サントラを聴いて、改めてウィズをプレイしたが、おもしれぇぇ。特にVでは、いまだに聖なる鎧が入手できず、探しまくっている。風龍の小説から本文を抜粋します。これがどれほどの代物か。
箱の底に敷き詰められた布の上に、四種の品が置かれている。飾りのついた鞘におさめられた長剣。刃渡りが二十センチほどの、両刃が短刀らしき武器。陽光を反射し、虹色に煌めく奇妙な衣服。そして古めかしい意匠が施された、掌ほどの大きさの薄紫色をした金属の円盤。これはペンダントになるらしく、円周部の二点から細い鎖が輪になって繋がっている。いずれも、俺がこれまでに目にしたことのない品ばかりだった。スケイルの迷宮から発見された古代の武具の中にも、ここに並んだ四品と同種のものは存在しない。そうであるにもかかわらず、俺とマイノスはこれらを目にした瞬間に息をするのも忘れていた。直感で、この品々がどれだけの力を秘めているのかを、お互いに感じ取っていたのだ。俺はとりわけ、短刀状の武器に目を奪われていた。外見は、さして美しくもない武骨な武器でしかない両刃の部分は細長い二等辺三角形で、一番幅広になったところから徐所にすぼまって握りとなる。多くの人手を渡ってきた代物らしく、握りに巻きつけられた革紐にはどす黒い血が染み着き、直線的な刃には高熱の炎に焙られたらしい青黒い変色が見受けられた。が、それは断じてただの短刀などではない。無機的な鋼の塊でしかない筈のその武器から、禍々しさに近い強烈な気配が発散されていた。生命を持たぬ武具であるからには、それは気配ではあるまい。恐らくは強力な呪いの力、他者の命を奪うために鍛造されたその武器を、悪の戒律以外の者が手にした際に放たれるであろう災いの魔力が、殺気に似た圧迫感の源なのだ。そしてその呪力は同時に、刀身に凄まじいまでの切れ味と、決して折れず、曲がらないという相反する柔と剛の特性を与える。悪の者が使用した時、切断武器としての威力は強化魔法を封じ込められた段平を遥かに上回る、そんな短刀型の武器が存在することを、俺は伝え聞いていた。忍者にしか扱えぬ東方の武具・手裏剣。俺の目の前にある短刀は、その伝説の武器に相違なかった。
「さすがにこれが何であるか判ったようだな」
アドリアンは手袋に包まれた手で手裏剣を取り出し、俺に放って寄こした。鈍く光るそれは、宙でくるくると回転しながら弧を描き、ごく自然に俺の右手に収まる。初めて手にした武器でありながら、それは違和感なく俺の手に馴染んだ。思っていたよりもずっと軽い。
「本物の手裏剣か、こりゃあ・・・・・今時残っていたとは信じられねえ」
「強靭な魔法の武具は、望んで破壊されぬ限り存在し続ける。造り手は死に絶え、技術は途絶えようともな」
アドリアンは続けて長剣を拾い上げた。
「これなどはその最たるものだ。ダイヤモンドの騎士の装具のひとつ、あの女王が背負う聖剣ハースニールに匹敵する剣を鍛造しようと夢みた刀匠の執念が生み出した魔法剣。ハースニールには及ばなかったが、手裏剣以上の威力を持つに至ったこの剣が多量に造り出されるのを畏れた時の王は、製法が流布される前に刀匠を捕らえて惨殺したと伝えられている」
言いながら、それをマイノスに差し出す。「これは貴様が使うがいい。ロードの使う剣としては、ハースニールを除いてはこれ以上のものはそうそうありはすまい」
「あ、ああ、しかし、あなたは何者なのだ。このような稀少な品々を持ち、それを惜しげもなく我々にくれるという・・・・・」
マイノスの狼狽はもっともだったし、アドリアンがボルタックの商店に賓客としてもてなされたのも頷けた。これほどの品をひとつでも渡されたなら、目端の利く商人は決してこの新たな仕入れ先を手放そうとはしないだろう。
明日につづきます。
|