COLUMN

何でも相談コラム
個人の尊厳、生命の絶対的尊重、両性の本質的平等のために
「建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払」関連(5)
「建設業法41条3項にもとづく元請責任での立替払」関連(5)
海野和夫
 
◎ 重層下請構造下の未払い事例の解決の構造 大手ゼネコンとの一定の信頼関係
(以下に紹介するのは、最近相談があり、割合早く解決に到った事例です。匿名で紹介します)
1 相談のなかみ
 元請―1次―2次―3次の重層下請構造です。3次が多額の未払いを受けている、との3次からの相談です。
 店舗関連の工事です。
○ 現場の都合で着工の時期が2週間遅れる。(着工の遅れの責任が誰にあるのかが一つのポイントです)
○ やり直し工事が多いが、上位下請が変更工事、追加工事を認めない。(やり直しの原因、責任が誰にあるのかが問題です。責任が元請または上位下請にある場合は、元請の責任での不払い解決が求められます)
○ 病気になってしまい、現場を続けられないと上位下請に説明して現場から抜けるようにしたが、材料はそのまま続けて納入してくれと言われ、対応してきた。この時点で契約金額を超えていた。しかし、上位下請からの支払いはない。(上位下請との合意の下に、「現場への材料納入」だけにしたということであれば、3次に問題はない、ということができます)
○ 工事が終ってからも、支払いがない。
○ 材料を支給し、人の手配をおこなった。病気になって途中で工事ができなくなったのだが、途中までの分と材料代の請求はできるのではないか?
 
2 解決
 関係者への配慮から、経過については省きますが、解決に到りました。
 解決の構造の基礎にあるのは、24年47回にわたる全建総連関東地協大手企業交渉の蓄積の中から大手ゼネコンと全建総連関東地協との間に形成された一定の信頼関係です。 
 一言で言うと、上記のように判断することができます。
 もちろん、上記構造を前提に、その上に、関係者の大変な努力、誠意、熱意が解決をもたらしたと言うことができます。
 
 
◎ 設計業務の委託料の不払いは元請による立替払の対象になるのか?
(匿名にしてあります)
 最近の倒産・不払いの増加、多発の中で、設計屋さんからの不払い相談がありました。相談を受けた人がまた、私に相談をしてきた事例であり、くわしい中味の聞き取りはこれからだということですから、知り得た情報からは結論的なことは書けませんが、「設計屋さんからの不払い相談」事例という新しい種類の事例なので、今後このような種類の不払い相談が増える可能性もあり、検討してみました。
1 「設計、調査、測量」は「建設工事」か?
建設工事は建設業法第2条に規定されている28業種となります。
 「土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、浚渫工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事」の28業種です。
「設計、調査、測量」について言うと、建設工事に係る設計、調査及び測量業務の委託がこの業種です。
「測量、建築関連コンサルタント、地質調査、補償コンサルタント、建設コンサルタント、その他の6業種となる」とのことです。
 したがって、「設計、調査、測量」は、建設工事の前段を形成するものですが、建設業法上の建設工事にはならない、ということになるようです。
2 「設計、調査、測量」は立替払の対象になるのか?
 今回相談のケースに即して言うと、上に大手の土木会社がいます。(仮に○○土木としておきます)
 わかっている範囲で書くと、次のような構造のようです。
 発注者─(元請)○○土木…(不明)…設計事務所─設計屋さん、という構造です。
設計事務所が設計業務を(1人で設計の仕事をやっている)設計屋さんに委託し、その委託料を支払わない、ということです。
○○土木がその設計事務所(今回不払いを起こしている設計事務所)と直接契約したのか、それとも○○土木とその設計事務所(今回不払いを起こしている設計事務所)との間にさらに他社が介在しているのか、不明です、まだわかりません。
 あくまでも仮にの話ですが、仮に○○土木が発注者から請け負った建設工事を他の建設業者に下請負させ、その下請負業者(1次下請)が今回の設計事務所(今回不払いを起こしている設計事務所)に設計業務を委託しているとすれば、結論を言いますと、(国土交通省関東地方整備局の解釈、見解に従えば)今回の設計業務委託料不払いは、元請の○○土木の責任での立替払の対象になり得る、ということができます。一言で言うと、建設業法41条3項に言う「下請が他人に損害を加えた場合」に該当するからです。
 逆に、○○土木がその設計事務所(今回不払いを起こしている設計事務所)と直接契約している場合は、相当たたかわないと、立替払を認めさせることは困難です。下請が存在せず、建設業法41条3項に言う「下請が他人に損害を加えた場合」に該当しないからです。ややこしい話ですが、国土交通省関東地方整備局の解釈、見解に従えば、そうなのです。
 これを乗り越え、突破するたたかいが必要です。
 
 
◎ NTT発注の耐火被覆改修工事での破産・不払い 廃石綿処理費用
(基本的に匿名にしてあります)
 今回、相談を受けた事例は、NTT発注の耐火被覆改修工事での破産・不払いで、特別管理産業廃棄物である廃石綿の処理費用を貰えなくなったというものです。
 次のような構造になっています。
 発注者(NTT)―元請―1次―2次―3次という重層下請構造です。
 発注者(NTT)と元請との契約は、耐火被覆改修工事の請負契約です。
 元請と1次との契約も、耐火被覆改修工事の請負契約です。
 1次と2次との契約は、「特別管理産業廃棄物である廃石綿の処理」の契約です。
 1次が破産し、2次が、特別管理産業廃棄物である廃石綿の処理費用を貰えなくなったというものです。
 相談に来た2次が心配しているのは、特別管理産業廃棄物の処理は建設工事ではないのではないか? 建設工事ではないとすれば、元請による立替払いの対象にならないのではないか? ということです。
 論点整理@ 特別管理産業廃棄物処理は建設工事か?
 産業廃棄物処理を行なうには、産業廃棄物処理許可を取得する必要がありますし、また廃石綿の処理など特別管理産業廃棄物処理を行なうには、特別管理産業廃棄物処理許可を取得する必要があります。建設工事の施工には、建設業許可の取得(一般建設業許可または特定建設業許可)が必要です。
 建設業法第2条は「この法律において『建設工事』とは、土木建築に関する工事で別表第1の上欄に掲げるものをいう」と規定しています。
 そして、その「別表第1の上欄」には以下の工事が掲げられています。
 「土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、浚渫工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事」
 したがって、特別管理産業廃棄物処理は「建設業法上の建設工事」ではないと解釈されていると考えることができます。
 論点A 建設業法上の建設工事に該当しない「特別管理産業廃棄物である廃石綿の処理」の代金は、建設業法41条3項が規定する元請責任での立替払の対象になるのか?
 結論から先に言いますと、建設業法上の建設工事に該当しない「特別管理産業廃棄物である廃石綿の処理」の代金は、建設業法41条3項が規定する元請責任での立替払の対象になります。
 『建設業法解説』(大成出版社)は、元請責任での立替払の対象になるものとして「賃金、工事代金、建設資材納入代金、(下請負人と工事現場周辺の商店等との取引関係に基づく)代金など」をあげています。
要するに、元請による立替払の対象になるのは、建設業法41条3項に記述されているように「(不払いを含めて)下請負人が他人に加えた損害」ということです。「特別管理産業廃棄物である廃石綿の処理」の代金の不払いが、元請による立替払の対象になることは、明白です。
論点B 立替払の対象になるには二つの壁を越えることが必要です。
「第1の壁」 「元請」が、建設業法上の「元請」に該当する必要があります。
今回のケースでは、発注者と「元請」との契約は、耐火被覆改修工事の請負契約です。言い換えると、建設工事の請負契約です。したがって、間違いなく、建設業法上の「元請」になります。第1の壁を越えることができました。
「第2の壁」 ややこしい話になりますが、国土交通省関東地方整備局の解釈によれば、「1次」が1次下請であることが必要です。
根拠は、建設業法41条3項の記述の中にあります。41条3項には「(元請による立替払の対象になるのは)下請が建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」と記述されています。
今回のケースでは、元請と1次との契約は、耐火被覆改修工事の請負契約です。「1次」は1次下請ということになります。したがって、今回のケースは、「下請が建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」に該当します。第2の壁も越えることができました。
 
 
◎ 「生協が工事を受注した場合、元請ではないのか?」について
 (匿名にしてあります)
 同様の構造での倒産・不払い多発の可能性もあり、以下に少し検討してみました。
1 今回検討するのはどのような構造か?
 生協が工事を受注。
 施主(生協会員)―生協(建設業許可を取得)―1次施工業者(生協会員)―2次施工業者(生協非会員)の構造です。 
 1次施工業者が破産し、2次施工業者が工事代金をもらえません。
2 生協の主張
 ○ 生協が生協会員の施工業者と「直接契約」し、施工業者が「責任施工」する。生協の「直接施工」とは言っていない。 
 ○ 生協と生協会員の施工業者との契約は、「請負契約」ではなく「業務委託契約」なので、生協は元請ではない。
3 検討
 『建設業法解説』(大成出版社)を読むと、次のような記述があります。
 「建設工事の完成と直接関係のない請負行為等を目的とする契約は、本法(建設業法)にいう下請契約に該当しない。たとえば、建設業者と資材メーカーとの間におけるブロック等の建設資材の製造委託契約は、下請契約ではない」
 上記の記述に照らせば、「建設工事の完成と直接関係のない請負行為等を目的とする契約」だとすれば、「製造委託契約」または「業務委託契約」などと称して、生協は元請ではない、と言い得るかもしれませんが、今回の生協と生協会員の施工業者との契約は「建設工事の完成と直接関係のある請負行為を目的とする契約」であり、言い換えると「建設工事の請負契約」であり、生協は元請という立場から逃れられないと、考えることができます。
『建設業法解説』には、次のような記述もあります。
 「許可を受けた事業協同組合は、組合として請け負った工事を、組合員はもちろん組合員以外の者にも下請させることができる」
 上記の記述に従えば、「建設業許可を受けた生協は、生協として請け負った工事を、生協会員はもちろん生協会員以外の者にも下請させることができる」ということであり、今回も単にこのとおりにしたと解するのが自然だと思います。
 なお、生協が主張する「業務委託契約」というのは相当あいまいな括りのようです。「業務委託契約」と称するもののなかみを精査し、どのような法的性質を持つものなのか(雇用、請負、等々)精査する必要があります。
 今回のケースでは、生協が施工業者に建設工事を行なわせているわけですから、生協が「業務委託契約」と称するもののなかみは「建設工事の請負契約」に他ならないと考えることができます。
 
 
◎ ―――(元請)代理人弁護士の文書回答 それへの国土交通省の評価―――
(関係者に配慮し、匿名にしてあります)
(この件では、国土交通省関東地方整備局に申し入れをおこないました。その際、同省が弁護士文書への評価、見方をかなり明確に示しましたので、以下にできるだけ客観的に紹介しておきます)
1 弁護士文書の論点とそれへの(建設労組側)の反論
 (元請)代理人弁護士が、以下のような文書を送ってきました。同弁護士の論点を一つ一つ検討し、解決への道筋を明らかにしたいと考えます。
 論点1「本件工事に関して、(不払い被害を受けた)3次下請業者は、建設労組に加入している業者だけではなく、材料納入業者等を含めると多数に上ることになりますが、仮に救済を検討する場合には、全社を対象にする必要があると考えます」
 元請として上記のように本気で考えているのなら、従来のように(不払い被害を受けた)3次下請業者を放置するのではなく、大至急、全社から個々に窮状を聞き取り、調査し、把握した上で、『建設業法解説』(大成出版社)が明らかにしているように「元請責任で、業者の窮状の救済に足りる金額での立替払」を実施すべきです。
 論点2「現在までに2次下請が、倒産の法的手続きを取ったとの情報はなく、かえって、1次下請に対して、代金支払いを求めて訴訟を起こし、現在裁判中であり、(3次下請は)2次下請に対する債権回収の可能性が相当程度認められるとも考えられる」
 建設業法41条3項に基づく「元請責任での不払い解決、立替払」は、倒産による不払いに限って適用されるのではなく、当然、倒産以外の原因(たとえば、倒産にまでは至らない経営不振とか上から払ってもらえないとか)による不払いの場合にも及びます。この点は、国土交通省の解説書『建設業法解説』に明示されています。したがって、今回のケースのように2次が倒産していないからといって、元請は、元請責任での不払い解決、立替払から逃れることはできません。
 そして、「2次が1次を相手に訴訟を起こしたのだから、債権の回収可能性がある」という主張について言えば、仮に「債権の回収可能性がある」としてもそれは可能性に過ぎず、現実は、3次には代金が支払われておらず、そのために3次は窮状に陥っています。したがって、「元請責任での不払い解決、立替払」を元請は実施し、3次を「救済」しなければなりません。
 この点については、前記の国土交通省の解説書『建設業法解説』が、立替払の基準として「損害額を限度として下請業者等の当面の窮状を救済するに足りる金額を基本とする」と明示しています。 
 2次が1次を相手に訴訟を起こしたからといって、元請責任が免除されることはあり得ません。国土交通省関東地方整備局が言明しているように「建設業法の主旨は、下請の保護、救済にある」のです。
 論点3「3次下請業者に対する立替払いを検討する際に、その原資として考えられていた、元請が1次下請に対して支払いを留保している金額については、1次下請と元請との間で訴訟に発展する可能性が相当程度高いと考えざるを得ません」
 上位下請に対して元請がまだ支払っていない工事代金(未払い工事代金)がある場合には、元請が(不払い被害を受けている)下位下請に立替払いをおこなった金額と上位下請への元請の未払い工事代金を、対当額(同じ金額)で相殺できることについては、有効と認められてきています。(東京地裁1998年11月9日和解、東京高裁2001年7月18日判決、さいたま地裁2002年6月25日和解)
 従って、上位下請への未払い工事代金がある場合には、元請は二重払いを避けることができます。元請はただちに、この金員を(不払い被害を受けた)3次下請業者に直接支払うべきです。
 論点4「以上からしますと、元請としましては、2次下請に関して倒産の法的措置が取られる、あるいは2次下請と1次下請との間の訴訟につき一定の方向性が明らかになる等の、事態の進展を待って対応を判断せざるを得ないのが現状です」
 上記反論から明らかなように、論点4は全く成立しません。論点4の論理は、元請責任を放棄し、(不払い被害を受けた)3次下請業者を冬の寒風の中に放置し続け、深刻な窮状へとさらに追い詰めるものです。
2 弁護士文書の論点への国土交通省関東地方整備局の評価
 (論点1に対して)「不払い被害を受けた全社が(元請責任での)救済の対象であるというのは当然のことであり、全社が明らかになるまで待つというのではなく、元請は、相談に来た1社1社について、窮状を聞き、救済に努めることが必要である」
 (論点2に対して)「1次と2次が裁判中というのは、(元請責任での)下請救済とは、全く関係のないことである。(元請責任での)下請救済をおこなわない理由とはならない」
 (論点3に対して)「元請ゼネコンが(上位下請への未払い代金がある場合)下位下請に直接払うことで解決している事例があるし、裁判でも問題ないとされている事例もあり、元請として下請の窮状の救済ということで適切な措置を考え、実施すべきである」
 (論点4に対して)「裁判が終るまで待つとかそういうことではなく、元請としてただちに対応することが必要である。『元請として下請の窮状の救済をどう考えているのか』と強く指導する」
 
 
◎ 「元請責任での立替払を拒否し続ける元請は倒産する」の一定の法則性
 2007/12/14 神奈川県の担当者のかたから「高山建設が倒産した」という情報が寄せられました。同社は神奈川県知事許可の特定建設業者ですが、建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払を拒否し続けてきました。
 かつて共栄冷機工業会社更生事件のとき、元請が多数存在し、他の元請は建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払を実施した中で環境建設だけが立替払を拒否し続け、環境建設は、今回の高山建設と同様に立替払を行わないまま破産に至りました。
 建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払を行わないような元請企業は倒産する、ということなのでしょうか? そこには確かに、一定の法則性、必然性のようなものが存在すると感じています。
 倒産した企業に追い討ちをかけるような酷な言い方で申し訳ないとは思いますが、不払い被害を受けた下請業者の苦しみを考慮し、以下に少し書かせていただきます。
特定建設業者の許可行政庁の国土交通省や県の言うことも全く聞かないで行政からの信用を失う、また、下請業者が不払いを受けて苦しんでいるのを全く放置して元請としての(建設業法が定める)「下請保護の特に重い責務」を全然果たさないで、結果として下請業者からも信用されなくなる、こういう企業ではやはり業績はよくならないわけです。財務体質に弱さがあっても、それはそれで、自分ができる範囲で下請業者を「救済」する、そういう姿勢を示すことが、やはり元請として世間の評価を受けるためには欠かせない大事なことだと思います。
 財務体力と誠実さの点です。
不払いを受けた下請業者を「立替払い」で救済する財務体力のないような企業に特定建設業者の許可を与えるようなことは、最初からやるべきではないと思います。一定の財務体力があるのかどうかよく見極めることです。不払いを受けた下請業者の「泣き寝入り」を防ぐためには、この点は大事なところだと思います。
 誠実さの問題です。弱い財務体力であっても、体力に応じて誠実に下請救済に努めるのであれば、元請としての下請保護、救済の責任をはたしたと評価できますが、「下請との約束を守らない」、「許可行政庁の指導を無視し続ける」、「下請との交渉のとき『コノヤロー』など暴言を吐く」等々不誠実極まりない企業についても、「特定建設業者の許可をはずす」、「特定建設業者の許可を与えない」ことが必要です。
 なお、法改正として決定的なことを言いますと、工事代金の中の労務費の部分を賃金として認め、社員の賃金と同様に「労働債権」として保護すること、こういう方向に法改正できれば、下請業者の苦しみは大きく減少し、軽減されます。
 
 
◎ 残土運搬は元請責任での立替払の対象 国交省も大手ゼネコンも認める
 今回、少し複雑な話になるのですが、「残土運搬」が建設業法に基づく元請責任での立替払の対象になるのかどうか、問題が発生し、最初、大手ゼネコン○○社は「残土運搬」は建設業法に基づく元請責任での立替払の対象にならないとの見解を打ち出しました。
 しかし、国土交通省関東地方整備局は逆に、「残土運搬」は建設業法に基づく元請責任での立替払の対象になるとの見解を示しました。
 そして、大手ゼネコン○○社は、国土交通省関東地方整備局の指導に従い、「残土運搬」が立替払の対象になることを認め、一定の立替払いを実施し、円満解決に到りました。
 国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)を読むと、建設業法上の「建設工事」の例示の一つとして、「根切り工事」をあげています。
 『総合工事業者・専門工事業者間における工事見積条件の明確化について─「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の作成─第3版』によると、根切り工事というのは掘削工事であり、工程は、掘削→積込→残土処理(残土運搬)の流れになります。
 今回、倒産・不払いが発生した現場の元請は、前述の大手ゼネコン○○社です。1次下請が△△社。
 ディベロッパーからマンション建設工事を請け負った○○社が、根切り工事を△△社に請け負わせました。
 次に△△社は、根切り工事を分けて、再下請負に出しました。「残土の運搬」については、××社に行わせました。××社はさらに、この残土運搬を□□社に行なわせました。
 ××社が倒産。□□社は不払い被害を受けました。
 □□社は、建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払いを、元請の特定建設業者の○○社に要請。
ところが、○○社は、△△社が××社に出したのは根切り工事の中の「残土運搬」の部分だったので、それを捉えて、残土運搬は建設工事ではない、従って、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象にならない、との見解を打ち出しました。言い換えると、下記の建設業法41条3項にある「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」にあてはまらない、というわけです。ややこしい話ですが、××社は、△△社から建設工事ではない残土運搬を請けたのであり、「建設工事を施工している建設業を営む者」ではないではないか、というわけです。また、残土運搬は建設工事ではないから、「建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」にあてはまらない、というわけです。
◎ 建設業法41条3項「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる」(アンダーラインは海野)
 
これに対して、以下は、国土交通省関東地方整備局の見解です。
@ 残土運搬は、建設工事ではない。
A 残土運搬は建設工事ではないが、今回の場合は、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になる。
(理由) 今回の場合、○○社と△△社の契約は、根切り工事という建設工事の請負契約であり、○○社は元請となる、元請の特定建設業者となる。これを言い換えると、△△社は、根切り工事という建設工事を請け負った下請業者となる。
 根切り工事という建設工事を請け負った下請業者である△△社が、残土運搬を××社に頼み、その××社が倒産して他人に損害を与えたのが本件の経過であり、これは、△△社が根切り工事という建設工事の施工に関し残土運搬の部分を××社に頼むことで他人に損害を加えたということであり、建設業法41条3項が言う「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」に該当する。
 従って、本件の場合、建設工事ではない残土運搬であっても、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になる。
(インタネットでの公表になじまないと判断し、○○社等、全て匿名にしました)
 
 
◎ 建設業法41条3項に基づく立替払と債権譲渡との関係 どちらが優先?(1)
 今回、相談を受けた事例は、
 元請の特定建設業者  A社
 1次下請(事実上の倒産状態)  B社
 2次下請      C社  工事代金150万円の不払い被害を受ける
 
 B社が事実上の倒産状態となり、工事代金150万円をC社に支払いません。実際に建設工事を施工したのはC社です。
 C社は元請のA社に、建設業法41条3項に基づく立替払いを求めました。交渉の過程で、この建設工事現場の分でA社がB社に未払いの工事代金が600万円存在することがわかりました。
 A社がB社に支払うべき分から150万円を直接C社に支払えば、建設業法41条3項に基づく立替払としてC社に支払えば、C社に支払った150万円については、A社は、B社に支払う必要はありません。
 ところがB社は、A社への工事代金債権600万円を、銀行に譲渡してしまいました。この債権譲渡を理由、根拠として元請のA社は、B社に支払うべき工事代金債務は存在せず、従ってC社に直接支払うこともできない、とC社に回答してきました。
 一つにはもちろん、元請A社はC社に対して、結果として二重払いになる立替払いを実施しなければなりません。
もう一つは、銀行への債権譲渡への対抗です。
 B社による銀行への債権譲渡に対抗するために、私たちは、債権者取消権、債権の同一性、信義誠実の原則、下請業者の工事代金の工賃としての性質などに注目し、主張する必要があります。
@債権者取消権
 債権者は、債務者がその債権者を害することを知ってした法律行為の取消を裁判所に請求できます。
 今回の事例にあてはめて言うと、B社への債権者である2次下請C社は、債務者であるB社がおこなった「A社に対してB社が持っている工事代金債権の、銀行への譲渡」という法律行為の取消を裁判所に請求できる、と解することができます。
A債権の同一性
 「債権は譲渡契約によってもその同一性は変わらない。すなわち、その債権に付随している利息債権・違約金債権・保証債権・担保権などの権利や、債権に付着している同時履行・期限猶予などの各種の抗弁権は、当然に譲受人に移転することになる」(有斐閣発行『民法(4)債権総論【第4版増補版】』206頁)
 今回の事例にあてはめて言うと、元請のA社が再下請業者におこなう建設業法にもとづく立替払いの金額と対当額(同じ額)で相殺されるという、その債権の性質は変わらないと解せます。したがって、債権が銀行に移転していても、移転する前と同じように元請のA社に対して建設業法にもとづく立替払いを要求できると解することができます。
B民法の「信義誠実の原則」
(民法)
(基本原則)
民法第1条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。
(解釈の基準)
民法第2条  この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
 「債権法では信義則(信義誠実の原則)の支配が強い。債権・債務関係は信頼関係の上に成り立つものであるからである。信義則は、民法の冒頭に一般原則として掲げてあるが、債権法について強く働く原理である」(有斐閣発行『民法(4)債権総論【第4版増補版】』7頁)
 今回の事例にあてはめて言うと、再下請業者に支払うべき債権を銀行に譲渡してしまうような行為は、明らかに信義誠実の原則に反し、無効だと、主張することができます。
C下請業者の工事代金の工賃としての性質
下請業者の工事代金は工賃(従って労働債権)としての性質を持ち、金融債権より優先すると主張することができます。
「下請業者の債権のように、実質的には工賃たる性質を持つ債権」(有斐閣発行『破産法概説【新版増補2版】110ページ』
 結論を言えば、工事代金債権の場合、債権譲渡より建設業法41条3項に基づく立替払のほうが優先すると、建設業法に基づく立替払の優位性を、私たちは主張すべきです。
◎ 建設業法41条3項に基づく立替払と債権譲渡との関係 どちらが優先? (2)
1 債権譲渡通知書
(今回送られてきた債権譲渡通知書は以下のとおりです。匿名にしてあります)
 債権譲渡通知書
 譲渡人兼通知人(1次下請B社)は、貴社(元請A社)に対して有する下記債権を2007年3月1日付債権譲渡契約書に基づいて譲受人へ譲渡いたしましたので、民法467条によりご通知いたします。
2007年8月8日
債権の表示
 売掛金及び請負代金債権のうち、本書面送達時に発生している債権及び今後6ヶ月以内に発生する債権の全て。
譲受人 ○○銀行
譲渡人兼通知人 B社
被通知人 A社
2 元請A社からの通知書
(以下は、B社による銀行への債権譲渡を理由、根拠として、建設業法に基づく立替払いを拒否する元請A社の通知書です)
 通知書
 B社の下請業者への工事代金不払いに対する支払い要請を受け、首件への回答を致します。
 B社が当社(A社)に対して有していた売掛金債権は、平成19年8月8日付け確定日付のある内容証明郵便にて、○○銀行へ債権譲渡する旨の債権譲渡通知書が届いております。従いまして、B社の当社(A社)に対する債権は存在しておりませんので、お申し出には応じられません。
3 対策
 元請A社は、建設業法41条3項に基づく立替払いを2次下請C社にする必要があります。「二重払いであることを、立替払をしない理由にすることはできない」と国土交通省関東地方整備局が明言しているとおりです。
 B社について言えば、銀行に債権譲渡したのは、簡単に言えば銀行から借金しているためでしょう。タダで債権を譲渡するわけがありません。返済の代わりとして債権譲渡をした、ということでしょう。
 2次下請C社に支払うべき工事代金債権を、自分の債務の返済のために銀行に譲渡してしまうなど、許されることではありません。この辺の徹底追及が必要です。
 あとは、「建設業法41条3項に基づく立替払と債権譲渡との関係 どちらが優先?(1)」で述べたとおりです。
 
 
◎ 2007/7/13「建設業法に基づく元請責任での下請保護」国土交通省回答
 2007/7/13国土交通省関東地方整備局への建設首都圏共闘の申し入れ行動、交渉が行われました。その際、「建設業法に基づく元請責任での下請保護、立替払い」の関係で以下のような質問、回答が行われました。今後の企業交渉のとき参考になると思いますので、紹介しておきます。
(質問)
@ 国土交通省関東地方整備局の該当部門による指導のなかみについてですが、建設業法に基づく指導、建設業法の範囲内での指導というのはもちろんあるわけですが、同時に国土交通省関東地方整備局の該当部門の役割、仕事の中には下請保護が入っているのだと思います。下請保護を貫徹するためには、建設業法に基づく指導があるわけですが、建設業法の範囲内での指導だけでなく、その他の法律、法令も使う、存在している諸事情、諸条件も使う、このことも必要だと思うのですが、どうでしょうか?
A 建設業法に基づく元請責任での立替払いについてですが、元請が立替払いなどしない、不払いを受けて下請が窮状に陥っていてもそんなことは知らない、と元請が開き直った場合、それですんでしまうのでしょうか? それではすまないということであれば、それですませないために、具体的にどのような指導を行うのでしょうか?
B 建設業法には、「元請に対する立替払いを勧告することができる」と規定されていますが、その勧告の基準は、勧告を発動する際の基準ですね、どのような諸事情、諸条件が存在すれば勧告は発動されるのか、教えて下さい。
C 元請によっては、いまだに「立替払いは賃金だけで、工事代金は立替払いの対象ではない」と言っているところが存在しますが、建設業法が定める元請責任での立替払いというとき、工事代金は立替払いの対象だと、再度明言して下さい。
(国土交通省関東地方整備局の回答)
@ 下請の保護はもちろんのことである。特定建設業者の許可だが、下請保護ということで特定建設業者の許可を与えている。そのように特定建設業者の元請を指導していきたい。
A (元請責任での立替払いについて)解決に当たらない特定建設業者の元請に対しては強く指導していく。
B (立替払いの勧告発動の基準)勧告となると、事実認定が許可行政庁としてむずかしいし、民事不介入ということもあるし、むずかしいので、あくまでも指導で下請業者を救済する。
C 工事代金は、建設業法41条3項に基づく立替払いの対象に入っている。付言すると、建設資材納入代金も立替払いの対象に入っている。
 
更新日時:
2008/01/24
建設業協会、鉄骨工事、メカニクスリエン法、労働法制改悪、違法コピー
建設業協会、鉄骨工事、メカニクスリエン法、労働法制改悪、違法コピー
海野和夫
 
◎ 横浜市での建設業協会と建設労組の共同要望書などより高次元の運動形態へ
1 高次元の協力共同へ
(神奈川県連横浜市連書記長の吉良比呂志さんから次に紹介するようなメールを寄せていただきました。建設業協会と建設労組との協力共同を、より高次元の運動形態へとさらに高めるものです。要旨を紹介させていただきます――海野)
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年末にかけて、横浜市役所への予算要求が(2007年)12月26日に両団体(横浜建設業協会と横浜建設労働組合連絡会)で、街づくり調整局局長、部長交渉を行うことになりました。交渉の後、午後4時から市役所記者クラブで「共同記者会見」も実施します。
また、これとは別に、横浜に2校ある認定職業訓練校(横浜校、鶴見校)への市の補助金の半減通告に対して、組合は1000筆の個人署名、110の団体署名を集め、徹底抗戦を行いました。同時に建設業協会も、「地域の安全・防災の重要な役割を持つ建築技能職育成に対する責任放棄」という抗議を行い、市議会各会派にも共同で要請を行いました。来年(2008年)2月に行われる予算議会で、同削減案は事実上撤回せざるを得ないところまで押し返しました。(2007年12月19日)
その後、(2007年12月)20日、協会事務局長から「若干の打ち合わせ」の要請があり、
@ 訓練校補助金削減反対の要請は引き続き協会としても行う。来年度予算編成に向けての詰めの作業は組合と当局で協議を進めてほしい。
A そのこととは別に、(2007年)12月理事会で「横浜建設業協会として、後継者育成事業に本格的に乗り出す」ことが提案された。それは、現在、組合が運営する認定訓練校への支援を行うことからスタートしたいと考えている。最終的には来年(2008年)2月の理事会で正式決定する。
以上2点が提案されました。認定訓練校への業界側からの支援は大きな「歴史的な成果」になるのではと思っています。
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2 横浜建設業協会と横浜建設労働組合連絡会の共同要望書
(以下に紹介するのは、横浜建設業協会と横浜建設労働組合連絡会の、中田宏市長への共同要望書です。建設産業での建設業者と建設労働者の共同行動を、より高次元の運動形態へと高めた画期的なものだと思います――海野)
平成20年度(2008年度)横浜市予算に対する要望書
横浜市におかれましては建設業の活性化と労働行政の推進に尽力されておられることに敬意を表し、心よりお礼申し上げます。
 さて、横浜建設業協会と横浜建設労働組合連絡会は、これまで建設産業の活性化に向けて意見交換を行い、その結果、市内建設業の活性化に関連する施策に対する要望を取りまとめました。
 横浜市においては、次の要望事項を取り入れて、平成20年度(2008年度)予算編成を実施するよう要望いたします。
1.安全・安心な街づくりの推進について
 市民生活に直結する幹線街路などのライフラインの整備、公共施設の長寿命化対策、学校や医療・介護施設などの耐震・防災化の促進を図るとともに、これらの公共工事を地元企業に優先的に発注するように要望します。
2.市内建設業の振興について
 横浜市の建設業は、倒産がこの10年、100件前後を推移し、その多くが中小業者や下請け業者です。建設投資の縮小、1990年代末から公共工事の減少、住宅建設の低迷などが地域建設業者を直撃しています。建設業者は根絶やしにされるのではないかという危機感さえ抱いています。地域建設業は、住民がより良い社会生活を営む上で必要不可欠な住宅、道路、教育、福祉、上下水道などの社会基盤を作る基幹産業で、地域経済の発展に大きな役割を果たしています。
@横浜市発注工事においては、市内業者への発注(工事額)割合を引き上げ、下請け業者及び資材業者の横浜市内の調達の促進、地域社会に貢献する優良な業者への受注機会の優遇措置を図るよう要望します。
A建設業界の要望・意見を取り入れながら、横浜市関係部局が連携して地域建設産業の振興を図るよう要望します。
B木造建築の伝統工法の継承及び若年建築技能者養成のための助成措置を拡充するように要望します。
3.入札・契約制度について
 入札制度「改革」によって低価格競争が助長され、ダンピング受注・赤字工事が横行し、多くの市民が働いている市内建設業者が経営難・倒産に追い込まれ、下請け企業の専門業者、現場作業員の賃金等へのしわ寄せが顕著になっています。
 予定価格の事前公表は、過度の価格競争を助長し、適切な競争入札を妨げるとともに、建設業者の積算意欲を低下させ適切な工事の施工や企業の健全経営を阻害するものとなっています。ダンピング受注の最大の原因となっている予定価格の事前公表を即刻廃止するよう要望します。
 また、最低水準価格は予定価格の70%〜85%の低水準で設定され、低価格競争を激化させる要因となり、一方では入札不調が増加する原因にもなっています。完了した工事のコスト調査などを行って実態を把握し、工事の安全と品質を確保し、建設業者が健全な経営を維持するための適切な利益を確保できるよう、最低制限価格の引き上げを要望します。
4.市場価格に対応した設計労務単価と適切な労働基準について
 建設資材の高騰により、公共工事の受注者は実勢価格の高騰をしわ寄せされています。また、建設技術者の賃金は建設労連の調査でも平均日額で15,537円に落ち込み、さらに公共工事と民間工事の賃金を比較しても公共のほうが414円低く、建設業は技能者不足と後継者の減少など夢のない産業になっています。
 横浜市におかれましては、その時々の市場単価に連動した設計単価の採用と建設現場労働者に適切な賃金が支払われる水準の積算を要望します。
 
 
◎ 鉄骨工事の工場製作過程 物理的性質同一 法的性質違う 法解釈のマジック
 一部に誤解、混乱、無理解が見られますので、鉄骨工事の工場製作過程の法的性質の問題について、以下に再度、その構造をできるだけ単純明快に明らかにしておきたいと考えます。それはまさに、行政による法解釈のマジックとでも言うべきもので、物理的性質は同一の過程を、法的性質は異なる過程と解釈するもので、このマジック的解釈により下請業者に泣き寝入りを強要するものです。
 便宜上、A構造、B構造の2種類とします。
 単純化すると、
 A構造は、
 元請―(鉄骨工事の)1次業者―(鉄骨工事の工場製作過程の)2次業者という構造です。
 B構造は、
 元請―(鉄骨工事の工場製作過程の)1次業者―(鉄骨工事の工場製作過程の)2次業者という構造です。
 国土交通省関東地方整備局の解釈によると、A構造で、(鉄骨工事の)1次業者が倒産等で(鉄骨工事の工場製作過程の)2次業者に代金不払いを起こした場合は、この代金不払いは、元請責任での立替払の対象になります。鉄骨工事は建設業法上の建設工事であり、A構造の場合は、不払い発生の場合元請責任での立替払を定めている建設業法41条3項が言う「建設工事の下請業者が加えた他人への損害」に該当するからです。これは、当然の解釈だと思います。
 ところが、B構造で、(鉄骨工事の工場製作過程の)1次業者が倒産等で(鉄骨工事の工場製作過程の)2次業者に代金不払いを起こした場合は、この代金不払いは、元請責任での立替払の対象にならないというのが、国土交通省関東地方整備局の現在の解釈であり、見解です。なぜなら、「鉄骨工事の工場製作過程」は工場作業であり、建設業法上の建設工事ではなく、したがって、B構造の場合は、「建設工事の下請業者が加えた他人への損害」に該当しない、というわけです、彼らの解釈によると。
 鉄骨工事は、「工場製作過程」と「現地組立過程」の二つの部分で形成されています。
 A構造のように、「工場製作過程」と「現地組立過程」の二つの部分を1次業者が一緒に請け負った場合は、鉄骨工事という建設工事の請負となり、現地組立過程だけでなく工場製作過程の代金不払いも元請責任での立替払の対象になるのに対して、B構造のように、工場製作過程と現地組立過程を別々の1次業者が請け負った場合は、工場製作過程の代金不払いは、元請責任での立替払の対象にはならないというのが、行政(国土交通省関東地方整備局)による法解釈です。
 A構造の場合もB構造の場合も、「工場製作過程」の物理的性質は同一です。物理的性質は同一なのに、法的性質は異なるという法解釈のマジックを許すことなく、下請業者のこれ以上の泣き寝入りを防ぐための、法改正を含む運動が、建設労働運動に求められていると思います。 
 
 
◎ メカニクスリエン法?
 社団法人建設産業専門団体連合会(建専連)が2007年4月23日に、第12回建設産業政策研究会に提出した文書『今後の建設産業の姿、今後の建設産業政策に向けた意見』の中に、「米国政府の下請保護政策の一つにメカニクスリエン法がある」という箇所があるが、メカニクスリエン法とは何か? わかれば教えてほしい、との質問が寄せられましたので、少し調べてみました。
 建専連の上記文書の、該当箇所には、以下のように記されています。
「下請業者の権益を守る法制度等の整備───米国政府の下請保護政策の一つにメカニクスリエン法がある。下請業者が契約どおりに作業したにもかかわらず元請業者が下請代金支払をしない場合に、下請業者は作業した部分に係る所有権を裁判所に申し立てる権利である。従って、元請業者は完成した建造物の所有権が認められないため、発注者への引渡しはできなくなる。この権利は、元請業者又は直接発注者に対して行使できる。日本では、建設工事に係る下請契約書の中で上記のような下請業者を保護する制度(留置権)が確立されていないため、早急に法制度(整備)を行う必要がある」
 これを読むと、メカニクスリエン法のなかみが、「下請業者が契約どおりに作業したにもかかわらず元請業者が下請代金の支払をしない場合に、下請業者は作業した部分に係る所有権を裁判所に申し立てる権利である。従って、元請業者は完成した建造物の所有権が認められないため、発注者への引渡しはできなくなる。この権利は、元請業者又は直接発注者に対して行使できる」ということであることが、わかります。
 そこで、メカニクスリエンを和訳すると、どうなるのか、調べてみました。
 国土交通省『新たな保証制度に関する実務研究会報告』に、次のような箇所があるのを、見つけました。
 「支払ボンドは、元請業者の破綻等の場合に、下請代金等の支払をボンド引受機関が行うものである。米国では民間工事では代金の支払がない場合には対象工作物についてlien(留置権)が認められているが、公共工事においてはこれが認められず、このため、元請業者が破綻した場合、下請業者や資材納入業者が発注者に対して支払請求を行い、発注者がトラブルに巻き込まれる事態となる。このため、ミラー法により、支払ボンドの制度が整備され、元請・下請間で支払いトラブルが生じた場合でも公共工事の引き渡しが適切に行われるように措置されている」
Lienを和訳すると、「留置権」ということになるのが、わかりました。
メカニクスはmechanicsだと思います。
これをつなげれば、mechanics lien(メカニクスリエン)となります。
で、mechanics lienで検索してみました。 
mechanics' lienを和訳すると、「建物工事の留置権」を意味することが、わかりました。
 また、以下のサイトに英文で、mechanics' lienの説明が載っています。
http://davis-stirling.com/ds/pages/mechanics_liens.htm
なお、「留置権」とは、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を占有し、留置できる権利です。建設業に即して言うと、建設工事を請け負い、施工し、完成させた建設業者が、その工事代金を受け取るまで、その建築物を預かっておく権利です。
◎ 米国の下請保護政策と言われるメカニクスリエン法を少し和訳すると
http://davis-stirling.com/ds/pages/mechanics_liens.htm
はじめに
 上記サイトをどの程度信用、信頼できるのか、私にはわかりませんが、このサイトに米国の下請保護政策と言われるメカニクスリエン法の説明が英文で載っています。
 それを参考にして、工事代金等の不払いの場合どうなるのか関心を持って、以下に少し書きました。英文読解が正しいかどうかという問題もありますので、それも考慮して読んで下さい。
メカニクスリエン法?
(優先権)
 メカニクスリエン法は、工事代金や建設資材納入代金をまだ支払われていない建設業者や建設資材納入業者に優先権を与えます。
(留置権の登記)
 代金を支払われていない場合、建設業者による工事の施工または建設資材納入業者による建設資材の納入から利益を受けた建築物、工作物について、彼ら建設業者または建設資材納入業者は、メカニクスリエン法に基づいて留置権を登記することができます。
(処分、担保は困難)
 建築物、工作物について、メカニクスリエン法に基づいて留置権を登記されると、そのオーナーたちがそれを処分または担保にすることは、困難になります。
(登記のプロセス)
 留置権を登記するためには、いくつかのプロセスを経る必要があります。
 留置権を登記するには、20日前に相手に通告しなければなりません。
 留置権の主張の文書化。
等々。
(留置権の解除)
 全額払われた場合は、留置権を解除することができます。
 
なお、念のために
 米国のメカニクスリエン法は、民間工事に適用になります。メカニクスリエン法に基づく留置権の行使は公共工事では認められず、公共工事では代わりにミラー法により、支払ボンドの制度が整備されています。
なお、「留置権」とは、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を占有し、留置できる権利です。建設業に即して言うと、建設工事を請け負い、施工し、完成させた建設業者が、その工事代金を受け取るまで、その建築物を預かっておく権利です。
 
 
◎ ホワイトカラーエグゼンプション(white collar exemption)
1 「日本版エグゼンプション(適用除外)制度」法案化の動き
 労働時間の規制を取り払い何時間働かせても残業代を払わずにすむ「日本版エグゼンプション(適用除外)制度」=「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入に向けて厚生労働省が動いています。
厚生労働省は、2006年12月8日に開く労働政策審議会労働条件分科会に「日本版エグゼンプション(適用除外)制度」=「ホワイトカラーエグゼンプション」について提案する予定とのことです。
この制度については、2005年6月に日本経団連が提言を行い、2006年6月に厚生労働省が素案を示しているとのことです。厚生労働省は2007年の通常国会に法案を提出する意向だとのことです。
日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎事務局次長は「エグゼンプションは過労死促進法だ。1日8時間、週40時間の基本的人権を壊すものだ」とのべています。
2 ホワイトカラーエグゼンプション
ホワイトカラーエグゼンプション(white collar exemption)は、「ホワイトカラー労働者」に対する(労働基準法第32条が定める)労働時間規制(8時間労働制)を適用免除(exempt)する制度です。
 はっきり言えば、まさに労働時間の規制(8時間労働制)を取り払い、何時間働かせても残業代を払わずにすむ制度です。労働時間の法的規制をなくせば、際限ない長時間労働が合法化されます。まさに過労死促進法です。
労働基準法第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
3 8時間労働制 メーデー ロシア革命 ILO第1号条約
 エンゲルスが書いた『イギリスにおける労働者階級の状態』が明らかにしているように、8時間労働制のような労働時間規制のなかったときには、女性、子供を含めて長時間酷使され、当時のイギリスの平均寿命は極度に低くなったとのことです。
 それ以来、8時間労働制は、労働者階級の悲願でした。
1886年5月1日にアメリカの労働者階級が8時間労働制を要求してストライキに立ち上がったことがメーデーの起源と言われています。
 1917年のロシア革命は8時間労働制を宣言し、8時間労働が初めて国の法律として制定されました。
1919年のILO第1回総会は「1日8時間・週48時間」を第1号条約の条文に定め、8時間労働が国際労働基準であることを定めました。日本政府はこのILO第1号条約を批准していないとのことです。
 
 
◎ ―― コンピュータソフトウェア等の違法コピー 注意喚起 ――
下河邉明氏は、コンピュータソフトウェアの適正な使用について、次のように注意喚起しています。
「購入していないソフトウェアあるいは使用許諾(ライセンス)のないソフトウェアをコンピュータに違法に組み込んで使用しないこと」、「業務上必要があって使用しようとする未導入のソフトウェアについては……購入した上で、コンピュータに組み込んで使用すること」、「ソフトウェアの違法コピーは『著作権法違反』という刑事罰の対象となりうる行為であるため、発見された違法コピーソフトウェアを安易に削除することは、証拠隠滅に該当する可能性もあるとBSAは解釈しています」
氏が注意喚起しているように、ソフトウェア等の違法コピーは著作権法違反として刑事罰を科せられます。そして、刑事罰が強化されています。2005年1月1日施行の改定著作権法では、著作権侵害行為に対して、従来の3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰が、5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科へ。また、法人への罰金の上限が1億円から1億5000万円に、それぞれ引き上げられるなど、大幅に罰則が強化されています。そして、これらの刑事罰とは別に、不法行為に対する民事上の損害賠償が科せられます
 氏が名前をあげたBSAは、ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)のことです。「BSAは、世界65カ所以上の国や地域で政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を通じて、ビジネスソフトウェア産業の継続的な成長とともに、安全で信頼できるデジタル社会の実現に貢献している非営利団体」とBSAのサイトで自己紹介しています。
BSAのサイトは下記のとおりです。
http://www.bsa.or.jp/press/2006/060206.htm
 下河邉明氏は、さらに次のように注意喚起しています。
「ソフトウェアをライセンス(使用許諾)の数を超えてコンピュータに組み込んで使用させることがないよう、(管理者は)常に注意すること」
氏が注意喚起しているように、1ライセンス、1インストールが、適法な状態です。インストール数がライセンス数を上回っていれば、違法状態の発生です。上回っている分は違法に使用されているソフト、ということになります。
 下河邉明氏は、注意喚起の中で「参考」として以下の事例(ここ数年間に起きたソフトの違法コピー事件)をあげています。
@ 2001 年5 月16 日 大手資格試験予備校に対して損害賠償を命じる判決
東京地方裁判所は、某大手資格試験予備校が違法にソフトを複製して使用していたことについて、ソフトメーカー3 社が損害賠償を求めて起こしていた民事訴訟で、同社に対し、8,472 万400 円の損害賠償の支払いを命じる判決を下した。
A 2002 年9 月3 日 不正コピーでコンピュータースクール3 校を提訴
コンピュータソフトメーカー5社が、東京と大阪の専門学校とコンピュータースクール合計3 校を相手取り、スクール内でのソフトウェア不正コピーについて、著作権侵害による損害賠償を求める訴訟を起こした。2003 年10 月23 日大阪地裁は、会社・代表取締役双方に対し、総額3,878 万円を連帯して支払うよう命じた。
B 2005 年8 月25 日 某県庁が不正コピーで賠償金を払い、和解
某県庁○○部でワープロソフトや表計算ソフトなど159 本を二重コピーしていたのが判明し、約500万円の賠償金を支払うことが明らかになった。
C 2005 年9 月16 日 某国立大学で一部コンピュータに証拠保全措置
某国立大学が,BSA(ビジネス・ソフト・アライアンス)からコンピュータソフトの違法コピーの疑いがあるとして訴えられ、地裁がその大学に対して証拠保全の措置をとった。その結果、違法コピーされたソフト約80 件が見つかり、学内にある約1 万台のコンピュータについて、適正なソフトウェア管理がなされているかどうかの調査を進めている。調査結果により,BSA と交渉を進めていくとしている。
D 2006 年2 月1日 某国立大学でソフトの違法コピーを認め、和解交渉に
某国立大学がBSA からソフトの違法コピーがあるとの通知を受け、全学のコンピュータについて調査したところ、その事実が判明したため、和解交渉を進めている。
◎ 二つの判例  ソフトウェア、DVD等の違法コピーと著作権法 
1 はじめに
コンピュータソフトウェア、DVD等の違法コピーと著作権法との関係を考慮すると、コンピュータソフトウェア、DVD等の違法コピーは、「企業に追及が及ぶ可能性」(雇用主責任を根拠とする企業への責任追及、著作権法(最高1億5000万円の損害賠償)に基づく企業への責任追及)、「行為者本人に刑事罰と損害賠償の可能性」、「頒布者(有償無償を問わず)にも行為者本人と同様、刑事罰と損害賠償の可能性」など企業と個人に大きな損失をもたらす可能性があります。
2 判例
 以下のBSAのサイトに、違法コピー事件での二つの判例が載っています。要約して紹介させていただきます。
 http://www.bsa.or.jp/index.htm
(1)東京地裁、ソフトウェアの組織内不正コピーによる著作権侵害を認める初の判決 被告の大手司法試験予備校(株)東京リーガルマインドに8472万400円の損害賠償支払命令
大手ソフトウェアメーカー3社が、2000年4月19日に大手司法試験予備校である株式会社東京リーガルマインドに対し、コンピュータソフトウェアの組織内での不正コピーによる著作権侵害を理由に、損害賠償を求めていた民事訴訟の判決が、2001年5月16日に東京地方裁判所でありました。東京地裁は、被告企業が、ソフトウェアの組織内不正コピーにより、原告3社の著作権を侵害していたことを認める判決を下し、不正コピーが発覚した後に正規品を購入すれば、過去に不正コピーをしていた分についての損害賠償を一切支払う必要はないという被告企業の主張を「失当である」として否定し、被告である大手司法試験予備校(株)東京リーガルマインドに8472万400円の損害賠償の支払いを命じました。
そして、上記訴訟は、第一審判決(東京地裁判決)を踏まえた東京高等裁判所の和解勧告を受け入れ、以下のとおり和解しました。
共同発表文 
アドビ・システムズ・インコーポレーテッド、アップル・コンピュータ・インコーポレーテッド及びマイクロソフト・コーポレーションと株式会社東京リーガルマインドは、東京地方裁判所が平成13年5月16日にした判決(平成12年(ワ)第7932号損害賠償請求事件)の控訴審において、第一審判決を踏まえた東京高等裁判所の和解勧告を受け入れ、平成14年 12月11日、円満に和解しました。
 株式会社東京リーガルマインドは、コンピュータ・ソフトウェアの適正な管理・利用を図り、 違法行為の発生を防止することを含めて、行動基準をすでに策定・実施しており、これを遵守し、社内に徹底させることを表明しています。 和解の内容及び経緯については、東京高等裁判所において成立した和解の条項に従い、公表しません。
平成14(2002)年12月11日     
アドビ・システムズ・インコーポレーテッド 
アップル・コンピュータ・インコーポレーテッド
            マイクロソフト・コーポレーション 
株式会社東京リーガルマインド 
(2)大阪地裁、ソフトウェアの組織内不正コピーにおいて経営者責任を認める初の判決 パソコンから消去しても使用状況から不正コピーを推認
大阪地方裁判所は、2003年10月23日、PC(パソコン)スクールを経営する株式会社ヘルプデスクに対し、原告3社の著作権侵害を認定するとともに、被告代表取締役自身にコンピュータソフトウェアのライセンス管理義務違反に基づく損害賠償義務を認定する判決を下しました。
この判決は、大手ソフトウェアメーカー3社が、2002年9月3日に株式会社ヘルプデスクに対し、コンピュータソフトウェアの組織内での不正コピーによる著作権侵害を理由に、損害賠償及び経営者の管理責任を求めていた民事訴訟において、「損害賠償の算定には卸売価格又は市場における実勢販売価格が適用されるべき」「講師が無断で行なったものであり代表者に責任は無い」という被告企業の主張を否定し、原告の主張する正規品小売価格(標準小売価格)を損害賠償の算定に適用し、不正コピーの事実認定において、PC(パソコン)の使用の必要性や使用状況から推察して不正コピーがインストールされたと推認されるPC(パソコン)全部に対し不正コピーの存在を認め、代表取締役に「職務上、自己又はその従業員をして、プログラムの違法複製を行なわないように注意すべき義務」を認めたうえで、代表取締役が従業員の違法複製を漫然と放置したことや、違法複製の防止に関する管理体制が不備であったことなどを理由に重過失を認定し、PC(パソコン)スクールを経営する株式会社ヘルプデスク(法人)に加えて代表取締役の個人責任を認めたものです。
この結果、原告3者に対して総額38,783,200円の支払いが被告(株式会社ヘルプデスク及び代表取締役が連帯)に命じられました。
3 罰則の強化
罰則が強化されました。著作権法改定で2005年1月1日から罰則が強化され、法人の罰金が1億円から1億5000万円に引き上げられました。
著作権法改定(2005年1月1日施行)による罰則の強化は、下記のとおりです。
「著作権等を侵害した者に対する罰則の強化」
懲役刑 3年以下→5年以下
罰金刑 (自然人)300万円以下→500万円以下 (法人)1億円以下→1億5000万円以下 
上記のように、2005年1月1日施行の改定著作権法では、著作権侵害行為に対して、従来の3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰が、5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科へ。また、法人への罰金の上限が1億円から1億5000万円に、それぞれ引き上げられるなど、大幅に罰則が強化されています。そして、これらの刑事罰とは別に、不法行為に対する民事上の損害賠償が科せられます。
4 違法コピーとは
企業は社員個人に、責任を押し付けることはできません。
企業は、従業員が事業執行の過程で第三者に与えた損害について、損害賠償の責任を負っています。これが、使用者責任、雇用主責任です。
著作権法第124条は、社員が業務に関し著作権を侵害した場合には、行為者を罰すると同時に法人をも罰する、と定めています。
また、内部告発者の保護を目的として、2006年4月1日から公益通報者保護法が施行されていますから、企業の違法行為が発覚する可能性は高まっています。
1ライセンス、1インストールが、適法な状態です。インストール数がライセンス数を上回っていれば、違法状態の発生です。上回っている分は違法に使用されているソフト、ということになります。
ソフト利用の心構えとして三浦優子氏は「本来は価格を付けて売られているソフトへの対価を払わずに利用するということは、違法行為だということをよく認識しておいてもらいたい」と記述しています。
著作権法第113条2項は、違法コピーと知って入手し、業務で使用する場合は、著作権の侵害とみなすと定めています。「業務」とは、営利を目的とする場合に限らず、公的機関や学校、ボランティア組織などが事務遂行のため使用する場合も業務上に当たる、とのことです。
 違法コピーを購入して(業務ではなく私的目的で)使用した人は著作権侵害に問われない、とのことです。
違法コピーであることを知りながら、「頒布」又は「頒布の目的を持って所持する行為」は、著作権法第113条1項の2が定める「著作権の侵害とみなす行為」となり、5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその併科となります。
 「頒布」とは、「公衆に有償、無償で譲渡する行為」とのことです。私的使用の目的で、知らずに違法品を入手し、それを所持しているからといって、著作権法違反に問われることはない、とのことです。ただし、前述のように、業務上で使用すれば、著作権の侵害として罰せられます。
著作権法第113条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 国内において頒布する目的をもって、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によって作成された物を輸入する行為
二 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為によって作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を情を知って頒布し、又は頒布の目的をもって所持する行為
2 プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成された複製物を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知っていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。
著作権法第119条 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(私的使用の目的をもって複製した者を除く)
5 解説書は
『六訂版 著作権法の解説』(千野直邦 尾中普子 著 一橋出版)には次のように解説されています。「民事上の権利侵害者は侵害の帰属主体であるのに対して、刑事上の権利侵害者は自然主義の考え方から、原則として具体的に行為を行った者である。例外として行為者の雇用主も処罰されることがある」、「法人または個人の業務についてその従業員が著作権法に規定する犯罪を行った場合には行為者本人だけでなく、その使用者である法人または個人もともに各々罰金刑を科せられる。著作権侵害においては、法人の業務として侵害行為が行われていること、企業による違法コピーのような組織的、大規模な侵害が多いこと、法人には自由刑を科することはできないこと、また法人と自然人の資力には大きな差があること、および著作権侵害の抑止効果を高めるため(法人への)罰金の上限を1億5000万円としたのである。なお、権利能力のない社団また財団も代表者または管理人のある場合は、法人と同様に扱われる」
◎ コンピュータソフトウェア、DVD等の違法コピーと著作権法
コンピュータソフトウェア、DVD等の違法コピーと著作権法との関係を考慮すると、コンピュータソフトウェア、DVD等の違法コピーは、「企業に追及が及ぶ可能性」(雇用主責任を根拠とする企業への責任追及、著作権法(最高1億5000万円の損害賠償)に基づく企業への責任追及)、「行為者本人に刑事罰と損害賠償の可能性」、「頒布者(有償無償を問わず)にも行為者本人と同様、刑事罰と損害賠償の可能性」など企業と個人に大きな損失をもたらす可能性があります。
罰則も強化されています。著作権法改定で2005年1月1日から罰則が強化され、法人の罰金が1億円から1億5000万円に引き上げられました。
著作権法改定(2005年1月1日施行)による罰則の強化は、下記のとおりです。
「著作権等を侵害した者に対する罰則の強化」
懲役刑 3年以下→5年以下
罰金刑 (自然人)300万円以下→500万円以下 (法人)1億円以下→1億5000万円以下 
企業は社員個人に、責任を押し付けることはできません。
企業は、従業員が事業執行の過程で第三者に与えた損害について、損害賠償の責任を負っています。これが、使用者責任、雇用主責任です。
著作権法第124条は、社員が業務に関し著作権を侵害した場合には、行為者を罰すると同時に法人をも罰する、と定めています。
また、内部告発者の保護を目的として、2006年4月1日から公益通報者保護法が施行されていますから、企業の違法行為が発覚する可能性は高まっています。
1ライセンス、1インストールが、適法な状態です。インストール数がライセンス数を上回っていれば、違法状態の発生です。上回っている分は違法に使用されているソフト、ということになります。
ソフト利用の心構えとして三浦優子氏は「本来は価格を付けて売られているソフトへの対価を払わずに利用するということは、違法行為だということをよく認識しておいてもらいたい」と記述しています。
著作権法第113条2項は、違法コピーと知って入手し、業務で使用する場合は、著作権の侵害とみなすと定めています。「業務」とは、営利を目的とする場合に限らず、公的機関や学校、ボランティア組織などが事務遂行のため使用する場合も業務上に当たる、とのことです。
 違法コピーを購入して(業務ではなく私的目的で)使用した人は著作権侵害に問われない、とのことです。
違法コピーであることを知りながら、「頒布」又は「頒布の目的を持って所持する行為」は、著作権法第113条1項の2が定める「著作権の侵害とみなす行為」となり、5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその併科となります。
 「頒布」とは、「公衆に有償、無償で譲渡する行為」とのことです。私的使用の目的で、知らずに違法品を入手し、それを所持しているからといって、著作権法違反に問われることはない、とのことです。ただし、前述のように、業務上で使用すれば、著作権の侵害として罰せられます。
著作権法第113条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 国内において頒布する目的をもって、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によって作成された物を輸入する行為
二 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為によって作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を情を知って頒布し、又は頒布の目的をもって所持する行為
2 プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成された複製物を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知っていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。
著作権法第119条 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(私的使用の目的をもって複製した者を除く)
『六訂版 著作権法の解説』(千野直邦 尾中普子 著 一橋出版)には次のように解説されています。「民事上の権利侵害者は侵害の帰属主体であるのに対して、刑事上の権利侵害者は自然主義の考え方から、原則として具体的に行為を行った者である。例外として行為者の雇用主も処罰されることがある」、「法人または個人の業務についてその従業員が著作権法に規定する犯罪を行った場合には行為者本人だけでなく、その使用者である法人または個人もともに各々罰金刑を科せられる。著作権侵害においては、法人の業務として侵害行為が行われていること、企業による違法コピーのような組織的、大規模な侵害が多いこと、法人には自由刑を科することはできないこと、また法人と自然人の資力には大きな差があること、および著作権侵害の抑止効果を高めるため(法人への)罰金の上限を1億5000万円としたのである。なお、権利能力のない社団また財団も代表者または管理人のある場合は、法人と同様に扱われる」
◎ 著作権法との関係での「私的使用」、「営利を目的としない」
 『著作権法の解説 六訂版』(著者 千野直邦、尾中普子 発行 一橋出版株式会社)を参考にして、以下を書かせていただきました。
 著作物は、著作権法によって保護されています。著作物は、小説、論文、音楽、写真、プログラムなど種類には制限はないとのことです。
1 私的使用
 「私的使用のための複製」について定めているのが著作権法30条です。
著作権法第30条 著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。(以下略)
 上記のように著作権法30条では、著作物を使用する者が私的使用の範囲で複製する場合には著作物の自由利用を認めています。私的使用というのは、個人的使用または家庭内の使用、その他これに準ずる限られた人数の範囲内の使用(5人位から多くても10人位)であるとされています。
 このように私的使用の範囲に限られるため、当然、特定、不特定にかかわらず多数の人たちに公表し、頒布することはできません。
「頒布(はんぷ)」 配って広く行きわたらせること
 同様に当然、複製したものを他人に売却するなどの行為は認められません。
 また、企業その他の団体が業務のために行う複製は私的使用ではないとのことです。注意する必要があるところです。
2 「営利を目的としない」
 著作権法38条は「営利を目的としない上演等」について定めています。
著作権法第38条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。(以下略)
 著作権法38条は、@営利を目的としないこと、A聴衆または観衆から料金を徴収しないこと、B実演家または口述者に対し、報酬が支払われないこと、の三つの要件を具備している場合には、著作物を許諾なしに、公に上演、演奏、口述し、上映することができると定めているわけです。
 著作物の上演、演奏、上映、口述に限らず、著作権法との関係で「営利を目的としない」の意味、なかみを把握する際、この著作権法38条が参考になると思います。
3 企業その他の団体が業務のために行う複製
 「企業その他の団体が業務のために行う著作物の複製」に限って言うと、「私的使用に限る」著作物であれば、「企業その他の団体が業務のために行う著作物の複製」は前述のように私的使用ではないわけですから、この場合、「企業その他の団体が業務のために行う著作物の複製」は認められません(著作権法違反になります)。
 「私的使用に限る」とはなっておらず「営利目的での使用を禁止する」というようになっている著作物については、「企業その他の団体が業務のために行う著作物の複製」が認められる可能性があるのかもしれません。「私的使用の範囲」を超えていても「営利目的での使用」でなければ、認められる可能性があるのかもしれないということです。
もちろん、@営利を目的としないこと、A聴衆、観衆またはそれに準ずる人々から料金を徴収しないこと、B実演家、口述者またはそれに準ずる人々に対し報酬が支払われないこと、の三つの要件の具備が前提になります。注意する必要があるところです。
 
更新日時:
2008/02/17
―――――――――  政治問題等での発言など  ―――――――――
―――――――――  政治問題等での発言など  ―――――――――
海野和夫
◎ 憲法9条を守り続け守り抜くために改憲勢力による悪法の濁流を知っておこう
(1977年〜2007年  9条を守るために改憲勢力の動きを知ろう)
● 改憲へ向けての悪法成立等の流れ
1977年 横浜市緑区に米ファントム墜落(住民2人死亡、7人重軽傷)
1978年 靖国神社が東条英機らA級戦犯14人を合祀、(福田首相)防衛庁に有事立法の研究を指示、(米軍への)「思いやり予算」始まる
1979年 (元号についての法的根拠を明示する)元号法が成立
1980年 社会・公明両党が政権構想で合意(社公合意)、(米日両軍の)リムパック80(環太平洋合同演習)開始、鈴木首相ら18閣僚大挙して靖国神社参拝、(政府)行政改革大綱決定
1981年 (行政改革推進のための)第2次臨時行政調査会会長に土光前経団連会長
1982年 老人保健法公布(70歳以上の医療費無料化廃止)
1983年 中曽根首相訪米「(米国のための)日本列島不沈空母」発言
1984年 中曽根首相が現職首相として戦後初の靖国神社に年頭参拝、健康保険法改悪成立(本人1割負担等)、電電公社民営化法成立
1985年 労働者派遣法の成立、年金改悪法成立(年金の給付水準の3割以上切り下げ、保険料を2倍に引き上げ)、中曽根首相靖国神社戦後初公式参拝、1986年 軍事費が「GNP1%枠」を突破、東京高裁「教科書検定は合憲」と判決、国鉄分割・民営化法成立、老人保健法改悪成立
1987年 朝日新聞社阪神支局を赤報隊が銃撃し記者が死亡、国鉄分割・民営化法に基づきJR発足
1988年 消費税導入法が成立
1989年 消費税が実施に(税率3%)
1990年 「天皇に戦争責任」と発言した本島長崎市長が右翼に短銃で撃たれ重態に
1991年 湾岸戦争始まる、(政府)避難民輸送のためとして自衛隊機派遣を決定、(政府)海上自衛隊掃海部隊のペルシャ湾派遣を決定
1992年 (自衛隊海外派遣の根拠となる)PKO法成立、PKO参加の自衛隊施設大隊がカンボジア入り
1993年 (政府)モザンビークPKOへの参加を決定
1994年 (革新野党の排除を狙う)衆議院選挙での小選挙区比例代表並立制(小選挙区300、比例代表200)の導入、(村山富市首相)衆院本会議で「自衛隊は合憲」と答弁。
1995年 沖縄米兵少女暴行事件発生(抗議の県民集会に8万5千人)
1996年 住宅金融専門会社(住専)に6850億円の公的資金投入
1997年 消費税率3%から5%に引き上げ、(本人2割負担等)健康保険法改悪成立、介護保険法成立
1998年 大手銀行に公的資金投入(17行に1兆4200億円)、米英軍イラク空爆 
1999年 新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法成立、日の丸・君が代法成立、盗聴法成立、改定住民基本台帳法成立 
2000年 森首相「日本は神の国」発言
2001年 (米国のアフガン攻撃に追随する自衛隊参戦法である)テロ対策特別措置法成立、小泉首相「聖域なき構造改革」断行を表明
2002年 (本人3割負担等)健康保険法改悪成立
2003年 日本経団連「奥田ビジョン」公表(消費税を2004年から1%ずつ上げ16%に)、米英軍イラク侵攻、武力攻撃事態対処関連3法成立
2004年 有事関連7法成立、陸上自衛隊のイラク派遣
2005年 (障害者に過酷な負担を強いる)障害者自立支援法成立、郵政民営化法成立
2006年 教育基本法改悪成立、(海外派遣を自衛隊の本来任務に位置付ける)防衛省昇格法成立、(後期高齢者医療制度の導入等)医療改悪法成立、行政改革推進法成立
2007年 (改憲手続法である)国民投票法成立
(改憲へ向けての悪法の濁流を見ると気分が悪くなりますが、しかし同時に、このような執拗な改憲勢力の策動にもかかわらず、憲法を擁護し、9条を守り続けている日本国民の力に、大きく確信を持つ必要がありますし、油断なく今後も9条を守り抜いていくことに、お互い力を尽くしましょう)
 
 
◎ そう簡単ではないDNA鑑定  北朝鮮問題の理性的、平和的解決のために
 テレビなどマスメディアも報じるようになっていますが、拉致被害者の横田めぐみさんのDNA鑑定が、問題化しています。
 当初、日本のマスメディアはいっせいに、DNA鑑定の結果、北朝鮮から提供された横田めぐみさんの遺骨は、実は横田めぐみさんの遺骨ではないことが判明した、と報じました。これを受け、北朝鮮への偏見、敵意を煽る報道が繰り広げられ、繰り返されました。
 ところが、「横田めぐみさんの遺骨ではないことが判明した」というのが、どうも相当疑わしく、事実ではないらしい、という可能性が急速に浮上してきました。「世界で最も権威のある総合学術雑誌の一つ」と言われている『ネイチャー』(イギリス発行)に、横田めぐみさんの遺骨のDNA鑑定を行なった吉井富夫氏自身が「自分が出したDNA鑑定結果が汚染によるものである可能性を否定できないということを認めた」という記事が掲載されたからです。
 くわしいなかみは省略しますが、私も分子生物学には相当興味を持っていて、そんな好奇心から数冊専門書的なものを読みましたが、DNA鑑定というのは、世間で思われているほど簡単なものでも、また絶対的なものでもないことを読んだ記憶があります。純粋な状態にする必要があるし、もちろん汚染されてはいけないということです。
 田原総一朗氏が先日、テレビで言っていましたが、横田めぐみさんの遺骨は他人の汗等によって汚染されていた可能性があるということです。汗にはDNAが含まれています。また横田めぐみさんの遺骨のように、火葬された遺骨のDNA鑑定は相当難しいとのことです。
 ヒトラーは『わが闘争』の中で、「戦争をやる場合、宣伝で、相手を悪魔として描く必要がある。なぜなら、相手が『人間』だと殺すことがなかなかできないが、相手が『悪魔』であれば平気で殺すことができるようになるからだ」という趣旨のことを述べています。
 かつて、北朝鮮を「悪魔」のように描いていた日本のテレビ等マスメディアも、最近は、米朝関係の「緊張緩和」の反映という側面が相当強いのでしょうが、前述のテレビでの田原総一朗氏の発言のように、北朝鮮に対する理性的、平和的対応が目立ちます。
 アジア外交重視、北朝鮮問題での「圧力より対話」重視と言われる福田首相にも、期待するものです。
 戦争をやる場合の宣伝(戦争宣伝、戦時宣伝)のようなことはやめ、北朝鮮問題の理性的、平和的解決のためにたたかうことを呼びかけるものです。
 
 
◎ 「国連軍」への日本軍の参加と武力行使を当然視する小沢氏の憲法観への疑問
 『世界』2007年11月号に民主党代表の小沢一郎氏が「今こそ国際安全保障の原則確立を」というタイトルの論文を載せています。
 なかみは、一言で言うと、「国連軍」への日本軍(自衛隊)の参加とそこでの武力行使を当然視するもので、憲法9条と完全に矛盾していると、感じました。
 以下に、小沢氏の主張を抜粋しておきます。
 「私は、日本国憲法の考え方からいって、米国であれどの国であれ、その国の自衛権の行使に日本が軍を派遣して協力することは許されないと解釈しています。同時に、国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致するという考え方に立っています」(アンダーラインは海野。自民党の町村氏の表現を借りればまさに「驚天動地」の考え方です――海野)
 「国連の平和活動は、たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない、というのが私の憲法解釈です」
 「今日のアフガンについては、私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したいと思っています」
 「PKOは完全な形での国連活動ですから、当然、それにも参加すべきだと考えています」
 これにはさすがに、タカ派と言われている前原氏も反発し、「それは違う。民主党内には異なる意見が存在している」と小沢氏の考え方に異論を述べています。
 ところが小沢氏は、これに対して、「党の決定したことに従わないというのであれば、出ていけばいいんです」と言っています。
「黄門様」と言われている渡部恒三氏が、この小沢発言に怒り、「決定に従わない人は出ていけばいいというのは、民主主義じゃない、民主党は民主主義の党ですから」と某テレビ番組で反論しています。
共産党の志位委員長は次のように述べています。
「一つは、国連決議があれば、(自衛隊が)どんな活動をおこなおうと、日本が国家として武力行使をおこなったことにならないから、憲法違反にならないという議論は、およそ通用しない議論です。たとえ(正規の)国連軍が作られたとしても、そこへの兵力の提供がされるなら、それは日本の国家意思としておこなわれることになるわけですから、憲法違反であることは明らかです。ましてやアフガンに展開している国際治安支援部隊(ISAF)は、もとより国連軍ではなく、(国連の指揮でなく)派兵した国々の指揮で活動し、その活動は戦争行為そのものですから、(小沢氏が主張するように)これに参加するなら憲法違反となることは、あまりにも明瞭です。もう一つは、国連決議にもとづく活動ならば、すべてが正しいか。そこは自主的な吟味が必要です。ISAFといわれる部隊が、いまどんな活動をおこなっているのか。この部隊は、アフガンにカルザイ政権ができたときに、暫定政権と国連要員の安全確保を目的としてつくられた部隊でした。しかし最近の実態をみますと、一方で、米軍による報復戦争が継続し、それに並行してISAFがNATO軍中心におこなわれ、この両者の活動の区別がつかなくなっているといわれています。たとえばISAFの部隊も、空爆や武力掃討作戦などをおこなっています。本来の「治安支援」「安定化」から離れた活動(戦争活動)になっている。その活動が、軍事力行使とテロ拡大の悪循環に加担することになっている。ドイツなどのISAFに参加している国でも、撤兵が世論となっています。そこに日本が参加することは、憲法違反という大問題にくわえて、アフガン問題の解決のうえでも有害ということになります」
 
 
◎ 経済同友会終身幹事 品川正治さんが語る これからの日本の座標軸
 先日、経済同友会終身幹事の品川正治さんの講演を聞く機会を得ることができました。
 財界の良心、保守の理性派、日本軍の理性派を結集する綱領的発言ともなり得るものと感じましたので、以下に同氏の講演の要旨を紹介しておきます。
(同氏のプロフィール)
 1924年生まれ。83歳。現在、経済同友会終身幹事。
 日本興亜損保(旧日本火災)の社長・会長を経て、93年〜97年 経済同友会副代表幹事・専務理事。
(講演の要旨)
 中国での戦争体験、戦闘体験を持っています。
 戦争体験は同じだと思っているかたが多いと思いますが、これは全く違います。
 南方での戦争体験、これは一番悲惨な戦争体験だと思います。戦闘で死ぬのではなく、大半は飢えて死んだのです。
 参謀本部にいたとか軍司令部にいたという人と、兵隊という立場の人、これもまた全然戦争体験は違います。北京の日本の支那派遣軍総司令部にいた人などは空襲さえ知りません。食の不足なんていうこともまったく知りません。
 私の場合は兵隊として戦闘に参加したわけなのですけれども、そのかわり逆に、野間宏の「真空地帯」だとか五味川純平の「人間の条件」に書かれているような軍隊の中のイジメを私はまったく受けていません、経験していません。
 本当に戦闘する部隊は兵隊が完全武装しているからです。
 戦争が終わると、武装解除され、俘虜収容所に入れられました。そこで激しい論争がおこりました。敗戦と呼ぶのか、終戦と呼ぶのかという問題です。
 主に将校を中心として、敗戦とはっきり呼んで、国力を回復して日本はもう一度たたかうのだ、という声がおこりました。
 私たち兵隊のほうは、二度と戦争はしないという意味で終戦と呼ぶのは正しいと論陣をはりました。俘虜収容所の中では、終戦派が大部分でした。
 内地に復員し、二度と戦争をしないということを明白に書いている日本国憲法を見て、感激しました。
 いま、憲法9条の旗はズタズタに破れています。しかし国民はまだこの旗を放さないのです。放せ、放さない、のせめぎあいになっています。
 今回の参院選の結果は、改憲を、戦後レジームからの脱却を、国民が主権を発動して止めたものです。
 日本の憲法9条2項は、近い将来には、必ず普遍性を持つものに発展すると思います。
 憲法9条があるために、先進国のなかでは非常に珍しいのですが、日本は軍産複合体が経済の中心になっていないのです。
 戦争は三点であらわすことができます。
 一つは、勝つためにという価値観が一番になるのです。
 二つは、すべてを動員します。学問を動員します。
 三つは、戦争を指導する部門が権力の中心に座ります。
 その戦争を、いま、アメリカがしているのです。
 日本の支配階級は、アメリカと価値観を共有しているのです。戦争の価値観まで共有しようとしています。平和憲法を持っている国と、戦争をしている国の価値観が一緒だというのです。
 原爆を日本に落とした国と原爆を落とされた日本が、価値観を共有できるでしょうか。
 市場原理主義には反対です。教育、福祉、環境問題は、市場に委ねるべきではなく、人間の努力が基本です。
 「規制緩和」といっていますが、結局、資本家のための規制緩和、改革をやろうということなのです。
 憲法の国民投票で国民がノーと答えたらどうなるのか。日本の政治の文脈は大きく変わります。アメリカに、価値観が違いますよと、はっきり言うことができるようになります。
 戦争を起こすのも人間なら、それを止めるのも人間なのです。
(講演のなかでの、福田氏、小沢氏への評価の部分)
 ○ (小沢氏の軍をつくって国連軍に参加する構想について)国連軍も爆撃をするし、殺傷する。憲法9条との関係で問題だ。  
 ○ 福田氏、小沢氏について、国民は様子を見ている。価値観が違うとアメリカに言えるかどうかだ。
(福田氏を「靖国派」と断定する人、「羊の皮を被った狼」と酷評する人、また早々と「福田内閣を退陣、解散・総選挙に追い込んでいく」と意気込む政党が存在する中で、品川正治さんは慎重な姿勢を示しました。財界のトップとして歩んできた人は、将来を慎重に冷徹に見通す目を持っている、と感じました――海野)
 
 
◎ 夏休み雑感 「核兵器と人類」理論上整理整頓しておきたいこと等々
1 核兵器と人類
 ソ連が崩壊してから、だいぶ経ちました。ソ連の崩壊を「歓迎」するのではなく、ソ連について全面にわたって捉え直し、スターリン型の最悪の部分を反省すると同時に、ソ連の最良の部分は継承する必要があると感じています。
 「核兵器と人類の問題」に絞って言うと、ソ連から継承すべき最良の部分は、思想は、以下のように整理整頓できると思います。
 @ 異なる社会体制間の平和共存の思想
 A 「核戦争か平和共存か」 平和共存しか選択肢はないという思想
 B 核兵器拡散防止条約(核兵器不拡散条約)への肯定的評価
 C 「核兵器の出現によって国際舞台での階級闘争には客観的限界が生じた」という考え方
 D 「核兵器と人類は共存できない」として核兵器の廃絶をめざす思想
 E 核兵器の先制使用の放棄
 F 「アメリカ帝国主義がソ連を核兵器で攻撃してくるなら、ソ連の強大な核戦力によって反撃し、アメリカ帝国主義に壊滅的打撃を与える」との核戦略の放棄  (憲法9条を守る思想と同一の考え方だと思います)
 G アメリカを一面的に見るのではなく、アメリカ支配層の中に「好戦派」と「理性派」が存在することを、冷徹に見ること
 H 1963年8月 部分的核実験禁止条約(地下を除く大気圏内、宇宙空間及び水中での核実験の禁止を内容とする)
 部分的核実験禁止条約については、否定的見方が強力に存在するが、しかし、この条約が成立していなければ、大気圏内、宇宙空間及び水中での核実験が継続され、人類は放射能汚染の全人類的脅威に直面することとなり、それを阻止したのがこの条約の成立だったわけです。
(日本の原水爆禁止運動は、上記思想を「核兵器の緊急廃絶」へと純化しています。まさにそのとおりです。政党で言うと日本共産党が「全人類的課題としての核兵器の緊急廃絶」を掲げています)
2 レーニンとプレハーノフ
 レーニンはボリシェヴィキの指導者。
 プレハーノフはメンシェヴィキの指導者。
 ソ連崩壊後、レーニンについて、その「暴力革命路線」を含めていろいろ言われているし、党の組織原則の厳格さ(民主主義的中央集権制)についても各種言われている中で、メンシェヴィキのより「民主主義的路線」、「議会主義的路線」、「緩やかな組織形態、組織原則」のほうがもしかしたら正しかったのではないかと思ったりするのですが、しかし、第一次世界大戦の際、プレハーノフを含めてメンシェヴィキは「祖国防衛」を唱えて帝国主義戦争に自国の労働者階級を動員するというまさに致命的な誤りを犯しているのです。誤りというより反階級的、反革命的犯罪と言ったほうがいいでしょう。
 一方、レーニンは「帝国主義戦争の内乱への転化」、「自国の敗北」を主張しました。
 日露戦争の際には、「祖国防衛」ではなく正しく「自国敗北」の立場に立っていたプレハーノフがなぜ、第一次大戦の際「祖国防衛」に転落したのか、理解できません。
 『史的一元論』等プレハーノフの著作は、日本語訳されているものは全て読みましたが、素晴らしいなかみです。これらの著作からは、「祖国防衛」を唱えて帝国主義戦争に自国の労働者階級を動員するというような裏切りは、絶対に導き出すことはできません。謎です。
 
 
◎ 夏休み雑感 「核兵器と人類」理論上整理整頓しておきたいこと等々(2)
 「核兵器と人類の問題」に絞って言うと、旧ソ連から継承すべき肯定し得るテーゼは、以下のように整理整頓できると思います。
 @ 異なる社会体制間の平和共存の思想
 A 「核戦争か平和共存か」 平和共存しか選択肢はないという思想
 これを言うと必ず、「平和共存万能論」だという批判がアタックしてきます。
 そうではないのです。異なる社会体制間の平和共存の中で、そういう条件の下で、国際労働者階級の、民主主義、社会主義のための闘争、そして核兵器廃絶のための闘争は当然続くし、続けるのです。核戦争による人類の滅亡ではなく平和共存こそが、国際労働者階級の、民主主義、社会主義のための闘争、そして核兵器廃絶のための闘争の継続を可能にするのです。
 B 核兵器拡散防止条約(核兵器不拡散条約)への肯定的評価
 この条約が、条約に基づく核不拡散体制が、成立し、存在していなかったとすれば、核兵器の拡散はより急速に進み、人類はより急速に核破局に直面したでしょう。当然、この条約、不拡散体制だけでいいわけはありません。それに核兵器緊急廃絶のたたかいを結び付けることがどうしても必要です。核兵器廃絶のたたかいを結び付けることではじめて真に、核不拡散条約は生きてきます。
 C 「核兵器の出現によって国際舞台での階級闘争には客観的限界が生じた」というテーゼ
 核戦争を起こしてはいけない、してはいけない、核兵器を使用してはならない、核戦争は人類を滅ぼすという意味で、「核兵器の出現によって国際舞台での階級闘争には客観的限界が生じた」のです。当然のテーゼというより当然過ぎるテーゼだと思います。「国際舞台での階級闘争には客観的限界が生じた」ということであり、国内での階級闘争に客観的限界が生じたわけではありません。
 D 「核兵器と人類は共存できない」として核兵器の廃絶をめざす思想
 E 核兵器の先制使用の放棄
 F 「アメリカ帝国主義がソ連を核兵器で攻撃してくるなら、ソ連の強大な核戦力によって反撃し、アメリカ帝国主義に壊滅的打撃を与える」との核戦略の放棄  (憲法9条を守る思想と同一の考え方だと思います)
 G アメリカを一面的に見るのではなく、アメリカ支配層の中に「好戦派」と「理性派」が存在することを、冷徹に見ること
 H 1963年8月 部分的核実験禁止条約(地下を除く大気圏内、宇宙空間及び水中での核実験の禁止を内容とする)
 部分的核実験禁止条約については、否定的見方が強力に存在するが、しかし、この条約が成立していなければ、大気圏内、宇宙空間及び水中での核実験が継続され、人類は放射能汚染の全人類的脅威に直面することとなり、それを阻止したのがこの条約の成立だったわけです。
 部分措置で人類への放射能汚染の惨害の波及を弱めながら、このような部分措置にとどまることなく、核実験の地下を含む全面禁止、さらに核兵器の完全廃絶のためにたたかうのは、当然のことです。
(日本の原水爆禁止運動は、上記思想を「核兵器の緊急廃絶」へと純化しています。まさにそのとおりです。政党で言うと日本共産党が「全人類的課題、人類の根本課題としての核兵器の緊急廃絶」を掲げています)
 I 平和革命の可能性の肯定
 このテーゼを純化して、日本共産党は、「人民的議会主義」、言い換えると議会を通じての平和革命を綱領化しました。暴力革命路線を完全に否定した「議会を通じての革命」を人類史的到達、憲法遵守として歓迎し、支持するものです。
 
 
◎ 選挙政策(公約、マニフェスト)への建設労働者、中小、下請業者の要求反映へ
1 はじめに
 選挙政策、公約、マニフェストなど言い方、呼び方は何でもいいのですが、選挙政策、特に間近に迫る参院選挙政策に建設労働者、建設中小業者、下請業者の諸要求、切実な要求を反映させたいと思い、以下に試論的に書かせていただきました。
 建設労働者、建設中小業者、下請業者の諸要求を考えるとき、最近(2007年4月17日、18日、19日、26日に)行われた全建総連関東地協の第46回大手企業交渉が掲げた諸要求とそれへの大手住宅企業11社、大手ゼネコン28社、大手サブコン5社の、合わせて44社の回答が、大きく参考になると思います。
2 要求、回答、選挙政策
 全建総連関東地協の要求@ 「低入札による下請へのしわ寄せをやめること等最近の現場事態への見解」
要求@に対する大手企業の回答の特徴
 回答の特徴は、各社とも「低入札による下請へのしわ寄せはしていない」としていることです。
 「低入札は沈静化、収束」(大成建設、清水建設、西松建設)との回答もあります。
 大林組、積水ハウス、大和ハウス工業、大東建託等から「現場の下請業者、労働者はステークホルダーに入っている」との回答を引き出しました。
 駐車場代については、ゼネコンが「下請に負担させている」傾向であるのに対して、住宅企業は「下請に負担させていない」との回答が主流です。
 産廃処理については、ゼネコンの場合、「処理は元請が行うが、処理費の一部は下請に負担してもらう」という傾向の回答でした。
 「エレベータ使用料は取らない」(フジタ)との回答の一方、「取らないという約束はできない。話はしてみるが、社内全体のコンセンサスを得にくい」(大林組)との回答が存在します。
 要求@に関連しての選挙政策(参院選挙政策)
 大手企業に建設業法を遵守させ、中小業者、下請業者への低単価の押し付けを許さない。
 産廃処理費、駐車場代、エレベータ使用料等の中小業者、下請業者への負担押し付けを許さない。
 
全建総連関東地協の要求A 「『生活に必要な賃金』として月額50万円以上の確保。現場労働者の賃金を1日2,000円以上引き上げること」(1日8時間で25,000円以上、月額50万円以上の賃金を確保してください。また、8時間を超える作業には残業代(法で定められた割増し賃金)を支払ってください。いま、技能工不足が深刻となっています。根底には低賃金による入職者不足と技能後継者の離職があります。このままでは一人前の技術をもった職人がいなくなり、建設業界の発展が損なわれます。現場労働者の賃金を2,000円以上引き上げてください)
 要求Aに対する大手企業の回答の特徴
 1次への発注単価(契約単価)を「上げた、上がった、上げざるを得なかった」との回答が目立ちました。
 同時に、「1次への発注単価を上げたのだが、それが必ずしも下請の労働者の賃金に反映されているわけではない」(大林組)という趣旨の発言、そしてそういう実態であることも、特徴です。
 大東建託は「1次への発注単価を上げた」とは回答しませんでしたが、「この1年間で(現場労働者の)賃金が日額1,000円上がった」と答えました。
 「現場従事者から搾取して大きな利益を上げているのだから、利益の一部(ほんの一部)を現場に還元して、現場労働者の賃金を少なくとも1日2,000円引き上げてほしい」との本格的追及に対して、「上げる」との回答には至りませんでしたが、「社内の会合で検討する」(大林組)、「真摯に受け止めて検討する」(大和ハウス工業)、「(この場では決められないので)持ち帰って検討する」(積水ハウス)、「検討するのは、やぶさかではない」(大東建託)など多くの企業から「検討」との回答までは引き出しました。
 要求Aに関連しての選挙政策(参院選挙政策)
 建設労働者の賃金を、1日2,000円以上引き上げ、月額50万円以上にするとの建設労組の要求を支持し、その実現に努める。(建設労働者の賃金・単価引き上げ要求を支持し、その実現に努める)
 全建総連関東地協の要求B 「労働安全衛生法の遵守。労災隠しの根絶。現場従事者への元請労災適用の徹底」(安全経費の確保と適正な工期設定をおこない、労災事故を減らしてください。下請が元請に労災事故を申告しやすい環境を作り、あらゆる「労災隠し」の根絶をはかってください。現場には安全衛生法で定められたトイレ(大・小)や手洗い場などを適切に確保し、下請業者・職人のための衛生設備を元請の負担で完備してください。元請として、責任ある安全衛生管理業務を行うために、予算と人員を十分に確保してください。手間請労働者ならびに一人親方は、新規入場時に確認し、労働者として元請労災を適用してください。元請の責任で、暖房、ロッカー、分煙(喫煙スペースと禁煙スペースを分けること)などの設備をはじめ、労働安全衛生法に定められたトイレ・手洗い場や給水機・休憩所を適切に確保し、適切に配置してください)
 要求Bに対する大手企業の回答の特徴
 鹿島建設が「田町キャピタルマンタワーの現場は、5階ごとに水洗の(大)トイレがある。これが理想」と回答しました。
 元請労災適用の際の「労働者性」のところでは、建設労組側の説明不足の反映と思われるのですが、「(労働者性は)行政、監督署が判断することである」との回答がほとんどでした。
 「『労基研報告』には、『グループ手間請について、グループ内が平等であれば労働者として認めることはあり得る』という趣旨の記述があります。衆参法務委員会での政府答弁が『法人といえども、実態によっては労働者として認められることは、十分にあり得る』としています。新興産業(パットさいでりあ)倒産事件では、東京労働局の裁決が、材料持ちの一人親方を労働者として認めています。朝日ハウス産業破産事件(本社 大阪)では、破産管財人が『従業員』2人までの『事業主』を、実態は労働者と同視できるとして、労働者として認めています」ときちっと説明したところでは、「労働者として認めさせるために労基署に働きかけている」(積水ハウス)、「全建総連が『労働者性』の問題で運動していることは、いいことだ。本当は、現場での災害の場合、全て労働者として認められるのが一番いいのだが、そうなっていない」(大和ハウス工業)との回答を得ることができました。
 要求Bに関連しての選挙政策(参院選挙政策)
 労働安全衛生法等の遵守。建設現場での労働安全衛生の徹底。
 建設現場での災害発生の場合、従事者の全てを労働者として認め、元請労災を適用できるよう法整備する。また、倒産・不払い発生の場合、従事者の全てを労働者として認め、「工事代金」の中の労務費部分を労働債権として認めることができるよう法整備する。
 
 全建総連関東地協の要求C 「技能労働者不足の解消。後継者の育成」(技能者の後継者育成をどのように考えていますか。全建総連が国に要求する「後継者養成のための基金制度の創設」に対する賛同をお願いします。全国の認定職業訓練校への助成をはじめ、後継者育成事業への助成をお願いします。外国人研修生の受け入れをどの程度実施していますか、お聞かせください)
 要求Cに対する大手企業の回答の特徴
 「業界全体で取り組むべき課題」という趣旨の回答が、ほとんどでした。
 「外国人研修生の受け入れ状況」については、「把握していない」、「協力会社の一部が少し受け入れている」という趣旨の回答が大半です。
 要求Cに関連しての選挙政策(参院選挙政策)
 全建総連が国に要求する「後継者養成のための基金制度の創設」を支持し、その実現に努めます。
 全建総連関東地協の要求D 「不払い発生の場合の元請責任での解決」(不払い問題が発生した場合は、下請業者、現場労働者、建設資材納入業者を救済すべく建設業法第41条第2項および第3項にもとづき、「賃金」、「工事代金」、「建設資材納入代金」の『立替払い』を厳正にかつ速やかにおこなってください。2006年12月の私たちと国土交通省関東地方整備局との話し合いの中でも、「二重払い(既に支払い済み)を立替払い拒否の理由にすることはできない」との国土交通省関東地方整備局の見解に変わりはないと回答していますので、この点も踏まえてご回答ください)
 要求Dに対する大手企業の回答の特徴
 回答もそうですが、現実の事例、案件で、各社とも、23年46回に及ぶ全建総連関東地協との信頼関係を土台として元請責任での解決を一定はかっていますので、それを徹底していくことだと思います。
 要求Dに関連しての選挙政策(参院選挙政策)
 元請に建設業法41条2項、3項を遵守させ、賃金、工事代金、建設資材納入代金について立替払いを行わせ、元請責任で不払いを解決させます。また、その徹底をはかるための法整備を行う。
 全建総連関東地協の要求E 「アスベスト対策の徹底」(アスベスト対策の完全な徹底をお願いします。アスベスト含有製品を一切使用しないこと。今後の解体・改修工事では、元請として石綿障害予防規則に定められた対策を完全に実施してください。特に、アスベストを吸うことが生命に関わるわけですから、貴社の現場労働者が、現場で出たアスベスト廃材をどのように処理するのか、書面でご回答いただくとともに、お手数ですが当日の(企業交渉の)参加者にご説明をお願いします。悪性中皮腫や石綿肺などにり患した場合、アスベスト関連の労災認定に使用するため、過去の工事について、現場施工証明書を元請から直接交付してください。貴社のアスベスト関連での労災認定件数は何件ありましたか。また、申請中のものは何件ありますか、教えてください)
 要求Eに対する大手企業の回答の特徴
 全社が「法令、規則を遵守」、「アスベスト含有製品の使用禁止」という趣旨の回答。
 一方、「アスベスト労災認定のための現場施工証明書の元請からの直接交付」に対しては、引き続き大半の企業が「交付する」、「協力する」と答えていますが、「直接、証明書は出さない」(鹿島建設)など「出さない」との回答が前々回→前回→今回と少しずつ増加傾向にあります。
 説明不足、誤解、またはアスベストの元請責任への恐怖(元請への損害賠償の要求、責任追及への恐怖)などが原因なのでしょうか?
 要求Eに関連しての選挙政策(参院選挙政策)
 石綿障害予防規則の遵守など元請責任でのアスベスト対策の徹底。
 「アスベスト労災認定のための現場施工証明書の元請からの直接交付」の義務化へ向け法整備する。 
 
 
◎ ――― ヒトラー『わが闘争』を読む  政治のマジック ―――
 人間は割合簡単にマジックに騙されます。騙されるのを楽しんでいるのかもしれません。私もカードマジックをやりますが、見た人は本当に不思議がります。人間は本当に簡単に騙されるなと実感します。
 小泉マジックにも、石原マジックにも、多くの人たちがだまされたし、だまされています。政治のマジックを見抜く目を養う上では、冷徹に政治のマジックを見抜く上では、政治上の最高のマジシャンの一人であるヒトラーの『わが闘争』を読むのもいいかもしれません。
 そのつもりで読んでいたら、逆にすっかりヒトラー・マジックに洗脳されてしまったということになりかねませんので、この本は本当に冷徹な心で読む必要があります。
 この本には、以下のようなことが書かれています。
──────────────────────
 ヒトラーはネズミにエサをあげるような優しい心の持ち主である。
 敵は一つである。敵が何種類もたくさん存在すると大衆は恐れるので、敵は一つだけで簡単に粉砕できると大衆に思わせる必要がある。敵は一つである。ユダヤ人=ボルシェビキ=大資本家であり、この一つの敵を、ナチス(国民社会主義ドイツ労働者党)は打倒する。
 敵を複雑なものとして描いてはならない。複雑なものを大衆は理解できないし、複雑なものには敵対心が湧きにくいからだ。敵を黒一色に描くことだ。敵が100%悪く、ナチスは100%正しいのだ。
 戦争をするときは、相手を悪魔として描き、宣伝する必要がある。相手が人間ではなく悪魔であれば、平気で殺すことができるからだ。
(日本のマスメディアは、かつて旧ソ連を悪魔のように描き、宣伝し、今は、北朝鮮を悪魔のように描き、宣伝しています。マジックかもしれません。冷徹に見ることです―――海野)
 共闘を求めるのは、弱者である。強者は、自分だけで闘う。
 大衆は女性のようなものであり、理論、理性ではなく、感情で動くものである。
 大衆は、文字によって、文字の集積である論文によって動くのではなく、人間の口から発せられる生きた言葉によって、言い換えると演説によって動かされるのだ。
 ボルシェビキの扇動者、その指導者レーニン、あるいは労働組合の指導者を見ればわかるように、彼らは、集会での、職場での、街頭での、その時々の無数の演説によって大衆を動かしているのだ。その意味で彼らは、天空に輝く無数の星なのだ。
(ここは、敵であるはずのボルシェビキへの一種の畏怖、憧憬をヒトラーが示している箇所だと、私は感じました───海野)
 敵はナチス・ドイツには民主主義がないと言う。そんなことはない。ゲルマン民主主義がある。ゲルマン民主主義とは何か? 命令と服従である。
 民族間の闘争によって、強い民族が勝ち、弱い民族は滅びていく。これが自然の摂理であり、この生存闘争を通じて、より強い、より優れた民族が創造されるのだ。
(ヒトラーはニーチェ哲学から影響を受けたと言われていますが、ニーチェの超人思想は「動物から超人へ至る中間の橋」として人間を捉えています───海野)
(弱肉強食の生存闘争を賛美する点で、ナチズムと新自由主義のイデオロギーは一致しています───海野)
 
 
◎ ―――  ソ連とは何だったのか?  雑考  ―――
 ソ連とは何だったのか? なぜ簡単に敗退し、崩壊したのか? 多少冷静に冷徹に振り返ってみたいと思います。「雑考」ということで、ごく簡単に短い文書にします。
 かつてソ連は「国際労働者階級の祖国」、「国際労働者階級が瞳のように大切にすべき存在」、「国際共産主義運動の一般に認められた前衛」と言われ、「ソ連を先頭とする社会主義陣営」と表現されるような「偉大」な「社会主義国」であり、ヒトラーのナチス・ドイツを粉砕する上で主要な役割を果たした存在でした。
 直接には、ソ連共産党の一部指導者によるクーデタの失敗を転機として、ゴルバチョフ大統領を擁するソ連は、ロシア大統領のエリツィンによって覆されました。
 今は夢と消えましたが、ゴルバチョフの唱えたペレストロイカが本当に正常な軌道に乗り、民主主義に基づく社会主義、核兵器の緊急廃絶を求める社会主義ソ連が実現していたら、一番よかったのではないかと感じています。
 しかし、現実の軌道は、エリツィンによる権力の奪取であり、資本主義化でした。
 アレクサンドル・ソルジェニーツィンは、ソ連を悪魔の国のように描きました。ソ連を「収容所群島」として描き出しました。私も全部読みました。ショックを受けました。直感で言うと、彼は真面目な人間だと感じていますから、ウソを書いたわけではなく、ソ連の現実の一面を、その暗部を体験し、体験に基づいて『収容所群島』を書いたのだと感じています。
 トロツキーはスターリンを、「スターリン・ギャング」と表現しています。いわゆる「血の大粛清」を明らかにしています。直感で言うと、これも事実のような気がしています。
 スターリンの個人独裁を結果したのは、どのような機構を通じてなのか?
 党綱領の組織原則である「民主主義的中央集権制」にその根があると、感じています。「下級は上級に従う」という組織原則に、悪の根源はあったのではないか。これは、本質的には、ヒトラー『わが闘争』が明らかにしているナチスの組織原則「ゲルマン民主主義とは、命令と服従である」と同一だと、私は思います。
 なお、日本共産党は、党綱領の改正で既に「下級は上級に従う」を削除しました。また、『自由と民主主義の宣言』で、近代民主主義の到達である三権分立制の将来にわたる堅持を明らかにしています。
 三つの侵略、即ちハンガリー、チェコスロバキア、アフガニスタンへの侵略。因果応報であり、ソ連の没落を準備するものでした。
 自由と民主主義に基づく社会主義、核兵器の緊急廃絶をめざす社会主義政府、これは、労働者階級と人類の課題の一つです。
 
 
◎ 県議会議員選挙に向けての建設産業関連の政策、要求について
 日本共産党埼玉県委員会が2006年12月、「大増税を許さず、県民の暮らしをまもるために 県議会議員選挙にむけての日本共産党の訴え」を出しました。
 この中から、建設産業に直接関係があると思われる部分を抜粋して、以下に紹介いたします。 
(以下は、「大増税を許さず、県民の暮らしをまもるために 県議会議員選挙にむけての日本共産党の訴え」からの抜粋です)
 「養護学校の過密解消についても、高等部の独立などを求めた日本共産党の提案などを受けて、高等養護学校2校の整備や知的障害高等養護学校の基本構想の策定が始まりました。さらに乳幼児医療費助成の就学前までの拡充(入院分)、特別養護老人ホームの建設にたいする県費助成制度の創設など、県民の世論と運動を力にした日本共産党の奮闘によって貴重な成果をかちとっています」
 「防犯対策の強化」
 「(上田県政は)必要のないダム建設に700億円もつぎ込むことや、さいたま市内に大企業を誘致するために1社に10億円も補助を出すことを約束するなど、逆立ちした政治をすすめています。財政が厳しいときだからこそ、県民が納めた税金は1円もムダにすることなく、県民のために使うべきです。日本共産党は、そのために全力をつくします」
 「少子化の背景には、結婚もできない低賃金や出産後も安心して働き続けられない職場環境、長時間労働、保育所の不足といった様々な社会的要因が横たわっています……保育所の増設をはかり、待機児童の解消に努めます……児童相談所を増設し、児童福祉司や児童心理士などの専門職員を大幅に増やします」
 「特別養護老人ホームを中学校区ごとに整備できるようにします」
 「身体障害者療護施設や重症心身障害者施設、知的障害者入所更生施設などの障害者施設の整備を推進します」
 「公務労働での正規雇用の拡大や公契約時に適正な雇用や労働条件の確保を民間に義務づけるなど、若者をはじめ雇用の確保と正規雇用の拡大に努めます」
 「財界・大企業が3期連続で史上最高の利益をあげるなど、バブル期を上回る空前の富を得ながら、中小の製造業や建設業では生活費も捻出できない水準に単価を抑えられた上、資材高騰による『原料高・製品安』で収益悪化に拍車がかかっています……日本共産党は、豊富な人材と首都圏に位置する地理的条件、多彩な製造業などの集積を生かして、産学官連携のもと中小企業・地場産業の振興と地域商業の活性化をはかり、地元雇用の拡大につながるような地域循環型の社会を実現します……中小企業振興条例に基づく県の中小企業施策に関する施策を立案する官民共同の中小企業振興会議(仮称)を設置します。県の委託業務や工事請負での契約に際して、適正な労働条件や賃金が確保されるよう県独自の基準を定めた『公契約条例』を制定します。総合評価型入札制度の導入を拡充し、談合とダンピング受注の防止をはかります」
 「県内産木材の利用を促進するため、県公共施設などでの利用を義務づけるとともに、(県内産木材の利用との関連で)公共建築物や住宅建設に対する助成制度を設けます」
 「本県でも、八ッ場ダム建設や、圏央道沿線開発など右肩上がりの経済成長を前提にした大型プロジェクトが進行しています。日本共産党は公共事業の重点を、低家賃の公共住宅の供給や公園、生活道路の整備、交通安全施設の整備、特養ホームや学校の増改築・耐震化といった県民の暮らしを支える生活密着型の公共事業に切り替え、あわせて中小業者の仕事確保につなげていきます。八ッ場ダムについては、中止を含めて見直します……高齢者世帯の住宅リフォームに対する助成制度を設けます。県営住宅や高齢者優良賃貸住宅の増設をはかり、住宅難を解消します。住宅の耐震補強を図るため、簡易補強工法による補強工事に対する助成制度を創設します」
 「養護学校の過密を解消するため、高等部の独立と養護学校の増設を進めます……校舎の大規模改修や耐震補強などに対する助成を強化します」
 「学校や保育所、公共施設の耐震補強、個人の住宅の耐震補強工事への助成など災害に強い街づくりをすすめます。信号機の大幅増設と改良、歩道の整備などの予算を大幅に増額し、交通安全対策を推進します。スクランブル交差点など歩車分離式の信号機の増設で交差点事故の防止をはかります」
(なお、県議会議員選挙に向けての政策は、より正確にあるいは追加、補強、補正される可能性があります。そのときは、ここに掲載した文書もそのようにします)
 
 
◎ 憲法9条を守る意義 「防衛省」昇格法案と憲法9条との関係
1 憲法9条の意義は衰えない
 防衛庁自身が、防衛庁のサイトで、「防衛省」昇格法案が単に庁から省への移行を意味するだけでなく、海外派兵を自衛隊の本来任務化するものであることを事実上認めています。
 しかし同時に、防衛庁のサイトは、「防衛省」昇格法案が成立したとしても、(憲法9条が存在しているために)「海外派兵」と言っても、武力行使の目的をもって「海外派兵」することは禁止されているとの説明を行い、憲法9条のもとでは自衛隊が海外での武力行使をおこなうことができないことを認めています。
 また、防衛庁のサイトは、「防衛省」昇格法案が成立したとしても、「専守防衛」、「非核3原則」などが変わらないとの説明をおこなっています。
 平和を守る守護の壁としての憲法9条の大事さが衰えていないことは明らかです。
2 武力行使の目的をもって「海外派兵」することは禁止されている
 防衛庁のホームページには、次のように記載されています。(抜粋)
Q4 (「防衛省」昇格法案は)わが国の軍事大国化につながりませんか?
 省にすることで、シビリアン・コントロール、専守防衛、軍事大国とならないことなど、わが国の防衛政策の基本が変わることはありません。
専守防衛
 相手から武力攻撃を受けてはじめて防衛力を行使する受動的な防衛戦略
海外派兵の禁止
 武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土などに派遣することの禁止
非核3原則
 核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず
軍事大国とならない
 自衛のための必要最小限の防衛力
3 海外派兵の本来任務化を事実上認める防衛庁
 防衛庁のホームページには、次のように記載されています。(抜粋)
Q6 省にする法律案はどのような内容になるのですか?
 自衛隊の任務にPKO(国際連合平和維持活動)や国際緊急援助活動などの国際平和協力活動を加えます。
省移行法案の概要
法案全体について
@庁から省への移行、A国際平和協力活動などの本来任務化。
法案により変わること
@内閣府の長である「内閣総理大臣」の権限は「省の主任の大臣」の権限になります。 
A自衛隊法第8章の「雑則」にある国際平和協力業務などを第6章の「自衛隊の行動」に規定します。
(国際緊急援助活動等、国際平和協力業務等、テロ特措法に基づく活動、イラク人道復興支援特措法に基づく活動、機雷等の除去、在外邦人等の輸送、周辺事態における後方地域支援など)
法案により変わらないこと
 内閣の首長である「内閣総理大臣」の自衛隊の最高指揮官としての権限は全く変わりません。
4 ポイント
 「防衛省」昇格法案が成立し、自衛隊の海外派兵が本来任務化したとしても、「自衛隊の海外派兵」と「海外派兵された自衛隊の海外での武力行使」との間には、大きな距離、大きな違いがあります。
 憲法9条が自衛隊の海外での武力行使を阻む壁になっています。
憲法第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
 
◎ 「防衛省」昇格法案 自衛隊の「海外派兵」を本来任務に
1 「防衛省」昇格法案の本質
自衛隊の創設以来初めて、自衛隊の本務(本来任務)に海外派兵を位置付ける「防衛省」昇格法案が2006年11月30日の衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で可決されました。日本共産党と社民党は反対しました。
 「防衛省」昇格法案は、防衛庁を省に昇格させるだけでなく、自衛隊の「海外派兵」を本務(本来任務)と位置付けるものです。
 
2 防衛庁は「防衛省」昇格法案をどう捉えているのか
 防衛庁自身は「防衛省」昇格法案をどう捉えているのか、調べるために、防衛庁のホームページを訪問しました。その「率直さ」に正直驚きましたが、防衛庁自身が「防衛省」昇格法案を、単に庁から省への移行とは捉えず、自衛隊の「海外派兵」を本来任務と位置付けるものとして捉え、ホームページでそのように説明していることです。
3 防衛庁のホームページからの抜粋
 防衛庁のホームページには、次のように記載されています。(抜粋)
Q6 省にする法律案はどのような内容になるのですか?
 自衛隊の任務にPKO(国際連合平和維持活動)や国際緊急援助活動などの国際平和協力活動を加えます。
省移行法案の概要
法案全体について
@庁から省への移行、A国際平和協力活動などの本来任務化。
法案により変わること
@内閣府の長である「内閣総理大臣」の権限は「省の主任の大臣」の権限になります。 
A自衛隊法第8章の「雑則」にある国際平和協力業務などを第6章の「自衛隊の行動」に規定します。
(国際緊急援助活動等、国際平和協力業務等、テロ特措法に基づく活動、イラク人道復興支援特措法に基づく活動、機雷等の除去、在外邦人等の輸送、周辺事態における後方地域支援など)
法案により変わらないこと
 内閣の首長である「内閣総理大臣」の自衛隊の最高指揮官としての権限は全く変わりません。
 
 
◎ ───── あらためて核兵器のことを考えてみました ─────
このごろ、人類の未来に不安を感じます。
 日本を見ても、猫や犬の殺処分が1年間で数十万匹。余りにも人間本位過ぎます。
 フランスのサルコジ大統領は、「核兵器による警告」という危険な軍事ドクトリンを打ち出しました。
 フランスのドゴール大統領(当時)の「全方位外交」にもとづく「独自核武装」路線から始まった仏の核兵器戦略が、サルコジ大統領の「核兵器による警告」という軍事ドクトリンへと「進化」したわけです。
 2008年3月22日の朝日新聞夕刊によると、サルコジ大統領は「核兵器による警告」に踏み切る可能性に言及した、とのことです。同記事によると、「核兵器による警告」とは「威嚇のための核兵器使用を意味したとみられる」とのことです。
 警官がピストルを威嚇発砲するのとはわけがちがいます。サルコジ氏を疑いたくなります。 
 アメリカはもともと、核兵器先制使用戦略だと言われています。
 かつてソ連共産党のゴルバチョフ書記長(当時)が言ったように「核兵器で攻撃されたら核兵器で反撃するというテーゼを放棄する」勇気が、必要なのではないでしょうか?
 旧ソ連の核兵器戦略は、「平和共存は階級闘争の一形態である。平和共存をアメリカに押し付ける。もしもアメリカがソ連に核兵器攻撃を仕掛けてきたときは、ソ連の強大な核戦力によって反撃し、アメリカ帝国主義に壊滅的打撃を与える」(フルシチョフ、ブレジネフの時代)→「核兵器の時代にあっては、国際舞台での階級闘争に客観的限界が生じた。核戦争にまで進むことはできない、それが客観的限界である。『もしもアメリカがソ連に核兵器攻撃を仕掛けてきたときは、ソ連の強大な核戦力によって反撃し、アメリカ帝国主義に壊滅的打撃を与える』というテーゼを放棄する。『平和共存は階級闘争の一形態である』というテーゼを放棄する。平和共存は戦術でもないし、選択肢の一つでもないし、絶対的なものである」(ゴルバチョフ氏)へと正しい方向に大きく変化しました。
 しかし、残念ですが、ロシアになってから、「核兵器には核兵器で対抗する」というテーゼが復活し、現在のロシアの軍事ドクトリンになっています。プーチン氏は危険な道を選び、歩いている、といわざるを得ません。
 13億人を擁する「社会主義中国」は、核兵器の先制使用を否定し、あくまでも自衛のための核兵器保持であることを言明しています。期待したいのは、旧ソ連のように、もっと積極的に核兵器ゼロをめざして国際舞台で運動してほしい、ということです。
 人間の都合で核戦争をおこして、他の動物まで死滅させるのは、最悪の人間本位といえるのではないでしょうか?
 
 
◎ 小沢戦略とマスメディアによる国土交通省攻撃の狙い 直感ですが
 かつて、16,7年位前でしょうか、小沢さん(現在、民主党代表)の書いた本(確か)『日本改造論』を読んだことがあります。
 タイトルのとおり、そこには、日本改造への小沢戦略が書かれていました。
 記憶で書くと、保守二大政党制、規制緩和・撤廃、集団的自衛権の確立、(どこかで聞いた言葉ですが)民主主義的中央集権制、などだったと思います。
 保守二大政党制と規制緩和・撤廃は、かなりの程度、既に実現されています。
最近の小沢発言にも、集団的自衛権の確立へ向けての「熱意」は、はっきり見えます。
 残るは、民主主義的中央集権制という名の独裁政治の実現、ということなのでしょうか?
 マスメディアの連日の国土交通省攻撃の狙いは、何か?
 率直に書きますが、国土交通省は、建設業法や建設業法令遵守ガイドラインなどにもとづく元請指導という点で、重要な役割を果たしていますし、国土交通省の労働組合である全建労は、とてもまともな労働組合です。
 かつて、マスメディアによる国鉄攻撃の真の狙いが国労つぶしにあったように、今日のマスメディアによる猛烈な国土交通省攻撃の狙いが全建労つぶしにあるのではないか? あくまでも直感ですが、どうでしょうか?
 
 
◎ ── チベット問題の中の「チベットは中国の一部」問題について ──
1 胡錦濤主席に書簡
 日本共産党が、「志位委員長が胡錦濤主席に書簡を送る」という形で、チベット問題についての見解を表明しました。
 以下は、日本共産党の志位和夫委員長が2008年4月3日、チベット問題について中国の胡錦濤国家主席に送った書簡の全文です。
 中華人民共和国国家主席 胡錦濤 殿
 チベット問題をめぐって、騒乱・暴動の拡大と、それへの制圧行動によって、犠牲者が拡大することを、憂慮しています。
 事態悪化のエスカレーションを防ぐために、わが党は、中国政府と、ダライ・ラマ側の代表との対話による平和的解決を求めるものです。
 そのさい、双方が認めている、チベットは中国の一部であるという立場で対話をはかることが、道理ある解決にとって重要であると考えます。
 だれであれ、オリンピックをこの問題に関連づけ、政治的に利用することは、「スポーツの祭典」であるオリンピックの精神とは相いれないものであり、賛成できないということが、わが党の立場であることも、お伝えするものです。
 2008年4月3日
 日本共産党中央委員会幹部会委員長 志位和夫
2 「チベットは中国の一部」問題
 上記の書簡の中にある「双方が認めている、チベットは中国の一部であるという立場」が引っかかったので、調べてみました。
2007年10月17日の、米議会黄金勲章授賞式でのダライ・ラマ法王のスピーチ(英語)の中に、次のような箇所がありました。
On the future of Tibet, let me take this opportunity to restate categorically that I am not seeking independence. I am seeking a meaningful autonomy for the Tibetan people within the People's Republic of China.
 出典は以下のサイトです。
<http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/message/071017_us.html>
 
和訳すると、「チベットの将来について、もう一度断言する機会を私に与えて下さい。私は、チベットの独立を求めていません。中華人民共和国の中での、チベットの人々のための意味のある自治を求めているのです」というような意味だと思います。確かに、チベットを中華人民共和国の中に位置付けており、「チベットは中国の一部」という立場だと受け取ることは可能です。
 
3 レーニンの民族政策
 かつてチベットは独立国を形成していたと言われていますし、チベットの人々の中には独立への熱望もあるようですから、レーニンの民族政策「強い民族が譲る」にもとづきチベット問題は解決されるべきだと思います。
 
 
◎ ペレストロイカの衝撃 人は敗れても思想は敗れるとは限らない
 ゴルバチョフ氏の掲げたペレストロイカとは何だったのか?
 ペレストロイカの中で、衝撃と刺激を受け、なるほどと肯いたのは、主に次の四つでした。
 @ 党員の平等
 A 「平和共存は階級闘争の一形態である」というテーゼの放棄(言い換えると、ペレストロイカは、平和共存を、階級闘争の一形態ではなく、絶対的なものとして位置付けました)
 B 「アメリカが核兵器で攻撃してきたら、ソ連の強大な核兵器で反撃してアメリカ帝国主義に壊滅的打撃を与える」というテーゼの放棄
 C 人々の前に真実を示す
 本当に、日本国憲法9条の思想と同じ思想です。人類の最高の到達だと思います。
 人は敗れても思想は敗れるとは限らない。そのことを信じて、人類をはじめとする全生命の生存のために、がんばりたい。
 
 
◎ レーニンは革命の平和的形態の可能性を否定していた?
 「レーニンは革命の平和的形態の可能性を否定していた?」と一部で言われていますが、本当にそう割り切った見方をレーニンに対してして、いいのでしょうか?
 第一次世界大戦のときの、レーニンの有名なテーゼ「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」がありますし、レーニンの著作『国家と革命』がありますし、確かにその二つを合わせると、レーニンは革命の平和的形態の可能性を否定していた、と理解することも可能です。
 同時に見ておく必要があると感じているのは、テーゼ「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」が出されたときの状況、背景です。第一次世界大戦の際、プレハーノフなどを指導者とするメンシェビキや第二インタナショナルは、「祖国防衛」の立場に陥り、転落し、帝国主義戦争に自国の労働者階級を動員するという犯罪的誤りを犯していました。そのとき、「祖国防衛主義」に対置してレーニンは、「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」を打ち出したのです。労働者階級を戦争に動員する祖国防衛、祖国勝利、自国勝利を拒否して、「自国敗北」の「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」を打ち出したのです。
 レーニンの思想は、テーゼは、『共産党宣言』の言う「労働者階級は祖国を持たない」というプロレタリア国際主義にもとづいています。
 国際労働者階級の立場に立てば、世界の労働者を戦争に動員する「祖国防衛」ではなく、「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」による自国敗北とそれにもとづく戦争終結こそ、正しい道だったのです。
 この道を選ぶのは至難であり、本当に「労働者階級は祖国を持たない」というプロレタリア国際主義の立場の貫徹が必要です。かつてレーニンがロシア・マルクス主義の宝庫と呼んだプレハーノフでさえ、祖国防衛主義に陥ってしまったくらいですから、「祖国」という幻想から労働者階級を解放することは容易なことではないのでしょう。
 私の記憶によればなのですが、トロツキー『ロシア革命史』などいくつかの論文で読んだ記憶があるのですが、レーニンはロシア革命を遂行する際、革命の平和的道の可能性を最後まで追求した、とのことです。どんなにわずかな可能性であっても、革命の平和的遂行の可能性を追求した、とのことです。
 したがって、レーニンを単純に、「暴力革命論者」として描くことには、賛成できません。違和感を感じます。
 
 
◎ フォイエルバッハ『キリスト教の本質』 エンゲルス『フォイエルバッハ論』
 沼のある公園に行き、沼の周囲(約2キロか?)を10周ジョギングしながら考えていたのですが、エンゲルスの論文は、『イギリスでの労働者階級の状態』、『家族、私有財産及び国家の起源』、『革命と反革命』、『ドイツ農民戦争』、『共産党宣言』(マルクスとの共著)、『反デューリング論』など魅力ある作品が多いのですが、『フォイエルバッハ論』だけは嫌いな作品、論文です。
 フォイエルバッハ『キリスト教の本質』は、大好きな作品、論文です。いろいろな問題で苦しんでいるとき、この本を読むことで、また読み返すことで、生きる上での勇気を与えられた論文です。3回以上は、そんなことがありました。
 「神の本質は、人間の本質の対象化に他ならない」というこの本のテーゼは、衝撃でした。
 エンゲルス『フォイエルバッハ論』は、この『キリスト教の本質』を含めてフォイエルバッハを罵倒しています。愛だ、愛だ、愛だと舞い上がっている(階級闘争を忘れた)「愛の哲学」として切り捨てています。
 マルクス、エンゲルスを創始者とする運動が、スターリン主義という非人間的方向へ大きく歪んでしまったことの原因の一つが、エンゲルス『フォイエルバッハ論』によってフォイエルバッハの「愛の哲学」が蹂躙されたその上に、運動が進められていったことの中にあるような気がします。
 フォイエルバッハ『キリスト教の本質』の正当な再評価の上に、国際労働運動は進んでいくべきだと感じています。
 
 
◎ 2008/5/21 宇宙基本法成立 宇宙開発の目的に「我が国の安全保障」明記
2008年5月21日に成立した宇宙基本法について、宇宙軍拡の危険性を衆院内閣委員会で追及した日本共産党の吉井英勝衆院議員は、要旨次のように話しています。
 日本の宇宙開発は、1969年の国会決議で平和利用に限ると決められていました。平和利用とは「非軍事」だと国会答弁で明確にされてきました。推進側の狙いは、「安全保障に資する宇宙開発利用」を口実に、軍事利用に道を開くことです。
 自民党防衛族と防衛省幹部、宇宙産業による勉強会で、日米共同で進めるミサイル防衛システムでの宇宙利用が検討されていたことを、国会質問のなかで明らかにし、危険性を追及しました。答弁は「専守防衛の範囲内で防衛目的の利用は可能となる」などというものでした。他国の衛星を攻撃・破壊するキラー衛星の保有も否定しませんでした。
 これだけ重大な方向転換を、衆議院、参議院ともわずか2時間の国会審議で通したのは大問題です。
 国会質問で、日本共産党の修正意見として「安全保障」の目的を削除することなどを強く要求しましたが、残念ながら自公民の法案が強行されました。
 今回成立した宇宙基本法をもとに、今後、宇宙関連機関の業務内容の見直し、軍事機密の保護を口実にした管理強化・罰則強化など、具体的な法整備が進められます。軍事衛星の開発にかかわらざるを得ない人が増えたり、「情報管理」の名目で技術者や科学者が制約をうける可能性もあります。
 今後、こうした危険な動きを監視し、宇宙の軍事利用の拡大を防ぐたたかいが必要です。また、小惑星探査機「はやぶさ」の活躍など、日本が誇る宇宙科学を発展させるためにも、「平和目的に限る」の原則を守らなければなりません。
 日本の宇宙開発は、憲法の平和主義に徹して進めるべきです。今後とも、そのために力を尽くす決意です。
宇宙基本法2条 宇宙開発は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約等の宇宙開発に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。
宇宙基本法3条 宇宙開発は、国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の形成、災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資するよう行われなければならない。
宇宙基本法14条 国は、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発を推進するため、必要な施策を講ずるものとする。
(上記のように、成立した宇宙基本法は、宇宙開発の目的に「我が国の安全保障」を明記していますが、同時に「宇宙開発は……日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする」と同法2条に規定しています。宇宙基本法が成立したいま、同法2条を根拠にして、また憲法9条にもとづき、宇宙軍拡を阻止するたたかいが、日本国民には求められています──海野)
 
 
◎ ── 憲法で保障された政治活動の自由に介入し妨害するJR ──
 2008年5月26日、JR○○駅が、JRの敷地内であることを唯一の理由に、JR○○駅前での政治活動の自由に介入し妨害しました。同駅前では、消費税率引き上げ反対と後期高齢者医療制度廃止を求める宣伝行動がおこなわれていました。JRの敷地内であることを唯一の理由に、この宣伝行動の中止を要求してきたものです。
 次の4点を主張し、同駅前での宣伝行動の中止には応じず、行動を続行しました。
 @ 憲法で保障された政治活動の自由への介入、妨害、侵害は認められない。
 A JRの敷地内を唯一の理由として政治活動の中止を求めることは、駅前という広場での広範な市民、国民を対象とする政治活動を妨害するものであり、憲法が保障する政治活動の自由への侵害である。
 B 従来、長年にわたって、同駅前での政治活動はおこなわれており、それは伝統、慣習となっており、こうした伝統、慣習を一方的に覆すことはできない。
 C 右であれ左であれ、警察でさえ、駅前等での政治活動に対しては介入しないし、中止を求めたりはしない。
 
 
◎ ─── オバマ氏への評価 行動を見る必要があるでしょうネ ───
(オバマ氏の大統領就任演説の中に、次のような箇所があります。彼の今後の行動を注視していく必要を感じます。オバマ氏と言えば、「イスラエルへの全面・完全支持」を表明していますし、「アフガニスタン戦争の開始」をやるつもりだとも言われていますし、黒人の大統領だからということだけで幻想を持つのは、危うい、と感じます──海野)
Recall that earlier generations faced down fascism and communism not just with missiles and tanks, but with sturdy alliances and enduring convictions.
私たちの前の世代がファシズムとコミュニズムに対して、ミサイルとタンクだけでなく、不屈の同盟と忍耐強い信念で対峙したことを、思い起こそう。(海野 和訳)
 上記の中の「faced down」をどのように和訳するか、それにより、読み手の受ける印象はある意味180度違ってきます。私は「対峙した」としました。
 ちなみに、
 朝日は「屈服させた」
 読売は「対峙した」
 日経は「立ち向かった」
 毎日は「勇敢に立ち向かった」
 朝日は「ファシズムと共産主義を屈服させた」と訳していますが、これだとオバマ氏が反共の闘士みたいになってしまい、違うような気がして私は「対峙した」としました。
 
 
◎ 歴史上はじめてとも言われる日本経団連と日本共産党の会談
 主観的、情緒的にものを言わせてもらうと、日本の経済界(財界)は、金を与えて自民党、民主党という子供を育ててきたが、立派な大人に成長することなく、安心して任せておけないので、自分の子供ではない共産党に頼らざるを得ない、現下の恐慌的状況下、そのような状況が近づいている、一部発生している、などというあり得ない状況が、現にいま、ある状況へと現実化しつつあるということなのだろうか?
 2008/12/18歴史上はじめてとも言われる日本経団連と日本共産党の会談が実施された。
 同会談での共産党から日本経団連への『要求書』の中には、次のような箇所があり、優秀な子供が親を諭すような内容を含んでいる。
「年の瀬に突然契約を打ち切られ、寮から追い出され、寒空のもとでホームレス生活に追い込まれている労働者が、すでに全国各地で生まれています。解雇される非正規社員の多くは、正社員と同じように働き、残業にも、休日出勤にも応じ、高熱があっても、身内に不幸があっても仕事を休まずにがんばってきた人々です。こうした労働者を、真冬の冷たい巷(ちまた)に放り出すようなことが許されるでしょうか。それは、まず何よりも、人道にてらして、けっして社会的に許容されるものではありません」
「いますすめられている非正規社員の大量解雇が、現行の労働法制でも違法か、あるいは違法性がきわめて高いものであることも重大です……法令順守が、企業の社会的責任の最低限の土台であることは、立場の違いをこえた共通の認識であると考えます。日本経団連の会員企業が、法令違反の謗(そし)りを受けるようなことはあってはならないことです」
「日本経済を立て直す道は、外需依存から脱却し、内需に軸足を移す以外にないという認識は、立場の違いを超えて広がっています。内需を活発にすることが景気悪化をくいとめ、景気回復に向かう唯一の道であるときに、大企業が競い合って大量解雇をすすめるならば、どうなるでしょうか。それは家計消費の落ち込みをもたらし、さらに生産の減退や設備投資の減少をもたらし、日本経済を雇用破壊と景気悪化の悪循環に突き落とすことになるでしょう。個々の企業にとっては、人員削減は、瞬間的には、その財務状況を良くしたとしても、それがいっせいに行われるならば、経済と社会の前途を危うくすることになります。それは、企業の存立・発展を展望しても、自殺行為ではないでしょうか」
 「日本経団連の初代会長である奥田碩氏は、かつて『不景気だからといって、簡単に解雇に踏み切る企業は、働く人の信頼をなくすに違いない。そして、いずれ人手が足りなくなったときには、優秀な人材を引き止めておけず、競争力を失うことになる』、『仮に現在、人が余っているというのなら、その人材を使って新しいビジネスに生かす努力をしてこそ、経営者というものです。それもできないようでは、経営者の名に値しません』(『経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ』)とのべています」
「1、会員企業等にたいし、大量解雇計画の中止・撤回を働きかけられたい。
2、違法な解雇、解雇権の濫用をおこなわないよう労働法制の順守を求められたい。3、不当な内定取り消しなど、社会的責任を放棄した行動をやめるよう働きかけられたい。4、労働者が解雇によって住まいまで奪われ、路頭に迷うような事態を引き起こさせないために万全の対策を講じるよう働きかけられたい」
 
 
◎ 中国の国会にあたる第11期全国人民代表大会(全人代)開幕に関連して
2009/3/6『赤旗』の「全人代開幕」関連記事を読み、感じるところがあった。
1 同紙掲載の記事によると
「中国全人代開幕 温家宝首相が方針」
「景気対策 8%成長めざす」
「危機克服へ内需拡大」
 温家宝首相「国際金融危機の影響で成長率が低下し続け、全局に響く主要な矛盾になっている」
「過剰生産」
「雇用情勢の悪化」
「財政収入の減少」
(温家宝首相)「内需拡大を第一に掲げ、2年間で約57兆円の景気対策を実行すると表明」
「財源確保のため、中央政府の財政赤字が大幅に増える」
「都市部で9百万人以上の新規雇用を確保し、失業率を抑える」
「消費者物価上昇率を4%程度に抑えることを目標」
「低所得者と農民への補助金を増額」
「公共住宅、鉄道、道路、農村インフラの建設を促進」
「多くの人たちが集結する事件を予防する」
(温家宝首相)「無駄で現実離れした実績づくりを行ってはならない。私利をはかってはならない」
「2009年度予算案7兆円の減税」
「雇用が悪化すれば、社会の不安定化も助長される」
「農村部で相次いでいる暴動」
2 感じること
 崩壊したソ連「社会主義」には、「民主主義的中央集権制」という問題があった。
 中国共産党の「綱領」には、組織原則として「民主主義的中央集権制」が存在するのだろうか?
 「国営企業」と「資本主義企業」が併存、混在、競争していると言われる中国「社会主義」経済の構造は、「社会主義のメルトダウン」なのか? 「市場経済を通じての社会主義への道」なのか?
 核兵器で武装し、軍事予算を急速に増強している中国が、政治的な意味で社会主義と言い得るのか?
 少なくとも憲法9条的思考が必要なのではないか?
 
 
◎ 英国国際戦略研究所のMilitary Balance 2009 - Press Statementから(補強)
(以下は、英国国際戦略研究所のMilitary Balance 2009 - Press Statementからの抜粋です──海野)
In Afghanistan, we are entering what is probably the most critical period since 2001. The Afghanistan Compact of 2006 is in its final two years and presidential elections are due to take place this year amid rising violence and with a government that is unable to exert its authority in the provinces. Against this background there is a risk that it will not be possible to hold elections; or voter turnout may be below the minimum necessary for the ballot to be valid. The integrity of the whole international mission in Afghanistan is therefore very substantially at stake.
 アフガニスタンで、我々は多分、2001年以降最も危機的な時期に入りつつある。2006年のアフガニスタン協定は、その最後の2年の中にある。そして、地方に権威を及ぼすことができない政府という状況の下、巻き起こる暴力の真っ只中にある今年、場所を占めるのは、大統領選挙である。このような背景の下、大統領選挙が実施不能または法的有効性の限度を下回るような投票率になるリスクが存在する。アフガニスタンでの全体的な国際的ミッションの誠実さは、それ故、とても大きな危機の中にある。(和訳 海野)
Compact 協定
presidential elections 大統領選挙
due することになっている
amid 真っ只中で
exert 及ぼす
province 地方
election 選挙
voter 有権者
turnout 投票率
ballot 投票
valid 法的に有効な
integrity 誠実
substantially 大いに 実質的に
stake 火刑
 オバマ氏は大統領選での公約に「アフガニスタンへの増派」を掲げている、とのことです。どうするつもりなのか?(海野)
 
更新日時:
2009/04/07
物理学、分子生物学等々科学関係の書評、感想、意見など
物理学、分子生物学等々科学関係の書評、感想、意見など
海野和夫
◎ 「真空」の不思議さ、力、エネルギーに迫っている本を読んでみました
1 仮説としての「真空」論
 あくまでも仮説に過ぎないとは思うのですが、「『無』から宇宙は生まれた」、「『真空』の揺らぎから宇宙は生まれた」というような宇宙論が提唱されたり、また量子論によると、「真空では絶えず、物質が生まれ、また消えていく」ということのようで、どうも真空は、本当の無、ゼロではなくて、真空には巨大な力、エネルギーが含まれているようだ、と感じていたのですが、本屋さんで『真空とはなんだろう 無限に豊かなその素顔』(著者 広瀬立成氏 発行 講談社)を見つけて、一気に読んでみました。
 この本を読んで感じたのですが、量子論、宇宙論、相対性理論、分子生物学、物理学全般、何でもそうですが、科学と言っても、相当仮説が存在しているのだな、ということです。信じるのではなく、冷めた目で見る必要があるということです。
2 本によると
 この本を参考にすると、以下のような具合になります。
 ミクロの世界を記述する量子力学(大雑把に考えれば、量子論と呼んでもいいでしょう――海野)は、真空とは、空虚であるどころか、あらゆる素粒子を内包した豊かな世界であることを明らかにしました。
 真空とは、空間の三次元に時間の一次元を加えた四次元の「時空」に他ならない。
 重力は真空を歪める。質量が重力を発生させるのだから、真空を歪ませる原因は結局、質量にある。質量のない真空に、質量を持ち込むと、そのまわりに重力場が発生し、真空は変形する。このように、真空は一定不変ではなく、伸縮可能な柔軟性を持っている。真空は物質と相互作用をする。 
 真空と物質の不思議な関係は、以下のように記述できます。完全な真空であっても、そこには空間があり時間が流れている。このように「時空のかたまり」ともいうべき完全な真空が、物質の存在により、重力が発生するために、歪められてしまう。これを言い換えると、歪んだ真空は、重力場の発生、即ち物質の存在を予測している。物質を排除したはずの真空が、実は物質を包み込んでいる。
 重力は真空中を伝わっていく。これは、真空の歪みが伝わることに他ならない。重力とは、真空のさざ波なのだ。
 量子力学は、電子・陽電子対が生成と消滅を繰り返すという、ダイナミックな真空像を描き出します。
(以前にも書いたことがありますが、「宇宙は無から生まれた」とか「無の揺らぎの中から宇宙は生まれ、膨張し、そして収縮に転じ、無となって光の中へ消えていく」といった宇宙論、仮説が、その根拠としているのが、上記の考え方のようです。真空の揺らぎの中から、物質は生まれ、膨張し、やがて収縮に転じ、再び無となって真空の揺らぎの中に消えていく。それが宇宙の一生だ、というわけなのでしょう、この仮説は──海野)
 仮説といえば、真空は高い次元を持つ多次元世界であり、10次元だという予測、仮説が提唱されています。
 また仮説として、宇宙論として、真空が超高速で一気に膨張したというインフレーション理論が提案されています。
 宇宙のはじまりとその後の進化で、真空は決定的な役割を果たしたのかもしれません。
 (インフレーション理論、ビッグバン理論、パラレルワールド論、真空10次元論、等々、仮説に仮説を積み上げているような気がして、にわかには信じがたいと感じています──海野)
 
 
◎ 量子論が描く世界観のおもしろさ わけのわからなさ 不完全さ
 前から関心を持っていた「量子論」について、その描く世界観について、専門書を見てもわからないので、わかりやすい解説書、わかりやすいけれど体系的な解説書と思われる『「量子論」を楽しむ本』(監修 佐藤勝彦氏 発行 PHP研究所)を本屋さんで見つけて、早速すぐに全部、読んでみました。
 読んでみて、量子論の到達と不完全さが、わかりました。量子論もまた、完成途上にある「理論」なのです。
 この本を参考にすると、以下のような具合です。
 電子は「重ね合わせ」の状態にある。「重ね合わせ」とは、「1個の電子がA点にいる」状態と「同じ1個の電子がB点にいる」状態が、同一の電子の中で重なり合って(共存して)いる、ということです。言い換えると、同一の電子が同時にA点とB点の両方に存在するということであり、量子論の描く世界の不思議さ、おもしろさが、よく出ています。
 そして、電子に限らずあらゆる物質が上記のような性質を持っていることを、量子論は明らかにしました。
 量子論は、物質や自然がただ一つの状態に決まらずに非常にあいまいであることを、そしてあいまいさこそが自然の本質であることを、示しました。
 但し、アインシュタインや(思考実験「シュレーディンガーの猫」で有名な)シュレーディンガーは、量子論の描く世界観に反対し続け、「自然現象を表す物理学は決定論でなければならない」という物理学の大前提を擁護し続けました。
 量子論が言う「同一の物質が同時に複数の違うところに存在している」が正しいとすれば、世界自体が複数存在することになるという「多世界解釈」、「パラレルワールド論」、「平行宇宙論」が、主張されています。量子論の描く世界観を矛盾なく説明できる考え方のようなのですが、「自分という人間が、別の世界に、複数、存在する」という余りにも常識からかけ離れた「理論」のため、支持する人は少数派にとどまっている、とのことです。
 真空は何も存在しない「無」の空間ではなくて、そこでは粒子と反粒子がセットになって生まれたり消えたりすることを絶えず繰り返していると、量子論は主張します。これを、「真空のゆらぎ」と呼びます。真空は完全な「無」ではなくて、粒子や反粒子が存在する「有」との間をゆらいでいる、というわけです。
 「宇宙は無から生まれた」とか「無の揺らぎの中から宇宙は生まれ、膨張し、そして収縮に転じ、無となって光の中へ消えていく」といった宇宙観が、その根拠としているのが、上記の「真空のゆらぎ」理論です。
 ただ、量子論も完成途上にある「理論」です。いまは、わけがわからないけれど、わけがわかる「大統一理論」として完成されるかもしれません。
 
 
◎ ────  「時間」はやはり実在しない  ──── 
 前に、「『時間』は存在しない。存在しているのは、物質であり、その運動です。存在しているのは、物質の運動だけです。時間は? 物質の運動、変化の過程が、経過が、時間なのです。それ以外に『時間』は存在しません。秒、分、時間などと名付けて、時間が存在しているかのようにしているのは、人間の生活の都合からです。従って time travel も幻想に過ぎません」と書いたことがありますが、『時間はどこで生まれるのか』(著者 橋元淳一郎氏 発行 集英社)を読み、「時間は実在しない」という考えが、かなり広く存在していることを知りました。
 上記『時間はどこで生まれるのか』によると、「20世紀には、マクタガートという哲学者が、『時間は実在しない』という『証明』をした」とのことです。
 同著によるとまた、「時間が実在しない」は詭弁に聞こえるかもしれないが、現代の物理学者の中には、そういう考え方の人が結構いる(たとえば、ジョン・ホイーラー)、とのことです。同著で橋元淳一郎氏は、現代物理学が明らかにした宇宙の仕組みを突き詰めていくと、どうしてもそのような結論にならざるを得ない、と述べています。
 同氏は、「量子力学での時間の非実在性」を明らかにし、ミクロの世界では時間は実在しない、と述べています。
 私などが直感的に考えても、ミクロの世界に実在するのは原子のあるいは電子の運動だけであり、時間は実在しないと思うのですが、同氏はそれを量子力学から解明していきます。
 同氏によると、ミクロの世界では、因果律が存在せず、過去・現在・未来という時間の流れ、方向が存在するはずもない、ということになります。
 それでは、「時間」はどこで生まれるのか? 同氏は結論を述べます。「われわれ生命が、主観的時間を創造した」
(参考)
○ マクタガート(1866-1925)
『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、マクタガートは、イギリスの哲学者。ヘーゲル哲学の研究や時間論などで功績がある。
○ ジョン・ホイーラー(1911-)
『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、ジョン・ホイーラーは、アメリカ合衆国の物理学者。第二次世界大戦の間、マンハッタン計画に参加。水爆計画推進に貢献。ワームホールやブラックホールの命名者。
 
 
◎ ウイルスって何?  無生物から生物へ向かう橋なのか 
 ウイルスって何者か? 生物と無生物の間に位置する存在と言われています。中間物。
 ウイルスは、食事も排泄もしない、とのことです。 
ウイルスは、自分では、独力では、自己増殖することができません。生物の細胞に侵入し、その細胞にニセの情報を与えて、細胞は自分自身を増殖しているつもりなのですが、実はウイルスを増殖している、そのような言わば「狡猾な」やり方でウイルスは自己増殖していく、とのことです。
 上記のような実態のウイルスですから、生物と無生物の間にあるものとして位置付けられ、生物なのか無生物なのか論争が続いている、とのことです。
 この論争に対して岡田吉美氏は、自著『ウイルスってなんだろう』(発行 岩波書店)の中で、こういう論争にはあまり意味はない、ウイルスが単独で存在し自己増殖していないときは無生物なのであり、細胞に侵入して自己増殖しているときは生物の状態にあると見るべきだ、という趣旨のことを述べています。
 岡田吉美氏の同著によると、ウイルスは核酸とタンパク質だけからできた単純な化学物質です。自己増殖という生物だけが持っている神秘的な性質を、こんな単純な化学物質が持っているのです。まさに岡田吉美氏が述べているように、ウイルスは不思議な超微生物です。生命と物質の境がはっきりしなくなったのです。
 岡田吉美氏によると、RNAという核酸こそが生命の遺伝情報の担い手です。
岡田吉美氏「ウイルスにはDNAでなく、RNAを遺伝子としてもっているものがたくさんあります。インフルエンザやエイズウイルスの遺伝子はRNAです。RNAこそがウイルスの感染力の本体であり、タンパク質の役割はただそのRNAを保護しているだけです」
くりかえしになりますが、どのウイルスもすべて、核酸とタンパク質の複合体です。同著に写真が載っていた各種ウイルスの形に、私は感動し、驚きました。ジャガイモXウイルスはひも状の形。水泡性口内炎ウイルスは指サック状。パピローマウイルスは20面体。インフルエンザウイルスは無数の突起物で囲まれた円球のような形。大腸菌ファージT4はまさに蜘蛛のような形。
同著で述べられているように、動物や植物、そして細菌は生きており、金属や石などの鉱物は生きていないという違いは、あまりにもはっきりしています。ウイルスも「生きている」ものと、ずっと考えられてきた、とのことです。
岡田吉美氏は言います。「ところが、ウイルスの成分が明らかにされて、事情は一変。ウイルスはRNAとタンパク質という分子が規則正しく並んだ化学物質だったのです」
 細胞を利用して自己増殖する化学物質としてのウイルス。こんなものが本当に、自然界に自然にできたのでしょうか? 私は? と立ち止まってしまいました。
 なお、同氏によると、エイズウイルスは、人の細胞の中にウイルスとして存在するだけでなく、人の遺伝子の中にエイズウイルスの遺伝子が組み込まれている、とのことです。ですから、人の体の中のエイズウイルスを全滅させたとしても、絶えずまたエイズウイルスが発生する可能性があるということです。そして、この可能性を除去することはまだできないのです。
 
 
◎ テーゼ「人格はDNAの自己表現である」へのアンチテーゼのために
 「人格はDNAの自己表現である」、「生物はDNAの乗り物に過ぎない」に示されるような、DNAの絶対視、DNAの神的存在化、DNA至上主義、DNA神話へのアンチテーゼとして登場した『脱DNA宣言 新しい生命観へ向けて』(著者 武村政春氏 発行 新潮社)を読んだ感想のようなものを、以下に書かせていただきます。
 DNAに代わって著者はRNAの存在、役割に特に注目し、DNAという一つの要素だけでは到底説明できないし、解明できない生命の「総合性」のようなものを明らかにしていると、私は感じました。
 確かに、二本鎖のDNAの集積だけで生命を説明できるはずがないし、まして生命をつくりだすことなどできるわけがないと、納得です。
 DNAに代わってRNAが急速に浮上してきているとすれば、将来、さらに別のものが深部から表面化してくるでしょう。生命は、DNAなどよりもっともっと奥深いものに違いありません。
 著者は、次のように同書に書いています。
 DNAには「遺伝子」と呼ばれる部分があって、そこに、私たちの体を作り上げるための「たんぱく質」の設計図が書き込まれている。
 DNAの最大の特徴は複製することである。
 DNAと非常によく似た物質、RNAが存在する。RNAの最大の特徴は、DNAのように二本鎖ではなく、一本鎖のままで存在していることが多いという点である。
 一本鎖であるために、RNAはDNAと違い、とてもフレキシブルだ。
 RNAは、途方もないことをやっている可能性がある。
 DNAを中心とするものの見方は、あくまでも偏った見方でしかない。
 実はRNAが遺伝子で、DNAはRNAのバックアップコピーに過ぎない。
 DNAの存在状態をRNAが決めているようだというような事例も明らかとなっている。
 遺伝するのはDNAだけというDNA至上主義から脱却する必要がある。
 生命現象をつかさどる物質としてのRNAの重要性は、科学者の間では完全に理解されている。
 分子生物学の世界でのRNA研究は勢いを増し、「RNAルネッサンス」とも呼ばれる。
 
 
◎ 「時間」とは何か? その実体は? 時間は本当に存在するのか?
(以下を書くに際して http://www.crc-japan.com/ を参考にさせていただきました)
1 「時間」への疑問
「時間」に疑問を持っています。
時間とは何か? その実体は?
本当は「時間」は存在しないのではないか? 
存在するのは、物質の運動だけではないのか?
人間が生きていくために都合がいいので、「時間」が存在するということにして、「時間」を使っているだけではないのか?
2 回答
上記の疑問に対して、上記サイト http://www.crc-japan.com/ の柳澤氏から次のような回答が寄せられました。
1秒、1分、1時間、1日、1月、1年という時間計測の共通単位があり、通常、人は、時間の感覚というか存在を感得できます。
過去、現在、将来という時系列も整然として乱れること(過去と未来が客観的事実として入り乱れること)はありません。
「本当は『時間』は存在しないのではないか?」とはいかなる意味でしょうか。
3 再び「時間」への疑問 
「時間」については、前と同じようなことしか書けませんが、以下のように考えています。
 存在しているのは、物質であり、その運動です。存在しているのは、それだけです。
 時間は?
 物質の運動、変化の過程が、経過が、時間なのです。それ以外に「時間」は存在しません。
 秒、分、時間などと名付けて、時間が独立して存在するかのようにしているのは、人間の生活の都合からです。
 従って time travel も幻想に過ぎません。
4 柳澤氏の再回答の要旨
時間があるからこそ、「変化」し「経過」するのではないでしょうか。
時間が存在しなければ物質は空間内に、「静止的」に、「変化」もせず「経過」もせず、したがって「運動」もせず存在することになります。
「瞬間」も時間と考えると、時間が存在しないのなら、「物質が存在」することもなくなります。
5 時間が先か物質が先か
柳澤さん
 疑問に真面目に、真摯に答えていただき、ありがとうございます。感謝します。
 柳澤さんのように「時間」を捉えるのが正しいのかもしれないと、心の一部では感じています。
しかし、もう一度だけ、心の別の一部が感じている疑問を、以下に書かせていただきます。
 「時間が先か物質が先か」ということになるのでしょうか? 
 時間が先にあると考えれば、柳澤さんの言われるとおりなのかもしれません。
 しかし、時間が独立した実体だとは到底思えません。時間がある(存在する)から、物質の運動、変化があるということではないと思います。
 最初から物質とその運動は存在しています。物質は自立的、自律的に、内在する力によって、運動し、変化していきます。物質の運動の過程、経過を、人が時間と名付けているだけです。物質の運動とは別に「時間」が存在する姿を、思い描くことはできません。
 
 
◎ 生命とは何か? 生物と無生物の境界は? 人間も死ねば無生物ですから 
 子供だと思っていたら青年に、そして中年に、さらに定年が近い年齢に、自分がそうなってみるとやはり、眼前に死を感じるようになり、人間も死ねば無生物になるわけですから、最近は、生命とは何か? 生物と無生物の境界は? 考えるようになりました。
 以前、分子生物学の本を読んだとき、「人格はDNAの自己表現である」と書かれていて、そう言われてみるとそうなのかもしれないと感心したことがあります。
 たまたま本屋さんで、『生物と無生物のあいだ』(著者 福岡伸一氏 発行 講談社)を見つけ、問題意識にぴったりでしたので、買いました。読むと、DNAについていっぱい書かれています。
 以下の、ウイルスについての記述に関心を引かれました。
 ウイルスは、生物ではなく限りなく物質に近い存在。
 ウイルスは、栄養を摂取することがない。呼吸をしない。老廃物を排泄することもない。つまり一切の代謝を行っていない。
 しかし、ウイルスは自らを増やせる。ウイルスは自己複製能力を持つ。
 ウイルスは生物と無生物のあいだをたゆたう何者かである。
 著者は、DNAについて、その自己複製機構を教えてくれます。
 DNAは、互いに他を写した対構造をしている。この相補性は、自らを複製する機構を担保している。
 「生命とは、自己複製を行うシステムである」との定義が生まれる。そしてこのことは、DNAが持つ二重ラセン構造に担保されている。
 著者は、上記のように私たちに教えてくれます。
 「生物と無生物のあいだをたゆたう何者かである」ウイルスは、何のために存在するのか? どのように発生、形成されたのか? 誰かが作ったのか? 地球外から来たのか? 不思議です。
 生命の自己複製システムを担保しているDNAの二重ラセン構造は、どのように発生、形成されたのか? 誰かが作ったのか? 地球外から来たのか? 無生物からの進化の結果として発生、形成されたのか? 
 福岡伸一氏の本をいろいろ読んで、勉強したいと思います。
 
 
◎ 生命とは何か?生物と無生物の境界は?人間も死ねば無生物ですから(2) 
 『生物と無生物のあいだ』(著者 福岡伸一氏 発行 講談社)を全部、読んでみました。
 著者によると、量子力学の「シュレーディンガーの猫」で有名な物理学者シュレーディンガーも『生命とは何か』という本を書いているそうです。
 本の中でシュレーディンガーは「原子はなぜそんなに小さいのか?」という問いを発しています。
 福岡伸一氏によると、原子は確かに全く小さなもので、原子の直径は1〜2オングストロームだそうです。オングストロームとは、1メートルの100億分の1です。
 シュレーディンガーは続けます。「独立的な存在として原子のほうが文句なしに先であることを考えると……われわれの身体は原子に比べて、なぜ、こんなに大きくなければならないのか?」
 福岡伸一氏は、進化論の「突然変異」にも疑問を提出します。
 私も以前、「突然変異は何も説明していない」と書いている本を読んだことがあり、確かに突然変異によって進化が起こると説明されてもそれは何も説明していないに等しい、と感じていました。
 福岡伸一氏は、進化の原動力を突然変異とする進化論を「俗流進化論」と呼び、「むしろ、生物の形態形成には、一定の物理的な枠組み、物理的な制約があり、それにしたがって構築された必然の結果と考えたほうがよい局面がたくさんある」と主張する。
 氏は、生命とは何か? に答えて、「すべての物理現象に押し寄せるエントロピー(乱雑さ)増大の法則に抗して、秩序を維持しうることが生命の特質である」、「生命とは動的平衡にある流れである」と主張する。
 そして、「時間」という要素が加わってくる。氏は言う。「生命は、時間軸に沿って流れる、後戻りのできない一方向のプロセスである」
 また氏は言う。「(生命の)動的な平衡がもつ、やわらかな適応力となめらかな復元力の大きさにこそ感嘆すべきなのだ」
 私は、前に本で読んだ「生命は、自らの道を切り開く」という言葉を思い出しました。
 福岡伸一氏は自著の最後の部分で、「結局、私たちが明らかにできたことは、生命を機械的に、操作的に扱うことの不可能性だったのである」に到達しています。
 
 
◎ 無限に数を足していき有限の数にする? ゼータ関数?
 先日見たビートたけしさんのテレビ番組で、「無限に数を足していき有限の数にする? ゼータ関数?」がテーマの一つになっていて、現代数学はマジックよりはるかにマジック的で、「超能力」も「超魔術」も顔負けだと感じました。
 現代数学の到達点は、無限に数を足していくと有限になる、ゼータ関数を使うとそうなる、数学の計算上の話だけでなく一部は既に実証されている、というのです。信じ難い話ですし、理解不能です。インタネット上を検索し、少し調べてみました。
 同じような疑問を持つ人がいました。下記のサイトが参考になります。
http://d.hatena.ne.jp/abyssal-fish/20060927
 たとえば、ゼータ関数を使うと、以下のような計算が成立するのだそうです。
1 + 1 + 1 + 1 + …… = −1/2
1 + 2 + 3 + 4 + …… = −1/12
 信じ難い計算結果です。無限にもいろんな種類の無限が存在するということになるようです。
1 + 1 + 1 + 1 + …… = ∞
1 + 2 + 3 + 4 + …… = ∞
 上記の計算結果が当り前だと信じ切っていた私には、まさに不意打ちです。 
「1を無限に足せば無限だけれど繰り込むと−1/2になる」ということのようです。インタネット上の説明を読むと、そうなっています。
ゼータ関数の説明がインタネット上に載っていますが、難解過ぎます。ここでの説明はできません。
繰り込む? どういう意味なのだろうか? わかりません。無理矢理理解してみると、「有限化する」ということのようです。無限を有限の数で表現する、ということのようです。
以下のサイトでは、繰り込みを「基本的には『細かいことには目をつぶる』という戦略だといえる」と解説しています。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/
「繰り込み理論」(三省堂「大辞林 第二版」から) 電子と電磁場の相互作用を量子電磁力学によって扱うとき、理論上は無限大となる電子の質量と電荷を有限な観測値に置き換え、矛盾のない理論体系を確立しようとする理論。朝永振一郎、アメリカのシュウインガー、ファインマンがそれぞれ独立に提唱し、これによって量子電磁力学は一応の完成をみた。
それにしても、ずっと足し続けると、「1 + 1 + 1 + 1 + …… = −1/2」、「1 + 2 + 3 + 4 + …… = −1/12」、つまりマイナスになる。言い換えると、プラスの集積の結果はマイナスである。理解不能です。
相対性理論は「時間を未来に向かって無限に進んでいくと過去に戻る可能性がある」としていますが、これに似ています。
また、一頃流行った弁証法の法則の中に「量の蓄積が質的変換を結果する」、「否定の否定」というようなものがありましたが、これにも少し似ています。「プラスの蓄積が質的変換を結果してマイナスになる」、「プラスは否定されてマイナスになり、また否定されてプラスになる」というわけです。
???
 
 
◎ ―――  フロイトの精神分析について 雑考  ―――
ジグムント・フロイト(Sigmund Freud)(三省堂「大辞林 第二版」から) (1856〜1939年)オーストリアの精神医学者。精神分析の創始者。自由連想法を主にした独自の神経症治療を創始し、無意識の過程と性的衝動を重視した精神分析学を確立。文学や芸術の領域にわたり大きな影響を与えた。1938年、ナチスの迫害を逃れ、ロンドンに亡命。著「夢判断」「精神分析入門」など。
 一頃相当流行ったフロイトの精神分析には私も(同世代の人たちの一定部分もそうだったと思うのですが)惹かれ、フロイトの『精神分析入門』は繰り返し読んだ本です。
 フロイトの精神分析という手法は、人間の意識を「顕在意識」と「潜在意識」にわけ、「顕在意識」は建前の意識、言い換えると意識の外皮であり、本質的な意識、言い換えると本音の意識は「潜在意識」だとするものです。
 そして、本音の意識としての「潜在意識」を大きく規定しているのがリピドー(性的衝動、性的エネルギー)だとフロイトは主張します。従って、人間の行動をコントロールしているのはリピドーだとジグムント・フロイトは主張するわけです。
 この精神分析という手法によって神経症治療に成功している、従って精神分析理論の正しさは実践によって証明されているとフロイトは言うのです。
 マルクス、エンゲルスにも大きな影響を与えたと言われている『キリスト教の本質』を書いたフォイエルバッハも「愛の中で最高の愛は、性愛である」と述べていますし、生物学も人間を含む動物の三大本能として「摂食本能(食欲)」、「生殖本能(性欲)」、「防衛本能」をあげています。
 「無意識の過程と性的衝動を重視した」精神分析学は、人間の本能を「侮蔑」から解放し、それに正当な地位を与えようとし、個人としての人間を最高の存在へと浮上させようとしたところに、その意義があるのかもしれません。
 精神分析学がどの程度正しくどの程度正しくないのか、心理学に素人の私には自信がありませんが、そうは言っても、人間の本能を「侮蔑」から解放し、個人の尊厳を大事にする姿勢には共感するものです。
 「国を愛する気持ち」、「郷土を愛する気持ち」を法律によって強制する改悪「教育基本法」の成立は、突き詰めれば再び「国のために死ぬ」ことを美化し、強制することに通じています。この道は、個人の尊厳への蔑視であり、「生きたい」という人間の本能への敵視に他ならないと思います。
 全体主義は、もうたくさんです。 
 
 
◎ ─── 進化論についての若干の疑問 ―――
1 進化論
「進化論」(三省堂「大辞林 第2版」から) 生物は造物主によって現在の形のまま創造されたとする種の不変説に対して、原初の単純な形態から次第に現在の形に変化したとする自然観。19世紀後半ダーウィンらによって体系づけられ諸科学に甚大な影響を与えた。
2 若干の疑問
物が生命に、生物に、そして人間の精神に進化する、飛躍するというような「マジック」を、私は簡単には信じられません。
 地球以外で生命が見つかっていないのはなぜか?
 現代の科学も、物から生命をつくりだすことに成功していないわけですし、物から生命への、精神への飛躍の「マジック」を、そう簡単に安易に信じるのはどうなのだろうかと感じています。
3 IMPROBABLE by ADAM FAWER
 いま IMPROBABLE を読んでいます。ADAM FAWER が書いた小説です。その中に、次のような箇所があり、進化論に疑問を持っている人はいるのだと思いました。
Darwin's postulate that evolution and natural selection result from random mutations is completely unproven. 
 和訳すると、以下のような文書になると思います。
 進化と自然淘汰はランダムな突然変異の結果だとするダーウィンの原理は、完全に未証明である。
4 突然変異と言われても
 突然変異で進化すると言われても、それは何も証明していないのと同じだと私も感じます。
 物→生命→精神の飛躍の「マジック」について、突然変異でそうなるのだと説明されても、理解不能です。物から生物の原初の単純な形態をつくり出すことを、人類は、現代の科学は、まだできません。進化論について、若干の疑問を持たざるを得ません。
 DNAの自己進化というようなことも言われていますが、これも、物→生命への飛躍を説明することはできないような気がします。
 
 
◎ タイムマシン? タイムトラベル? 佐藤勝彦東大教授監修の本
 『タイムマシンがみるみるわかる本』(監修者 佐藤勝彦東京大学大学院理学系研究科教授 発行所 PHP研究所)を読んでみました。
 この本に書かれているのは、結論から言うと、未来に向かっても、過去に向かっても、タイムトラベルは理論の上では可能だ、との見解です。困難さで言うと、過去へのトラベルのほうが困難で、未来へのトラベルは困難でないどころか既に現実に起こっている、としています。
 この本によると、高速で移動する乗り物に乗ると止まっている時に比べて時間の進み方が遅くなる→従って、東京から新幹線に乗って博多駅で降りれば、そこはもう未来の世界である(但し、10億分の1秒ほどという、ほんのわずかだけの未来)、ということになります。
 アインシュタインの相対性理論だと、そうなっているとのことです。
アインシュタインの相対性理論は「時間は絶対的ではなく、相対的である」と主張します。
この本『タイムマシンがみるみるわかる本』によると、「光の速さの90%で飛行する亜光速宇宙船に乗れば、その中では時間の進む速さが約半分になる」とのことです。
「亜」は、より小さいことを表していますから、「亜光速」は光速に近いけれど光速より小さい(遅い)速度を意味しています。
 縦、横、高さの三次元に時間という四番目の次元を加えて、時間と空間をまとめて時空(四次元)として取り扱われることになっている、とのことです。
 ただ、私の記憶だと、比較的最近読んだ別の本は、この「四次元」説を否定し、「時間は存在しない。存在するのは、物質の運動だけだ。時間は、あったほうが人間にとって都合がいいから、人間が頭の中で作り出したもので、存在するのは物質だけであり、物質の運動だけだ」と主張しています。わかりやすい理論です。存在するのが、物質であり、物質の運動だけだとすれば、タイムトラベルなどできるわけがありません。不可能です。タイムトラベルというマジックは、敗北します。
この本『タイムマシンがみるみるわかる本』は、「重力によって時間の遅れが生じる」と言います。そして、巨大な重力を及ぼす天体(たとえば中性子星)を使ってのタイムトラベルの可能性に言及しています。
 相対性理論によれば未来へのタイムトラベルは可能、というのがこの本の結論です。
 しかし、この本も、過去へのタイムトラベルの困難さを認めています。過去への旅が実現すると、「原因は過去にあり、結果は未来にある」という因果律が破綻するからです。因果律を破る過去への旅は不可能なのです。
 しかし、この本は、過去へのタイムトラベルの可能性として、次のような可能性をあげています。
 1 相対性理論の方程式を解くと、ある場合には時間がループしているような答えが存在する。この場合、未来へどんどん進むと、過去に来てしまう。
「ループ」 輪。輪の形をしたもの
 ニーチェが唱えた「永劫回帰(永遠回帰)」が現代によみがえってきた、そんな感じです。
 2 光の速さを超えれば過去への旅ができる。光より速く飛ぶミクロの粒子が存在するのではないかと考える科学者が一部に存在する。その超光速粒子はタキオンと呼ばれている。
しかし、実際にタキオンの存在が確認されたことはありません。
 3 過去へ行けるタイムトンネル(ワームホール)を作る(あるいは利用する)。
「ワームホール」は、宇宙空間にあいた穴のことです。宇宙空間にあいたワームホールを通って移動できれば、移動速度が光の速さを超えることも可能になる、とのことです。
 しかし、宇宙に実際に存在することがわかっているブラックホールと違って、ワームホールは理論上の存在にすぎません。
 4 宇宙ひもを使ったタイムトラベルというアイデア
 この本によると、宇宙ひもは、超巨大な質量を持つひも状の天体。生まれて間もない宇宙の中で宇宙ひもができた可能性が指摘されている、とのことです。本当に宇宙ひもができたのかどうか、まだ確認されていません。宇宙ひもは超巨大な質量を持つために、周囲の時空を大きく歪めます。
 5 多世界解釈という考え方。パラレルワールド(並行世界)。
 一人の自分、一つの世界、一つの宇宙だとすれば、因果律を破る過去への旅は不可能です。それを解決するために、複数の並行世界の存在という多世界解釈があります。量子論からこのような解釈が発生し、多世界解釈を支持する科学者がごく少数ですが存在します。
(『Newton』2006年7月号「量子論」特集は、次のように解説しています)
量子論のある考え方によれば、私たちが住む世界とは様子の違う「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在するとのことです。この考えに否定的な物理学者も多くいますが、支持者も増えつつあると言われています。
 量子論の不思議な基本原理として「電子のようなミクロな世界では、一つの物体は同じ時刻に複数の場所に存在できる」があります。「状態の共存」と量子論はよんでいます。従来の常識である「一つの物体は、同じ時刻に複数の場所には存在できない」をまさに根本から覆すものです。
 一つの電子が、同じ時刻に複数の場所に存在しています。ところが、それを観測すると、電子は一つに「収縮」してしまいます。言い換えると、一つの電子が同じ時刻に複数の場所に存在しているにもかかわらず、観測すると、電子は複数の場所に存在しておらず、一つに「収縮」しているのです。観測すること自体が電子の状態に影響を及ぼしてしまうのです。
 なぜ「観測すると一つに『収縮』してしまうのか」、量子論でもまだ解決していない、とのことです。「観測すると一つに『収縮』してしまう」この事実から出発して、「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在するとの考え方に結び付くようです。
 同じ時刻に複数存在していたものが、観測すると「収縮し、一つだけ残り、他は消えてしまう」のは、観測すること自体が影響を及ぼしたのではなく、また観測すること自体が影響を及ぼすことができるわけはないのだから、もともと「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在するのだ、存在する複数世界の中の一つの世界だけを観測は捉えたのだ、というような主張になるようです。
 
 
◎ 量子論について
 『Newton』創刊300号記念ということで『Newton』2006年7月号に、「量子論」が特集・掲載されていましたので、早速買って読んでみました。私としては特に「量子力学の不確定性原理」には、従来一般に信じられ続けてきた(私も信じてきた)「決定論」を覆すなかみを含んでおり、注目してきました。それを含めて、わかりやすく解説されていることを期待して購入しました。
 私が驚異的な理論、考え方、事実として感じているものの中に、たとえば、@「人格はDNAの自己表現である」、A「生命は自分で自分の道を切り開く」(たとえば、ある種のカエルは、同性どうしを、大量に同性だけを異性のいない場所に閉じ込めると、一方が異性へと変化して、子孫を残すとのことです)、B「量子力学の不確定性原理」の三つがあります。
 今回は、雑誌『Newton』の力を借りて、量子論について感想的なことを書かせていただきます。
(以下の記述は、『Newton』の記述に基づいて、記述したものです)
 私たちの世界観を覆した理論が二つあります。「相対性理論」と「量子論(量子力学)」です。量子論がなければ、パソコンや携帯電話も生まれなかったとのことです。
 量子論によると、電子のようなミクロな粒子は、何もないはずの空間から突然生まれたり消えたりします。宇宙誕生の謎も量子論が解き明かしてくれると期待されているとのことです。
 また、ある解釈によれば、私たちが住む世界と様子が違う「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在すると言われています。
 量子論は、「決定論」を否定し、「未来は決まっていない」と主張します。量子論が誕生する以前は、フランスの科学者ピエール・ラプラスのような考え方「仮に、宇宙のすべての物質の現在の状態を厳密に知っている生物がいたら、その生物は宇宙の未来のすべてを完全に予言することができるだろう。つまり未来は決まっていることになる」、このような考え方、「決定論」が、物理学者の間では一般的だったようです。
 私(海野)もそうでした、量子力学の不確定性原理を知るまでは、「決定論者」でした。原因、結果、原因、結果……の必然の連鎖を信じていました。しかし、電子のようなミクロな粒子の世界では、こんな考え方は通用しない、と量子論は主張し、明らかにします。
 量子論は「真空では物質が生まれたり消えたりしている」という事実を明らかにしました。「無」から「有」が生まれるというのです。この事実から、量子論は宇宙誕生の謎に接近し、「『無』から宇宙が生まれた」という仮説が考えられているとのことです。
 また、前にも述べましたように、量子論のある考え方によれば、私たちが住む世界とは様子の違う「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在するとのことです。この考えに否定的な物理学者も多くいますが、支持者も増えつつあると言われています。
 量子論の不思議な基本原理として「電子のようなミクロな世界では、一つの物体は同じ時刻に複数の場所に存在できる」があります。「状態の共存」と量子論はよんでいます。従来の常識である「一つの物体は、同じ時刻に複数の場所には存在できない」をまさに根本から覆すものです。
 一つの電子が、同じ時刻に複数の場所に存在しています。ところが、それを観測すると、電子は一つに「収縮」してしまいます。言い換えると、一つの電子が同じ時刻に複数の場所に存在しているにもかかわらず、観測すると、電子は複数の場所に存在しておらず、一つに「収縮」しているのです。観測すること自体が電子の状態に影響を及ぼしてしまうのです。
 なぜ「観測すると一つに『収縮』してしまうのか」、量子論でもまだ解決していない、とのことです。「観測すると一つに『収縮』してしまう」この事実から出発して、「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在するとの考え方に結び付くようです。
 同じ時刻に複数存在していたものが、観測すると「収縮し、一つだけ残り、他は消えてしまう」のは、観測すること自体が影響を及ぼしたのではなく、また観測すること自体が影響を及ぼすことができるわけはないのだから、もともと「パラレルワールド(並行世界)」が無数に存在するのだ、存在する複数世界の中の一つの世界だけを観測は捉えたのだ、というような主張になるようです。まさに、宗教論争、神学の世界を彷徨っているような気分になります。
 さきほどの「無」から「有」が生まれるという、まさに「神学的な現象」の解明に向かいましょう。量子論の説明を、誤りを恐れず単純化すると、「『無』=真空でさえエネルギーが完全にゼロの状態はありえない」、「真空の持つエネルギーの揺らぎによって、素粒子があちらこちらで生まれては消えている」ということになるようです。 
 宇宙は膨張を続けていることがわかっているとのことです。これを突き詰めて考えていくと、時間をさかのぼればさかのぼるほど宇宙は小さくなり、宇宙は大昔には、原子よりもさらに小さかったことになります。ここから、宇宙は「無」から誕生したという有力な仮説が生まれた、ということになるようです。「無」と言っても、さきほど説明したようにエネルギーは持っているわけですから、完全な「無」ではありませんが。
 そして、「無」から生まれたミクロな宇宙が、何らかの原因で急膨張をおこし、私たちの宇宙へと成長したと考えるのが、「無からの宇宙創成」のシナリオであり、まさにシナリオであり、まだ仮説の段階だとのことです。
 繰り返しますが、宗教論争、神学の世界を彷徨っているような気分になります。
 
 
◎ 『ホーキング 虚時間の宇宙 宇宙の特異点をめぐって』を読んで
 『ホーキング 虚時間の宇宙 宇宙の特異点をめぐって』(著者 竹内薫 発行 講談社)を、「虚時間」に興味を惹かれて、読んでみました。
 あらためて、宇宙論、宇宙物理学は、仮説、シナリオから成り立っているのを、感じました。
 この本で竹内薫氏が紹介している宇宙論の仮説、シナリオ等を、以下に羅列してみます。
○ 宇宙は(原因不明であるが)ビッグバンという大爆発から始まって現在でも膨張し続けている。ビッグバンは特異点だった。
○ 特異点とは、大きさがゼロで、物理量が定義できないような空間の点である。
○ 超ひも理論は、特異点を回避するために「点」ではなく、長さを持った「ひも」から物理理論を構築しよう、というアイディアがもとになっている。
○ 超ひも理論では、「ひも」のほかに、「面」も登場し、さらに、ブレーン(膜)も出てくる。
○ ブラックホールの周囲には、光でさえ脱出できないような時空の境界線が存在する。 
○ ブラックホールは量子効果により「放射」し、しまいには蒸発する。
○ 量子論では、いろいろな物理量が不確定になる。
○ 時間にはじまりはない。時間に始まりがないということは、境界が無になったのである。ビッグバンも特異点もなくなったのである。このような特異点のなくなった宇宙のことを、「宇宙の境界条件は境界が無いことだ」と言い、それは「無境界仮説」と名付けられている。
○ インフレーション宇宙というシナリオが考案されている。
○ 「なぜ宇宙の時間は一方通行なのか」という哲学的問題が存在する。
○ ホーキングは、ブラックホールが「別の宇宙」への入り口なのではないかと考えている。
○ 初期宇宙は虚時間だった。(ホーキングの仮説)
○ 「宇宙がどうやって始まったかについて、宇宙の外の何者かの助けを借りる必要はない。宇宙は完全に自己完結した系」(ホーキング)
○ 超ひも理論は、宇宙のあらゆる素粒子もさらに小さい「ひも」からできていると主張する。そのひものさまざまな振動状態が素粒子に見えるというのである。「ひも」というのは「ひも状になったエネルギー」という意味である。
○ 「ひも」は余りにも小さいので、数学的にはブラックホールと同等であることが判明した。
 
 
◎ 「余剰次元」 私たちには見えない「隠れた次元」が存在する? 
 2008/1/3 『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』(リサ・ランドール著 向山信治監訳 塩原通緒訳 NHK出版)を読み終わりました。600頁超です。
 現代物理学の到達が、実は未到達の部分が多く、仮説、シナリオで成り立っているのが、よくわかりました。
 著者リサ・ランドールが主張している「余剰次元」の存在、私たちには見えない「隠れた次元」の存在、言い換えると「5次元時空」の存在、あるいは5次元を超えるような時空の存在も、仮説であり、シナリオの一つであることを、著者自身が認めています。
 私たちに見える、わかる空間は、前後、左右、上下の3次元です。3次元空間です。これに時間を加えて4次元時空と言っています。時間を、私たちは見ることはできませんが、その存在を感じているし、わかっています。
 著者リサ・ランドールは、この私たちに把握されている(少なくとも把握していると感じている)4次元時空以外に、もう一つの次元あるいは多数の次元が存在している可能性を、仮説として、シナリオとして、提示しているのです。それを彼女は、「余剰次元」と呼びます。
 余剰次元は、隠れていて、私たちには見ることも、感じることもできないと、彼女は説明します。逆に言うと、見ることも感じることもできないのは、隠れているからだ、ということになります。
 一言で言うと、余剰次元の理論が有力な仮説として注目されてきているのは、余剰次元の導入によって、物理学上のいろいろな謎が解明できるからだ、ということのようです。
 仮説の有力さを強めるには、実験による確認が必要ですが、ジュネーブ近郊に建設された超高エネルギーの粒子衝突型加速器、大型ハドロン加速器(LHC)での実験によって、余剰次元の存在がある程度確認できる可能性がある、とのことです。
 というのは、5次元時空には「KK粒子」が存在し、KK粒子は5次元から4次元に移動することができる粒子なので、そのKK粒子の存在を大型ハドロン加速器(LHC)での実験によって確認できれば、5次元時空の存在を裏付ける有力な証拠となる、というわけです。
 この本の最後のところで、現代物理学の到達として、空間とは何か、時間とは何か、その解明があらためて問題となっていること、「空間と時間は消える運命にあるのかもしれない」、「空間と時間は幻想に過ぎないかもしれない」、「空間と時間はもっと根本的なものから派生した二つのものかもしれない」という考えが紹介されています。
 いずれも仮説です。
 ひも理論、ブレーン(膜)理論、宇宙論、等々、仮説です。シナリオです。冷徹に見ることです。
 
◎ 『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』から学ぶ(1)
 『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』(リサ・ランドール著 向山信治監訳 塩原通緒訳 NHK出版)を読み、「余剰次元(私たちには見えない隠れた次元)の存在」だけでなく、物理学上の仮説、理論をいろいろ学ぶことができました。
 以下に紹介します。
○ ひも理論
 自然界の最も基本的な単位は粒子ではなく、万物のもととなるのは振動するひもであるという考え。「ひもの振動から粒子は生まれる」というようなことを主張しているようです。
「ひものさまざまな振動の仕方に応じて、さまざまな粒子が現れてくる」(リサ・ランドール)
○ 「歪曲した幾何」という概念
 アインシュタインの一般相対性理論から派生する概念だとのことです。一般相対性理論によれば、空間と時間は単一の時空構造に統合される。時空構造は、物質とエネルギーによってねじれ、歪められる。時空の歪曲です。これは仮説というより、実験によってある程度確認されているようです。
○ ブレーンワールド
 4次元時空を超える高次元時空が存在するとすれば、高次元時空の重要な要素としてブレーン(膜)が存在するという考え。私たちの宇宙を構成する物質がブレーンに閉じ込められていると考える理論。
○ 「重力は時空の幾何構造の歪み」 
 アインシュタインの考えでは、重力は物体に直接作用する力ではなく、時空の幾何構造の歪みであり、その歪み(曲率)はそこに存在する物質とエネルギーによって決まる、とのことです。
 ニュートンが重力→物体と考えたのに対してアインシュタインは、物質とエネルギー→時空の歪み→重力と考えたわけです。
 「質量とエネルギーは時空を曲げ、その曲がった時空が重力場の原因と考えられる」(リサ・ランドール)
○ 量子力学による粒子の記述
 実験によると、各電子また各光子(光子=光を伝える粒子)は、二つのスリットを同時に通り抜ける。不思議です。量子力学は、粒子は出発点から到達点までどの経路でもとることができる、粒子はその存在を特定できるものではなく確率の観点でしか記述できない、粒子は波でしか記述できない、と主張する。
○ 反粒子
 反粒子はフィクションではなく、素粒子物理学から見た世界の一部をなしている、とのことです。
 「粒子と反粒子は出会い、お互いを滅ぼし、その結果としてエネルギーの爆発を生む。そのエネルギーから、新しい一対の粒子と反粒子が現れてくる」(リサ・ランドール)
○ 質量を持たない粒子
 光子(光を伝える粒子)とグラビトン(重力を伝える粒子)はともに質量がゼロである。
○ 「仮想粒子」
 「量子力学と不確定性原理の帰結として存在する短命の粒子」(リサ・ランドール)のことです。
 「真空はエネルギーの貯蔵所と考えることができ、仮想粒子は、その真空から生まれ、エネルギーの一部を一時的に借りている。仮想粒子はほんの一瞬しか存在せず、借りたエネルギーをもったまま、すぐにまた真空に消失する。そのエネルギーはもとの場所に還ることもあるが、どこか別の位置にいる粒子に伝えられることもある」(リサ・ランドール)
○ 陽子の寿命
 陽子の崩壊速度は極めて遅く、その寿命は宇宙の年齢をはるかに超える、とのことです。
(続く)
 
◎ 『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』から学ぶ(2)
(『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』(リサ・ランドール著 向山信治監訳 塩原通緒訳 NHK出版)を読み、「余剰次元(私たちには見えない隠れた次元)の存在」だけでなく、物理学上の仮説、理論をいろいろ学ぶことができました。以下に紹介します)
○ ダークマター 
 ダークマターは、宇宙全体に広がっている光を発しない物質で、その重力の影響を通じて存在が発見された、とのことです。宇宙のエネルギーの約25%がダークマターに蓄えられている可能性があるのですが、それが何であるかはいまだにわかっていない、とのことです。
○ ひも理論の基礎
 物質の基本的な性質についてのひも理論の見方は、「物質の根本をなす最も基本的で分割不可能な物体は、ひもである」、「電子もクォークも、すべてがこのひもの振動からできている」というものです。
○ 宇宙論
 宇宙の膨張は加速している、とのことです。何が宇宙の膨張を加速しているのかという宇宙論的な謎が生じています。
○ KK粒子
 カルツァークライン(KK)粒子は高次元粒子の4次元での表れである、とのことです。
 「高次元」 4次元を超える次元
 「高次元粒子」 高次元に存在するとされる粒子
 高次元に存在する粒子が4次元に移動してきたとすると、KK粒子として4次元に表れる、ということです。逆に言うと、実験によってKK粒子の存在が確認できれば、高次元の存在を確認する有力な証拠となるわけです。
 「KK粒子は、この4次元世界で最もつかまえやすい余剰次元からの密入国者だ」(リサ・ランドール)
○ 重力の認識の限界
 0.1ミリメートルより短い距離にある二つの物体の間で重力がどう働くかはいまだにわからない、とのことです。
○ ブラックホールの蒸発
 ブラックホールは永遠には存在しない。「ホーキング放射」という現象を通じて放射を発することにより、蒸発してしまう、とのことです。
(なお、ブラックホールの地平線の近くでは、時間が歪曲する、とされています)
○ 粒子
 おなじみの粒子ですが、実は、粒子の質量や性質の起源はまだわかっていない、とのことです。
○ 次元、空間、時間
 そもそも次元とは何か? 空間とは何か? 時間とは何か? それらは消える運命にあるのかもしれない。幻想に過ぎないのではないか。空間も時間ももっと根本的な何かから創発した性質と考えてもおかしくない。等々。
現代物理学の到達として、あらためて問い直されている、とのことです。
 
 
◎ 突然変異とは何か? を説明しているシュレーディンガー『生命とは何か』
 遺伝上の進化で役割を果たしていると言われている「突然変異」とは何か?
 「突然変異」と言うだけでは、何も説明していないのではないか? という疑問に、量子論の立場から回答を与えようとしているのが、シュレーディンガー『生命とは何か』(岩波文庫)です。
 シュレーディンガーと言えば、「シュレーディンガーの猫」で有名な、量子力学の創始者と言われている人です。
 彼の説明は、以下のようなものです。
 「ダーウィンは小さな連続的な偶然変異がもとになって自然淘汰が行われると考えたが、これは誤りである。小さい連続的な変異は遺伝しない」
 「オランダ人ド・フリースは、飛び離れた変化をしたものがごく少数、たとえば何万に二つとか三つの割合で出現する、ということを発見した。『飛び離れた』という言葉は、変化の起こっていないものとごく少数の変化の起こったものとの中間の形のものがまったくない、という意味で不連続性があることを意味する。ド・フリースはそれを、突然変異と名付けた。不連続性ということが重要である」
 「突然変異は、遺伝子という分子の中で起こる量子飛躍によるのである」
 「突然変異は完全に遺伝する」
 「突然変異は、一個の染色体の中の一定の部分に起こるある変化によりひき起こされる」
 「突然変異には有害なものと有利なものがある」
 「突然変異は稀にしか起こらない出来事である」
 「突然変異が起きる率は、X線またはガンマー線を照射することによって、何十倍にも増大する」
 「人類の種が(X線による)望ましくない突然変異により害を受けるという可能性に、関心を払うべきである」
 
更新日時:
2008/08/20
―――――――― 「入契法参議院付帯決議」関連 ――――――――
―――――――― 「入契法参議院付帯決議」関連 ――――――――
海野和夫
 
◎ 「法定福利費」の別枠支給は現行法体系の中でも可能なのか?
1 メールをいただきました
 最近、吉良比呂志さんから、要旨以下のようなメールをいただきました。
先日の企業交渉で鹿島に行ってきました。賃金問題で「月額50万円」の要求についての回答で、各社とも「理解できる」が、
@1企業で実現できるものではない。
A総価契約で賃金を実際に払う立場にない。
B我々もそんなに貰っていない。
などという答弁が各社の回答のように思います。
鹿島は「皆さんが、例えば10人でやるところを8人でやりきれば浮いた分が回ってくる。皆さん方もそうした努力が必要ではないか」と「生産性向上理論」なるものを展開していました。
かつて、私が勤務したことのある日産自動車では、自動車組み立てラインで労働者が8人並んで作業しているのを、突然1人の労働者を抜き取り実験したことがあります。ラインのスピードを落とさずに1人分の労働者の作業範囲を他の7人がいきなり受けもつことになるのですから、作業工程が終了しないために「警報」がなり、ラインがストップしました。ところが不思議なことに1時間もすると7人でラインがトラブルなしに稼働し始めて以後はラインストップにならなくなるのです。労働者の順応はすごいものだと感心しましたが、後で感想を聞いたところ、「8人でやっているときは慣れているのでほかのことを考えながらでも間に合っていたが、7人では次の作業の段取りまでを数秒間で判断しなければならないので極端に疲れる」といっていました。(生産性向上というのは暴力的な搾取をともなっているのですね)
組み立てラインは、作業内容を把握するのに1日〜2日あれば通常は誰でも対応できる単純標準作業です。もし、今ゼネコンが建設工事での技能工程を支える労働者の存在をこうした視点から「コスト削減」対象と考えているとしたら、恐ろしいことだと思うのです。結局のところ、「請負単価」(原価割れの低単価発注であっても)の範囲内で「努力すれば賃上げはできるではないか」という横暴な回答でしかないのではと思います。
また、大成建設では「深夜作業の想定される工事については1.5割増の単価で発注している」と回答していましたが、実際には現場労働者が割増を受けていない事例はコラムの指摘のとおりです。
「指値」発注する下請契約が、「深夜割増も、労働者の福利厚生費(社会保険費用・労災保険・通勤費・有給休暇・その他法令上定められた使用者負担分)も、総価契約の中に含まれている」という論理は、それを含めたとしても含めなかったとしても下請への支払いは「絶対額が不足」させられて泣いているだけです。
こうした論点を1日も早く克服していきたいと思っていますが、今、関東地協が「法定福利費の別枠支給」の要求を掲げていますが、この要求の実現に向けて具体的な手順等の試案があれば教えていただければと思います。特に、公共工事の設計労務単価が下落する中で、その改善も必要とは思いますが、本来労働者に支払われるべき「法定福利費」の別枠支給が現行法体系の中でも可能なのかどうか、良い提案があったらよろしくお願い致します。
2 「法定福利費」の別枠支給が現行法体系の中でも可能なのかどうか
 総価契約というのは、名前の通り総価で契約しているのであり、その総価内で工事を完成すればいいわけで、どのような資金配分をするかは請負者の裁量、ということのようです。
 賃金の別枠支給、また法定福利費の別枠支給を実現するには、この総価契約方式の見直しが必要、ということになるのでしょう。
 いろいろ調べたのですが、現行法体系が、賃金の別枠支給、また法定福利費の別枠支給を強制している、ということにはなかなかならない、なっていないようです。
 あえて言えば、労働基準法第24条が「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めているわけですから、この規定を真に実現するためには、賃金の別枠支給が必要ではないか、それに準じて、法定福利費の別枠支給が必要ではないかと、企業や行政に迫ることかなと思います。
 私などが言うまでもないことなのですが、入契法成立時の参議院附帯決議が定める公共工事の発注者責任「公共工事での建設労働者の賃金・労働条件の適切な確保に努めること」や建設業法が定める元請責任と結び付けて、迫っていくことになります。
 
 
◎ 公共工事入札契約適正化促進法参議院附帯決議全文と主体、意味
1 はじめに
「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(略称 入契法)成立時の参院附帯決議の全文を紹介しながら、この附帯決議の主体、主語は何か、また附帯決議の意味するものは何か少し考えてみたいと思います。
2 入契法参院附帯決議全文 
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会  
平成12年11月16日  
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せ等につながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
3 入契法参院附帯決議の主体、主語、意味
 附帯決議前文に「政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである」とあり、「政府」が主体、主語の一つであることは間違いありません。
 附帯決議に政府が責任を負っているということはわかりますが、この附帯決議を守らせ、実現するために私たちが、建設労組が、国民が働きかける、あるいは相談に行くのは、政府の中のどこなのか? 政府のどの機関なのか? 参議院国土・環境委員会の決議ですから、国土交通省ということでいいのか? 環境省もそうなのか? この附帯決議を守らせ、実現する上で、突き詰めていく必要があります。 
 附帯決議の4項は「発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること」ですから、この項については、政府だけでなく発注者も責任を負っていることは明らかです。
 他の項は、主語がありません。建設労働者、建設労組にとって関心が特にある6項「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」にも主語はありません。
 この6項に限って言うと、この6項には、公共工事の発注者も責任を負っているという解釈が通常行われていますし、その通りだと私も思います。
 問題はさらに進んで、この6項に責任を負っているのは、政府と公共工事の発注者だけなのかということです。この項に、元請業者は責任を負っていないのか? この項の「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」は、公共工事のことだけを意味し、民間工事を含んでいないのか? この項の主語に、民間工事の発注者は含まれていないのか? 等々。
 この附帯決議を守らせ、実現していく上で、突き詰めて、明らかにする必要があると感じています。
 
 
◎ 公共工事の倒産・不払い解決での「入契法」付帯決議の役割、活用
 以下に紹介するのは、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(略称=入契法)成立時に自民党から共産党まで全会一致で採択された参議院付帯決議です。平成12年(2000年)11月16日に参議院国土・環境委員会で採択されました。
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公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会
平成12年11月16日
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せにつながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
 10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
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 上記の入契法成立時の参院付帯決議は、公共工事での倒産・不払い事件の解決に一定の役割を果していますし、また入契法付帯決議が解決に役割を果すよう入契法付帯決議の活用に建設労組は努めています。
 たとえば、公共工事で1次下請が倒産し2次下請業者に工事代金不払い被害を与えた場合を考えてみましょう。この場合には元請企業が存在するわけですから、建設業法に基づく元請責任を果たして、不払い被害を受けた2次下請業者に立替払いを実施し、2次下請業者を「救済する」ことが解決の道になるし、建設業法は元請の特定建設業者に対して、この解決の道を歩むよう求めています。これがルールです。
 しかし、建設労組の経験でも、ルールをなかなか守らない元請が存在します。建設業法に基づく立替払いでの下請保護、下請救済を実施せず、ゼロ回答を続ける元請が存在します。こうしたケースでは普通は、特定建設業者の許可行政庁である国土交通省や都道府県に元請への指導を申し入れるのですが、公共工事でのこの種のケースでは、特定建設業者の許可行政庁である国土交通省や都道府県に相談に行く前にまず、この公共工事を直接発注した部署に、その担当者に申し入れを行い、元請業者への働きかけを要請します。
 言い換えると、元請業者が建設業法を守って下請業者を救済するよう発注者から元請に働きかけることを、公共工事の発注者に要請するということです。
 前記のように、参院付帯決議6項は「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」と定め、7項は「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」と定めています。参院付帯決議は、公共工事の発注者にこれを求めているということです。
 「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」、「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」が公共工事の発注者には課せられているのです。発注者(お客)だから、業者間の不払いについては関知しないではすまないのです。業者間に不払いが起こるということは、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われなくなるということであり、この事態を打開するためには、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるようにするためには不払い解決が必要であり、このケースでの解決への唯一の道は、建設業法に基づく元請の責任での不払い解決なのです。
 公共工事の発注者の責任として、建設業法を守る方向へ元請を誘導することが求められます。解決へ向けての形態としては、発注者のところに元請業者、不払い被害を受けた2次下請業者、建設労組の三者を呼んで、発注者立会いのもとに三者協議を実施し、お互いに譲り合って合意点を形成し、円満解決を実現する、こういった形態がこの種のケースでは一般的に行われ、円満解決へと結実しています。
 
 
◎ 入契法成立時の参院附帯決議が定める発注者責任遵守のために
東京都、国土交通省、UR都市機構が発注者の公共工事または公共工事に準ずる現場(重層下請構造の現場)で、上位下請業者が倒産またはそれに準ずる状況に陥り下位下請業者に工事代金不払いを起こすトラブルが発生し、元請の特定建設業者がその負っている元請責任を果たさず、不払いトラブルがなかなか解決しないケースが存在します。
公共、民間を問わず、ほとんどの場合、元請のゼネコンや住宅企業はその元請責任を果たし、工事代金不払いを解決している中、ごく一部に見られる元請責任の放棄を放置することなく、元請への指導、働きかけを通じての速やかな解決による下請業者の「救済」が求められています。
入契法成立時の参院附帯決議の定める「(公共工事の発注者は)建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」にもとづき、公共工事の発注者は発注者責任をはたし、公共工事発注者の現場で起こった工事代金不払いトラブルについて、元請が元請責任をはたし、不払いを解決するよう、元請に強く働きかける必要があるし、その徹底が課題であり、求められています。
 そのために、具体的には、公共工事の発注者の責任として、公共工事の発注者を立会人として、元請と不払い被害を受けている下請業者、関係建設労組の三者が話し合う場を設け、速やかな解決をはかることです。
また、不払いトラブルを長期にわたって解決せず、下請業者の窮状の救済という建設業法の定める元請責任の遂行を拒否し続けている、言い換えると「不良不適格業者」と言わざるを得ない元請については、少なくとも元請責任を果たすまでは、公共工事の受注から排除することです。入契法成立時の参院附帯決議が「不良業者の排除」を明確に打ち出しています。
(参考資料)
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会
平成12年11月16日
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せにつながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
 10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
 
更新日時:
2009/03/18

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Last updated: 2009/7/5