの立替払いをしたときは、これを乙に対する立替金として処理することができる。
 同41条 前条の規定による賃金などの立替金及びこの約款に定める乙の賠償金などは、甲の債権発生と同時に、乙に対する工事支払金と相殺となる。
○原告(破産者株式会社大正屋破産管財人)の主張
 被告(清水建設株式会社)は、破産会社の破産宣告後、下請業者に立替払いを行っているものであり、破産法104条4号但書の「前に生じたる原因」とはいえない。
 建設業法で定める元請負人の義務は、いわば道義的義務で法的な義務に昇華しているものではない。
○被告(清水建設株式会社)の主張
 本件相殺は、本件約款(工事下請基本契約)が破産会社の支払い停止及び破産申立より以前から、被告と破産会社との間で締結されていたものであるから、破産法104条4号但書の「債務者が支払いの停止若しくは破産の申立ありたることを知りたる時より前に生じたる原因に基づくとき」に該当するので、有効である。
○東京地裁判決
 「前に生じたる原因」とは、債権取得を目的とする法律関係自体のほか、債権取得の効果を生ずべき直接の基礎をなす法律関係をも含むものと解される。
 とすれば、本件約款は、支払い停止等前に締結された基本契約により支払い停止等後に具体的債権を発生させた場合には、破産法104条4号但書にいう「原因」として許容される範囲にあるものと解される。
 相殺による期待を保護すべきかの点であるが、この点、被告(清水建設株式会社)は、わざわざ孫請会社に立替払いすることによって取得した債権で相殺をなすものであるので、被告に保護すべき相殺期待が存するのか問題となる。しかしながら、孫請会社には、建設業法24条の3及び同法41条2項、3項の規定により、下請会社が孫請会社に支払いができない状態となった場合に、元請会社から直接に孫請会社にその請負代金が支払われることの期待は大きいものであり、元請会社としては、この立替払いにより下請会社に対して取得した債権により、自己の下請会社に対する債務と相殺が保障されていなければ、孫請会社への直接の支払いを躊躇せざるを得ないことになる結果、元請会社には保護すべき相殺期待が存するというべきである。
2、2001年7月18日東京高裁判決の要旨
平成13年(ネ)第2301号 請負代金請求控訴事件(原審・東京地裁平成12年(ワ)第15360号) 《大正屋事件 東京高裁判決の要旨》
 このケースは、元請・清水建設、1次下請・大正屋、2次下請・某社であり、元請と1次下請との間には立替払い条項が結ばれていました。そして、大正屋破産のとき、清水建設は、この立替払い条項にもとづき、2次下請に対して建設業法にもとづく立替払いをおこない、立替払いをおこなった金額と大正屋が清水建設に対して持っている工事代金債権を対当額(相当する額=同一の金額)で相殺しました。
 これに対して、大正屋の破産管財人が、債権者平等の原則に反するなどを理由として、この相殺の無効・取り消しを主張して、裁判をおこし、東京地裁で敗訴したため、東京高裁に控訴しました。
 しかし、東京高裁も原判決(東京地裁判決)を支持し、大正屋・破産管財人の控訴を棄却し、清水建設が立替払いをおこなった金額と大正屋が清水建設に対して持っている工事代金債権の対当額(相当する額=同一の金額)での相殺を有効なものと認めました。そして、破産管財人は最高裁への上告を断念し、この高裁判決は確定しました。
 東京高裁は、その理由として、@元請・清水建設と1次下請・大正屋との間の立替払い条項にもとづく清水建設の立替払い及び相殺を認めたとしても、実価の下落した債権を買い求めて相殺に供することにより自己の債務を有利に免れるというような弊害は生じない、Aこの立替払い条項は、再下請業者の保護を目的として設けられた建設業法24条の3並びに41条2,3項の規定の趣旨に沿うものであり、これらの規定は再下請業者に対する賃金や請負代金を立替払いすることを元請の法律上の義務としていないものの、元請に立替払いを強く要求しているものと解される、B元請が負担する経済上の出費には変わりがない、C元請の清水建設に実価の下落した債権を買い求めて自己の債務を有利に免れる意図があったとか、あるいは、特定の再下請業者に対してだけ立替払いをしたなど、破産法の理念である債権者平等に反するような特段の事情があるとは認められない、などの諸点をあげ、それらを総合して考えると本件相殺は有効である、との判断を示し、建設業法にもとづく立替払いの優位性を明らかにしています。
(参考)控訴審での清水建設代理人弁護士(近藤恵嗣氏、柳誠一郎氏)の答弁書からの抜粋
 建設業法上の要請のみならず、建設業界を取り巻く現在の厳しい環境の中、下請業者の倒産が頻繁に起きている現状においては、被控訴人のような特定建設業者が倒産した下請業者の代わりに立替払いしなければ、かなりの数の孫請業者らが連鎖倒産に追い込まれることが明白であり、そうなれば、日本の建設業全体、ひいては日本全体の景気や経済状況に計り知れない打撃を与えることもまた明白である。被控訴人のような特定建設業者は、建設業界の頂点にあって下請及び孫請業者らの存立をも考慮しなければならない立場にある以上、このような状況において、被控訴人には、孫請業者らに立替払いしないという選択肢は事実上存在しないのである。
 もし、このような特定建設業者の立替払いを否定されるなら、現実的に建設業界でしか生きていけないと言っても過言ではない孫請業者や作業員の生活は、脆くも崩壊せざるを得ないのである。
 
 
◎ 建設業法にもとづく立替払いの優位性を明らかにした「ムサシ電工裁判」
(1)破産管財人からの金銭返還請求
 元請が清水建設、1次下請がムサシ電工のケースで、ムサシ電工が破産し、2次下請の3社(千葉土建一般労働組合野田支部、埼玉土建一般労働組合越谷支部、埼玉土建一般労働組合吉川松伏支部の各組合員)が不払を受けた件で、埼玉土建一般労組と千葉土建一般労組が相談を受けた。
建設労組は元請の清水建設と交渉して建設業法41条2項、3項にもとづく立替払いを清水建設におこなわせて、2次下請3社を救済した。
 ところが、これに対して、ムサシ電工の破産管財人の弁護士が、「清水建設が2次下請の3社に対して支払った金銭は、本来1次下請のムサシ電工に対して支払うべき金銭であり、清水建設と2次下請3社は連帯してこの金銭をムサシ電工に返還する」ことを求める裁判をおこした。
 私たちは、訴訟を取り下げるよう破産管財人と交渉したが、受け入れられなかった。
(2)破産管財人への要請書
「要請書」
 法の適正な解釈、執行を通じて国民生活の平和と安定のために、日夜努力されている貴職に対して、心からの敬意を表明します。
 今回貴職がおこされた、清水建設など4社に対する「債務弁済否認にもとづく金銭返還請求の訴え」は、私たちには理解できないものであり、私たちの立場、主張を是非、貴職に知っていただくために、この要請書を提出します。
清水建設へのムサシ電工の「嘆願書」や貴職への清水建設の回答(2001年5月7日)にも明記されているように、清水建設が支払い、○○社など3社が受け取った「残債権」、「未払い債権」は「労務費相当額」、「労務費」であり、材料代等の部分とは異なり、厚生労働省『労働債権保護に関する研究会報告』も強調している「特別に保護すべき債権としての労働債権」にあたる部分です。
 『破産法概説』(有斐閣双書)も、「否認が否定される例としては、賃金債権などの優先権ある債権に対する弁済などがあげられる」(184ページ)と明らかにしています。
 また、『破産法の解説』(一橋出版)も、「最近の学説は、その行為が不当性を欠く場合には否認できないとします。たとえば生活費や事業の運転資金を捻出するために、真にやむを得ず財産を廉価で売却することや担保を設定することなどがあげられます」(59ページ)と解説しています。前述の厚生労働省『労働債権保護に関する研究会報告』も明言しているように、賃金は「労働者とその家族の生活の糧」であり、まさに生活費です。
 そして、今回、清水建設が○○社など3社に対しておこなった支払は、名前は「立替払い」、「立会い払い」と異なっていますが、その実態、内容、真実は、まさに建設業法41条2項、3項にもとづく立替払いであり、しかも、労務費の部分についての立替払いであり、破産法にもとづく否認権行使の対象になるものでは全くないと、私たちは確信しています。
 その上、このような訴訟を遂行することは、○○社など下請中小業者3社に対して、弁護士費用など過大な負担を強いるものであり、正義と人道の立場から、次の1点を貴職に対して、私たちは要請します。
今回貴職がおこした「債務弁済否認にもとづく金銭返還請求の訴え」を取り下げ、私たちとの話し合いを通じての解決をはかって下さい。
(3)最初に2次下請3社と和解
埼玉総合法律事務所の野本夏生弁護士に弁護を依頼し、「今回、清水建設が2次下請3社に対しておこなった支払は、まさに建設業法41条2項、3項にもとづく立替払いであり、しかも、労務費の部分についての立替払いであり、破産法にもとづく否認権行使(金銭返還の請求)の対象になるものでは全くない」と裁判で主張した。
 2002年5月22日のさいたま地裁越谷支部で、「2次下請3社への金銭返還請求を取り下げる」というなかみで和解が成立。建設業法にもとづく立替払いが破産法等にもとづく否認権(金銭返還の請求)より優先することをあらためて明らかにした。しかし、清水建設への金銭返還請求については、まだ和解に至らなかった。
(4)完全和解の成立
清水建設が2次下請3社におこなった支払いの一部が、関係者の文書の中で「立会い払い」と表現されていた点をとらえ、ムサシ電工破産管財人は「この『立会い払い』は立替払いではない」と主張していた。
建設労組は次のような文書を提出し、表現は「立会い払い」であっても実質は「建設業法にもとづく立替払い」であることを明らかにした。
 「組合は、13年にわたって春と秋の年2回、大手ゼネコン・住宅企業50数社と交渉をおこない、『建設業法41条2項、3項にもとづき、元請の責任で賃金・工事代金の立替払いをおこない、不払を受けた下請業者・労働者を救済する』ことを要求。清水建設は『建設業法にもとづく立替払いを実施していく』と回答しています。ムサシ電工の事例も、表現は『立会い払い』であっても、実質は建設業法にもとづく立替払いとして行われたものです」
 そして、2002年6月21日、清水建設への金銭返還請求についても、「清水建設への金銭返還請求を取り下げる」というなかみで破産管財人と清水建設の間で和解が成立。完全和解に至り、建設業法にもとづく立替払いの優位性があらためて明らかになった。
 組合に団結してたたかったことがこの訴訟での結果を生み出したと、2次下請3社は考えている。
 
更新日時:
2008/01/31
―――  「国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』」関連  ―――
―――  「国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』」関連  ―――
海野和夫
 
◎ 「建設業法令遵守ガイドライン」に違反する書面によらない契約と施工
 以下は、聞き取りに基づいて把握した最新の事例です。
すべて匿名にしました。
関連部分のみ載せました。
 
 2006年11月半ば A社(社長)から「仕事があるから現場を見に来てくれ」とK社(社長)は言われた。
公共工事だった。
K社(社長)が現場を見に行くと、A社(社長)、D社(部長)、W社(2人)が来ていた。
W社がこの現場の元請、D社が1次下請、A社が2次下請という構造。
「解体と足場位ならできる」とK社(社長)は返事した。3次下請になるわけだ。
2006年12月 「とりあえず解体から始めてくれ」とA社(社長)からK社(社長)は言われた。
2006年12月11日〜 K社は解体を始めた。(ヘドロの掃除、現場の仮囲い、足場等々)
書面による契約ではなかった。
何も決まっていなかった。
A社は、書面による契約を交わすことなく、K社に仕事を行わせた。
「書面による契約ではなかった」、「何も決まっていなかった」、「書面による契約を交わすことなく、仕事を行わせた」これだけで既に三つ、建設業法に違反する。
 元請のW社は、下請が建設業法を遵守するよう下請を的確に指導していなかった。これは、建設業法24条6項に違反する。
(下請負人に対する特定建設業者の指導等)
建設業法第24条の6 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
2 前項の特定建設業者は、その請け負った建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
3 第1項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
 K社は本体の解体を2006年中に終了した。
 (以下、省略します)
 
 
◎ ──── 建設業法令遵守ガイドラインについて(まとめ版) ────
(国土交通省が建設業法令遵守ガイドラインを出しました。率直に言って、なかみは、『建設業法解説』(大成出版社)等従来から明らかにされているものを超えるものではありませんが、不当に低い請負代金、指値発注、「やり直し工事」トラブル、赤伝処理、支払保留等々、元請による問題行為が横行し、建設業法違反があとを絶たない建設現場に建設業法を周知徹底させ、元請による問題行為を法的に規制し、下請保護につなげていくという趣旨では、一定の有効性があると考え、以下にその要点を紹介します──海野)
1 全国建設業協会の文書
建設業法令遵守ガイドラインについて
このたび、国土交通省総合政策局建設業課長より、元請・下請間における公正・透明な取引の実現を図ることを目的として、建設業法違反となる具体的な事例を示した標記ガイドラインが取りまとめられ、本会に対し周知方依頼がありました。
 つきましては、貴協会傘下会員に対し、同ガイドラインの策定の趣旨をご理解いただき、元請・下請の関係における法令違反行為の防止のため特段のご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 また、同ガイドラインは、本年4月に各地方整備局に発足した建設業法令遵守推進本部の指針に位置付け、内容についても今後、充実を図ってゆくこととされておりますので、本ガイドラインについてご意見等があれば、国土交通省総合政策局建設業課 建設業法令遵守ガイドライン担当までお寄せくださいますよう申し添えます。
平成19年7月6日     
社団法人全国建設業協会会長発
各都道府県建設業協会会長宛 
2 国土交通省総合政策局建設業課長の文書
国総建第100号  
平成19年6月29日 
(社)全国建設業協会会長 殿
国土交通省総合政策局建設業課長
建設業法令遵守ガイドラインについて
 建設業においては、従来から、適切な施工能力を有しない、いわゆるペーパーカンパニーなどの不良・不適格業者の存在を始め、一括下請負、技術者の不
専任、不適正な元請下請関係等の法令違反が問題となっており、このような状況下で、建設業に対する国民の信頼の回復、建設業の魅力の向上のため、建設業者が法令遵守を徹底することが求められております。
 既に、一括下請負、技術者の不専任については「一括下請負の禁止について」及び「監理技術者制度運用マニュアルについて」が定められているところですが、不当に低い請負代金、指値発注、赤伝処理等の不適正な元請下請関係については、どのような行為が法令に違反するかを示した通達等が定められておらず、違法であるという認識のないまま法令違反行為が繰り返されている可能性があります。
 「建設業法令遵守ガイドライン─元請負人と下請負人の関係に係る留意点─」は、元請負人と下請負人との関係に関して、どのような行為が建設業法に違反するかを具体的に示すことにより、法律の不知による法令違反行為を防ぎ、元請負人と下請負人との対等な関係の構築及び公正かつ透明な取引の実現を図ることを目的として策定したものです。
 貴会におかれましては、本ガイドラインの策定の趣旨及び内容を了知の上、傘下の建設業者に対しこの旨の周知徹底方よろしくお願いするとともに、引き続き建設業者の法令遵守の推進が図られますよう指導方併せてお願いします。
 なお、本ガイドラインについては、今後、内容の充実を図っていくこととしますので、本ガイドラインにご意見等がありましたら下記にご連絡下さいますようよろしくお願いします。
1.ガイドラインのホームページ掲載URL
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/01/010702_.html
2.ガイドラインに対するご意見等の送付先
電子メールアドレス:kengyo@mlit.go.jp
国土交通省総合政策局建設業課 建設業法令遵守ガイドライン担当 宛
※ 電子メールはテキスト形式でお願いします
3 建設業法令遵守ガイドラインの要点
1 見積条件の提示(建設業法第20条第3項)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@ 元請負人が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により下請負人に見積りを行わせた場合
A 元請負人が下請負人から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請負人が、未回答あるいは曖昧な回答をした場合
【建設業法上違反となる行為事例】
B 元請負人が予定価格が700万円の下請契約を締結する際、見積期間を3日として下請負人に見積りを行わせた場合
○ 「工事内容」に関し、元請負人が最低限明示すべき事項としては、
@ 工事名称
A 施工場所
B 設計図書(数量等を含む)
C 下請工事の責任施工範囲
D 下請工事の工程及び下請工事を含む工事の全体工程
E 見積条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
F 施工環境、施工制約に関する事項
G 材料費、産業廃棄物処理等に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項
があげられ、元請負人は、具体的内容が確定していない事項についてはその旨を明確に示さなければならない。
施工条件が確定していないなどの正当な理由がないにもかかわらず、元請負人が、下請負人に対して、契約までの間に上記事項等に関し具体的な内容を提示しない場合には、建設業法第20条第3項に違反する。
○ 予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要
建設業法第20条第3項により、元請負人は以下のとおり下請負人が見積りを行うために必要な一定の期間を設けなければならない。
ア 工事1件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上
イ 工事1件の予定価格が500万円以上5000万円に満たない工事については、10日以上
ウ 工事1件の予定価格が5000万円以上の工事については、15日以上
上記期間は、下請負人に対する契約内容の提示から当該契約の締結までの間に設けなければならない期間である。
ただし、やむを得ない事情があるときは、イ及びウの期間は、5日以内に限り短縮することができる。
(建設工事の見積り等)
建設業法第20条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を提示しなければならない。
3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあっては契約を締結する以前に、入札の方法により競争に付する場合にあっては入札を行う以前に、第19条第1項第1号及び第3号から第14号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。
(たとえば、大林組の現場では、以前は一定の交渉を経て請負金額が決められていたのだが、いまは指値で決められている、と言われています。見積期間を設けていない指値は、一定の見積期間を設けなければならないと定めている上記の建設業法20条3項に違反しています――海野)
2 書面による契約締結
2−1 当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)
【建設業法上違反となる行為事例】
@下請工事に関し、書面による契約を行わなかった場合
A下請工事に関し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契約書面を交付した場合
B元請負人からの指示に従い下請負人が書面による請負契約の締結前に工事に着手し、工事の施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合
上記@からBのケースは、いずれも建設業法第19条第1項に違反する。
(1)契約は下請工事の着工前に書面により行うことが必要
(2)契約書面には建設業法で定める一定の事項を記載することが必要
契約書面に記載しなければならない事項は、以下の@〜Mの事項である。
@ 工事内容
A 請負代金の額
B 工事着手の時期及び工事完成の時期
C 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
D 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
E 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
F 価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
G 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
H 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
I 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
J 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
K 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
L 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
M 契約に関する紛争の解決方法
(3)電子契約によることも可能
書面契約に代えて、電子契約も認められる。
(4)建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容を持つ契約書による
契約が基本
建設業法第18条では、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場
における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない」と規定している。建設工事の下請契約の締結に当たっては、同条の趣旨を踏まえ、建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容を持つ契約書による契約を締結することが基本である。
2−2 追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)
【建設業法上違反となる行為事例】
@下請工事に関し追加工事又は変更工事(以下「追加工事等」という)が発生したが、元請負人が書面による変更契約を行わなかった場合
A下請工事に係る追加工事等について、工事に着手した後又は工事が終了した後に書面により契約変更を行った場合
B下請負人に対して追加工事等の施工を指示した元請負人が、発注者との契約変更手続が未了であることを理由として、下請契約の変更に応じなかった場合
上記@からBのケースは、いずれも建設業法第19条第2項に違反するほか、必要な増額を行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。
○ 元請負人が合理的な理由なく下請工事の契約変更を行わない場合は建設業法に違反
追加工事等が発生しているにもかかわらず、例えば、元請負人が発注者との間で追加・変更契約を締結していないことを理由として、下請負人からの追加・変更契約の申出に応じない行為等、元請負人が合理的な理由もなく一方的に変更契約を行わない行為については、建設業法第19条第2項に違反する。
○ 追加工事等の費用を下請負人に負担させることは、建設業法第19条の3に違反するおそれ
追加工事等を下請負人の負担により施工させたことにより、下請代金の額が当初契約工事及び追加工事等を施工するために「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等の状況によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。(力関係等で元請が「原価を割るような金額」で「追加工事・変更工事を下請負人の負担により施工」させることは、下請負人に押し付けることは、建設業法違反となる、ということです──海野)
3 不当に低い請負代金(建設業法第19条の3)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が、自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、下請負人による見積額を大幅に下回る額で下請契約を締結した場合
A元請負人が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取扱いをする可能性がある旨を示唆して、下請負人との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請契約を締結した場合
B元請負人が、下請代金の増額に応じることなく、下請負人に対し追加工事を施工させた場合
C元請負人が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合
上記@からCのケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがある。(この@からCは、建設現場で多発し、あとを絶たない事例です──海野)
(1)「不当に低い請負代金の禁止」の定義
建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」とは「注文者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を請負人と締結すること」である。
(2)「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある元請負人が、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること
建設業法第19条の3の「自己の取引上の地位を不当に利用して」とは、取引上優越的な地位にある元請負人が、下請負人の指名権、選択権等を背景に、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いることをいう。
(3)「通常必要と認められる原価」とは、工事を施工するために一般的に必要と認められる価格
建設業法第19条の3の「通常必要と認められる原価」とは、当該工事の施工地域において当該工事を施工するために一般的に必要と認められる価格(直接工事費、共通仮設費及び現場管理費よりなる間接工事費、一般管理費(利潤相当額は含まない)の合計額)をいい、具体的には、下請負人の実行予算や下請負人による再下請先、資材業者等との取引状況、さらには当該地域の施工区域における同種工事の請負代金額の実例等により判断することとなる。
(4)建設業法第19条の3は契約変更にも適用
建設業法第19条の3により禁止される行為は、当初契約の締結に際して、不当に低い請負代金を強制することに限られず、契約締結後元請負人が原価の上昇を伴うような工事内容の変更をしたのに、それに見合った下請代金の増額を行わないことや、一方的に下請代金を減額することにより原価を下回ることも含まれる。
4 指値発注(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、一方的に下請代金の額を決定し、その額で下請契約を締結した場合
A元請負人が合理的根拠がないのにもかかわらず、下請負人による見積額を著しく下回る額で下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
【建設業法上違反となる行為事例】
B元請下請間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、下請負人に工事を着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に元請負人が下請負人との協議に応じることなく下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
C元請負人が、下請負人が見積りを行うための期間を設けることなく、自らの予算額を下請負人に提示し、下請契約締結の判断をその場で行わせ、その額で下請契約を締結した場合
上記@からCのケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがあり、また、Bのケースは同法第19条第1項に違反し、Cのケースは同法第20条第3項に違反する。
元請負人が下請負人との請負契約を交わす際、下請負人と十分な協議をせず又は下請負人の協議に応じることなく、元請負人が一方的に決めた請負代金の額を下請負人に提示(指値)し、その額で下請負人に契約を締結させる、指値発注は、建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結する)を没却するものである。
○ 指値発注は建設業法に違反するおそれ
指値発注は、元請負人としての地位の不当利用に当たるものと考えられ、下請代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等の状況によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。
また、下請負人が元請負人が指値した額で下請契約を締結するか否かを判断する期間を与えることなく、回答を求める行為については、建設業法第20条第3項の見積りを行うための一定期間の確保に違反する。
(たとえば、ビッグゼネコンの大林組の現場では、以前は一定の交渉を経て請負金額を決めていたが、いまは指値で決めている、と言われています。事実とすれば、建設業法違反となり、同社のコンプライアンス(法令遵守)宣言からみてどうなのでしょうか――海野)
(以下のところでは、「やり直し工事」トラブル、一方的な赤伝処理、支払保留等、建設現場に横行する元請等による問題行為について、その違法性の法的根拠を明らかにしています──海野)
5 不当な使用材料等の購入強制(建設業法第19条の4)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@下請契約の締結後に、元請負人が下請負人に対して、下請工事に使用する資材又は機械器具等を指定、あるいはその購入先を指定した結果、下請負人は予定していた購入価格より高い価格で資材等を購入することとなった場合
A下請契約の締結後、元請負人が指定した資材等を購入させたことにより、下請負人が既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭面及び信用面における損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販売店との取引関係が悪化した場合
6 やり直し工事(建設業法第18条、第19条第2項、第19条の3)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を下請負人に行わせ、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合
上記のケースは、建設業法第19条第2項、第19条の3に違反するおそれがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。
(1)やり直し工事を下請負人に依頼する場合は、やり直し工事が下請負人の
責めに帰すべき場合を除き、その費用は元請負人が負担することが必要
(2)下請負人の責めに帰さないやり直し工事を下請負人に依頼する場合は、
契約変更が必要
下請負人の責めに帰すべき理由がないのに、下請工事の施工後に、元請負人が下請負人に対して工事のやり直しを依頼する場合にあっては、元請負人は速やかに当該工事に必要となる費用について元請下請間で十分に協議した上で、契約変更を行う必要があり、元請負人が、このような契約変更を行わず、当該やり直し工事を下請負人に施工させた場合には、建設業法第19条第2項に違反する。
(3)下請負人の一方的な費用負担は建設業法に違反するおそれ
下請負人の責めに帰すべき理由がないのに、その費用を一方的に下請負人に負担させるやり直し工事によって、下請代金の額が、当初契約工事及びやり直し工事を施工するために「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。
また、上記建設業法第19条第2項及び第19条の3違反に該当しない場合であっても、やり直し工事により、元請負人が下請負人の利益を不当に害した場合には、その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実な行為に該当するおそれがある。
(4)下請負人の責めに帰すべき理由がある場合とは、下請負人の施工が契約
書面に明示された内容と異なる場合又は下請負人の施工に瑕疵等がある場合
○ 次の場合には、元請負人が費用の全額を負担することなく、下請負人の施工が契約書面と異なること又は瑕疵等があることを理由としてやり直しを要請することは認められない。
ア 下請負人から施工内容等を明確にするよう求めがあったにもかかわらず、元請負人が正当な理由なく施工内容等を明確にせず、下請負人に継続して作業を行わせ、その後、下請工事の内容が契約内容と異なるとする場合
イ 施工内容について下請負人が確認を求め、元請負人が了承した内容に基づき下請負人が施工したにもかかわらず、下請工事の内容が契約内容と異なるとする場合
7 赤伝処理(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が、下請負人と合意することなく、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費用等を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く場合
A元請負人が、建設廃棄物の発生がない下請工事の下請負人から、建設廃棄物の処理費用との名目で、一定額を下請代金から差し引く場合
B元請負人が元請負人の販売促進名目の協力費等差し引く根拠が不明確な費用を下請代金から差し引く場合
C元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請負人に使用させる場合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合
D元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額することにより下請負人に負担させた場合
上記@からDのケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。
赤伝処理とは、元請負人が
@ 下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)
A 下請工事の施工に伴い副次的に発生する建設廃棄物の処理費用
B 上記以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費等)を下請代金の支払時に差引く(相殺する)行為である。
(1)赤伝処理を行う場合は、元請負人と下請負人双方の協議・合意が必要
(2)赤伝処理を行う場合は、その内容を見積条件・契約書面に明示すること
が必要
(3)適正な手続に基づかない赤伝処理は建設業法に違反するおそれ
赤伝処理として、元請負人と下請負人双方の協議・合意がないまま元請負人が一方的に諸費用を下請代金から差引く行為や下請負人との合意はあるものの、差引く根拠が不明確な諸費用を下請代金から差引く行為又は実際に要した諸費用(実費)より過大な費用を下請代金から差引く行為等は、建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結する)を没却することとなるため、元請負人の一方的な赤伝処理については、その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実な行為に該当するおそれがある。
8 支払保留(建設業法第24条の3、第24条の5)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査及び元請負人への引渡し終了後、元請負人が下請負人に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
A建設工事の前工程である基礎工事、土工事、鉄筋工事等について、それぞれの工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、工事全体が終了(発注者への完成引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
B工事全体が終了したにもかかわらず、元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越した場合
○ 正当な理由がない長期支払保留は建設業法に違反
工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しが終了後、正当な理由がなく様々な名目(瑕疵担保や発注者からの工事代金の支払がない等)で長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことは、建設業法第24条の3又は同法第24条の5に違反する。
9 帳簿の備付け及び保存(建設業法第40条の3)
【建設業法上違反となる行為事例】
@建設業を営む営業所に帳簿及び添付書類が備付けられていなかった場合
A帳簿及び添付書類は備付けられていたが、5年間保存されていなかった場合
上記@及びAのケースは、いずれも建設業法第40条の3に違反する。
(1)営業所ごとに、帳簿を備え、5年間保存することが必要
(2)帳簿には、営業所の代表者の氏名、請負契約・下請契約に関する事項な
どを記載することが必要
帳簿に記載する事項は以下のとおりである。
@ 営業所の代表者の氏名及びその者が営業所の代表者となった年月日
A 注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項
B 下請負人と締結した下請契約に関する事項
C 特定建設業者が注文者となって資本金4000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結したときは、上記の記載事項に加え、以下の事項
・支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段
・支払手形を交付したとき…その手形の金額、交付年月日、手形の満期
・代金の一部を支払ったとき…その後の下請代金の支払残高
(3)帳簿には契約書などを添付することが必要
帳簿には、契約書若しくはその写し又はその契約に関する電磁的記録を添付しなければならない。
また、以下の場合にはこれらの書類に加え、次のそれぞれの書類を添付する。
ア 特定建設業者が元請負人となって資本金4000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合は、下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)又はその写しを添付
イ 特定建設業者が元請工事について、3000万円(建築一式工事の場合4500万円。1次下請負人への下請代金の総額で判断。)以上の下請契約を締結した場合は、工事完成後に施工体制台帳のうち以下に掲げる事項が記載された部分を添付
・自社が実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名及びその有する監理技術者資格
・自社が監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
・下請負人の商号又は名称及び許可番号
・下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び工期
・下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資格
・下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
10 独占禁止法との関係について
建設業法第42条では、国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第19条の3(不当に低い請負代金の禁止、第19条の4(不当な)使用資材等の購入強制の禁止、第24条の3(下請代金の支払)第1項、第24条の4(検査及び引渡し)又は第24条の5(特定建設業者の下請代金の支払期日等)第3項若しくは第4項の規定に違反している事実があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(「独占禁止法」)第19条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対して措置請求を行うことができると規定している。
(なお、今回の「建設業法令遵守ガイドライン」には、現在建設現場で広がりを見せつつある違法派遣(建設業では禁止されている派遣)の横行、またあとを絶たない一括下請負(丸投げ)についての「ガイドライン」がなく、今後補強すべき課題になっています──海野)
 
 
◎ 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」の問題点と改善の一方向
1 問題点
 全建総連関東地協の第47回企業交渉の中では、清水建設の回答と言われている「産廃処理費については、合意の上で下請に負担いただいている。国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』に沿っている」に代表されるように、下請との協議・合意があれば、産廃処理費、駐車場代、赤伝処理、応援手間等々について下請に負担させることが合法であると受け取ることが可能な「建設業法令遵守ガイドライン」の問題点が急浮上し、建設労働運動の眼前に明らかになりました。
 「建設業法令遵守ガイドライン」そのものに即して、明白になりつつある問題点を明らかにし、その上で改善の一方向を出したいと考えます。
 ガイドラインには「元請負人が、下請負人と合意することなく、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費用を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く行為は、建設業法上違反となるおそれがある行為である」と述べられています。これを言い換えると、下請負人との合意があれば、建設廃棄物の処理費用を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く行為は、建設業法上違反となるおそれがある行為ではない、ということになります。
 また、ガイドラインには「元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場を下請負人に使用させる場合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く行為は、建設業法上違反となるおそれがある行為である」という箇所もあります。これも言い換えると、駐車場の確保で実際にかかる費用を駐車場代として下請負人から差し引く行為は、建設業法上違反となるおそれがある行為ではない、ということになります。
 ガイドラインも述べているように、赤伝処理とは、元請負人が、@下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)、A下請工事の施工に伴い副次的に発生する建設廃棄物の処理費用、B上記(@、A)以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費等)を下請代金の支払時に差し引く(相殺する)行為です。
 ガイドラインは、「赤伝処理を行うこと自体が直ちに建設業法上の問題となることはない」と赤伝処理を合法化しています。その上でガイドラインは「赤伝処理を行うためには、その内容や差し引く根拠等について元請負人と下請負人の協議・合意が必要である」とし、元請・下請の協議、合意があれば、赤伝処理は、建設業法上違反となるおそれがある行為ではない、と受け取ることが可能な説明になっています。
 上記の@、Aについては、ガイドラインは、上記@、Aについて赤伝処理を行う場合には、元請負人は、その内容や差し引き額の算定根拠等について、見積条件や契約書面に明示する必要があり、そうでない場合は建設業法に違反する、と述べています。(建設廃棄物の処理費用等の)赤伝処理について違法性をなくすためには、協議、合意だけでなく、見積条件や契約書面への明示が必要だ、ということです。
 上記B(駐車場代等)の赤伝処理については、協議、合意だけでOKというわけです。ただ、実際に要した諸費用(実費)より過大な費用を下請代金から差し引く行為は、建設業法上違反となるおそれがある行為である、ということになります。
2 改善の一方向
建設廃棄物の処理費用については、発注者から貰うべきものであり、下請に負担させることは、元請の二重取りになります。
ところが、上記のように、建設業法令遵守ガイドラインには、「下請との協議・合意」、「見積条件・契約書面への明示」があれば、建設廃棄物の処理費用を下請に負担させることは建設業法上違反とはならないかのように受け取ることが可能な説明が行われている箇所があります。
一つには、下請に負担させることは元請の二重取りになるという意味で、もう一つには、「協議・合意」と言っても元請の圧倒的力量という建設現場の力関係の下での「協議・合意」は「強制」、「泣き寝入り」が実態であり、建設廃棄物処理費用については元請負担を明確にすべきだと考えます。
少なくとも「協議、合意を装った押し付けは建設業法違反」とガイドラインに付け加えるべきです。
また、駐車場代の過大な負担が下請に押し付けられているのが、建設現場の実態です。 
駐車場代についても、明確に元請負担として、下請保護を明確にすべきだと考えます。私たち全建総連関東地協との企業交渉の中でも、多くの住宅企業が「駐車場代は元請負担」と回答しています。またゼネコンの一部も、たとえば「駐車料金については、場内は下請に請求していないし、場外のときも、5人5台で金をくれと言われても無理だが、1台数人で来れば元請として負担している」と回答しています。
 ガイドラインの「実際にかかる費用の全額を下請に負担させても問題ない」と受け取ることが可能な箇所は、上記回答に現れている元請責任での費用負担という正当な流れに逆行するものであり、建設業法が定める元請責任での下請保護に反するものです。
 かかる費用については、当然、全額、元請負担とすべきです。
 
 
◎ 支払保留の実際事例と建設業法令遵守ガイドラインの関係
 支払保留について、B社から相談を受けました。
 元請はA社、下請がB社です。
 下請B社は、「預託金」の名目で支払保留になっている70万円について、内容証明郵便で支払いを元請A社に求めました。
 これに対して、A社の代理人弁護士から「A社と貴社が締結した工事請負基本契約第32条第1項の預託金は、工事目的物に瑕疵があった場合に(工事請負基本契約)第31条により貴社が負うべき瑕疵修補又は損害賠償の責任を担保する趣旨で預託されるものであり、(工事請負基本契約)第32条第2項により、工事請負基本契約が解除になった日から2年後に返還するものと定められています。従いまして、現時点では、預託金の返還義務は生じていません」という趣旨の文書がB社に届きました。
 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」は、支払保留について、以下のように説明しています。
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査及び元請負人への引渡し終了後、元請負人が下請負人に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
A建設工事の前工程である基礎工事、土工事、鉄筋工事等について、それぞれの工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、工事全体が終了(発注者への完成引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
B工事全体が終了したにもかかわらず、元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越した場合
○ 正当な理由がない長期支払保留は建設業法に違反
工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しが終了後、正当な理由がなく様々な名目(瑕疵担保や発注者からの工事代金の支払がない等)で長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことは、建設業法第24条の3又は同法第24条の5に違反する。
国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」を読む限り、A社とB社の工事請負基本契約の規定は、建設業法違反と考えることができます。
なぜなら、瑕疵担保の名目で長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことを定めている規定だからです。
 
 
◎ 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」について(補強版)
 国土交通省が出した「建設業法令遵守(じゅんしゅ)ガイドライン」について、建設現場の元下関係の改善に役立てるために、以下のように整理してみました。
 「建設業法令遵守ガイドライン」は、元請がおこなう行為の事例を2種類にわけて、示しています。「建設業法上違反となるおそれがある行為事例」と「建設業法上違反となる行為事例」の2種類です。
 ここでも、この2種類にわけて、のせておきます。
1 建設業法上違反となるおそれがある行為事例
○ 元請が不明確な工事内容の提示等、あいまいな見積条件により下請に見積りを行わせた場合(建設業法20条3項に違反するおそれ)
○ 元請が、下請との協議をおこなわないで、下請による見積額を大幅に下回る額で下請契約を締結した場合(建設業法19条の3に違反するおそれ)
○ 元請が、契約を締結しない場合には今後の取引で不利な取り扱いをする可能性がある旨を示唆(しさ)して、下請との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請契約を締結した場合(建設業法19条の3に違反するおそれ)
○ 元請が、下請代金の増額に応じないで、下請に追加工事を施工させた場合(建設業法19条の3に違反するおそれ)
○ 元請が、契約後に、とりきめた代金を一方的に減額した場合(建設業法19条の3に違反するおそれ)
建設業法19条の3  注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
○ 元請が、下請との協議をおこなわないで、一方的に下請代金の額を決定し、その額で下請契約を締結した場合(指値発注のことです)
○ 元請が、元請と下請の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を下請に行わせ、その費用を一方的に下請に負担させた場合
(やり直し工事を下請に施工させる場合は、やり直し工事が下請に責任がある場合を除き、その費用は元請が負担することが必要です)
○ (赤伝処理)元請が、下請と合意することなく、下請工事の施工にともない発生した建設廃棄物の処理費用を下請に負担させ、下請代金から差し引く場合
(建設廃棄物処理費の赤伝処理の場合には、見積条件と契約書への明示が必要です。それが行なわれていないと、建設業法違反となります)
○ (赤伝処理)元請が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請に使用させる場合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合
○ (赤伝処理)元請が、元請と下請の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額することにより下請に負担させた場合
○ 下請契約にもとづく工事目的物が完成し、元請の検査及び元請への引き渡し終了後、元請が下請に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
(工事が完成し、元請の検査及び引き渡しが終了後、正当な理由がなくさまざまな名目(瑕疵担保や発注者からの工事代金の支払がない等)で長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことは、建設業法第24条の3または建設業法第24条の5に違反します)
○ 特定建設業者である元請が、手形期間が120日を超える手形により下請代金の支払を行った場合
2 建設業法上違反となる行為事例
○ 下請工事で、書面による契約を行わなかった場合
建設業法18条  建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。
○ 元請からの指示に従い下請が書面による請負契約の締結前に工事に着手し、工事の施工途中又は工事終了後に(元請が下請に)契約書を交付した場合
(契約書の交付は、下請工事の着工前に行わなければなりません)
○ 下請工事に関し追加工事または変更工事が発生したが、元請が書面による変更契約を行わなかった場合
○ 下請に対して追加工事または変更工事の施工を指示した元請が、発注者との契約変更手続が未了であることを理由として、下請契約の変更に応じなかった場合
(元請が合理的な理由なく下請工事の契約変更を行わない場合は建設業法に違反します。追加工事または変更工事が発生しているにもかかわらず、たとえば、元請が発注者との間で追加・変更契約を締結していないことを理由として、下請からの追加・変更契約の申出に応じない行為等、元請が合理的な理由もなく一方的に変更契約を行わない行為については、建設業法第19条第2項に違反します)
 ガイドラインは、前回(第47回目)の全建総連関東地協企業交渉の要望の根拠となり、生かされました。 
(以下は、全建総連関東地協企業交渉の要望項目の一部です)
元請・下請取引の適正化、とりわけ公表された「ガイドライン」を踏まえ、お答えください。
○ 公共・民間問わず、元請の低価格受注を下請へしわ寄せするのはやめてください。元請が契約額を提示する場合には、提示額の積算根拠を明らかにしてください。また請負代金の額の合意が得られず契約書面の取り交わしが行われていないのに、下請に工事の施工を求め、その後指値で一方的に決定する行為は違反です。ただちにやめてください。            
○ (建設廃棄物処理費を)下請から徴収することは「二重取り」になります。やめてください。
○ 道路交通法改定により、違法駐車の取締りが強化されています。元請の負担で、駐車場を確保してください。また、現場内の駐車料金を徴収しないでください。
○ 元請の「工程管理の悪さ」、「施工図面の不具合」、「監督の指示ミス」などにより「手戻り」が生じた時は、元請負担とし、常用手間として下請に支払ってください。
○ 見積もり依頼時に「施工条件・範囲リスト」を添付して下さい。「施工条件・範囲リスト」の提示がなくトラブルが発生したときは元請責任としてください。また下請にも同様な指導を徹底してください。    
(「施工条件・範囲リスト」は、元請・下請間での見積条件を明確化するためにつくられたものです。元請は下請に、施工条件・施工範囲を提示しなければなりません。この施工条件・施工範囲を一覧表にしたものが、「施工条件・範囲リスト」です。「施工条件・範囲リスト」の標準モデルを、建設生産システム合理化推進協議会がつくっています。建設生産システム合理化推進協議会は、ゼネコンと専門工事業者からなる自主的協議機関だとのことです)
○ 適切な契約手続きにもとづかず、元請下請双方の協議がないまま、下請代金から一方的に赤伝等で差し引く(建設廃棄物処理費や安全協力費、敷地内での駐車場費、休憩室使用費など)行為は違法です。ただちにやめてください          
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(参考資料)
「建設業法令遵守ガイドライン」は、建設業法と独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)との関係について次のように記述しています。
国土交通大臣または都道府県知事は、建設業者が第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)、第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)、第24条の3(下請代金の支払)第1項、第24条の4(検査及び引き渡し)または第24条の5(特定建設業者の下請代金の支払期日等)第3項もしくは第4項の規定に違反している事実があり、その事実が独占禁止法第19条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対して措置請求を行うことができると、建設業法第42条はさだめている。
(「公正取引委員会に対する措置請求」というのは、「独占禁止法に違反する行為をおこなっている者に対して、独占禁止法を守らせる措置をとるよう、公正取引委員会に請求すること」です)
「独占禁止法第19条」 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。 
「建設業法第19条の3」  注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
 「建設業法第19条の4」 注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない。
 「建設業法第24条の3第1項」 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
 「建設業法第24条の4第1項」 元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から20日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。
「建設業法第24条の4第2項」 元請負人は、前項の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たときは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。ただし、下請契約において定められた工事完成の時期から20日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合には、この限りでない。
「建設業法第24条の5第3項」 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならない。
「建設業法第24条の5第4項」  特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金を第1項の規定により定められた支払期日又は第2項の支払期日までに支払わなければならない。当該特定建設業者がその支払をしなかったときは、当該特定建設業者は、下請負人に対して、前条第2項の申出の日から起算して50日を経過した日から当該下請代金の支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に国土交通省令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。
 
 
◎ 「建設業法令遵守ガイドライン」、「建設業法解説」と支払保留(補強版)
 支払保留(留保金)の問題、違法性の有無について質問を受けましたので、国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」、「建設業法解説」(大成出版社)にもとづいて、支払保留(留保金)の問題点また違法性を明らかにできればと思います。
 「建設業法令遵守ガイドライン」には、以下のように記述されています。
「支払保留(建設業法第24条の3、第24条の5)」
(建設業法上違反となるおそれがある行為事例)
@ 下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査及び元請負人への引渡し終了後、元請負人が下請負人に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
A 建設工事の前工程である基礎工事、土工事、鉄筋工事等について、それぞれの工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、工事全体が終了(発注者への完成引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
B 工事全体が終了したにもかかわらず、元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越した場合
○ 正当な理由がない長期支払保留は建設業法に違反
工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しが終了後、正当な理由がなく様々な名目(瑕疵担保や発注者からの工事代金の支払がない等)で長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことは、建設業法第24条の3又は同法第24条の5に違反する。
―――――――――――――――――――――――――――――――
 上記のガイドラインを一言で言うと、「正当な理由がない長期支払保留は建設業法に違反」ということになります。
 逆に言うと、支払保留(留保金)に正当な理由があれば、建設業法に違反しないということになります。「正当な理由」についての争いが、攻防が、発生します。
ガイドラインによれば、「瑕疵担保」や「発注者からの工事代金の支払がないこと」は、正当な理由になりません。
また、国土交通省「建設業法解説」(大成出版社)は、支払遅延(支払保留)での「正当な理由」について、次のように解説しています。「『正当な理由』があると認められるのは、たとえば、天災等不測の事態が発生したため、支払が遅滞することが真にやむを得ないと明らかに認められる理由がある場合等と解されている」
 ガイドラインによれば、短期の支払保留であれば、建設業法に違反しないということになります。短期と長期の境界をめぐる争い、攻防が、発生します。
 建設業法第24条の4の1項は、元請は、下請からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、通知を受けた日から20日以内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならないことをさだめています。
 建設業法第24条の4の2項は、 元請は、前項の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請が申し出たときは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならないことをさだめています。
国土交通省「建設業法解説」(大成出版社)は、特定建設業者が注文者となった下請契約での下請代金を、前述の建設業法第24条の4の2項が言う申出(建設工事の目的物の引渡しの申出)の日から起算して50日以内に支払わないことは、長期の支払遅延(支払留保)になることを、明らかにしています。これが、長期、短期の境界になるということです。
 そして、ガイドラインの趣旨を貫くとすれば、「一方的な支払保留」なのか「下請との協議・合意にもとづく支払保留」なのかも、違法性の有無を左右する要素になるのではないかと思います。
 
 
◎ 不当な工期設定 建設業法19条3項違反のおそれ ガイドラインの拡充必要
 倒産・不払いが増大傾向にある中、発注者がJR都市機構のケースで未払いトラブルが発生。着工の大幅な遅れが、トラブル発生のもとになっています。工事の開始が大幅に遅れ、本来2ヶ月だった工期が1ヶ月になってしまった責任について、元請は「工事開始の遅れの原因については、元請の責任の可能性が強いのは認める」と言明していますが、元請が認めるのはそこまでで、未払いトラブルについては元請に責任はないと主張しています。
 2008/2/15の『建設通信新聞』が「不当な工期設定」問題について注目すべき記事を載せています。
記事によると、国土交通省総合政策局の吉田光市建設業課長が次のように述べています。
 ○ 工期の不当な設定は、建設業法19条3項が定める不当に低い請負代金の禁止に該当するおそれがある。
 ○ そういった事例を建設業法令遵守ガイドラインに盛り込みたい。
 ○ 当初から無理のある短工期、前工程の遅れによる短工期は、集中的に技能者を投入し、残業や休日出勤などのコスト増を招く。工期とコストは密接不可分な関係にある。
 ○ 物理的に明らかに不当な場合には、毅然とした態度で臨むべきである。
「建設業法19条の3項」  注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
(建設業法が言う「注文者」というのは、発注者と元請の関係では発注者が注文者であり、元請と1次下請との関係では元請が注文者であり、また1次下請と2次下請との関係では1次下請が注文者、以下、2次と3次、3次と4次、等々、同様です)
 上記の、吉田光市建設業課長の言明は、一言で言うと、「工期とコストは密接不可分な関係にある」ことをあらためて明らかにしたものであり、JR都市機構のケースのように、工期については責任を認めるがコストについては責任を認めない元請の対応は不当、不合理であり、「毅然とした態度で臨むべき」、そういう構造のケースであることを、行政の立場から明言したものだととらえることができます。
 重層下請構造下での倒産・不払いなどのトラブル発生の際に、下請保護に活用することが求められる「行政の見解」の一つだと思います。
 
 
◎ ── 建設業法が定める「指示」、「営業の停止」、「許可の取消し」 ──
 元請のゼネコンによっては、「国土交通省建設業法令遵守ガイドライン違反ということであれば、違反は違反として受け止め、今後是正していく。それだけのことだ」と開き直るゼネコンもいます。
 開き直りを許さないために、国土交通省建設業法令遵守ガイドライン違反、言い換えると建設業法違反を犯したばあい、どのような罰則があるのか? 建設業法がさだめる「指示」、「営業の停止」、「許可の取消し」について、おおざっぱですが、以下にまとめてみました。
1 指示
 国土交通大臣または都道府県知事が指示をすることができる場合は、以下のとおりです。
@ 建設業者が建設業法に違反した場合。
A 元請の特定建設業者が建設業法41条2項または3項にもとづく(立替払の)勧告に従わない場合で必要があると認めるとき。
B 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき。
C 建設業者が請負契約にかんし不誠実な行為をしたとき。
D 建設業者またはその使用人がその業務にかんし他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
E 建設業法26条1項または2項にさだめられている主任技術者または監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。
2 営業の停止
国土交通大臣または都道府県知事が営業の停止を命ずることができるばあいは、以下のとおりです。
@ 建設業者が(国土交通大臣または都道府県知事の)「指示」に従わない場合。
A 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき。
B 建設業者が請負契約にかんし不誠実な行為をしたとき。
C 建設業者またはその使用人がその業務にかんし他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
D 建設業者が建設業法22条(丸投げの禁止)に違反したとき。
E 建設業法26条1項または2項にさだめられている主任技術者または監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。
F 建設業者が、建設業法3条1項に違反して、許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したとき。
G 建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が建設業法3条の1項の2号の政令で定める金額以上となる下請契約を締結したとき。
H 建設業者が、営業の停止を命ぜられている者または営業を禁止されている者とその停止され、または禁止されている営業の範囲にかかわる下請契約を締結したとき。
3 許可の取消し
国土交通大臣または都道府県知事が許可を取り消さなければならない場合は、以下のとおりです。
@ 建設業者が許可の基準を満たさなくなった場合。
A 建設業法8条の1号または7号から11号までのどれかにあてはまることになった場合。(一言でいうと、犯罪または暴力団に関係することです)
B 許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、または引き続いて1年以上営業を休止した場合。
C 不正の手段により建設業の許可を受けた場合。
D 「営業の停止」にあてはまる場合で、情状特に重い場合。
E 営業の停止の処分に違反した場合。
 
 
◎ 下請への工期しわ寄せ排除 「建設業法令遵守ガイドライン」改定へ
 建設現場の重層下請構造下で倒産・不払いが発生したとき、はっきりわかるのですが、工期の遅れの責任が元請にあるのに、下請業者にしわ寄せして、元請は責任を負わない、というような事態が、現実に存在しています。
 全建総連関東地協の第48回大手企業交渉では、多くのゼネコンが「適正な工期で受注している」、「下請に工期のしわ寄せをするようなことはない」、「工期の遅れについては、元請が負担する」と回答していますが、実態は必ずしもそうなっていないのは、前記の通りです。
 2008/4/28の『日刊建設工業新聞』に「国土交通省は建設業法令遵守ガイドラインを(2008年)6月にも改定する。下請への工期面のしわ寄せについて、法令違反行為を明確化して、建設業法令遵守ガイドラインに盛り込む考え」という趣旨の記事が載りました。
 現在、重層下請構造下で増加傾向にある倒産・不払いを抑止する上でも、建設業法令遵守ガイドラインに明記することで、工期での下請への不当なしわ寄せを防止することは、大事なことだと感じます。
 建設現場の実態はまさにその通りなのですが、上記の日刊建設工業新聞も、「当初の工期が厳しい上に、工程に遅れが生じると、下請に無理を強いることになりかねない」、「元請の責任での工程の遅れによるコスト増を、下請に負担させている事例も」、「国土交通省は、工期で無理を強要することも、建設業法で禁じる『優越的地位の乱用』にあたる可能性があるとみている」と指摘しています。
 
 
◎ 建設業法令遵守ガイドラインは不払い解決や建設廃棄物処理費問題で有効
 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」は、不払い解決や建設廃棄物処理費問題の解決など、現場改善に生かされています。
1 不払い解決
 重層下請構造の建設現場で倒産・不払いがおこると、はっきりわかるのですが、「契約書があるのは元請─1次の間だけで、1次─2次、まして2次─3次、3次─4次、4次─5次……の間には契約書がない」、「違法な無許可業者が存在する」、「施工体系図に2次までしか載っていない」、「労務費まで手形払い」、「手形サイトが120日を超えている」、「協議・合意がないままの一方的な引き去り、相殺」などの建設業法違反、建設業法令遵守ガイドライン違反が、重層下請構造の現場には、普通のことのように存在しています。
 たとえば、元請〜6次の重層下請構造の現場でおこった倒産・不払いについて、「契約書がない」、「協議・合意のない一方的な相殺」などについて建設業法令遵守ガイドライン違反であることを追及し、不払い解決に結び付けることができました。
 上記のように、重層下請構造の現場で倒産・不払いがおこったとき、建設業法41条2、3項がさだめる元請責任での不払い解決と、重層下請構造下に当り前のように発生している建設業法令遵守ガイドライン違反行為の追及を結び付けて、元請責任を追及することで、不払い解決での元請責任を果たさせることが、大事です。
2 企業交渉で追及して
 建設業法令遵守ガイドラインは、建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要と、さだめています。全建総連関東地協企業交渉のとき、この点を指摘すると、清水建設は「基本要綱に明示してあるので、問題ない」と回答。
 「国土交通省で確認するので、その基本要綱のコピーをください」とさらに言うと、「いま調べたら、ガイドラインでは見積条件と契約書への明示が必要となっているのが、わかった」と清水建設は認めました。
 同様のことが、淺沼組との交渉でも実現し、「建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要」であることを、淺沼組に説明し、「わかりました、調べて確認します」と淺沼組は約束。
 建設廃棄物処理費について、下請との協議・合意の名の下に元請による一方的な引き去り、相殺が行なわれているのが、建設現場の実態であり、「建設廃棄物処理費の下請からの徴収については、元請・下請との協議、合意だけでなく、見積条件と契約書への明示が必要」とさだめている建設業法令遵守ガイドラインは、元請による一方的な引き去り、相殺を規制する上で、有効です。
 
 
◎ ──── 「建設業法令遵守ガイドライン」関連のポイント ────
1 建設業法令遵守ガイドラインのポイント
 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」は、建設業法違反のおそれがある行為と建設業法違反の行為を、次のように明らかにしています。
(1)建設業法違反のおそれがある行為
 ○ 元請が工事内容などをはっきりさせないで、下請に見積りをおこなわせること。
 ○ 元請が、工事代金を増額しないで、下請に追加工事をおこなわせること。
 ○ 元請が、契約後に、とりきめた代金を一方的に減額すること。
 ○ 指値発注すること。
 ○ 元請が、やり直し工事を別の専門工事業者におこなわせ、その費用を一方的に下請代金から減額すること。
 ○ 元請と下請の協議・合意がないまま、元請が一方的に諸費用を下請代金から差し引くこと。
 ○ 差し引く根拠が不明確な諸費用を下請代金から差し引くこと。
 ○ 実費より大きい金額を下請代金から差し引くこと。 
(2)建設業法違反の行為
 ○ やり直し工事を下請におこなわせ、そのやり直し工事の責任が下請にないのに、その費用を下請に負担させること。
 ○ 契約書に書いていないのに、建設廃棄物処理費を下請代金から差し引くこと。
 ○ 工事完成後、正当な理由がなくさまざまな名目(瑕疵担保、発注者から工事代金をもらっていない、など)で長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないこと。
 ○ 契約書がないこと。
 ○ 下請工事の着工後に、契約書を交付すること。
 ○ 追加工事、変更工事で、契約書がないこと。
 ○ 追加工事、変更工事が発生しているのに、元請が合理的な理由もなく一方的に追加・変更契約をおこなわないこと。
2 元請責任と結び付けて
 倒産・不払いのような事例が発生すると、はっきりわかるのですが、重層下請構造の建設現場では、契約書一つをとっても、元請と1次との間には契約書があっても、1次と2次、まして2次と3次、3次と4次、4次と5次……の間には契約書がないなど、普通のことのように、建設業法令遵守ガイドライン違反、建設業法違反が、存在します。
 口約束で契約書がない、違法な無許可業者、工事代金を払わない「不良不適格業者」、労務費まで手形払い、120日を超える手形、丸投げ、労災隠し、建設廃棄物処理費の一方的な差し引き、根拠のない保留金、等々、重層下請構造の現場には、さまざまな問題が発生し、存在します。
 たとえば契約書について言うと、元請によっては、「うちは1次とちゃんと契約書を交わしている、下請間のことは関係ない」と開き直る、建設業法の主旨を理解していない元請も存在します。
 建設業法24条の7がさだめる「元請責任での下請の実態の把握」、そして下請の実態の把握にもとづく、建設業法24条の6がさだめる「元請責任での下請の的確な指導」があります。建設業法の中でも、とても大事な部分です。
 元請には、下請の実態を最終下請に至るまできちんと把握し、それにもとづき、下請が法律やルールを守るよう下請を的確に指導すべき責務があることを、建設業法はさだめているのです。
 「下請の間に契約書がないのは、下請の問題だ」ではすまないのであり、下請を的確に指導して下請間に契約書を結ばせる責務が、元請にはあるのです。
 下請間に契約書がないということは、下請指導が的確におこなわれていなかった、ということです。
 国土交通省の解説書は「下請指導を的確におこなっていない場合は、指示処分の対象となると考えるべきである」と断言しています。
 元請に、建設業法がさだめる元請責任をよく理解してもらう必要があります。
3 公正取引委員会と独占禁止法
「建設業法令遵守ガイドライン」は、建設業法と独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)との関係について次のように記述しています。
国土交通大臣または都道府県知事は、建設業者が第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)、第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)、第24条の3(下請代金の支払)第1項、第24条の4(検査及び引き渡し)または第24条の5(特定建設業者の下請代金の支払期日等)第3項もしくは第4項の規定に違反している事実があり、その事実が独占禁止法第19条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対して措置請求を行うことができると、建設業法第42条はさだめている。
(「公正取引委員会に対する措置請求」というのは、「独占禁止法に違反する行為をおこなっている者に対して、独占禁止法を守らせる措置をとるよう、公正取引委員会に請求すること」です。独占禁止法違反ということになると、懲役刑、罰金といった罰則があります──海野)
4 建設業法が定める「指示」、「営業の停止」、「許可の取消し」 
 元請のゼネコンなどによっては、「国土交通省建設業法令遵守ガイドライン違反ということであれば、違反は違反として受け止め、今後是正していく。それだけのことだ」と開き直るゼネコンなどもいます。
 開き直りを許さないために、国土交通省建設業法令遵守ガイドライン違反、言い換えると建設業法違反を犯したばあい、どのような罰則があるのか? 建設業法がさだめる「指示」、「営業の停止」、「許可の取消し」について、おおざっぱですが、以下にまとめてみました。
(1) 指示
 国土交通大臣または都道府県知事が指示をすることができる場合は、以下のとおりです。
@ 建設業者が建設業法に違反した場合。
A 元請の特定建設業者が建設業法41条2項または3項にもとづく(立替払の)勧告に従わない場合で必要があると認めるとき。
B 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき。
C 建設業者が請負契約にかんし不誠実な行為をしたとき。
D 建設業者またはその使用人がその業務にかんし他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
E 建設業法26条1項または2項にさだめられている主任技術者または監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。
(2) 営業の停止
国土交通大臣または都道府県知事が営業の停止を命ずることができるばあいは、以下のとおりです。
@ 建設業者が(国土交通大臣または都道府県知事の)「指示」に従わない場合。
A 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき。
B 建設業者が請負契約にかんし不誠実な行為をしたとき。
C 建設業者またはその使用人がその業務にかんし他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
D 建設業者が建設業法22条(丸投げの禁止)に違反したとき。
E 建設業法26条1項または2項にさだめられている主任技術者または監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。
F 建設業者が、建設業法3条1項に違反して、許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したとき。
G 建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が建設業法3条の1項の2号の政令で定める金額以上となる下請契約を締結したとき。
H 建設業者が、営業の停止を命ぜられている者または営業を禁止されている者とその停止され、または禁止されている営業の範囲にかかわる下請契約を締結したとき。
(3) 許可の取消し
国土交通大臣または都道府県知事が許可を取り消さなければならない場合は、以下のとおりです。
@ 建設業者が許可の基準を満たさなくなった場合。
A 建設業法8条の1号または7号から11号までのどれかにあてはまることになった場合。(一言でいうと、犯罪または暴力団に関係することです)
B 許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、または引き続いて1年以上営業を休止した場合。
C 不正の手段により建設業の許可を受けた場合。
D 「営業の停止」にあてはまる場合で、情状特に重い場合。
E 営業の停止の処分に違反した場合。
 
 
◎ 国土交通省「建設産業政策2007」を叩くだけでいいのか? 
「建設産業政策2007〜大転換期の構造改革〜」(略称「建設産業政策2007」)は、建設産業政策研究会(国土交通省総合政策局長の私的諮問機関)が、2007年6月29日付けでとりまとめたものです。その中には、建設労働運動から見て注目しておいたほうがいいと思われる部分が、存在します。建設産業政策研究会の委員として、佐藤正明全国建設労働組合総連合書記長(当時)が入っています。
「建設産業政策2007」は、「法令違反行為を明確化するための『建設業法令遵守ガイドライン』の策定」を打ち出し、それにもとづいて国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」がつくられました。
重層下請構造下の倒産・不払い事件で建設業法令遵守ガイドラインにもとづいて元請責任を追及し、元請責任での不払い解決に結実するなど、現実に建設現場の改善に、建設業法令遵守ガイドラインは一定の役割を果たしています。
2008年春の全建総連関東地協第48回大手企業交渉では、建設業法令遵守ガイドラインにもとづく現場改善を大手ゼネコン・住宅企業・サブコンに要求し、元請・下請関係の適正化をめざします。
また、(国土交通省総合政策局長の私的諮問機関の)建設産業政策研究会に委員として全建総連書記長(当時)が参加して「建設産業政策2007」をつくったこと自体が、国土交通省や大手企業などに全建総連の各県連・組合を「正当な存在」として認めさせ、倒産・不払いを含めて元請責任での問題解決に向かって、企業、労働組合、行政の三者が力を合わせる上で有効に作用しています。
(株)ヴィタリテ(店舗の設計、内装施工)倒産での、元請責任での不払い解決に向かっての元請ゼネコンの前向きの変化にも、それは現れていると、感じています。
一部に見られるように、「建設産業政策2007」を叩くだけでいいのか?
疑問を感じます。
 以下は、「建設産業政策2007」からの抜粋です。
○ 人口減少社会を迎え、若年労働者の確保が経済・産業全体で大きな課題となっている。その中で、建設産業は、厳しい経営環境の下で賃金が低下傾向にあるなど労働条件等の悪化が進み、相対的に魅力の少ない産業となっている。建設業就業者の高齢化も進展しており、団塊の世代が退職期を迎える中、技術・技能の承継が大きな課題となっている。建設産業は、その根底が今大きく揺らいでいる。
○ 近年の厳しい経営環境下で極端な低価格による受注や一方的な下請・労働者へのしわ寄せ等により、元請下請関係や労働条件等が悪化してきている。
○ 不良債権処理が大きな課題となっていたが、現在ではほぼ解消した。
○ 民間の建設投資は回復傾向にあり、資材価格の高騰や、特に大都市部での建築分野の技能者等の人手不足の顕在化等が見られる。
○ 中小企業や労働者は必ずしも景気回復の恩恵を享受していないのではないかということが懸念されている。特に、労働市場に関しては、いわゆるワーキングプアの存在や偽装請負等不正な雇用形態の存在が指摘されている。また、地方では、地域経済の地盤沈下が深刻化しており、企業間、労働者間、地域間等の格差の固定化が懸念されている。
○ 建設投資は、ピーク時の1992年度に84兆円に達していたものが、2007度は約52兆円と見込まれており、ピーク時の約6割にまで急激に減少している。特に、公共投資については、ピーク時の1995年度の約35兆円から2007年度には約17兆円と、ピーク時の半分以下の水準にまで落ち込むと見込まれている。
○ 建設業の許可業者数は、2006年度末には2005年度末から約2万減少しており、ピーク時である1999年度末の約60万業者から約8万減の約52万業者となっている。就業者数は、ピーク時の1997年の約685万人から2006年には559万人と100万人以上減少している。
○ 建設産業に対する将来の不安等から若年労働者の入職者の減少が進んでおり、50歳以上の就業者が4割以上を占めるなど、急速に高齢化が進展している。
また、団塊の世代の大量退職期を迎え、賃金等労働条件が劣る建設産業は、他産業との人材確保競争で厳しい状況に置かれるおそれがあり、労働条件の改善等により若年労働者を確保することが急務となっている。
○ 建設業の企業倒産は、件数・負債総額とも依然として高水準で推移しており、最近は倒産件数が前年度を上回るなど増加傾向にある。全産業に占める建設業の倒産件数を地域別に見ると、大都市部に比べ地方部が相対的に高い割合を示しており、地方部での建設業の経営環境は非常に厳しい状況にある。
○ 近年の競争激化の影響により、現場労働者の賃金は低下傾向にあり、他産
業に比べ低い水準で推移している。現場の労働時間についても、他産業と比べて長くなっている。
○ 専門工事業では、社会保険・労働保険に未加入のケースが見られるとともに、従業員の社会保険・労働保険等の負担を軽減するため、労務外注するケースが増えるなど、労働条件等が悪化している。
○ 技能者の需給動向をみると、2005年頃から、民間投資、建築投資が回復傾向にあることを背景として、特に大都市圏を中心として建築関係の職種の技能者の不足が顕著になってきている。また、これに関連して土木関係の職種でも大都市圏の鉄筋工の不足が見られるなど、職種・地域により技能者の需給動向は異なっている。
○ 建設生産は屋外・単品・受注生産であり、また、各プロジェクトの内容に対応して数多くの専門的な担い手の参画が必要になる。近年の建設生産の内容の高度化、複雑化等により、設計・施工のそれぞれの局面で専門化・分業化・重層化が進行してきている。さらに、厳しい経営環境下で、労務外注やいわゆる一人親方が増加していると見られ、このことも重層下請構造の進行の要因となっている。
○ 建設産業では、従来から、適切な施工能力を有しないいわゆるペーパーカンパニー等の不良不適格業者の存在をはじめ、一括下請負、技術者の不専任、書面によらない契約、指値発注・赤伝処理等の不当な減額による不当に低い代金での下請契約、社会保険・労働保険の未加入等の法令違反行為が一部に見られる。
○ 元請下請間で、見積条件の不明確さ、書面による契約前の工事着手や片務的な契約の締結の要求、指値発注・赤伝処理等による一方的な代金の差し引き、下請業者の負担による追加工事等、依然として片務性が存在すると指摘されている。
○ 元請下請関係で、あいまいな役割・責任分担が片務性を助長してきたと考えられるが、下請企業が体力を限界近くまで消耗している中で、設計変更に伴う手直し等を下請企業が負担することは困難になってきている。元請下請間の片務性を是正し、両者が対等な関係を築いていくために、協議による役割・責任分担の明確化、書面による契約の締結、設計変更等に伴う契約変更の適切な実施が必要である。
○ 不当に低い代金での下請契約の締結、社会保険、労働保険への未加入等の法令違反行為に対しては、行政の厳格な対応が求められる。
○ 女性の建設産業への進出の促進や、日本人と同等の処遇の確保を前提として、外国からの技能実習生の積極的な受入れに取り組むことも選択肢として考えられる。
○ 一括下請負、極端な低価格による受注に伴う下請・労働者へのしわ寄せの防止の徹底等により、まじめに努力する者が損をすることのない公正な競争環境を整備することが何よりも重要である。
○ 法令遵守推進体制の強化のための「建設業法令遵守推進本部」の設置、「駆け込みホットライン」の開設。
○ 法令違反行為を明確化するための「建設業法令遵守ガイドライン」の策定。
○ 下請・労働者へのしわ寄せの防止、適正な施工の確保のための建設業許可部局による緊急立入調査の強化。
○ 事業者団体を通じた建設労働者の一時的な送出・受入を可能にするための改定建設労働者雇用改善法の活用の促進。
 
更新日時:
2008/07/07
「ゼネコン、住宅企業等 2008年3月期 中間決算」関連
「ゼネコン、住宅企業等 2008年3月期 中間決算」関連
海野和夫
 
◎ 三井住友建設 2008年3月期 中間決算短信からの抜粋
(以下は、三井住友建設株式会社のHPに載っている同社の「平成20年(2008年)3月期 中間決算短信」からの抜粋を中心に構成されています――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
○ 売上高 2218億53百万円
○ 営業利益  11億1百万円
○ 経常利益  6億97百万円(前年同期比△65.6%)
○ 中間(当期)純利益 3億21百万円(前年同期比△81.0%)
○ 1株当たり中間(当期)純利益 2.45円
○ 1株当たり配当金 中間期末 ゼロ  年間 未定
2 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
○ 売上高  4880億円
○ 営業利益  102億円
○ 経常利益  75億円
○ 当期純利益 64億円
○ 1株当たり当期純利益 24.18円
3 優先株式の配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末 ゼロ  年間 未定
(「当期については、通期の業績を見極めた上で各種優先株式、普通株式も含めて具体的な配当額を検討する」としています――海野)
4 財政状態に関する分析
 営業活動及び投資活動での資金需要に対し主に短期借入金による調達を行った。
5 当中間期の主な受注工事
国土交通省      第二京阪(大阪北道路)青山地区高架橋工事
三井不動産株式会社  湘南国際村基盤整備事業
愛媛県        一般県道岩城弓削線(生名橋)生名橋建設工事
札幌高等裁判所    札幌高地裁庁舎増築等建築工事 
三井不動産レジデンシャル株式会社、小田急電鉄株式会社   (仮称)万福寺3街区計画新築工事
ジェイアール東日本商業開発株式会社   蒲田駅ビル東館改装工事
6 短期借入金 269億39百万円(前年同期末が96億1百万円ですから相当増えています――海野)
7 長期借入金 50億63百万円
8 資本金  168億59百万円
9 利益剰余金残高 69億46百万円(この数字は、安定した財務基盤の形成が課題であることを示しています――海野)
10 全セグメントの売上高の合計、営業利益の合計額に占める「建設事業」の割合がいずれも90%を超えている。
 
 
◎ 戸田建設株式会社 2008年3月期中間決算短信からの抜粋を中心に
(以下は、戸田建設HPに公表されている「2008年3月期中間決算短信」からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007 年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高 1726億70百万円(建設事業1629億43百万円、不動産事業等97億26百万円)
 ○ 営業利益  7億57百万円
 ○ 経常利益 15億29百万円
 ○ 中間(当期)純利益 16億96百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 5.33円
2 配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末ゼロ 期末(予想)7円 年間(予想)7円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1 日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高 4660億円
 ○ 営業利益 87億円 
 ○ 経常利益 95億円
 ○ 当期純利益 53億円
 ○ 1株当たり当期純利益 16.86円
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
 ○ 建設事業 完成工事高1629億円 完成工事総利益103億円
 ○ 不動産事業等 売上高97億円 売上総利益26億円
5 当中間連結会計期間末の
 ○ 短期借入金  481億1百万円
 ○ 長期借入金   46億円
 ○ 資本金    230億1百万円
 ○ 利益剰余金 1270億65百万円(利益剰余金期末残高の推移を見ると、2007年3月31日残高1305億95百万円→2007年9月30日残高1270億65百万円へと微減しています――海野)
6 主な受注工事
・合同会社 フジグラン松前 他  松前SC(仮称)新築工事(T期)
・アーバンライフ(株)     (仮称)神戸市中央区加納町計画新築工事
・日本赤十字社   和歌山医療センター新棟建設及び既存棟改修工事(建築)
・(株)村田製作所        野洲事業所 新棟建設建築工事
・首都高速道路(株)      (高負)子安台換気所・トンネル・橋台工事
・国土交通省         北海道横断自動車道浦幌町 釧勝トンネル工事
7 主な完成工事
・日本特殊陶業(株)       小牧工場第14工場新築工事
・キヤノンファインテック(株)  新本社開発棟新築工事
・ヤマト運輸(株)        大阪主管支店増改築工事
・医療法人 友紘会         彩都友紘会病院新築工事
・中日本高速道路(株)    第二東名高速道路 富士インターチェンジ工事
・西日本高速道路(株)     鳥取自動車道 利神山トンネル工事
 
 
◎ 積水ハウス株式会社有価証券報告書(半期報告書)からの抜粋
(以下は、積水ハウス株式会社有価証券報告書(半期報告書 2007年2月1日 〜2007年7月31日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 半期の主要な経営指標等の推移
 ○ 売上高 7967億56百万円
 ○ 経常利益 493億36百万円
 ○ 中間(当期)純利益 286億65百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 41.04円
 ○ 従業員数 22,508人
2 (半期の)事業の種類別セグメントの業績
 ○ 工業化住宅請負事業 売上高3610億3百万円 営業利益373億27百万円 
 ○ 不動産販売事業(戸建住宅販売事業、分譲マンション事業、都市再開発事業) 売上高1966億10百万円 営業利益190億38百万円
 ○ 不動産賃貸事業 売上高1655億89百万円 営業利益81億80百万円
 ○ その他事業(リフォーム事業、エクステリア事業) 売上高811億59百万円 営業利益21億45百万円
3 大株主の状況
積水化学工業株式会社 所有株式数7216万8千株 発行済株式総数に対する所有株式数の割合10.17%
4 当中間連結会計期間末の
 ○ 長期借入金 201億96百万円
 ○ 資本金   1865億54百万円
 ○ 利益剰余金 3539億95百万円
(ため込みである利益剰余金の推移を見ると、中間純利益286億65百万円をさらにため込むことで、2007年1月31日残高3338億37百万円→2007年7月31日残高3539億95百万円へと増大させ、安定した強固な財務基盤を形成しています――海野)
5 半期の配当
配当金の総額   81億17百万円
1株当たり配当額 12円
 
 
◎ 大和ハウス工業株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、大和ハウス工業の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 連結経営成績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高   8258億80百万円
 ○ 営業利益   407億20百万円
 ○ 経常利益   408億82百万円
 ○ 中間(当期)純利益  236億39百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 40.42円
2 配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末ゼロ 期末24円(予想) 年間24円(予想)
(1株当たり年間配当金について、2007年3月期20円→2008年3月期24円(予想)と増加の予想を打ち出し、業績の好調さを表現しています――海野)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高   1兆7000億円
 ○ 営業利益    1000億円
 ○ 経常利益    1000億円
 ○ 当期純利益    580億円
 ○ 1株当たり当期純利益 99.60円
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
 ○ 住宅事業(戸建住宅、集合住宅(寮、社宅、アパート等)、マンション等の建築請負、分譲及び賃貸、宅地の分譲、不動産の仲介斡旋、アパートの賃貸、管理、マンションの管理) 売上高4723億63百万円 営業利益208億94百万円
 ○ 商業建築事業(各種流通センター、店舗、事務所、工場等の建築請負及び賃貸、管理、事業用地の分譲) 売上高2598億15百万円 営業利益269億14百万円
 ○ リゾート・スポーツ施設事業(リゾートホテル、ゴルフ場、スポーツ施設事業) 売上高326億51百万円 営業利益2億84百万円
 ○ ホームセンター事業 売上高314億30百万円 営業利益9億89百万円
(ウィキペディア(Wikipedia)によると、「ホームセンターとは、主として日用雑貨や住宅設備に関する商品を販売する小売店の業態」とのことです――海野)
 ○ その他事業(建築部材製造・販売事業、物流事業、都市型ホテル事業、その他) 売上高694億30百万円 営業利益25億51百万円
5 当社グループの事業領域
「住まい」をサポートする戸建住宅建築、賃貸住宅建築、戸建住宅分譲、マンション分譲、住宅リフォームの各事業、「ビジネス」をサポートする商業施設、物流施設、医療・介護施設等の建設事業、そして「暮らし」をサポートする観光事業、ホームセンター事業、スポーツ施設事業など、きわめて多様な分野に広がっています
6 当中間期(連結)の
○ 短期借入金 109億13百万円
 ○ 長期借入金 440億83百万円
 ○ 資本金   1101億20百万円
 ○ 利益剰余金 3994億78百万円
(利益剰余金の推移を見ると、中間純利益236億39百万円をためこむことで、2007年3月31日残高3878億42百万円→2007年9月30日残高3994億78百万円へと増大させ、利益剰余金残高約4000億円という圧倒的財務体力を形成しています。なお、剰余金の配当は117億43百万円です──海野)
 
 
◎ 前田建設工業株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信等から
(以下は、前田建設工業の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 連結経営成績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高   2217億63百万円
 ○ 営業利益  △17億40百万円
 ○ 経常利益  △20億38百万円
 ○ 中間(当期)純利益 △36億31百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 △20.51円
2 配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末ゼロ 期末7円(予想) 年間7円(予想)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高   4850億円
 ○ 営業利益    37億円
 ○ 経常利益    45億円
 ○ 当期純利益   11億円
 ○ 1株当たり当期純利益 6.21円
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの実績
(建設事業部門)売上高1966億円余 営業損益24億円余の損失
(その他の事業部門)建設事業に関連する事業を中心にサービス業まで幅広く展開  売上高250億円余 営業利益10億円余 
5 会社の対処すべき課題
(「当社は、防衛施設庁が競争入札の方法により発注した工事に関して、公正取引委員会から排除措置命令および課徴金納付命令を受け、これに伴い国土交通省より建設業法に基づき15日間の営業停止処分を受けました。また、名古屋市発注の地下鉄工事の入札に関して、名古屋地方裁判所で、独占禁止法違反の判決の言い渡しを受け、これが確定しました」として、前田建設工業は謝罪と再発防止に向けての決意、対策を同社HPで表明しています――海野)
6 当中間期(連結)の
○ 短期借入金 367億53百万円
 ○ 長期借入金 220億45百万円
 ○ 資本金   234億54百万円
 ○ 利益剰余金  993億65百万円
(中間純損失△36億31百万円を反映して、利益剰余金が、2007年3月31日残高1042億35百万円→2007年9月30日残高993億65百万円へと減少していますが、逆に言うと、993億65百万円の利益剰余金を保有しているということであり、一定強固な財務基盤を形成しているのがわかります。帝国データバンク企業情報での評価も高く、「評点」70点です――海野)
7 主要受注工事
○ 野村不動産   (仮称)練馬・中村北計画新築工事
○ 合同会社赤坂けやき通りレジデンシャル  (仮称)赤坂2丁目賃貸マンション新築工事
○ 松下電器産業梶@ 松下電器産業株式会社 川崎物流倉庫土地土壌改良工事
○ 香港機場管理局  香港国際空港格納庫建設準備工事
8 主要完成工事
○ 鰍bSKホールディングス  多摩プロジェクト新築工事
○ (学)白百合学園  仙台白百合女子大学 キャンパス整備工事
○ 山形県  債務負担行為工事綱木川ダム建設事業堤体工事
○ 珠洲風力開発梶@ 珠洲風力発電所施設建設工事
9 帝国データバンク企業情報によると
 前田建設工業単体の従業員数は3,440人です。
 販売先は官庁、地方自治体、電力会社、国土交通省、東京都になっています。
 
 
◎ 大林組 2007年9月中間期 中間決算短信から ため込みと有利子負債
(以下は、株式会社大林組の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)連結業績
○ 売上高 6467億11百万円 
○ 営業利益 72億34百万円
○ 経常利益  98億90百万円
○ 中間(当期)純利益 49億85百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 6.93円
○ 1株当たり配当金 中間期末4円 期末4円(予想) 年間8円(予想)
2 2008年3月期の連結業績予想
○ 売上高 1兆6800億円
○ 営業利益   400億円
○ 経常利益   430億円
○ 当期純利益  230億円
○ 1株当たり当期純利益 31.95円
3 有利子負債残高
 ○ 2007年9月末    3120億円
 ○ 2008年3月末見通し 3350億円
4 当中間期の概況
 当社グループの事業別売上高は、建設事業約6068 億円、不動産事業約294億円、その他事業約104 億円です。営業利益は、建設事業6億95百万円、不動産事業84億28百万円、その他事業5億17百万円です。(大林組の場合も、建設事業苦戦、不動産事業好調の傾向が、明白に数字に出ているようです――海野)
5 当中間期の主な完成工事
○ 三菱UFJ信託銀行(株)   浦和駅東口駅前地区第二種市街地再開発事業 特定施設建築物新築工事
○ 東日本旅客鉄道(株)   東京駅日本橋口ビル新築工事
○ (株)SUMCO   SUMCO伊万里第5工場建設工事
○ 関電不動産(株)、野村不動産(株) 、大和ハウス工業(株)  桃坂コンフォガーデン建設工事
○ PFI水と緑の健康都市(株)   水と緑の健康都市第1期整備等事業(都市基盤施設建設工事)
○ ブルックヘブン国立研究所   ブルックヘブン国立研究所 ナノマテリアルセンター新築工事(米国)
6 当中間期末の
○ 短期借入金  900億43百万円
○ 長期借入金  542億89百万円
○ 資本金    577億52百万円
○ 利益剰余金  1877億3百万円
(利益剰余金について、中間純利益49億85百万円をため込むこと等で、2007年3月31日残高1835億99百万円→2007年9月30日残高1877億3百万円へと増大させています。安定した財務基盤の形成と言えますが、有利子負債残高2007年9月末3120億円との関係を考えると、どうなのか、という問題は残ります。なお、剰余金の配当は43億19百万円です──海野)
7 海外売上高  1188億4百万円
8 連結売上高に占める海外売上高の割合  18.4%
(海外売上高の割合が約2割に達しており、日本のゼネコンとしては、相当高い割合を示しています──海野)
9 当中間期の主な受注工事
○ 後楽二丁目西地区第一種市街地再開発組合  後楽二丁目西地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事
○ 島根あさひソーシャルサポート(株)  島根あさひ社会復帰促進センター整備・運営事業
○ 大和システム(株)  大和システム琵琶湖守山SC計画
○グランドン社  パターソンヒルコンドミニアム建築工事(シンガポール)
○ 阪神電気鉄道(株)  阪神本線三宮駅改良工事の内土木関係工事
○ バンコック銀行  バンコック銀行本店ビル設備等改修工事(タイ)
 
 
◎ 清水建設株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、清水建設の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)連結業績
○ 売上高 6073億39百万円 
○ 営業利益 100億円
○ 経常利益  97億92百万円
○ 中間(当期)純利益 61億27百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 7.80円
○ 1株当たり配当金 中間期末3.5円 期末3.5円(予想) 年間7円(予想)
2 2008年3月期の連結業績予想
○ 売上高 1兆6850億円
○ 営業利益   500億円
○ 経常利益   480億円
○ 当期純利益  280億円
○ 1株当たり当期純利益 35.63円
3 (「当中間連結会計期間に建設業法に基づく営業停止処分を受けた」として、清水建設は謝罪と再発防止の決意を同社HPで表明しています──海野)
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
(建設事業)
受注高   7416億円余
完成工事高 5529億円余
営業利益    5千万円余
(開発事業)
売上高   177 億円余
営業利益   76 億円余
(その他の事業)主として建設事業,開発事業に附帯関連する事業活動
売上高   625億円余
営業利益   27億円余
5 当中間期末の
○ 短期借入金  994億51百万円
○ 長期借入金 1085億21百万円
○ 資本金    743億65百万円
○ 利益剰余金 1224億48百万円
(利益剰余金について、中間純利益61億27百万円をため込むことで、2007年3月31日残高1187億90百万円→2007年9月30日残高1224億48百万円へと増大させています。なお、剰余金の配当は27億54百万円です──海野)
6 海外売上高は連結売上高の10%未満
7 当中間会計期間の主な受注工事
○ (有)大手町開発  大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業建設工事(A・C工区)
○ 多摩医療PFI(株)  多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業のうち建設工事
○ 名駅2丁目開発特定目的会社  (仮称)旧那古野営業所用地活用事業新築工事
○ キヤノン(株)  (仮称)川崎事業所L-3・U-2棟新築工事
○ ドバイ首長国  ドバイインターチェンジNo.8建設工事
8 当中間会計期間の主な完成工事
○ シャープ(株)  亀山第2工場展開建設工事
○ (株)東芝  四日市工場240棟第1期建築工事
○ (株)野村総合研究所  NDプロジェクト建設工事
○ 大和ハウス工業(株)   (仮称)ロックシティ守谷新築工事
○ 九州電力(株)  小丸川発電所新設工事のうち土木本工事(第5工区)
 
 
◎ 大成建設株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、大成建設の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)連結業績
○ 売上高 7191億15百万円 
○ 営業利益 101億79百万円
○ 経常利益  78億13百万円
○ 中間(当期)純利益 119億9百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 11.19円
○ 1株当たり配当金 中間期末3円 期末3円(予想) 年間6円(予想)
2 2008年3月期の連結業績予想
○ 売上高 1兆7900億円
○ 営業利益   520億円
○ 経常利益   440億円
○ 当期純利益  260億円
○ 1株当たり当期純利益 24.43円
3 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
○ 建設事業
 売上高 6,389億円
営業損益  19億円の損失
○ 開発事業
売上高  517億円
営業利益 102億円
4 ベトナム・カントー橋の橋桁崩落事故について
(「2007年9月26日にベトナム・カントー市で、大成建設を代表者とするJVにより建設中の橋梁工事で、全長2,750mの工事区間のうち2区間(80m)の橋桁が崩落する事故が発生し、多数の犠牲者を出した」件で大成建設は、謝罪、再発防止、事故が業績に与える影響等について、同社HPで明らかにしています──海野)
5 当中間期末の
○ 短期借入金 1937億72百万円
○ 長期借入金 2124億81百万円
○ 資本金   1124億48百万円
○ 利益剰余金  820億87百万円
(利益剰余金について、中間純利益119億9百万円をため込むことで、2007年3月31日残高748億92百万円→2007年9月30日残高820億87百万円へと増大させています。なお、剰余金の配当は31億93百万円です──海野)
6 当中間期の海外売上高 1004億55百万円
  当中間期の、連結売上高に占める海外売上高の割合 14.0%
7 当中間期の主な受注工事
○ 二子玉川東地区市街地再開発組合  二子玉川東地区第一種市街地再開発事業に係る施設建築物新築工事(3街区)
○ リミットレス社  アラブ首長国連邦 ドバイ・ダウンタウン・ジュベールアリ・プロジェクト
○ オーディーケー特定目的会社  (仮称)みなとみらいODKビル新築工事
○ 台湾政府 経済部水利署・中区水資源局  台湾 湖山ダム本体建設工事
○ 東日本高速道路梶@ 東京外環自動車道 京葉工事
8 当中間期の主な完成工事
○ 三菱地所梶E潟yニンシュラ東京  (仮称)ザ・ペニンシュラ東京新築工事
○ 富士通梶@ 三重工場300mm第二棟建築工事
○ 千葉中央第六地区市街地再開発組合  千葉中央第六地区第一種市街地再開発事業
○ 鴻巣駅東口A地区市街地再開発組合 鴻巣駅東口A地区第一種市街地再開発事業施設建築物(A1街区)新築工事
○ 秋田県  秋田中央道路整備工事(SA20−10)
 
 
◎ 鹿島建設株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、鹿島建設の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 連結経営成績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高 8151億33百万円
 ○ 営業利益  54億92百万円
 ○ 経常利益 154億64百万円
 ○ 中間(当期)純利益 248億55百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 23.65円
2 配当の状況
 ○ 1株当たり配当金 中間期末3.5円 期末3.5円(予想) 年間7円(予想)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高 1兆8500億円
 ○ 営業利益   170億円
 ○ 経常利益   270億円
 ○ 当期純利益  270億円
 ○ 1株当たり当期純利益 25.69円
4 当中間期の部門別概況
 ○ 建設事業 売上高 7322億円余  営業利益  7億円余
 ○ 開発事業 売上高  339億円余  営業利益 49億円余
5 当中間期(連結)
○ 短期借入金 1825億96百万円
 ○ 長期借入金 1438億48百万円
 ○ 資本金    814億47百万円
 ○ 利益剰余金  950億96百万円
 ○ 海外売上高 1596億86百万円
 ○ 連結売上高に占める海外売上高の割合 19.6%
(約2割が海外売上高ですから、鹿島建設が日本のゼネコンの中では、海外進出傾向の強いゼネコンであることを、示しています──海野)
6 利益剰余金の増大
 (利益剰余金について、2007年3月31日残高750億95百万円→2007年9月30日残高950億96百万円と増大させています。中間(当期)純利益248億55百万円をため込んだ結果です。なお、剰余金の配当は41億94百万円です──海野)
 
 
◎ 「西松建設株式会社 2008年3月期中間決算短信」からの抜粋
(以下は、「西松建設株式会社 2008年3月期中間決算短信」からの抜粋を中心に記述してあります)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
○ 売上高  1621億42百万円
○ 営業利益  △7億9百万円
○ 経常利益   △71百万円
○ 中間(当期)純利益 △4億84百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 △1.75円
○ 1株当たり配当金(予想)  中間期末 ゼロ 期末 9円 年間 9円  
2 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
○ 売上高 4640億円
○ 営業利益  90億円
○ 経常利益 100億円
○ 当期純利益 45億円
○ 1株当たり当期純利益 16.22円
3 受注工事のうち主なもの
○ 市原市五井駅前東土地区画整理組合  第1期造成工事
○ 国土交通省     七尾トンネル工事
○ パラオ共和国    首都圏基幹道路改修計画
○ 西日本高速道路(株)  九州自動車道筑豊工事
○ 東日本旅客鉄道(株)   両毛線伊勢崎駅付近高架化東工区
○ 学校法人玉川学園    新大学6号館( 農学部新校舎) 建設工事
○ (株)ゲオエステート   (仮称)エスポアシティ札幌新築工事
○ 一宮市       市民病院本館建替(南館2期) 建設工事
○ 広島市西区井口鈴が台K・L・M・N棟マンション建替組合  広島市西区井口鈴が台K・L・M・N棟マンション建替え事業施設建築物新築工事及び整地工事他工事
○ 学校法人濱名学院   学校法人濱名学院関西国際大学尼崎キャンパス新築工事
4 短期借入金 226億7千万円
5 長期借入金 232億7千万円
6 資本金   235億13百万円
7 利益剰余金期末残高 1060億71百万円(ある程度安定した財務基盤の形成を示しています)
(利益剰余金残高の推移を見ると、2007年3月31日残高1090億53百万円→2007年9月30日残高1060億71百万円へと、剰余金の配当24億97百万円のために、微減していますが、一定安定した財務基盤が継続しています――海野)
8 事業の種類別セグメント情報
○ 建設事業  売上高 1493億71百万円  営業利益 △22億85百万円
○ 不動産事業等 売上高 127億7千万円  営業利益  15億87百万円
(西松建設も、本業の建設事業でマイナス、不動産事業でプラスという一般によく見られる構造になっています――海野)
9 海外売上高
○ 連結売上高 1621億42百万円
○ 海外売上高  138億54百万円
○ 連結売上高に占める海外売上高の割合 8.5%
 
 
◎ 大東建託  有価証券報告書(半期)から  (膨大な配当金の流れ)
(以下は、大東建託株式会社有価証券報告書(半期)2007年4月1日〜9月30日からの抜粋を中心に、記述したものです――海野)
1 連結経営指標
 ○ 売上高 2537億72百万円
 ○ 経常利益 264億85百万円
 ○ 中間(当期)純利益 149億64百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 123.59円
 ○ 従業員数 11,829人
2 従業員の状況(連結)
 建設事業   5,512人
 不動産事業  3,555人
 金融事業      19人
 その他事業  1,215人
 全社(共通) 1,528人
 合計    11,829人 
3 各事業の業績(連結)
 ○ 売上高
 建設事業 1853億99百万円
 不動産事業 528億76百万円
 金融事業    6億90百万円
 その他事業 148億6百万円
 ○ 営業利益
 建設事業  264億円
 不動産事業  40億69百万円
 金融事業    3億56百万円
 その他事業      9百万円
(その他事業は、老人介護(デイサービス)事業、ホテル事業等です)
(本業の建設事業で高い利益を出しているのが、大東建託の特徴です――海野)
4 大株主の状況
 株式会社ダイショウ 所有株式数 3423万4千株 発行済株式総数に対する所有株式数の割合 27.64%
(株式会社ダイショウは、大東建託代表取締役会長の多田勝美氏の出資比率が81.41%となっています)
5 資本金 290億60百万円
6 利益剰余金残高 2260億53百万円
(半期(2007年4月〜9月)の間に、利益剰余金残高を2167億62百万円→2260億53百万円へと約100億円増やしています。2260億53百万円というのは、相当な利益のためこみです。約100億円増えたのは、中間(当期)純利益149億64百万円をためこみ、同時に56億73百万円を配当に回した結果です――海野)
7 1株当たり配当額(半期) 47円
(半期だけでも、大株主の株式会社ダイショウが受け取る配当金は3423万4千株×47円=16億899万8千円となります。株式会社ダイショウへの大東建託代表取締役会長の多田勝美氏の出資比率が81.41%です。これは推測の域を出ませんが、ダイショウの受け取る16億円の配当金は、多田勝美氏へ流れるということなのでしょうか? それとも他に使われるのでしょうか? 他に充当されるのでしょうか? 有価証券報告書を読んだだけでは、わかりません。ネット上には、大東建託の約3割の株式については「(大東建託の)多田勝美会長が実質的に保有する」との記述も存在します――海野)
(帝国データバンク企業情報によると、上記のダイショウの代表者は多田勝美氏です。決算期(2006年12月)の売上10億4千万円に対して利益35億円です。決算期(2005年12月)で見ても、売上9億68百万円に対して利益25億91百万円です。利益の源泉が大東建託からの株式配当金であることは明らかです。これだけの利益がどこへ流れているのか? 興味を惹かれます――海野)
 
 
◎ ――― 熊谷組2008年3月期中間決算短信から(補強版) ―――
(以下は、株式会社熊谷組2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 1210億5千万円
 A 営業利益  △1億34百万円
 B 経常利益  △7億5千万円
 C 中間(当期)純利益 △6億99百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 △4.43円
2 1株当たり配当金 
2008年3月期(予想) 期末1.5円  年間1.5円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日) 
 @ 売上高 2920億円
 A 営業利益  55億円
 B 経常利益  42億円
 C 当期純利益 31億円
 D 1株当たり当期純利益 16.27円
4 優先株式への配当(1株当たり配当金)
2008年3月期(予想)
第1回第1種優先株式  期末11.05円  年間11.05円
第2回第1種優先株式  期末11.05円  年間11.05円
(予想される1株当たり当期純利益16.27円について、普通株式への配当を1.5円にとどめ、当期純利益の大半を優先株式に配当していることが、わかります――海野)
5 当中間期の主な受注工事
○ 独立行政法人水資源機構   大山ダム建設工事
○ 国土交通省    北海道横断自動車道浦幌町炭山第一トンネル工事
○ 国土交通省 第二京阪(大阪北道路)上・下島頭地区下部その他工事
○ 総合地所株式会社 (仮称)横須賀市池田町計画新築工事(土木工事)
○ 京浜急行電鉄株式会社・大和ハウス工業株式会社  シティ能見台つどいの街九・十番館共同住宅新築工事
○ 大和システム株式会社・株式会社セイキョウホーム  (仮称)水前寺公園マンション新築工事
○ 学校法人立命館   立命館大学BKC生命科学・薬学部新棟建築工事
○ 財団法人脳神経疾患研究所   (仮称)南東北福島病院増築工事
(国土交通省への「依存関係」のようなものを、感じさせます――海野)
6 短期借入金 257億4千万円
7 長期借入金 134億96百万円
8 資本金   133億41百万円
9 利益剰余金期末残高 216億57百万円
(利益のためこみである利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純利益△6億99百万円とマイナスにもかかわらず6億56百万円を配当に回した結果として、2007年3月31日残高230億13百万円→2007年9月30日残高216億57百万円へと減少しています。純損失という状況下、200億円の利益剰余金を維持しながら多少の配当をおこなうというのは、バランス感覚ということなのでしょうか? 年間でどうなるのかが注目されます――海野)
10 発行済株式の種類及び総数
(当中間連結会計期間末株式数)
 ○ 普通株式 1億6264万6千株
 ○ 第1回第1種優先株式  520万株 
 ○ 第2回第1種優先株式 3920万株
11 当中間連結会計期間 
海外売上高 133億円
連結売上高に占める海外売上高の割合 11%
 
 
◎ ──── 「鉄建建設 2008年3月期中間決算短信」から ────
(以下は、鉄建建設株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 736億95百万円
 A 営業利益 △2億52百万円
 B 経常利益 △3億35百万円
 C 中間(当期)純利益 △3億11百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 △1.99円 
2 1株当たり配当金
 2008年3月期(予想) ゼロ
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 1750億円
 A 営業利益  16億円
 B 経常利益  11億円
 C 当期純利益  3億円
 D 1株当たり当期純利益 1.92円
4 (当中間連結会計期間の)事業の種類別セグメントの業績(事業の種類別セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています)
(建設事業)
売上高717億2百万円  営業利益△9億25百万円
(不動産事業)
売上高17億15百万円  営業利益6億57百万円
(その他事業)
売上高89億24百万円  営業利益34百万円
(鉄建建設は、JR東日本・鹿島建設との3社連携の強化を打ち出しています──海野)
5 短期借入金 370億21百万円
6 長期借入金  33億37百万円
7 資本金   182億93百万円
8 利益剰余金期末残高 11億39百万円
(利益のためこみである利益剰余金期末残高が11億39百万円であるということは、財務基盤の安定が課題であることを示しているのではないでしょうか? ──海野) 
 
 
◎ ――――  鴻池組 2007年9月期連結決算の概況から  ――――
(以下は、「株式会社鴻池組2007年9月期(2006年10月1日〜2007年9月30日)連結決算の概況」からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 当期(2006年10月1日〜2007年9月30日)の業績
 @ 売上高  2925億1百万円
 A 営業利益  △56億34百万円
 B 経常利益  223億22百万円
 C 当期純利益 △47億35百万円
 D 1株当たり当期純利益 △11.83円
(営業利益△56億円、経常利益223億円、当期純利益△47億円というのは、現象的には、激しい揺れのように見えます。↓↑↓という構造の解明に、興味を惹かれます――海野)
2 短期借入金 319億68百万円
3 長期借入金  78億85百万円
4 資本金   200億円
5 利益剰余金期末残高 △54億37百万円
(利益剰余金期末残高の推移を見ると、2006年9月30日残高11億86百万円→2007年9月30日残高△54億37百万円と△66億23百万円という減少を示しています。減少していることも気になりますが、利益剰余金が△になるという構造の意味、影響を、どう理解すればいいのでしょうか? ――海野)
6 「鴻池組の歩み」から 
2003年 株式移転により完全親会社である鳳ホールディングス株式会社を設立。その完全子会社となる。
○ 鳳ホールディングス株式会社(大阪市北区 事業内容:持株会社)
7 鳳ホールディングス?
 鴻池組の経営再建のために持株会社の鳳ホールディングスを設立した、ということのようです。主力銀行の三井住友銀行が支援するという構造になっています。「鳳ホールディングスは三井住友銀行などを引受先に400億円の第三者割当増資を実施し、グループ各社の資本力を強化」ということのようです。
「第三者割当増資」 特定の第三者(取引先、自社の役員など)を対象に新株を発行すること。
 
 
◎ ――――― フジタ 2008年3月期 中間決算短信から ―――――
(以下は、株式会社フジタの2008年3月期(2007年4月1日〜9月30日)中間決算短信からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 1481億95百万円
 A 営業利益 19億17百万円
 B 経常利益 16億7百万円
 C 中間(当期)純利益 42億45百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 11.26円
2 1株当たり配当金
 2008年3月期(予想) 期末1円 年間1円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高  3520億円
 A 営業利益  100億円
 B 経常利益   90億円
 C 当期純利益 113億円
 D 1株当たり当期純利益 24.57円
4 C種優先株式の1株当たり配当金
 2008年3月期(予想) 期末267.82円 年間267.82円
 C種優先株式の発行済株式数 888万8889株
5 事業の種類別セグメントの業績 
(建設事業)
売上高1350億円 営業利益14億円
(開発事業)
売上高92億円 営業利益16億円
(その他の事業)建設資材売買事業など
売上高41億円 営業利益3億円
6 主な受注工事
○ 独立行政法人国立病院機構関門医療センター  独立行政法人国立病院機構関門医療センター新築工事
○ 独立行政法人国立病院機構熊本医療センター  独立行政法人国立病院機構熊本医療センター病院建物更新築工事(建築)
○ 医療法人里仁会  医療法人里仁会興生総合病院移転新築工事
○ プロロジス鳥栖有限会社  プロロジスパーク鳥栖T新築工事
○ 習志野市JR津田沼駅南口土地区画整理組合  習志野都市計画事業JR津田沼駅南口特定土地区画整理事業基盤整備工事
7 短期借入金  2億75百万円
8 長期借入金 27億81百万円
9 資本金  140億円
10 利益剰余金期末残高 107億13百万円
(利益のためこみである利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純利益42億45百万円のうち配当には22億32百万円を回し、残りの20億13百万円をためこみ、その結果として2007年3月31日残高87億円→2007年9月30日残高107億13百万円へと増大しています――海野)
 
 
◎ 松井建設2008年3月期中間決算短信(07年4月〜07年9月)から
(以下は、松井建設株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)や帝国データバンク企業情報からの抜粋を中心に記述したものです。  海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 360億76百万円
 A 営業利益 △4億6百万円
 B 経常利益 △2億74百万円
 C 中間(当期)純利益 △1億60百万円
D 1株当たり中間(当期)純利益 △5.27円
2 1株当たり配当金 中間期末5円 期末(予想)5円 年間(予想)10円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 840億円
 A 営業利益  9億円
 B 経常利益 11億20百万円
 C 当期純利益 5億50百万円
D 1株当たり当期純利益 18.01円
4 経営方針
 当社は、1586年の創業以来、神社・仏閣はもとより、様々な施設の建設を通じて、社会に貢献することを経営の基本方針としている。
 当社グループの強みである社寺分野の一層の差別化戦略を展開する。
5 短期借入金 7億20百万円
6 長期借入金 ゼロ
7 資本金 40億円
8 利益剰余金期末残高 155億5556万1千円
(短期借入金7億円程度、長期借入金ゼロの上に、利益剰余金期末残高155億5556万1千円というのは、財務基盤の安定、余力を示しているように思います。帝国データバンク企業情報も評点61としています。  海野)
9 海外売上高 ゼロ
10 従業員(松井建設単体) 809人
11 販売先 都市再生機構、国土交通省、官公庁、ディベロッパー
 
 
◎ ──── 「住友林業 2008年3月期中間決算短信」から ────
(以下は、住友林業株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 4303億42百万円
 A 営業利益  27億53百万円
 B 経常利益  33億65百万円
 C 中間(当期)純利益 8億94百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 5.04円
2 1株当たり配当金 中間期末7.5円 期末(予想)7.5円 年間(予想)15円
(1株当たり中間純利益5.04円を上回る1株当たり中間期末配当7.5円を実施しているのが、綺麗に表現すれば「株主重視」ということで、目立ちます──海野)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 8900億円
 A 営業利益 140億円
 B 経常利益 150億円
 C 当期純利益 80億円
 D 1株当たり当期純利益 45.15円
(年度の後半に利益の集中を見込んでいます。1株当たり当期純利益45.15円を見込んでいることが、中間純利益を上回る中間期末配当の根拠になっているのでしょう──海野)
4 事業の種類別セグメントの状況(当中間期)
 @ 木材・建材事業 売上高2402億98百万円 営業利益23億50百万円
 A 住宅及び住宅関連事業 売上高1878億29百万円 営業利益18億60百万円
 B その他事業(情報システム開発、リース業、損害保険代理店業務、農園芸用培土の製造販売事業等) 売上高22億15百万円 営業利益4億80百万円
5 短期借入金  158億95百万円
6 長期借入金  103億62百万円
7 資本金    276億72百万円
8 利益剰余金期末残高 1083億6百万円  
 
 
◎ ─────「東急建設 2008年3月期中間決算短信」から─────
(以下は、東急建設株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 1278億45百万円
 A 営業利益  10億31百万円
 B 経常利益  10億円
 C 中間(当期)純利益 5億2百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 4.7円
2 1株当たり配当金 中間期末5円 期末(予想)5円 年間(予想)10円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 3000億円
 A 営業利益  71億円
 B 経常利益  66億円
 C 当期純利益 38億円
 D 1株当たり当期純利益 35.6円
(年度の後半に利益の集中を見込んでいます。1株当たり当期純利益35.6円の予想を根拠として、1株当たり配当金(年間)10円を予想しているのが、わかります──海野)
4 優先株式について
 (「A種優先株式及びB種優先株式について、2006年10月1日付で全株式の一括取得及び消却を行っている」との記述が、「東急建設 2008年3月期中間決算短信」の中にあります。要するに、優先株式の全部を消却した(消滅させた)ということだと思います。財務体質の強化、安定化を意味すると考えていいのかどうか? なぜ消却したのか、何を意味するのか? ──海野)
5 種類別セグメントの業績(当中間期)
 ○ 建設事業  完成工事高1270億73百万円 営業利益25億27百万円
 ○ 不動産事業等  売上高 7億71百万円 営業利益  91百万円
6 短期借入金 90億円
7 長期借入金 (東急建設の「中間決算短信」には、「長期借入金」という項目が表示されていません──海野)
8 資本金 163億54百万円
9 利益剰余金期末残高 78億円
10 当中間期の主な受注工事
○ 世田谷区    世田谷区立松沢小学校校舎新築工事
○ 独立行政法人国立病院機構相模原病院  相模原病院病棟等建替工事
○ ジェイアール東日本商業開発株式会社  蒲田駅ビル西館(サンカマタ)改装工事
○ 大日本印刷株式会社  大日本印刷奈良工場増築工事
○ 三井不動産レジデンシャル株式会社  パークホームズ勾当台公園新築工事
○ 学校法人五島育英会  東横学園小学校新校舎新築工事
○ 東京急行電鉄株式会社   たまプラーザ テラス ゲートプラザ(2期)新築工事
○ 農林水産省   九頭竜川下流(二期)農業水利事業 十郷2号用水路その2、その3、その4工事
○ 京浜急行電鉄株式会社  京急蒲田駅付近連続立体交差事業第2工区本線その11工事
○ 京王電鉄株式会社  京王線調布駅付近連続立体交差事業第5工区その4工事
○ 株式会社新日鉄都市開発  藤沢市本藤沢三丁目計画宅地造成工事
○ 東京急行電鉄株式会社   東急東横線と東京メトロ13号線相互直通運転に伴う渋谷駅〜代官山駅間地下化第3工区その2工事
 
 
◎ ───── ハザマ 2008年3月期中間決算短信から ─────
(以下は、株式会社間組の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜9月30日)
 @ 売上高 1032億46百万円
 A 営業利益  14億84百万円
 B 経常利益   5億58百万円
 C 中間(当期)純利益 1億24百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 0.76円
2 1株当たり配当金 中間期末 ゼロ 期末(予想)1.5円 年間(予想)1.5円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 2350億円
 A 営業利益  46億円
 B 経常利益  29億円
 C 当期純利益  9億円
 D 1株当たり当期純利益 6.19円
4 優先株式の配当の状況 2008年3月期(予想)
 第T種優先株式  91.52円  総額 6864万円
 第U種優先株式 101.52円  総額 8883万円 
 第V種優先株式 111.52円  総額 9758万円
 第W種優先株式 106.52円  総額 2663万円
5 短期借入金 233億89百万円
6 長期借入金 113億43百万円
7 資本金   120億円
8 利益剰余金期末残高 78億79百万円
(利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純利益1億24百万円を上回る3億63百万円を株式への配当に回した結果として、2007年3月31日残高81億28百万円→2007年9月30日残高78億79百万円へと減少させています──海野)
9 当中間期の海外売上高 179億46百万円
10 当中間期の連結売上高に占める海外売上高の割合  17.4%
(中堅ゼネコンとして海外売上高の割合が高いのが特徴です──海野)
 
 
◎ 淺沼組半期報告書(2007年4月1日〜9月30日)からの抜粋を中心に
(以下は、株式会社淺沼組の半期報告書(2007年4月1日〜9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 主要な連結経営指標
 @ 売上高 702億84百万円
 A 経常損失 △25億76百万円 
 B 中間(当期)純損失 △33億81百万円
 C 1株当たり中間(当期)純損失 △44.4円
 D 従業員数 1845人
 E 1株当たり配当額 2.5円
 F 配当金総額 1億9千万円
2 短期借入金 346億円
3 長期借入金  59億2千万円
4 資本金 84億19百万円
5 利益剰余金期末残高 43億42百万円
(利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純損失△33億81百万円、株式への配当1億9千万円の結果として、2007年3月31日残高79億14百万円→2007年9月30日残高43億42百万円へと減少しています。淺沼組は、「建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払」、「全建総連が参加しての建退共現場説明会の実施」と法令遵守ではがんばっています。業績の上昇に期待するものです──海野)
(2008/2/25 「発注者・都市再生機構」、「元請・淺沼組」のコンフォール上野台第9住宅建設工事の現場で、約30人の職長、協力業者担当者が出席して、全建総連による建退共加入促進説明会がおこなわれました──海野)
 
 
◎ 竹中工務店第70期(2007年1月1日〜12月31日)決算概要等から
(以下は、「株式会社竹中工務店第70期(2007年1月1日〜12月31日)決算概要及び次期業績見通し」からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 連結業績
 @ 売上高 1兆3085億円
 A 営業利益   226億円
B 経常利益   275億円
 C 当期純利益  101億円
 D 開発事業を含む海外事業の売上高 1857億円
 E 開発事業を含む海外事業の、連結売上高に占める割合 14.2%
2 次期(2008年1月1日〜12月31日)業績見通し
 @ 売上高 1兆3200億円
 A 営業利益   275億円
 B 経常利益   315億円
 C 当期純利益  167億円
3 「竹中工務店による分析、総括」の要旨
当期の日本経済は、外需主導等により穏やかながらも拡大基調で推移。
同時に、米国のサブプライム問題や建築基準法改定の影響、原油価格の高騰など景気減速の懸念が顕在化。
建設業界は、公共投資の引き続く低調な推移、住宅着工戸数の大幅な落ち込み、設備投資への慎重姿勢の強まりなど、年間建築着工額は大きく減少。熾烈な受注競争の加速、建設資材の高騰、技能工不足の深刻化など、経営環境は引き続き厳しい状況で推移。
このような状況下、当社グループは「信用第一」の理念を基軸とした品質経営と企業体質の強化を第一義とする健全経営に徹し、業績の向上に努めた。一部安全、品質面に課題を残している。
(利益の蓄積を見ると、ビッグゼネコンとして、財務基盤をますます強化していることが、わかります──海野)
 
 
更新日時:
2008/03/14

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Last updated: 2010/3/21