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個人の尊厳、生命の絶対的尊重、両性の本質的平等のために
「ゼネコン、住宅企業等 2008年3月期 中間決算」関連
「ゼネコン、住宅企業等 2008年3月期 中間決算」関連
海野和夫
 
◎ 三井住友建設 2008年3月期 中間決算短信からの抜粋
(以下は、三井住友建設株式会社のHPに載っている同社の「平成20年(2008年)3月期 中間決算短信」からの抜粋を中心に構成されています――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
○ 売上高 2218億53百万円
○ 営業利益  11億1百万円
○ 経常利益  6億97百万円(前年同期比△65.6%)
○ 中間(当期)純利益 3億21百万円(前年同期比△81.0%)
○ 1株当たり中間(当期)純利益 2.45円
○ 1株当たり配当金 中間期末 ゼロ  年間 未定
2 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
○ 売上高  4880億円
○ 営業利益  102億円
○ 経常利益  75億円
○ 当期純利益 64億円
○ 1株当たり当期純利益 24.18円
3 優先株式の配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末 ゼロ  年間 未定
(「当期については、通期の業績を見極めた上で各種優先株式、普通株式も含めて具体的な配当額を検討する」としています――海野)
4 財政状態に関する分析
 営業活動及び投資活動での資金需要に対し主に短期借入金による調達を行った。
5 当中間期の主な受注工事
国土交通省      第二京阪(大阪北道路)青山地区高架橋工事
三井不動産株式会社  湘南国際村基盤整備事業
愛媛県        一般県道岩城弓削線(生名橋)生名橋建設工事
札幌高等裁判所    札幌高地裁庁舎増築等建築工事 
三井不動産レジデンシャル株式会社、小田急電鉄株式会社   (仮称)万福寺3街区計画新築工事
ジェイアール東日本商業開発株式会社   蒲田駅ビル東館改装工事
6 短期借入金 269億39百万円(前年同期末が96億1百万円ですから相当増えています――海野)
7 長期借入金 50億63百万円
8 資本金  168億59百万円
9 利益剰余金残高 69億46百万円(この数字は、安定した財務基盤の形成が課題であることを示しています――海野)
10 全セグメントの売上高の合計、営業利益の合計額に占める「建設事業」の割合がいずれも90%を超えている。
 
 
◎ 戸田建設株式会社 2008年3月期中間決算短信からの抜粋を中心に
(以下は、戸田建設HPに公表されている「2008年3月期中間決算短信」からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007 年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高 1726億70百万円(建設事業1629億43百万円、不動産事業等97億26百万円)
 ○ 営業利益  7億57百万円
 ○ 経常利益 15億29百万円
 ○ 中間(当期)純利益 16億96百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 5.33円
2 配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末ゼロ 期末(予想)7円 年間(予想)7円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1 日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高 4660億円
 ○ 営業利益 87億円 
 ○ 経常利益 95億円
 ○ 当期純利益 53億円
 ○ 1株当たり当期純利益 16.86円
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
 ○ 建設事業 完成工事高1629億円 完成工事総利益103億円
 ○ 不動産事業等 売上高97億円 売上総利益26億円
5 当中間連結会計期間末の
 ○ 短期借入金  481億1百万円
 ○ 長期借入金   46億円
 ○ 資本金    230億1百万円
 ○ 利益剰余金 1270億65百万円(利益剰余金期末残高の推移を見ると、2007年3月31日残高1305億95百万円→2007年9月30日残高1270億65百万円へと微減しています――海野)
6 主な受注工事
・合同会社 フジグラン松前 他  松前SC(仮称)新築工事(T期)
・アーバンライフ(株)     (仮称)神戸市中央区加納町計画新築工事
・日本赤十字社   和歌山医療センター新棟建設及び既存棟改修工事(建築)
・(株)村田製作所        野洲事業所 新棟建設建築工事
・首都高速道路(株)      (高負)子安台換気所・トンネル・橋台工事
・国土交通省         北海道横断自動車道浦幌町 釧勝トンネル工事
7 主な完成工事
・日本特殊陶業(株)       小牧工場第14工場新築工事
・キヤノンファインテック(株)  新本社開発棟新築工事
・ヤマト運輸(株)        大阪主管支店増改築工事
・医療法人 友紘会         彩都友紘会病院新築工事
・中日本高速道路(株)    第二東名高速道路 富士インターチェンジ工事
・西日本高速道路(株)     鳥取自動車道 利神山トンネル工事
 
 
◎ 積水ハウス株式会社有価証券報告書(半期報告書)からの抜粋
(以下は、積水ハウス株式会社有価証券報告書(半期報告書 2007年2月1日 〜2007年7月31日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 半期の主要な経営指標等の推移
 ○ 売上高 7967億56百万円
 ○ 経常利益 493億36百万円
 ○ 中間(当期)純利益 286億65百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 41.04円
 ○ 従業員数 22,508人
2 (半期の)事業の種類別セグメントの業績
 ○ 工業化住宅請負事業 売上高3610億3百万円 営業利益373億27百万円 
 ○ 不動産販売事業(戸建住宅販売事業、分譲マンション事業、都市再開発事業) 売上高1966億10百万円 営業利益190億38百万円
 ○ 不動産賃貸事業 売上高1655億89百万円 営業利益81億80百万円
 ○ その他事業(リフォーム事業、エクステリア事業) 売上高811億59百万円 営業利益21億45百万円
3 大株主の状況
積水化学工業株式会社 所有株式数7216万8千株 発行済株式総数に対する所有株式数の割合10.17%
4 当中間連結会計期間末の
 ○ 長期借入金 201億96百万円
 ○ 資本金   1865億54百万円
 ○ 利益剰余金 3539億95百万円
(ため込みである利益剰余金の推移を見ると、中間純利益286億65百万円をさらにため込むことで、2007年1月31日残高3338億37百万円→2007年7月31日残高3539億95百万円へと増大させ、安定した強固な財務基盤を形成しています――海野)
5 半期の配当
配当金の総額   81億17百万円
1株当たり配当額 12円
 
 
◎ 大和ハウス工業株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、大和ハウス工業の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 連結経営成績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高   8258億80百万円
 ○ 営業利益   407億20百万円
 ○ 経常利益   408億82百万円
 ○ 中間(当期)純利益  236億39百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 40.42円
2 配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末ゼロ 期末24円(予想) 年間24円(予想)
(1株当たり年間配当金について、2007年3月期20円→2008年3月期24円(予想)と増加の予想を打ち出し、業績の好調さを表現しています――海野)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高   1兆7000億円
 ○ 営業利益    1000億円
 ○ 経常利益    1000億円
 ○ 当期純利益    580億円
 ○ 1株当たり当期純利益 99.60円
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
 ○ 住宅事業(戸建住宅、集合住宅(寮、社宅、アパート等)、マンション等の建築請負、分譲及び賃貸、宅地の分譲、不動産の仲介斡旋、アパートの賃貸、管理、マンションの管理) 売上高4723億63百万円 営業利益208億94百万円
 ○ 商業建築事業(各種流通センター、店舗、事務所、工場等の建築請負及び賃貸、管理、事業用地の分譲) 売上高2598億15百万円 営業利益269億14百万円
 ○ リゾート・スポーツ施設事業(リゾートホテル、ゴルフ場、スポーツ施設事業) 売上高326億51百万円 営業利益2億84百万円
 ○ ホームセンター事業 売上高314億30百万円 営業利益9億89百万円
(ウィキペディア(Wikipedia)によると、「ホームセンターとは、主として日用雑貨や住宅設備に関する商品を販売する小売店の業態」とのことです――海野)
 ○ その他事業(建築部材製造・販売事業、物流事業、都市型ホテル事業、その他) 売上高694億30百万円 営業利益25億51百万円
5 当社グループの事業領域
「住まい」をサポートする戸建住宅建築、賃貸住宅建築、戸建住宅分譲、マンション分譲、住宅リフォームの各事業、「ビジネス」をサポートする商業施設、物流施設、医療・介護施設等の建設事業、そして「暮らし」をサポートする観光事業、ホームセンター事業、スポーツ施設事業など、きわめて多様な分野に広がっています
6 当中間期(連結)の
○ 短期借入金 109億13百万円
 ○ 長期借入金 440億83百万円
 ○ 資本金   1101億20百万円
 ○ 利益剰余金 3994億78百万円
(利益剰余金の推移を見ると、中間純利益236億39百万円をためこむことで、2007年3月31日残高3878億42百万円→2007年9月30日残高3994億78百万円へと増大させ、利益剰余金残高約4000億円という圧倒的財務体力を形成しています。なお、剰余金の配当は117億43百万円です──海野)
 
 
◎ 前田建設工業株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信等から
(以下は、前田建設工業の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 連結経営成績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高   2217億63百万円
 ○ 営業利益  △17億40百万円
 ○ 経常利益  △20億38百万円
 ○ 中間(当期)純利益 △36億31百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 △20.51円
2 配当の状況
 1株当たり配当金 中間期末ゼロ 期末7円(予想) 年間7円(予想)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高   4850億円
 ○ 営業利益    37億円
 ○ 経常利益    45億円
 ○ 当期純利益   11億円
 ○ 1株当たり当期純利益 6.21円
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの実績
(建設事業部門)売上高1966億円余 営業損益24億円余の損失
(その他の事業部門)建設事業に関連する事業を中心にサービス業まで幅広く展開  売上高250億円余 営業利益10億円余 
5 会社の対処すべき課題
(「当社は、防衛施設庁が競争入札の方法により発注した工事に関して、公正取引委員会から排除措置命令および課徴金納付命令を受け、これに伴い国土交通省より建設業法に基づき15日間の営業停止処分を受けました。また、名古屋市発注の地下鉄工事の入札に関して、名古屋地方裁判所で、独占禁止法違反の判決の言い渡しを受け、これが確定しました」として、前田建設工業は謝罪と再発防止に向けての決意、対策を同社HPで表明しています――海野)
6 当中間期(連結)の
○ 短期借入金 367億53百万円
 ○ 長期借入金 220億45百万円
 ○ 資本金   234億54百万円
 ○ 利益剰余金  993億65百万円
(中間純損失△36億31百万円を反映して、利益剰余金が、2007年3月31日残高1042億35百万円→2007年9月30日残高993億65百万円へと減少していますが、逆に言うと、993億65百万円の利益剰余金を保有しているということであり、一定強固な財務基盤を形成しているのがわかります。帝国データバンク企業情報での評価も高く、「評点」70点です――海野)
7 主要受注工事
○ 野村不動産   (仮称)練馬・中村北計画新築工事
○ 合同会社赤坂けやき通りレジデンシャル  (仮称)赤坂2丁目賃貸マンション新築工事
○ 松下電器産業梶@ 松下電器産業株式会社 川崎物流倉庫土地土壌改良工事
○ 香港機場管理局  香港国際空港格納庫建設準備工事
8 主要完成工事
○ 鰍bSKホールディングス  多摩プロジェクト新築工事
○ (学)白百合学園  仙台白百合女子大学 キャンパス整備工事
○ 山形県  債務負担行為工事綱木川ダム建設事業堤体工事
○ 珠洲風力開発梶@ 珠洲風力発電所施設建設工事
9 帝国データバンク企業情報によると
 前田建設工業単体の従業員数は3,440人です。
 販売先は官庁、地方自治体、電力会社、国土交通省、東京都になっています。
 
 
◎ 大林組 2007年9月中間期 中間決算短信から ため込みと有利子負債
(以下は、株式会社大林組の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)連結業績
○ 売上高 6467億11百万円 
○ 営業利益 72億34百万円
○ 経常利益  98億90百万円
○ 中間(当期)純利益 49億85百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 6.93円
○ 1株当たり配当金 中間期末4円 期末4円(予想) 年間8円(予想)
2 2008年3月期の連結業績予想
○ 売上高 1兆6800億円
○ 営業利益   400億円
○ 経常利益   430億円
○ 当期純利益  230億円
○ 1株当たり当期純利益 31.95円
3 有利子負債残高
 ○ 2007年9月末    3120億円
 ○ 2008年3月末見通し 3350億円
4 当中間期の概況
 当社グループの事業別売上高は、建設事業約6068 億円、不動産事業約294億円、その他事業約104 億円です。営業利益は、建設事業6億95百万円、不動産事業84億28百万円、その他事業5億17百万円です。(大林組の場合も、建設事業苦戦、不動産事業好調の傾向が、明白に数字に出ているようです――海野)
5 当中間期の主な完成工事
○ 三菱UFJ信託銀行(株)   浦和駅東口駅前地区第二種市街地再開発事業 特定施設建築物新築工事
○ 東日本旅客鉄道(株)   東京駅日本橋口ビル新築工事
○ (株)SUMCO   SUMCO伊万里第5工場建設工事
○ 関電不動産(株)、野村不動産(株) 、大和ハウス工業(株)  桃坂コンフォガーデン建設工事
○ PFI水と緑の健康都市(株)   水と緑の健康都市第1期整備等事業(都市基盤施設建設工事)
○ ブルックヘブン国立研究所   ブルックヘブン国立研究所 ナノマテリアルセンター新築工事(米国)
6 当中間期末の
○ 短期借入金  900億43百万円
○ 長期借入金  542億89百万円
○ 資本金    577億52百万円
○ 利益剰余金  1877億3百万円
(利益剰余金について、中間純利益49億85百万円をため込むこと等で、2007年3月31日残高1835億99百万円→2007年9月30日残高1877億3百万円へと増大させています。安定した財務基盤の形成と言えますが、有利子負債残高2007年9月末3120億円との関係を考えると、どうなのか、という問題は残ります。なお、剰余金の配当は43億19百万円です──海野)
7 海外売上高  1188億4百万円
8 連結売上高に占める海外売上高の割合  18.4%
(海外売上高の割合が約2割に達しており、日本のゼネコンとしては、相当高い割合を示しています──海野)
9 当中間期の主な受注工事
○ 後楽二丁目西地区第一種市街地再開発組合  後楽二丁目西地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事
○ 島根あさひソーシャルサポート(株)  島根あさひ社会復帰促進センター整備・運営事業
○ 大和システム(株)  大和システム琵琶湖守山SC計画
○グランドン社  パターソンヒルコンドミニアム建築工事(シンガポール)
○ 阪神電気鉄道(株)  阪神本線三宮駅改良工事の内土木関係工事
○ バンコック銀行  バンコック銀行本店ビル設備等改修工事(タイ)
 
 
◎ 清水建設株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、清水建設の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)連結業績
○ 売上高 6073億39百万円 
○ 営業利益 100億円
○ 経常利益  97億92百万円
○ 中間(当期)純利益 61億27百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 7.80円
○ 1株当たり配当金 中間期末3.5円 期末3.5円(予想) 年間7円(予想)
2 2008年3月期の連結業績予想
○ 売上高 1兆6850億円
○ 営業利益   500億円
○ 経常利益   480億円
○ 当期純利益  280億円
○ 1株当たり当期純利益 35.63円
3 (「当中間連結会計期間に建設業法に基づく営業停止処分を受けた」として、清水建設は謝罪と再発防止の決意を同社HPで表明しています──海野)
4 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
(建設事業)
受注高   7416億円余
完成工事高 5529億円余
営業利益    5千万円余
(開発事業)
売上高   177 億円余
営業利益   76 億円余
(その他の事業)主として建設事業,開発事業に附帯関連する事業活動
売上高   625億円余
営業利益   27億円余
5 当中間期末の
○ 短期借入金  994億51百万円
○ 長期借入金 1085億21百万円
○ 資本金    743億65百万円
○ 利益剰余金 1224億48百万円
(利益剰余金について、中間純利益61億27百万円をため込むことで、2007年3月31日残高1187億90百万円→2007年9月30日残高1224億48百万円へと増大させています。なお、剰余金の配当は27億54百万円です──海野)
6 海外売上高は連結売上高の10%未満
7 当中間会計期間の主な受注工事
○ (有)大手町開発  大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業建設工事(A・C工区)
○ 多摩医療PFI(株)  多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)整備等事業のうち建設工事
○ 名駅2丁目開発特定目的会社  (仮称)旧那古野営業所用地活用事業新築工事
○ キヤノン(株)  (仮称)川崎事業所L-3・U-2棟新築工事
○ ドバイ首長国  ドバイインターチェンジNo.8建設工事
8 当中間会計期間の主な完成工事
○ シャープ(株)  亀山第2工場展開建設工事
○ (株)東芝  四日市工場240棟第1期建築工事
○ (株)野村総合研究所  NDプロジェクト建設工事
○ 大和ハウス工業(株)   (仮称)ロックシティ守谷新築工事
○ 九州電力(株)  小丸川発電所新設工事のうち土木本工事(第5工区)
 
 
◎ 大成建設株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、大成建設の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)連結業績
○ 売上高 7191億15百万円 
○ 営業利益 101億79百万円
○ 経常利益  78億13百万円
○ 中間(当期)純利益 119億9百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 11.19円
○ 1株当たり配当金 中間期末3円 期末3円(予想) 年間6円(予想)
2 2008年3月期の連結業績予想
○ 売上高 1兆7900億円
○ 営業利益   520億円
○ 経常利益   440億円
○ 当期純利益  260億円
○ 1株当たり当期純利益 24.43円
3 (当中間期の)事業の種類別セグメントの業績
○ 建設事業
 売上高 6,389億円
営業損益  19億円の損失
○ 開発事業
売上高  517億円
営業利益 102億円
4 ベトナム・カントー橋の橋桁崩落事故について
(「2007年9月26日にベトナム・カントー市で、大成建設を代表者とするJVにより建設中の橋梁工事で、全長2,750mの工事区間のうち2区間(80m)の橋桁が崩落する事故が発生し、多数の犠牲者を出した」件で大成建設は、謝罪、再発防止、事故が業績に与える影響等について、同社HPで明らかにしています──海野)
5 当中間期末の
○ 短期借入金 1937億72百万円
○ 長期借入金 2124億81百万円
○ 資本金   1124億48百万円
○ 利益剰余金  820億87百万円
(利益剰余金について、中間純利益119億9百万円をため込むことで、2007年3月31日残高748億92百万円→2007年9月30日残高820億87百万円へと増大させています。なお、剰余金の配当は31億93百万円です──海野)
6 当中間期の海外売上高 1004億55百万円
  当中間期の、連結売上高に占める海外売上高の割合 14.0%
7 当中間期の主な受注工事
○ 二子玉川東地区市街地再開発組合  二子玉川東地区第一種市街地再開発事業に係る施設建築物新築工事(3街区)
○ リミットレス社  アラブ首長国連邦 ドバイ・ダウンタウン・ジュベールアリ・プロジェクト
○ オーディーケー特定目的会社  (仮称)みなとみらいODKビル新築工事
○ 台湾政府 経済部水利署・中区水資源局  台湾 湖山ダム本体建設工事
○ 東日本高速道路梶@ 東京外環自動車道 京葉工事
8 当中間期の主な完成工事
○ 三菱地所梶E潟yニンシュラ東京  (仮称)ザ・ペニンシュラ東京新築工事
○ 富士通梶@ 三重工場300mm第二棟建築工事
○ 千葉中央第六地区市街地再開発組合  千葉中央第六地区第一種市街地再開発事業
○ 鴻巣駅東口A地区市街地再開発組合 鴻巣駅東口A地区第一種市街地再開発事業施設建築物(A1街区)新築工事
○ 秋田県  秋田中央道路整備工事(SA20−10)
 
 
◎ 鹿島建設株式会社 2007年9月中間期 中間決算短信から
(以下は、鹿島建設の2007年9月中間期(2007年4月1日〜2007年9月30日)中間決算短信からの抜粋です──海野)
1 連結経営成績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 ○ 売上高 8151億33百万円
 ○ 営業利益  54億92百万円
 ○ 経常利益 154億64百万円
 ○ 中間(当期)純利益 248億55百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 23.65円
2 配当の状況
 ○ 1株当たり配当金 中間期末3.5円 期末3.5円(予想) 年間7円(予想)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 ○ 売上高 1兆8500億円
 ○ 営業利益   170億円
 ○ 経常利益   270億円
 ○ 当期純利益  270億円
 ○ 1株当たり当期純利益 25.69円
4 当中間期の部門別概況
 ○ 建設事業 売上高 7322億円余  営業利益  7億円余
 ○ 開発事業 売上高  339億円余  営業利益 49億円余
5 当中間期(連結)
○ 短期借入金 1825億96百万円
 ○ 長期借入金 1438億48百万円
 ○ 資本金    814億47百万円
 ○ 利益剰余金  950億96百万円
 ○ 海外売上高 1596億86百万円
 ○ 連結売上高に占める海外売上高の割合 19.6%
(約2割が海外売上高ですから、鹿島建設が日本のゼネコンの中では、海外進出傾向の強いゼネコンであることを、示しています──海野)
6 利益剰余金の増大
 (利益剰余金について、2007年3月31日残高750億95百万円→2007年9月30日残高950億96百万円と増大させています。中間(当期)純利益248億55百万円をため込んだ結果です。なお、剰余金の配当は41億94百万円です──海野)
 
 
◎ 「西松建設株式会社 2008年3月期中間決算短信」からの抜粋
(以下は、「西松建設株式会社 2008年3月期中間決算短信」からの抜粋を中心に記述してあります)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
○ 売上高  1621億42百万円
○ 営業利益  △7億9百万円
○ 経常利益   △71百万円
○ 中間(当期)純利益 △4億84百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 △1.75円
○ 1株当たり配当金(予想)  中間期末 ゼロ 期末 9円 年間 9円  
2 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
○ 売上高 4640億円
○ 営業利益  90億円
○ 経常利益 100億円
○ 当期純利益 45億円
○ 1株当たり当期純利益 16.22円
3 受注工事のうち主なもの
○ 市原市五井駅前東土地区画整理組合  第1期造成工事
○ 国土交通省     七尾トンネル工事
○ パラオ共和国    首都圏基幹道路改修計画
○ 西日本高速道路(株)  九州自動車道筑豊工事
○ 東日本旅客鉄道(株)   両毛線伊勢崎駅付近高架化東工区
○ 学校法人玉川学園    新大学6号館( 農学部新校舎) 建設工事
○ (株)ゲオエステート   (仮称)エスポアシティ札幌新築工事
○ 一宮市       市民病院本館建替(南館2期) 建設工事
○ 広島市西区井口鈴が台K・L・M・N棟マンション建替組合  広島市西区井口鈴が台K・L・M・N棟マンション建替え事業施設建築物新築工事及び整地工事他工事
○ 学校法人濱名学院   学校法人濱名学院関西国際大学尼崎キャンパス新築工事
4 短期借入金 226億7千万円
5 長期借入金 232億7千万円
6 資本金   235億13百万円
7 利益剰余金期末残高 1060億71百万円(ある程度安定した財務基盤の形成を示しています)
(利益剰余金残高の推移を見ると、2007年3月31日残高1090億53百万円→2007年9月30日残高1060億71百万円へと、剰余金の配当24億97百万円のために、微減していますが、一定安定した財務基盤が継続しています――海野)
8 事業の種類別セグメント情報
○ 建設事業  売上高 1493億71百万円  営業利益 △22億85百万円
○ 不動産事業等 売上高 127億7千万円  営業利益  15億87百万円
(西松建設も、本業の建設事業でマイナス、不動産事業でプラスという一般によく見られる構造になっています――海野)
9 海外売上高
○ 連結売上高 1621億42百万円
○ 海外売上高  138億54百万円
○ 連結売上高に占める海外売上高の割合 8.5%
 
 
◎ 大東建託  有価証券報告書(半期)から  (膨大な配当金の流れ)
(以下は、大東建託株式会社有価証券報告書(半期)2007年4月1日〜9月30日からの抜粋を中心に、記述したものです――海野)
1 連結経営指標
 ○ 売上高 2537億72百万円
 ○ 経常利益 264億85百万円
 ○ 中間(当期)純利益 149億64百万円
 ○ 1株当たり中間(当期)純利益 123.59円
 ○ 従業員数 11,829人
2 従業員の状況(連結)
 建設事業   5,512人
 不動産事業  3,555人
 金融事業      19人
 その他事業  1,215人
 全社(共通) 1,528人
 合計    11,829人 
3 各事業の業績(連結)
 ○ 売上高
 建設事業 1853億99百万円
 不動産事業 528億76百万円
 金融事業    6億90百万円
 その他事業 148億6百万円
 ○ 営業利益
 建設事業  264億円
 不動産事業  40億69百万円
 金融事業    3億56百万円
 その他事業      9百万円
(その他事業は、老人介護(デイサービス)事業、ホテル事業等です)
(本業の建設事業で高い利益を出しているのが、大東建託の特徴です――海野)
4 大株主の状況
 株式会社ダイショウ 所有株式数 3423万4千株 発行済株式総数に対する所有株式数の割合 27.64%
(株式会社ダイショウは、大東建託代表取締役会長の多田勝美氏の出資比率が81.41%となっています)
5 資本金 290億60百万円
6 利益剰余金残高 2260億53百万円
(半期(2007年4月〜9月)の間に、利益剰余金残高を2167億62百万円→2260億53百万円へと約100億円増やしています。2260億53百万円というのは、相当な利益のためこみです。約100億円増えたのは、中間(当期)純利益149億64百万円をためこみ、同時に56億73百万円を配当に回した結果です――海野)
7 1株当たり配当額(半期) 47円
(半期だけでも、大株主の株式会社ダイショウが受け取る配当金は3423万4千株×47円=16億899万8千円となります。株式会社ダイショウへの大東建託代表取締役会長の多田勝美氏の出資比率が81.41%です。これは推測の域を出ませんが、ダイショウの受け取る16億円の配当金は、多田勝美氏へ流れるということなのでしょうか? それとも他に使われるのでしょうか? 他に充当されるのでしょうか? 有価証券報告書を読んだだけでは、わかりません。ネット上には、大東建託の約3割の株式については「(大東建託の)多田勝美会長が実質的に保有する」との記述も存在します――海野)
(帝国データバンク企業情報によると、上記のダイショウの代表者は多田勝美氏です。決算期(2006年12月)の売上10億4千万円に対して利益35億円です。決算期(2005年12月)で見ても、売上9億68百万円に対して利益25億91百万円です。利益の源泉が大東建託からの株式配当金であることは明らかです。これだけの利益がどこへ流れているのか? 興味を惹かれます――海野)
 
 
◎ ――― 熊谷組2008年3月期中間決算短信から(補強版) ―――
(以下は、株式会社熊谷組2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 1210億5千万円
 A 営業利益  △1億34百万円
 B 経常利益  △7億5千万円
 C 中間(当期)純利益 △6億99百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 △4.43円
2 1株当たり配当金 
2008年3月期(予想) 期末1.5円  年間1.5円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日) 
 @ 売上高 2920億円
 A 営業利益  55億円
 B 経常利益  42億円
 C 当期純利益 31億円
 D 1株当たり当期純利益 16.27円
4 優先株式への配当(1株当たり配当金)
2008年3月期(予想)
第1回第1種優先株式  期末11.05円  年間11.05円
第2回第1種優先株式  期末11.05円  年間11.05円
(予想される1株当たり当期純利益16.27円について、普通株式への配当を1.5円にとどめ、当期純利益の大半を優先株式に配当していることが、わかります――海野)
5 当中間期の主な受注工事
○ 独立行政法人水資源機構   大山ダム建設工事
○ 国土交通省    北海道横断自動車道浦幌町炭山第一トンネル工事
○ 国土交通省 第二京阪(大阪北道路)上・下島頭地区下部その他工事
○ 総合地所株式会社 (仮称)横須賀市池田町計画新築工事(土木工事)
○ 京浜急行電鉄株式会社・大和ハウス工業株式会社  シティ能見台つどいの街九・十番館共同住宅新築工事
○ 大和システム株式会社・株式会社セイキョウホーム  (仮称)水前寺公園マンション新築工事
○ 学校法人立命館   立命館大学BKC生命科学・薬学部新棟建築工事
○ 財団法人脳神経疾患研究所   (仮称)南東北福島病院増築工事
(国土交通省への「依存関係」のようなものを、感じさせます――海野)
6 短期借入金 257億4千万円
7 長期借入金 134億96百万円
8 資本金   133億41百万円
9 利益剰余金期末残高 216億57百万円
(利益のためこみである利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純利益△6億99百万円とマイナスにもかかわらず6億56百万円を配当に回した結果として、2007年3月31日残高230億13百万円→2007年9月30日残高216億57百万円へと減少しています。純損失という状況下、200億円の利益剰余金を維持しながら多少の配当をおこなうというのは、バランス感覚ということなのでしょうか? 年間でどうなるのかが注目されます――海野)
10 発行済株式の種類及び総数
(当中間連結会計期間末株式数)
 ○ 普通株式 1億6264万6千株
 ○ 第1回第1種優先株式  520万株 
 ○ 第2回第1種優先株式 3920万株
11 当中間連結会計期間 
海外売上高 133億円
連結売上高に占める海外売上高の割合 11%
 
 
◎ ──── 「鉄建建設 2008年3月期中間決算短信」から ────
(以下は、鉄建建設株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 736億95百万円
 A 営業利益 △2億52百万円
 B 経常利益 △3億35百万円
 C 中間(当期)純利益 △3億11百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 △1.99円 
2 1株当たり配当金
 2008年3月期(予想) ゼロ
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 1750億円
 A 営業利益  16億円
 B 経常利益  11億円
 C 当期純利益  3億円
 D 1株当たり当期純利益 1.92円
4 (当中間連結会計期間の)事業の種類別セグメントの業績(事業の種類別セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています)
(建設事業)
売上高717億2百万円  営業利益△9億25百万円
(不動産事業)
売上高17億15百万円  営業利益6億57百万円
(その他事業)
売上高89億24百万円  営業利益34百万円
(鉄建建設は、JR東日本・鹿島建設との3社連携の強化を打ち出しています──海野)
5 短期借入金 370億21百万円
6 長期借入金  33億37百万円
7 資本金   182億93百万円
8 利益剰余金期末残高 11億39百万円
(利益のためこみである利益剰余金期末残高が11億39百万円であるということは、財務基盤の安定が課題であることを示しているのではないでしょうか? ──海野) 
 
 
◎ ――――  鴻池組 2007年9月期連結決算の概況から  ――――
(以下は、「株式会社鴻池組2007年9月期(2006年10月1日〜2007年9月30日)連結決算の概況」からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 当期(2006年10月1日〜2007年9月30日)の業績
 @ 売上高  2925億1百万円
 A 営業利益  △56億34百万円
 B 経常利益  223億22百万円
 C 当期純利益 △47億35百万円
 D 1株当たり当期純利益 △11.83円
(営業利益△56億円、経常利益223億円、当期純利益△47億円というのは、現象的には、激しい揺れのように見えます。↓↑↓という構造の解明に、興味を惹かれます――海野)
2 短期借入金 319億68百万円
3 長期借入金  78億85百万円
4 資本金   200億円
5 利益剰余金期末残高 △54億37百万円
(利益剰余金期末残高の推移を見ると、2006年9月30日残高11億86百万円→2007年9月30日残高△54億37百万円と△66億23百万円という減少を示しています。減少していることも気になりますが、利益剰余金が△になるという構造の意味、影響を、どう理解すればいいのでしょうか? ――海野)
6 「鴻池組の歩み」から 
2003年 株式移転により完全親会社である鳳ホールディングス株式会社を設立。その完全子会社となる。
○ 鳳ホールディングス株式会社(大阪市北区 事業内容:持株会社)
7 鳳ホールディングス?
 鴻池組の経営再建のために持株会社の鳳ホールディングスを設立した、ということのようです。主力銀行の三井住友銀行が支援するという構造になっています。「鳳ホールディングスは三井住友銀行などを引受先に400億円の第三者割当増資を実施し、グループ各社の資本力を強化」ということのようです。
「第三者割当増資」 特定の第三者(取引先、自社の役員など)を対象に新株を発行すること。
 
 
◎ ――――― フジタ 2008年3月期 中間決算短信から ―――――
(以下は、株式会社フジタの2008年3月期(2007年4月1日〜9月30日)中間決算短信からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 1481億95百万円
 A 営業利益 19億17百万円
 B 経常利益 16億7百万円
 C 中間(当期)純利益 42億45百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 11.26円
2 1株当たり配当金
 2008年3月期(予想) 期末1円 年間1円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高  3520億円
 A 営業利益  100億円
 B 経常利益   90億円
 C 当期純利益 113億円
 D 1株当たり当期純利益 24.57円
4 C種優先株式の1株当たり配当金
 2008年3月期(予想) 期末267.82円 年間267.82円
 C種優先株式の発行済株式数 888万8889株
5 事業の種類別セグメントの業績 
(建設事業)
売上高1350億円 営業利益14億円
(開発事業)
売上高92億円 営業利益16億円
(その他の事業)建設資材売買事業など
売上高41億円 営業利益3億円
6 主な受注工事
○ 独立行政法人国立病院機構関門医療センター  独立行政法人国立病院機構関門医療センター新築工事
○ 独立行政法人国立病院機構熊本医療センター  独立行政法人国立病院機構熊本医療センター病院建物更新築工事(建築)
○ 医療法人里仁会  医療法人里仁会興生総合病院移転新築工事
○ プロロジス鳥栖有限会社  プロロジスパーク鳥栖T新築工事
○ 習志野市JR津田沼駅南口土地区画整理組合  習志野都市計画事業JR津田沼駅南口特定土地区画整理事業基盤整備工事
7 短期借入金  2億75百万円
8 長期借入金 27億81百万円
9 資本金  140億円
10 利益剰余金期末残高 107億13百万円
(利益のためこみである利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純利益42億45百万円のうち配当には22億32百万円を回し、残りの20億13百万円をためこみ、その結果として2007年3月31日残高87億円→2007年9月30日残高107億13百万円へと増大しています――海野)
 
 
◎ 松井建設2008年3月期中間決算短信(07年4月〜07年9月)から
(以下は、松井建設株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)や帝国データバンク企業情報からの抜粋を中心に記述したものです。  海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 360億76百万円
 A 営業利益 △4億6百万円
 B 経常利益 △2億74百万円
 C 中間(当期)純利益 △1億60百万円
D 1株当たり中間(当期)純利益 △5.27円
2 1株当たり配当金 中間期末5円 期末(予想)5円 年間(予想)10円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 840億円
 A 営業利益  9億円
 B 経常利益 11億20百万円
 C 当期純利益 5億50百万円
D 1株当たり当期純利益 18.01円
4 経営方針
 当社は、1586年の創業以来、神社・仏閣はもとより、様々な施設の建設を通じて、社会に貢献することを経営の基本方針としている。
 当社グループの強みである社寺分野の一層の差別化戦略を展開する。
5 短期借入金 7億20百万円
6 長期借入金 ゼロ
7 資本金 40億円
8 利益剰余金期末残高 155億5556万1千円
(短期借入金7億円程度、長期借入金ゼロの上に、利益剰余金期末残高155億5556万1千円というのは、財務基盤の安定、余力を示しているように思います。帝国データバンク企業情報も評点61としています。  海野)
9 海外売上高 ゼロ
10 従業員(松井建設単体) 809人
11 販売先 都市再生機構、国土交通省、官公庁、ディベロッパー
 
 
◎ ──── 「住友林業 2008年3月期中間決算短信」から ────
(以下は、住友林業株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 4303億42百万円
 A 営業利益  27億53百万円
 B 経常利益  33億65百万円
 C 中間(当期)純利益 8億94百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 5.04円
2 1株当たり配当金 中間期末7.5円 期末(予想)7.5円 年間(予想)15円
(1株当たり中間純利益5.04円を上回る1株当たり中間期末配当7.5円を実施しているのが、綺麗に表現すれば「株主重視」ということで、目立ちます──海野)
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 8900億円
 A 営業利益 140億円
 B 経常利益 150億円
 C 当期純利益 80億円
 D 1株当たり当期純利益 45.15円
(年度の後半に利益の集中を見込んでいます。1株当たり当期純利益45.15円を見込んでいることが、中間純利益を上回る中間期末配当の根拠になっているのでしょう──海野)
4 事業の種類別セグメントの状況(当中間期)
 @ 木材・建材事業 売上高2402億98百万円 営業利益23億50百万円
 A 住宅及び住宅関連事業 売上高1878億29百万円 営業利益18億60百万円
 B その他事業(情報システム開発、リース業、損害保険代理店業務、農園芸用培土の製造販売事業等) 売上高22億15百万円 営業利益4億80百万円
5 短期借入金  158億95百万円
6 長期借入金  103億62百万円
7 資本金    276億72百万円
8 利益剰余金期末残高 1083億6百万円  
 
 
◎ ─────「東急建設 2008年3月期中間決算短信」から─────
(以下は、東急建設株式会社の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜2007年9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜2007年9月30日)
 @ 売上高 1278億45百万円
 A 営業利益  10億31百万円
 B 経常利益  10億円
 C 中間(当期)純利益 5億2百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 4.7円
2 1株当たり配当金 中間期末5円 期末(予想)5円 年間(予想)10円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 3000億円
 A 営業利益  71億円
 B 経常利益  66億円
 C 当期純利益 38億円
 D 1株当たり当期純利益 35.6円
(年度の後半に利益の集中を見込んでいます。1株当たり当期純利益35.6円の予想を根拠として、1株当たり配当金(年間)10円を予想しているのが、わかります──海野)
4 優先株式について
 (「A種優先株式及びB種優先株式について、2006年10月1日付で全株式の一括取得及び消却を行っている」との記述が、「東急建設 2008年3月期中間決算短信」の中にあります。要するに、優先株式の全部を消却した(消滅させた)ということだと思います。財務体質の強化、安定化を意味すると考えていいのかどうか? なぜ消却したのか、何を意味するのか? ──海野)
5 種類別セグメントの業績(当中間期)
 ○ 建設事業  完成工事高1270億73百万円 営業利益25億27百万円
 ○ 不動産事業等  売上高 7億71百万円 営業利益  91百万円
6 短期借入金 90億円
7 長期借入金 (東急建設の「中間決算短信」には、「長期借入金」という項目が表示されていません──海野)
8 資本金 163億54百万円
9 利益剰余金期末残高 78億円
10 当中間期の主な受注工事
○ 世田谷区    世田谷区立松沢小学校校舎新築工事
○ 独立行政法人国立病院機構相模原病院  相模原病院病棟等建替工事
○ ジェイアール東日本商業開発株式会社  蒲田駅ビル西館(サンカマタ)改装工事
○ 大日本印刷株式会社  大日本印刷奈良工場増築工事
○ 三井不動産レジデンシャル株式会社  パークホームズ勾当台公園新築工事
○ 学校法人五島育英会  東横学園小学校新校舎新築工事
○ 東京急行電鉄株式会社   たまプラーザ テラス ゲートプラザ(2期)新築工事
○ 農林水産省   九頭竜川下流(二期)農業水利事業 十郷2号用水路その2、その3、その4工事
○ 京浜急行電鉄株式会社  京急蒲田駅付近連続立体交差事業第2工区本線その11工事
○ 京王電鉄株式会社  京王線調布駅付近連続立体交差事業第5工区その4工事
○ 株式会社新日鉄都市開発  藤沢市本藤沢三丁目計画宅地造成工事
○ 東京急行電鉄株式会社   東急東横線と東京メトロ13号線相互直通運転に伴う渋谷駅〜代官山駅間地下化第3工区その2工事
 
 
◎ ───── ハザマ 2008年3月期中間決算短信から ─────
(以下は、株式会社間組の2008年3月期中間決算短信(2007年4月1日〜9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 2007年9月中間期の連結業績(2007年4月1日〜9月30日)
 @ 売上高 1032億46百万円
 A 営業利益  14億84百万円
 B 経常利益   5億58百万円
 C 中間(当期)純利益 1億24百万円
 D 1株当たり中間(当期)純利益 0.76円
2 1株当たり配当金 中間期末 ゼロ 期末(予想)1.5円 年間(予想)1.5円
3 2008年3月期の連結業績予想(2007年4月1日〜2008年3月31日)
 @ 売上高 2350億円
 A 営業利益  46億円
 B 経常利益  29億円
 C 当期純利益  9億円
 D 1株当たり当期純利益 6.19円
4 優先株式の配当の状況 2008年3月期(予想)
 第T種優先株式  91.52円  総額 6864万円
 第U種優先株式 101.52円  総額 8883万円 
 第V種優先株式 111.52円  総額 9758万円
 第W種優先株式 106.52円  総額 2663万円
5 短期借入金 233億89百万円
6 長期借入金 113億43百万円
7 資本金   120億円
8 利益剰余金期末残高 78億79百万円
(利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純利益1億24百万円を上回る3億63百万円を株式への配当に回した結果として、2007年3月31日残高81億28百万円→2007年9月30日残高78億79百万円へと減少させています──海野)
9 当中間期の海外売上高 179億46百万円
10 当中間期の連結売上高に占める海外売上高の割合  17.4%
(中堅ゼネコンとして海外売上高の割合が高いのが特徴です──海野)
 
 
◎ 淺沼組半期報告書(2007年4月1日〜9月30日)からの抜粋を中心に
(以下は、株式会社淺沼組の半期報告書(2007年4月1日〜9月30日)からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 主要な連結経営指標
 @ 売上高 702億84百万円
 A 経常損失 △25億76百万円 
 B 中間(当期)純損失 △33億81百万円
 C 1株当たり中間(当期)純損失 △44.4円
 D 従業員数 1845人
 E 1株当たり配当額 2.5円
 F 配当金総額 1億9千万円
2 短期借入金 346億円
3 長期借入金  59億2千万円
4 資本金 84億19百万円
5 利益剰余金期末残高 43億42百万円
(利益剰余金期末残高の推移を見ると、中間純損失△33億81百万円、株式への配当1億9千万円の結果として、2007年3月31日残高79億14百万円→2007年9月30日残高43億42百万円へと減少しています。淺沼組は、「建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払」、「全建総連が参加しての建退共現場説明会の実施」と法令遵守ではがんばっています。業績の上昇に期待するものです──海野)
(2008/2/25 「発注者・都市再生機構」、「元請・淺沼組」のコンフォール上野台第9住宅建設工事の現場で、約30人の職長、協力業者担当者が出席して、全建総連による建退共加入促進説明会がおこなわれました──海野)
 
 
◎ 竹中工務店第70期(2007年1月1日〜12月31日)決算概要等から
(以下は、「株式会社竹中工務店第70期(2007年1月1日〜12月31日)決算概要及び次期業績見通し」からの抜粋を中心に記述したものです──海野)
1 連結業績
 @ 売上高 1兆3085億円
 A 営業利益   226億円
B 経常利益   275億円
 C 当期純利益  101億円
 D 開発事業を含む海外事業の売上高 1857億円
 E 開発事業を含む海外事業の、連結売上高に占める割合 14.2%
2 次期(2008年1月1日〜12月31日)業績見通し
 @ 売上高 1兆3200億円
 A 営業利益   275億円
 B 経常利益   315億円
 C 当期純利益  167億円
3 「竹中工務店による分析、総括」の要旨
当期の日本経済は、外需主導等により穏やかながらも拡大基調で推移。
同時に、米国のサブプライム問題や建築基準法改定の影響、原油価格の高騰など景気減速の懸念が顕在化。
建設業界は、公共投資の引き続く低調な推移、住宅着工戸数の大幅な落ち込み、設備投資への慎重姿勢の強まりなど、年間建築着工額は大きく減少。熾烈な受注競争の加速、建設資材の高騰、技能工不足の深刻化など、経営環境は引き続き厳しい状況で推移。
このような状況下、当社グループは「信用第一」の理念を基軸とした品質経営と企業体質の強化を第一義とする健全経営に徹し、業績の向上に努めた。一部安全、品質面に課題を残している。
(利益の蓄積を見ると、ビッグゼネコンとして、財務基盤をますます強化していることが、わかります──海野)
 
 
更新日時:
2008/03/14
――――――――― 「パワービルダー」関連 ―――――――――
――――――――― 「パワービルダー」関連 ―――――――――
海野和夫
 
◎ ―――  パワービルダー 業績等実態について  ―――
1 パワービルダーについて
 パワービルダーと呼ばれているのは、一建設、東栄住宅、城南建設、飯田産業、アイダ設計、アーネストワン、中央住宅(ポラスグループ)等々です。
 パワービルダーは、安い住宅を大量供給しているとのことです。安さだけでなく速さ(工期の短縮)も特徴と言われています。
 パワービルダー事業に、大手デベロッパー、大手住宅企業も参入してきていると言われています。
2 パワービルダーの業績
@ 一建設
 一建設のサイトには、業績が載っていません。資本金の変化として、昭和42年 資本金100万円 → 平成元年 資本金12億7538万円 → 平成2年 資本金12億7811万円 → 平成15年 資本金9000万円が載っています。
 平成16年に、飯田建設工業から(現在の)一建設に社名変更しています。
A 東栄住宅
 (平成17年2月1日〜平成18年1月31日)有価証券報告書によると、
 (連結)売上高 1367億7600万円
 (連結)当期純利益 38億9900万円
 1年間の1株当たり配当 46円
 東栄住宅のサイトによると、
 事業内容は、戸建住宅分譲事業、マンション分譲事業、注文住宅事業、土地分譲事業。
B 城南建設 
 帝国データバンク企業情報によると、
 決算期 2005年12月 
 売上高  712億7900万円
 当期純利益 27億7800万円
C 飯田産業  
 飯田産業のサイトの(連結)主要財務データ(2006年4月期)によると、
 売上高 1085億1900万円
 当期純利益 40億7500万円
D アイダ設計
 アイダ設計のサイトによると、
 資本金 2億1632万円
 従業員 938人
 売上高 768億円(平成18年3月期)
 事業内容 住宅の設計・請負・施工・監理、不動産の売買・仲介・賃貸・管理、住宅機器の販売、損害保険代理業 他
F アーネストワン
 (平成17年4月1日〜平成18年3月31日)有価証券報告書によると、
 (非連結)売上高 1304億500万円
 (非連結)当期純利益 81億6400万円
 1年間の1株当たり配当 39円
G 中央住宅 ポラスグループ
 ポラスグループのサイトによると、ポラスグループの中の中央住宅の業績等は、
 主な事業 不動産の購入・販売・賃貸・交換及びその代理仲介、住宅の設計・建築・管理・請負業務、宅地造成・開発及び管理
資本金 4億円  
従業員数 409人(平成18年5月21日現在)
 売上高 449億円(平成17年度)  
経常利益 20億円(平成17年度)
ポラスグループのサイトによると、ポラスグループ全体の連結業績は、
 (平成17年度)連結売上高 1107億円
 (平成17年度)連結経常利益  77億円
 
◎ パワービルダー タマホーム株式会社 急成長の「秘密」をHPから見ると
(パワービルダーに分類されている、急成長のタマホーム株式会社に対して、建設労組を含めて建設業者、労働者の関心が高まっています。タマホームのHPを訪問して、情報を多少集めてみました──海野)
1 本社  東京都港区高輪3−22−9
2 設立  1998年6月3日
3 資本金  7億7350万円
4 事業内容  土木、建築、設計、不動産業
5 従業員数  2,462人 
6 取引銀行  みずほ銀行(本店営業部)、三井住友銀行(日本橋支店)
7 代表取締役  玉木康裕氏
8 受注額(連結)
2005年度 938億円
2004年度 615億円
2003年度 343億円
9 売上高(連結)
2005年度 809億円
2004年度 463億円
2003年度 227億円
10 売上棟数(連結)
 2005年度 4,879
 2004年度 2,847
 2003年度 1,437
(受注額、売上高、売上棟数とも倍加と言っていいぐらいの勢いで急伸を続けています――海野)
11 国土交通大臣許可の特定建設業者です
12 会社沿革
1897年  筑後市に玉木長命氏が個人企業形態で建設業を開始
1998年  筑後興産株式会社の土木、建築、設計、不動産業を分離独立、タマホーム株式会社を設立 代表取締役に玉木康裕氏が就任
13 企業広告
 「みのもんた」さんがタマホームのテレビCMをやっています。
14 採用情報
「当社の家作りに対する姿勢に共感し、会社と共に自分の可能性にチャレンジしたい、大きく成長したいという方、自分の可能性を信じ、失敗を恐れずに、積極的にチャレンジされる方は、ぜひ私達の仲間になっていただきたい。私達とビジネスを成功させましょう。 急成長を続けている会社であるからこそ、そういった方々へのたくさんのポストと大きなチャンスがあります。 私達は、これからも良い家をより安く国民の皆様に提供し続けます。 私達と共に住宅業界No.1を目指しましょう」とHPの「採用情報」のところでアピールしています。
(会社内部で人材を育てるというより外部から人材を、既に一人前の技能を持った人材を獲得するという「人材戦略」を採っているようです。既に一人前に育っている人材を外部から獲得するという「人材戦略」は、パワービルダーに共通しているようです――海野)
15 モデルハウス展示場戦略
 全国118箇所にモデルハウス展示場を設置。各支店のモデルハウスは年中無休で朝9:00〜夜10:00まで営業。
(社員の超長時間労働の上に急成長を続けている姿が、見えてきました――海野)
16 その他
(タマホームはHPで以下のように主張しています)
 ○ 人、モノを全て不要な中間マージンをカットした。
 ○ 当社の価格は、坪単価(3.3u)25.8万円です。
 ○ 着工から完成までの期間は、2カ月から3カ月ですが、建物の規模等により変動することがあります。
 ○ お客様からの「お茶だし不要」、「差し入れ不要」、「ご祝儀は不要」
 ○ タマホームでは、お客様が幸せで安心できる家づくりが出来るように現場の教育を徹底し、構造の強度も高めています。
 ○ タマホームの社員も自分の家をタマホームで建てています。しかも自ら選んで購入しています。
(現場で施工に従事している人たちはどうなのか? やはりタマホームの家を購入しているのか? 悪く言うと、購入させられているのか? ――海野)
 
 
◎ パワービルダーは発注者? 元請? 元請責任追及のための考え方
 先日、神奈川県建設労働組合連合会の紺野広巳書記次長から「パワービルダー」に関する講演を聞く機会がありました。
 紺野広巳氏はパワービルダーの定義、特徴付けについて以下のように述べました。
 「パワービルダーの明確な定義はないが、おおむね年間300棟以上(1000棟以上で分類している所もある)の建売住宅を販売している大規模な建売業者で、業態は不動産業」
 「パワービルダーは、住宅建設のための生産基盤を、すべて町場から調達している。住宅の構造は「木造軸組」を基本とし、部分的に「2×4」などを採り入れるなど、既存の建築工法を導入している。施工に必要な技能者も全て町場の大工・専門職でまかなっている。ハウスメーカーは一定独自の生産システムを導入し、自社物件の施工に必要な技能者を多少なりとも自社で養成しているが、パワービルダーは、自ら工法や技能者を養成するシステムを持っていない。まさに、町場の技能者がパワービルダーの生産現場の『生命線』といえる」
 「2000年度と2005年度の1棟当たりの外注費の推移を見ると、アーネストワンが819万円から658万円、東栄住宅が770万円から512万円、飯田産業が742万円から563万円へと、2割から3割以上ダウンしていることで、コストダウンの中身は賃金であることが証明される」
 上記のように紺野氏が述べているとおり、パワービルダーは「大規模な建売業者」としての側面を強く持っています。主要な側面といってもいいかもしれません。
 仮に建売業者だとすれば、パワービルダーは「発注者」であり、建設業法が定める元請責任を負わない、ということになるのでしょうか? パワービルダーによっては、そのような主張をしているところがあるようです。
 建売業者と建売住宅の購入者との契約は、売買契約ではなく、売買契約と請負契約の混合契約である「製作物供給契約」です。これは、少なくとも有力な説であり、判例もあります。
 建設業法24条は、「請負契約とみなす場合」を定めています。国土交通省の担当者が分担して書いた『建設業法解説』(大成出版社)は、この24条逐条解説部分で、「製作物供給契約により建設工事の完成をする場合は、請負契約とみなして、建設業法の適用を受けるものと解釈すべきである」と解説し、「製作物供給契約により建設工事の完成をする場合」の例として「いわゆる建物の建売業者と称するもの」をあげています。
 言い換えると、大規模な建売業者であるパワービルダーは、製作物供給契約により建設工事の完成をする建売業者であり、従って建設業法の適用を受ける元請業者であり、建設業法が定める元請責任を負っています。
 上記の国土交通省の解釈も採り入れながら、建設労組は、パワービルダーの元請責任を鋭く追及することを通じて、現場で働く下請業者、労働者をパワービルダーの横暴から守っていくたたかいを進めていく必要があります。
 
 
◎ パワービルダー主要7社の業績等(各社HPからの抜粋を中心に)
1 一建設株式会社 
(以下は、パワービルダーと呼ばれている一建設株式会社について、同社HPや帝国データバンク企業情報からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 同社HPによると
○ 資本金 9000万円
○ 国土交通大臣許可の一般建設業者
○ 営業種目 建設工事設計施工・土木工事設計施工・不動産の売買並びに仲介・損害保険代理店業
○ 沿革
 (前社名)飯田建設工業株式会社
 1990年 株式会社飯田建設を併合 資本金12億7811万4千円となる
 2003年 資本金9000万円となる(資本金12億7811万4千円→資本金9000万円と減少させた意図は何か? ――海野)
 2004年 一建設株式会社に社名変更
○ 一貫システム
「用地の取得、企画、設計、施工、販売、アフターサービスに至るまで、住宅に関するトータル・サービスに挑み続けています」
「優良な用地の取得から始まり、住宅の完成、お客様のご入居、住み心地まで一貫して責任持って住宅を供給しています。この一貫システムの最大の利点は、『中間マージン』をできる限り排除できること」
○ 地域に密着したパワフル・ネットワーク
「地域に密着した、きめ細やかなネットワーク網を駆使して、各地域の不動産情報をいち早くキャッチ、優良物件を他社に先駆けて入手することが可能です」
「地域性を熟知した社員の手により、街の環境や地域のニーズにマッチした住まいを誕生させていきます」
2 帝国データバンク企業情報によると
○ 業種名 建物売買業、貸家業
○ 目的  建売業、マンション分譲、マンション賃貸業
○ 従業員 750人
○ 販売先 一般顧客
○ 業績
 2002/1 売上1043億5百万円  利益34億6278万6千円
 2003/1 売上1246億45百万円 利益48億7566万6千円 
 2004/1 売上1527億68百万円 利益17億5703万2千円
 2005/1 売上1825億78百万円 利益113億5144万3千円
 2006/1 売上1920億54百万円 利益71億9456万4千円
 2007/1 売上1972億54百万円 利益90億1124万8千円 
2 株式会社東栄住宅
(以下は、パワービルダーと呼ばれている株式会社東栄住宅の57期・前半期報告書(2007年2月1日〜2007年7月31日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 連結経営指標(57期・前半期)
@ 売上高 496億75百万円(56期・前半期は691億64百万)
A 経常利益 6億49百万円(56期・前半期は31億18百万円)
B 中間(当期)純利益2億27百万円(56期・前半期は15億97百万円)
C 1株当たり中間(当期)純利益8.43円(56期・前半期は59.41円)
D 従業員数 671人
2 事業の内容
 不動産分譲事業(戸建住宅・中高層住宅・中古再生住宅事業等)を主な事業としている。首都圏を中心に戸建住宅及び中高層住宅等の分譲事業を行なっている。
3 主な業績(57期・前半期)
○ 戸建住宅に係る不動産販売高 422億14百万円
○ 土地に係る不動産販売高 37億74百万円
○ 中高層住宅(マンション)に係る不動産販売高 20億49百万円
○ 注文住宅等の請負工事収入 11億66百万円
4 当中間連結会計期間末の
 ○ 短期借入金 560億76百万円
 ○ 長期借入金 137億4百万円
○ 利益剰余金 229億8百万円
(企業のため込みである利益剰余金残高の推移ですが、中間純利益2億27百万円を上回る6億18百万円を剰余金の配当にあてたため、2007年1月31日残高233億円→2007年7月31日残高229億8百万円へと微減しています。利益を上回る株式配当を実施したということです――海野)
3 飯田産業
(以下は、株式会社飯田産業の第31期有価証券報告書(2006年5月1日〜2007年4月30日)からの抜粋を中心に記述したものです――海野)
1 連結経営指標
○ 売上高 1221億6039万4千円(前期は1085億1943万1千円)
○ 経常利益 86億298万3千円(前期は74億1425万5千円)
○ 当期純利益 50億7452万1千円(前期は40億7559万5千円)
○ 1株当たり当期純利益 161.84円(前期は129.98円)
○ 従業員数 767人
2 事業ごとの業績
○ 戸建分譲住宅事業の売上高 1049億27百万円
○ 分譲マンション事業の売上高 147億42百万円
○ 請負工事収入 7億93百万円
○ 賃貸収入 2億36百万円
○ その他の不動産収入 2億58百万円
○ リゾート事業の売上高 8億17百万円
○ 貸金業の売上高 3億85百万円
3 大株主の状況
所有株式数   発行済株式総数に対する所有株式数の割合
森 和彦      9,709,800株    30.97%
有限会社一商事  6,048,000株    19.28%
有限会社K.フォレスト 5,318,040株  16.96%
(なお、森和彦氏は、飯田産業の取締役会長(代表取締役)です――海野)
4 1株当たり配当額(年間) 40円
(飯田産業の取締役会長(代表取締役)の森和彦氏の所有株式数は9,709,800株ですから、同氏の受け取る年間配当額は9,709,800株×40円=3億8839万2千円になります――海野)
4 株式会社アイダ設計(同社HPからの抜粋)
○ 資本金 2億1632万円
○ 従業員数 794人(2007年4月1日現在)
○ 年商 689億円(2007年3月期)
○ 事業内容
住宅の設計・請負・施工・監理
不動産の売買・仲介・賃貸・管理
住宅機器の販売
損害保険代理業 
○ 国土交通大臣許可の一般建設業者
5 株式会社アーネストワン(同社HPからの抜粋)
(2007年9月中間期の業績 2007/4/1〜2007/9/30)
○ 売上高 692億円
○ 営業利益 37億71百万円
○ 経常利益 34億21百万円
○ 中間(当期)純利益 21億17百万円
○ 1株当たり中間(当期)純利益 32.40円
○ 1株当たり配当金
 中間期末5円 期末(予想)15円 年間(予想)20円
○ 2008年3月期の業績予想(2007/4/1〜2008/3/31)
 売上高 1655億円
 営業利益 99億円
 経常利益 91億円
 当期純利益 54億円
 1株当たり当期純利益 82.63円
6 タクトホーム株式会社(同社HPからの抜粋)
○ 資本金 1,429,020,000円
○ 従業員 284人(2007年 5月 31日現在)
○ 事業内容
戸建住宅の販売、マンションの分譲、注文住宅の建築、請負工事、不動産の賃貸、損害保険代理店業務、その他
○ 東京都知事許可の一般建設業者
○ 2007年5月期の
 売上高 530億92百万円
 営業利益 39億66百万円
 経常利益 39億36百万円
 当期純利益 23億8百万円
 1株当たり当期純利益 9,600円
 1株当たり配当額(年間) 2,500円
 従業員数 284人
7 タマホーム株式会社(同社HPから)
○ 資本金 7億7,350万円
○ 事業内容
土木、建築、設計、不動産業、保険代理店業
○ 従業員数 2,709人(2007.11.1現在)
○ 売上高(連結) 2006年度 1,290億円
○ 売上棟数(連結) 7,600棟
○ 国土交通大臣許可の特定建設業者
 
 
◎ 行政への要望 「建設廃棄物処理費問題」「パワービルダー元請責任問題」
1 建設廃棄物の処理費用の負担
建設廃棄物の処理費用については、発注者から貰うべきものであり、下請に負担させることは、元請の二重取りになります。
国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』には、「下請との協議・合意」、「見積条件・契約書面への明示」があれば、建設廃棄物の処理費用を下請に負担させることは建設業法上違反とはならないかのように受け取ることが可能な説明が行われている箇所があります。
一つには、下請に負担させることは元請の二重取りになるという意味で、もう一つには、「協議・合意」と言っても元請の圧倒的力量という建設現場の力関係の下での「協議・合意」は「強制」、「泣き寝入り」が実態であり、建設廃棄物処理費用については元請負担を明確にすべきだと考えます。
 建設廃棄物処理費用の発注者負担を明示した環境省通達が存在します。
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長あての「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」(公布日:平成13年6月1日 環廃産276号)は、下記のような表現で、「発注者の責務」として建設廃棄物処理費の発注者負担を明示しています。
「『発注者の責務と役割』 積算上の取り扱いで適正な建設廃棄物の処理費を計上すること」(上記の環境省通達「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」からの抜粋)
このように、環境省通達が、「発注者の責務」として「積算上の取り扱いで適正な建設廃棄物の処理費を計上すること」 と定め、建設廃棄物処理費の発注者負担を明示しています。
 建設廃棄物の処理費用は、発注者が出すべきものなのです。環境省通達によって「発注者の責務」として義務付けられているのです。言い換えると、元請は、建設廃棄物処理費を発注者に請求し、発注者から貰うべきなのであって、建設廃棄物処理費を下請に負担させる、下請に転嫁するような行為は、処理費の二重取りを意味するもので、許される行為ではありません。
上記の環境省通達との矛盾を回避するために、国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」の該当箇所の改善が求められるのではないかと考えます。
 建設廃棄物処理費用の負担関係について、国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」では、下記のようになっています。
(建設業法上違反となるおそれがある行為事例)「元請負人が、下請負人と合意することなく、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費用等を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く場合」は、建設業法第19条の3に違反するおそれがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。
「下請工事の施工に伴い副次的に発生する建設廃棄物の処理費用」を下請代金の支払時に差し引く(相殺する)行為を行う場合は、元請負人と下請負人双方の協議・合意が必要。また、その内容を見積条件・契約書面に明示することが必要。
2 パワービルダーの元請責任の明確化を
パワービルダーは建売業者であり、言い換えると「発注者」であり、建設業法が定める元請責任を負わない、という主張をしているパワービルダーがいます。
 建売業者と建売住宅の購入者との契約は、売買契約ではなく、売買契約と請負契約の混合契約である「製作物供給契約」だと言われています。
建設業法24条は、「請負契約とみなす場合」を定めています。国土交通省の担当者が分担して書いた『建設業法解説』(大成出版社)は、この24条逐条解説部分で、「製作物供給契約により建設工事の完成をする場合は、請負契約とみなして、建設業法の適用を受けるものと解釈すべきである」と解説し、「製作物供給契約により建設工事の完成をする場合」の例として「いわゆる建物の建売業者と称するもの」をあげています。
 パワービルダーが大規模な建売業者だとすれば、製作物供給契約により建設工事の完成をする建売業者であり、従って建設業法の適用を受ける元請業者であり、建設業法が定める元請責任を負っています。そのような立場、見解でのパワービルダーへの指導、誘導を要望します。
(参考資料)
(以下に紹介するのは、国土交通省の人たちが共同して書いている『建設業法解説』(大成出版社)の逐条解説部分の中の第24条(請負契約とみなす場合)解説部分です。この部分は、「発注者」といっても実体は「元請」であるとして住友不動産に迫り、住友不動産に「発注者責任」を果たさせ、下請救済の立替払を行わせる上で一定の根拠となったものです――海野)
(法律)
(請負契約とみなす場合)
建設業法第24条  委託その他何らの名義をもってするを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
 本条は、本法の適用上請負契約とみなすものの範囲を規定したものである。
1 建設工事の請負契約の適正化を図ることは、本法の大きな目的の一つであり、その具体的な実現を確保するため、建設工事の完成を請け負う営業を営む者については、令第1条の2に規定する軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者を除き、建設業の許可を受けなければならないこととする(第3条)とともに、本章においては、建設工事の請負契約の原則(第18条)、建設工事の請負契約の内容(第19条)、不当に低い請負代金の禁止(第19条の3)、一括下請負の禁止(第22条)等建設工事の請負契約に関する一般的な事項について規制しているほか、特に特定建設業者については、下請代金の支払期日等について重い義務を課しており(第24条の5)、また、次章においては、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るための機関である建設工事紛争審査会について規定している。
 ところが、現実に締結される契約は、建設工事の完成を目的としているものであっても、必ずしも請負という名義を用いていない場合がある。それは、一つには、民法の請負そのものが、他の典型契約である雇傭(雇用)や委任と明確に区別し難いばかりでなく、種々の特約が可能であり、さらに、民法の典型契約以外の無名契約も認められていることにより、現実の建設工事が民法の原則を修正した形で行われることが多いことによるものである。また第二に、本法の適用を免れるために、雇傭(雇用)契約とか委任契約とかの名称を使用することも多いためと考えられる。
 そこで、本法の適用の対象を明確にし、脱法行為を防ごうというのが、本条の趣旨である。
2 本条により、委託、雇傭(雇用)、委任その他いかなる名義を用いるものであろうと、実質的に報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約はすべて建設工事の請負契約とみなされ、このような行為をする者に対しては、本法の規定が適用される。なお、売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである。
 
 
◎ (元請責任 パワービルダー問題 建設廃棄物処理費用)国土交通省見解
 2007/12/19 全建総連関東地協として、国土交通省関東地方整備局への申し入れ、交渉をおこない、不払い解決での元請指導の徹底、建設廃棄物処理費用の下請転嫁の是正、パワービルダーの元請責任の明確化等を求めました。
 以下が、国土交通省関東地方整備局から出された見解の要旨です。
1 (「不払い解決での元請指導の徹底」の要望に対して)
 「元請の特定建設業者は、二重払いを立替払拒否の理由にすることはできない」、「賃金だけでなく、工事代金も建設資材納入代金も、立替払の対象である」、「建設業法の主旨の一つは、下請保護である」、「下請保護ということで特定建設業の許可を与えている」、「全建総連の各県連・組合を、国土交通省関東地方整備局との関係で、不払い交渉の窓口として認める」
2 (「建設廃棄物処理費用の下請転嫁の是正」の要望に対して)
 「建設業法令遵守ガイドラインに基づく指導の徹底をはかる」
3 (「パワービルダーの元請責任の明確化」の要望に対して)
 「建売業者としてのパワービルダーが発注者なのか、建設業法上の元請なのか、検討、研究する」、「『建設業法解説』(大成出版社)に記述されている『売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである』の解釈についても、検討、研究する」
○ (『建設業法解説』の「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである」について言うと、次のように解釈するのが正しいと思います。建売業者と建売住宅の購入者との契約は売買契約と請負契約の混合契約と考えられる「製作物供給契約」だということです。建売業者は「製作物供給契約」により建設工事の完成をしています。したがって、建売業者は建設業法上の元請となります。建売業者としてのパワービルダーも当然、同様です。2007/12/19国土交通省関東地方整備局申し入れ、交渉の際、同省も上記解釈について特に否定はしませんでした──海野)
 
 
◎ 『建設業法解説』第24条(請負契約とみなす場合)解説部分の構造  
(以下は、国土交通省の人たちが共同して書いている『建設業法解説』(大成出版社)の逐条解説部分の中の第24条(請負契約とみなす場合)解説部分です。この部分の構造に、意味するものに、再度接近することで、誤解を払拭する必要があると感じています――海野)
1 建設業法第24条
建設業法第24条  委託その他何らの名義をもってするを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
2 『建設業法解説』の逐条解説部分の中の第24条解説部分
(以下が、『建設業法解説』(大成出版社)の逐条解説部分の中の建設業法第2
4条(請負契約とみなす場合)解説部分です)
 本条は、本法の適用上請負契約とみなすものの範囲を規定したものである。
1 建設工事の請負契約の適正化を図ることは、本法の大きな目的の一つであり、その具体的な実現を確保するため、建設工事の完成を請け負う営業を営む者については、令第1条の2に規定する軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者を除き、建設業の許可を受けなければならないこととする(第3条)とともに、本章においては、建設工事の請負契約の原則(第18条)、建設工事の請負契約の内容(第19条)、不当に低い請負代金の禁止(第19条の3)、一括下請負の禁止(第22条)等建設工事の請負契約に関する一般的な事項について規制しているほか、特に特定建設業者については、下請代金の支払期日等について重い義務を課しており(第24条の5)、また、次章においては、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るための機関である建設工事紛争審査会について規定している。
 ところが、現実に締結される契約は、建設工事の完成を目的としているものであっても、必ずしも請負という名義を用いていない場合がある。それは、一つには、民法の請負そのものが、他の典型契約である雇傭(雇用)や委任と明確に区別し難いばかりでなく、種々の特約が可能であり、さらに、民法の典型契約以外の無名契約も認められていることにより、現実の建設工事が民法の原則を修正した形で行われることが多いことによるものである。また第二に、本法の適用を免れるために、雇傭(雇用)契約とか委任契約とかの名称を使用することも多いためと考えられる。
 そこで、本法の適用の対象を明確にし、脱法行為を防ごうというのが、本条の趣旨である。
2 本条により、委託、雇傭(雇用)、委任その他いかなる名義を用いるものであろうと、実質的に報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約はすべて建設工事の請負契約とみなされ、このような行為をする者に対しては、本法の規定が適用される。なお、売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである。(アンダーラインは海野)
3 『建設業法解説』第24条(請負契約とみなす場合)解説部分の構造
 『建設業法解説』の中の建設業法第24条(請負契約とみなす場合)解説部分の構造に接近し、その意味するところを誤解を受けることなく、明らかにできればと思います。  
もっとはっきり言えば、アンダーラインの箇所「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである」について、誤解を払拭し、単純明快に説明したい、それが課題です。
誤解を避けるためには、建設業法が適用される範囲を明らかにしておく必要があると思います。
元請と下請の間に、建設業法は適用されますが、それに限らず、注文者と請負人との間に建設業法は適用されます。
最初の注文者を、建設業法は発注者と呼んでいます。ですから、発注者と元請との間にも、当然なのですが、建設業法は適用されます。
元請と1次下請との関係も、注文者と請負人の関係になりますし、1次下請と2次下請の関係も注文者と請負人の関係になります。以下、2次、3次、4次……同様の関係になります。
上記を踏まえて、「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである」の構造に迫るとき、前よりは少し様子が見えてきます。
建売業者と建売住宅の建設工事を請け負う建設業者の関係は、注文者と請負人の関係であり、ここにはもちろん建設業法が適用されます。
問題は、建売住宅の「購入者」と建売業者との関係です。「売主と買主の関係」なのか、そうではなく「注文者と請負人の関係」なのか、ということです。
「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである」の意味するものは、上記両者の関係(建売住宅の「購入者」と建売業者との関係)が、「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合」には、「注文者と請負人の関係」になり、「建物の建売業者と称するものであっても」元請になる、ということです。
この場合には、大規模な建売業者としてのいわゆるパワービルダーも元請になる、ということです。「発注者だから、建設業法上の元請責任を負っていない」などと言い逃れはできないということです。
しかし、さらに解明を必要とする問題が残っています。それは、「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合」とは、建売住宅にあてはめると、どういう場合なのか、という問題です。
少なくとも、ここは、法解釈を明確化して、大規模な建売業者としてのパワービルダーについては、元請責任を負わせる、そういった法解釈、法運用を実施し、パワービルダーのもとで施工に従事する下請業者、中小業者、一人親方、労働者の保護をはかるべきである、と思います。
たとえば、(パワービルダーの)アーネストワンは元請責任を認め、建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払を実施した、と言われています。
 
 
◎ ────   製作物供給契約と「建売業者」   ────
 大規模な建売業者としてのパワービルダーが、発注者なのか元請なのか、A社は元請責任を認めて建設業法に基づく立替払を実施したと言われている反面、労災の事例でE社、N社は発注者だと主張していると言われていますし、発注者だと主張するパワービルダーが多いようです。
 あらためて『建設業法解説』(大成出版社)に記述されている「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条(建設業法24条)の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法(建設業法)の適用を受けることがあると考えるべきである」を手がかりに、大規模な建売業者としてのパワービルダーの元請責任に迫ってみたいと思います。 
○ 建設業法第24条  委託その他何らの名義をもってするを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
 『建設業法解説』記述の上記の構造を図式的に示すと、以下のようになると思います。
 建売住宅の「購入者」─「建売業者」―請負人という構造の中で、「購入者」─「建売業者」の間の契約が製作物供給契約である場合は、「建売業者」は元請となる、ということです。
 そうなると問題は、「製作物供給契約」とは何か? ということであり、その性質に接近する必要があります。
 『民法(6)契約各論 第4版増補版』(有斐閣)には次のように記述されています。「請負は仕事の完成を目的とする契約であるが、これと類似するものに、製作物供給契約と呼ばれるものがある。これは、当事者の一方が相手方の注文に応じて、自己の材料により目的物を製作してその物を供給し、相手方がこれに対して報酬を支払う契約である。たとえば、注文による機械製作や洋服の仕立てなどは、この契約に属する。このような契約は、製作の点では請負の性質を持ち、製作物の所有権を移転する点では売買の性質をもっているのが特徴である。そこで、通説は、この製作物供給契約を売買と請負との混合契約であると解して、製作については請負に関する規定を適用し、供給については売買の規定を適用すべきであるとする」
 また、『欠陥住宅被害救済の手引』(編者 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 発行 民事法研究会)には、以下のような記述が存在します。「製作物供給契約の法的性質については、判例は、当該取引が製作された物を代替物として取り扱う場合には売買として、不代替物として取り扱う場合には請負として扱うという傾向にある。そうであれば、住宅の場合には不代替物として取引がなされるから請負の規定が適用になり、瑕疵修補請求およびこれに代わる損害賠償請求も可能となる」、「東京高判昭和44・2・10は、完成前の分譲住宅用ビルディングの1区画を目的物としてなされた売買契約について、『本件分譲契約は数量指示売買ではなくいわゆる製作物供給契約に該当し、もしその後完成した建物に瑕疵があるときは、売主は請負に関する民法634条の規定に基づく担保責任を負担すべきである。その瑕疵には、売買契約の際、両当事者の予定した部屋の形状、床面積等がその後、当初予期しない設計変更により変更され、そのため利用価値が相当程度減少するに至った場合をも包含するものと解すべきである』とした上で、事実上不可能な瑕疵の修補に代えて損害賠償(居宅部分の売買代金を基準として算出した減少面積についての代金相当額)の請求を認めた」
 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会によるこの記述は、大規模な建売業者としてのパワービルダーの元請責任を追及する上で、強力な支柱になるものです。
 
 
◎ 建売業者は発注者? 元請? 『建設業法解説』の構造を再度解明する
1 結論を先に
『建設業法解説』(大成出版社)の建設業法24条逐条解説部分の「売買契約と請負契約の混合契約と考えられるいわゆる製作物供給契約により建設工事の完成をする場合も本条の適用を受けるものと解釈すべきであり、したがって、いわゆる建物の建売業者と称するものであっても、実質的には請負契約である場合は本法の適用を受けることがあると考えるべきである」について言うと、次のように解釈するのが正しいと思います。建売業者と建売住宅の購入者との契約は売買契約と請負契約の混合契約と考えられる「製作物供給契約」だということです。建売業者は「製作物供給契約」により建設工事の完成をしています。したがって、建売業者は建設業法上の元請となります。建売業者としてのパワービルダーも当然、同様です。
2 検討
 ところが、パワービルダーは逆に、たとえば飯田産業は「私たちは発注者です」と断言しています。建売業者だから発注者だ、という論理です。彼らの論理構造は単純明快です。「建売業者だから発注者であり、したがって、建設業法上の元請責任を負っていない」という構造を、彼らは主張します。
一方、建設労働運動の側の論理もまた明快です。上述のように、『建設業法解説』(大成出版社)の建設業法24条逐条解説部分を根拠として、「建売業者と建売住宅の購入者との契約は売買契約と請負契約の混合契約と考えられる『製作物供給契約』です。建売業者は『製作物供給契約』により建設工事の完成をしています。したがって、建売業者は建設業法上の元請となります。建売業者としてのパワービルダーも当然、同様です」と主張します。
そこで、国土交通省関東地方整備局(以下「国交省」と略します)は、どのような論理構造を示しているのでしょうか? 以下に紹介します。
(建売住宅の)購入者―建売業者―建設業者の関係に、国交省は着目します。
この関係の中で、「建売業者―建設業者」間の契約が請負契約であれば、建売業者は「建設業法上の元請」になる、と国交省は話しています。
同時に、「購入者―建売業者―建設業者」の構造から「購入者」が欠落している場合は、言い換えると購入者が存在せず「建売業者―建設業者」だけの2者構造である場合は、建売業者は発注者である、と国交省は言います。「簡単に言うと、そういうことです」と国交省は言います。購入者がいれば建売業者は元請になり、購入者がいなければ建売業者が発注者になる、そういう構造だというわけです。
不安定な構造です。元請になったり、発注者になったり、不安定です。
国交省の解釈に従えば、建売住宅の完成後に、それを売ったとすれば、建設業者との関係で、建売業者は発注者になります。逆に、建売住宅の建設工事の施工途中で購入者が決まったとすれば、厳密にはその瞬間から建売業者は元請となります。購入者が決まるまでの間は、発注者ということになります。極めて不安定な構造です。それに応じて、元請責任が発生したり、しなかったり、元請労災が適用になったり、ならなかったり、極めて不安定な構造を容認することになります。
建設労働者、建設業者を守るためには、安定した構造が必要です。国交省による解釈の前進、また場合によっては法改正など、求められています。
パワービルダーという大規模な建売業者が出現した以上、そこで働く建設労働者、建設業者を守るために、緊急の課題になっています。
 
 
◎ ──  しめから6ヵ月後払い? 建設業法との関係  ──
 パワービルダーの○○社の現場では、「しめから6ヵ月後払い」というような情報が伝わってきています。事実かどうか確認が必要でしょう。
 「しめから6ヵ月後払い」がどういう状況を意味するのか? 180日手形ということなのか? 文字通りしめから6ヵ月後に(手形または現金で、あるいは併用で)支払うということを意味するのか? 確認が必要でしょう。
「建設業法24条の3項」 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
○○社が元請ということであり、かつ、しめから6ヵ月後に(手形または現金で、あるいは併用で)支払うということであれば、建設業法24条の3項に違反するおそれがある、ということになるでしょう。しかし、建売業者であり、したがって元請ではなく発注者だと主張してくるかもしれません。
 
 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」は、「特定建設業者である元請が、手形期間が120日を超える手形により下請代金の支払を行った場合は、建設業法違反のおそれがある」とさだめています。
 ○○社は、国土交通大臣許可の一般建設業者であり、仮に180日手形だとしても、上記の「建設業法令遵守ガイドライン」に反するということにはなりにくいでしょう。発注者ということになれば、なおさらそうかもしれません。
 したがって、法律による規制に頼るだけでなく、建設労働運動からのたたかいによる規制が必要になるようです。
 
 
◎ ── 株式会社アイダ設計 国土交通大臣許可の一般建設業者 ──
 パワービルダーと言われる株式会社アイダ設計(埼玉県さいたま市大宮区)について、調べてみました。
 同社のHP等によると、同社は国土交通大臣許可の一般建設業者であり、この点、一建設と同じです。一建設もパワービルダーと言われています。
 以下は、アイダ設計のHP等から得たアイダ設計についての情報です。
 
○ 資本金 2億1632万円
○ 従業員数 667人
○ 売上
 2002年10月期  557億円
 2003年10月期  583億円
 2004年3月期   245億円
 2005年3月期   715億円
 2006年3月期   768億円
 2007年3月期   689億円
 2008年3月期予定 637億円
○ 利益
 2002年10月期  2億6752万円
 2003年10月期 10億9004万円
 2004年3月期   3億4499万円
 2005年3月期  18億9735万円
 2006年3月期   1億2649万円
 2007年3月期   1億6899万円
○ 事業内容
 住宅の設計・請負・施工・監理
不動産の売買・仲介・賃貸・管理
住宅機器の販売および損害保険代理業 他
○ 国土交通大臣許可の一般建設業者
○ 販売先 一般顧客
 
 
◎ ──── パワービルダー各社HP等から見た業績 ────
(以下は、パワービルダー各社HP等から見た業績です──海野)
1 タマホーム
 ○ 資本金 7億7350万円
○ 事業内容 土木、建築、設計、不動産業、保険代理店業
○ 従業員数 3,025人(2008.3.1現在)
○ 売上高(連結)
2006年度  1,290億円
2005年度   809億円
2004年度   463億円
2003年度   227億円
2 タクトホーム
(2007年5月期(2006年6月1日〜2007年5月31日)決算短信(非連結)から)
 ○ 売上高  530億92百万円
 ○ 営業利益  39億66百万円
 ○ 経常利益  39億36百万円
 ○ 当期純利益 23億8百万円
 ○ 利益剰余金期末残高 109億47百万円 
 
3 一建設
 ○ 資本金 9000万円
 ○ 国土交通大臣許可の一般建設業者
○ 営業種目 建設工事設計施工、土木工事設計施工、不動産の売買並びに仲介、損害保険代理店業
4 アーネストワン
(2008年3月期(2007年4月1日〜2008年3月31日)決算短信(非連結)から)
 ○ 売上高  1549億97百万円
 ○ 営業利益   65億68百万円
 ○ 経常利益   60億94百万円
 ○ 当期純利益  38億14百万円
 ○ 利益剰余金期末残高 313億9百万円
5 東栄住宅(第57期有価証券報告書(2007年2月1日〜2008年1月31日)から)
 (連結業績)
 ○ 売上高  1031億91百万円
 ○ 経常利益    8億66百万円
 ○ 当期純利益     43百万円
 ○ 利益剰余金期末残高 221億86百万円
 
6 飯田産業
(2007年4月期(2006年5月1日〜2007年4月30日)決算短信から)
(連結業績)
 ○ 売上高  1221億6千万円
 ○ 営業利益   93億17百万円
 ○ 経常利益   86億2百万円
 ○ 当期純利益  50億74百万円
 ○ 利益剰余金期末残高 315億28百万円
7 アイダ設計
○ 資本金 2億1632万円
○ 売上
 2006年3月期   768億円
 2007年3月期   689億円
○ 利益
 2006年3月期   1億2649万円
 2007年3月期   1億6899万円
○ 事業内容
 住宅の設計・請負・施工・監理
不動産の売買・仲介・賃貸・管理
住宅機器の販売および損害保険代理業 他
○ 国土交通大臣許可の一般建設業者
8 城南建設
 ○ 資本金 1億円
 ○ 社員数 1,324人(2007年11月末現在)
 ○ 事業内容 建設業、分譲住宅販売業、不動産仲介業、土木・建築工事の設計・施工・監理業
 ○ 国土交通大臣許可の特定建設業者
9 センチュリーホーム
 ○ 事業内容 木造注文住宅一戸建住宅の設計・施工・販売
 ○ 資本金  6000万円
 ○ 従業員  350人
 ○ 受注高
 2000年 100億円
 2001年 160億円
 2002年 266億円
 2003年 380億円
 2004年 450億円
 2005年 470億円
10 中央住宅
 ○ 主な事業
 不動産の購入・販売・賃貸・交換及びその代理仲介
 住宅の設計・建築・監理・請負業務
 宅地造成・開発及び管理
 ○ 資本金 4億円
 ○ 従業員数 435人
 ○ 売上高 461億円(2006年度)
 ○ 経常利益 25億円(2006年度)
11 アールシーコア
(2007年4月1日〜2008年3月31日 連結業績)
 ○ 売上高 102億29百万円
 ○ 営業利益  6億円
 ○ 経常利益  5億99百万円
 ○ 当期純利益 2億92百万円
 ○ 利益剰余金期末残高 15億58百万円
12 アキュラホーム
(2007年度(2008年2月期)の業績)
 ○ 売上高  229億2百万円
 ○ 経常利益   1億14百万円
 ○ 資本金  9314万円
 ○ 従業員数 723人
 ○ 事業  建築工事・設計施工・販売、住宅総合研究・開発・コンサルティング
13 新昭和
○ 資本金 10億8268万円
○ 年商
270億995万円 (2001年度)
283億4614万円 (2002年度)
331億6577万円 (2003年度)
341億5921万円 (2004年度)
351億1202万円 (2005年度)
376億4498万円 (2006年度)
○ 事業内容
ツーバイフォー工法・木造軸組工法(ハイブリット工法)による住宅の企画・設計・施工・販売
鉄筋コンクリート構造、鉄骨構造、ログハウス等による各種建築物の設計・施工・販売 
組立住宅パネルの製造及び販売
クレバリーホームブランドでフランチャイズ全国展開
不動産の売買・仲介   
リゾート開発共同住宅・各種店舗・事務所のテナント契約及び管理
家具・インテリア商品販売
火災保険・損害保険代理店業務
前各号に付帯する一切の事業
○ 国土交通大臣許可の特定建設業者
○ 従業員数459人(2007年3月31日現在)
14 創建ホームズ
(第13期事業報告書(2005年3月1日〜2006年2月28日)から)
 ○ 売上高  385億53百万円
 ○ 経常利益  16億54百万円
 ○ 当期純利益 9億89百万円
 ○ 資本金  24億82百万円
 ○ 利益剰余金期末残高 25億4百万円
 ○ 国土交通大臣許可の特定建設業者
 
 
◎ パワービルダーと言われるアイダ設計の情報 HPや現場聞き取りから
(アイダ設計HPから)
○ 資本金 2億1632万円
○ 売上
 2006年3月期   768億円
 2007年3月期   689億円
○ 利益
 2006年3月期   1億2649万円
 2007年3月期   1億6899万円
○ 事業内容
 住宅の設計・請負・施工・監理
不動産の売買・仲介・賃貸・管理
住宅機器の販売および損害保険代理業 他
○ 国土交通大臣許可の一般建設業者
(アイダ設計 建売住宅現場聞き取りから 2008/6/12)
○ 工期 45日
○ 支払い方 工期内3回払い(着工時 中間 完成時) 振込
○ 常用換算手間(賃金) 1日1万6千円位
 
 
◎ ───  パワービルダーの「注文書兼報告書」  ───
 パワービルダーと言われている○○社の「注文書兼報告書」を入手することができました。
 それによると、
 ○ 工期 40日(2階建) 49日(3階建)
 ○ 応援についての規定 工期内に工事を完了できないと注文者(○○社)が判断した場合、応援を受け入れること。(応援の手間をどちらがどの程度負担するのかについては、規定されていません──海野)
 ○ 大工は一人親方とみなされるため、○○社の労災保険(元請労災)が適用されない。(一人親方の労働者性への配慮が感じられません──海野) 
 ○ 大工自身で有効な労災保険に加入し、そのコピーを提出することを、請負条件とする。
 ○ 支払い方法 毎月25日締め ○○社が査定 翌月15日振込
 ○ 安全協力会費 支払い総額の0.3%
 ○ 補修費 支払い総額の0.7%〜1.7%を控除
 ○ 契約書に「○○社から請け負った仕事の作業中に発生した事故により受けた損害及び障害について、○○社に対し一切の責任を問わない」と明記。(○○社の責任で発生した事故の場合は、当然、○○社の責任を問い、損害賠償を求め得るのであり、この契約書の文言には違法性を感じます──海野)
 
更新日時:
2008/07/03
――――――――  「公契約法・条例」関連  ――――――――
――――――――  「公契約法・条例」関連  ――――――――
海野和夫
 
◎ 全建総連主催シンポジウム「公契約条例(法)の制定をめざして」
全建総連主催シンポジウム「公契約条例(法)の制定をめざして」が、2006年4月27日、(東京)社会文化会館で実施されました。
そのなかみの一端を、以下に紹介させていただきます。
 
パネリストは、堀内光子文京学院大学客員教授・元ILO事務局長補、君島一宇全日本自治団体労働組合(自治労)副中央執行委員長、永山利和日本大学商学部教授・建設政策研究所理事長、佐藤正明全建総連書記長の4氏です。そして、コーディネーターは古川景一弁護士です。
パネリスト4氏の発言を要約すると、下記のようになります。適切な要約になっているかどうかの問題がありますので、間違い、不十分等がありましたら email でご指摘下さい。直ちに訂正・削除・補強等、実施致します。
 
堀内光子氏「公正な競争の確保が行われなければ、使用者にとっても生きていけなくなるような状況になってくる。適正な賃金、労働時間、労働安全衛生等の確保は、働く人々のためだけでなく、結果として経営側にも健全な経営を成立させることになる。不平等に余りにも寛容になってはいけない」
 君島一宇氏「地域生活圏の運動をさらに発展させ、労働組合自らの要求を地方自治体にぶつけ、地域福祉春闘の運動化をはかってきた。自治体改革運動を運動の柱としている。地域がつぶれていくのを止め、住みよい地域を作っていく。そして、自治体公契約条例制定運動にたどりついた。(現状は)地域での公正労働基準が守られていない。2年間に全ての自治体に公契約条例を作ることをめざす。質の高い公共サービスを実現し、地域の資源とニーズに真正面から向き合っていく。自治体が中心軸であり、責任を放棄してはならない」
 永山利和氏「公共事業の削減、競争の促進、指し値発注などにより、年々賃金・単価が引き下げられてきている。下請の受注量の減少により経営危機が深まっている。(公契約運動は)日本の将来を決める要石となる運動である。賃金・労働条件の無視、建退共を貼付しないといった実態に対して、公の役割の観点から見直し、公正な労働基準、公正な取引を公の行政の側から実現していく運動である。一方的な民営化への防波堤となり得るものである。グローバリゼーション、小泉構造改革のマイナス面をおさえていく役割を持つものである」
 佐藤正明氏「入契法成立時の参院付帯決議『(公共工事の発注者は)建設労働者の賃金・労働条件の適切な確保に努めること』、これが大きかった。この表現が入るについては、全建総連も努力した。具体的に公契約条例をかちとる段階にもう一歩進めていく時期に来ている」
 君島一宇氏「発注者、行政の側には、使用者の公正な競争を担保する仕組みを作る義務がある」
 永山利和氏「地域産業への配慮が必要。地域要件などがそうだ。環境への配慮、心身障害者の雇用、社会保障の推進など総合評価方式を押し進めることだ。自治体の労働者と受注側の労働者の双方から働きかけることで公正な条件を確保していくことが大事」
堀内光子氏「公的な部分(国、自治体)が自らを律するルールが必要。公正競争の確保には、公からの規制が必要。コスト競争だけではない公正な競争が必要」
君島一宇氏「アウトソーシング(民間委託)したとしても、自治体としての責任は残っている。その責任を果たし続けているのかどうか、監視している。福祉、医療の質の問題を問い続けている。民間企業が請け負うと利潤を上げなければならないので、変質してしまうのではないかと警鐘を鳴らしている」
堀内光子氏「国の財政問題として民営化が進んでいる。働く人々の保護が必要とILOは主張している。アウトソーシング、契約労働について、今年のILO総会は、労働条件を検討することになっている。質のいいサービスを受けるためには、サービスのコストをある程度負担することなしには、最終的な解決には至らない」
永山利和氏「アウトソーシング──労働者への一方的なしわ寄せにならないような対応が必要。コストを下げ、流動化した労働者に任せることは、サービスの劣化になる。質のルール化をはかり、歯止めをかけ、改善する公機関の役割が求められる」
堀内光子氏「ILOは法的基準、ガイドラインを出している。公契約については、国以外の機関も制定するだろうという前提に立っている」
佐藤正明氏「全建総連は地域に根差した組織である。地域から運動を起こして、賃金を底支えすることなしには、賃金・単価は下がっていく。自治労と共同して、大いに公契約条例を作っていきたい」
君島一宇氏「公共の領域の中心軸に自治体を置く。地域の公共の力を作っていくために、全建総連、自治労、市民団体、NPOなどを含むネットワーク作りをしていく。自治体が発注する仕事で働いている人たちの年収は300〜400万円の水準だ。自治労は437自治体に公契約条例制定の要請を行い、153自治体から『検討する』との回答を得ている」
佐藤正明氏「たとえば、北海道・七飯町では、公契約条例制定が具体化に向かっている。自治労の積極的な取り組みに激励された」
堀内光子氏「アメリカは、政府が自ら推進するものは自ら契約して推進するというところがある。日本には、そういうところがない。ヨーロッパは、労働組合を政策決定のパートナーと見ている。社会的公平、社会的価値が根付いている。労働の柔軟化、流動化の中に、公平なルールを確立することだ」
永山利和氏「来年の一斉地方選挙をめざして、スケジュール化して、具体化をはかることだ。公共工事のコスト破壊機能を止めるには、歯止めをかける基礎条件を作ることが必要。二省協定賃金への配慮からさらに進んで公契約条例へということだ」
 
 
◎ 佐藤幸樹埼労連事務局次長講演の要旨の紹介
(下記は、2006年2月19日に埼玉県伊奈町県民活動総合センターでおこなわれた「第9回埼玉土建一般労組住宅・建設研究交流集会」分科会での佐藤幸樹埼労連事務局次長の講演「公契約運動の前進のために」の要旨をまとめたものです───海野和夫)
 
 全労連は賃金底上げの運動を行っています。
 小泉構造改革の特徴は、@小さな政府、A公務員バッシング、B二極化(勝ち組、負け組)の肯定、C国家の(税金、社会保障を通じての)再配分機能の縮小、D福祉切り捨て、E軍国主義化、などです。
 何を狙っているのか。市場原理を(介護も雇用も含めて)全ての分野に広めることです。雇用も市場原理にゆだねる自由競争へ、ということです。国際競争力を高めるために、賃金も中国、東南アジアなみに、というわけです。そして、終身雇用、年功序列などの日本型雇用システムを解体して、成果主義、短期雇用へと切りかえるということです。
 このことは、既に1995年の日経連「新時代の日本的経営」の中で提言されていました。@(能力給、年俸制の)正社員、A(職務給の)契約社員、B(職務給、時間給の)パート、派遣にわけることを、提言しています。
 今、既に、日本の(34歳までの)青年の三分の一は上記のB類型です。(25歳以下の)青年で見ると、二分の一が上記のB類型です。
 財界・経団連は、小泉構造改革は、規制改革・民間開放推進3か年計画を進め、労働者派遣法、労働基準法改悪など、上記の方向を推進しています。
 このように、パート、アルバイト、派遣、請負などの非正規雇用労働者の増大のもとでは、賃金の底上げが重要です。
 公務員を悪役に仕立て、国民を分断し、民営化が推進されています。広く労働者、国民から支持される労働運動がとても大事です。
 賃金底上げの重要な柱は、@均等待遇(「パートだから」賃金が低いといった実態の改善)、A最低賃金(埼玉県・時給682円の大幅引き上げを)、B公契約運動(自治体発の低賃金労働を許さないたたかい)の三つです。
 均等待遇の問題について言うと、日本の正規雇用男性の賃金を100とすると、正規雇用女性は67、パート男性は41、パート女性は37です。
 低すぎる日本の法定最低賃金。平均賃金と比較すると、日本の法定最低賃金は27.1%です。まさに、貧乏人を作って戦争に行かせることを、狙っているのです。
 自治体調査でわかったことですが、自治体臨時・非常勤職員の時給単価などが地域相場より低いということです。自治体が地域の賃金相場を引き下げているのです。
 労働者の実態を見ない議論である「ニュー・パブリック・マネージメント」が最近もてはやされ、ほとんどの自治体が導入しています。何でも「委託化」、「外注化」、安ければ安いほどいいという理論です。これをテコに公務員を減らしています。
 これは、本当に正しいのか。そうではなく、税金で「働く貧乏人」を作らないことが必要です。公契約賃金の改善を求めることが必要です。公契約とは、国や自治体などの公的な機関を相手に結ばれる契約のことです。公共工事、委託業務(ゴミの収集、上下水道、庁内の掃除・警備・受付、等々)が、それです。
 また、補助金を受けている「福祉職場で働く労働者」、「保育所の保育士、学童保育の指導員」、「市町村採用の臨時教職員」も、公契約に含まれると私は考えています。「市町村採用の臨時教職員」について言うと、生活保護を申請したら認められる事例が生まれているような低賃金実態です。
 官公需印刷物のダンピング受注が問題になっています。委託(印刷等)は、(公共工事には存在する)最低制限価格制度がないのです。まさに、公契約での賃金水準の確保が必要です。自治労連を含めて共闘の呼びかけをしてほしいと思います。全国一般、福祉保育労、建交労、全印総連もそうです。
 公契約運動とともに賃金水準の引き上げ運動をする必要があります。
 今、自治体の役割が問われています。委託業務の実態は、過当な競争入札で落札時、単価が大きく下がり、労働者の受け取る実賃金は落札時よりさらに下がり、年収300万円程度になっています。
 森永卓郎氏は「いまや年収100万円、200万円台の労働者が増大している。その要因は、パート、アルバイト、フリーターなどの非正社員が増えていることだ。それは、小泉政権の政策によってもたらされた」と指摘しています。
 景気と所得の二極分化が進んでいます。大企業は大もうけ、高額所得層がさらに金持ちに、平均所得の連続減、等々。
 ILO(国際労働機関)94号条約は「関係労働者にその地方の同一性質の労働に劣らない有利な賃金・労働時間などの労働条件の確保を、(国や自治体などの発注者に)義務付け」ています。これが発動すれば、公共工事、委託業務に従事する労働者への直接的影響にとどまらず、地域の労働者全体に波及していきます。
 ILO94号条約の批准国は59か国です。日本は未批准です。
 公契約条例の制定は、地域労働者の賃金底上げを実現し、中小企業の経営安定をもたらし、その結果として自治体の財政安定にもつながります。
 法定最低賃金の現状は、生活保護、年金より低い。せめて平均賃金の半分にすることが求められています。全労連の最低賃金の当面の目標は、月15万円、日7,400円、時間1,000円です。
 また、全労連は、最低保障年金として、月7万円を掲げています。
 ロンドン市は、公契約賃金は公務員賃金を目安とすると定めています。
 賃金水準を引き上げる運動とあわせて公契約運動の推進を。大手企業交渉は重要です。現場での賃金闘争が重要。業界団体との連携も視野に。いろいろな労組との連携も視野に。市民的な合意を勝ち取れる運動へ――ここが特に重要。
 (埼玉土建一般労組の)川越、上尾伊奈などでの取り組みも教訓に。川越市の文書は、労働時間にも言及しています。
 二省協定(公共工事設計労務単価)の水準は微妙です。その辺も考慮に入れることが必要です。
 行政への働きかけ。議会の力関係を変えること。
 どこから始めるのか――実態の掌握から始めること。どこが大変か、何が大変かをつかむこと。その中で、一緒に組織化を進めていくことです。
 公契約従事者は全国で1000万人を超えています。
 現場調査で自治体の役割をもっと発揮させることです。市民が納得できる提言、取り組みを進めることです。公契約条例の制定は、建設業者の経営を安定させ、自治体の財政を豊かにします。
 せめて二省協定(公共工事設計労務単価)まではという要求は正しいと思っています。しかし、技能工としてそれ位(その水準)でいいのかどうかという問題意識を私は持っています。
 
  
◎ 公契約条例と公共工事入札契約適正化促進法参議院付帯決議
国や自治体の発注工事での建設労働者の適正で公正な賃金の確保のため、国での公契約法(公共工事での適正な賃金の確保法)、自治体での公契約条例(公共工事での適正な賃金の確保条例)の制定が、いま強く求められています。
 民間工事だけでなく公共工事でも、建設現場の重層下請構造の中で、建設労働者に支払われる賃金が、1次下請、2次下請、3次下請……と先に行けば行くほど減額され、実際に汗水流して施工に従事している下請労働者に支払われる賃金額は低くなっています。
 公共の福祉と公共の財産の整備等を目的としておこなわれる公共工事での、施工に従事する労働者の低賃金は、許されるものではなく、発注者の国や自治体と元請との間の契約で決められた賃金が、下請労働者に、減額されることなく支払われるべきです。そして、建設労働者の賃金が安定することは、企業の受注価格の安定にもなるものです。
 すでに1949年6月にILO(国際労働機関)で「公契約での労働条項にかんする条約」(ILO94号条約)が採択され、ILO加盟国174か国中59か国が批准しています。この「公契約での労働条項にかんする条約」は、「公の機関による工事で、下請業者を含め、関係労働者に、賃金・労働時間その他の労働条件を確保し、すべての関係者に知らせる」というものです。日本はまだ、この条約を批准していません。
 日本も、早急に同条約を批准し、公契約法、公契約条例を制定することが求められています。
 イギリスでは1891年の「公正賃金決定」、フランスで1899年に「ミルラン命令」(公契約規制令)、アメリカの1931年の「ディヴィス・ベーコン法」と先進資本主義諸国では、公契約法が制定されています。
 建設産業での賃金が、冷酷な市場原理に左右され、社会保障の視点から規制されないのであれば、全産業の1割を占め、産業として重要な一翼をになう建設労働者の生活がおびやかされたままであり、後継者も育たず、将来にわたって禍根を残すことになります。
 建設産業が発展していく上で、公契約法、公契約条例の制定は不可欠です。
公共工事入札契約適正化促進法の成立により、公共工事では一括下請(丸投げ)が全面禁止となっています。 
また、公共工事入札契約適正化促進法の成立にあわせて、衆参両院で付帯決議がおこなわれました。付帯決議の中には、衆参両院で「発注者は、入札参加者に対し、対象工事にかかわる入札金額とあわせてその明細を提出させるよう努めること」が入りました。これは、賃金や法定福利費の別枠支給に道を開くものであり、今後の大手企業交渉などをつうじて大手企業にその実行を迫っていく上での根拠を与えるものです。
また、参院の付帯決議には、「(発注者は)建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」が入り、公共工事での建設労働者の賃金、労働条件に対する発注者責任をはじめて明らかにしたものであり、画期的な前進です。
 上記の参院付帯決議の成立以前は、公共工事の現場で賃金、工事代金の不払いが発生したばあい、発注者である国や自治体などは「民民契約(民間どうしの契約)の問題には、発注者は介入できないし、不払いについて発注者に責任はない」として不払い解決での発注者責任をまったく認めていませんでしたが、賃金に対する発注者責任を確認したこの参院付帯決議は、公共工事の現場での賃金、工事代金の不払いの解決に、新しい道を切り開きました。また、公共工事設計労務単価(二省協定賃金)を含めて賃金、労働条件の改善に結びつくものであり、さらには、公契約法・条例の制定へ向けての根拠を与えるものであり、私たちは、国土交通省や自治体に対して、公契約法、公契約条例の制定に踏み込むことを、求めています。
 
 
◎ ――― 公契約条例 地域労働協約 拡張適用 ―――
1 公契約条例と地域労働協約
 公契約条例は、公共工事での賃金について、地域労働協約が定める賃金を下回ることができないことを定めます。ですから、公契約条例が成立すれば、公共工事での賃金は地域労働協約が定める賃金を下回ることができなくなり、地域労働協約が定める賃金によって公共工事の賃金は規定されるようになります。
 成立した公契約条例をまともに機能させるためには、地域労働協約を成立させ、地域労働協約で適正な賃金を定め、保障することが欠かせないわけです。
2 地域労働協約の拡張適用 
厚生労働省所管の独立行政法人である労働政策研究・研修機構は、(地域労働協約の拡張適用を含む)労働協約の一般的拘束力について、下記のように記述しています。
 団体交渉についてアメリカのような排他的交渉代表制(一定の交渉単位で過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが交渉単位の労働者のための排他的な交渉権を取得する手続)をとっていない複数組合代表制をとるわが国では、労働協約は本来、締結労働組合の組合員に対してのみ効力を生じ、それら組合員以外の労働者には、効力を生じません。しかし、労組法(労働組合法)はこの原則に対して例外を設け、一定の場合、一定の条件のもとでは、労働協約を締結労働組合の組合員以外のもの(これをアウトサイダ―といいます)にも適用させるようにしています。このように労働協約を拡張して適用する効力を一般的拘束力といい、それには、@事業場単位の一般的拘束力(労組法17条)と、A地域的一般的拘束力(労組法18条)の二つの種類があります。
3 労働組合法17条、18条
労働組合法第17条(一般的拘束力) 一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。
労働組合法第18条(地域的の一般的拘束力) 一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立てに基づき、労働委員会の決議により、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第2項の規定により修正があったものを含む。)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。
2 労働委員会は、前項の決議をする場合において、当該労働協約に不適当な部分があると認めたときは、これを修正することができる。
3 第1項の決定は、公告によってする。
4 第1項の申立てに係る労働協約が最低賃金法第11条に規定する労働協約に該当するものであると認めるときは、厚生労働大臣又は都道府県知事は、同項の決定をするについては、賃金に関する部分に関し、あらかじめ、中央最低賃金審議会又は都道府県労働局長の意見を聴かなければならない。この場合において、都道府県労働局長が意見を提出するについては、あらかじめ、地方最低賃金審議会の意見を聴かなければならない。
最低賃金法第11条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域内の事業場で使用される同種の労働者及びこれを使用する使用者の大部分が賃金の最低額に関する定めを含む一の労働協約の適用を受ける場合又は賃金の最低額について実質的に内容を同じくする定めを含む2以上の労働協約のいずれかの適用を受ける場合において、当該労働協約の当事者で、ある労働組合又は使用者(使用者の団体を含む。)の全部の合意による申請があったときは、これらの賃金の最低額に関する定めに基づき、その一定の地域内の事業場で使用される同種の労働者及びこれを使用する使用者の全部に適用する最低賃金の決定をすることができる。
4 地域の多数派に
 地域労働協約の拡張適用を考慮した場合、建設労組の組織化をさらに進め、地域での多数派になることが決定的に大事ですし、それが公契約条例を成立させ、また成立した公契約条例がまともに機能することを保障します。
 
 
◎ ─── 公契約条例  「民民」の壁を超えるには ───
1 「公契約条例と民民の壁」のメール
 最近、「公契約条例と民民の壁」の関係で、白滝誠さんから以下のようなメールをいただきました。
 公契約条例の検討を行政等に求めていくときに決まって出されるのは「民民契約」だから元請から下には手を出せない云々という回答が壁になっています。      
そこでかなり屁理屈ですが、次のようなことは考えられませんか。
建設業法23条に「注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、その変更を請求することができる」とあります。
拡大解釈すれば下請が不適当かどうか発注者は常に監視し、そう認めれば、下請変更という形で元請を指導し、適当な業者に変えられることになり、関与できることになるのではと思います。 何をもって「不適当」とするのか、その基準と細目は各自治体の指導要綱などに「賃金ほか労働条件」の項目を入れ、活用すれば事実上民民論を打破できないでしょうか?
2 検討 
 上記メールの民民論打破の方向は、言われてみると確かにそうかもしれないと、私も感じました。
(下請負人の変更請求)
建設業法第23条 注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、その変更を請求することができる。ただし、あらかじめ注文者の書面による承諾を得て選定した下請負人については、この限りでない。
2 注文者は、前項ただし書の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項ただし書の規定により下請負人を選定する者の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより、同項ただし書の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
 国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)の建設業法23条についての逐条解説部分には、次のように書かれています。
 本条は、建設工事の施工に当たっている下請負人が、注文者の期待に反して、建設工事を的確に施工していない場合、あるいはその円滑な施工を妨げている場合等には、注文者は、請負人に対して、その下請負人の変更を求めることができることを明らかにしたものである。それは、請負人は、通常当該建設工事の完成の義務を負うだけであり、どのような下請負人を使おうとも原則として自由なはずであるが、右のような下請負人がいる場合には、注文者は安心して工事の施工を請負人に任せておくことができず、注文者と請負人の信頼関係の上に成り立つ建設工事の請負契約の履行そのものが危ぶまれるからである。
1 第1項の規定により、下請負人の変更を請求することができるのは、その下請負人が、「建設工事の施工につき著しく不適当と認められる」場合に限られる。したがって、「建設工事の施工」に直接関係のない事柄、たとえば下請負人の品行がよくないというようなことは、本条の直接問題とするところではない(ただし、そのために工事の施工そのものが不可能となるような場合には、本条に該当するものと考えられよう)。また、建設工事の施工に関係のある事柄(建設工事を的確に施工しうる技術、技能又は能力の有無等)であっても、そのことについて「著しく不適当と認められる」者でなければ、変更を求めることはできない。「著しく不適当と認められる」ためには、客観的妥当性が必要であり、注文者が主観的あるいは恣意的判断により、変更を請求しても、客観的に証明されない限り請負人はそれに応ずる義務がないことは当然である。
2 下請負人の「変更」の請求とは、要するに下請負人の交代の請求のことであり、単に著しく不適当と認められる行為に対する是正の要求に止まるものではない。これは、下請負人は、工事の施工に実質的に携わるものであり、下請負人に対する全人格的信頼のない限り、注文者は工事の的確な施工そのものについて確信を持つことができないこととなるからである。
3 本条ただし書の規定は、下請負人の選定について、注文者が、あらかじめ書面により承諾している場合には、その変更を請求することができない旨を規定したものである。これは、注文者が自己の責任において、その下請負人を容認したものであるから当然のことである。
4 注文者の下請負人の変更の請求が正当な理由に基づくものであるのに、請負人がその変更の請求に応じない場合には、指示等の監督処分の対象になると解されよう。
3 対応
 建設業法23条は、言われているように、注文者は下請の変更を請求できることを定めているわけですから、「民民契約」だから元請から下には手を出せない云々という行政等の回答は、成立しません。 
また、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議」(参議院国土・環境委員会 2000年11月16日)は、その6項で「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」と定め、建設労働者の賃金、労働条件の適切な確保への公共工事発注者の責任を明らかにしています。
 同附帯決議はその7項で「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」と定め、まさに元請から下に手を出すことを、公共工事発注者に求めています。
 さらに同附帯決議はその8項で「いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せにつながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること」と定め、ダンピング受注の排除を公共工事発注者に求めています。建設労働者の賃金、労働条件の適切な確保がダンピング受注を阻む土台となるものですから、この意味でも公共工事発注者には、建設労働者の賃金、労働条件の適切な確保が求められています。
「民民契約だから、元請から下には手を出せない」は成立しません。
 
 
◎ 2007/7/18策定「国分寺市の調達に関する基本指針」全文
(以下に紹介するのは、2007/7/18策定「国分寺市の調達に関する基本指針」の全文です。「低価格の入札」の予防・排除、「適正な労働条件及び賃金水準を確保するよう努める」、元下関係の適正化、「障害者・高齢者」に対する雇用促進、等々、大きな前進面を含んでいますが、他方、「施策化の局面では、競争入札にふさわしい案件に対し落札率の低減化を促進」という表現も存在します。「市民協働」に配慮したものと思われます――海野)
国分寺市の調達に関する基本指針
平成19年7月18日策定
第1 制定の趣旨
 市は、市政を推進するために、さまざまな「もの・人・サービス」を契約により広く外部から調達しているが、それらは、市政の質に深くかかわるものである。そこで、市は、市政目標の実現に寄与すべき調達の基本的なあり方を明確化するため、「国分寺市の調達に関する基本指針(以下「基本指針」という。)」を定めるものとする。
第2 基本理念
 市は、より良い地域社会の実現に向けて、不断に市政推進に取り組む必要がある。そして、それらの事業遂行に伴う様々な調達手続き(発注から履行完了時の検査及び検証・評価までを含む。以下同じ。)は、事業実現を担保するとともに、地域社会をも向上させる機能と役割が求められる。
 そこで市は、様々な調達手続きにおいて、公正性、透明性及び競争性を発揮するとともに、地域社会や地域経済の向上に寄与する機能と役割を発揮することをこの基本指針の柱に定め、これを基本理念と位置づけるものとする。
第3 市の責務
 市は、市政執行に伴う調達手続きのあらゆる場面において、常にこの基本指針の具現化に努めるものとする。そのために市は、事業を実施するすべての部門において、調達に先立つ予算編成はもとより、施策の構想又は立案段階から常にこの基本指針を踏まえ、市政推進に努めるものとする。
第4 市の調達にかかわる者の責務
 市の事業を受注等する者又は受注等しようとする者(以下「市の調達にかかわる者」という。)は、市政を実現する事業の履行者又は履行予定者として社会的責任を負う立場にあることを重く受け止め、その調達手続きにおいて、常にこの基本指針の実現に寄与するよう努めるものとする。
第5 基本目標
 この基本指針に掲げる基本理念を具現化するため、以下のようにその基本的な目標を明確化し区分する。
 1 公平で公正な入札・契約制度の確立
 市は、調達手続きの秩序を適正化し、公平で公正な入札・契約制度の確立に努めるものとする。
 即ち、法令や社会水準に適合する適正な履行体制が確立されるための環境を整備するとともに、不信用・不誠実な者、低価格の入札、不適正な積算及び談合行為など、調達手続きの秩序を低下させ混乱させるさまざまな事象を予防・排除し、あわせて、それらが生じた場合の対応策を明確化するよう努めるものとする。
 また市は、調達の手続きや手順に関する取り決めを明確化して調達環境の客観化を図るものとする。
 2 品質を確保することができる入札・契約制度の確立
 市は、調達において、最良の品質が最適な価格水準によって確保されるよう、手続きの適正化に努めるものとする。
 また市は、調達しようとするものに品質等の基準や規格等が社会的に定められている場合、それらの適用を図るものとする。
 3 市の経済の活性化を図る入札・契約制度の確立
 市は、地域の経済振興に寄与すべき調達手続きを具現化し、それを推進するものとする。
 また市は、市民協働による市政促進が発揮されるべき調達手続きの具現化を目指すものとする。
第6 個別目標
 基本目標を施策として展開するため、市の調達が役割を担うべき目標を以下のように整理し、個別目標として定める。
 1 「公平で公正な入札・契約制度の確立」へ向けた個別目標
 (1)社会的に適正な雇用水準の向上
 市は、調達する事業において、適正な労働条件や賃金水準が確保される必要があるため、それらの実施状況を把握できる環境の整備を図るものとする。
 また、市の調達にかかわる者は、常に労働関係法令を遵守することはもとより適正な労働条件及び賃金水準を確保するよう努めるものとする。
 (2)元請と下請等における関係の適正化
 市は、市の調達にかかわる者における施工体制や請負体制を適確に把握するものとする。
 また、市の調達にかかわる者は、適正な履行体制を図るため、元請と下請等との間における手続きの適正化及び明確化に努めるものとする。
 (3)価格入札における秩序の適正化
 市は、市へ損害を与えるような不当な入札価格及び行為等を調査・排除等する監視制度や仕組みを確立することにより、品質にふさわしい価格による調達手続きが達成されるよう秩序の適正化を確立するものとする。
 また、市の調達にかかわる者は、関係法令を遵守することはもとより、積算の内容等を明確な根拠に基づき説明する責任を負うものとする。
 施策化の局面では、競争入札にふさわしい案件に対し落札率の低減化を促進して調達価格の適正化を図るものとする。
 (4)社会的に公平な雇用の促進
 市の調達にかかわる者は、障害者・高齢者などの就労困難者に対する雇用促進に努めるとともに、子育てを支援し男女平等を推進することにより公平な労働環境の向上を推進するものとする。 
 2 「品質を確保することができる入札・契約制度の確立」へ向けた個別目標
 (1)価格以外の評価による調達方式の推進
 市は、調達手続きのうち、価格による手続きがなじまないことが認められるものに対し、総合評価方式やプロポーザル方式など価格以外で評価・判断する調達手続きを整備するものとする。またそのために市は、係る調達手続きの対象とすべき事業と手続き方法等を明確化するものとする。
 (2)調達成績が検証・評価される仕組みの推進
 市は、調達するものに対する安全性と信頼性を確保するため、履行中の事業の工程を進行管理等する手順や完了時の検査を客観的に評定する基準を整備してマニュアル化するとともに、専門的判断力を有する者の判定による適確な検証手続きを確立するものとする。
 また市は、それらの検証結果を調達手続きへ適切に反映する仕組みを整備するとともに、市の調達にかかわる者の実績を適正に評価する環境を整備するものとする。
 (3)地球環境へ配慮した調達の推進
 市及び市の調達にかかわる者は、地球的規模で取り組む必要のある環境配慮対策を、調達手続きにおいて具現化するよう努めるものとする。また、そのために市は、調達に先立つ事業立案及び予算編成段階から、市が定める環境配慮に関するルールを念頭に置いた施策の推進に努めるものとする。
 (4)客観的な調達手続きの促進
 市は、調達に係る事務手続きについて、その根拠や考え方を明確に説明できる環境を確立するために、判断基準や事務マニュアルを整備して事務手続きの客観性、均一性及び透明性を図るものとする。
 3 「市の経済の活性化を図る入札・契約制度の確立」へ向けた個別目標
 (1)地域社会向上へ寄与する調達の推進
 市は、調達手続きにおいて、国分寺市の経済の活性化を図るため、市内事業者を対象に調達実績や市政への貢献活動等を評価に加味する仕組みの検討及び導入に努めるものとする。
 (2)市民協働事業を活発化する調達の推進
 市は、調達手続きにおいて、市民協働が促進されるために必要な仕組みや環境の整備に努めるものとする。
第7 推進計画
 市は、この基本指針に示した目標の具現化を推進するための計画(以下「推進計画」という。)を作成するものとする。なお推進計画は、そこに掲げられる事業が緊急性又は政策順位等を踏まえて展開される必要があるため、この基本指針とは別に定めるものとする。
 
 
◎ 2005/6/8第75回全国市長会議決定「公共事業に関する要望」全文
(以下は、2005/6/8第75回全国市長会議決定「公共事業に関する要望」の全文です。国への要望事項として、その中に「公共工事における建設労働者の適正な労働条件を確保するため、関係法令の整備等を図ること」があり、今後もこれに注目し、公契約法・条例の制定の運動また公共工事での倒産・不払い問題への対応等に生かしていくべきものだと思います――海野)
平成17年6月8日
決議要望事項
全国市長会
公共事業に関する要望
 公共事業を円滑に推進するため、国は、次の事項について積極的な措置を講じられたい。
1 公共事業用地及び代替地取得を円滑に推進するため、譲渡所得に対する特別控除額の引上げ等、税制上の優遇措置を拡大すること。
 また、公共用地取得が2ヵ年以上にわたって行われる場合の譲渡所得の特別控除の通算適用を図ること。
2 市町村等の公共事業用地先行取得に係る農地取得制限の緩和を図ること。
3 土地開発公社が保有する先買い用地のうち、当初の目的に供することができなくなった土地については、民間に売却できるよう制度の改善を図ること。
4 国等が施工する建設事業にかかる負担金について、関係法令の見直し等を行い、市負担の廃止もしくは軽減を図ること。
5 公共工事における建設労働者の適正な労働条件を確保するため、関係法令の整備等を図ること。
 また、コスト縮減と品質確保の両立を図るため、公共事業に相応しい調達方法の確立や技術者のいない発注者の支援について必要な措置を講じること。
 以上要望する。
 
 
◎ 上尾市に公契約条例制定への大きな取り組みの検討を求める上尾市議会決議
(以下に紹介するのは、上尾市に公契約条例制定への大きな取り組みの検討を求める上尾市議会決議の全文です)
議第27号議案
市発注の公共工事等における労働者の適正な賃金・労働条件の確保を求める決議
 この5年間で建設就業者は全国で91万3千人、埼玉県内でも3万人減少していることが2005年国勢調査で明らかになった。これは「いざなぎ景気」を超えたと言われつつも不況による民間工事の減少と公共工事削減政策が大きく影響しているものと思われ、建設投資の落ち込みは、過度のダンピング競争により建築物の品質を保つことが困難な状況に陥っている。
 また、埼玉県内の建設労働者を対象とした賃金実態調査では、全職種の平均賃金は14,466円と昨年より下落、5人に1人は1日1万円〜1万2千円台と景気回復とは遠い実態が明らかになった。
 建設産業で働く労働者の賃金・単価の現状は、元請によるダンピング受注や指値発注により下請け業者の経営が圧迫され、末端で働く者が生計を立てられないなど事態は深刻化している。このような状況が続けば、若年技能士の確保も危うく建設業全体の疲弊が危惧されることから、建設業界の健全な発展のためには適正なルール(環境への配慮・障害者や高齢者の雇用等の福祉・男女共同参画の推進・公正労働基準の充足等、社会的価値の実現を総合的に判断する政策入札の導入など)に基づいた受注競争が行える環境づくりが不可欠である。
 よって市は、市発注の工事について、最低でも、公共工事設計労務単価を元に積算された労務経費が当該工事に従事する下請事業所の労働者等に賃金として確保されるような条例や基本指針の策定など入札・契約制度について従来にない大きな取り組みを検討するよう求めるものである。
 平成19年9月21日
                        上尾市議会
 平成19年9月21日
    提出者  上尾市議会議員 児玉 晋
    賛成者  上尾市議会議員 糟谷珠紀
    賛成者  上尾市議会議員 遠藤朝子
議決第111号
平成19年9月21日  原案可決
上尾市議会議長  永吉 勇
 
 
◎ 公契約法・公契約条例の構造の中に企業の適正な利益の確保を組み込むこと
 建設労働組合は、国や自治体の発注工事(公共工事)での建設労働者の公正な賃金の確保のため、国での公契約法(公共工事での適正な賃金の確保法)、自治体での公契約条例(公共工事での適正な賃金の確保条例)の制定に向け、運動をおこなっています。
 民間工事だけでなく公共工事でも、建設現場の重層下請構造の中で、建設労働者に支払われる賃金が、1次、2次、3次……と先に行けば行くほど減額され、実際に施工に従事している下請労働者に支払われる賃金額は低くなっています。そして今、国土交通省もサブコン団体も、重層化はますます深まっていると言っています
 公共の福祉と公共の財産の整備等を目的としておこなわれる公共工事での、施工に従事する労働者の低賃金は、許されるものではなく、発注者の国や自治体と元請との間の契約で決められた賃金が、下請労働者に、減額されることなく支払われるべきです。そして、建設労働者の賃金が安定することは、元請を含めて企業の受注価格の安定になり、経営の安定に資するものです。
 なお、付け加えれば、公契約条例・公契約法の制定が企業活動の安定につながるよう、企業の適正な経費、適正な利益の確保を、公契約条例・公契約法の制定の前提として考え、公契約条例・公契約法の構造の中に企業の適正な経費、適正な利益の確保を組み込むことが必要だと考えます。
 すでに1949年6月にILO(国際労働機関)で「公契約での労働条項にかんする条約」(ILO94号条約)が採択され、ILO加盟国174か国中59か国が批准しています。この「公契約での労働条項にかんする条約」は、「公の機関による工事で、下請業者を含め、関係労働者に、賃金・労働時間その他の労働条件を確保し、すべての関係者に知らせる」というものです。日本はまだ、この条約を批准していません。
 日本も、早急に同条約を批准し、公契約法、公契約条例を制定することが求められています。
 イギリスでは1891年の「公正賃金決定」、フランスで1899年に「ミルラン命令」(公契約規制令)、アメリカの1931年の「ディヴィス・ベーコン法」と先進資本主義諸国では、公契約法が制定されています。
 建設産業での賃金が、冷酷な市場原理に左右され、社会保障の視点から規制されないのであれば、全産業の1割を占め、産業として重要な一翼をになう建設労働者の生活がおびやかされたままであり、後継者も育たず、将来にわたって禍根を残すことになります。
 建設産業が発展していく上で、公契約法・公契約条例の制定は不可欠です。
 
 
更新日時:
2008/07/25
―――――――   「労働者性」関連(4)   ―――――――
―――――――   「労働者性」関連(4)   ―――――――
海野和夫
 
◎ ――― 埼玉労働局の文書からの抜粋  労働者性関連 ―――
 以下は、アスベスト関連での「労働者性」の認定及び判断での基準を示した埼玉労働局の2007年7月9日付けの文書からの抜粋です。
別紙
第7 事実の認定及び判断
1 判断の要件
 労災保険法上、休業補償給付の対象となるか否かは、労働基準法第9条にいう労働者に当たるか否かにより決められるべきものである。
 さらに、労災保険法上の補償を受けることができる者は、労働者として粉じん作業に従事した期間が事業主等として粉じん作業に従事した期間より明らかに長いと認められることが必要である。
(1)労働者と認められるための要件
ア 労働基準法第9条によれば「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業または事務所(以下「事業」という。)に使用されるもので、賃金を支払われる者をいう。」と定義されている。
イ 労働基準法第11条においては「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されている。
ウ 建設事業などにおいては、一人または数人単位の下請業者が特定企業と専属下請関係をもって実際上は、その従業員と同様の役割を演ずることがあり、その「労働者性」が問題となる。これについては、当該企業と下請業者との間の専属下請としての継続的支配が存在していても、当該業者に零細なりとはいえ自己の計算において事業を営む者としての要素(機械・器具・経費の負担、剰余金の取得、危険や責任の引受、他人の雇用など。このような場合は、報酬も相応の額や定め方となり、また納税上も事業所得としての自己申告がなされる)が、存在すれば、労働者とは認められないものである。
 これに対して、そのような要素がほとんど存在せず、他に使用されて労働の対価を得ているにすぎないと認められれば、労働者といえることとなる。
(2)労働者性が認められない期間を含む場合の取扱い
 「昭和61年2月3日付け基発第51号粉じんばく露歴に労働者性を認められない期間を含む者に発生したじん肺症等の取扱いについて」によれば、次のとおりである。
ア 対象者
 本通達による取扱いの対象者は、じん肺症又は合併症にり患したと認められる者であって次の(ア)及び(イ)の期間をいずれも有するものとする。
(ア)労働基準法第9条に規定する労働者又は労災保険法第27条に規定する特別加入者(以下「労働者等」という。)として粉じん作業に従事した期間
(イ)上記(ア)の労働者等以外の者(以下「事業主等」という。)として粉じん作業に従事した期間
イ 業務起因性の判断
(ア)労働者等として従事した粉じん作業と事業主等として従事した粉じん作業とを比較検討し、次のAからCまでに掲げる事項のいずれにも該当する場合には、業務起因性があるものとして取扱う。
A 粉じんの種類に明らかな差異が認められないこと。
B 粉じんの濃度に明らかな差異が認められないこと。
C 労働者等としての粉じん作業従事期間が事業主等としての粉じん作業従事期間より明らかに長いと認められること。
(イ)労働者等としての粉じん作業従事期間が事業主等としての粉じん作業従事期間より明らかに長いと認められる場合とは、「昭和61年2月3日付け事務連絡第73号粉じんばく露歴に労働者性の認められない期間を含む者に発生したじん肺症等の取扱いに関する留意事項等について」によれば、3年以上の差を有する場合をいう。
 
 
◎ 『労働者概念を巡る日本法の沿革と立法課題』(古川景一弁護士)を読んで
 季刊労働法219号(2007年冬季)掲載の『労働者概念を巡る日本法の沿革と立法課題』(古川景一弁護士)を読ませていただきました。
1 戦前の労働法制と現行の労働法制との比較
 「1945年8月以前に施行されていた労働法制と現行の労働法制との異同を比較検討することは、労働法学上の検討手法の一つとして新たな分析視覚を提供するものである」(古川景一弁護士)として、古川景一弁護士はこの「検討手法」を、労働者概念を巡る問題の解明に適用します。
 上記手法を駆使して古川弁護士は、一言で言うと、次の点を明らかにしました。
 戦前の労働法制は、労働者概念の中に「指揮監督(命令)、使用従属関係、人的従属性」は含めておらず、経済的従属性を有する者を広く労働者として認めていた。戦後の労働法制が、労働者概念の中に、「指揮監督(命令)、使用従属関係、人的従属性」を導入した。
 
2 労働者概念での立法課題
 戦前の労働法制と現行の労働法制との比較検討を通じて、それを踏まえて古川弁護士は、労働者概念での立法課題を次のように提起します。
 労働基準法上の「労働者」については、(労働者概念から「指揮監督(命令)、使用従属関係、人的従属性」を排除し)「労務を提供しその対価としての報酬を受け取る者であって、独立事業主である者を除く」ことが明確にされるべきである。
 労災保険法上の「労働者」については、(労働者概念から「指揮監督(命令)、使用従属関係、人的従属性」を排除し)「労務を提供しその対価としての報酬を受け取る者であって、独立事業主である者を除く」と解すべきであり、これを明文化すべきである。
 労災保険について、雇用保険、厚生年金保険、健康保険と同様に、災害発生前に被保険者資格の有無を確認できる制度にする必要がある。その際、「労務を提供しその対価たる報酬を受け取る者であって独立事業主以外の全ての者」を被保険者とする。
3 検討
 古川弁護士が提示する理論構造について、そのとおりだと思うのですが、2点、私の理解が及ばない点を以下に記述します。
 @ 労働者概念として、「労務を提供しその対価としての報酬を受け取る者」にプラスして「独立事業主である者を除く」をあえて組み込む理由が、わかりません。独立事業主だとして「労働者」から排除される可能性をあえて残すものであり、独立事業主概念を巡る争いを発生させるような気がします。 
 A 労災保険に被保険者資格を導入することで、最初から適用対象が被保険者に限定され、「被保険者」以外の人たちを「救済」する道が、最初から閉ざされることになるのではないでしょうか?
 
 
◎ 労基研報告の労働者性「強める要素」「弱める要素」「その他」への分解
(1996年3月「労働基準法研究会労働契約等法制部会労働者性検討専門部会報告」(略称・労基研報告)について、「労働者性を強める要素」と「労働者性を弱める要素」に分解して、わかりやすくしてほしい、手間請就労者、一人親方等が自分は「労働者性を強める要素」と「労働者性を弱める要素」をどの程度、どのように持っているのか、すぐわかるようにしてほしい、との要望がありましたので、以下に1996年3月労基研報告を「考え方」、「労働者性を強める要素」、「労働者性を弱める要素」、「どちらとも言えない要素」の四つに分解して、示しておきました。多分単純明快になり過ぎて、労基研報告の構造を単純化し過ぎていると思いますが、だいたいの目安と考えていただければいいのかなと思います──海野)
(以下は、1996年3月労基研報告を「考え方」、「労働者性を強める要素」、「労働者性を弱める要素」、「どちらとも言えない要素」の四つに分解したものです)
1 「考え方」
○ 建設業での「手間請」について「工事の種類、坪単価、工事面積等により総労働量及び総報酬の予定額が決められ、労務提供者に対して、労務提供の対価として、労務提供の実績に応じた割合で報酬を支払うという、建設業での労務提供方式」と定義。
○ 手間賃(日当)による日給月給制の場合は、労働者性の問題が生じるところではなく、一般に労働者と解することができる。
○ 呼び名ではなく、実際の役割に留意する必要がある。
○ 指揮監督下の労働かどうかが問題。
○ 「拘束性の有無」が問題。
○ 「代替性の有無」が問題。
○ 「報酬の額」が問題。
○ 発注書、仕様書等の交付という事実だけから判断するのではなく、これらの書面の内容が事業者性を推認するに足りるものであるか否かを検討する必要がある。
○ ある者が手間請の他に事業主としての請負業務を他の日に行っていることは、手間請を行っている日の労働者性の判断に何ら影響を及ぼすものではないため、手間請を行っている日の労働者性の判断は、これとは独立に行うべきものである。
○ 諸条件、諸事情を実態に即して総合的に考慮、判断して、労働者性の有無を明らかにする。
2 「労働者性を強める要素」
○ (グループによる手間請の場合)グループの世話役が、労働者のグループの単なる代表者である。
○ 指揮監督下の労働。
○ 指示書等により作業の具体的内容・方法等が指示されており、業務の遂行が「使用者」の具体的な指揮命令を受けて行われている。
○ 「使用者」の命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがある。
○ 勤務時間が指定され、管理されている。
○ 報酬が、時間給、日給、月給等時間を単位として計算されている。
○ 特定の企業の仕事のみを長期にわたって継続して請けている。
3 「労働者性を弱める要素」
○ (グループによる手間請の場合)グループの世話役が、グループの構成員を使用する者である。
○ 具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対して諾否の自由がある。
○ 労務提供の量及び配分を自ら決定でき、契約に定められた量の労務を提供すれば、契約で予定された工期の終了前でも契約が履行されたことになり、他の仕事に従事できる。
○ 本人に代わって他の者が労務を提供することが認められている。
○ 本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められている。
○ 報酬が、同種の業務に従事する正規従業員に比して著しく高額である。
○ 当該手間請従事者が、@材料の刻みミスによる損失、組立時の失敗などによる損害、A建物等目的物の不可抗力による滅失、毀損等に伴う損害、B施工の遅延による損害について責任を負う。
○ 手間請従事者が業務を行うについて第三者に損害を与えた場合に、当該手間請従事者が専ら責任を負う。
○ 発注書、仕様書等の交付により契約を行っている。
4 「どちらとも言えない要素」
○ 報酬が、1uを単位とするなど出来高で計算されている。
○ 報酬の支払に当たって手間請従事者から請求書を提出させている。
○ 電動の手持ち工具程度の器具を所有している。
○ 釘材等の軽微な材料費を負担している。
○ 月給等でみた報酬の額が高額である場合であっても、それが長時間労働している結果であり、単位時間当たりの報酬の額を見ると同種の業務に従事する正規従業員に比して著しく高額とはいえない。
○ 専属性がない。
○ 税務上有利であったり、会計上の処理の必要性等から発注書、仕様書等の交付を行っている。
 
 
◎ 「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃金支払確保法)の効用と限界
1 はじめに
 「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃金支払確保法)について質問が寄せられました。
 元請A社、1次B社、2次C社の重層下請構造の中で、B社が破産し、C社が工事代金の不払い被害を受けました。
 当然C社は、元請のA社に対して、建設業法41条3項に基づく立替払でのC社救済を要請し、交渉中です。
 C社の関係者から寄せられた質問は、B社が破産したために不払被害を受けたのだから、C社の労働者に賃金支払確保法は適用にならないのだろうか、というものです。以下に、お答えします。
2 「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃金支払確保法)
 まず以下に、「賃金の支払の確保等に関する法律」の抜粋を載せておきます。
賃金の支払の確保等に関する法律
(目的)
第1条 この法律は、景気の変動、産業構造の変化その他の事情により企業経営が安定を欠くに至った場合及び労働者が事業を退職する場合における賃金の支払等の適正化を図るため、貯蓄金の保全措置及び事業活動に著しい支障を生じたことにより賃金の支払を受けることが困難となった労働者に対する保護措置その他賃金の支払の確保に関する措置を講じ、もって労働者の生活の安定に資することを目的とする。
(定義)
第2条の1 この法律において「賃金」とは、労働基準法第11条に規定する賃金をいう。
第2条の2 この法律において「労働者」とは、労働基準法第9条に規定する労働者をいう。
(途中、省略)
(未払賃金の立替払)
第7条 政府は、労働者災害補償保険の適用事業に該当する事業の事業主が破産の宣告を受け、その他政令で定める事由に該当することとなった場合において、当該事業に従事する労働者で政令で定める期間内に当該事業を退職したものに係る未払賃金があるときは、民法474条第1項ただし書及び第2項の規定にかかわらず、当該労働者の請求に基づき、当該未払賃金に係る債務のうち政令で定める範囲内のものを当該事業主に代わって弁済するものとする。
(返還等)
第8条の1 偽りその他不正の行為により前条の規定による未払賃金に係る債務の弁済を受けた者がある場合には、政府は、その者に対し、弁済を受けた金額の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、当該偽りその他不正の行為により弁済を受けた金額に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
第8条の2 前項の場合において、事業主が偽りの報告又は証明をしたため当該未払賃金に係る債務が弁済されたものであるときは、政府は、その事業主に対し、当該未払賃金に係る債務の弁済を受けた者と連帯して、同項の規定による返還又は納付を命ぜられた金額の納付を命ずることができる。
(以下、省略)
3 賃金支払確保法の効用、限界、問題点
 @ 賃金支払確保法が適用されるのは、企業が倒産した場合に限られます。倒産というのは、破産、民事再生、会社更生、事実上の倒産などです。倒産ではなく、倒産には至らないが経営不振等で賃金不払を起こしている場合などには、賃金支払確保法は適用されません。法整備を含めて改善が求められるところです。
 A 適用になるのは中小企業の倒産に限られます。
 B 適用になるのは、倒産した企業に直接働いていた労働者に限られます。前述の質問の「B社が破産したために不払被害を受けたのだから、C社の労働者に賃金支払確保法は適用にならないのだろうか」についてお答えすると、適用になるのはB社に直接働いていた労働者に限られ、B社の下請のC社の労働者には適用になりません。建設産業の重層下請構造等を考えると、法整備を含めて改善が求められるところです。
 C 「労働者性」が問題になります。適用になるのは労働基準法上の労働者に限られ、労働者と認められなければ、適用を受けられず、泣き寝入りを余儀なくされます。建設労組は、労働者性の拡大、確立のたたかいに取り組み、労働者として認めさせる運動を繰り広げ、一定の成果をあげています。
 建設現場で報酬を得るために働いていれば、みんな労働者だと、法整備を含めて賃金支払確保法による救済範囲を全面的に拡張、拡大することが求められています。
 
 
◎ 倒産事件での「労働者性」の到達 労働債権に準じた対応
1 「泣き寝入り」をしないために
 建設現場の状況は、正規の社員、正規の労働者ではないが、実態として正規労働者と同様の形態、なかみで、少なくともそれに準ずる形態、なかみで労働に従事している従事者が多数、存在しています。
 名目は、「施工員」、「一人親方」、「個人事業主」、「(法形式上は)法人事業主」など様々ですが、実態から見れば、正規労働者と同様の形態、なかみで、少なくともそれに準ずる形態、なかみで、労働に従事している従事者が多数、存在しています。
 言い換えると、「正規労働者に準ずる労働者」と言うべき人たちです。
 このような建設現場従事者には当然、労働者に準じて、労災保険の適用での保護、労働債権としての保護等の労働者保護法の適用での保護が与えられるべきです。
 「泣き寝入り」を余儀なくされるような状況の発生を許してはなりません。
2 最近の事例
 最近の事例で、私達の関心を惹く事例が生まれています。
 ある倒産事件で、正規の社員、正規の労働者の賃金については、当然のことですが、労働債権として認めました。そして、それと同時に、正規労働者に準ずる形態、なかみで労働に従事している従事者について、その債権を、言い換えると名目上「工事代金」を、準労働債権として認め、労働債権に準ずる保護を行ないました。
 準労働債権、言い換えると労働債権に準ずる債権の存在を認め、労働債権に準ずる保護を行なうという対応を示したわけです。
注目すべき構想です。
 くわしくは、時機を見て、明らかにしたいと思います。
 
 
◎ ホステスの労働者性を認めた大阪地裁判決が存在していました
 以下の八木裕之氏のサイトを参考にさせていただきました。
http://blog.goo.ne.jp/titmouse_1962/m/200602
1 背景
 資本主義が成熟すればするほど、全産業の中に占める「サービス産業」の割合は増大していく、と言われています。従って、サービス産業に従事する労働者の比率も増大していきます。
 事実、日本資本主義の現実を見ると、街を歩くと、多数の、無数のと言っていいくらいのサービス産業、企業、店が存在しています。絶えず大量の生産、廃業、再生産の流れの中にあります。
 接客業で働いている人たちも当然、労働者として認めて、法の保護の下に置くべきです。
 問題意識として浮かんできたのが、接客業の一つと思われるいわゆる「ホステス」の労働者性は? ということです。
 八木裕之氏は書いています。「(高級クラブ等で)提供されているのは、『お酒』や『お色気』だけではなく、『社交の場としての空間』と『ホスピタリティ(歓待)』である」、「そこで働くとなると……社会や経済の情勢に通じていなければならず、並みのサラリーマン以上の勉強が必要だという」
 八木裕之氏はまた、衣装や美容院代、お客さんへのプレゼントなどで多額の出費を強いられること、売上に比例して報酬を得られるシステムであることを指摘しています。
2 大阪地裁判決
 「ホステスとクラブとの契約は、クラブでホステスとして接客サービスという労務を提供し、クラブ経営者が賃金を支払うという雇用契約であり、労働基準法の適用がある」(クラブ「イシカワ」入店契約事件 大阪地裁判決 2005年8月26日)
 クラブホステスの労働者性を認め、クラブ側の「サービス業務委託契約」であるという主張をしりぞけた判決です。
 労働者性を認める根拠としては、タイムカードによる管理がおこなわれ、拘束性があり、使用従属関係が認められること、クラブが負担する店舗等にかかる費用全般を考えると、ホステスの負担する衣装代が高額としても、なおホステスに事業者性を認めることはできないなどを指摘している、とのことです。 
 
 
◎ バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について(全文)
バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について
(「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について」の東京労働局長と厚生労働省労働基準局長の見解の全文を入手しましたので、以下に紹介しておきます。建設労働運動での「労働者性」の確立、拡大にも好影響を与えるものです──海野)
(東京労働局長の見解)
東労基発第257号 
平成19年9月6日
厚生労働省労働基準局長 殿
東京労働局長
(公印省略)
バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について(りん伺)
 当局管内においては、特定信書便事業又は貨物軽自動車運送事業(以下「特定信書便事業等」という。)を行なう事業場において、自転車又は自動二輪車を使用し、信書の送達又は貨物の輸送を行なっているが、当該事業場には自転車を使用して業務を行なういわゆるバイシクルメッセンジャー又は自動二輪車を使用して業務を行なういわゆるバイクライダー(以下「バイシクルメッセンジャー等」という。)が多数従事しているところである。
 これらバイシクルメッセンジャー等は、特定信書便事業等の事業を行なう者(以下「バイク便事業者」という。)と「運送請負契約」と称する契約を締結し、業務に従事しているものであるが、当局において、これらバイシクルメッセンジャー等の就労の実態をあるバイク便事業者について調査した結果、下記1のとおりであることが判明したところである。
 ついては、これらバイシクルメッセンジャー等の労働者性について、下記2のとおり解してよろしいか、お伺いする。
1 当局の調査結果
(1)契約関係
 バイシクルメッセンジャー等は、バイク便事業者と「運送請負契約」と称する契約を締結し、契約上、業務請負として配送業務に従事している。
(2)使用従属性に関する事実関係
 ア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由
 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由は、契約上認められているが、実態を見ると、仕事の依頼、業務従事の指示等を拒否している例はみられない。
 イ 指揮命令等
 (@)配送業務については、伝票の作成方法、運送方法、携帯電話の使用及び顧客の接遇等に関して手引が定められており、バイシクルメッセンジャー等は、営業所長の面接を受けて採用された後、この配送に関する手引に基づき行われる座学研修と営業所長に帯同した実地研修を数日間受講している。
 なお、研修期間中は一定額(日額)の報酬が支払われている。
 (A)採用後は、各営業所に配属され、日常、営業所長の指示の下、配送業務に従事している。
 (B)日々の配送業務においては、出勤時、営業所長から交通安全、接遇マナー等についての諸注意を受けた後、各バイシクルメッセンジャー等は、各自の待機場所へ移動し、配送指示があるまで待機する。その後、配車センターからの配送指示に従い荷を配送し、次の配送指示があるまで、配送を終えた場所で待機し、以後、業務終了時まで配送・待機を繰り返す。
 (C)日々の配送指示は、顧客から配送依頼のあった1件の配送品ごとに引取先、引取時刻、届出先及び配送時の注意事項等が指示されている。
 (D)配送経路は、契約上、「最も合理的な順路で走行すること」とされており、研修時には、最短距離で到着するよう指示されている。
 (E)バイシクルメッセンジャー等は、携帯電話の保持が義務付けられており、最初の配送指示があるまでの待機場所への到着時、配送指示メール受信後の移動開始時、荷の引取時、配送終了時(配送後の待機開始時)、休憩開始時及び休憩終了時において、携帯メールで配車センターに報告することが求められている。
 (F)バイシクルメッセンジャーは、営業所長の指示があった場合には、内勤スタッフの業務を手伝うことがある。
 以上のように、業務の遂行方法等に関する詳細な指示を受け、常時バイク便事業者から管理されているものであり、業務遂行上の指揮監督が行われているものと認められる。
 ウ 拘束性
 (@)各営業所では、配送体制を確保するため、営業所長が配送量を勘案し、日々の配送業務に必要な配送員数を定めるとともに、各人の具体的な出勤日・勤務時間についても、本人の希望、配送量等を勘案し、各人ごとに定めている。
 (A)各バイシクルメッセンジャー等は、出勤日には始業時刻までの営業所への出所と業務終了後の営業所への帰所が義務付けられており、欠勤等がある場合は、営業所長への連絡が求められている。
 (B)バイシクルメッセンジャー等の日々の出勤時刻等の出勤状況は、出勤簿により管理されている。
 (C)配送業務については、1件当たりの配送処理時間が定められている。また、上記イのとおり、荷の配送後においては当該配送を終えた場所での待機が指示されているほか、休憩時間についても携帯メールで報告することが求められている。
 以上のように、時間的・場所的な拘束性があるものと認められる。
 エ 代替性
 契約上、業務の再委託は禁止されているほか、実際にもバイシクルメッセンジャー等は、所定の研修を受けて承認された者に限定されていることから、配送業務を他の配送員に委託するなど労務提供の代替性は認められない。
 オ 報酬の労務対償性
 (@)報酬は、完全歩合制を採用しており、月末締切の翌15日支払(口座振込)となっている。
 (A)歩合給は、月ごとの配送料金合計額の50%を基本歩合率とした上で計算されるが、平日にすべて出勤した場合、皆勤加算として基本歩合率に一定の歩合率が加算される一方、あらかじめ定められた出勤日に出勤しない場合には欠勤減算として、あらかじめ定められた出勤時刻に営業所に出所しない場合には遅刻減算として、それぞれ基本歩合率から一定の歩合率が減算される。
 以上のように、出勤日・勤務時間に応じて加減算された報酬が定められており、報酬の労務対償性が認められる。
(3)事業者性に関する事実関係
 ア 機械・器具等の負担関係
 業務用無線(必要な場合に限る。)、配送員用バックは会社負担であるが、自転車や自動二輪車のほか、携帯電話は自己負担であり、この維持に要する燃料代・修理代・税金・車検代等についても、自己負担となっている。
 イ 報酬の額
 バイシクルメッセンジャー等の報酬の額は、日額に換算すると1万円から1万5千円程度となっている。
 ウ 商号の使用
 独自の商号の使用は認められておらず、バイク便事業者の企業名が表示されている配送員用バックや荷箱の使用が義務付けられている。
 エ 専属性
 他社の業務に従事することは契約上制約されていないが、出勤日・勤務時間があらかじめ指定され、その間は拘束されていることから、兼業を行うことは困難な状況にある。
2 当局の判断
 上記1のとおり、当該事業場に対する調査の結果、バイシクルメッセンジャー等については、自転車等の装備品が自己負担であることなど事業者性を肯定する要素も一部認められるものの、使用従属関係を肯定する事実として、@業務の内容及び遂行方法に係る指揮監督が行われていること(指揮監督があること)、A勤務日及び勤務時間があらかじめ指定され、出勤簿で管理されていること(拘束性があること)、B他の者への配送業務の委託は認められていないこと(代替性がないこと)、C報酬の基本歩合率が欠勤等により加減されること(報酬の労務対償性があること)等が認められ、さらに、労働者性の判断を補強する事実として、D独自の商号の使用は認められず、事実上兼業を行うことは困難な状況にあること等が認められ、総合的に判断すると労働基準法第9条の労働者に該当するものと認められる。
(厚生労働省労働基準局長の回答)
基発第0927003号  
平成19年9月27日
東京労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
(公印省略)
疑義照会に対する回答について
 平成19年9月6日付け東労基発第257号「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について(りん伺)」により貴職から照会のあった事項につき、下記のとおり回答する。
 貴局において調査した結果から総合的に判断すると、使用従属関係が認められるため、貴見のとおり解する。
 
 
◎ 法形式上「法人」の労働者性の可能性を明らかにした国会答弁から
2003年6月13日の衆議院法務委員会、2003年7月22日の参議院法務委員会での政府答弁「法人であっても、実態によっては労働者として認めることはあり得る」について、以下に、国会会議録そのものから抜粋しておきました。
1 2003年6月13日の衆議院法務委員会の会議録から
○ 保坂展人(社会民主党) なかなか力強くない答弁だったと思うんですね。保護を図っていくのかな、これは保護されないのかなって感じなんですね。
 前回の局長の答弁で、契約の形式じゃなくて、実態として債務者に対して労務を提供して生活を営んでいる者であるかどうか、ここを見ていく、つまり形にこだわらないということであると思うんですね。そうすると、私の聞き方もちょっとまずかったかもしれないんですけれども、先ほど言ったグループ請だとか、あるいは家族数名、お父さんとお兄さんと自分とか、そういった家族工務店だとか、そういう形の、形態上はしかし外注費扱い、一応法人でもある、あるいは個人事業者として申告している、いろいろな形があると思うんですが、しかし、中身はこれは労務提供じゃないかと言える部分について、これは柔軟に見ていけるんでしょうか。そうだとすれば、保護されていくのかなというのが少し力強くなると思うんですが。
○ 房村政府参考人 その点は、前にも申し上げましたように、法形式ではない、要するに、実態としての、いわゆる雇用関係に当たるのかどうかということを主眼として判断をするという形になっておりますので、それは指揮命令のあり方であるとか報酬の払い方であるとか、そういったものを総合して、実質的に雇用関係だ、こう認定できれば、おっしゃるような形態であっても、この先取特権の保護が及ぶということは十分あり得ると思っています。
2 2003年7月22日の参議院法務委員会の会議録から
(民主党)鈴木寛参院議員の質問「最近のいわゆるリストラクチャリングといいますか、経営革新の手法の一つといたしまして、例えば課長さんとか部長さんとかいった管理職、総務をやったり営業部長さんをやったり経理部長さんをやったりという方を、いったんこれ、社員ではなくて独立をさせまして、形式上、そして会社を作っていただいて、そして、その会社の経理部門を元の経理部長さんが新しく作った会社にアウトソーシングをするとか、あるいは元の営業部長さんが作った会社に営業委託をするとか、こういったことが、経営学ではこれ、アウトソーシングという言い方で割とポジティブに、もちろんポジティブな面もないわけではないわけでありますけれども、非常に盛んに行われ始めております。例えば、これは仕事の実態からいたしますと、正に経理部長に引き続き経理部長の仕事をしてもらう、経理課長に引き続き経理課長の仕事をしてもらう……ということで、仕事の内容あるいは指揮命令系統、もちろんリスクの負担とか若干違ってくるかもしれませんが、こういうケースがございます。例えばこういう場合は、新しく改正されるところのこの雇用関係に該当するのでしょうか」
(政府側の答弁)「御指摘のような場合ですと、形式的には契約の当事者は法人、新たに設立された会社ということになります。ただ、御指摘のような、実質的には、その会社の主体である人が、個人が労務提供している、指揮命令系統も従来と変わらない、いわゆる雇用関係と同じような指揮命令がなされている、あるいはその報酬の対価の定め方も労務提供の場合と基本的に変わらないと、そういうような事情があれば、これはあくまでも、法形式ではなくて、その実態に即して雇用関係にもとづく債権という設定がなされ得ると考えております」
(日本共産党)井上哲士参院議員の質問「たとえば、グループや家族などで法人格を取得して経営して、みんなで就労している工務店などよくあるわけですね。おとうさんが社長でおかあさんが専務とか、実際には家族みんなで現場に行っていると。こういう場合についての判断というのはいかがでしょうか」
(政府側の答弁)「実態が個人がそれぞれの労務を提供しているという場合と異ならないということであれば、その実質に着目をしてこの先取特権の保護が及ぶということだと思っております」
(社民党)福島瑞穂参院議員の質問「正規雇用労働者だけでなく、労働組合法上の労働者にまで労働債権の保護の範囲を広げ、請負的就労、派遣、委託労働、下請労働者等の非正規不安定雇用労働者の未払い賃金などの労働債権にも先取特権を与えるべきではないでしょうか」
(政府側の答弁)「ただいま御指摘のようないわゆる正規の社員でない者であっても、また契約形態が請負とか委任であってもその実質が雇用関係であれば今回の先取特権の保護の範囲に含まれるということになります」
 
 
◎ 労災保険事業主特別加入 通勤災害 家族労働者の「労働者性」
 「労災保険事業主特別加入と通勤災害」、「家族労働者の労働者性」について質問を受けました。調べてみました。
1 労災保険事業主特別加入と通勤災害
 『改訂新版 労災保険制度の詳解』(編者 厚生労働省労働基準局労災補償部労災管理課 発行 株式会社労務行政)に明確に「(事業主)特別加入者が業務災害を被った場合は、保険給付として療養補償給付、休業補償給付、傷害補償給付、遺族補償給付、葬祭料及び傷病補償年金を、また、通勤災害を被った場合は、療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付及び傷病年金を本来の労働者と全く同様に受けることができる」と書かれています。
2 労災保険一人親方特別加入と通勤災害
 上記の『改訂新版 労災保険制度の詳解』に「(一人親方)特別加入者は、一般の労働者と同様に業務災害及び通勤災害に関する保険給付(通勤の実態のない特定の特別加入者は、業務災害に関する保険給付のみ)を受けることができる」と書かれています。
3 家族労働者の労働者性
 上記の『改訂新版 労災保険制度の詳解』には、「家族労働者であっても、同居の親族ではなく、事業主と使用従属関係にあり賃金を受けている場合や、重役といっても名目だけで、重役報酬ではなく賃金を受けて労働している場合などは、労働基準法上の労働者と解釈される」と書かれています。
 上記を読むと、「同居の親族」の場合は労働者性を弱める要素となるわけですが、労基研報告によれば、あくまでもいろいろな要素、状況、実態を総合的に判断して労働者かどうかを決めるということですから、あきらめないで頑張ることです。
 たとえば労基研報告の中には、「ある者が手間請けの他に事業主としての請負業務を他の日に行っていることは、手間請けを行っている日の労働者性の判断に何ら影響を及ぼすものではないため、手間請けを行っている日の労働者性の判断は、これとは独立に行うべきものである」と述べている箇所があります。
 この部分を素直に読むと、「同居の親族」であっても、労災事故にあった現場ではまさに「労働者」の実態にあった場合には、労働者と判断するということだと思います。泣き寝入りすることなく、たたかうことです。
 
 
◎ 再び法人の労働者性の可能性を明らかにした04/4/1参院法務委員会政府答弁
2003年6月6日の衆議院法務委員会、2003年6月13日の衆議院法務委員会、2003年7月22日の参議院法務委員会、2004年4月1日の参議院法務委員会の、各法務委員会での政府答弁「法人など形の上では業者であっても、実態によっては労働者として認めることはあり得る」のうち、当HPではまだ紹介していないと思われる2004年4月1日の参議院法務委員会での政府答弁を、以下に紹介しておきます。
 各法務委員会での政府答弁は、事前に建設労組として各野党議員の先生に資料等を提供しながらお願いし、それらに基づいて各野党議員の先生が追及して、政府から引き出したものです。
 「構造改革」の悪影響で、建設現場で多発し、増加傾向にある倒産・不払い事件。
不払い被害で泣き寝入りを余儀なくされないために、活用されることを、望みます。
(以下は、2004年4月1日参議院法務委員会の国会会議録からの抜粋です)
○ 井上哲士(日本共産党) 
労働債権の保護が拡大をしていくわけですが、じゃ、どれが労働債権になるかという問題があります。
 先ほども議論がありましたし、民法の一部改正のときにも随分細かく議論をいたしましたので繰り返す気はないんですが、民法で言う使用人と同じなんだという先ほどの御答弁もありました。いわゆる手間請労働などの中には、例えば屋号でやっているけれども実際には労務提供の場合、それから法人を名乗っているけれども実際にはもう家族みんなで労務提供をしているとか、こういう場合もこういう労働債権になり得るんだなということで前回もお聞きしたわけですが、そういうことで確認してよろしいわけですね。
○ 政府参考人(房村精一) 
使用人、あるいは破産法で給与債権として保護されるかどうかという点でございますが、これは御指摘のように、法的な契約形態ではなくて実態に着目して判断をするということになりますので、実態がそうであれば入るということでございます。
 
 
◎ 「事業主」の労働者性とグループ手間請 「労基研報告」との関係で
1 形式上「事業主」の労働者性に関する質問
 「A社に専属で15年、手間請として働いている。形式上、商号を持ち、『従業員』1人を使っているが、実態は、『事業主』の自分も『従業員』と同様に、工事現場での施工に従事してきた。アスベスト労災の関係で、形式上『事業主』の自分は労働者として認められないのか? 認められる可能性は?」という趣旨の質問を受けました。
 衆参法務委員会の質疑の中では、「個人業者あるいは法人の場合であっても、実態によっては労働者として認められることは、十分あり得る」という趣旨の政府答弁が行なわれていますし、また、実例として、2例、朝日ハウス産業破産事件とT社民事再生事件のとき、「従業員」1〜2人の「事業主」について労働者として破産管財人の弁護士等に認めさせ、賃金支払確保法の適用を実現した事例を、建設労働運動は持っています。
 手間請の労働者性の判断基準である「労基研報告」(1996年)に注目すると、この労基研報告には、次のように書かれています。
2 「労基研報告」との関係では
 「手間請従事者の労働者性が認められる場合には、原則的には、手間請従事者又はそのグループと直接契約を締結した工務店、専門工事業者、一次業者等が使用者になるものと考えられるが、グループで仕事を請けている場合には、グループの世話役等が使用者になる場合も考えられる。したがって、グループによる手間請の場合においては、グループの世話役と構成員の間及び工務店、専門工事業者、一次業者等とグループの構成員の間の使用従属関係の有無等を検討し、グループの世話役が、労働者のグループの単なる代表者であるのか、グループの構成員を使用する者であるのかを、その実態に即して判断する必要がある」
 今回の質問に即して言えば、形式上「事業主」を労働者として認めさせるためには、労基研報告の上記の部分(グループ手間請の箇所)の活用の方向が、一つ、あると思います。
 専属の手間請で「事業主」1人、「従業員」1人ということですから、この状況をグループ(2人)手間請と捉え、この2人の関係に着目することです。2人の関係が真に事業主と労働者の関係なのか、そうではなく基本的に平等な労働者2人でのグループ形成であるのか、把握することです。もちろん労基研報告が言うように「グループの世話役と構成員の間及び工務店、専門工事業者、一次業者等とグループの構成員の間の使用従属関係の有無等の検討」が必要です。
 
 
◎ ――― 材料の購入・管理・使用と「労働者性」 ―――
1 はじめに
 大手企業との交渉で材料持ちの一人親方を労働者として認めることを要求することは、法律に反する違法行為を企業に要求することになるのではないかとの疑問、質問が出されています。
 その関係で、疑問、質問に答えたいと考えます。
2 『労基研報告』では
労働基準法上の労働者かどうかの判断基準(法律上根拠のある判断基準)を明らかにしている『労基研報告』(労働基準法研究会労働契約等法制部会労働者性検討専門部会報告 平成8年3月)には「電動の手持ち工具程度の器具を所有していることや、釘材等の軽微な材料費を負担していることは、労働者性を弱める要素とはならない」と記述されています。
 要するに、「軽微な材料費を負担していることは、労働者性を弱める要素とはならない」ということです。材料費を負担しているからといって必ずしも労働者ではないということにはならないわけです。
3 新興産業破産事件での東京労働局の判断
東京労働局は、「(塗装施工に係る塗料を、新興産業が施工員に支給していなかったのは)新興産業は、塗料の相当の費用を要する管理責任を回避して経費を節減するために、塗料を塗装施工員に負担させていた事情によるものであった」として塗料を購入・管理・使用していた(新興産業)塗装施工員を労働者として認めました。
4 新興産業破産事件での立川労基署の判断
新興産業破産事件での、立川労基署(東京)による材料持ち施工員の賃金の認め方、査定の仕方は、(新興産業の材料持ち施工員を労働者として認めた上で)工賃の内訳を賃金80%、材料代20%と査定して、賃金の部分(工賃の80%)に賃金支払確保法を適用し、国の賃金立替払いを実施するというものでした。
5 朝日ハウス産業破産事件での破産管財人の判断
 朝日ハウス産業破産事件では、破産管財人(弁護士)が「賃確法による『国の賃金立替払制度』は本来、従業員の賃金を対象としており、下請職人の請負代金は対象にしていない。しかし、破産会社の従業員と同視できるような職人については、手間賃の部分のみ、労働の対価であるとして立替払いが認められる可能性がある」ことを認め、(請負代金から材料代金等を引いた金額)を計算し、これを賃金として認め、賃確法適用手続きをおこなうに至りました。そして、賃確法が適用されました。
6 終りに
 上記をまとめれば、大手企業との交渉で材料持ちの一人親方を労働者として認めることを要求することは、法律に反する違法行為を企業に要求することには全くならないことが、お分かりいただけると思います。
今後の方向としては、下級審判決の動向と言われている「元請・下請の関係というだけで言わば自動的に労働者性を認める」を、法律、ルールとする方向が一つあると思います。
 もう一つは、工事代金の中の労務費については法律で労働債権として認めることが、追求の方向としてあると思います。
 単純明快に、「建設現場で働いていれば、自動的に労働者として認める」、この方向の追求が決定的に大事だと思います。
 
 
◎ 「国による未払賃金の立替払制度」での労働者健康福祉機構の対応
1 労働者健康福祉機構の対応
民事再生事件で、いわゆる「業者」(形の上では「業者」だが実態は労働者)が不払い被害を受けました。形式は「業者」であっても実態は労働者だと、労働債権と認めて保護することを求めて運動。再生会社の代理人弁護士が、「労働債権に準ずる債権」として位置付け、賃金支払確保法適用(「国による未払賃金の立替払制度」適用)の申請を労働者健康福祉機構に行ないました。
 弁護士が「準労働債権」として認めて、賃金支払確保法の適用を労働者健康福祉機構に申請したのは、一定の前進でした。
 従来の事例(リモテックス破産事件)では「機構側がどうこうするということではなく、基本的に申請を尊重する」というのが、機構側の見解です。
 従来どおり「申請の尊重」を通じての不払い被害者の「救済」が、課題です。
2 機構のHPによると
○ 立替払を受けることができる人(以下は、機構のHPからの抜粋です)
 「立替払を受けることができる人」は、次に掲げる要件に該当する人です。
@ 労災保険の適用事業で1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業(法人、個人を問いません)に、「労働者」として雇用されていたこと。
A 企業の倒産に伴い退職し、「未払賃金」があること。
「労働者」とは、倒産した企業に雇用され、労働の対償として賃金の支払を受けていた人をいいます。(外国人労働者、パートタイマー、アルバイトの方も対象となります)
本制度は、労働基準法にいう「労働者」を対象としていますので事業所の登記簿に「役員」として記載されている者は、原則として立替払を受けられません。ただし、名義上は「役員」とされていても、業務執行権がなく、業務の内容や報酬について一般の労働者と何ら変わらない実態にある者については「労働者」として認められる場合があります。
○ 立替払の支払い(以下は、機構のHPからの抜粋です)
労働者健康福祉機構は、提出された「未払賃金の立替払請求書」等の書類を審査し、請求の内容が法令の要件を満たしていることを確認したうえ、請求者が指定した金融機関を通じて立替払金を支払います。
○ 支払いまでどの位かかるか? (以下は、機構のHPからの抜粋です)
立替払金の支払については、請求書に記入漏れや記入誤りなどがなければ、 請求書を受け付けてから平均30日以内にお支払するように努めています。
立替払請求書を送付してから1か月半以上経過してもなお支払通知書が届かない場合には、お問い合わせください。
 
 
◎ ──────── 同居の親族の労働者性について ────────
1 同居の親族の労働者性の基準
 同居の親族の労働者性を判断するばあいの、国の基準は、現在、次のようになっています。
 同居の親族は、事業主と居住及び生計を一つにするものであり、原則として労働基準法上の労働者には該当しないが、同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業で一般事務又は現場作業等に従事し、かつ、次の(1)及び(2)の条件を満たすものについては、一般に私生活面での相互協力関係とは別に独立した労働関係が成立しているとみられるので、労働基準法上の労働者として取り扱うものとする。
(1) 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること。
(2) 就労の実態がその事業場の他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、@始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等及びA賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期等について、就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること。
2 別の接近
 親子、夫婦のような場合を含めて、形は事業主であっても実態は労働者という方向から、「事業主」も同居の親族も両者とも労働者だという主張も、十分成立する可能性はあります。「法人の事業主であっても、実態によっては労働者と認められることは十分にあり得る」との国会答弁もおこなわれています。
 
 
◎ 「○○社」民事再生での「労働者性」の経過について
1 経過
 ○○月○○日、○○社が東京地裁に民事再生を申請。○○社のもとでユニットバスやキッチンの設置工事に従事していた形式上「業者」が不払い被害を受けました。
 形式上「業者」について、実態は労働者であり、労働者として認め、賃金支払確保法(国による未払賃金の立替払)を適用することを求めて運動。
 ○○月○○日、○○社代理人弁護士が形式上「個人業者」の債権について「労働債権」に準ずる「準労働優先債権」として位置付け、労働者健康福祉機構に賃確法の適用を申請。
 諸種の経過を経た後、○○月○○日、労働者健康福祉機構に申し入れを実施。
 労働者健康福祉機構は、「賃金台帳に準ずる書類」、「○○社社長及び代理人弁護士連名の、賃確法適用申請を行なった従事者の『労働者性』を明らかにする文書」の2文書の提出を求めてきました。
2 「労働者性」の根拠
 「労基研報告」には、「グループ手間請について、グループ内が平等であれば労働者として認めることはあり得る」という趣旨の記述があります。
 衆参法務委員会での政府答弁が「法人といえども、実態によっては労働者として認められることは、十分にあり得る」としています。
 新興産業(パットさいでりあ)倒産事件では、東京労働局の裁決が、材料持ちの一人親方を労働者として認めています。
 朝日ハウス産業破産事件(本社 大阪)では、破産管財人が「従業員」2人までの「事業主」を、実態は労働者と同視できるとして、労働者として認めています。
○○社の従事者を「労基研報告」にもとづいて総合してとらえた場合、労働基準法第9条が言う労働者と判断すべきだと考えます。
 @ ○○社従事者は、班として登録されていました。
A 「事業主」だけでなく、「従業員」も登録されていました。
B 従事者によっては、月に一度、班として集められて、会議に参加させられていました。
C 施工現場に入る時間については、ユニットバスやキッチンの現場への到着時間が決まっていて、それに間に合うよう義務付けられていました。
D 休日をとるときは、○○社の了解をとらなければなりませんでした。
E ○○社に毎日、完了報告書を出していました。
F ○○社の名前が入っている、またはメーカーの名前が入っているユニフォームの着用を指示されていました。また、メーカーの名前入りのヘルメットの着用を指示されていました。 
G 工事を孫請けに請け負わせることは不可能でした。
H 工賃は従事者が任意に見積もった金額で請求したり、あるいは、従事者と○○社の交渉によって工事ごとに決まったりするのではなく、すべての工事について、メーカーと○○社の間で決められた1台(あたり)単価によって自動的に計算され、支給されていました。
I ○○社から材料を無償支給されていました。
J 従事者は○○社への専属または基本的に専属でした。
K 従事者は、○○社の取締役である「番頭」の指揮命令のもとで働いてきましたが、その「番頭」がいなくなったために、その「番頭」抜きで働くようになりました。
L ○○社からの具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対して、従事者に諾否の自由はありませんでした。
M 施工マニュアルにより、作業の具体的内容が指示されていました。
N 工事を休む時、また、遅刻、早退のときは○○社へ事前に連絡することを義務づけられていました。
O 工事期間中の現場作業の休止や時間変更は不可能でした。
P 労働基準法第12条は、「出来高払い制その他の請負制によって定められた場合」の賃金を、労働基準法上の賃金として認めています。
 
 
◎ ───  建設現場での法人の労働者性について  ───
1 はじめに
 建設業の場合、建設現場の実態として、法人になっていても、夫が社長で妻が専務で、実態は夫妻が一緒に労働者として働いている、労働者と同視できる、同様に法人になっていても、父子が一緒に労働者として現場施工に従事している、労働者と同視できる、というようなことが普通のこととして、存在しています。
 以上のような実体を反映して、「法人」の労働者性の可能性を明らかにした国会答弁がおこなわれています。2003年6月13日の衆議院法務委員会、2003年7月22日の参議院法務委員会、そして2004年4月1日の参議院法務委員会での政府答弁がそれであり、民主党、共産党、社民党の野党議員の質問に答えて、「法人であっても、実体によっては労働者として認めることはあり得る」という趣旨の政府答弁が繰り返しおこなわれています。
2 例をあげると
 たとえば、次のような例があります。 
 法人(有限会社)になっていて、夫のAさんが社長、妻のBさんが夫と一緒に現場施工に従事。
妻のBさんが、労災事故にあい、負傷。
建設現場は、
 元請 ○○社
 1次 △△社
 その下にAさん、Bさんが施工に従事
という元請・下請構造であり、法人(有限会社)という形式になっていますが、実態は、AさんとBさんは、△△社の指揮監督下で作業に従事していた労働者です。
被災したBさんは、この現場の内装班の一員として、△△社の指揮監督下で作業に従事していました。同様に、夫のAさんもこの現場で、内装班の一員として、△△社の指揮監督下で作業に従事していました。
 Aさん、Bさんの2人の、この現場での実態は、以下のような状況です。
○ 実態は、グループ(2人)による手間請であり、Aさんは、グループの単なる代表者です。
○ △△社の指揮監督下で、2人は労働していました。
○ 作業手順書により作業の具体的内容・方法等が指示されており、業務の遂行が△△社の具体的な指揮命令を受けて行われていました。
○ △△社の現場監督の「別の現場に行ってくれ」といった命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがあり、その場合は「日給」でした。
○ 入場時に記名、刻時し、また退場時に記名、刻時していました。
○ △△社の専属の従事者です(約5年)。
○ 具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対して諾否の自由はなく、△△社の現場監督の指示に従いました。
○ 本人が自らの判断によって補助者を使うことは認められておらず、△△社の現場監督の判断によりました。
○ 報酬は、同種の業務に従事する正規従業員と同じ位です。
○ AさんとBさんは、建物等目的物の不可抗力による滅失、毀損等に伴う損害や施工の遅延による損害について責任を負っていません。
 形式上は法人(有限会社)であり、△△社から注文書が来て、Aさんが請書を出す、出来高(手間請)の契約という形式になっていますが、実態は、法人といっても、人を使っていないし、△△社の指揮監督下で、夫のAさんと妻のBさんの2人で労務提供している労働者です。
 従って、労基研報告にもとづいて判断し、また国会での政府答弁を考慮すれば、Aさん、Bさんの2人は、労働基準法上の労働者と見るべきであり、元請労災の適用による補償が与えられるべきです。
前述のように、この問題での政府答弁でも「法人という法形式であっても、実体によっては労働者として認められることはあり得る」という趣旨の答弁がおこなわれています。
3 「法人」の労働者性の可能性を明らかにした国会答弁から
2003年6月13日の衆議院法務委員会、2003年7月22日の参議院法務委員会、そして2004年4月1日の参議院法務委員会での政府答弁「法人であっても、実態によっては労働者として認めることはあり得る」について、以下に、国会会議録そのものから抜粋しておきました。
 (各法務委員会での政府答弁は、事前に全建総連として各野党議員の先生に資料等を提供しながらお願いし、それらに基づいて各野党議員の先生が追及して、政府から引き出したものです)
@ 2003年6月13日の衆議院法務委員会の会議録から
○ 保坂展人(社会民主党) なかなか力強くない答弁だったと思うんですね。保護を図っていくのかな、これは保護されないのかなって感じなんですね。
 前回の局長の答弁で、契約の形式じゃなくて、実態として債務者に対して労務を提供して生活を営んでいる者であるかどうか、ここを見ていく、つまり形にこだわらないということであると思うんですね。そうすると、私の聞き方もちょっとまずかったかもしれないんですけれども、先ほど言ったグループ請だとか、あるいは家族数名、お父さんとお兄さんと自分とか、そういった家族工務店だとか、そういう形の、形態上はしかし外注費扱い、一応法人でもある、あるいは個人事業者として申告している、いろいろな形があると思うんですが、しかし、中身はこれは労務提供じゃないかと言える部分について、これは柔軟に見ていけるんでしょうか。そうだとすれば、保護されていくのかなというのが少し力強くなると思うんですが。
○ 房村政府参考人 その点は、前にも申し上げましたように、法形式ではない、要するに、実態としての、いわゆる雇用関係に当たるのかどうかということを主眼として判断をするという形になっておりますので、それは指揮命令のあり方であるとか報酬の払い方であるとか、そういったものを総合して、実質的に雇用関係だ、こう認定できれば、おっしゃるような形態であっても、この先取特権の保護が及ぶということは十分あり得ると思っています。
A 2003年7月22日の参議院法務委員会の会議録から
(民主党)鈴木寛参院議員の質問「最近のいわゆるリストラクチャリングといいますか、経営革新の手法の一つといたしまして、例えば課長さんとか部長さんとかいった管理職、総務をやったり営業部長さんをやったり経理部長さんをやったりという方を、いったんこれ、社員ではなくて独立をさせまして、形式上、そして会社を作っていただいて、そして、その会社の経理部門を元の経理部長さんが新しく作った会社にアウトソーシングをするとか、あるいは元の営業部長さんが作った会社に営業委託をするとか、こういったことが、経営学ではこれ、アウトソーシングという言い方で割とポジティブに、もちろんポジティブな面もないわけではないわけでありますけれども、非常に盛んに行われ始めております。例えば、これは仕事の実態からいたしますと、正に経理部長に引き続き経理部長の仕事をしてもらう、経理課長に引き続き経理課長の仕事をしてもらう……ということで、仕事の内容あるいは指揮命令系統、もちろんリスクの負担とか若干違ってくるかもしれませんが、こういうケースがございます。例えばこういう場合は、新しく改正されるところのこの雇用関係に該当するのでしょうか」
(政府側の答弁)「御指摘のような場合ですと、形式的には契約の当事者は法人、新たに設立された会社ということになります。ただ、御指摘のような、実質的には、その会社の主体である人が、個人が労務提供している、指揮命令系統も従来と変わらない、いわゆる雇用関係と同じような指揮命令がなされている、あるいはその報酬の対価の定め方も労務提供の場合と基本的に変わらないと、そういうような事情があれば、これはあくまでも、法形式ではなくて、その実態に即して雇用関係にもとづく債権という設定がなされ得ると考えております」
(日本共産党)井上哲士参院議員の質問「たとえば、グループや家族などで法人格を取得して経営して、みんなで就労している工務店などよくあるわけですね。おとうさんが社長でおかあさんが専務とか、実際には家族みんなで現場に行っていると。こういう場合についての判断というのはいかがでしょうか」
(政府側の答弁)「実態が個人がそれぞれの労務を提供しているという場合と異ならないということであれば、その実質に着目をしてこの先取特権の保護が及ぶということだと思っております」
(社民党)福島瑞穂参院議員の質問「正規雇用労働者だけでなく、労働組合法上の労働者にまで労働債権の保護の範囲を広げ、請負的就労、派遣、委託労働、下請労働者等の非正規不安定雇用労働者の未払い賃金などの労働債権にも先取特権を与えるべきではないでしょうか」
(政府側の答弁)「ただいま御指摘のようないわゆる正規の社員でない者であっても、また契約形態が請負とか委任であってもその実質が雇用関係であれば今回の先取特権の保護の範囲に含まれるということになります」
B 2004年4月1日の参議院法務委員会の会議録から
○ 井上哲士(日本共産党) 
労働債権の保護が拡大をしていくわけですが、じゃ、どれが労働債権になるかという問題があります。
 先ほども議論がありましたし、民法の一部改正のときにも随分細かく議論をいたしましたので繰り返す気はないんですが、民法で言う使用人と同じなんだという先ほどの御答弁もありました。いわゆる手間請労働などの中には、例えば屋号でやっているけれども実際には労務提供の場合、それから法人を名乗っているけれども実際にはもう家族みんなで労務提供をしているとか、こういう場合もこういう労働債権になり得るんだなということで前回もお聞きしたわけですが、そういうことで確認してよろしいわけですね。
○ 政府参考人(房村精一) 
使用人、あるいは破産法で給与債権として保護されるかどうかという点でございますが、これは御指摘のように、法的な契約形態ではなくて実態に着目して判断をするということになりますので、実態がそうであれば入るということでございます。
4 労基研報告から
1996年3月「労働基準法研究会労働契約等法制部会労働者性検討専門部会報告」(略称・労基研報告)は、建設業での労働者かどうかの基準の「考え方」として、以下の諸点を示しています。
○ 建設業での「手間請」について「工事の種類、坪単価、工事面積等により総労働量及び総報酬の予定額が決められ、労務提供者に対して、労務提供の対価として、労務提供の実績に応じた割合で報酬を支払うという、建設業での労務提供方式」と定義。
○ 手間賃(日当)による日給月給制の場合は、労働者性の問題が生じるところではなく、一般に労働者と解することができる。
○ 呼び名ではなく、実際の役割に留意する必要がある。
○ 指揮監督下の労働かどうかが問題。
○ 「拘束性の有無」が問題。
○ 「代替性の有無」が問題。
○ 「報酬の額」が問題。
○ 発注書、仕様書等の交付という事実だけから判断するのではなく、これらの書面の内容が事業者性を推認するに足りるものであるか否かを検討する必要がある。
○ ある者が手間請の他に事業主としての請負業務を他の日に行っていることは、手間請を行っている日の労働者性の判断に何ら影響を及ぼすものではないため、手間請を行っている日の労働者性の判断は、これとは独立に行うべきものである。
○ 諸条件、諸事情を実態に即して総合的に考慮、判断して、労働者性の有無を明らかにする。
 
 
◎ 「一人親方の労働者性」とマスメディア ── 「善意」を信じて
2008年8月1日の『朝日新聞』に「一人親方、建設不況に泣く」の記事が載りました。その中に、「厚生労働省によると、一人親方でも、建設現場での事故なら、原則、工事を受注した企業の労災が適用になるという」と書かれています。ところが、記事のこの箇所に対して厚生労働省から朝日に訂正の申し入れがあったと言われており、朝日が訂正記事を載せました。
2008年8月8日の『朝日新聞』の訂正記事では、表現が「厚生労働省によると、一人親方は一般的に労働者とは認められず、工事を受注した企業の労災が適用にならないという」に逆転しています。
 一人親方の労働者性については、厚生労働省自身の『労基研報告』が「全体的な諸事情を考慮して、実体によって判断する」としているし、また新興産業倒産事件の際、東京労働局は一人親方を労働者として認めているし、さらに衆参法務委員会での政府答弁が「実体によって判断する」としています。
 今回の厚生労働省の見解とされる「一人親方は一般的に労働者と認められない」は、上述のような従来の見解、経過、ルールを踏みにじるものです。
 建設労組では、いま、元請が住宅企業の現場で、ベニヤ板の下敷きになって重症を負った「一人親方」について、法形式上は法人(有限会社)の事業主だが、従業員はいない・決算書を作っていないなど法人としての実体はなく、本質的には、住宅企業の指揮監督下で住宅企業の社員と同様に働いていた労働者だと、労基署に認めてもらう運動をおこなっています。元請の住宅企業と交渉して、元請労災を使って労災適用を申請するところまで進むことができました。
労基署が、労働者性の実体を調査、把握して、労災適用を認める地点まで進むことが、求められています。そのために、本人、家族を含めて、たたかっています。建設現場で働いている人たちの労働災害や倒産・不払い被害について、労働者と認めて保護することで、泣き寝入りを余儀なくされる人たちを出さないことが、いま、本当に必要です。
 なお、マスメディアが「一人親方の労働者性」に関心を示して、取材に来ました。2008/10/7放映予定とのことでしたが、延期となっています。
 2008/10/7放映予定、延期→2008/10/16放映予定(マスメディアのHPに「特集・ひとり親方」2008/10/16放映予定、と載りました)、延期→2008/10/17放映予定、延期→? という経過になっていて、まさに「狐につままれた」感じです。
 しかし、マスメディアに抗議するとか、放映を要求するとか、筋の悪いことはしないで、取材に来た人の善意を信じ、「延期になりましたが、必ず放映します」という約束を信じたい、そう思っています。
 (追記)なお、その後、2008/10/27に放映することに決定した、との連絡が来ています。
(再追記)2008/10/27放映されました。感謝します。
 
 
◎ 厚生労働省からの作用で「一人親方の労働者性」関連記事訂正(補正版)
1 記事の訂正
 2008/8/1『朝日新聞』に「一人親方、建設不況に泣く」の記事が載っています。
その中に、「厚生労働省によると、一人親方でも、建設現場での事故なら、原則、工事を受注した企業の労災が適用になるという」との記述が存在します。これは、建設現場の実体を反映した正しい考え方です。
伝えられてきた情報によると、この箇所に対して厚生労働省から朝日に訂正の申し入れがあり、朝日が訂正記事を載せた、と言われています。
図書館で『朝日新聞』を調べてみました。
 ありました。2008/8/8『朝日新聞』に訂正記事が、載っていました。訂正のなかみは、「厚生労働省によると、一人親方でも、建設現場での事故なら、原則、工事を受注した企業の労災が適用になるという」から「厚生労働省によると、一人親方は一般的に労働者とは認められず、工事を受注した企業の労災が適用にならないという」への反動的改変です。
2 反動的改変
 二つの意味で、極度に道理も理屈もない反動的改変です。
 一つには、このような改変を申し入れた厚生労働省の対応の反動性です。
 一人親方の労働者性については、厚生労働省自身の『労基研報告』が「全体的な諸事情を考慮して、実体によって判断する」としているし、また新興産業倒産事件の際、東京労働局は一人親方を労働者として認めているし、さらに衆参法務委員会での政府答弁が「実体によって判断する」としています。
 今回の厚生労働省の見解とされる「一人親方は一般的に労働者と認められない」は、上述のような従来の見解、経過、ルールを踏みにじるものです。
 もう一つは、朝日の対応です。
 厚生労働省からの申し入れがあったからといって、上述のような一人親方の労働者性をめぐる諸議論、諸問題を考慮することなく、無批判に受け入れるのは、自主性の欠如、権力への迎合といわざるを得ません。
 朝日は、訂正をただちに撤回して、その存在意義を示すべきです。 
3 『朝日』読者も心配
 2008/9/8『朝日新聞』掲載の「池上彰の新聞ななめ読み」の中に、池上彰氏が紹介していますが、上記の訂正記事の件で「記者が萎縮したり、表現が不明瞭になったりしなければいいなあと思いました」という読者からの心配のハガキが届いた、とのことです。
 建設現場での労災事故への労災適用を狭める方向への、記事の反動的改変は、事故や不払い等で泣き寝入りを余儀なくされる現場従事者を増やす方向への改変であり、心配であると同時に許すべきではないと考えます。
 
 
◎ ────  「一人親方」の労働者性 埼玉労働局の見解  ────
 2008/11/6 「一人親方や一人親方的『事業主』を労働者として認め労災適用して下さい」という要望に対する埼玉労働局の見解を聞くことができました。
 以下の通りです。
 埼玉労働局「法人の事業主や一人親方であっても、最初から労働者ではないとしてはねつけるのではなく、労基研報告を基準として、あくまでも実体によって判断する」
 
 
◎ 第15回全国建設研究交流集会に参加 「労働者性」での前進のために
@ 一人親方や一人親方的事業主層の「労働者性」
 建設現場では、重層化が進み、一人親方が増えています。労働災害や倒産・不払いの際、一人親方や一人親方的事業主を労働者として認めさせ、保護することが、ますます大事な課題になっています。
 労働者性の判断基準としての厚生労働省「労基研報告」の存在とその使用、活用の活発化、法人事業主が実体によっては労働者であり得ることを示した「衆参法務委員会での政府答弁」「埼玉労働局見解」、また新興産業倒産事件の際、一人親方を労働者として認めた東京労働局見解、そして一人親方はもちろん従業員1人〜2人というような一人親方的事業主を労働者として認める事例の増加、最近のNHKテレビの「一人親方を労働者として認めて保護を」という趣旨の放映、等々、前進面が大きく存在し、拡大しています。
 その反面、労災裁判での全建総連の最高裁判決での敗訴、東栄住宅裁判でのパワービルダーの元請責任を免罪し、一人親方層に労災保険料負担を転嫁しかねないような地裁判決など、後退の流れ、逆流も存在します。
 しかし、この後退面をそれほど誇張する必要はないでしょう。
 最高裁判決も、労基研報告を労働者性の判断基準と認めた上で、○○さんについては労働者ではないと判断したもので、○○さんに限定されるものであり、その一般化をはかるような風潮とは、たたかい、阻止することです。東栄住宅裁判もそうであり、東栄住宅のその範囲に限定されるものであり、通達によって一般化をはかるような誤謬を厚生労働省に犯させないたたかいが、必要です。
 発注者は発注者であり、元請ではない、というような言い逃れ、「形式論理」の横行を許すことなく、発注者の場合、設計管理にとどまっていれば発注者だが、施工管理をおこなっていれば元請になるという、実体によって発注者か元請かを判断する立場を堅持していくことです。
A 重層下請構造の解消
 韓国「建設業法」のように改正して、重層下請構造を解消することが、日本の建設産業にも必要だとする見解が広まっているようです。確かにプラス面が有力に存在します。
 問題は、小規模な業者層、商人層を絶えず大量に生み出す「日本資本主義の構造」との整合性を、どのように導出するのか、ということにある、と感じています。
 
 
◎ 「一人親方の労働者性」についての研究者による「新しい方向付け」?
1 研究者による「新しい方向付け」?
 研究者から、「一人親方の労働者性」についての「新しい方向付け」の話を聞きました。
 その話の要旨は、以下のようなものです。
 一人親方が増えている。外注化したほうが採算が取れるしリスク回避になる、そういう事業主側の判断がある。
 一人親方の増加と重層化の深まりは、連動している。
 建売業者としての東栄住宅を、東京地裁判決は、元請ではないとした。建売業者としてのパワービルダーは、建売住宅が完成するまでは(施工管理者がいるし指揮している)施工業者であり、完成後は建売住宅を売る不動産業者となる。それにもかかわらず、元請ではないとした判決が出た。
 (一人親方的労働者を労働者ではないとした)佐藤労災最高裁判決が存在する。
 一人親方は、請負と雇用の中間にある。
 一人親方の位置付けについて、一人親方を労働者とみなすという韓国建設業法改正がおこなわれた。
 一人親方の労働者性については、現行の法律、裁判では解決できない。新しい方向付けが必要だ。
(研究者による上記のような話に対して、「新しい概念で『一人親方の労働者性』問題を解決したい」とするものだとの評価も出されています──海野)
2 多少の心配
 私見として、少し危うさを感じたのは、「一人親方の労働者性については、現行の法律、裁判では解決できない。新しい方向付けが必要だ」と断定している点です。
 東栄住宅東京地裁判決、佐藤労災最高裁判決の二つの判決などを、その根拠にしているようですが、否定的状況だけを見て、「商号使用者48人を含めて約300人の一人親方的施工員を労働者として認めたリモテックス破産事件、材料持ちの一人親方を含めて一人親方的施工員約500人を労働者として認めた新興産業倒産事件、小規模な事業主層を労働者として認めた朝日ハウス産業破産事件、一人親方や個人事業主にとどまらず法人事業主の労働者性の可能性を明らかにした国会答弁、その国会答弁と同趣旨の埼玉労働局の回答、等々、一人親方の労働者性を認める方向での肯定的到達、建設労働運動の到達を、把握していないような危うさを感じます。ちょうちん持ちをするのではなく、建設労働運動からの、研究者への勇気を出しての助言が必要だと思います。
 
 
◎ 「工事代金」「一人親方を労働者として認める」 マスメディア 企業の対応
 2008年10月27日、NHKのゆうどきネットが「一人親方の労働者性」問題を、またテレビ朝日のJチャン(小宮悦子さん)が井上工業破産事件の関連で全建総連の動き、考えを報道しました。
 詳細は省きますが、NHKの番組は、建設労組の組合員の労災事故の関係で、「一人親方を労働者として認めて労災適用すべきだ」(同番組中での私の発言)という趣旨の放送をおこないました。
 また、テレビ朝日の番組は、不払い被害が広がっている井上工業破産事件など多発する倒産・不払い事件との関連で「工事代金を賃金と認めて保護するよう法改正すべき」(同番組中での私の発言)との全建総連の主張を放送しました。
 100年に一度と言われるような恐慌的状況下、マスメディアの目が建設労組の活動、考えに一定、向いてきているのでしょうか。
 上記との関連で、第49回全建総連関東地協企業交渉での「一人親方の労働者性」、「元請責任での不払い解決」への企業の回答に注目してみました。
 「一人親方であっても、元請労災で労基署に申請する。最終判断は労基署」という趣旨の回答をおこなった企業、また「不払い解決について二重払いであっても対応」という趣旨の回答を行った企業については、コンプライアンス、CSRの点で一定評価できると思います。
○ 「一人親方であっても、元請労災で労基署に申請する。最終判断は労基署」という趣旨、またはそれに近い趣旨の回答をおこなった企業
 大林組、竹中工務店、長谷工コーポレーション、西松建設、五洋建設、奥村組、ピーエス三菱、鉄建建設、安藤建設、きんでん、大和ハウス工業、積水ハウス、積水化学工業、大東建託、ミサワホーム、パナホーム、三井ホーム
○ 「不払い解決について二重払いであっても対応」という趣旨の回答を行った企業
 大林組、前田建設工業、西松建設、ピーエス三菱、鉄建建設、大和ハウス工業、ミサワホーム
追記:2008/11/13におこなわれた「企業交渉」で安藤建設は「最近の事例だが、現場で一人親方が被災した際、家族とも相談して、被災者が困らないように、一人親方の労働者性を考慮して、元請労災の適用を労基署に申請し、労働者として認められて、元請労災が適用された」と回答しています。
 
 
◎ ─── 出演契約の舞台俳優を労働者と認め労災を適用 ───
(「毎日新聞」「赤旗」「ZAKZAK」「産経ニュース」を参考にし、要点を以下に記述しました──海野)
○ 演劇の元マッスルミュージカル団員で映演労連フリーユニオンの女性組合員(舞台俳優)が、「テレビ番組収録中に左ひざのじん帯を断裂したのは労働災害」として労災申請していた問題で、東京都の中央労働基準監督署が労災と認定していたことが、2009/2/24わかった。 
○ ショーの運営会社「デジタルナイン」とケガをした女性(舞台俳優)の契約は出演契約で、雇用契約ではなかった。「出演契約では(労働者ではなく)個人事業主と判断されることが多い」とのことです。
○ ケガをした女性(舞台俳優)は、(労働者性の判断基準を示している)労基研報告に基づき、実体は労働契約だと主張。
○ 労基署がケガをした女性(舞台俳優)を労働者と認めた理由は、
 年間2000時間近い拘束時間。会社(事業主)の指揮命令がなければ舞台が成立しない。会社(事業主)の指揮監督下にある。実体は労働者。
 
更新日時:
2009/04/18
――――――――   「建退共」関連   ――――――――
――――――――   「建退共」関連   ――――――――
海野和夫
 
◎ (以下は、2002年11月10日〜11日に調布市でおこなわれた建設政策研究所等主催の「第9回全国建設研究・交流集会」で報告したものです)
(建退共)元請責任での証紙貼付のための自治体交渉等の結果
1、建退共帯広方式への注目
北海道帯広市発注の公共工事では、現場の建設労働者の1人1人について名簿を作り、その全員に建退共証紙を貼付すべきことを元請に義務付け、全員への貼付状況を明らかにする名簿(建退共証紙貼付実績報告書)の発注者への提出を、元請に義務付けています。
(北海道帯広市が、2000年10月1日から、帯広市の発注する公共工事について下請の労働者まで建退共の証紙が貼られていることを1人1人の労働者について確認することを元請に義務づけました。これは、全国で見てもはじめてのことであり、公共工事での建設労働者への建退共の完全適用に向けて大きな一歩となります。この制度は、2000年10月1日から、帯広市の「元請下請適正化指導要綱」を改正し、あわせて「建設業退職金共済制度関係事務受託処理要領」を制定し、1人1人の労働者名を記載した「建退共証紙貼付実績書」を「工事完成(完了)届け」とあわせて、発注者の帯広市に提出することを元請に義務づけ、下請の労働者にまで証紙が行きわたったことを確認するものです)
 函館市がこれに続き、帯広方式を採用しました。
 2001年9月20日、埼玉土建一般労働組合は埼玉県県土整備部と交渉。
 県に対して、@賃金・工事代金の不払い等での県の相談窓口の強化・拡充、A元請責任での不払い解決を県が指導すること、B小規模契約希望者登録制度をつくること、C住宅リフォーム助成制度をつくること、D地元中小業者への優先発注、E建退共の帯広方式(建設産業の重層下請構造の最終下請に至るまで、すべての現場労働者に建退共の証紙を貼ることを、元請の大手企業、中堅企業に義務づけるやり方)を県発注の工事で採用すること、E公契約条例の制定、などを要求。
 これに対して県側は、「県の工事は競争入札が原則なので、小規模契約希望者登録制度はなじまない」、「個人のために公費を使うことになるので、住宅リフォーム助成制度の実現は困難」など、建設労働者、中小業者の深刻な実態を無視した回答が目立ちました。
 しかし、建退共の帯広方式についてだけは、「有効なものと考えている、その採用について前向きに検討する」と約束。
そして、2002年3月15日、都道府県でははじめて埼玉県が、建退共帯広方式を実現しました。埼玉県県土整備部長名で出された建退共普及促進の通達は、その中で、1人1人の労働者名を記載した「建退共証紙貼付実績書」を工事完了届けとあわせて、発注者の埼玉県に提出することを元請に義務づけ、ついに埼玉県で建退共帯広方式を実現しました(ただし、600万円以上の工事に適用)。
 また、埼玉県の建退共通達は「(元請は)労働者の便宜(べんぎ)を図るため、工事現場事務所での貼付に努めるものとする」と明言し、国・自治体を含めて全国ではじめて「工事現場事務所での貼付」を通達で明らかにしている点で、帯広方式を超えて「埼玉方式」とよぶことができるものです。
600万円以上の工事だけでなく、すべての工事への帯広方式の適用を埼玉県に要求すると同時に、自治体交渉を通じて県内全市町村にこの帯広方式(埼玉方式)の適用を求めていきます。また、自治体でできることを、国でできないわけはありません。国土交通省に対して、建退共での帯広方式の導入を求めていきます。
埼玉県発注の公共工事での帯広方式の実現を、まさに建退共普及促進の好機が来たととらえ、自治体交渉を通じての県内全市町村にこの帯広方式(埼玉方式)の適用を求める運動、大手企業現場への訪問を通じての建退共説明を含む組合加入説明会の組織、大手企業現場での「建退共証紙貼付請求書」、「建退共手帳交付請求書」の活用などとあわせて、保護帽(ヘルメット)への「私は建退共に加入しています」のシール貼付の運動に取り組んできました。
その成果は、すでに大きく出始めています。
埼玉土建一般労組の各支部がおこなった自治体交渉の結果として、新座市、そして騎西町が建退共埼玉方式を導入しました。また、加須市、入間市など多くの市町村が「前向きに検討」を約束しています。
さらに、建退共普及の県通達等の反映と考えられる事例が次のように続出しています。
「元請から突然、1年分の建退共証紙(労働者3人分)と加入事務委託書が送りつけられてきた」(埼玉土建一般労働組合浦和支部組合員、さいたま市有数の地場ゼネコンの下請で働く企業班)、「建退共手帳を作って持ってくるように会社から言われた」(埼玉土建一般労組朝霞支部組合員)、「(自治体から)建退共のことで困るくらい詰められている」(吉川市立小学校、松伏町立中学校の工事現場責任者)、「大宮では、公共工事の元請が下請企業に対して『建退共に入れ』と指示を出している」(埼玉土建一般労働組合大宮支部組合員)、「道路工事を請け負う企業では、いま下請労働者1人1人の名簿を作り始めている、建退共についての指示文書が県から続々と来ている」(埼玉土建一般労働組合熊谷支部組合員)。
2、建退共函館方式の特徴
私たちは、建退共函館方式にも注目しています。帯広方式をとり入れている函館のばあいさらに、元請業者の責任で未加入の下請業者を建退共に加入させることを土木部長の名前で明記しています。そして、元請業者が市へ提出する下請選定通知書で、2次以下の下請が建退共に加入しているかどうかを、チェックします。その記載がない場合は、受理しません。これによって、証紙貼付がおこなわれないことがないようにしているわけです。
3、建退共運用利回り問題
建退共の予定運用利回りの引下げ問題が、新聞で報道されました。
建退共中央本部の担当者の川島さんに聞くと、川島さんは、「平成13年度〜14年度(2001年度〜2002年度)、赤字の見通し。赤字が累積すると厳しくなってくる。予定運用利回りの変更(引下げ)を検討しなければならないとの認識になっている。これから検討を始める。中退共(中小企業退職金共済制度)については、今国会で予定運用利回りを1%にするとの法案が成立している」と回答。
4、新しい掛金納入方式の検討
建退共本部は、建退共の新しい掛金納入方式の導入に向け、2002〜2003年度におこなう現場実験のモニター(参考意見・批評を提出する人)募集をおこないました。実験は、手帳・証紙方式を廃止し、ICカード、磁気カード、OCR(光学式文字読み取り装置)を用いた新方式に切り替えるためのものです。
 ICカード、磁気カードのモニターは、読み込み機とパソコンを現場に設置することが条件となります。OCR方式は、専用のOCR用紙に就労実績を記入し、FAXまたは郵送で建退共に送付する仕組みです。
全建総連賃対部から、埼玉土建の支部の任意組合の一つ(建退共加入者100人未満)にOCR方式のモニターになってほしいとの要請が来たのを受け、現在、埼玉土建一般労組朝霞支部が対応しています。
5、入契法と建退共
 入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)にもとづいて定められた「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」の中に、公共工事の発注者の責任として、「元請業者の適切な施工体制の確保のため、建設業退職金共済制度の適用を受ける事業主に係る工事現場であることを示す標識の掲示等の確認を行うこと」が明記されています。
6、元請による建退共事務受託の促進
 建退共の完全適用に向けての提案として、「元請の大手企業による事務受託」の積極推進、積極促進がとても重要だと私たちは考えています。これを突破口として、建退共の普及促進は、いままでのようななかなか進まない状況からぬけ出し、いい方向へと決定的に転回し、いい方向での循環が開始されると考えます。
 そして、そのための拠点はすでに築かれています。1999年3月18日の労働省・建設省・建退共本部の連名通達は「元請事業主による積極的事務受託の推進を図る」と言明し、また2002年3月15日の埼玉県通達も「下請業者の規模が小さく、建退共に関する事務処理能力が十分でない場合は、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めるものとする」と明言しています。
 これを通達だけに終らせるのではなく、私たちの運動によって支え、通達の不十分さを補強しながら、実際に元請の大手に「規模が小さく建退共の事務処理能力が十分でない下請業者については、元請の大手業者の責任で建退共事務(加入・手帳交付・証紙貼付)の下請業者からの受託をおこなわせていく」ことが、決定的に大事だと思います。
 
 
◎ 建退共(建設労働者の退職金制度)普及の鍵は元請による事務受託
埼玉土建一般労組等の申し入れの結果、2002年3月15日、都道府県でははじめて埼玉県が、建退共帯広方式を実現しました。埼玉県県土整備部長名で出された建退共普及促進の通達は、その中で、1人1人の労働者名を記載した「建退共証紙貼付実績書」を工事完了届けとあわせて、発注者の埼玉県に提出することを元請に義務づけ、埼玉県で建退共帯広方式を実現しました。
また、埼玉県の建退共通達は「(元請は)労働者の便宜(べんぎ)を図るため、工事現場事務所での貼付に努めるものとする」と明言し、国・自治体を含めて全国ではじめて「工事現場事務所での貼付」を通達で明らかにしている点で、帯広方式を超えて「埼玉方式」とよぶことができるものです。
建退共帯広方式=北海道帯広市が、2000年10月1日から、帯広市の発注する公共工事について下請の労働者まで建退共の証紙が貼られていることを1人1人の労働者について確認することを元請に義務づけました。これは、全国で見てもはじめてのことであり、公共工事での建設労働者への建退共の完全適用に向けて大きな一歩となります。この制度は、2000年10月1日から、帯広市の「元請下請適正化指導要綱」を改正し、あわせて「建設業退職金共済制度関係事務受託処理要領」を制定し、1人1人の労働者名を記載した「建退共証紙貼付実績書」を「工事完成(完了)届け」とあわせて、発注者の帯広市に提出することを元請に義務づけ、下請の労働者にまで証紙が行きわたったことを確認するものです。
埼玉土建一般労組は、自治体交渉を通じて埼玉県内全市町村にこの帯広方式(埼玉方式)の適用を求めています。また、自治体でできることを、国でできないわけはありません。国土交通省に対して、建退共での帯広方式の導入を求めています。
埼玉土建一般労組は、自治体交渉を通じての県内全市町村にこの帯広方式(埼玉方式)の適用を求める運動、大手企業現場等への現場立ち入り・調査行動を通じての建退共加入の確認、徹底、大手企業現場等での建退共説明会を含む建設労組への加入説明会の開催、大手企業現場等での「建退共証紙貼付請求書」、「建退共手帳交付請求書」の活用など、取り組んでいます。
私たちは、建退共函館方式にも注目しています。帯広方式をとり入れている函館のばあいさらに、元請業者の責任で未加入の下請業者を建退共に加入させることを土木部長の名前で明記しています。そして、元請業者が市へ提出する下請選定通知書で、2次以下の下請が建退共に加入しているかどうかを、チェックします。その記載がない場合は、受理しません。これによって、証紙貼付がおこなわれないことがないようにしているわけです。
 入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)にもとづいて定められた「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」の中に、公共工事の発注者の責任として、「元請業者の適切な施工体制の確保のため、建設業退職金共済制度の適用を受ける事業主に係る工事現場であることを示す標識の掲示等の確認を行うこと」が明記されています。
 建退共の完全適用に向けての運動として、「元請の大手企業による事務受託」の積極推進、積極促進、さらに義務化が決定的に重要だと私たちは考えています。これを突破口として、建退共の普及促進は、いままでのようななかなか進まない状況からぬけ出し、いい方向へと決定的に転回し、いい方向での循環が開始されると考えます。
 そして、そのための拠点はすでに築かれています。1999年3月18日の労働省・建設省・建退共本部の連名通達は「元請事業主による積極的事務受託の推進を図る」と言明し、また2002年3月15日の埼玉県通達も「下請業者の規模が小さく、建退共に関する事務処理能力が十分でない場合は、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めるものとする」と明言しています。
 これを通達だけに終らせるのではなく、私たちの運動によって支え、通達の不十分さを補強しながら、実際に元請の大手に「規模が小さく建退共の事務処理能力が十分でない下請業者については、元請の大手業者の責任で建退共事務(加入・手帳交付・証紙貼付)の下請業者からの受託をおこなわせていく」ことが、決定的に大事だと思います。その際、制度として「元請の大手企業による事務受託」の義務化を実現することを、埼玉土建一般労組は運動方向として掲げています。
 また、公共工事等での建退共証紙購入の基準とされている「(建退共の)対象労働者の分だけ購入すれば足りる」の、「対象労働者」について、「建退共に加入している(建退共手帳を持っている)労働者」と狭く捉えるのではなく、あくまでも「対象労働者」とは「建退共の対象になっている(建退共に加入すべき)全ての労働者」と捉えることを、埼玉土建一般労組は、建退共加入促進、徹底の立場から主張し、掲げています。
 元請による事務受託の義務化(制度化)と「対象労働者」のまともな解釈、運用が結び付いたとき、建設労働運動によって結び付けることができたとき、建退共は大きく普及、促進、前進していくものと考えます。
 
 
◎ 06年4月「建退共加入促進について」へのゼネコン回答
 下記は、2006年4月13日、14日を中心に実施された全建総連関東地協第44回大手企業交渉での「建退共加入促進について」に対するゼネコンの回答の一部です。(ゼネコン14社を掲載)
(記録者の主観、記録不足、間違い等もあると思いますので、そのことを前提に読んで下さい。間違い、不足点等ありましたら email を通じてご指摘下さい。直ちに訂正・補強・削除等実施致します)
清水建設 1次(下請)を通じて建退共証紙を貼付している。
鹿島 公共・民間ともに全て貼付するよう全社員に通達。民間については事業主と折半。
大成建設 各支店の事務センターが窓口。元請の当社は、建退共証紙の購入と支給を適正に行っていく。
竹中工務店 官民の区別なく、貼付する。官民の区別なく建退共ポスターを貼るよう3月31日付で約300現場に徹底した。
大林組 事業主研修、安全衛生大会で指導している。
熊谷組 朝礼のときに事業主に説明している。
戸田建設 官民全ての現場で対応できる。
ハザマ 加入促進については、安全衛生協議会で説明している。
フジタ 建退共発足当時から、証紙の購入、交付を積極的に対応してきている。
東急建設 月1回、災防協や会議で啓蒙活動している。
西松建設 新規入場者教育等で説明している。
前田建設工業 建退共の看板等、現場でやっている。
三井住友建設 (全建総連・組合の「建退共説明会」への協力)検討させてほしい。具体的に日時・場所の指定があれば、対応できる場合もある。
飛島建設 加入の有無を確認し、加入希望も回答させている。希望者がいる場合、その事業者に指導している。(全建総連・組合の「建退共説明会」への協力)業務に支障のない範囲と労働者が了解すれば協力する。
 
 
◎ 【報告】 「元請責任での建退共証紙貼付のための自治体交渉の結果」
(以下は、2002年11月開催の第9回全国建設研究・交流集会の第1分科会での私の報告です)
 建設労働者の退職金制度である建退共は国の制度ですが、退職金ですから賃金の後払いということで、建退共問題に絞って報告させていただきます。
 埼玉県からいろいろ通達が出て、その結果が広まっているということとあわせて、建退共の現在の問題点について、どこが問題なのか、どういう方向でその問題を打開したらいいのかも含めて、短い時間ですが報告できたらと思っています。
 最初に、私達埼玉土建一般労組として建退共を広げる上で、帯広方式と呼ばれているものに注目しました。この建退共帯広方式と呼ばれているものは、北海道の帯広市が発注する公共工事では、現場の建設労働者一人一人について名簿を作る。1次下請に限らず、2次、3次、最終下請まで含めて、労働者の一人一人について名簿を作る。ただそうは言ってもという問題点は明らかにしますが、とりあえずそういう名簿を作って全員に建退共の証紙を貼付することを元請に義務付けたということで、これが画期的だということで注目したわけです。これによって、現場の建設労働者全員への建退共証紙の貼付状況を明らかにする。そういう名簿を「建退共証紙貼付実績報告書」と名づけていますが、この名簿を発注者の帯広市へ提出することを元請に義務付けたということです。函館市がこれに続いて、この帯広方式を採用しました。ただ函館の場合はさらに独自の「函館方式」と呼ばれている特徴がありますが、それは後から紹介します。
2001年の9月20日に埼玉土建一般労組として埼玉県の県土整備部と交渉して、いくつか要求を出したところですが、その一つとして建退共の帯広方式を、「最終下請に至るまで全ての現場労働者に、建退共の証紙を貼ることを元請の大手企業に義務付けるやり方を、埼玉県発注の公共工事で採用すること」を要求したということです。その他にも不払い相談窓口の強化拡充とか、元請責任での不払い解決を県が指導することとか、小規模契約希望者登録制度を作ることだとか、住宅リフォーム助成制度をつくることとか、地元中小業者への優先発注、あるいは公契約条例の制定ということを要求したわけですが、その中で、なかなか県民のというか、私達建設業者、労働者の要求に応えないという中でただ一つ、建退共の帯広方式についてだけは「有効なものと考えている。その採用について前向きに検討する」と約束しました。もちろん事前に建退共帯広方式の資料等は県側に提出しておいたわけですが、それを事前に検討していたようで、そのような回答が即座に行われたということです。そして2002年の3月15日に、都道府県で初めて埼玉県が建退共帯広方式を採用しました。埼玉県県土整備部長名と県知事名で出された建退共普及促進の通達では、「一人一人の労働者名を記載した建退共証紙貼付実績報告書を工事完了届とあわせて発注者の埼玉県に提出すること」となっています。元請に義務付けたということで、埼玉県で建退共帯広方式を実現したということになるわけです。ただし、600万円以上の工事に適用するということです。
埼玉県の建退共に関する通達はこれにとどまらず、埼玉県独自の特徴を含んでいます。「元請は労働者の便宜を図るため、工事現場事務所での貼付に努めるものとする」と明言しています。これは帯広とか函館とかの通達と比べて、こういう表現が入っているのは埼玉県だけです。この点で帯広方式を超え、埼玉方式と呼ぶことができると思っているところです。私達埼玉土建一般労組としては、埼玉県発注の公共工事での帯広方式の実現は、まさに建退共を普及促進する好機だと捉えて、自治体交渉を通じて県内の全市町村にこの帯広方式、埼玉方式の適用を求める運動に取り組みました。あわせて大手企業現場への訪問行動を通じて、建退共の説明等をやりながら組合加入の説明をあわせておこなうとか、大手企業現場で組合を通じて建退共証紙の貼付を請求する、あるいは建退共手帳の交付を請求する。さらに、保護帽(ヘルメット)に「建退共に加入しています」というシールを貼る運動に取り組んできています。その成果は既に大きく出始めています。各支部が行った自治体交渉の結果、新座市、あるいは騎西町がこの建退共埼玉方式を導入しました。報告書では入間市、加須市など多くの市町村が前向きに検討すると回答したと書きましたが、その後加須市議会が建設部長の回答として、2002年11月から契約額1000万円以上を対象に、試行的に実施する。2003年の4月からは、500万円以上の工事を対象に本格的に実施すると回答したということです。さらに、この建退共普及の県通達の反映と考えられる事例が続出しています。たとえば埼玉土建一般労組浦和支部(当時)の組合員の話として、元請から突然労働者3人分の1年分の建退共証紙と加入事務委託書が送りつけられてきたといいます。これはさいたま市有数の地場ゼネコンの下請で働く企業班の人です。さらに埼玉土建一般労組朝霞支部(当時)の組合員からは、建退共手帳を作って、持ってくるように会社から言われた。さらに吉川市立小学校、松伏町立中学校の工事現場責任者の話では、自治体から建退共のことで困るくらい責められている。あるいは埼玉土建一般労組大宮支部(当時)組合員の話として、大宮では公共工事の元請が下請企業に対して建退共に入れという指示を出している。あるいは埼玉土建一般労組熊谷支部の組合員からは、道路工事を請け負う企業では今下請労働者一人一人の名簿を作り始めている。建退共についての指示文書が県から続々ときている、というような状況になっているということです。
 さきほど紹介した建退共函館方式の特徴ですが、私達は函館方式にも注目しているところです。帯広方式を取り入れている函館の場合、元請業者の責任で建退共未加入の下請業者を建退共に加入させることを土木部長の名前で明記しています。そして、元請業者が市へ提出する下請選定通知書で2次以下の下請が建退共に加入しているかどうかチェックします。その記載がない場合は受理しないということで、これによって建退共の証紙貼付が行われないことがないようにしているのが特徴です。
 建退共の予定運用利回りの引き下げ問題が現在浮上してきています。まだ国会に出されたとかいう段階ではありませんが、そのような問題が実は一つあります。
 新しい掛金納入方式の検討として、手帳に証紙を1枚1枚貼るのはどうも事務量の面で問題があり、これがなかなか普及しない原因の一つだという認識の下に、ICカード方式とかOCR方式に切り替える実験が行われています。それには東京土建一般労組とか埼玉土建一般労組もモニターになって協力しています。
 それから、入契法と建退共の関連で、入契法では建退共の促進を図っています。
 最後に、どうすればさらに普及を促進できるかという問題では、やはり元請による建退共事務受託の促進が大事だと思っています。建退共の完全適用に向けて、元請の大手企業による建退共事務受託を積極推進することが重要だと考えているところです。これを突破口として、建退共の普及促進というのは決定的にいい方向に向かっていくと、私達は考えています。そのための拠点は既に築かれています。一つは、1999年3月18日の労働省、建設省、建退共本部連名の通達が、「元請事業主による積極的事務受託の推進を図る」ことをうたっています。さらに2002年3月15日の埼玉県通達も、「下請業者の規模が小さく、建退共に関する事務処理能力が十分でない場合は、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めるものとする」というふうに明言されているところで、行政でもこういう通達を出している。これを通達だけに終わらせるのではなく、やはり私達の運動によって通達の不十分さを補いながら、実際に元請大手に建退共の事務受託を迫っていく。加入、手帳の交付、証紙の貼付の事務を力のない下請にさせるのではなく、下請業者に代って元請の大手が行うよう、運動の力で実現させることが決定的に大事だというふうに考えているところです。
ここで実は問題点が三つあると思っています。一つは、いろいろな通達では対象労働者の分だけ元請が証紙を購入すればいいとなっているんですね。対象労働者というのは、私達は現場労働者全員だと思っていますが、実は行政の側では手帳を持っている労働者のことだと言っています。ということは、手帳を持っている労働者の分だけ元請のほうでは購入すればいいということです。これが一つの問題です。これを突破する必要があります。それから事務受託の中味の問題では、通達が出されていますが、残念ながら「証紙の購入だけの事務でいい」ということです。ただし、建退共への加入、手帳の請求、手帳への証紙の貼付事務もできます、という書き方です。ですから元請大手は証紙の購入だけをする事務を受託すればいいということで、大手企業交渉等で要求してもなかなかここは突破できていないという問題点です。さきほどの、一人一人の労働者全員の名簿を作って云々の名簿を見ると、被共済者氏名と書いてあります。被共済者ということはやはり、建退共に加入している人、手帳を持っている人と狭く捉えられるおそれがあるので、ここは運動によって現場労働者全員だというふうにどうしても突破していく必要があるということです。全建総連関東地協の大手企業交渉でも要求しているところですが、清水建設とか鴻池組とか、なかなかそういう回答はしない。ただ、公共工事だけでなく民間工事でも請求があれば貼るよというところまでは来ています。ただ、それは建設労組を通じて請求しないとなかなか貼ってくれない。個人で行ってもなかなか難しい。これは不払い問題と同じです。建設労組を通じて言っていくと、不払いも解決します。
 最後に、賃金でいうと全建総連関東地協の2002年秋の大手企業交渉の中で、私達は月額50万円はどうしても建設労働者と家族の生活のために必要だと要求しているところですが、ビッグゼネコンについてみると、清水建設が「50万円については目標として理解する」。あるいは鹿島建設が「理解できる」。竹中工務店が「理解できる」。大林組が「50万円はわかる」、と理解できるとは言っています。ただ、払えないよということです。理解はできるが払えないというところで、交渉だけでなくて、私達の組織の拡大強化、あるいは大手企業の現場への攻め込みということを通じて、交渉力の強化とか、力関係の転換によってはじめて賃金問題、建退共の問題、不払いの問題全て解決できるということで、やはり組織の力、運動の力で突破していくと、まあ当り前のことですが、解決していくことが大事だとあらためて感じているこの頃です。
 以上です。どうもありがとうございました。
 
 
◎ ───建退共について―――  斉藤克博建退共事業推進室長に聞く
 先日、独立行政法人勤労者退職金共済機構建設業退職金共済事業本部発行の「建設業退職金共済制度の手引き」(以下「手引き」と略します)等を教材として、斉藤克博建退共事業推進室長から話を聞く機会を得ることができました。
 そのときの話から、建設業退職金共済制度(建退共)の証紙(以下「証紙」と略します)の購入の基準としての「対象労働者」の考え方、また建退共の「事務受託」の考え方、「証紙の貼付」の考え方の3点について、以下に記述しておきます。
1 証紙購入の考え方
 手引きには、「この制度(建設業退職金共済制度)は、もともと公共工事であると、民間工事であるとを問わず、現場で働く人を雇ったときは、すべて適用していただくことになっています……証紙を購入する額は、工事に従事する元請・下請を含めた労働者の延人数に対応する額となっております」と書かれ、また「証紙購入の考え方」として「証紙の購入については、対象労働者数と当該労働者の就労日数を的確に把握し、それに応じた額を購入することとなっております」と書かれています。
 上記を読む限り、証紙購入については、建退共に加入している現場従事者(建退共の手帳を持っている現場従事者)だけでなくこの制度の対象になっている建設業の現場で働くすべての人の分を購入することとなっている、というのが「証紙購入の考え方」と読み取ることができます。
 しかし、斉藤克博建退共事業推進室長の説明によると、手引きが言う「証紙の購入については、対象労働者数と当該労働者の就労日数を的確に把握し、それに応じた額を購入することとなっております」の中の「対象労働者」というのは要するに、「建退共の手帳を持っている(建退共に加入している)現場従事者」を意味するとのことです。
 その時点で建退共に加入していないというだけで、建退共の対象になっている現場従事者を排除するものであり、法整備を含めて改善が求められる部分です。 
2 事務受託
 手引きには、次のように書かれています。「建退共の掛金は、現場で働く人たちを直接雇っている事業主が負担するのが原則ですが、証紙を確実に購入していただくために、元請で一括して負担していただくことをお願いしています。この場合元請は、工事に必要な労働者の掛金に相当する金額で証紙をまとめて買い、その証紙を下請の延労働者数に応じてそれぞれ下請に現物交付することになります……大手事業主(元請)に対しては、『事務受託者証』を発行して、中小事業主である下請に交付する証紙を購入できるようにしております」
 上記を読めば、元請による「事務受託」と言っても、「証紙の購入」だけでも「事務受託」になることが、わかります。
 私たちが求める「元請による事務受託」は、これにとどまるものでは全くなく、未加入の現場従事者のために元請の責任で建退共手帳を作り、交付することです。言い換えると、証紙の購入はもとより手帳の作成・交付、証紙の貼付等の建退共に関する事務のすべてを、下請に代わって元請が受託することです。
 全建総連関東地協の大手企業交渉の際、たまに「建退共の事務受託をしている」と回答する企業が存在しますが、証紙購入の事務受託のことを言っているのでしょう。
3 証紙の貼付
 手引きには、「新しく被共済者となった労働者はもちろんのこと、既に被共済者となっている労働者について、賃金を支払うつど(少なくとも月1回)、その労働者を雇用した日数分の証紙を手帳に貼り、消印してください」と書かれています。「少なくとも月1回」の貼付ということです。
 
 
◎ 建退共未払い報道に対する建退共本部の説明全文の紹介
 2007年10月20日(土)付けの読売新聞に、「建設業 短期労働者の退職金 20万人未払いの可能性」の見出しで、「建設業で働く短期労働者らを対象とした『建設業退職金共済制度』で、約20万人分の退職金が未払いとなっている可能性があることが、(2007年10月)19日、明らかになった。未払いの総額は不明だが、数百億円の規模に上る可能性もある。厚生労働省が同日、民主党の長妻昭衆院議員に説明した」云々の記事が載りました。(同趣旨の記事が朝日新聞にも載りました)
 上記の記事について、以下のように、建退共本部(独立行政法人勤労者退職金共済機構建設業退職金共済事業本部)が全建総連に「説明の文書」を寄越しています。以下が、その全文です。
平成19年10月22日
全国建設労働組合総連合 殿
独立行政法人勤労者退職金共済機構
建設業退職金共済事業本部
10月20日付け読売新聞の記事について
 10月20日付け読売新聞(東京版朝刊)におきまして、別添のような建退共に関連する記事(2面、「建設業 短期労働者の退職金 20万人未払いの可能性」という見出し)が掲載されましたので、ご連絡いたします。
 新聞報道では、3年以上手帳を更新していない「長期手帳未更新者」が約41万人となっておりますが、事実としては3年以上更新がなく、かつ、掛金を24月以上納付している者の数が41万人となっております。
 また、「約41万人が退職した場合の退職金の総額は数百億円の規模に上る可能性もある」とされていますが、建退共の現行の電算システムでは退職金を集計する機能はなく、数字の根拠は不明です。
 さらに、報道では約20万人分の退職金が未払いとなっている可能性があるとされておりますが、建退共制度は業界退職金制度となっており、「長期手帳未更新者」が建設業を一時的に休業しているのか、あるいは最終的に建設業界から引退しているかについては、被共済者本人の意思にもかかることであり、明確に把握することは困難であります。
 このことから、建退共においては、長期未更新者のうち、既に退職している者に対して確実に退職金の支払いを行うこと等を目的として、平成9年度より、毎年度、長期未更新調査を実施しており、可能な限り退職金の支払いに努めているところです。
 建退共では、被共済者の皆様方の退職金は、確実に記録に残されており、請求があればいつでもお支払いできる状況であることを申し添えます。
 今回の新聞報道では、何かとご心配をおかけ致しますが、建退共制度につきましては、今後とも皆様方のご理解をお願い申し上げます。
 
 
◎ (建退共)元請による「積極的事務受託の推進」のために
1 「元請責任での事務受託の徹底」
建退共問題では、全建総連関東地協の次回企業交渉では、「元請責任での事務受託の徹底」を要望の中心に据えるべきではないかと考えます。
 理由は、
 @ 建設労働運動が建退共普及促進の中心的ルートと考えているのが、「元請責任での事務受託の徹底」であること。
 A 「元請責任での事務受託の徹底」については、行政の通達の中にも一定の根拠があること、文書での明示があること。
 B 従来は、「元請責任での事務受託の徹底」を建退共の要求での中心として打ち出したことはなく、次回打ち出すことで、交渉を新鮮なものにできること。
2 行政文書に見る根拠
 「元請責任での事務受託の徹底」については、行政の通達の中にも一定の根拠があり、文書での明示があります。以下に紹介しておきます。
 @ 2002/3/15埼玉県知事通知「建設業退職金共済証紙購入及び貼付状況の確認について」
 上記の埼玉県知事通知の中に「下請業者の規模が小さく、建設業退職金共済制度に関する事務処理能力が十分でない場合は、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めるものとする」と明示されています。
 A 1999/3/18労働省、建設省、建退共本部連名の「建退共改善方策について」
 上記「建退共改善方策について」の中には「元請事業主による積極的事務受託の推進を図る。そのための事務受託処理要綱を策定するとともに、その普及を図る」と明記されています。
 そして、その「事務受託処理要綱」(「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱」)には、「証紙の購入に係る事務の受託」と並んで、「建退共制度への加入、手帳の請求、証紙の手帳への貼付その他証紙の購入以外の事務受託」が、次のように明記されています。
 「元請事業主が、建退共制度への加入、手帳の請求、証紙の手帳への貼付その他証紙の購入以外の建退共制度関係事務を下請事業主から受託する場合には、中小企業退職金共済法施行規則第65条及び66条に定めるところにより、事務を処理するものとする」
◎ 労働省、建設省、建退共連名1999/3/18「建退共制度改善方策について」全文
(以下に紹介するのは、1999/3/18労働省、建設省、建退共本部連名「建退共制度改善方策について」の全文です。建退共事務についての「元請による事務受託」の根拠にもなる文書であり、建設業法が定める元請責任と結び付けながら元請の大手企業に迫って、事務処理能力が十分でない下請に代って元請の大手企業に建退共の事務受託を行なわせる運動の強化が求められる今、再度注目する必要がある文書だと思います――海野)
建退共改善方策について
平成11年3月18日
労働省労政局勤労者福祉部福祉課  
建設省建設経済局労働資材対策室  
勤労者退職金共済機構建退共事業本部
 以下の各改善事項については、総合的に取組みを進めていくことが効果的であると考えられることから、原則として、一体のものとして、平成11年度当初から措置を講じていくこととする。
「@ 共済手帳及び共済証紙の受払い簿の様式策定・普及を図るとともに、経営事項審査用の加入・履行証明書発行の際の同受払い簿の添付を義務付ける。」
 中小企業退職金共済法施行規則第64条に定められた「共済手帳及び共済証紙の受払い状況を明らかにする」べき義務の履行の徹底を図るため、労働省は、共済手帳及び共済証紙の受払い簿の様式例(別紙1及び2)を示し、その周知を建退共に対して指示する。
 建退共は、下記Aの「事務処理の手引き」と併せ、全加入事業主に送付することにより周知、普及を図る。
 なお、本様式は、事務管理上の便宜に資するために示す標準的な様式例であり、当該様式により示された事項が明らかになるものであれば、個々の事業主が異なる様式を用いることを妨げるものではない。
 建退共において、経営事項審査用の加入・履行証明書を発行する際には、上記受払い簿(写し)の提出を求め、これらの書類等によって制度の適正履行を確認する等、よりきめ細かな審査を行なうよう、建設省から建退共に対して指示する。
 建退共においては、共済手帳の更新数及び証紙購入額が被共済者数に見合うものであることを基本とする経営事項審査用の加入・履行証明書の発行基準の統一化を図ることとする。
 経営事項審査用の加入・履行証明書発行を申請する際に添付すべき共済手帳及び共済証紙の受払い簿の範囲は、直近1年間分とする。
 経営事項審査用の加入・履行証明書の発行申請のために提出された共済証紙の受払い簿(写し)の内容については、当該元請事業主に係る下請事業主、関係する労働者及び発注者の求めに応じて情報提供することとする。
「A 建退共の事務手続き及び管理手法等の内容を盛り込んだ建退共事務処理の手引きを作成し、普及を図る。」
 @の受払い簿の内容、対象者の範囲、対象者に手帳の交付、証紙の貼付を行うべき旨その他の内容を盛り込んだ手引きを作成し、全加入事業主に送付する。(手引きの目次(案)は別紙3のとおり)
「B 証紙購入の「目安」を、よりきめ細かく、実態に即したものに改めるとともに、その位置付けを明確にする。」
 目安が設けられた昭和45年以降の建設現場の実態の変化に対応し、より実態に即した数値となるよう、算定の基礎とした「公共工事着工統計」における数値について直近の統計数字(平成9年度のもの)に置き換えて算出し直した数値に改めることとする。
 実態調査の結果、建設省所管の土木工事における積算内容等から、工事費用に占める必要とされる証紙代金の割合について、工事規模や工事種別によるかい離が大きいことが伺われ、かつ、上記による試算結果においても、工事規模別・工種別の購入率に大きな差異が見られることを踏まえ、よりきめ細かなものとして、「共済証紙購入の考え方について」(別紙4)(以下「別表」という。)を示すこととする。
 実態に即した今後の別表の見直しについては、頻繁に見直すことは煩瑣であり、かつ混乱も来すことから、原則として5年ごとに見直すこととする。ただし、毎年、直近の統計データに基づく検証を加え、大きなかい離が生じていることが明らかとなった場合には、5年を経過する前であっても、見直しを実施する。
 本来、証紙の購入は、対象労働者数と当該労働者の就労日数を的確に把握し、それに応じてなされれば足りるものであり、必ずしも別表に基づいて建設現場ごとに算出された額どおりに購入しなければならないものではないが、的確な把握が困難な場合に、必要に応じ発注機関や事業主において活用されるものである旨を、上記Aの「事務処理の手引き」等を通じて周知徹底する。
 また、建設省及び労働省から公共工事発注機関に対して、「掛金収納書」方式の採用を依頼するとともに、「掛金収納書」により受注者の共済証紙の購入状況を確認する際に、建設現場の実態に応じて必要な額の共済証紙を購入するよう指導することが困難な場合には、別表に基づいて建設現場ごとに算出された額を参考とするよう通知する。
 なお、各公共工事の発注機関において、建退共の定める別表を参考に、各々の実態に応じたよりきめ細かく、かつ、的確な証紙購入基準が設定されることを妨げるものではない。
「C 建退共各支部における相談機能の強化を図る。」
 これまでの主な相談事例及びその対応例をまとめた「相談対応マニュアル」を作成し、各支部に送付(通知)する。
 相談員については、来年度認可予算(案)において、現行の3名(本部)に加え、2名の増員(東京、大阪に配置し、それぞれ首都圏、近畿圏の相談を担当)を要求。(なお、別紙5を参照。)
 なお、労働基準監督署及び都道府県労政事務所において、建退共問題に関する相談を受けた場合には、建退共支部を紹介するよう、全国労働基準局長・労働主管部長会議(1月26日開催)において依頼した。
「D 元請事業主による積極的事務受託の推進を図る。そのための事務受託処理要綱を策定するとともに、その普及を図る。」
 元請事業主が下請事業主の事務を受託処理する場合の望ましい処理方法について、証紙の一括購入及び下請事業主への現物交付、下請事業主から元請事業主への対象労働者数及びその延べ就労日数の報告、証紙の貼付状況の報告等を盛り込んだ「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱(仮称)」(要綱に盛り込む主な事項案は別紙6のとおり)を、労働省・建設省の連名により策定する。
 本要綱については、労働省及び建設省より建設産業団体に通知し、当該要綱に沿った取組を各事業主に要請し、その普及を図ることとする。
 また、当該通知をする際には、「元請事業主は、中小企業退職金共済法第36条及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律第8条第2項の規定の趣旨等を踏まえ、関係する下請事業主の加入指導に努めるとともに、下請事業主において建退共制度に関する事務処理能力が十分でない場合には、できる限り下請事業主に係る建退共制度関係事務の受託に努める」旨を要請することとする。
(上記の「事務受託処理要綱」(「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱」)には、「証紙の購入に係る事務の受託」と並んで、「建退共制度への加入、手帳の請求、証紙の手帳への貼付その他証紙の購入以外の事務受託」が、次のように明記されています。「元請事業主が、建退共制度への加入、手帳の請求、証紙の手帳への貼付その他証紙の購入以外の建退共制度関係事務を下請事業主から受託する場合には、中小企業退職金共済法施行規則第65条及び66条に定めるところにより、事務を処理するものとする」――海野)
「E 雇用管理責任者等を対象とした事務手続き、管理等についての研修会を実施する。」
 雇用促進事業団の協力を得て、同事業団の各都道府県センターが実施する雇用管理研修において、建退共制度の事務手続き、管理等についての研修を実施する。(なお講師は、各建退共支部の役職員が対応する。)
「F 共済手帳の申込書に、役員報酬を受けている者や本社等の事務専用社員は加入できない旨明記するとともに、申込み受付の際にもその旨の徹底を図る。
 別紙7のとおり、申込書の様式を変更するとともに、申込み受付の際の徹底について、建退共本部から各支部担当者への指導を徹底する。
 なお、建設業における雇用実態にかんがみ、期間の定めのない現場労働者について「期間の定めのない」ことのみをもって、建退共制度の対象としないことは、制度の趣旨にかんがみ適当ではなく、建設現場で働く現場労働者については、従来どおり、基本的に制度の対象者として取り扱うこととする。
「G 証紙以外の方式の導入(ICカード方式、実態に応じた掛金後払い等)について建退共本部に検討の場を設ける。」
 来年度当初の検討会の開催を目途に、関連費用(研究費を含む)を、来年度認可予算(案)において要求。
 本検討会については、業界関係者、労働組合関係者等の有識者の参画を得て、1年を目途に検討会としての結論を得るよう努める。
「H 建退共加入事業主リストを、建退共各支部ごとに整備し、発注者、事業主及び労働者の閲覧の用に供する。」
 建退共各支部は、管下の加入事業主名、所在地及び連絡先のみが記載されたリストを作成し、備え付けておき、発注者、元請事業主、建設労働者等からの求めに応じて当該リストを閲覧の用に供するものとする。(建退共本部は、各支部からの求めに応じ、都道府県単位の当該リストを作成し、提供するものとする。)
 建退共加入の有無を明らかにすることにより、発注者の工事の発注や元請事業主による下請選定の参考に資するとともに、職場を転々とする建設労働者において、証紙の請求が可能な事業主か否かの把握の便宜に資する。
「I 加入促進対策の強化、制度の周知徹底を図る。」
 労働省において、毎年度、加入促進強化月間(10月)に合わせ、専門工事業団体を含めた各建設産業団体に対する加入促進(傘下会員企業への加入指導及び傘下会員企業を通じた当該企業の下請企業への加入指導)及び履行確保の依頼の通知を発出するとともに、機構において、各団体主催の研修会等における制度PR等の機会を得るよう努める。
 未加入業者検索による文書等による加入勧奨の強化(現行5年程度で一巡しているものを3年程度で一巡させる)その他の取組みを強化しつつ、着実に進める。
 「建設業退職金共済制度適用事業主工事現場」標識(シール)について、労働者にとってより分かりやすいものとなるよう、別紙8のとおり文言を改めた上、引き続き掲示の普及を進めるとともに、労働組合の協力も得て、労働者に対する制度の周知を図る。
 建設省から、建設業界に対して、建退共が経営事項審査用の加入・履行証明書を発行する際にはきめ細かな審査を行なうよう指示したことを周知し、建退共制度への加入及び履行の徹底について指導する。
 また、建設省直轄工事の受注者に対して、引き続き、建退共制度への加入及び履行の徹底について指導する。
(以下は、上記「建退共改善方策について」に基づいて策定された「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱」の全文です――海野)
元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱
(目的)
@ 本要綱は、元請事業主が、下請事業主に係る建設業退職金共済制度(以下「建退共制度」という。)関係事務を受託処理する場合における手続きを定めることにより、建退共の普及とその円滑かつ適正な履行を確保することを目的とする。
(証紙の購入に係る事務の受託)
A 共済証紙(以下「証紙」という。)の購入に係る事務を下請事業主から受託する元請事業主は、勤労者退職金共済機構(以下「機構」という。)から「事務受託者証」の交付を受けるものとする。なお、元請事業主が証紙の購入に係る事務のみを下請事業主から受託する場合には、当該交付に係る申請をもって、中小企業退職金共済法施行規則(昭和34 年労働省令第23 号)第65 条第1項に基づく機構への届書の提出に代えるものとする。
(共済証紙の一括購入)
B Aにより証紙の購入に係る事務を下請事業主から受託した元請事業主は、
自らが雇用する建退共制度の対象労働者(以下「対象労働者」という。)につい
て必要となる証紙及び当該受託に係る下請事業主(当該受託に係る下請事業主
が二次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合には、当該二
次以下の下請事業主を含む。二次以下の下請事業主が三次以下の下請事業主の
証紙の購入に係る事務を受託した場合も同様とする。)が雇用する対象労働者に
ついて必要となる証紙を一括して購入するものとする。
(証紙の適正購入)
C Bにより証紙を一括購入する元請事業主は、工事ごとに、自らが雇用する
対象労働者数、Aの受託に係る下請事業主(当該受託に係る下請事業主が二次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合には、当該二次以下の下請事業主を含む。二次以下の下請事業主が三次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合も同様とする。)が雇用する対象労働者数及びその延べ就労日数を的確に予測し、必要とされる証紙を適正に購入するとともに、必要に応じ、追加購入するものとする。この場合において、対象労働者数及びその延べ就労日数をあらかじめ的確に予測することが困難であるときは、必要に応じ、機構が定める「共済証紙購入の考え方について」を証紙購入の参考として活用するものとする。
(下請事業主による就労状況の報告)
D Aの受託に係る下請事業主は、各月ごとに、自らが雇用する対象労働者数
及びその延べ就労日数を元請事業主に報告するものとする。
(下請事業主による就労状況の把握の徹底)
E Aの受託に係る下請事業主は、Dの報告を適正に行い得るよう、建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和51 年法律第33 号)第5条第1項の規定に基づき選任される雇用管理責任者の活用を図るなどして、工事現場における対象労働者の就労状況を的確に把握し、管理するよう努めるものとする。
(下請事業主への証紙の交付)
F 元請事業主は、Aの受託に係る下請事業主からDの報告を受けた場合には、速やかに、当該下請事業主に対し、当該報告(Hによる報告を含む。)に基づき必要となる証紙を、現物により交付するものとする。
(下請事業主による証紙の貼付状況の報告)
G Fにより元請事業主から証紙の交付を受けた下請事業主は、各月ごとに又
は担当する工事終了後に、自らが雇用する対象労働者の共済手帳(以下「手帳」
という。)への証紙の貼付状況を当該元請事業主に報告するものとする。
(一次下請事業主が二次以下の下請事業主に係る事務を受託した場合の就労状況及び証紙の貼付状況の報告等)
H Aにより証紙の購入に係る事務を元請事業主に委託した一次下請事業主が
二次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合には、当該一次
下請事業主は、元請事業主に対してDの報告を行う際に、当該二次以下の下請事業主が雇用する対象労働者数及びその延べ就労日数を併せて報告するとともに、Gの報告を行う際に、当該二次以下の下請事業主が雇用する対象労働者の手帳への貼付状況を併せて報告するものとする。二次以下の下請事業主が三次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合も同様とする。
(一次下請事業主が二次以下の下請事業主に係る事務を受託した場合の証紙の交付等)
I Aにより証紙の購入に係る事務を元請事業主に委託した一次下請事業主が
二次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合において、Fにより元請事業主から二次以下の下請事業主に係る証紙の交付を併せて受けた当該一次下請事業主は、当該二次以下の下請事業主に対し、当該二次以下の下請事業主に係る証紙を、現物により交付するものとする。二次以下の下請事業主が三次以下の下請事業主の証紙の購入に係る事務を受託した場合も同様とする。
(下請事業主への報告の指導)
J Aにより証紙の購入に係る事務を受託した元請事業主は、下請契約を締結する際に、当該受託に係る下請事業主に対し、D及びGの報告を行うべき旨の指導を行うものとする。
(手帳及び証紙の受払い簿の作成及び備付け)
K Fにより証紙を下請事業主に交付した元請事業主及び当該証紙の交付を受
けた下請事業主(二次以下の下請事業主も含む。)は、手帳及び証紙の受払い簿
を作成し、事務所に備付けて置くものとする。
(その他の建退共制度関係事務の受託)
L 元請事業主が、建退共制度への加入、手帳の請求、証紙の手帳への貼付その他証紙の購入以外の建退共制度関係事務を下請事業主から受託する場合には、中小企業退職金共済法施行規則第65 条及び66 条に定めるところにより、事務を処理するものとする。
(元請事業主による手帳及び証紙の受払い簿の作成)
M Lにより手帳の請求又は証紙の手帳への貼付に係る事務を下請事業主から
受託した元請事業主は、当該下請事業主に係る手帳の受払い簿又は証紙の受払
い簿を併せて作成するものとする。
◎ 行政文書に見る「元請による建退共事務受託」の二重構造
1 「元請による建退共事務受託」の二重構造
 労働省、建設省、建退共連名1999/3/18「建退共制度改善方策」を見ても、また労働省、建設省、建退共連名1999/3/18「建退共制度改善方策」に基づいて策定された「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱」を読んでも、そこには、「元請による建退共事務受託」の二重構造が存在しています。それを乗り越えて、「元請による本格的、全面的建退共事務受託」への収斂を実現することができるのは、建設労働運動の力だと思います。
2 労働省、建設省、建退共連名1999/3/18「建退共制度改善方策」では
 一方では、「元請事業主が下請事業主の事務を受託処理する場合の望ましい処理方法について、証紙の一括購入及び下請事業主への現物交付、下請事業主から元請事業主への対象労働者数及びその延べ就労日数の報告、証紙の貼付状況の報告等を盛り込んだ『元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱(仮称)』を、労働省・建設省の連名により策定する」と述べ、「証紙の一括購入及び下請事業主への現物交付」を元請による事務受託のなかみとして描いてみせていますが、他方では、「下請事業主において建退共制度に関する事務処理能力が十分でない場合には、できる限り下請事業主に係る建退共制度関係事務の受託に努める旨を(元請に)要請することとする」と述べて、建退共制度関係事務全般についての「元請による事務受託」と受け取ることができる表現を用いています。二重構造です。
3 「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱」では
 一方では、「証紙の購入に係る事務を下請事業主から受託する元請事業主は、勤労者退職金共済機構から『事務受託者証』の交付を受けるものとする」との表現があり、もう一方では、「その他の建退共制度関係事務の受託」の項目を設けて、そこに、「元請事業主が、建退共制度への加入、手帳の請求、証紙の手帳への貼付その他証紙の購入以外の建退共制度関係事務を下請事業主から受託する場合には、中小企業退職金共済法施行規則第65条及び66条に定めるところにより、事務を処理するものとする」と記述しています。二重構造です。
 繰り返しますが、この二重構造を解消して、「元請による本格的、全面的建退共事務受託」への収斂を実現することができるのは、建設労働運動の力だと思います。
 
 
◎ ─── 全建総連参加による淺沼組建退共加入促進現場説明会 ───
 全建総連関東地協第47回大手企業交渉では、建退共加入促進関連での要望の一つとして「建退共への加入促進を図るため、『建退共加入説明会』を現場で開いてください。また『加入説明会』へ全建総連傘下の組合を参加させて下さい」をかかげました。
 この要望に応えて 2008/2/25 淺沼組が現場で、「建退共加入促進説明会」を開催し、その説明会に全建総連東京都連と埼玉土建一般労組を参加させました。 
 現場は、埼玉県ふじみ野市内の「コンフォール上野台第9住宅建設工事」で、発注者は都市再生機構、元請が淺沼組です。
 説明会には、約30人の職長、協力業者、現場従事者が出席。
 地元の埼玉土建一般労組ふじみ野支部の太田孝書記が建退共について説明。また、同支部の加藤隆博書記長が埼玉土建一般労組のパンフ、チラシを配りながら、労組への加入を訴えました。
 公共工事では、元請は、建退共の対象労働者の分の(建退共)証紙を購入し、それを対象労働者に貼付しなければなりません。民間工事でも「請求があれば証紙を貼付する」と全建総連関東地協との企業交渉の場で回答している大手ゼネコンが多数存在します。
 今回の説明会の現場は、発注者が独立行政法人都市再生機構であり、公共工事に準ずる工事という位置付けになります。
 「公共工事、民間工事を問わず、請求があれば証紙を貼付する」と多くのゼネコンが答えていますが、問題は、「1次下請を通して請求してほしい。現場労働者からの直接の請求はダメ」と回答していることです。
 今回の説明会でも、「現場労働者からの直接の請求はダメという趣旨は、どういうことなのか?」という質問が、出席者から出ました。
 ゼネコンは「証紙は現金と同じであり、現場に置いておくのはまずい」という趣旨のことを言い、また、現場で直接貼付する事務体制確保は困難というようなことを理由にしています。
 建設労組は、現場労働者への証紙の直接貼付を要求しています。建退共に関する2002/3/15の埼玉県知事通達は「労働者の便宜を図るため、工事現場事務所での貼付に努めるものとする」と明示しています。また、同通達は「下請業者の規模が小さく、建退共に関する事務処理能力が十分でない場合は、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めるものとする」と明示しています。正しい方向を示しているということができます。
 
 
◎ 建退共は賃金の一部 従って建退共証紙の貼り方は賃金を支払うつど
 建退共は賃金の一部であり、従って建退共証紙の貼付は、賃金を支払うつどということになります。
以下のように、「建設業退職金共済約款」でも建退共本部作成「建設業退職金共済制度事務処理の手引き」でも明確に、賃金を支払うつど貼付と規定しています。
 建設業退職金共済約款第6条 共済契約者は、被共済者に賃金を支払うつど、──円にその者を雇用した日数を乗じて得た金額に相当する額の証紙を建設業退職金共済手帳にはりつけ、これに消印することによって掛金を納付しなければなりません。
 「建設業退職金共済制度事務処理の手引き」 加入事業主は、加入従業員に賃金を支払うつど(少なくとも月1回)、その加入従業員が働いた日数分の共済証紙を共済手帳に貼って、消印してください。
 
 
◎ ── 建退共証紙購入の考え方 「対象労働者」とは何か? ──
 建退共の「証紙購入の考え方」、言い換えると証紙購入の基準としては、「証紙の購入については、対象労働者数と当該労働者の就労日数を的確に把握し、それに応じた額を購入する」となっています。
 たとえば、建退共本部のHPには、Q&A形式で次のように記されています。
Q 共済証紙はどのくらい購入すればよいのでしょうか。
A 共済証紙は、必要な枚数(対象労働者の延べ就労日数分)だけ購入するのが原則です。共済証紙の購入については、建退共制度の対象労働者数及びその延べ就労日数を的確に把握し、必要な枚数を購入すべきものです。
 2008/7/10 建設首都圏共闘の国土交通省関東地方整備局交渉に参加しました。
 証紙購入の基準とされている「対象労働者」の解釈について質問しました。
「建退共手帳を持っている(建退共に加入している)労働者」ということなのか? 「建退共手帳を持っている(建退共に加入している)かどうかにかかわりなく、建設現場で働いている労働者」ということを意味するのか?
 国土交通省関東地方整備局の担当者の回答は、「対象労働者」は「建退共手帳を持っている(建退共に加入している)かどうかにかかわりなく、建設現場で働いている労働者」を意味する、というものでした。
 以前確認したとき、埼玉県の担当者の回答(数年前)も、厚生労働省の担当者の回答(2008年1月)も、「対象労働者」は「建退共手帳を持っている(建退共に加入している)かどうかにかかわりなく、建設現場で働いている労働者」を意味するという趣旨のものでした。
 「対象労働者」の解釈について、そういう流れになっている、変化、前進していることを、感じました。
(参考)
2008/1/25 建設首都圏共闘の厚生労働省交渉
(以下は、建退共での厚生労働省の回答)
 公共事業での元請の、建退共証紙購入の基準とされている「対象労働者の分を購入すれば足りる」の「対象労働者」を、「建退共手帳を持っている労働者」と解釈するのはどうかと思う。そうではなく、「実態に応じて購入する」ということである。
 
 
◎ 2002年3月15日「建退共証紙購入及び貼付状況の確認」(埼玉県知事通知)
1 建退共埼玉県方式
2002年3月15日に埼玉県知事名で出された通知「建設業退職金共済証紙購入及び貼付状況の確認について」は、「証紙貼付実績報告書の発注者への提出」にとどまらず「労働者の便宜を図るため、工事現場事務所での貼付に努めること」を元請に課し、建退共埼玉県方式と呼ばれています。埼玉県内の同方式の普及では、同方式の導入自治体は、35自治体に広がっています。
 導入自治体をさらに増やし、導入自治体に対しては、元請による事務受託の義務化や最終下請の労働者に至るまで手帳取得を元請に義務づけるなど、求めていく必要があります。
 なお、公共工事での元請の証紙購入の第一の基準とされている「対象労働者」の解釈について、埼玉県はもとより厚生労働省(2008年1月 建設首都圏共闘との交渉)や国土交通省関東地方整備局(2008年7月 建設首都圏共闘との交渉)も「建退共手帳を持っている労働者という意味ではなく、手帳を持っているかどうかにかかわりなく現場の建設労働者という意味である」という趣旨の回答をしていることは、注目しておくべきです。
2 埼玉県知事通知からの抜粋
以下に、2002年3月15日に埼玉県知事名で出された通知「建設業退職金共済証紙購入及び貼付状況の確認について」からの、重要と思われる部分の抜粋を掲載しておきます。
「報告書(建設業退職金共済制度の発注者用掛金収納書を貼付した建設業退職金共済証紙購入状況報告書)を発注機関の長に提出した受注者は、当該受注工事における自らが雇用した対象労働者への共済証紙貼付実績及び下請業者が雇用した対象労働者への共済証紙貼付実績について、建設業退職金共済証紙貼付実績報告書により発注機関の長に提出し、確認を受けるものとする」
「(元請業者は)下請業者に対し共済証紙を現物交付し又は掛金相当額を下請代金へ算入するものとする」
「下請業者の規模が小さく、建設業退職金共済制度に関する事務処理能力が十分でない場合は、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めるものとする」
「工事に従事する労働者については、賃金を支払うつど、雇用日数に応じた共済証紙を共済手帳に貼付するものとする。また、労働者の便宜を図るため、工事現場事務所での貼付に努めるものとする」
3 明確にすべき課題
 埼玉県知事通知が言う「対象労働者」の範囲についての解釈を、「建退共手帳を持っている労働者という意味ではなく、手帳を持っているかどうかにかかわりなく現場の建設労働者という意味である」と明確化する必要があります。
 同様に埼玉県知事通知が言う「元請による事務受託」の範囲の解釈について、「建退共証紙の購入にとどまらず、建退共手帳の作成、労働者への交付、証紙購入、貼付等の建退共事務の全般を意味する」と明確化することが、求められています。 
 
 
◎ ─── 建退共「欠損金」についての建退共本部の回答 ───
 2008/7/28 情報として伝わってきている建退共「欠損金」問題について建退共本部に電話で確認したところ、次のような回答を得ることができました。
 @ 2007年4月〜2008年3月の1年間の欠損金が約124億円、発生している。
 A 退職金の支払いにただちに影響することはない。
 その理由は、
 退職金支払いの原資としての責任準備金が約8270億円存在し、退職金のほとんど(97〜98%)を確保している。
 利益剰余金残高854億円が存在する。
(電話での取材なので、その辺を割り引いて、参考資料として下さい)
 
 
◎ ──────── 厚労省部会 建退共見直し議論 ────────
 2008/9/8『建設通信新聞』によると、「厚生労働省の労働政策審議会中小企業退職金共済部会が建退共見直し議論を2008年9月5日にスタートした」とのことです。
 年内にはまとめる予定、とのことです。
 議論するのは、@予定運用利回りの見直し、A累積剰余金のあり方、B退職金支給要件の掛金納付月数の緩和、だとのことです。
 2003年に予定運用利回りが4.5%→2.7%に引き下げられています。
 同紙によると、今回の見直し議論は「現行の2.7%に据え置くか引き上げても3%程度にとどめるかが焦点になりそうだ」とのことです。引き下げの可能性はないと捉えていいのかどうか? 気になるところです。
 同紙によると、「累積剰余金」とは掛金に応じて対象者すべてに退職金支給をするために積み立てている責任準備金とは別に計上された剰余金。建退共の累積剰余金は2008年度決算で706億円に上っている、とのことです。
 「退職金支給要件の掛金納付月数の緩和」というのは、退職金をもらうには、「手帳に貼り終わった共済証紙が24月分以上。但し、死亡の場合は12月分以上」必要となっていて、掛金納付月数24月未満が実質掛け捨てになっているのを、改善する、緩和する、ということです。掛金納付月数24月未満であっても退職金をもらうことができるようにする、そういう方向の議論であり、建設労働者の要求と合致しています。
 
更新日時:
2008/09/21

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Last updated: 2009/7/5