COLUMN

何でもコラム
個人の尊厳、生命の絶対的尊重、両性の本質的平等のために
―――――――― 「入契法参議院付帯決議」関連 ――――――――
―――――――― 「入契法参議院付帯決議」関連 ――――――――
海野和夫
 
◎ 「法定福利費」の別枠支給は現行法体系の中でも可能なのか?
1 メールをいただきました
 最近、吉良比呂志さんから、要旨以下のようなメールをいただきました。
先日の企業交渉で鹿島に行ってきました。賃金問題で「月額50万円」の要求についての回答で、各社とも「理解できる」が、
@1企業で実現できるものではない。
A総価契約で賃金を実際に払う立場にない。
B我々もそんなに貰っていない。
などという答弁が各社の回答のように思います。
鹿島は「皆さんが、例えば10人でやるところを8人でやりきれば浮いた分が回ってくる。皆さん方もそうした努力が必要ではないか」と「生産性向上理論」なるものを展開していました。
かつて、私が勤務したことのある日産自動車では、自動車組み立てラインで労働者が8人並んで作業しているのを、突然1人の労働者を抜き取り実験したことがあります。ラインのスピードを落とさずに1人分の労働者の作業範囲を他の7人がいきなり受けもつことになるのですから、作業工程が終了しないために「警報」がなり、ラインがストップしました。ところが不思議なことに1時間もすると7人でラインがトラブルなしに稼働し始めて以後はラインストップにならなくなるのです。労働者の順応はすごいものだと感心しましたが、後で感想を聞いたところ、「8人でやっているときは慣れているのでほかのことを考えながらでも間に合っていたが、7人では次の作業の段取りまでを数秒間で判断しなければならないので極端に疲れる」といっていました。(生産性向上というのは暴力的な搾取をともなっているのですね)
組み立てラインは、作業内容を把握するのに1日〜2日あれば通常は誰でも対応できる単純標準作業です。もし、今ゼネコンが建設工事での技能工程を支える労働者の存在をこうした視点から「コスト削減」対象と考えているとしたら、恐ろしいことだと思うのです。結局のところ、「請負単価」(原価割れの低単価発注であっても)の範囲内で「努力すれば賃上げはできるではないか」という横暴な回答でしかないのではと思います。
また、大成建設では「深夜作業の想定される工事については1.5割増の単価で発注している」と回答していましたが、実際には現場労働者が割増を受けていない事例はコラムの指摘のとおりです。
「指値」発注する下請契約が、「深夜割増も、労働者の福利厚生費(社会保険費用・労災保険・通勤費・有給休暇・その他法令上定められた使用者負担分)も、総価契約の中に含まれている」という論理は、それを含めたとしても含めなかったとしても下請への支払いは「絶対額が不足」させられて泣いているだけです。
こうした論点を1日も早く克服していきたいと思っていますが、今、関東地協が「法定福利費の別枠支給」の要求を掲げていますが、この要求の実現に向けて具体的な手順等の試案があれば教えていただければと思います。特に、公共工事の設計労務単価が下落する中で、その改善も必要とは思いますが、本来労働者に支払われるべき「法定福利費」の別枠支給が現行法体系の中でも可能なのかどうか、良い提案があったらよろしくお願い致します。
2 「法定福利費」の別枠支給が現行法体系の中でも可能なのかどうか
 総価契約というのは、名前の通り総価で契約しているのであり、その総価内で工事を完成すればいいわけで、どのような資金配分をするかは請負者の裁量、ということのようです。
 賃金の別枠支給、また法定福利費の別枠支給を実現するには、この総価契約方式の見直しが必要、ということになるのでしょう。
 いろいろ調べたのですが、現行法体系が、賃金の別枠支給、また法定福利費の別枠支給を強制している、ということにはなかなかならない、なっていないようです。
 あえて言えば、労働基準法第24条が「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めているわけですから、この規定を真に実現するためには、賃金の別枠支給が必要ではないか、それに準じて、法定福利費の別枠支給が必要ではないかと、企業や行政に迫ることかなと思います。
 私などが言うまでもないことなのですが、入契法成立時の参議院附帯決議が定める公共工事の発注者責任「公共工事での建設労働者の賃金・労働条件の適切な確保に努めること」や建設業法が定める元請責任と結び付けて、迫っていくことになります。
 
 
◎ 公共工事入札契約適正化促進法参議院附帯決議全文と主体、意味
1 はじめに
「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(略称 入契法)成立時の参院附帯決議の全文を紹介しながら、この附帯決議の主体、主語は何か、また附帯決議の意味するものは何か少し考えてみたいと思います。
2 入契法参院附帯決議全文 
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会  
平成12年11月16日  
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せ等につながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
3 入契法参院附帯決議の主体、主語、意味
 附帯決議前文に「政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである」とあり、「政府」が主体、主語の一つであることは間違いありません。
 附帯決議に政府が責任を負っているということはわかりますが、この附帯決議を守らせ、実現するために私たちが、建設労組が、国民が働きかける、あるいは相談に行くのは、政府の中のどこなのか? 政府のどの機関なのか? 参議院国土・環境委員会の決議ですから、国土交通省ということでいいのか? 環境省もそうなのか? この附帯決議を守らせ、実現する上で、突き詰めていく必要があります。 
 附帯決議の4項は「発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること」ですから、この項については、政府だけでなく発注者も責任を負っていることは明らかです。
 他の項は、主語がありません。建設労働者、建設労組にとって関心が特にある6項「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」にも主語はありません。
 この6項に限って言うと、この6項には、公共工事の発注者も責任を負っているという解釈が通常行われていますし、その通りだと私も思います。
 問題はさらに進んで、この6項に責任を負っているのは、政府と公共工事の発注者だけなのかということです。この項に、元請業者は責任を負っていないのか? この項の「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」は、公共工事のことだけを意味し、民間工事を含んでいないのか? この項の主語に、民間工事の発注者は含まれていないのか? 等々。
 この附帯決議を守らせ、実現していく上で、突き詰めて、明らかにする必要があると感じています。
 
 
◎ 公共工事の倒産・不払い解決での「入契法」付帯決議の役割、活用
 以下に紹介するのは、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(略称=入契法)成立時に自民党から共産党まで全会一致で採択された参議院付帯決議です。平成12年(2000年)11月16日に参議院国土・環境委員会で採択されました。
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公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会
平成12年11月16日
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せにつながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
 10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
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 上記の入契法成立時の参院付帯決議は、公共工事での倒産・不払い事件の解決に一定の役割を果していますし、また入契法付帯決議が解決に役割を果すよう入契法付帯決議の活用に建設労組は努めています。
 たとえば、公共工事で1次下請が倒産し2次下請業者に工事代金不払い被害を与えた場合を考えてみましょう。この場合には元請企業が存在するわけですから、建設業法に基づく元請責任を果たして、不払い被害を受けた2次下請業者に立替払いを実施し、2次下請業者を「救済する」ことが解決の道になるし、建設業法は元請の特定建設業者に対して、この解決の道を歩むよう求めています。これがルールです。
 しかし、建設労組の経験でも、ルールをなかなか守らない元請が存在します。建設業法に基づく立替払いでの下請保護、下請救済を実施せず、ゼロ回答を続ける元請が存在します。こうしたケースでは普通は、特定建設業者の許可行政庁である国土交通省や都道府県に元請への指導を申し入れるのですが、公共工事でのこの種のケースでは、特定建設業者の許可行政庁である国土交通省や都道府県に相談に行く前にまず、この公共工事を直接発注した部署に、その担当者に申し入れを行い、元請業者への働きかけを要請します。
 言い換えると、元請業者が建設業法を守って下請業者を救済するよう発注者から元請に働きかけることを、公共工事の発注者に要請するということです。
 前記のように、参院付帯決議6項は「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」と定め、7項は「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」と定めています。参院付帯決議は、公共工事の発注者にこれを求めているということです。
 「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」、「施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること」が公共工事の発注者には課せられているのです。発注者(お客)だから、業者間の不払いについては関知しないではすまないのです。業者間に不払いが起こるということは、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われなくなるということであり、この事態を打開するためには、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるようにするためには不払い解決が必要であり、このケースでの解決への唯一の道は、建設業法に基づく元請の責任での不払い解決なのです。
 公共工事の発注者の責任として、建設業法を守る方向へ元請を誘導することが求められます。解決へ向けての形態としては、発注者のところに元請業者、不払い被害を受けた2次下請業者、建設労組の三者を呼んで、発注者立会いのもとに三者協議を実施し、お互いに譲り合って合意点を形成し、円満解決を実現する、こういった形態がこの種のケースでは一般的に行われ、円満解決へと結実しています。
 
 
◎ 入契法成立時の参院附帯決議が定める発注者責任遵守のために
東京都、国土交通省、UR都市機構が発注者の公共工事または公共工事に準ずる現場(重層下請構造の現場)で、上位下請業者が倒産またはそれに準ずる状況に陥り下位下請業者に工事代金不払いを起こすトラブルが発生し、元請の特定建設業者がその負っている元請責任を果たさず、不払いトラブルがなかなか解決しないケースが存在します。
公共、民間を問わず、ほとんどの場合、元請のゼネコンや住宅企業はその元請責任を果たし、工事代金不払いを解決している中、ごく一部に見られる元請責任の放棄を放置することなく、元請への指導、働きかけを通じての速やかな解決による下請業者の「救済」が求められています。
入契法成立時の参院附帯決議の定める「(公共工事の発注者は)建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」にもとづき、公共工事の発注者は発注者責任をはたし、公共工事発注者の現場で起こった工事代金不払いトラブルについて、元請が元請責任をはたし、不払いを解決するよう、元請に強く働きかける必要があるし、その徹底が課題であり、求められています。
 そのために、具体的には、公共工事の発注者の責任として、公共工事の発注者を立会人として、元請と不払い被害を受けている下請業者、関係建設労組の三者が話し合う場を設け、速やかな解決をはかることです。
また、不払いトラブルを長期にわたって解決せず、下請業者の窮状の救済という建設業法の定める元請責任の遂行を拒否し続けている、言い換えると「不良不適格業者」と言わざるを得ない元請については、少なくとも元請責任を果たすまでは、公共工事の受注から排除することです。入契法成立時の参院附帯決議が「不良業者の排除」を明確に打ち出しています。
(参考資料)
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議
参議院国土・環境委員会
平成12年11月16日
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。
 1 国民の負担による公共工事の受注者の選定に関し、国民の疑惑を招かぬよう努め、談合、贈収賄等の不正行為の根絶に向けて、厳重な監督処分、指名停止の運用基準の見直し等を行うこと。
 2 一般競争入札における審査体制の整備、指名競争入札における指名基準の公表等公共工事の入札及び契約制度について更なる改善を推進すること。
 3 入札予定価格の公表の在り方については、今後の検討課題とし、少なくとも事後公表を行うよう努め、地方公共団体においては事前公表を行える旨を明確にすること。
 4 発注者は、入札参加者に対し、対象工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。
 5 公共工事の入札及び契約に関して監視や苦情処理等を行う第三者機関については、実効を伴った効果的な活動がなされるよう努めること。
 6 不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。
 7 施工体制台帳の活用等により、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化に努めること。
 8 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事、下請へのしわ寄せにつながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するので的確に排除し、公共工事の品質の確保を図ること。
 9 公共工事の入札及び契約全般について事務の簡素化・効率化及び競争性・透明性の一層の確保等を図る観点から、IT化を促進するよう努めること。
 10 公共工事の入札及び契約制度の改善を進めるに当たっては、公共工事の大宗を占める地方公共団体における改善の徹底を図るとともに、規模の小さい市町村等に関しては、その実情を勘案して、執行体制の確保を図るための必要な助言を行うなど、適切な支援措置を講ずること。
 右決議する。
 
更新日時:
2009/03/18
―― 「全建総連関東地協 2007年秋の大手企業交渉」関連 ――
―― 「全建総連関東地協 2007年秋の大手企業交渉」関連 ――
海野和夫
 
◎ ───  鉄建建設交渉での特徴的回答  ───
 2007/10/22 全建総連関東地協として鉄建建設との企業交渉を行いました。
 以下に、特徴的回答のみ、差し支えない範囲で記載しておきます。
 
○ 元請として下請の36協定の届出を指導し、届出有無を確認する。
○ イエローファイルに労働条件書を入れておくようにする。
○ 下請体系は3次が限度と考えている。
○ 労働条件書(雇入通知書)の交付について新規入場時に確認するように要請したい。
○ 下請単価の切り下げは一切していない。
○ 交通費は下請経費に算入し、下請に負担させていない。
○ 産業廃棄物処理費は公共工事だと盛り込まれているが、民間だと盛り込まれていないケースもあり、その場合も設計変更等で対応し、施主に払わせ、下請には負担させていない。
○ 駐車料金については、場内は下請に請求していないし、場外のときも、5人5台で金をくれと言われても無理だが、1台数人で来れば元請として負担している。
○ 派遣監督は使っている。当社の職員の補助として使っている。人手の関係で使わざるを得なくなっている。実態が変化している。
○ 作業員としての派遣労働者は一切受け入れていない。
○ 全建総連が国に要求する「後継者養成のための基金制度の創設」に対する賛同については、賛同にやぶさかではないが、1企業では対応できない。
○ 外国人研修生の受け入れについては、原則、当社は認めていない。新規入場者教育のときに排除している。
○ 新規入場時に、賃金不払い等の有無を確認している。
○ 新規入場時に、建退共手帳の有無を確認している。
○ アスベスト関連の労災認定に使用するための過去の工事についての現場施工証明書の元請からの直接交付については、本人が言ってきて間違いがなければ、交付する。
 
 
◎ ───  ピーエス三菱との交渉での特徴的回答  ───
 2007/10/24 全建総連関東地協としてピーエス三菱との企業交渉を行いました。以下に、特徴的回答のみ、差し支えない範囲で記載しておきます。
○ 現場の賃金実態調査については、実施していない。実態把握していないことは、当社の弱い面であり、経営成績にも関連しているのかもしれないと思っている。現場の賃金実態調査実施の要望については、うけたまわっておく。
○ 建設業法令遵守ガイドラインについては、全て守っている。
○ 全建総連が国に要求する「後継者養成のための基金制度」については、大切なことだと理解している。
○ 外国人研修生の受け入れについては、当社は受け入れていない。協力会社にもいないと理解している。
○ 建設業法41条2,3項に基づく立替払については、事実関係を確認してから、基本的に元請責任として面倒を見る。
○ 新規入場時に、「建退共手帳の有無」のチェック項目がある。
○ 事実関係が判明すれば、元請として迅速に、アスベスト関連の労災認定に使用するための過去の工事についての現場施工証明書を交付していきたい。
○ 指し値発注、赤伝処理、支払い留保などあこぎなことはやらない。
○ 駐車場代について聞いた範囲では、下請から取っていない。駐車場代の元請負担の要望については、要望としてうけたまわっておく。
 なお、交渉の中で、ピーエス三菱が元請の耐震補強工事の現場での未払い事案が交渉参加者から出され、元請責任での不払い解決を要望しました。
 そして、交渉後すぐに、ピーエス三菱本社を含めて関係者による協議がおこなわれ、提出された資料に基づきピーエス三菱としてまず事実確認を行い、その上でピーエス三菱として回答することを確認しました。
 
 
◎ ───  ダイダンとの企業交渉での特徴的回答  ───
 2007/10/25 全建総連関東地協としてダイダンとの企業交渉をおこないました。以下に、特徴的回答のみ、差し支えない範囲で記載しておきます。
○ 建設現場の賃金実態は把握していないので、妥当かどうか正直言ってわからない。
○ 建築さんの工程が全て。工程のしわ寄せを受けている。
○ 実態をつかんで、駐車場代の下請負担を押し付けるのをやめさせる。
○ 協力会社への見積の中に、駐車場代が項目として入っている、交通費が項目として入っている。
○ 現場の賃金実態の調査はしていない。次回交渉までに、調査はやらせていただく。
○ 生活に必要な賃金として月額50万円は妥当である。
○ 労働条件書(雇入通知書)の交付、36協定の届出、残業代の支払等については、安全衛生協議会で指導している。
○ 法定福利費については、把握していない。
○ 産業廃棄物処理費について、下請からは徴収していない。
○ スタッフ(監督の補助)として派遣を使用することがある。
○ 派遣について単純作業はダメと認識しており、図面工やキャド等では派遣労働者を受け入れている。
○ 外国人研修生については、当社と1次との契約では該当者はいない。2次以下については、いるという報告は受けていない。
○ 建設業法41条2,3項に基づく元請責任での立替払については、事実関係を確認し、必要に応じて建設業法に基づき対応する。
○ 建退共証紙については、公共を中心におこなっているが、依頼があれば民間でも交付する。
○ アスベスト関連の労災認定に使用するための、過去の工事についての現場施工証明書の元請からの直接交付については、当然、そういう状況が生じた場合には、交付させていただく。
 
 
◎ ── 大手企業交渉  大成建設の回答の特徴 ──
 以下は、2007年10月に行われた全建総連関東地協大手企業交渉での大成建設の回答の特徴です。記録者の主観が当然入っていますし、間違いの可能性もありますので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について
(大成建設)
 あらゆる法令を遵守する。
 協力業者にも、リーフレットの配布、イントラネットの活用で、ツールの提供等行なっている。
 費用負担は、当社に原因のあるものは負担する。
 違反通報について、不利益な取扱いはしていない。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
(大成建設)
 型枠、鉄筋の契約単価は上がっている。人を集める必要性から上がったと理解している。
 ムダを省き、工程の効率化に努力している。
 賃金確保のため、多重層下請の排除を行なっている。
 賃金問題は重要な課題であり、業界あげての取り組みが必要と考える。
 もの作りには技能工が重要と認識している。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
(大成建設)
 安全管理(グリーンファイル)で雇入通知書の確認をしている。ないときは、災害協議会等で厳しく指導していく。
 できる限り適正工期確保の努力をしていきたい。
 36協定は個々の会社の対応と考える。下請事業主への教育で、労基法を守るよう指導している。
 (残業代の支払いの指導)今後とも指導を行なっていく。
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
(大成建設)
 下請へのしわ寄せはしていない。
 契約は双方合意の上でおこなっている。
 下請単価は上がっている。材工契約なので、労務費を明確にしていない。
 長期の工事で材料の高騰に対しては、再協議する。当社も施主に申し入れる。
 産廃処理費についても、見積り依頼時に条件書で契約に加算している。よって二重取りはない。(この件については)事実を確認する。
 (駐車場代)必要な下請負担を協議の上お願いすることもある。一方的に取ることはない。了解を得て徴収することもある。
 明らかに元請のミスで手戻りが生じた場合、元請の負担で処理する。
 (赤伝処理)双方、協議、合意の上負担してもらう。一方的に引くことはない。
 (盗難防止)ガードマン、巡回、施錠等、できる限りのことはやっている。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
(大成建設)
 重要な問題。
 (外国人研修生の受け入れ)2007/9段階では、10社から119人受け入れている。
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
(大成建設)
 立替払も行なうし、調査の上、事実把握の上、誠心誠意対応していく。
○ 建退共加入促進 
(大成建設)
 (昨年の)証紙購入枚数719、987枚 払い出し943、727枚
 公共工事は貼付するが、民間工事は考えていない。
○ アスベスト対策の完全な実施を
(大成建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)当社社員は2人認定され、現在1人申請中。協力業者からは、8人が監督署からの調査依頼があったので回答したが、認定されたかは把握していない。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)一切禁止である。
 石綿障害予防規則に定められた対策を実施。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)監督署の要請あれば、提出する。
 
 
◎ ─── 大手企業交渉  清水建設と大林組の回答の特徴 ───
 以下は、2007年10月に行われた全建総連関東地協企業交渉での清水建設と大林組の回答の特徴です。記録者の主観も入っていると思いますし、記録ミスの可能性も否定できませんから、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について
(清水建設)
 現場、取引業者に対して勉強会を実施している。
 講習会の開催。
 駐車場代は、職長会から徴収しており、自主的に解決している。
 産廃関係は、合意の上で引くこともある。契約時、見積時から提示している。契約、段取りの中で協議している。
(大林組)
 社内にチェック機能する場(コンプライアンス室)など設置した。
 全社員が法令遵守することの重要性を認識していると理解している。
 通報によって不利益になる対応はしない。
 
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
(清水建設)
 「現場の賃金実態調査」について、ペーパーで出すことを検討する。
 それぞれの現場で生産性を上げる、能率を上げる、改善する、そうなっていけば、賃金が上がっていくと思う。
 「月額50万円の確保」については、目標として理解させていただく。
(大林組)
 (現場の賃金実態調査)82現場、1311人から回答を得た。昨年より回答数は増えた。
 重層化を少なくすることと、資格のある職人に手当てをのせるのがいいと協力会社と協議している。重層化を少なくして、直接手間が渡る仕組みにしていきたい。1次までは単価が上がっているのに、2次、3次までにはうるおっていないのが現実。
 生産性を上げる努力を互いにしていきたい。
 現在の賃金額が妥当だとは思っていない。改善に向け努力はする。
 入職者不足と技能後継者の離職が深刻な問題だと思う。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
(清水建設)
 「労働条件書」については、受け入れ教育の際に本人に交付されているか確認している。
 (下請の36協定の届出確認)各企業で責任を負うことである。
(大林組)
 雇入通知書の交付については指導している。
 適正な工期で受注することに努力している。安全、品質、健康管理面を考えて、これからも工程を考え、努力していきたい。
 36協定の届出は事業主が行うべきもの。その旨、事業主研修会で指導している。
 
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
(清水建設)
 講習会を実施している。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)契約上の問題であり、二重取りになるほど発注額は甘くない。
 (派遣監督の使用をやめること)苦情は承知している。
 (偽装請負)新規入場時にチェックしている。
 この半年間、現場での盗難はない。
(大林組)
 当社では、契約額を強制することはしていない。必ず当事者間の合意で決めてもらっている。積算根拠を明確にしている。
 産廃費用は契約の中に入っている。1次から契約に入っているから徴収している。(産廃を下請に負担させないこと)については、今のシステムを変えることは約束できないが、検討する。
 (駐車場代)一方的に徴収することはない。職長会が適正に駐車場を確保しているか、指導している。
 (手戻り)誤った指示等を行った責任が当社にある場合は、元請負担である。
 一方的に差し引くことはない。
 (偽装請負)違法と判断される事例が生じた場合は、事実確認をした上で、必要な措置を講じる。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
(清水建設)
 優秀技能者の賃金アップは、世の中の流れとして今後必要になる。
 業界の底上げをしていく。
(大林組)
 業界全体の問題。
 (外国人研修生)受け入れている協力会社もある。
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
(清水建設)
 事実を見極めて対処している。不払いがおこったときはできるだけ早く連絡を。
(大林組)
 問題が生じた場合、協議の場を設け、事実関係を確認して必要な場合は対応を検討する。
○ 建退共加入促進
(清水建設)
 (昨年の)証紙購入枚数136万4822枚 貼付枚数139万5406枚 貼付労働者数95,939人
 公共民間問わず、1次業者を通して請求があれば負担していく。
(大林組)
 H18年度 購入1,805,919枚 交付1,893,177枚
 新規入場時に「建退共手帳の有無」を申告する欄はある。
 公共民間こだわらず、協力会社から請求があった場合は、元請負担で(証紙交付)行う。
○ アスベスト対策の完全な実施を
(清水建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)申請を含め1ケタ台。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)完全な使用禁止を指示している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)過去の工事について、雇用主による証明が出ないなど、やむを得ない事情があるときは、労基署と協議し、当社で確認できる範囲の証明をする。
(大林組)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)現職ではいない。ただOBで5人いる。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)H18年9月改正により一切使用していない。
 法令に基づく対応をしている。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)工事を行っていたという証明には協力できる。
 
 
◎ 大手企業交渉 竹中工務店、長谷工コーポレーションの回答の特徴  
 2007年10月に行なわれた全建総連関東地協第47回企業交渉での竹中工務店と長谷工コーポレーションの回答の特徴を、以下に記載しておきます。記録者の主観も入っていると思いますし、記録ミスの可能性もありますから、取り扱いは、あくまでも参考資料にとどめて下さい。
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について
(竹中工務店)
建設業法令遵守ガイドラインは、非常にわかりやすくなっている。それをもとに具体的な対策をとっている。法令遵守が最優先課題。特に暴力団が作業所に入り込まないよう相当な時間を費やしている。暴力団との関係がわかった協力会社とも即、取引をストップする。絶対に許さない。
告発には、徹底して、調査、確認作業をしている。
(長谷工コーポレーション)
コンプライアンス室を作り、対策にあたっている。
法令遵守について、関係各部署に徹底をはかっている。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
(竹中工務店)
 (現場の賃金実態調査)計630人のサンプル。平均年齢44.3歳、平均経験年数20.7年、平均賃金17,120円、職長160人
 1次とは数量×単価で価格を決めている。相見積をして、相互納得の上、契約している。賃金だけ抜き出して価格の設定はしていない。賃金はあくまで直接の雇用主と従業員の契約の問題。
 春の調査と比べるとサンプルの違いはあるが、900円ほど賃金は上がっている。2万円貰っている人もたくさんいる。
 1次への単価は意図的に上げたのではなく、当社と1次との交渉の結果、上がっていたということ。その下は、2次と1次、3次と2次の交渉の中で、上げて貰えればと思う。
 みなさんとこういう話ができるのはありがたい。こういう話があるから、建築主とも譲れない価格ができる。
(長谷工コーポレーション)
 賃金を見直し、賃金を上げている。しかし、貰っている賃金は下がっている。1次業者を指導する。単価引き上げ、下請指導含め、検討する。
 仕事量を確保することで対応していきたい。
 (1日2000円以上の賃金引き上げ)重要な問題と考える。1日の賃金については、直接雇用している企業の仕事と考える。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
(竹中工務店)
 新規入場の際、就労カード(アンケート形式)をとり、それで雇用関係を確認している。36協定などの確認までは難しい。
 協力会社との安全衛生協議会や会合で、36協定も含めた法令遵守について指導している。特に割増賃金を払うように指導している。
(長谷工コーポレーション)
 新規入場時に、雇用契約書の提出を指導している。
 無理な工期の設定はしていない。
 36協定書類の提出の義務付けと指導を行っている。
 残業代の支払については、指導するようにする。
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
(竹中工務店)
 1次には施工範囲と図面を明示し、適正な契約をしている。1次の諸経費を見込んだ発注をしている。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)原則としてない。
 (現場内で駐車料金を徴収しないこと)原則としてない。
 (派遣監督の使用をやめること)派遣は社員の補佐の位置付け。指示責任はあくまで社員にある。派遣を受け入れる際には、資格、技量、経験を確認しており、技術指導を行っている。
 施工条件、範囲の明示は、確実に実施している。
 赤伝を当社では「控除」と言う。事前協議の上、合意の下行っている。1次にも、2次以降行わないよう指導している。
 偽装請負等のないよう1次に指導している。
 現場作業員という意味での派遣労働者の受け入れはない。
 (盗難防止)各作業所に施錠の徹底を指導している。
(長谷工コーポレーション)
 協力業者へのしわ寄せはしていない。積算根拠の明示を元請からすることはない。
 下請単価の切り下げはしていない。法定福利費は見積書に明記している。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)協力業者から徴収することはない。
 現場内のみに駐車場を確保できた場合、駐車料金は徴収しない。
 (元請の責任で手戻りが生じた場合)協力業者に負担させるようなことはしない。当社で負担する。
 施工条件・範囲のリストを提示している。
 (赤伝)先方と協議・合意の上処理するようにしている。
 応援手間を差し引くことはしていない。
 (盗難防止)置場の施錠、夜間・休日の警備の実施、出入り口のカメラ設備などに取り組んでいる。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
(竹中工務店)
 協力会社との会合で勉強会を開いている。また、当社では、優良職長制度を設けており、900人の登録がある。
 (後継者育成のための基金制度の創設)業界全体の問題。機運が高まるように対応していきたい。
 (外国人研修生)作業所への入場は実績なし。
(長谷工コーポレーション)
 業界にとって重要な問題と考えている。職人不足にならないよう賃金問題も含めサブコンと協議したいと考えている。
 (後継者育成のための基金制度の創設)業界全体の動きにあわせた対応を考えたい。
 (認定職業訓練校、後継者育成事業への助成)検討する。
 (外国人研修生)直接受け入れは行っていない。しかし、一部の協力業者から要請があり、合法的な場合に限り受け入れている。現在 5社15人
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
(竹中工務店)
 不払いが発生した場合には、事実関係を確認し、誠意をもって対応している。対応が非常にスムーズになっていると確信している。
 賃金にも工事代金にも対応している。
(長谷工コーポレーション)
 できる限りの対応に努めている。
○ 建退共加入促進 
(竹中工務店)
 18年度 購入枚数概算で7万枚、貼付は6万6000枚、貼付した労働者はのべ4400人
(長谷工コーポレーション)
 (去年4月〜今年3月)概算で購入23000枚、貼付23705枚、労働者134人
 当社はほとんどが民間工事だが、当社負担で証紙を購入している。
 手帳の発行については、申し出があれば考える。
 (現場での加入説明会の開催と組合の説明会への参加)検討する。
○ アスベスト対策の完全な実施を
(竹中工務店)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)東京本店の管轄で、アスベスト関連の労災申請は3件。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)H18年9月改正により全面禁止になって以降、社内教育で徹底している。
 石綿障害予防規則を遵守している。
 アスベスト廃材の処理についても、廃棄物処理法に基づき、適正に行っている。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)当社の社員の記録は40年間保存している。現場作業員も、作業員名簿と照合した工事記録を40年間保管している。健康被害が出たときは言って貰えれば、情報の提供はできる。どこのゼネコンにいたのかわからないというときも、一緒に監督署に行って対応する。できるだけのことはやる。
(長谷工コーポレーション)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)社員については、回答を控える。協力業者については、ない。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)使用していない。
 石綿障害予防規則を遵守している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)事実関係を調査し、労災申請をする。
 
 
◎ 大手企業交渉   三井住友建設と戸田建設の回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回大手企業交渉での三井住友建設と戸田建設の回答の特徴を記載したものです。記録者の主観も当然入っていますし、記録ミスの可能性も十分ありますから、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について 
(三井住友建設)
 経済的な利益追求だけでなく、地域貢献を図っていく。
 「ガイドライン」について、社員と協力業者に内容の徹底を図っていく。
(戸田建設)
  社員の研修をしっかり実施している。
 コンプライアンスについては、毎年、活動報告書を出している。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
(三井住友建設)
 (現場の賃金実態調査)2次、3次業者の実態を把握するのは困難。今回も1次業者との間で取り交わした積算労務単価を公表する。
 我々も作業員の生活改善は十分に考えている。「現場の賃金実態調査」を検討する。
 「月額50万円以上」我々も確保したいと思う。しかし実現は困難。
 単価の改訂は逐次行なっている。
 一律に単価引き上げは難しい。
(戸田建設)
 後継者育成は、深刻な問題と認識している。
 2,000円確実に上げるには、作業効率を上げるなどしないと難しい。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
(三井住友建設)
 雇入通知書は、元請として指導していく。
 無理な工期、工程の設定は行なっていない。
 (36協定の届出)職長教育、業者教育の場で、指導を行なっていく。
(戸田建設)
 (労働条件書)現場で協力会社に要求する。1次、2次の雇用主が結ぶものであるので、出してもらいたい。
 (36協定の届出確認)確認する必要があり、従来にもましてやっていきたい。
 (残業代支払いの指導)常用であれば、勘案して支払っている。請負のほうではわからない。
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
(三井住友建設)
 合意の上で契約している。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)解体工事契約の際には(産廃処理費用)含まれている。施工の契約については、施主との契約には産廃処理費用は含まれていない。個別に協議して業者間で対応。
 元請が借り上げた駐車場料金については、相場より高い金額では徴収していない。下請業者と協議の上、合意に基づき徴収している。
 当社には、派遣の現場所長はいない。
 業者に無断で引き去りはしていない。いきなり応援手間を引き去ることはない。事前に協議している。
 (派遣労働者)受け入れていない。
(戸田建設)
 低入札であっても、下請にしわ寄せしていない。あくまでも双方合意で契約している。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)協力会社の発生分は説明し、了承してもらい、費用負担してもらっている。
 (駐車場代)協力会社との見積条件書の中に一文設けてあり、合意してもらっている。
 (公共工事の現場での駐車料金の徴収)やってはいけないことであり、あらためなくてはいけない。
 (手戻り)元請に責任がある場合は、元請の責任でやる。
 (赤伝処理)差し引きが生じる場合は、合意の上でやっている。
 (派遣労働者の受け入れ)2007/9/3現在、315人いる。派遣労働者の責任者は各支店の総務課長。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
(三井住友建設)
 勉強会を行なっている。
 (外国人研修生の受け入れ)把握していない。東京建築支店では1社ある。
(戸田建設)
 当社だけの問題ではなく、協力会社とも協議し、いい方向に持っていきたい。
 (後継者育成のための基金制度の創設)一社でできる問題ではない。他社の考えなど業界で加味していく。
 (外国人研修生の受け入れ)2007/10/1現在、41作業所、102人受け入れ、研修生は28人、中国籍が多い、内装・ボードに偏る、東京・千葉・横浜支店が多い
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
(三井住友建設)
 1件1件真摯に取り組む。対応は逐次している。
(戸田建設)
 被害にあった場合は、速やかに言ってもらいたい、調査する。責任は支店にある。本社に対処能力はない。できるだけ早く情報を提出してほしい。
○ 建退共加入促進
(三井住友建設)
 昨年の購入は48,479枚 貼付は53,382枚
 (現場での加入説明会の開催と組合の説明会への参加)対応する。
(戸田建設)
 (昨年の)証紙購入372,001枚 貼付枚数429,407枚 貼付労働者数45,282人
 公共、民間分けずに貼付している。元請責任で手帳を作っている。
○ アスベスト対策の完全な実施を
(三井住友建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)認定申請は1件
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)一切使用していない。
 法令に従って工事計画を作成して実施している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)就労の事実があれば交付する。
(戸田建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)昨年、労災認定2件
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)3年前から使用していない。
 法令に則り作業している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)最大問題は記録が(古いものほど)残っていないこと。工事記録から特定するような努力はしている。
 
 
◎ 大手企業交渉  西松建設 熊谷組 フジタ  回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での西松建設、熊谷組、フジタの回答の特徴です。記録者の主観も当然入り込んでいますし、記録ミスの可能性も否定できませんので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について
(西松建設)
 「ガイドライン」等について、職長会や社内の各種研修会で周知している。
 「ホットライン」への通報者に対し不利な扱いをすることはない。
(熊谷組)
 コンプライアンスは経営理念の一つ。法令遵守を内外に宣言している。
 具体的にはコンプライアンス・プログラムを作成、社員教育を行なっている。
 早期把握、早期是正の体制づくりとして、社内通報の制度もある。
 駆け込み通報があっても、不利な取り扱いはしない。
(フジタ)
 「ガイドライン」について、所長会議でていねいに説明。隅々までチェックする体制を強化したい。
 日曜日の労働については禁止すると、本部長名で通達を出した。
 安全教育は特に協力業者にテキストを作成、配布した。また実行しているかどうかの確認をした。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
(西松建設)
 (月額50万円以上の確保)理解できる。必要だと考える。しかし、受注競争の中で考えると、なかなか賃金に反映できない。
 1社ではどうにもならない。公契約法が必要。
 (公契約法の賛同署名)社内で検討し、次回、回答する。
(熊谷組)
 生活に必要な賃金は大切だと思う。1次に対しては労務費が不当に下がらないよう指導している。
 熟練工は公共工事設計労務単価並に貰っていると考えている。
 業界全体の問題だと思う。
 離職に歯止めをかけるためにも、魅力ある職場づくりが必要。
(フジタ)
 (現場の賃金実態調査)前回に比べ、型枠大工、鉄筋、鉄骨、電工が上がっている。人手不足があらわれてきているのかもしれない。
 過度の重層構造の弊害を問題視し、利益確保をしながら取り組む必要がある。
 専門性の強い業者は上昇傾向にあり、全体的にも上昇傾向にあると認識している。
 業界のイメージアップを通じての人材確保に努力したい。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
(西松建設)
 入場時のアンケートで、「雇入通知書を貰っているか」の項目を設けている。安全パトロールなどの中で確認していきたい。
 基本的には、適正工期のものしか請けないようにしている。
 (36協定)今後、グリーンファイルに追加することを検討していきます。
(熊谷組)
 労働条件書や雇入通知書の交付については、指導している。月1回の災害防止協会の事業主パトロールの際、事業主に確認を行なっている。
 技術を持った職人や社員を配置していきたい。
 36協定については、届出を行なうよう指導している。届出確認は行なっていない。
 (残業代)支払うよう下請を指導している。
(フジタ)
 新規入場者実施記録簿に雇入通知書の確認を行っている。業者ではなく、1人1人に行なっている。中には「わからない」、「貰っていない」等の返事があるが、事業所へ連絡をとり確認、未交付の場合は交付するよう指導している。
 日曜の作業が常態化するのは何としても避けたい。そのような工夫をしていきたい。
 (残業代の支払いの指導)当社の現場では、残業代の未払いのようなことはないと思う。
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
(西松建設)
 指値発注はしていない。
 複合単価で出している。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)産廃をどう抑制するかということを考えて、協力会社にお願いをしている。産廃をどんどん出す業者がいると、負担していただくことになる。
 (駐車場代)見積時に、駐車場の有無などは明確にしている。場内に駐車場を作ることができるときは、その経費負担をお願いしている。
 不適格な派遣監督がいたというのは、当社では聞いたことがない。
 見積条件確認書を配布し、明確にして、捺印している。
 安全協力費と休憩室使用費については、一切差し引いていない。
 派遣労働者は入れていない。
(熊谷組)
 下請へのしわ寄せはしない。契約は、当事者同士の合意で行なっている。
 重層化して、低単価にならないよう重層にならないよう指導している。重層は3次までとしている。
 (駐車場代)構内にとめてもらう場合は、料金は取っていない。場所によって、臨機応変に対応している。
 手戻りの責任が元請にある場合、元請負担は当然。
 条件、範囲リストを出すよう指導している。
 労務費については、赤伝処理で差し引くようなことはしない。
 派遣労働者の受け入れは現場事務所での内業のみ。施工図や事務などを派遣労働者にお願いしている。
 (盗難防止)管理とセキュリティの徹底をしたい。
(フジタ)
 経営方針で不採算工事は受注しないと決めており、選別受注に徹している。
 対等な当事者間同士、協議の上で合意できる内容で行なっている。一方的な押し付けはない。
 (下請からの産廃処理費の二重取りをやめること)契約付帯条件で明示、見積時に処理費を含むようお願いしている。
 (駐車場代)特に都内、敷地内に確保できない場合、受益者負担としている現場もある。
 (民間工事でも駐車場代を取らないようにしてほしいという要望)については、全部が全部というわけにはいかないが、改善したい。
 指示ミスなど当社に責任があるときは、負担は当社がする。
 (派遣監督)当社も増えている。
 (赤伝処理)当社では「引き去り伝票」と呼んでいる。必ず納得の上で行なう。
 (派遣労働者の受け入れ)昨年は90人受け入れた。今年も同じくらい。認められている職種のみ。施工管理が一番多い。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
(西松建設)
 大きな問題だと認識している。業界や建設3団体にあげて、取り組む必要があると考えている。
 (後継者育成のための基金制度の創設)基本的に賛同する。業界全体の課題だと考えている。
 (外国人研修生の受け入れ)受け入れは、各現場から支店に報告するようにしている。
(熊谷組)
 後継者育成は、必要不可欠と考えている。
 (外国人研修生の受け入れ)把握していない。
(フジタ)
 不足は当社も認識している。60歳までの就労制限を撤廃し、65歳まで受け入れるようにした。
 (外国人研修生の受け入れ)11作業所 15社 作業員77人の受け入れ状況
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
(西松建設)
 その都度、事実関係を確認して対応していく。賃金については、最優先で対応していく。
 工事代金については、立替払ありきではなく、内容を把握し、労賃に重点を置き、実情に沿った対応をすることになる。
 二重払いについても、それに沿った対応やむなしだと考えている。
(熊谷組)
 不払いが発生する都度、実態を調査し対応している。誠意ある対応をしていることを承知してほしい。
 千葉土建一般労組から春の交渉で申し入れのあった件は8月に解決した。
(フジタ)
 案件に応じた対応をしている。事実関係に重点を置いている。
○ 建退共加入促進
(西松建設)
 (昨年の)購入枚数431、956枚 貼付枚数448,198枚
 新規入場時に、手帳の有無の項目はある。
(熊谷組)
 (4月〜3月の集計で)購入30万5329枚 貼付28万1160枚 463社だった
 手帳の発行については、事業主を指導している。
(フジタ)
 昨年度は217,804枚を購入 269,760枚を貼付
 公共、民間問わず交付している。新規入場時に確認。
○ アスベスト対策の完全な実施を
(西松建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)一昨年、業者の既に退職している人が認定を受けている。昨年と今年は、今のところない。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)一切禁止している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)申出を受けたら、就労の確認をして、就労の事実が判明したら、監督署に報告し、指導の下すすめている。
(熊谷組)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)社員が1人、労災認定された。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)法令遵守を行なってきた。ガスケットやパッキン等代替品がないものについては、使わざるを得なかった。H20年から全面禁止になれば、代替品で全社的にノンアスベスト化がはかれる。
 解体・改修工事で法を遵守している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)り患した場合、本人や家族からの要請があれば対応する。
(フジタ)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)横浜支店で1件、協力会社で4件、認定された。
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)当然使用はない。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)ありとあらゆる書類を探す協力はする。名簿、日報では現状40年、契約書類はほぼ永久保存しているので可能。
 
 
◎ 大手企業交渉  鹿島建設(補正版)と東急建設の回答の特徴
 以下は、全建総連関東地協第47回企業交渉での鹿島建設と東急建設の回答の特徴です。記録者の主観が当然入っているでしょうし、記録ミスも十分あり得るので、あくまでも参考資料として取り扱って下さい。
○ コンプライアンス(法令遵守)と社会的責任(CSR)について
(鹿島建設)
 法令遵守ガイドラインについて、社内で周知徹底している。
 現場や下請が理解して、法令を遵守することが重要。
 法令遵守ホットラインの通報について、不利益な取扱いはしない。
(東急建設)
 コンプライアンス教育の徹底に努める。
 (残業について)当社は自己申告制になっていて、適正な申告をするように指導している。
○ 現場の賃金実態調査、月額50万円以上の確保、1日2000円以上の賃金引き上げ
(鹿島建設)
 賃金実態調査については、春の交渉時に発表した。秋については、今から調査をかけるので、省略させていただく。
 月額50万円、年収600万円については、職人に必要だということは、十分理解している。
 (賃金)2年前が一番の底で、やや登り坂になっている印象。
 職能工不足に関して、かなり危惧している。
 がんばる職人さんに対して、職長の表彰制度や報奨金制度を整備しており、がんばってもらった分返すという形で進めている。
(東急建設)
 賃金確保しなければならないことはわかる。
 ダンピング、重層構造を認めないことだ。また、不良不適格な業者を排除する。
○ 雇用関係の明確化と1日8時間の標準作業でできる適正工期の設定
 効率よく工事を進められるように段取るのが重要と考えている。
 (36協定の届出確認)下請各社について、安全衛生協議会、災害防止協議会の場で強く指導している。
 (残業代の支払いの指導)協力業者に指導を行なっていく。
(東急建設)
 災防協の会議で、雇入通知書交付について指導している。
 無理な工程のないように、吟味、協議している。
 各事業所の責任者には、36協定の指導をしている。
 (残業代の支払いの指導)各事業所に支払いを指導している。
○ 建設業法令遵守ガイドラインを踏まえ、元請・下請取引の適正化を
(鹿島建設)
 今後違反のおそれを徐々につぶしていく努力をしていく。
 1次下請と請負契約しているので、単価に全て入っている。
 法定福利費も単価に入っている。
 (産廃処理費)発注条件書に、原則として鹿島が負担、量などを勘案し、下請と協議の上、下請に費用の一部を負担させることができると謳っている。産廃に関しては元請が費用負担しなくてはならない。それについて控除することは禁止の方向で考えている。
 (駐車場代)利用料金については、利用者が負担すべき。現場の駐車代については、外部の駐車料金との差をならすためにやっている。公共工事現場については、実態を調べて、きちっとした対処をする。
 発注条件書等を協力業者に提示している。
 (赤伝処理)双方同意して実施するのが原則。
 盗難を防ぐのも元請の責任。
(東急建設)
 単価設定はきちんとしている。
 指値発注はしていない。
 下請単価切り下げはない。信頼ある会社に見積をとって、施工能力を確認して、福利厚生の見積を提出して貰っている。
 産廃処理は当社で費用も含めてやっている。業者からその費用は徴収していない。
 駐車料金は、(1次業者)その金額も含んで、提出してもらう。
 多くの派遣社員を使っている。施工管理に関する派遣社員は合法である。技量のある派遣社員を使っていきたい。
 (赤伝処理)下請との協議のないままはしていない。
 応援の手間は、合意のないまま差し引くことはない。
 (盗難防止)第三者が侵入しないようゲートに施錠している。
○ 技能労働者不足の解消、後継者の育成
(鹿島建設)
 業界全体の課題。
(東急建設)
 技能育成は、当社だけでなく、行政も交えて行なう重要な課題である。
 (外国人研修生の受け入れ)積極的にはしていない。調査している。つかめていない。
○ 不払い問題発生の場合、建設業法41条2、3項に基づく元請責任での立替払の厳正かつ速やかな実施を
(鹿島建設)
 労働者救済を最優先で考えている。
(東急建設)
 そういう場合が起きたら、当社は可能な限り対応したい。しかし、立替払は困難。二重払いになる場合は、当社はできない。門前払いはしない。協議するが、ケースバイケース。
○ 建退共加入促進
(鹿島建設)
(昨年の)証紙購入枚数83万8714枚 貼付枚数109万1173枚
 公共工事は全て貼付。民間は、事業主と折半。 
 手帳の有無は新規入場アンケートで把握している。
(東急建設)
 H18年 購入77,398枚 貼付172,123枚 労働者3,902人
 公共、民間とも請求に応じて貼付している。
○ アスベスト対策の完全な実施を
(鹿島建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)社員、OBについてはある程度把握できている。鹿島全社で数人。協力会社についてはわからない。
 石綿障害予防規則に定められた対策の完全実施は当然。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)労基署の指導により、対応できるものもある。
(東急建設)
 (アスベスト労災認定・申請中の数)退職者1人申請中
 (アスベスト含有製品使用の一切禁止)一切使用していない。
 法令遵守、徹底している。
 (アスベスト労災認定のための過去の工事についての施工証明書の元請からの交付)申請があった場合は、協議して、交付する。
 
更新日時:
2008/01/20
第46回全建総連関東地協大手企業交渉 経過、到達、課題(補正版)
第46回全建総連関東地協大手企業交渉 経過、到達、課題(補正版)
 海野和夫
1 はじめに
年2回、23年45回にわたっておこなわれてきた全建総連関東地協大手企業交渉は、産業別労働協約の締結をめざしながら、直接には、建設現場で大手企業に法律、ルールを守らせ、建設現場で施工する従事者を守るたたかいを推し進め、建設現場でのルール確立、民主化をめざし、全建総連関東地協の各県連・組合を交渉の窓口として大手企業に認めさせ、不払いなど紛争発生の場合に協議、交渉を通じての解決をルール化し、全建総連関東地協の各県連・組合と大手企業の間に一定の信頼関係を作り出すまでに到達しています。
 この中で、不払いだけでなくアスベスト、労働安全衛生、建退共、元請・下請関係などの諸問題で具体的改善を実現し、また労働協約との関係で言えば、たとえば、住宅企業トップの大和ハウスやゼネコンの大豊建設との間で「不払い解決」、「労働安全の徹底」、「アスベスト対策」、「建退共推進」の四つの確認書を締結するところまで到達。
 そして、上述の到達を前提に、第46回交渉がおこなわれました。
2 第46回全建総連関東地協大手企業交渉の経過、成果、特徴
@ 経過
 全建総連関東地協第46回企業交渉がゼネコン28社、サブコン5社、住宅企業12社の合計45社を対象に、2007年4月17日、18日を中心に行われ、全建総連関東地協の10県連・組合から合計1,590人が参加。
(交渉企業)
 ゼネコン28社=鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店、長谷工コーポレーション、三井住友建設、戸田建設、前田建設工業、西松建設、五洋建設、熊谷組、フジタ、鴻池組、東急建設、奥村組、安藤建設、ハザマ、東亜建設工業、淺沼組、鉄建建設、錢高組、大豊建設、飛島建設、東洋建設、松井建設、佐藤工業、大日本土木
 サブコン5社=きんでん、関電工、三機工業、高砂熱学、新菱冷熱工業
 住宅企業12社=大和ハウス工業、積水ハウス、積水化学工業、住友林業、大東建託、旭化成ホームズ、ミサワホーム、パナホーム、三井ホーム、大成建設住宅事業部、東日本ハウス、エスバイエル
A (第46回交渉の)要求と回答を整理すると
 要求(1)「低入札による下請へのしわ寄せをやめること等最近の現場事態への見解」
 回答の特徴は、各社とも「低入札による下請へのしわ寄せはしていない」としていることです。「低入札は沈静化、収束」(大成建設、清水建設、西松建設)との回答も。
 大林組、積水ハウス、大和ハウス工業、大東建託等から「現場の下請業者、労働者はステークホルダーに入っている」との回答を引き出しました。
 駐車場代については、ゼネコンが「下請に負担させている」傾向であるのに対して、住宅企業は「下請に負担させていない」との回答が主流。産廃処理は、ゼネコンの場合、「処理は元請が行うが、処理費の一部は下請に負担してもらう」という傾向の回答。
 「エレベータ使用料は取らない」(フジタ)との回答の一方、「取らないという約束はできない。社内全体のコンセンサスを得にくい」(大林組)との回答が存在します。
要求(2)「『生活に必要な賃金』として月額50万円以上の確保。現場労働者の賃金を1日2,000円以上引き上げること」
 1次への発注単価(契約単価)を「上げた、上がった、上げざるを得なかった」との回答が目立ちました。同時に、「1次への発注単価を上げたのだが、それが必ずしも下請の労働者の賃金に反映されているわけではない」(大林組)という趣旨の発言、そしてそういう実態であることも、特徴です。
 大東建託は「1次への発注単価を上げた」とは回答しませんでしたが、「この1年間で(現場労働者の)賃金が日額1,000円上がった」と答えました。
 「現場従事者から搾取して大きな利益を上げているのだから、利益の一部を現場に還元して、現場労働者の賃金を少なくとも1日2,000円引き上げてほしい」との本格的追及に対して、「上げる」との回答には至りませんでしたが、「社内の会合で検討する」(大林組)、「真摯に受け止めて検討する」(大和ハウス工業)、「(この場では決められないので)持ち帰って検討する」(積水ハウス)、「検討するのは、やぶさかではない」(大東建託)など多くの企業から「検討」との回答までは引き出しました。
 要求(3)「労働安全衛生法の遵守。労災隠しの根絶。現場従事者への元請労災適用の徹底」
 鹿島建設が「田町キャピタルマンタワーの現場は、5階ごとに水洗の(大)トイレがある。これが理想」と回答しました。
 元請労災適用の際の「労働者性」のところでは、「(労働者性は)行政、監督署が判断することである」との回答がほとんどでしたが、この問題をよく説明したところでは、「労働者として認めさせるために労基署に働きかけている」(積水ハウス)、「全建総連が『労働者性』の問題で運動していることは、いいことだ。本当は、現場での災害の場合、全て労働者として認められるのが一番いいのだが、そうなっていない」(大和ハウス工業)、「1次が一人親方と言っていても、日給、月給の場合は労働者ということで、元請労災を適用する」(鴻池組)との回答を得ることができました。
 要求(4)「技能労働者不足の解消。後継者の育成」
 「業界全体で取り組むべき課題」という趣旨の回答が、ほとんどでした。
 「外国人研修生の受け入れ状況」については、「把握していない」、「協力会社の一部が少し受け入れている」という趣旨の回答が大半です。
 要求(5)「不払い発生の場合の元請責任での解決」
 回答もそうですが、現実の事例、案件で、各社とも、23年46回に及ぶ全建総連関東地協との信頼関係を土台として元請責任での解決を一定はかっていますので、それを徹底していくことだと思います。
 要求(6)「アスベスト対策の徹底」
 全社が「法令、規則を遵守」、「アスベスト含有製品の使用禁止」という趣旨の回答。
 一方、「アスベスト労災認定のための現場施工証明書の元請からの直接交付」に対しては、引き続き大半の企業が「交付する」、「協力する」と答えていますが、「直接、証明書は出さない」(鹿島建設)など「出さない」との回答も。
B 特徴
「自分は30年以上、積水ハウスで働いているが、月35万円まで貰ったことはない」(積水ハウスの従事者 給排水管工)
「駐車場が確保されていない。1日1万数千円の有料を借りた」、「現場経費をどんどん削られている」(大成建設従事者)
「(重層下請構造)6次まである(府中市)」(大林組従事者)
「1,2次のみ。原則、3次は使わない」というフジタの回答に対して同社従事者から「私は4次だった」の声。
 上述のように、今回交渉の大きな特徴は、三井ホーム、鹿島、大成建設、大林組、フジタ、積水ハウス、安藤建設、東急建設、松井建設、等々、多くの企業に、その企業の従事者が参加し、声をあげたことです。
3 課題
 これまでの成果の上に、さらに大手企業交渉を前進させ、建設労働者の賃金引き上げをはじめとする諸要求を実現するために、交渉力のより一層の強化が求められています。
前提は、建設労組の組織拡大、強化です。それを前提として、大手企業の現場で働く現場従事者の結集です。現場従事者会議、建設労組による建設現場への訪問・立ち入り・調査行動、現場従事者の組織を作り、拡大強化すること、現場従事者からの労働条件改善の要求に基づき建設労組が建設現場で団体交渉を行うこと、憲法28条に規定されている争議権の行使などでの決定的前進が必要です。
(参考)
○ 憲法第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
○ 争議権行使の実例 熊谷組に対して本社前宣伝行動を実施し、建設業法41条3項に基づく元請責任での不払い解決を行わせた。
○ 現場訪問・調査行動による現場改善の実例(埼玉土建一般労組川口鳩ヶ谷支部)
 東急建設が元請のマンション建設現場。「朝礼や打ち合わせでの安全対策教育」、「施工体系図の見やすい場所への掲示」、「応援等での、下請業者との諸条件の十分な打ち合わせ」、「労働安全衛生法の基準によるトイレ、給水場の設置」など12項目にわたり「現場改善要望」を申し入れた。東急建設から申し入れを「守る」との回答を得ることができた。現場の空気は一変した。
 
更新日時:
2007/10/21
―――  「残土排出は元請責任での立替払の対象か?」関連  ―――
―――  「残土排出は元請責任での立替払の対象か?」関連  ―――
海野和夫
 
◎ 現場の実態は緊密な連関を持ちながら根切り工事の全体を形作っている
 国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)を読むと、建設業法上の「建設工事」の例示の一つとして、「根切り工事」をあげています。
 『総合工事業者・専門工事業者間における工事見積条件の明確化について─「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の作成─第3版』によると、根切り工事というのは掘削工事であり、工程は、掘削→積込→残土処理(残土運搬=残土搬出)の流れになります。
 今回、問題化しているのは、根切り工事の工程の一部としての「残土処分」(残土搬出)が建設工事なのかどうか? 建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になるのか? ということです。
 今回、倒産・不払いが発生している現場の元請は、A社。1次下請がB社。
 ディベロッパーからマンション建設工事を請け負ったA社が、根切り工事をB社に請け負わせました。A社とB社との契約のなかみは、いうまでもなく、根切り工事という建設工事の請負契約になります。
 次にB社は、根切り工事を分けて、再下請負に出しました。「残土の搬出」については、C社に行わせました。C社はさらに、この残土搬出をD社に行なわせました。
 C社が倒産。D社は多額の不払い被害を受けました。
 D社は、建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払いを、元請の特定建設業者のA社に要請。
B社がC社に出したのは根切り工事の中の「残土搬出」の部分だったので、それを捉えてA社は、残土搬出(運搬)は建設工事ではない、従って、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象にならない、との「本社見解」を表明。
 これは、おかしいと、思います。
 B社が、根切り工事を分けないでそのままC社に出していれば、建設工事となり、C社の下請業者等は建設業法による保護を受けるのに、たまたまB社の都合で、判断で、分けて下に出すと、下の業者は建設業法による保護を受けられないというのは、おかしな話ですし、建設工事の、建設現場の最終的責任者である元請の最終責任、元請責任を免罪し、中小業者に泣き寝入りを強要する結果となるものです。
 建設現場の実態、現実、事実から出発する必要があります。今回の現場であるマンション建設工事の現場の実態、現実、事実は、根切り工事を、言い換えると掘削→積込→残土処理(残土運搬=残土搬出)の工程を、現場での有機的結合、一体的結合の中でおこない、緊密な連関を持ちながら根切り工事の全体を形作っています。
 現場の実態は、残土の運搬(搬出)を建設工事の一環として、一部として行っているのであり、残土搬出は建設工事ではないとするA社の見解は、元請責任を放棄し、結果として下請業者は泣き寝入りを余儀なくされます。
 福田首相は施策の一つとして、「元請、下請間の関係の適正化」を掲げています。隙間なく下請保護を実現するために、行政による適正な指導を要請しました。
 
以下は、国土交通省関東地方整備局の見解です。
@ 残土搬出は、建設工事ではない。
A 残土搬出は建設工事ではないが、今回の場合は、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になる。
(理由) 今回の場合、A社とB社の契約は、根切り工事という建設工事の請負契約であり、A社は元請となる、元請の特定建設業者となる。これを言い換えると、B社は、根切り工事という建設工事を請け負った下請業者となる。
 根切り工事という建設工事を請け負った下請業者であるB社が、残土搬出をC社に頼み、そのC社が倒産して他人に損害を与えたのが本件の経過であり、これは、B社が根切り工事という建設工事の施工に関し残土搬出の部分をC社に頼むことで他人に損害を加えたということであり、建設業法41条3項が言う「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」に該当する。
 従って、本件の場合、建設工事ではない残土搬出であっても、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になる。
 
 
◎ 根切り工事 残土搬出 建設業法上の「建設工事」との関係
 国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)を読むと、建設業法上の「建設工事」の例示の一つとして、「根切り工事」をあげています。「根切り工事」は建設業法上の「建設工事」だということです。
 「根切り工事」とは何か? 少し調べてみました。
<http://allabout.co.jp/glossary/g_estate/w002045.htm> によると、根切りとは、基礎や地下構造物を作るため、地盤面下の土を掘削すること。掘削する壁面が崩壊するおそれのあるときは、別途、山留め工事を行う、とのことです。
「山留(やまどめ)」というのは、掘削工事で、まわりの地盤が崩れないように矢板またはせき板で土を押さえること、とのことです。
根切りの工程は次のとおりとのことです。根切り墨出し→重機搬入→根切り→横矢板板入れ→残土処分→排水処理→床付け→埋戻し。
「墨出し(すみだし)」 躯体面に黒または赤色の墨の付いた糸で、基準となる線を原寸で描く作業。
「矢板(やいた)」 山留めに用いられる木製または鋼製のせき板。
「せき板」 横に長く垂直に使った板。
「床付け」 根切りが所定の深さに達したら、根切り底を平らに仕上げること。
 ネット上で調べると、上記のような感じになりますが、専門用語ばかりで難解ですが、何となくおおまかな感じはつかめます。
 『総合工事業者・専門工事業者間における工事見積条件の明確化について─「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の作成─第3版』によると、要するに、根切り工事というのは掘削工事であり、工程は、掘削→積込→残土処理(残土運搬=残土搬出)の流れになります。
 今回、質問を受けているのは、根切り工事の工程の一部としての「残土処分」(残土搬出)のことです。残土の搬出が建設工事なのかどうか? という質問です。
島根県土木部土木総務課建設産業対策室の説明によると、「残土の搬出のみの場合は、建設工事ではない。ただし、(土砂の掘削を含む)積み込み作業等建設工事に該当するものを含む場合には、建設工事となる」とされています。
 何が問題なのかわからない。根切り工事の工程の一部としての残土搬出であれば、建設工事ということでいいのではないか? という声が聞こえてきます。
 しかし、実は、ことはそう簡単ではないのです。
 次のようなことなのです。
 元請がA社。1次下請がB社。
 ディベロッパーからマンションの建設工事を請け負ったA社が、根切り工事をB社に請け負わせました。A社とB社との契約のなかみは、いうまでもなく、根切り工事という建設工事の請負契約になります。
 次にB社は、根切り工事を分離して再下請負に出しました。「残土の搬出」については、C社に行わせました。
 仮にこれが、「(土砂の掘削を含む)積み込み作業」を分離発注したのであれば、建設工事を行わせたのであり、建設工事の請負契約になるのですが、B社がC社に出したのは「残土搬出」の部分だったのです。
 島根県土木部土木総務課建設産業対策室の説明によると、「残土の搬出のみの場合は、建設工事ではない」となりますが、そうだとすると、B社とC社との間の契約のなかみは、建設工事の請負契約ではない、ということになるのでしょうか? 言い換えると、建設業法の適用を受けない、建設業法が定める下請保護の規定が及ばない、元請責任が発生しない、ということになるのでしょうか? 下請が泣き寝入りを余儀なくされるということなのでしょうか?
 これは、おかしいと、思います。
 根切り工事を分離しないで再下請負に出していれば、建設工事となり、再下請負業者は建設業法による保護を受けるのに、たまたま1次業者の都合で、判断で、分離して下に出すと、下の業者は建設業法による保護を受けられないというのは、おかしな話ですし、建設工事の、建設現場の最終的責任者である元請の最終責任、元請責任を免罪し、中小業者に泣き寝入りを強要するものです。
 国土交通省の判断は?
 
 
◎ 建設現場、建設労働者の実態に基づいて「建設工事」を正確に捉えること
建設業法41条3項 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
 上記の建設業法41条3項を読むと、元請の特定建設業者に立替払を勧告することができるのは、「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」に限定されています。
 もう少し単純化して言い換えると、立替払を勧告することができるのは、建設工事を施工している「建設業を営む者」がその建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合に、限定されています。
 これをさらに言い換えると、「建設工事を施工している『建設業を営む者』」ではない者が他人に損害を加えた場合には、立替払を勧告することができないということになります。このような場合には、元請の特定建設業者に、元請責任での不払い解決という責任が発生しないということになります。
 建設工事かどうかが問題にされるわけです。
 そうだとすれば、「労働者性」の問題に似ているのですが、建設現場の実態、建設現場で実際に施工している人たちのことを正確に考慮して、「建設工事」を狭く捉え、解釈するのではなく、逆に広く捉え、広く解釈する必要があります。
 あれは建設工事ではない、これも建設工事ではないと、狭く、狭くしていくことは、圧倒的力量を持っている元請の特定建設業者の元請責任を免除し、同時にそれは建設現場で泣き寝入りを余儀なくされる業者、労働者を増やす結果になるからです。
 現実に危険な傾向だと感じているのは、「鉄骨工事の工場製作過程」は建設工事ではないとか「土砂の搬出」は建設工事ではないとか、一部行政の捉え方が、建設工事を狭く、狭く捉えていく傾向を見せていることです。
 建設労働運動の側からの本格的提案が求められている分野の一つだと感じています。
 
 
◎ ダンプトラックによる残土搬出は建設工事の請負契約か?
 「ダンプトラックによる残土搬出は建設工事の請負契約か?」という質問を受けました。少し調べてみました。
1 行政による説明
島根県土木部土木総務課建設産業対策室「建設業法Q&A 平成17年11 月」
によると、以下のように説明されています。
Q 次のような契約は下請負契約となりますか。
@ 現場のガードマン等
A オペレーター付のリース契約
B ダンプトラックによる残土搬出
C 資材・機材のみのリース
@ ガードマン等の派遣については、建設工事の下請負契約には当たりません。
A オペレーター付で契約する場合、オペレーターが行う行為は建設工事の完成を目的とした行為と考えられ、基本的には下請負契約に当たるものと考えます。しかし、リース会社から派遣されるオペレータを建設業務に就かせることは、労働者派遣法第4条に違反するおそれがあります。
B 土砂の搬出のみの場合は、建設工事の下請負契約には当たりません。ただし、積み込み作業(土砂の掘削を含む)等建設業法の請負工事に該当するものを含む場合には、下請負契約となります。
C 資材・機材のみのリースで、オペレーターには自社の技術者を配置する場合には、請負契約に該当しません。
(以下は、私(海野)の考えです)
2 建設業法41条3項との関係
 次に、ダンプトラックによる残土搬出は、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象に含まれるかどうか? 考えてみます。
 国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)は、建設業法41条3項について、以下のように解説しています。
建設業法41条3項についての『建設業法解説』の解説=「下請業者の工事代金、資材納入業者の納入代金、工事現場周辺の商店等の代金の不払いの場合、特定建設業者である元請に対して、立替払い等の勧告の対象となる金額は……損害の額を限度とし当面の窮状を救済するに足りるかどうかを基本として求めるべきであろう」
上記のように、国土交通省『建設業法解説』は、建設工事の請負契約ではない「資材納入業者の納入代金」、「工事現場周辺の商店等の代金」についても建設業法41条3項に定める立替払の対象であると解説しており、立替払の対象を「下請業者の工事代金」だけに限定していません。
従って、ダンプトラックによる残土搬出の代金についても当然、建設業法41条3項が定める立替払の対象であると解するのが正当だと思います。
工事現場、工事施工の最終的責任者である元請の特定建設業者の責任は、それだけ重いということです。通常は、重層下請構造を使って元請は利益をあげているわけですから、トラブル発生時等にはリスクを負っているということです。
 
 
◎ 残土運搬は元請責任での立替払の対象 国交省も大手ゼネコンも認める
 今回、少し複雑な話になるのですが、「残土運搬」が建設業法に基づく元請責任での立替払の対象になるのかどうか、問題が発生し、最初、大手ゼネコン○○社は「残土運搬」は建設業法に基づく元請責任での立替払の対象にならないとの見解を打ち出しました。
 しかし、国土交通省関東地方整備局は逆に、「残土運搬」は建設業法に基づく元請責任での立替払の対象になるとの見解を示しました。
 そして、大手ゼネコン○○社は、国土交通省関東地方整備局の指導に従い、「残土運搬」が立替払の対象になることを認め、一定の立替払いを実施し、円満解決に到りました。
 国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)を読むと、建設業法上の「建設工事」の例示の一つとして、「根切り工事」をあげています。
 『総合工事業者・専門工事業者間における工事見積条件の明確化について─「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の作成─第3版』によると、根切り工事というのは掘削工事であり、工程は、掘削→積込→残土処理(残土運搬)の流れになります。
 今回、倒産・不払いが発生した現場の元請は、前述の大手ゼネコン○○社です。1次下請が△△社。
 ディベロッパーからマンション建設工事を請け負った○○社が、根切り工事を△△社に請け負わせました。
 次に△△社は、根切り工事を分けて、再下請負に出しました。「残土の運搬」については、××社に行わせました。××社はさらに、この残土運搬を□□社に行なわせました。
 ××社が倒産。□□社は不払い被害を受けました。
 □□社は、建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払いを、元請の特定建設業者の○○社に要請。
ところが、○○社は、△△社が××社に出したのは根切り工事の中の「残土運搬」の部分だったので、それを捉えて、残土運搬は建設工事ではない、従って、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象にならない、との見解を打ち出しました。言い換えると、下記の建設業法41条3項にある「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」にあてはまらない、というわけです。ややこしい話ですが、××社は、△△社から建設工事ではない残土運搬を請けたのであり、「建設工事を施工している建設業を営む者」ではないではないか、というわけです。また、残土運搬は建設工事ではないから、「建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」にあてはまらない、というわけです。
◎ 建設業法41条3項「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる」(アンダーラインは海野)
 
これに対して、以下は、国土交通省関東地方整備局の見解です。
@ 残土運搬は、建設工事ではない。
A 残土運搬は建設工事ではないが、今回の場合は、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になる。
(理由) 今回の場合、○○社と△△社の契約は、根切り工事という建設工事の請負契約であり、○○社は元請となる、元請の特定建設業者となる。これを言い換えると、△△社は、根切り工事という建設工事を請け負った下請業者となる。
 根切り工事という建設工事を請け負った下請業者である△△社が、残土運搬を××社に頼み、その××社が倒産して他人に損害を与えたのが本件の経過であり、これは、△△社が根切り工事という建設工事の施工に関し残土運搬の部分を××社に頼むことで他人に損害を加えたということであり、建設業法41条3項が言う「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合」に該当する。
 従って、本件の場合、建設工事ではない残土運搬であっても、建設業法41条3項が定める元請責任での立替払の対象になる。
(インタネットでの公表になじまないと判断し、○○社等、全て匿名にしました)
 
更新日時:
2008/01/28
―――――――――― 「倒産・不払い」関連 ――――――――――
―――――――――― 「倒産・不払い」関連 ――――――――――
海野和夫
 
◎ 不払い問題に対するビッグゼネコン5社を含む大手ゼネコンの回答
1、はじめに
 埼玉土建一般労組を含む全建総連関東地協の(春、秋、年2回の)大手企業交渉は、既に21年を超え、43回に達しています。この大手企業交渉を通じて、全建総連東京都連、全建総連神奈川県連、千葉土建一般労組、埼玉土建一般労組、東京土建一般労組、等々の建設労組を、不払い等の紛争処理の窓口として大手企業に認めさせ、不払い等の紛争処理のルールを作り出してきました。これはまさに、紛争処理手続きの労働協約を労働組合と大手企業との間で認め合ったものであり、本格的な労働協約の締結に向けての重要な土台となるものです。
 営々として積み重ねてきた大手企業交渉の到達は、その蓄積は、私たち全建総連関東地協とビッグゼネコン5社を含む大手ゼネコンとの間にまさに一定の信頼関係を作り出し、建設産業の重層下請構造の中で発生した倒産・不払いを元請の大手企業の責任で解決させる上で、大きな役割を発揮しています。
 今回は、2005年10月20日、21日を中心に行われた全建総連関東地協第43回大手企業交渉での「不払い問題に対するビッグゼネコン5社を含む大手ゼネコンの回答」の一部を紹介しておきます。
2、要求「建設業法41条2項、3項にもとづく元請の大手企業の責任での立替払いの実施を」
3、回答
@清水建設「調達部門に連絡を」
A鹿島「労働者救済を優先し、早期解決に努める。工事代金は労働者救済とは違うので、原則対応はしていない。出面をベースにして交渉はしているので、そういう意味では、一部工事代金についても立替払いしていると思っている」
B大成建設「個別によく事情を聞いた上で対応している。誠意を持って対応している」
C竹中工務店「全建総連との話し合いの中で、全て解決している。工事代金、資材納入代金についてはケースバイケースで判断するが、きちんと対応する」
D大林組「個々の事案について調査し、必要であれば対応を考える」
E熊谷組「誠意を持って、真摯に対応している。工事代金、資材納入代金の立替払いについても、建設業法上、当然と認識している。手形分も同様と認識している」
F戸田建設「被害者と加害者の間に入り話し合いで解決したい」
Gハザマ「ケースバイケースで対応」
Hフジタ「すみやかに事実関係を調査して、内容協議して、案件ごとに対応している」
I東急建設「発生した場合には、可能な範囲で元請として解決に努力している。二重払いになる場合は対応しない。基本的にはケースバイケース」
J西松建設「当該現場を調査し、組合を通して、問題解決に当たる。工事代金、建設資材納入代金については、状況に応じて立替払いする。手形分も、労賃部分については立替払いする」
K前田建設工業「賃金については最大限対応したい。工事代金、建設資材納入
代金については、協議の場は設けたい。解決する姿勢はあるので、対話はしたい」
L三井住友建設「建設業法にもとづく現場労働者の未払い賃金、下請工事代金の支払いについては、現場労働者の未払い賃金と工事代金の債権、債務は区別して対応。下請会社倒産に伴い、現場作業員の賃金が未払いになった場合、当社の作業所で作業した事実を確認した上で、救済すべき賃金相当が存在すれば、救済する。工事代金、建設資材納入代金については、当社の現場で協力会社が工事施工に伴い他人に不法行為等で損害を与えた場合等に限定されるものだと考える」
M飛島建設「調査して対応できるものは対応している」
N鴻池組「詳細に事実関係を確認し、適切に対処している。二重払いも含めて行っている。工事代金の労賃相当額は払っているが、材料についてはケースバイケース」
O五洋建設「従前より建設業法の趣旨に則り、迅速に対応している。工事代金、資材代金については、ケースバイケースで救済している」
 
 
◎ 公共工事での1次下請倒産・不払い発生の関係での要請書
(元請が大手造船会社の公共工事現場で、1次下請の破産・不払いが発生しました。関係者に配慮し、全て匿名にしてあります)
1、経過
 T社が建設労組に相談に来ました。公共工事で倒産・不払いが発生し、建設資材納入代金の不払い被害(2600万円)を受けて困っているというものです。
 元請は大手造船会社です。
 1次下請はS社です。
 T社の相談内容は、S社が破産し、2600万円の建設資材納入代金不払い被害を受けたというものです。
 2006年6月23日、S社の破産管財人に連絡して、配当等の見通しを聞くと同時に、元請交渉での不払い解決をめざすことを伝えました。「配当の見通しはゼロに近い」と破産管財人は話していました。
 T社の話によると、S社はT社に対して労務費の部分も手形払いの、100%手形払いです。このことが被害を大きくしました。
2、要請の趣旨
 元請の大手造船会社に、元請の特定建設業者として建設業法41条3項に基づき立替払いを実施し、(建設資材納入業者、建設資材製造業者)のT社の窮状を救済するよう要請します。
3、要請の根拠
 今回の事例は、元請が大手造船会社で、1次下請が破産、その結果として1次下請の現場(公共工事。元請が大手造船会社)に鉄骨を納入していた業者(T社)が鉄骨納入代金について多額の不払い被害を受けました。
 T社の話によると、T社は他社から鉄骨を購入し、工場で(工場労働で)その鉄骨を加工して、工事現場で組み立てられる状態(形態)にして、その、工事現場で組み立てられる状態(形態)に加工された鉄骨を、(破産した)1次下請の現場(公共工事。元請が大手造船会社)に納入していた、とのことです。工事現場で組み立てられる状態(形態)に加工するために投入された工場労働には、T社は当然賃金を支払っており、その賃金の金額は、(破産した)1次下請への「加工した鉄骨」の納入代金の約半額に達している、とのことです。
 ですから、加工した鉄骨の納入代金の約半分は(工場労働の)労務費ということになります。工事現場での労働の労務費ではありませんが、労務費という点では同じです。
 建設資材納入代金と言っても、このように労務費が相当含まれているのです。
 
私たちが、元請の特定建設業者の責任での不払い解決を求める根拠となっているのが、建設業法41条の3項です。
建設業法第41条の3項 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払いすることその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる
 建設業法41条3項が言う「他人に加えた損害」、「他人が受けた損害」とは何か、何を意味するのか、国土交通省作成の『建設業法解説』(大成出版社)は、次のように明らかにしています。「本項(建設業法41条3項)の『損害』のなかには、不法行為にもとづく損害と取引行為にもとづく損害とが考えられる。まず、下請負人の不法行為にもとづく損害としては、下請負人が建設工事を適切に施工しなかったため第三者の生命、身体又は財産に危害を与えた場合、及び同じく下請負人が建設工事の安全な施工に関する監督を怠り雇用する労働者に労働災害を生じさせた場合とがある。しかしながら、これらの下請負人の不法行為にもとづく損害であっても、下請負人の選任及びその工事の施工の指導監督について元請負人に過失がある場合には、元請負人も当然に損害賠償の責に任ずるのであるので、本項(建設業法41条3項)の『損害』とはならず、本項(建設業法41条3項)の勧告の対象となるものではない。次に、下請負人の取引行為にもとづく損害であるが、この損害には、下請負人がさらに工事を下請施工させる場合におけるその下請負人(いわゆる孫請負人)に対する下請代金の支払の遅滞するような場合、下請負人の建設資材納入業者との間の取引関係にもとづく代金の不払等をする場合、下請負人と工事現場周辺の商店等との取引関係にもとづく代金の不払等をする場合の損害が考えられる。これらの損害は、いずれも特定建設業者にとって直接の責任があるものでなく、したがって、元請負人である特定建設業者には、下請負人と第三者(下請負人がさらに工事を下請施工させる場合の下請負人、建設資材納入業者、工事現場周辺の商店など)との間における取引関係における損害を賠償する義務はないので、(これらの損害は)すべて本項(建設業法41条3項)の『損害』と解すべきであろう」(『建設業法解説』447ページ)
 このように難解な表現ではありますが、元請の特定建設業者の責任での解決を求めている建設業法41条3項の「損害」は「下請負人と第三者(下請負人がさらに工事を下請施工させる場合の下請負人、建設資材納入業者、工事現場周辺の商店など)との間における取引関係における損害」であることを、『建設業法解説』は明らかにしています。
 建設業法41条3項が元請責任での立替払いの対象にしている「他人に加えた損害」、「他人が受けた損害」の中には、工事代金と並んで建設資材納入代金が含まれていることを、『建設業法解説』は明らかにしているわけです。
4、過去の事例
 建築金物の会社が倒産し、不払いが発生しました。建設労組に所属する3人の業者が多額の不払い被害を受けました。元請は大手ゼネコンです。
建設労組として2005年7月15日に大手ゼネコンと交渉をおこない、建設業法41条3項にもとづく立替払いを要請。大手ゼネコンの当初の回答は、「工場での手間と現場での取り付けは違う。工場での手間については立替払いできないが原則だが、そうは言っても云々」という微妙なものでした。建設労組は、「(工場での製造にもとづく)建設資材納入代金も建設業法が定める立替払いの対象」を明らかにしました。
その結果、3人の被害業者に対して一定の立替払いを大手ゼネコンが実施して、解決しました。
 このように、大手ゼネコンは、建設資材納入代金についても元請の特定建設業者の責任での立替払いをおこなっています。
 
 
◎ ――工事代金 賃金 売買代金 貸し金など 時効について若干――
 時効制度への関心が高まっています。建設労組の不払い対策活動でも、工事代金、賃金、建設資材納入代金などの時効の問題は発生しますし、その対策として内容証明の送付、債務確認書の取り交わし等々、おこなっています。
 時効について並べると、以下のようになります。
工事代金     3年
賃金       2年
残業代      2年
解雇予告手当   2年
退職金      5年
売買代金     2年
商人間の貸金   5年
銀行等からの貸金 5年
個人間の貸金  10年
家賃・地代    5年
不法行為の損害賠償請求 20年
慰謝料      3年
 ふだんは「そういうものだ」と受け止めている「時効」ですが、考えると、どうして時効が存在するのか、時効は逃げ得を許しているのではないか、殺人でも時効は25年ですから、25年逃げ回って逮捕されなければ時効になるわけで、被害者や被害者の家族の思いを考えると、確かに不思議な制度です。
インタネットで検索して、少し調べてみました。
Wikipediaのサイトに、「時効の存在理由」が載っていました。それによると「時効により、債務者は本来履行すべき債務を免れ、無権利者は得るいわれのない権利を得ることもあるが、その反面、真の権利者は権利を失うことになる。これは、憲法29条の財産権の保障からみてその合憲性が問題となりうるため、時効という制度の存在理由(時効は誰を保護する制度かという「目的」とその正当化する「根拠」という二つの問題を含む)が問われるゆえんである。時効の存在理由として一般に挙げられるものには以下の三つがある。@永続した事実状態の尊重、A立証の困難の救済、B権利の上に眠る者を保護しない」ということです。
@とBはわかりやすいのですが、調べたところではA「立証の困難の救済」は「長期の経過によって、その間続いてきた事実状態が真実の権利状態であるかどうかを立証することは、困難になる。長期に続いてきた事実状態は真実の権利状態である可能性が高い。そこで、このような立証の困難を救済し、その期間の経過によって権利の存否を決めること」という意味のようです。
 また、刑事犯罪の時効の存在理由としては、「時の経過により、犯罪の社会的影響も薄れていく」、「時の経過により、証拠が散逸し、事実認定も困難となる、公正な裁判が難しくなる」、「時の経過により、処罰の必要性も薄れていく」などもあげられています。
 しかし、殺人でも時効は25年ですから、25年逃げ回って逮捕されなければ時効になり、逃げ得になるわけで、時効制度というのは、上記理由だけではなかなか納得しがたいところがあります。
 
 
◎ 破産管財人が業者に破産法の「否認権」行使の実例 否認権?
1 はじめに
 最近相談を受けた事例の中に、破産管財人が建設業者に対して破産法に基づく「否認権」を行使し、訴訟を起こしてきた事例がありますので、差し支えない範囲で紹介し、あわせて後半の部分で「否認権」について、『要点解説 新破産法』(編者 日本弁護士連合会倒産法制検討委員会 発行所 株式会社商事法務)を参考にし、それに基づいて書かせていただきました。
2 破産管財人の「訴状」
訴状
第1 請求の趣旨
 1 被告(建設業者)は、原告(破産管財人)に対し、金407万6110円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決及び仮執行の宣言を求める。
第2 請求の原因
 1 当事者
(1) N社(以下「破産会社」という。)については、平成17年9月26日、さいたま地方裁判所に対し破産手続開始の申立てがなされ、同年10月14日、破産会社は、破産開始決定を受けた。
 原告は、上記破産事件につき、上記裁判所から平成17年10月14日破産管財人に選任された。
(2) 被告は、破産会社の取引先である。
 2 破産会社は、平成17年5月末日頃に支払不能に陥ったが、その後の同年7月29日、取引先である被告の要請に従い、金407万6110円を被告に弁済した。
 3 本件弁済の当時、破産会社は約15億円の取引上の債務を負担しており、その経営は破綻寸前の状態にあり、支払不能の状態であった。
 そして、被告は、従前から破産会社に請求していたにもかかわらず、支払いを受けることが出来なかった模様である。また、被告が本件弁済を受けたのが7月29日金曜日であり、破産会社が第1回目の手形不渡りを出したのが8月1日月曜日であったことからすると、本件弁済時期は、手形取引日である平日で考えると手形不渡り日の前日ということになる。よって、被告は破産会社が破綻寸前の状態にあり、支払不能の状態であることを知っていなかったわけはなく、知っていたはずである。
 4 したがって、破産会社と被告間の本件弁済は破産法162条1項1号の要件に該当する。
 5 よって、原告は本件弁済を否認し、被告に対し本件弁済による受領金407万6110円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
3 破産法が定める否認権とは?
 偏頗行為(債権者平等の原則に反し、特定の債権者のみが利益を得る不公正な行為)否認につき、破産法は、原則として支払不能時期以降のみを否認できるとしています。
 支払不能の定義については、破産法2条11号で「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう」とされている。
 支払不能後に支払不能であることを知っていた債権者に対しなされた弁済は否認される。
 破産法は、債権者の主観的要件(支払不能後に債権の弁済を受けた債権者が弁済を受けたときに支払不能であることを知っていたかどうか)の証明責任を破産管財人に負わせている。言い換えると、債権者に「支払不能であることを知らなかった」ことを証明する責任はなく、債権者が「支払不能であることを知っていた」ことを証明する責任を破産管財人に負わせているということである。
 破産法162条3項は、「支払不能の推定」を規定している。
偏頗行為否認の要件たる支払不能について、支払停止(破産申立て前1年以内のものに限る)があった後は、支払不能であったものと推定するとの規定を、破産法は設けている。
 この規定はあくまで「推定」であるので、支払停止があったとしても支払不能でないことを債権者が立証すれば、弁済否認の成立を否定できる。
4 破産法162条
破産法第162条 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
 一  破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
  イ  当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
  ロ  当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。
 二  破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前30日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
 一  債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
 二  前項第一号に掲げる行為が破産者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が破産者の義務に属しないものである場合
3  第一項各号の規定の適用については、支払の停止(破産手続開始の申立て前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。
 
 
◎ A社倒産の経過、問題点 公共工事 不払い 一括下請負? 違法派遣?
(以下にA社倒産の経過、問題点を明らかにし、元請責任での不払い解決に向け前進していきたいと思います)
A社が倒産。
A社と取引関係にあったK社など数社が工事代金不払い被害を受ける。
2007/3/24 某社の社長からK社に、○○再生センター(公共工事)の工事が大幅に遅れて大変なことになっているので助けてやってほしい旨の相談があった。支払いはどこがするのかと話したところ、A社とのことだった。K社は応援を出すことを決めたが、A社のI氏から請負はできないので常用契約にしてほしいと言われた。
2007/3/26 K社はA社に常用単価を連絡し、書類を送付し、契約を済ませた。この日から作業員を従事させた。
2007/4/28 K社現場責任者のA氏から元請T社現場代理人のY氏に、A社からの支払いがない場合はどうなるのかと問い質したところ、T社は現金では払えないが責任を持って手形で払うと回答があったので、A氏は安心した。
 ○○再生センター(公共工事)の工事では、T社が元請の特定建設業者である。1次下請がD社、2次下請がA社、3次下請がK社という重層下請構造である。
2007/5/15 支払日だったが、A社からの支払いがなかった。
2007/5/17 元請T社現場代理人のY氏からK社現場責任者のA氏に、5月19日に集まるよう連絡が入った。この時点で当然、A社が支払えないので元請T社が支払ってくれるものと思った。
2007/5/19 元請T社、1次D社、2次A社と3次K社を含む下請業者数社が集まり、個別に状況確認の話があった。その席上、A社の社長にK社あてに念書を書かせた。
2007/5/25 A社の社長がK社に債権譲渡書を持参する。その写しをD社に送信する。
2007/8/11 元請T社現場代理人のY氏に相談したが、「私はT社の社員ではない」と言った。
(問題点)
○ 元請T社現場代理人のY氏から作業指示が出ており、1次D社、2次A社は常駐者なしだった。(建設業法22条が禁止する一括下請負の疑義)
○ K社からの作業員が元請T社の指揮監督の下に作業に従事していたとすれば、建設業で禁止されている「派遣」、言い換えると違法派遣の疑義が生ずる。
○ 元請T社現場代理人のY氏は、2次のA社が支払えない場合、T社が代わりに支払うことを約束していた。
○ 元請T社現場代理人のY氏が「T社の社員ではない」とすれば、建設業法22条が禁止する一括下請負の疑義が生ずる。
○ 元請T社現場代理人のY氏は、T社工事本部課長代理の名刺を使用、配布し、自分をT社の社員であると他者に信じ込ませていた。
○ 元請T社、1次D社ともに、納期管理、品質管理、進捗管理をしていなかった。(建設業法22条が禁止する一括下請負の疑義)
 
 
◎ 公共工事での破産・不払い 重層下請構造の問題 一括下請負の疑義
 今回の案件は、重層下請構造の公共工事現場での下請破産・不払いです。
 元請K社、1次下請D社、2次下請A社、3次下請S社など数社の重層下請構造になっています。2次下請A社の破産のために、3次下請S社など数社が工事代金不払い被害にあっています。
 建設業法41条3項に基づく元請責任での立替払いを元請K社が直ちに実施し、不払い被害を受けた3次下請数社を急速に救済することが求められています。
 この公共工事現場での経過、問題点を、以下に並べてみます。
○ 破産した2次下請A社は、従来、製作加工が主な仕事で、現場作業の経験はわずかだった。機械製造業がほとんどだった。(建設業法第22条が禁止する一括下請負の疑義)
 2次下請A社は「なれない仕事を受注し、困っている」と話していた。
○ 元請K社のY氏、1次D社のT氏、2次A社のI氏の3社から頼まれて、S社は仕事を受けた。(元請K社、1次D社はS社に仕事を頼んだのだから、工事代金不払いについて責任を負っている)
○ 2次A社とS社は注文書と請書を交わした。
○ (公共工事)発注者による完成検査日に、元請K社の設計担当者が出席しなかったため、中止、延期となった。(K社は元請責任を果たしていない)
 2回目の検査日、工事は合格した。
○ 1次D社からは監督もいないし、誰も現場に出ていない。元請K社と1次D社の請負契約は、現場の実態としては無いものと言える。(建設業法第22条が禁止する一括下請負の疑義)
○ 元請K社は2次A社にまかせきりだった。3次下請となったS社が現場事務所に行ったとき、工事はほとんど進んでいなかった。(建設業法第22条が禁止する一括下請負の疑義)
 
 
◎ ─── 債権の譲渡 成立の条件は? 対抗要件は? ───
 「債権の譲渡 成立の条件は? 対抗要件は?」という質問を受けました。
債権の譲渡については、以下のように民法第466条〜473条が定めていま
す。
(債権の譲渡性)
民法第466条  債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
(指名債権の譲渡の対抗要件)
民法第467条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
○ 「指名債権」 債権者が特定している債権。一般の債権はすべてこれにあたる。(大辞泉から)
(言い換えると、債権の譲渡人が債務者に債権譲渡の通知をする場合は、証拠が残るように内容証明郵便で債権譲渡の通知を、ということです──海野)
 『ケース別内容証明の書き方全書』(著者 荒木新五弁護士 発行 日本法令)は、債権譲渡について以下のように述べています。
 指名債権は債権者である債権譲渡人と債権譲受人の契約(債権譲渡契約)によって譲渡される(譲渡にかかる債権の債務者の承諾は必要ない)。
 債権譲渡自体はこのように譲渡当事者の意思表示だけで効力が生じるが、これを債務者に対抗するには譲渡人(もとの債権者)から債務者に対する通知、または債務者の(譲渡人または譲受人のいずれかに対する)承諾が必要である。
 指名債権の譲渡を債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付ある証書による通知または承諾が必要である。確定日付とは、その日になされたことが法律上証明される日付である。
 債権譲渡通知書が内容証明でなされる大きな理由の一つが、この確定日付を得ることにある。
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
民法第468条  債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
2  譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
(債権の譲渡人が譲渡の通知を債務者にしたにとどまるのか、それにとどまらず債務者が異議を言わないで承諾をしたのかでは、債権の譲受人への対抗という点で違ってくるということです──海野)
(指図債権の譲渡の対抗要件)
民法第469条  指図債権の譲渡は、その証書に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
○ 「指図債権」 証券に記載されている特定の者、またはその者によって指図(指定)された者に弁済すべき債権。(大辞泉から)
(指図債権の債務者の調査の権利等)
民法第470条  指図債権の債務者は、その証書の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。
(記名式所持人払債権の債務者の調査の権利等)
民法第471条  前条の規定は、債権に関する証書に債権者を指名する記載がされているが、その証書の所持人に弁済をすべき旨が付記されている場合について準用する。
(指図債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)
民法第472条  指図債権の債務者は、その証書に記載した事項及びその証書の性質から当然に生ずる結果を除き、その指図債権の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない。
(無記名債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)
民法第473条  前条の規定は、無記名債権について準用する。
○ 「無記名債権」 証券上に特定の権利者の氏名を表示せず、その正当な所持人に対して弁済する債権。商品券・乗車券・劇場入場券など。(大辞泉から)
 
 
◎ ─── 思い出す人たち  不払い対策活動の中で ───
 建設労働運動の中で、不払い対策活動を続けていて、やはり思い出す人たちが複数、存在します。相手を人間として尊重したからこそ、ルールを守ったからこそ、このような思い出が形成され memory palace として残存しているのではないかと思っています。
 リモテックス民事再生→破産事件では、リモテックス社との交渉のとき、リモテックス社再生について相談を受け、読んだ本からの受け売りを超えるものではありませんでしたが、相談に乗りました。同社取締役から感謝の手紙を貰いました。
 リモテックス事件のとき園尾隆司裁判長が「三権分立の下で司法としてできる範囲のことは全てする」と言って、多数の施工員を労働者として認めて「救済」したことはmemory palaceを形成しています。
 冨士工民事再生のときの、監督委員の清水直弁護士が最終局面で言った「不満足な結果しか出せなくて申し訳ない」は、印象に残りました。
 クマトリ倒産事件のとき、建設業法に基づく立替払を実施した大林組の担当者が、その際、「私ももう定年間際で、役員ではなくなっていますから」と電話で漏らしたのを聞いたときは、不払い対策活動関係で長年、数件の倒産・不払い事件で交渉を行ってきた人だけに、ショックを受けました。強面の人が最後に見せた弱さ、優しさだったのでしょう。
 建設業法に基づく立替払を実施した某中堅ゼネコンの担当者は、その際、「あなたほど紳士的な人は見たことがない。それに免じて、立替払を行います」と言ってくれました。相手を人間として尊重したからこそ、ルールを守ったからこそ、このような結果へと導いたのだと信じます。
 新興産業倒産事件のときには、立川労基署の担当者のところへ何度も足を運びました。彼もよく話を聞いてくれました。最終局面で、私は、「百歩譲って、施工員の貰うべきお金の性質が賃金ではなく工事代金だとして、工事代金というのは労務費と材料代から形成されているのですから、どうして労務費の部分まで賃金ではないということになるのですか? 工事代金の中の労務費の部分は賃金と認めて解決に当たるのが、筋ではないのですか?」と彼に言いました。
 「言っていることは、わかります。今回の(塗装の)場合、材料代の占める比率はどのくらいですか」と逆に聞かれました。
 その後、材料持ちの施工員については、この方式で、言い換えると、「工事代金」−材料代を賃金として認め、賃金支払確保法を適用する方向で解決が図られ、解決しました。
 
 
◎ 公共工事での元請破産  下請労働者の賃金は保護されるのか?  
1 今回の相談事例
 今回相談を受けた事案は、以下のような構造です。
 ○○県発注の公共工事です。
 元請が破産。
 1次下請が3000万円の不払い被害を受けました。材工共の請負ではなく、労務の提供だけの請負でしたから、3000万円の内訳は労務費です。1次下請の労働者は、元請の指揮監督下で労働に従事し、3000万円の賃金不払い被害にあってしまいました。
 労務の提供のみで、元請の指揮監督下で作業に従事していたわけですから、いま蔓延している「偽装請負」の可能性があります。言い換えると、建設業では禁止されている派遣(違法派遣)の可能性があります。
2 考え方
 いずれにしろ、元請の指揮監督下で作業に従事していたとすれば、元請の労働者と同様に、元請の労働者に準じて、労働者として認めて保護すべきです。今回の事例に即して言うと、未払いの3000万円を賃金(労働債権)として認めて、破産手続きの中で優先して保護すべきです。
 この公共工事の発注者の○○県も、上記趣旨を認める文書を出した、とのことです。
 ところが、破産管財人が、未払いの3000万円について、労働債権(賃金)として認めません。元請と1次下請の請負契約に基づく未払いだから、この3000万円は請負代金(工事代金)であり、賃金ではない、というのが破産管財人の見解です。請負代金(工事代金)だから、賃金(労働債権)ではなく一般債権だというのです。
 破産手続きの中で、労働債権は優先して保護されますが、一般債権はゼロまたはほとんどゼロの価値しか持っていません。言い換えると、一生懸命たくさんの労働者が働いた報酬としての3000万円が、1円もまたはほとんど貰えなくなってしまうということです。
 繰り返しますが、元請の指揮監督下で作業に従事していたとすれば、元請の労働者と同様に、元請の労働者に準じて、労働者として認めて保護すべきです。賃金(労働債権)として認めて、破産手続きの中で優先して保護すべきです。
 たとえば、以下に紹介する『新・現代損害賠償法講座第4巻 使用者責任ほか』(日本評論社)も、元請責任、労働者性について、同様の視点を明らかにしています。
3 『新・現代損害賠償法講座第4巻 使用者責任ほか』から
(以下は、『新・現代損害賠償法講座第4巻 使用者責任ほか』(日本評論社)の中から、民法視点での元請責任、労働者性を明らかにしていると思われる部分を抜粋したものです。元請責任での下請保護、労働者性確立での労働者保護の運動に生かしていくべき論文です――海野)
 「判例は、注文者や元請負人の指揮監督権が下請負人やその被用者にも及んでいると認められる場合には実質的な使用関係があるとして、民法715条に基づいて注文者・元請負人の責任を認める傾向にある。また、被害者が下請負人の被用者であった場合には、安全配慮義務違反に基づく契約責任を認める判例も近年増加しつつある」
 「従来、判例は、一般的に事実上の指揮監督関係の存否を重視し過ぎて、企業責任としての使用者責任本来の姿を見失っているように思われる。このことは、特に下請負関係における『直接間接の指揮監督関係』を認定する具体的要因に現れている。そこで挙げられている様々な要因は、工事の進捗をめぐる元請企業と下請・孫請企業等との間の細かな内部事情であり、これを裁判所が逐一検討して注文者や元請負人の指揮監督関係の存否を判断するという従来の判例の態度は、当事者にとっては訴訟の結果の予想がつかず、下手をすると訴訟のギャンブル化を招く危険性がある。元請負人と下請負人との間には経済的、社会的な支配従属関係があるのが通常であり、また、下請負人は元請負人の本来業務ないし付随関連業務を遂行しているのであるから、現実の指揮監督関係の有無よりも規範的な指揮監督関係を重視して元請負人の責任の存否を判断すべきである。すなわち、注文者・元請負人と下請負人との間に階層的な支配従属関係、特に業務に対する直接間接のそれが認められれば使用関係を認めて差し支えなく、それ以上に現実の指揮監督関係を裏付ける内部関係の詮索は不要というべきである。その意味からしても、支配従属関係にある法人等組織体を被用者に含める近時の下級審判例の動向は、下請負人の被用者や受任者のそれに対する具体的な指揮監督関係を問題にしない点において、是認されてよい」
(「支配従属関係にある法人等組織体を被用者に含める近時の下級審判例の動向」という箇所は、国会での政府答弁の「法形式上法人であっても、実態によっては労働者として認められることは十分にあり得る」とあわせて考えると、法人の労働者性の問題、課題に大きく踏み込みつつある動向を示すものです――海野)
 
 
◎ 建設現場での倒産・不払い 泣き寝入りを余儀なくされないために 法改正も
1 背景
 NHKテレビも報道していましたが、「構造改革」の影響もあり、倒産・不払いが増加傾向にあります。特に、中小企業、地方で、倒産が増加しています。代表的なのが、中小建設業者の倒産の増加です。
 帝国データバンクによると、今後も倒産の増加傾向は続くとのことです。
 そうだとすれば、建設現場で下請業者、建設労働者が泣き寝入りを余儀なくされないために、建設労働運動の倒産・不払い対策活動の大きな広がりをつくりだすことが求められますし、また、法改正を含めて対案を明らかにしていく必要があると思います。
2 建設業法41条2,3項の改正を
 全建総連70万人の力、また関東について言えば、全建総連関東地協の大手企業交渉の力を背景にして、倒産・不払い発生の場合、元請の特定建設業者の責任での立替払を一定程度行わせ、泣き寝入りを余儀なくされる状況からはある程度抜け出すことができています。
 しかし同時に、建設業法41条2、3項が「立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる」というあいまいな規定であるために、また、「建設工事」という限定的な表現を使っているために、元請が開き直った場合や、鉄骨工事の工場製作部分や残土排出など「建設工事」ではないとされた場合などには、非常な困難が発生します。
建設業法第41条 国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業を営む者又は第27条の37の届出のあった建設業者団体に対して、建設工事の適正な施工を確保し、又は建設業の健全な発達を図るために必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。
41条2項 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工のために使用している労働者に対する賃金の支払を遅滞した場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
41条3項 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人か受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
 法改正の方向としては、一つは、元請の特定建設業者への立替払の義務化が考えられますし、もう一つは、立替払を「建設工事」に限定するのではなく、たとえば「建設工事及び建設工事に付随する作業」というように対象を広げることが考えられます。
 
更新日時:
2008/02/06

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Last updated: 2010/3/18