SMOOTH & RELAXIN'
〜JAZZ LIFE SPOT〜MORITAT

JAZZ ESSAY

・・・I Remember Jazz・・・
ご意見ご感想はBBSにお願いします。
1    akikoの魅力 (2007/12/20)
akiko ・・MORITATジャズ日記
ジャズを35年ほど聴いてきて、ジャズヴォーカルにおいては、ビリーホリデー、サラボーン、カーメンマクレー、アニタオデイ、クリスコナー、ダイナワシントン・・・好みは皆アメリカの黒人女性ばかりであったが、ここにきて、日本人の若い一人の女性にはまってます。
正直なところいままでは、日本のジャズヴォーカリストでこれはいい!という人はいなかったんです。(すいません好みなんで)
akikoを聴いてみてすぐに気に入ったのはなぜだろうか?
技術的な、英語の発音がいい、アーティキュレーションがいい、リズム感がいいなどというところは、さておいて、なんとわなしに気に入ったところがあるからだろう。自分でもよくわからない。そりゃそうだ。音楽なんて理屈じゃない。
エッセーなんでこんなおじさんが気に入ってしまう理由ををあえて理屈っぽく掘り下げてみよう。
 
1)スタンダードを大切にしている
2)スタンダードを新しく料理している
3)お母さんの育て方がよかったような性格の良さを感じる。
4)私は私、akikoはakikoという意志を感じる。でもきっちりアメリカのグレートヴォーカリストのいいところはぱくって自分のものにしている。
5)私好みの声
 
こんなところだろうか。
いい音楽作りを続けていただけるよう微力ながら応援していきたい!
 
2    ジャズミュージシャンの好み (2007/11/10)
キムハクエイNICE GUY
昨日まであまり興味がなかったアーティストをある日ある事をきかけに急激に興味を持ち始めて、大ファンになるようなケースがある。
このある日ある事とはいったいどういったことがあるのか、少し35年ばかりのジャズ暦を振り返ってみた。
 
1)ジャズライブを聴く
  これは大変インパクトがある。多くの一般人は、ジャズミュージシャンは取っ付きの悪い方々が多いのではないかと、ライブを聴いても、お話をしたり握手をしたりすることを控える人がいる。これではインパクトが弱い。どんどんと、合間にお話ししたり、握手したり、はては慣れてきたりすると、別れ際にハグするのが大好きなジャズピアニストのYさんなんかもいる。
あんなにすごいピアノを弾く、あんなに素敵なアルバムをだしてる人と話しが出来た、握手ができた、ハグできた・・・なんていうことがあると、そりゃもうその日から応援団になっちゃいます。
しかし、やっぱりその人が本物のアーティストであることが前提になければ、続かなくなります。
アルバムで気に入ってたのに、ライブ聴いて大嫌いになるケースもありますので、アーティストの方は注意が必要ですね。(笑)
 
2)意外と腰が低い
  ジャズミュージシャンというと、なんとなく個性的で頑固、神経質で難しい人(セロニアス・モンクのような)が多い印象を持つが、意外や意外、話してみると、なんと丁寧で腰が低い人なんだろう。と感嘆するときがある。名刺を渡すとすぐにお礼のメールを携帯にくれたりする。そうするともう大ファンである。もちろんこれも本物のアーティストであることが前提であることは同じだ。
 
3)一所懸命
  いかにも毎日練習を怠ってないなという努力のあとが伝わってきたりするのも重要なファクターだ。
自分の天職として、我々ファンを魅了しようという気持ちが演奏から伝わってくる。ジャズという音楽芸術を通じて人生を学べることができる。
 
※クリック画像・・2曲飛び入りで歌ってくれたakiko・・・しびれました〜
3    ジャズライブは人生の縮図 (2007/7/22)
BODY&SOUL
ジャズライブはなぜ飽きないのであろうか?
ふと考えてみた。
高校時代にシダーウォルトン、ヒノテルなんかを聴いて以来30年ちょっと行っているが、飽きない。
 
ひとつあるのが、”人生の縮図仮説”である。つまり短時間の中で、人生というものを体感できる人生シミュレーションゲームのような面白さがその根本にあるような気がしてならない。
 
・本番前、オープニング、エンディング、そしてのったらアンコール。最後にアンコールのある人生いいなぁ・・・。(笑)
・生のアーティスト(人間)の人生の縮図が音とともに伝わってきたりもする。これはアルバムからは聴き取れないライブならではのものだ。
・休憩の時のアーティストとの語らいの中に人生を感じることができる。
・オーディエンスの表情に人生を感じたりもする。
 
 
たとえば、2007年7月20日、南青山のBODY&SOULで、ダスコ・ゴイコビッチ(TP)のセッションを聴いたケースはこんな感じだ。
20:00、入店するとなんともう満席。ドラムとベースが音もなく静かにたたずんでいる。本番前のなんともいえない緊張感が漂う。いったいどんな人が登場するのだろうか?この感じがなかなかいい。
20:30、ライブ開始。笑顔が素敵な白髪の白人トランペッター(ダスコ・ゴイコビッチ)、黒人の腕っ節の太いドラマー(ジーン・ジャクソン)、背の高いまじめそうでにこりともしない白人のベーシスト(ポール・ギル)、いかにもまじめそうでこれまたにこりともしない白人ピアニスト(ピーター・ミケリッチ)。ニコニコ顔の日本人トランペッター(原朋直)が登場。
ライブ聴いたことあるのは日本人トランペッターだけ。あとはみんな生は初めて。ドキドキワクワクする。
最初の一音が出たとたん、本番開始である。世界に入っていく。白人トランペッターはMCで75歳だと言っていた。まったく音だけ聴くと歳を感じさせない。旧ユーゴスラビア出身で、バークレーではナベサダと同級生だったとか。きっと出身が出身だけに苦労しただろうなぁ・・・。ピアノもそっち方面の出身のようだが、きっと仲間のミュージシャンが内戦で死んだりして苦労してるんだろうなぁ・・とか勝手に想像してします。ピアノはウィントンケリーばりでスウィングしていた。
ベースは本当ににこりともしない。ポールチェンバースに捧げる曲を演奏していたので、きっとアイドルだったんだろう。アルコもとても得意だから一生懸命チェンバースを目標に練習したんだろうなぁ・・。
ピアノはいかにもミケリッチという名前風のソリッドな顔つき。黙々とピアノを弾く。本当にジャズが好きなんだろうなぁ・・。いまはニューヨークで活動しているようだが、母国の両親は健在だろうか気になる。
唯一黒人のドラマーはヤングマンと何度もダスコに言われてた。腕っ節が太い。真横のテーブルに座ったので、話しかけると、聞いてもいないのに、彼女の日本人を指差して笑ってくれた。なかなかの凄腕だ。バースがやたらうまい。
21:30、休憩。ダスコと原はとても気さくに写真を撮らせてくれる。笑顔が優しげだ。ファンあっての自分であることを自覚しているようだ。感謝する気持ちを十分感じさせてくれた。とても好感が持てた。
 
23:30、演奏終了。アンコールの曲を聴きながら帰れなくなるので店を後にする。これで人生の縮図終了。3時間30分のショートライフ終了だ。
 
4    ジャズは本来自由なもの (2007/5/27)
Cheer!杉本篤彦
さる5月28日に、赤坂のB♭であった杉本篤彦バンドの新作発表記念ライブに行って、そして新作アルバムCheer!を聴きながら思ったことです。
   「ジャズは本来自由なもの」
35年ジャズを聴いてきて、はたしてどれだけ自由にジャズを聴いてきただろうか?自問自答してみた。否、けっこう勝手に枠をはめてきたようである。
特に若い頃は、ビバップしかジャズじゃない。それ以外、ジャズとは思わない。なんて若いクセに理屈こねてた自分がいた。そもそも音を楽しむための音楽が、苦しみにかわってきたりもする。それをMUSI苦という・・・冗談はさておき、杉本篤彦バンドのライブでの、杉本さんのMCに完全にノックアウトされた。
「ジャズ界に徒党を組む人がいるけど、僕は嫌いだ!」
「ジャズはこうじゃなきゃいけない、ああじゃなきゃいけない・・という人がいるが、僕は本来ジャズは自由なものだと思う」
目からうろこがポロポロ落ちました。素晴らしい曲を聴いて涙がポロポロ出ました。音楽の力は大きいです。
そういえば、30年近くサラリーマン生活をしておりますが、サラリーマンにも徒党を組みたがる人がいました。自分と違う価値観、マイノリティの存在をスポイルする輩もいました。そういう人たちに一番の薬は、杉本さんの音楽を聴いてもらうことじゃないかな。だってこの薬の効き目は間違いなしです。私が実証しましたから!!(^^)
 
5    好きな人はジャズが好き (2007/1/2)
書初め'2007
初対面でなんとなくこの人いい感じだなぁと思ったりする時がある。そんな時、「この方はジャズが好きかなぁ?」とすぐ考えてしまう癖がある。
 
しゃべるテンポが絶妙で、対話の間合いが小気味よくまるでジャズの達人のフォーバースのように気持ちがいい。そして起承転結、ブリッジがあり、そしてカデンツァがあり、エンディングのテンションも適度に効かせてくれる。なんというセンスだろう。この人は、ジャズが好きに違いない!と確信する時がある。
しかし初対面では、いきなり趣味の話までできない時があるので、仕事やら仕事周辺の話で攻めながら、適宜転調を重ねながら、インターネットの話なんかを織り交ぜながら、ジャズの話につなげたりする。成功した時はこれまた気持ちがいい。
また、しゃべるのが心地良い方は、メールのやりとりも心地よい方が多い。文章の長さや読みやすさなんかも、相手のことを考えた配慮が抜群だったりする。やはり共演者の気持ちを思いやるジャズコンボのメンバーのようなものである。
一方、そうじゃない人は、話が長く一方的で、文章もひたすら長く、結論がわかりずらく、「読みたければ読め」「I insist onーー」的で読み手のことを考えない方が多い。いったいどれだけスクロールさせる気なんだろうか?そういう方はやはりdislikeあるいはhateな部類となる。
 
先日、気持ちのよい青年に出くわした。案の定、ジャズが好きだったので、とっても嬉しくなった。「やっぱりそうだろうそうだろう!あなたはJAZZYだもの。ええ感じですわ・・」と急に頭の中が関西弁になったりもする。
 
2007年の年頭にあたり、書初めをしました。
 
1)人生ジャズ航路
2)人生ライブ大成功♪
3)夢・インプロビゼーション
4)夢と創造心の一年
6    ジャズが好きな人が好き (2006/11/11)
ジャズが好きな人が好き LOVE  YOU  MADLY!!
ここにきて、JAZZ ESSAYもネタがつきたかのように、筆致が重たくなっている。決してジャズが嫌いになったわけではない。また、ジャズを聴いて感じることがなかったわけではない。ジャズを聴いて昔のことを思い出すことはしょっちゅうある。エピソードメモリーというやつだろうか。どうやらジャズの面白さの秘密は、ジャズが人と結びつくからだろうか。
 
そういえば、半世紀近い人生を振り返ってみると、その7割近く、ジャズ浸りの生活を送っている。このまま長生きができるならば、その割合は徐々に増えていくことになる。
私の生きてきた航跡を振り返ってみると、ジャズが見え隠れする。そして、ジャズが好きな人々も見え隠れする。たとえばグレートミュージシャンと紐づいている。
次のような感じだ。
 
・バリーハリス     → Sさん
・マイルスデイビス  → H君、C君
・ナベサダ       → M君
・ウェスモンゴメリー  → Tさん
・エルビンジョーンズ → I君、Sさん、Nさん
・チャーリーパーカー → 名前がでてこない??先輩 ・・・Y先輩
・ファラオサンダース → Iさん
・ケニーバレル     → Iさん
・マッコイタイナー   → S君
・山本剛          → Sさん、Yさん
・浅川マキ        → Mさん
・ソニーロリンズ    → Fさん
・マーカスミラー    → Wさん
・増原巌         → Mさん
・辛島文雄       → Yさん
・益田幹夫       → Sさん、Tさん
・稲葉国光       → I君
・マイケルフランクス  → Jちゃん
・エロールガーナー  → Yさん
 
さて、我こそはと思う方はどしどしメールください。
正解者のかたには・・・・。
 
Falling In Love With Jazz & Jazzy Person ♪
 
 
7    なぜ山本剛のジャズピアノは心地よいのか? (2006/5/13)
TSUYOSHI YAMAMOTO LIVE AT BODY & SOUL
雨の週末、土曜日の午後、雨のため予定していた庭の作業が出来なくなった。家族は全員外出、さて何をするか?
雨の庭をガラス越しに眺めながらソファに座り、コーヒーを飲みながら、ジャズを聴きながら晴耕雨読というのが一つのパターンである。それも家族が全員いない日なので、大音量でジャズを聴ける。悲しいかな家族全員、DNAが違うようで、ジャズに理解がない。それはともかくとして、今日は大音量で、山本剛のピアノをたっぷりと聴いた。聴きながら、「なぜ山本剛のジャズピアノはいいのか?」30年聴いてきたのだが、BODY & SOULでの95年6月のライブ録音を聴きながらあらためて考えてみた。
<アルバム>
・パーソネル
  山本剛(P)
  岡田勉(B)
  ウィナードハーパー(DS)
・曲目
  @DOLPHIN DANCE -CLEOPATRA'S DREAM (HERBIE HANCOCK,BUD POWELL) (10:53)
  AON A MISTY NIGHT (TADD DAMERON) (7:44)
  BMISTY (EROLL GARNER) (4:13)
  CSOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE (SIGMUND ROMBERG) (9:39)
  DLAURA (DAVID RASKIN) (6:02)
  ELAST TANGO IN PARIS (GATO BARBIERI) (7:35)
  FBODY & SOUL BLUES (TSUYOSHI YAMAMOTO) (7:34)
  GP.S.BODY & SOUL (TSUYOSHI YAMAMOTO) (7:49)
 
<心地よい主な理由>
  1)選曲のよさ・・・1曲目のつかみ曲でグイと皆をひきつける。バドパウエルの名曲クレオパトラの夢
    を選んでいるあたり、心憎い。
  2)順番のよさ・・・3曲目にバラードのMISTYでしっとり、後半のブルースの盛り上がり。
  3)長さが適当である・・・7:30程度が多く、聴くものを飽きさせない。
  4)テンポが良い・・・早すぎず遅すぎずピタッときてるかんじ。天性のタイムキープ力を感じます。
  5)テーマの解釈がおしゃれ。いつもちょっと違います。このアルバムのソフトリーかっこいいです。
  6)アドリブ感・・・流れの中でのひらめきの見事さ。一瞬のひらめきを貪欲に音にする。
  7)メロディアス・・・フレーズがどれもこれもメロディアスで美しい。周波数帯がとても癒し系である。
  8)ヴォイシングの良さ・・・コードが実にきれい。時々マイナーのところをメジャーにしちゃったり、
    発想がユニーク。
 
といくつか理由が挙げられる。なにしろ何回もライブを聴いた中で、もっとも聴いたのは、MISTYだ。エロールガーナーの名曲のバラードであるが、何度聴いてもいい。本当に好きな曲なんだと思われるが、結局のところ、歌が好きなんではないだろうか?いつもインスツルーメンタルなMISTYを聴いているが、山本剛のハートから歌が聴こえてくるようでならない。
それから、必ずライブで演奏するのがブルースであるが、ブルースという12小節の繰り返しが相当好きなようである。12小節区切りで、山本ワールドがどんどん展開していく。途中、たまに閃きが止まったかのような時は、フォーバースしながらベースやドラムにインスパイアーされて、また創造の虫が騒ぎ出す。ここにもやはり、心の歌が聴こえる。気がついたら、鳥肌がたっていた。
 
 
 
 
8    ジャズ性善説〜ジャズ好きに悪人なし (2005/12/23)
ジャズ好きに悪人なし
世間を騒がせているマンション構造計算偽装事件では、ディベロッパーの社長、下請け建設会社の支店長、コンサル会社の社長、構造計算建築士、検査会社社長などなど、色々な顔が国会の証人喚問に登場した。テレビの画面を見ながらふと考えがよぎった。あの方々は、きっとジャズが好きではないだろうな・・・と。
 
「ジャズに名曲なし」、あるのは名演のみであるという有名な言葉がある。かのデュークエリントンも、たしかそのようなことを言っていた。「ジャズ好きに悪人なし」という格言は聞いたことがないが、そのような気がするのは私だけだろうか。仮にそうだとすれば、ジャズがもっと広まれば、構造計算偽装事件はおきていないのかもしれないなぁとも考えられる。
 
仮説「ジャズ好きに悪人なし」の理由をいくつか考えてみた。
 
@理由その1:交友関係の相関性
自分の交友関係でみると、ジャズが好きな友人知人は、善人ばかりである。自分はというと、善人を通り越して、いつも人に騙されてばかりいる、ただのお人よしだという説も聞かれる(^^;;。
ところが、である。20数年サラリーマンをしていて、仕事を通じて知りえた方々の中に残念ながらジャズ好きという人はほとんどお目にかかれなかったが、「この人は人が悪いな・・・」と思った方々は、ジャズとは無縁の方々ばかりであった。それも相当数のサンプルがあった。
 
A理由その2:創造性
ジャズ好きの特徴として、創造性にこだわる人が多い。同じ曲でも同じ演奏はない。チャーリーパーカー、コルトレーン、マイルス、ビルエバンス等ジャズグレイトたちの別テイクを聴けばわかる。
犯罪者、悪人というのは同じことを繰り返す癖がある。ジャズ好きの行動パターンと全く逆である。
 
B理由その3:お客様第一
構造計算偽装事件というのは、お客様である居住者のことを全く考えに入れていない。一方ジャズ演奏家はつねに聴くものの立場で考えるのが特徴である。それが証拠に、たいていのジャズミュージシャンは、ライブにおいてはリクエストを受け入れる。
 
いかがでしょうか。ご賛同いただきました方々は早くジャズを好きになりましょう!
9    ケリー節考〜ケリー死すともケリー節は死せず (2005/10/22)
ケリー節
葬式で流したい曲(案)にもウィントンケリーは入れたが、もっと入れたいなぁと思う、まだまだ元気な秋の日の週末、久々のJAZZ ESSAYです。
 
ジャズピアニストの中でも最も聴いたのが、ウィントンケリーである。高校生の頃、なぜかもっとも響いてきた。それは何故だったのか?恐らくその正体がいわゆる「ケリー節」といわれるところの、彼独特の節回し、調子の良さだと思う。久しぶりに今日、WYNTON KELLY!を、聴いてみた。それも、家族が全員出かけた土曜日なので、大音響で聴いたのだが、やはり「ケリー節」のオンパレードで、あいかわらず体中が心地よくなるのを覚える。なんともいえないウキウキ感である。
30年以上聴き続けているアルバムであるが、一向に飽きないのが不思議である。マイルスのグループの時のピアノトリオであるので、絶頂期であり、のりに乗っている旬の時の「ケリー節」ということもあるのだろうが、どこで切っても、いっぱつでウィントンケリーとわかるのは、「ケリー節」といわれる彼の個性がすべての音、フレーズ、間、和声感などに溢れているからだろう。
この「ケリー節」であるが、なかなか言葉では説明しずらい。聴けばすぐにわかるのだが、シングルトーンの上がり下がりにちょっとした味付けをするだけで、音がフレーズになり、そしてジャズになっていく。ウィントンケリーという男の手にかかれば、それが「節」になるのである。偉大なる「ウィントンケリー節」である。たとえば枯葉のAm7♭5−D7♭9のところのBDC#DC#BCAのところは象徴的である。
その偉大さの証左として、「○×節」といわれるのは、ジャズピアニストの中では彼以外には知らない。エバンス節とか、パウエル節、モンク節、ホーズ節、ピーターソン節、ウォルトン節、コリア節、ハンコック節、ジャレット節、なぞと聞いたことがない。
一生聴かしてもらうことになりそうである。ケリー死すとも「ケリー節」は死せずである。
10    自分の葬式で流したい曲(案) (2005/5/22)
GOOD BYE
先日、リチャードギア主演のリメイク版SHALL WE DANCE?を見た時のこと。リチャードギアは冴えない遺書専門の弁護士役である。アメリカではきっと冴えない人の一種なのかもしれないが、まてよ、そういえば葬式の時に流す曲は何にするかな?と、ふと脳裏をよぎりました。ところが、これがなかなか迷う迷う。とりあえず、案というところでまとめてみました。(もちろん葬式をしてもらえることが前提です)
まず、ゴードンジェンキンスの名曲、GOOD BYEを色々なプレイヤーの演奏を流しながら、今生の別れを惜しむところからスタートします。
 
@GOOD BYEづくしメドレー
 1)ベニーグッドマン(CL)
 2)フィニアスニューボーンJR(P)
 3)ウィントンケリー(P)
 4)アートペッパー(AS)
 5)キャノンボールアダレー(AS)
 6)ビルエバンス(P)
 7)ボビーティモンズ(P)
 8)アーマッドジャマル(P)
 9)板橋文夫(P)・・オリジナルもの
 
次に、好きな演奏30曲、好きなアルバムなどをかけて、故人を偲んでもらいます。
 
AFAVORITE TUNE30曲
 
 1)SOMETIME I'M HAPPY(オスカーピーターソン、MELLOW MOODより)
 2)ALL THE THINGS YOU ARE(バリーハリス、Breakin it upより)
 3)IF I SHOULD LOOSE YOU(キースジャレット、STANDARDS2より)
 4)ROUND MIDNIGHT(セロニアスモンク、THELONIOUS HIMESELFより)
 5)WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE(山本剛、LIFEより)
 6)K.C.BLUES(渡辺貞夫、BIRD OF PARADISE with The Great Jazz Trioより)
 7)Now He sings Now he sobs(チックコリア、同タイトルアルバムより)
 8)DON'T EXPLAIN(ビリーホリデー、AT THE PLAZA with Duke Ellingtonより)
 9)THE DAYS OF WINE AND ROSES(オスカーピーターソン、WE GET REQUESTより)
10)MY ONE AND ONLY LOVE(ジョンコルトレーン&ジョニーハートマンより)
11)WHERE DO WE GO FROM HERE(オスカーピーターソン、GREAT CONNECTIONより)
12)コートにすみれを(ジョンコルトレーン、COLTRANEより)
13)OLD FOLKS(ケニードーハム、QUIET KENNYより)
14)WHAT IS THIS THINGS CALLED LOVE(ビルエバンス、PORTRAIT IN JAZZより)
15)枯葉(ジムホール&ロンカーター、ALONE TOGETHERより)
16)YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO(ヘレンメリルWITHクリフォードブラウンより)
17)DAT DARE(ボビーティモンズ、THIS HEREより)
18)YOU ARE THE EVERYTHING(マイルスデイビス、RELAXINより)
19)Dナチュラルブルース(ウェスモンゴメリー、INCREDIBLE JAZZ GUITARより)
20)YESTERDAYS(ポールチェンバーズ、BASS ON TOPより)
21)EASY LIVING(ダイナワシントン、QUEEN&QUINCYより)
22)ラビアンローズ(ルイアームストロング)
23)LEFT ALONE(マルウォルドロン、同タイトルアルバムより)
24)WRAP YOUR TROUBLES IN DREAM(細川綾子、MR WONDERFULより)
25)草原の輝き(古野光昭、FULL NOTESより)
26)BLUES FOR AMOS(渡辺貞夫WITH CEDAR WALTON TRIO AT PIT INN)
27)NOW'S THE TIME(チャーリーパーカー)
28)EYE OF HURRICANE(V.S.O.P田園コロシアムライブより)
29)PLEASE SEND ME SOMEONE TO LOVE(フィニアスニューボーンJR、同タイトルアルバムより)
30)MORITAT(ソニーロリンズ、SAXOPHONE COLOSSUSより)
 
 ※もっともっとあります。30曲を選ぶのはなかなか難しいです。まだまだ要検討ですね。
 
BFAVORITE ALBUM
 1)GREAT CONNECTION(オスカーピーターソントリオ:オスカーピーターソン(P)、N.H.O.ペデルセン(B)、ルイスヘイズ(DS))
 2)MELLOW MOOD(オスカーピーターソントリオ:オスカーピーターソン(P)、サムジョーンズ(B)、ボブダーハム(DS))
 3)BALLADS(ジョンコルトレーン(TS)、マッコイタイナー(P)、ジミーギャリソン(B)、エルビンジョーンズ(DS))
 4)SAXOPHONE COLOSSUS(ソニーロリンズ(TS)、トミーフラナガン(P)、ダグワトキンス(B)、マックスローチ(DS))
 5)LIFE(山本剛トリオ:山本剛(P)、サムジョーンズ(B)、ビリーヒギンズ(DS))
 6)ALONE TOGETHER(ジムホール(G)&ロンカーター(B))
 
C自分の演奏&メッセージ
  これは、ほんの少々です(^^;;
 
とりあえず、現時点での(案)ということでまとめてみました。今後検討を加え、夏頃までにはオリジナルCDを作成しようかなと思っております。20XY年○月△日にご参集いただいた方々には、オリジナルCDをお持ち帰りいただくことを予定しております。(^^)
 
11    ベーシストの手の爪(ポールVSロン)(2005/4/17)
ベーシストの手の指と爪
8ケ月ぶりに書くジャズエッセイ。自分の中ではついこの前の感覚だが、もうそれだけの時間がたつのかと、驚く今日この頃。季節はすっかり春になった。3月に買ったネットワークウォークマンに、週末せっせとCDをコピーする作業が続いている。200枚ほどは入れただろうか。
やっとこさ、ポールチェンバースの名盤、BASS ON TOPまで来た。
さて、ジャケットのチェンバースの手の写真をまじまじと見ながら、立派な手、長い指、力強い爪の持ち主であることを再確認した。
一方の雄、ロン・カーターはどうだろうかと、気になり始めた。
彼の場合は、何度かライブで身近に見たこともあるが、手の大きさは、まるでグローブのような大きさは、ポールよりも少し大きめである。ただ、太さという点では、ポールのほうが上だろう。ロンの場合、スマートな分、手や指も細い。だが、長い。これが人間の手かと思うほど、である。爪は、長い指とは対照的に、10頭身程度であろうか、本当に小さい爪である。両者の違いは、どうも爪の大きさにあるような気がする。
ひいては、それが音の差にもつながっているのではないだろうか。
オーソドックスで力強いベースのポール・チェンバース、独特のビブラートやねちっこい音を奏でるロン・カーター。その差は爪にあったのか!どうかはわかりませんが、対照的な巨人の爪が気になりました。
 
12    はやい・うまい・うつくしい個性派ピアニスト〜フィニアス・ニューボーンJRに捧ぐ(2004/8/1)
フィニアス TO AMAZON
フィニアスの存在を知ったのは高校一年の頃、ちょうどオスカーピーターソンを毎日のように聴いている頃だったと思う。ジャズを聴き始めた頃は、ピアニストの差をあまり感じられなかったが、聴くほどに、差を感じるようになってくる。ちょうどその差を感じ始めた頃に出会ったピアニストである。
その差がいわゆる”個性”ということだろうか。演奏を聴くとすぐに名前が浮かぶ人は、やはり強烈な”個性”を持っている。いろんな人の名前が浮かぶ場合は、器用だが”個性”が見えずらい。
フィニアスは、両手の動きのスピードはずば抜けたものがあるが、ただ器用なだけではない。両手ユニゾンで曲芸のような速さで弾く。そして、メロディーが美しいときている。いっぱつで、フィニアスとわかる。
素人にも、ただやみくもに鍵盤をさわっているのとは違うことがすぐわかる。一音一音をしっかりと選んでいる緻密さを感じる。恐らく常人とは脳みその構造が違うのだろうか。あれだけの速さを処理するのは、スーパーコンピューター並の頭脳を持っていたのだろうか。
個性派ピアニストといえば、セロニアスモンクがすぐに浮かぶが、同等の個性派として、私の中にいるのが、フィニアスである。
 
 
13    不況時代のジャズの楽しみ方・・・「おいらはローコストCDカワンボーイ作戦」(2004/3/13)
おいらはローコストCD買わんボーイ作戦
景気の良かった80年代前半の独身時代は、ぱっぱかぱっぱかと給料の多くをジャズコストにかけていた。収入に占めるジャズコストの割合を、アドリブ係数と呼ぶことにしよう。
このアドリブ係数は1980年代の独身時代は30%はくだらなかったはずだ。週1は六本木、銀座、新宿等のライブハウス通い、月1はホールでグレートなジャズマンのコンサート、レコードも5枚から10枚は購入、スウィングジャーナルは毎月購入してただろうか。
それが2000年代に入ると、家族はクインテット+DOGと、大幅に増え、エンゲル&エンジェル係数はうなぎ登り。アドリブ係数は低下の一途をたどっている。
経済評論家の年収300万円の時代を生き抜く本がベストセラーになっているような不況感漂うことも手伝ってか、いっこうにお小遣いは増えない。そんな中でも、ジャズに対する愛着や情熱は途絶えない。そんな私みたいな中年ジャズファンにおすすめなジャズの楽しみ方をご提案しよう。
ひとよんで「おいらはローコストCDカワンボーイ作戦」
〜月額費用内訳〜
@CD関連費用・・・1000円
   「CDは、みなさん、こうたらあきまへんでぇ、図書館で借りるに限りマスわ」
   ・CD図書館もの10枚コピー・・・1000円     
      図書館で借りてCDRにコピーする10枚/月
       借りる費用:ただ
       コピー費用:1,000円/10枚 (CDR費用)
AWEBラジオ・・・0円
   ・ブロードバンド費用はかかるものの、ここではただと仮定する
Bホームページ作成・・・600円
   ・スペース借り代  
Cジャズ喫茶費用・・・1500円
   ・スターバックス5ー6回ジャズ喫茶がわり
Dジャズライブ費用・・・3200円
   ・浅草JANOMEジャムセッション月1回(ブルーノート東京の1/4相当)
Eジャズ本費用・・・0円
   ・スウィングジャーナルは図書館で
しめて6300円也であるが、ジャズライフ充実感としては10倍ぐらいあること請け合い。提案するというより、私の現状の実態報告でございました、皆さん如何でしょうか?・・・でもたまにはCD買いたいなぁ・・・(^^;;
14    ジャズミュージシャンと起業家精神 (2003/11/23)
PFD
「確実性を必要とする人は、起業家には向かない。そのような人は、政治家、軍の将校、外国航路の船長など、いろいろなものに向かない。それらのものすべてに意思決定が必要である。意思決定の本質は不確実性にある」
・・ピータードラッカーの名著「イノベーションと起業家精神」の一節である。
 この本を初めて読んだのは今から15年程前になるだろうか、妙に惹かれるものがあった。今読み返してみると、その惹かれる理由が解ったような気がした。それがまさにこの一節に分かりやすく示されている。その頃はジャズとのつながりを考えることもなく通り過ぎたのだが、どう考えても、ジャズは不確実である。一小節一小節が意思決定の連続である。
 一流の政治家は不確実な闇を切り開き、そしてベルリンの壁も崩れた。一流の軍の将校はユリウス・カエサルのごとくルビコン川を渡る。一流の外国航路の船長は一瞬にして右か左かを判断しタイタニックのような惨事を咄嗟に防いだ人は数多くいるだろう。 
 一流のジャズミュージシャンは演奏の真っ最中に、次のフレーズはどうしたらよいのでしょうか?とリーダー(上司)に聞くことなどあり得ない。次のコードをCと決めていても突然F#m7に平気で変更する。もちろん一流の共演者(部下)は、「急に変更されたら困る」などとは決して言わない。「いやぁスリリングで気持ちよいテンションでした」ということはあっても。そう、まさに朝令暮改ではなく朝礼朝改、である。
 一流ジャズミュージシャン=創造的アドリブ瞬間芸=新構想意思決定=起業家=イノベーター=起業家精神という方程式である。
 
15    ジャズ的ビジネス論 (2003/9/7)
同じことやってちゃつまらないよ。 -MD
20数年リーサラしているが、仕事中にふと自分自身を見つめなおしてみると、いつも底流にジャズがあることに気づく。
ジャズを聴き始めたことに理由がないと同様、特に理由はない。自然に体の中に備わった何かが作用しているのだろうが、ほとんど無意識の世界だ。たとえば、
@会議・・・やはりシナリオのないジャムセッションのような展開になりすぐに転調したがる。のりがイイ場合は8バースや4バースを展開する。調子悪いと、時々バドパウエルのようにカデンツァで元に戻れなくなり、無理矢理エンディングになったりもする。
APDCA・・・いわゆるマネジメントサイクルというやつだ。私の頭の中では、P=テーマ、D=アドリブ1コーラス目、C=アドリブ2コーラス目、A=アドリブ最終コーラス目、そしてまたP=テーマに戻るようなものだ。それが12小節のメジャーブルースだったり、マイナーブルースだったり、32小節の歌物だったり、その違いはあるが。
B残業:練習不足がたたり、本番で上手く出来なくて、居残り練習するような感じだろうか。意味もなくやっていると、ワーキングハイになったりもするが、やはりメリハリのない演奏のようなものだ。
Cホーレンソー:報告・連絡・相談、などといって上司と部下のコミュニケーションをはかりましょう!などというやからが絶えない。ジャズの本番演奏中に、ごちゃごちゃ言ってられるかって。楽屋でしろってかんじだろうか。「ハートでコミュニケーションできない人たちとは、共演したくないね」などと思ったりする。
D口癖:この時はこの事をつい言ってしまう時がある。完全ワンパターンのU-Xのフレーズのようなものだろうか。老化現象の一種かもしれない。そんなときは、「もっとフレーズの引き出しふやさなきゃ」と思ったりもする。
E企画:いわゆる作曲のようなものである。いいメロディが浮かんだときに、すぐにメモらなきゃ忘れてしまう。メモしても、翌日になるとつまらなくなるのも似ている。やはり良い企画(曲)は時代を超えるパワーがある。
Fマンネリ:いつも循環コードばかりやっていると、誰でも飽きるものだ。時々はモンク並のテンションきかせたコードを入れなきゃつまりません。
G異動:サウンドにあきたら、メンバーチェンジが世の常。人と人の相性というのは、重要だ。ムード音楽派とハードバッパーではあわないし、ストレートアヘッドとアバンギャルドもやはり難しい。しかし、文明の衝突のような、瓢箪から駒もあったりする。
H改革派:めったりお目にかかれないのが、マイルスデイビス(MD)のような人々だ。ほとんどが50年代のマイルスであり、60年代のマイルスであり、70年代、80年代である。アンチMDは、なにしろ根回しやら事前打ち合わせが多かったりする。
I規則:なぜにネクタイをしなきゃならないのか。いつもMJQのようにバリッとしてなきゃ、落ち着かない人もいるのかもしれないが、金曜日ぐらい、MILES FRIDAYってのも気分が変わるものだ。
 
なんてことを仕事しながら思ったりする。ビジネスの前に、ジャズだ。
 
16    ザ・ピアニスト・・・オスカーピーターソンの魅力 (2003/5/3)
OSCAR PETERSON,THE GENIOUS
オスカー・ピーターソンの魅力は何といってもピアニストの誰もがうらやむテクニックであることは間違いがない。でもそれだけではないと思う。自分自身がどのような時に「いいな」と思ったのかを、そのピアノテクニック以外の点で見てみると、
 @いいアルバムが多い(ハズレがない)
 Aアルバムの音がいい(MPSとか)
 Bベーシストがいい(レイブラウン・サムジョーンズ・ペデルセンなど)
 C馴染みのスタンダードが多い
 D曲の組み合わせが多彩(アップテンポ、ミディアム、スローバラード、ボサノバ)
 Eアルバムの顔写真が親しみが持てる
などだろうか。
特に、Bだが、昔ベースをやっていた者としていえるのは、これだけのテクニックのピアニストのバックでベースを弾くというのは、相当に腕に自信がなけりゃ出来ないと思う。スゴイ者どおしの共演は、それぞれの力以上のものを生み出す効果もあるような気がする。いわゆる、シナジー効果というものだろうか。
近々ブルーノートでライブがあるようだが、大正14年生まれだから、80歳近い年齢だが、いまだ現役というのも凄い人だ。ただただ敬服しつつ、自分も頑張らなければという気にもさせてくれる、頼もしい人でもある。
 
17    セロニアス・モンクのつぶやき  (2003/1/3)
all monk's music
サラリーマン生活を20数年している中で様々な場面で頭の中をジャズが一瞬よぎることがある。比較的真面目な場面も多い。たとえば、重要会議の場。面白くない優等生発言が飛び交い眠くなった、そんな時心の中でよぎりやすい。
 フォーバースで「マイルスならどのように反応するかな」はたまた「ロリンズならどの様にブローするのだろうか」いつものフレーズじゃぁお客様に飽きられるし、自分自身つまらない。マイルス的にあのぎょろりとした目で共演者を威圧し得意のミュートでお前は嫌いだフレーズを連発するか、はたまた、ロリンズ的に橋の下蓄積多彩フレーズで圧倒するか。
 いやまてよ、「モンクを忘れちゃいけないな」あのユニークな男ならどう対処するか。趣味の違うマイルスや饒舌カリプソ男ロリンズとは訳が違う。ジャズ界のワンアンドオンリーならではの、「間」「緊張」「フレーズ」「和音」そして「全体解釈」が、モンクにはある。ここはモンク流テンションで一発お見舞いするか、はたまた超不協和音で煙に巻くかだ・・・。
 譜面だけに忠実な優等生諸兄はきっと大嫌いに違いないのが、セロニアスモンクだろうなと思いつつ、ふとあの世からモンクのつぶやきが届いた。「心配するな、俺は生まれ変わったとしてもサラリーマンにはならないから・・・」
 
18    即興演奏は人生そのもの  (2002/10/5)
LESTER YOUNG
中学生のときにたまたまクラシックではなく先にジャズに遭遇したからか、私の中で即興演奏イコール芸術であり、素晴らしいものであるという価値観が生まれた。何故かと言うと、瞬間的に自分の感じたままを表現することのスリルがたまらなく刺激的であるからだろう。その当時の感覚を振り返ってみると、クラシックに対しては「お堅い音楽」という印象しかない。決められた譜面どおりに忠実に音を出すだけ、という見方が強かった。一方のジャズはというと、譜面は最初のテーマ部だけであり、大半はインプロビゼーション、つまり即興演奏でなりたっている。こんな素晴らしい音楽が他にあるだろうか、いやありはしない・・・・。そんな風な感じで、この30年間ジャズを聴いてきたと思う。
 ではその即興演奏とは、誰でも適当にできるものかというと、全くそうではない。わたしの中に、ジャズはクラシックより芸術的に高度であるという見方がある。それは、おそらく即興演奏の有無だと思われる。たとえば、クラシックなら楽譜どおり、原曲メロディを大切にするが、ジャズでは原曲メロディはテーマだけであり、大半はその曲のハーモニーを基本にした即興演奏で構成される。つまり、ハーモニーという知的かつ感覚的センスを要求されるものが主体となるジャズのほうがクラシックより高度であるという独断的理屈である。
 今から20年ほど前だろうか、ジャズピアニストの山本剛さんに「即興演奏はどのようにやるのか?」という素朴な質問をぶつけてみた。すぐさま、彼は「ここだよ、ここ」と、手を胸に二度三度あてて答えてくれた。いかにもプロ中のプロの彼らしい答えだと感じた。ある面では確かに正しいのだろうが、それがすべてではないことはすぐに私にもわかった。当然のことながら、ハートで演奏できる技術を持っていなければならないからだ。特に即興演奏の場合「歌わなきゃけいない」ので、感じたフレーズを音に出す技術が要求される。さらに、多くの先達から学んだことや、数々の音楽理論、日々の練習で積み重ねたU-Xフレーズの数々や、様々なスケールの引き出しも必要であろう。一流ジャズ演奏家の多くは、人知れずそれらを体得する訓練を行っているはずである。それから今までにはない、自ら自らの才能を感じる新鮮な何かも必要であろう。さらに、アンサンブルである以上は共演者との協調性、聴く力、感じる力も必要だし、それらの多くのことを、一瞬の即興演奏に込める時に「ここだよ、ここ」〜ハートが大切になるのだろう。テクニックだけでハートのない即興演奏からは何も伝わらないのは、画竜点睛を欠くのと同じことと言えるだろう。
 素晴らしい即興演奏とは、ある意味では、その演奏者の人生そのもの〜山あり谷あり、悲喜こもごも、順風満帆かと思いきや青天の霹靂あり〜ではないだろうか。一瞬に彩られる即興演奏の中に、その人の人生が凝縮されているといっても過言ではないだろう。聴くほどに味が出たり、同じプレーヤーでも若い頃と円熟した頃の演奏では何か一味違うところがあるのは、人生の差なのかもしれない。巨匠レスターヤングのテナーを聴くと、レスターの人生そのものが伝わってくるような気がする。テナーの巨人ソニーロリンズも同様に、即興演奏の連続であるが、それが即興演奏ではなく「曲」に聴こえてくるところが、彼等の非凡さであろう。まるで歩けばそこに道が拓けるかのようだ。即興演奏=ジャズは素晴らしいものであることは、中学生から40代の今に至るまで飽きないことからも実証できると思う。この息の長さは、即興演奏が時代時代、人により異なり、さらに進化を遂げているものだからだろうか。
 一方、かつては追いやっていたクラシックだが、最近時々クラシックを聴きながら思うことだが、クラシックとて、その決められた中で、最大限に「即興演奏」することが、良し悪しの決め手になるのではという、ある種ジャズと通じるものを感じる今日この頃でもある。
19    神様MILESの人間宣言  (2002/8/25)
MILES DAIVIS
何がすごいかって、いまだに、彼のアルバムは全部聴いていない。たしか、最初に聞いたのは今から約30年前、中3の時に友人の家で聴いた、MILES IN THE SKYというアルバムだ。ポップなアルバムデザインで、ドラムスが今風で(当時の)新しいサウンドを強く感じた覚えがある。
 ほどなく、40年代後半から60年代前半にかけてのアルバムをむさぼるように聴き始めたところ、この男が、時代時代でスタイルを変化させていることに気づいた。この変化っていったいなんだろう?なにか次の時代を感じさせるものがあるような気もするし、反体制的なアバンギャルド風にも感じるが、ただの異端でなく、異能であることは私にもすぐにわかった。フランス映画の死刑台のエレベーターで聴かせたあの鬼気迫るアップテンポのアドリブもマイルスの新たな一側面だった。
 一気に80年代に入ってからか、アガルタの凱歌や、デコイなど、ジャズという範疇では語れない領域に入っていく。
 一方、私の方は、新しいマイルスにも注視しつつ、50年代や60年代前半のマイルスを反復して聴く。
 都内の某ジャズクラブのこけら落としに来たマイルスを生で聴く機会を初めて得る。 あれは確か今から15年ほど前だったろうか。キーボードが日本人のケイ赤城だった。彼はすごく上手なキーボード奏者だったが、休憩の時トイレで隣同士になったので、親近感がいまだに残っている。そして、アルトがケニーギャレット。 我々の前で聴いているのは、ライブハウスBODY&SOULの関京子ママと天才ドラマー故日野元彦さんだったのでそれも印象に残っている。ライブの時間はあっという間に過ぎ去った。その空間にいることすら不思議に思えてくる自分があった。
 終わってから、友人H氏と外で、マイルスが出てくるのを待っていた。やおら出てきたマイルスは、後光が差すわ、オーラは出ているわで、私は完全に硬直状態となり身動きがとれなくなったが、私の友人H氏は勇気を振り絞ってマイルスに近づき、スーツの上着を脱ぎ去り、マイルスに背中を向けて、その白いワイシャツの背中に、サインを求めた。そのH氏の勇姿はいまだに目に焼き付いている。テンション(緊張)がそこいらじゅうに走り、周囲にいた人々はおそらく全員息を止めたように見えた。一瞬の間をおき、白いジャケットと白いパンツに身を包んだマイルスはにこりともしないが、快くサインし、さらにイラストまで描いてくれるという、気さくさを見せてくれた。一部始終をかたわらで見ていた私は、終戦直後の昭和天皇の巡幸を見る一市民のような感じだったかもしれない。H氏の札幌の自宅には額に入ったワイシャツが今も飾ってあるようだ。オークションにかければ相当の値が付く(?)だろうが、さて、マイルス大好き人間の彼はそうはしないだろうか。その後少ししてからマイルスの訃報を聞いた。
 ともかく、最後に、神様マイルスと接することが出来たことは、一生の思い出となった。  引き続き、一生かかってマイルスのアルバムを全部聴くことが、楽しみだ。
20    キースジャレットとスタンダードジャズ (2002/7/20)
Keith Jarrett/BYE BYE BLACKBIRD
キースジャレットといえば、かの有名なケルンコンサートでブレイクしたのが75年。それから10年後ぐらいから、スタンダードジャズアルバムを次々にリリースしているが、どれもすばらしい演奏で恐れ入る。
この人ほどジャズファンにとって頼もしいジャズピアニストは少ない。なんせ、クラシックやらせたら、そのへんのクラシックピアニスト真っ青なほど、その道でも十分食べれそうなテクニックを持っている。「どうだ、クラシックファンのみんな、ジャズは凄いだろう・・・」しかし、ライブやると、あのくねくねお尻と唸り声で、正当クラシックファンからお目玉くらいそうなので、やっぱりジャズピアニストか。頼もしいもうひとつは、あのケルンコンサートで見せた、モーツアルトばり(?)のクラシック的オール即興メロディの凄さと、スタンダードアルバムの循環コードでみせる超ハイテクバップフレーズの数々が同じキースジャレットであることだ。この人の指には何かが宿っているような気がするのは私だけだろうか。きっと体で感じたとおり指が動くのだろう。
このアルバムのバイバイブラックバードの出だしのアドリブソロは、誰もがそのように弾きそうなフレーズなので、一回聞いたら忘れられない、すぐに口ずさめるのも、キースジャレットの凄さのあらわれではないだろうか。すべて彼の歩くところ道となるかのように、すべてのアドリブが曲となるようなものか。彼の今はスタンダードジャズだが100年後にはクラシックなのではないだろうか。
 
21    巨匠逝く・・・ありがとう、レイブラウン(2002/7/4)
ありがとうレイブラウン
今朝の通勤電車の中で日経新聞を読んでいた。いつものとおり1面から順番に最後の社会面に目をとおした瞬間、レイブラウンの訃報記事が目に入ってきた。「うそだろう!」と、心の中で叫んだ。その次に出たのは「ありがとうレイブラウン」だ。30年間、レイはわたしのアイドルであり続けたことへの感謝の気持ちでいっぱいになった。そして自然と目がしらが熱くなった。こんなに早く、このようなことになるとは思いもしていなかった。ついこの前、ここにも書いたばかりだっただけに、驚きを禁じ得ない。ただただ、冥福を祈りたい。
きっと、ジャズベースを志した人なら、全員がレイブラウンのウォーキングベースをコピーして勉強したのではないだろうか。偉大なるベーシスト、音楽家は亡くなったが、分身のようなすばらしいベーシストを数多く誕生させたはずだし、その膨大な数のアルバムは、ジャズ史に燦然と輝く、偉業である。40年代から60年近く、ジャズを築き、ジャズベーシストの確固たる地位を築いた功績は計り知れない。もう1人の巨匠ロンカーターにしても、レイブラウンの存在なしには語れないと思う。また、わたしの大好きなピアニスト、山本剛(ヤマちゃん)と23年ぐらい前だろうか、日本でアルバムを作っているが、レイブラウンは、ヤマちゃんをえらく気に入って、そのアルバムでヤマちゃんにブルースをプレゼントしている。それから 以前、青山のジャズクラブで、ジーンハリストリオのベーシストとして来たときに生演奏に接したが、その時の笑顔が忘れられない。そして、その美しい指づかい、音色。
今夜は、WE GET REQUESTSを聴きながら冥福を祈ることにしたい。
とにかく60年のジャズの旅、お疲れでしょう。安らかにお眠り下さい。   合掌
22    サラ・ボーンに見るかっこいいジャズのありよう(2002/06/30)
サラ・ボーン
ジャズボーカルといえば、サラ・ボーン。とすぐに出るようになったのが、高校時代にSWINGIN EASYを聴いてからだ。ピアノトリオをバックに歌うサラ・ボーンは、歌手というより「声」という楽器を駆使する、インプロバイザーとしてのすごさを感じさせてくれる。数オクターブの広い音域をあますことなく使う。これは楽器でやるには大変なテクニックがいるところだが、思いのままに声を出せるサラのボーカルにかかっては、チャーリー・パーカーも真っ青な感じだ。
なによりもかっこいいのは、一曲目のシュリアバップのスキャット。バップフレーズの連発。それから、バックの紹介。ベース、「クレイジー ジョーベンジャミン」ドラムス「ロイ(どこどこどこ)ヘインズ」 なんといてもこのロイヘインズの紹介が、かっこいいんです。 「ジャズってかっこいいんだ・・」とつくづく思ったものでした。
23    I REMEMBER CLIFFORD・・・我が青春のブラウニー(2002/06/15)
BROWNY
さる6月5日に、ロンカーターのライブをブルーノート東京で聴いた。スペシャルゲストがなんと、テナーのベニーゴルソン。72才とは思えない元気なブローを聴けて感動したのだが、同時に思いをはせたのが、クリフォードブラウンのことである。名曲アイリメンバークリフォードを作曲したのが、ベニーゴルソンだから。特に高校時代、ジャズをガンガン聴き始めた頃のアイドルがクリフォードブラウン〜ブラウニーだった。ベニーゴルソンの生を聴きながら、ブラウニーと共にハードバップ草創期に活躍した人を目の前にして、なにかえも言われぬ気持ちになった。なぜだか自分の青春時代がいっきによみがえるから面白い。30年前のことが昨日のことのように思えるほどだ。ベニーゴルソン〜ブラウニー〜我が青春時代〜人それぞれ、青春の音楽があると思うが、ひとつあげろと言われたら、まよわず、ブラウニーを挙げたくなる。マイルスデイビスとは違う、ストレートアヘッドな、ハードバップに終始し20代に交通事故でなくなった彼は、今、もし生きていたら、ブルーノートでどんな演奏したのだろう。ロンカーターのライブを聴きながら、数々の思いがよぎった。
24    おやじのような存在・・レイブラウン (2002/5/11)
RAY BROWNもっと頑張れ!
わが愛するベーシスト、ロン・カーターは叔父さんの世代だが、同じベーシストの巨人、レイ・ブラウンは親父の世代だ。1926年12月生まれだから、昭和2年なので、ウチの亡くなった親父より2つ年下なのでほぼ同世代。(元奥さんのエラフィッツジェラルドはお母さんのような人でした・・・) そういえば、いつも親父のような感覚で信頼していた。しっかりした音程、どっしりした深みのある音、ちょっと前のめりのノリ、どんな曲でも安心して聴けること、そしていつも自信に満ちた余裕の笑顔。そしてピアノトリオでみせる調和とピアニストに対する気配り。謙譲の美徳を旨とする昭和一桁世代な感じだ。このシアトルのスターバックスでのライブアルバムは、99年の録音なので、レイブラウンは73才。ピアノのジェフキーザーは息子のようなものだが、実によく調和している。まだまだ気持ちは青春しているのだろうか。この親父は100才になっても弾き続けるような、そんな凄みを感じる。このCDを聴くと「おやじ、もっと頑張れ!」といいたくなり、うれしくなる。
25    バードよりペッパー (2002/4/21)
GETTING  TOGETHER
高校時代、チャーリーパーカーのアルバムはあまり聴かなかった。もっとも聴いたアルトものといえば、アートペッパーのGETTING TOGETHERだ。その理由は、@リバーサイドの音がいい A大好きなウィントンケリーがピアノでノリノリ Bポールチェンバースのベースの弦のしなり音が実にいい Cジミーコブのシンバリングとスネアのオカズがかっこいい Dアートペッパーのフレーズがすてき E大好きな朝日のごとくさわやかにが入っている Fコンテカンドリのペットのバップフレーズが気に入ったGアルバムのペッパーの笑顔がいい・・・などだ。アートペッパーよりもバックの黒人リズムセクションが気に入って聴いてたんだと今更ながら思い返す。もちろんペッパーのアイデア溢れるバップフレーズの魅力も当然あったんだろうが。アートペッパーといえば、一回だけコンサートを聴いたときのこと。たしか79年頃だろうか、芝の郵便貯金ホール。そこそこ満足した終了後友人のアルトのTM氏等と駅に向かう途中、有名なジャズ評論家の故 野口久光さんが横にいて、気さくに、(最近調子が悪かったペッパーにしては)結構良かったよねぇと私に語りかけてたことがとても印象的だった。ほどなく、アートペッパーはこの世を去ったが、最後の力を振り絞った演奏だったのかもしれない。
26    アート・ファーマーの思い出 (2002/4/20)
ART FARMER
最初に聴いたアルバムは、高校時代、NHK−FM高知のローカルジャズ番組で聴いたアルバム”When Farmer Met Gryce" 甘いトランペットのサウンドはマイルスとも、ブラウニーとも、チェットベーカーとも違う。いっぱつ聴けばアートファーマーとわかる音色にひきつけられた。アルバムタイトルも妙に忘れられないタイトルだし、ジャケットデザインも、何があったかしらないが、久しぶりに再会したかのような二人の写真が印象的だ。以来、アートファーマーのアルバムは定期的に聴くコレクターズアイテムとなっている。一度だけライヴを聴いたことがある。89年、NYのスィートベイジル(今はない)で、ケニーバレルとのセッションを聴いた。トイレに行くときに至近距離ですれちがったが、思った以上に立派な体躯で厚い胸板でバリッとしたスーツに身を包み、いかにも心の優しそうな笑顔と、演奏中の鋭い目が印象的だった。何年か前に亡くなられたが、すばらしい音楽を残してくれた偉大なジャズ演奏家として私の中に生き続けている一人だ。
27    カーメン・マクレーの思い出 (2002/4/6)
カーメン・マクレー 試聴ページへ
あれは今から20年ぐらい前のこと。峰純子(vo)さんのライヴを、六本木のサテンドールに聴きに行ったときのこと。いい感じで、峰さんがのりにのっているときに、突如、空間の雰囲気が変わった。入り口のほうを見たら、あの、カーメン・マクレーが一人で入ってきたではないか。峰さんの目にちらっとはいったようで、急に彼女の顔が固くなった。とても緊張した顔つきにかわっていったのが手に取るようにわかった。カーメン・マクレーは、若い頃の美女という雰囲気ではなかったが、顔は小さいままだが、体は峰さん以上に立派で(失礼)、いかにも存在感があった。峰さんの気持ちが伝わってきたのか、私まで緊張してしまった。なにしろ大御所だ。峰さんには失礼だが、「格」が違うというのは、このことだろうか。わたしは、気さくに一曲歌ってくれないかなぁと願っていたが、一人タバコを吸いながら、峰さんの歌を聞きながら、お酒を飲んでいただけだった。その時、峰さんの額に汗が光っていたのが印象的だった。しかし、同じときに同じ空間にいただけでも、わたしにとっては十分だった。
28    ギターのようにベースを弾く男 (2002/3/15)
JAZZSTEPS.COMへ
ケニードリューといえば、ダーク・ビューティ。このアルバムは、ほんとによく聴きました。もちろん彼のピアノも、なんともいえず優しくて心地よいこともあるのだが、それよりも、ギターのごとくベースを弾きまくる男が入っていたからです。「こ、こいつは、なんだー。いったいどんな指してるんだー。どこのどいつだぁ・・・」 初めて聞いた時は、叫びたくなるような心境だった。何年かたって、83年に芝郵便貯金ホールで初めてライヴを聴き、楽屋でサインをもらい、握手をした、その手の柔らかいこと柔らかいこと。 名人になると、ベーシストの手も柔らかくなることが、そのときわかった。 ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセン。 どれか名前なのか苗字なのかよくわからないが、この男、ちゃんと指は5本だった。右手は4本の指を駆使して、目にも見えない速さで弾きまくる。 ある人によると、コルトレーンの超アップテンポのアドリブフレーズでも、簡単にベースで弾いてしまうらしい。 デンマークが生んだ神童、天才。なんせ、16歳で地元に来た、バドパウエルと共演したそうだ。それを聞いたのは、高校の頃、よく聴いていた、大橋巨泉のラジオのジャズ番組だ。 (なんでこんなこと忘れないのか、今日あったこと忘れることあるのに・・) そのペデルセンだが、右手の指の早いこともさることながら、左手をきっちり音程も狂わず一発で押さえていくあの神業。けっしてロン・カーター様のように、スライドしまくったりしない、アメリカの黒人ベーシストとはちょと違う。 時々、無償に聴きたくなるベーシストだ。    
29    RELAXIN'・・・マイルスの口笛 (2002/2/26)
RELAXIN'
マイルスの50年代のアルバムで好きな一枚といえば、リラクシンだ。マイルスのミュートが堪能できることと、バックのリズムセクションが最高。ピアノがレッド・ガーランド、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがフィリージョー・ジョーンズ。この時代の最強の3人だ。 また、とても面白いのが、録音のときのマイルスとレッドガーランドのやりとりがはいっていてなんとも興味深い。YOU ARE THE EVERYTHINGというバラードのイントロを、ガーランドがシングルトーンでメロディアスに奏でて、かっこいい〜と思いきや、マイルスが「フュー」と口笛を吹いて制する。そしてあのダミ声で「ブロックコード・・・」 別人のようにガーランドがブロックコードによる、まるで怒りに満ちたようなイントロがはじまる。まるで、あのクリスマスセッションのマイルスとモンクのバトルのような感じを受けたのは私だけだろうか。このテンションが、まさにジャズなのか。プレイとプレイの合間の人間同士のやりとりを想像するのも、このアルバムを聴く楽しみだ。
30    ジャズ思春期・・「ピーターソン」じゃなくて「モンク」 (2002/2/17)
OSCAR PETERSON
オスカー・ピーターソンを初めて聞いた時に、なんてすごいテクニックのピアニストだろうと思った。高校時代、自宅では何枚もレコードを買っては、大きなボリュームでしょっちゅう聴いていた。もっとも聴いた一枚がmellow moodだ。この中のニカの夢とグリーンドルフィンストリートが特に好きだった。バックのサムジョーンズのベースが素晴らしいことも気に入った理由のひとつだった。 しかし一歩外に出て、友人とジャズ喫茶に行くと、「ただテクニックのすごいピーターソンより、やっぱりモンクはいいねぇ・・・」という自分がいた。モンクがいいのかわるいのか、あまり感じられないのにもかかわらず、だ。なぜだか、好きなものを好きと言えない、自分である。ピーターソンを正直に好きといえば、自分のジャズに対するフィーリングを友人から馬鹿にされる、あるいは、安く見られるとでも思ったのであろうか。なにか恥ずかしさがあった。偉大なるピーターソンには失礼な話しかもしれないが、ジャズのもつ、希少性なり、即興性という価値観が、ピーターソンというものを、ポピュラーな位置づけにし遠ざけ、モンクを近いものとしようとしたのだろうか。まさに思春期のようなものかもしれない。
31    モーニン・・・わたしのなかのナツメロ (2002/2/10)
BOBBY TIMMONS
テレビではソルトレイク冬季オリンピックがはじまったところだ。その開会式を見ていると、ジャン・クロード・キリーが出ていてとても懐かしかった。わたしのなかでは、「スキーといえばキリー」だ・・・とか思いつつ、ジャズの曲でいえば・・・♪「チャッチャ チャチャチャラ チャァーラ、ディーッア!」 そう、「モーニン」です。 最初に聴いたのは、アートブレイーキーとジャズメッセンジャーズのレコードだったような記憶だが、やっぱり、この作曲者のピアニスト、ボビーティモンズのアルバムのモーニンが元祖。このなんともいえず記憶に残るテーマは、一回口ずさむと、一日中、体の中をかけまわることがよくある。 「ファッファ ロロファド メファ。スーロ。ファファロスー シスロファ・・・」 ロはラの♭、メはミの♭、スはシの♭。ちなみに、これは2歳からピアノを弾いている友人のピアニストOS君が考えた譜の読みかた、これがなかなか便利なんです(^^)。ドから半音ずつあがるとド・ディ・レ・メ・ミ・ファ・フィ・ソ・ロ・ラ・ス・シ・ド。  そうそう、モーニンのことですが、いわゆるファンキーと言われる範疇が、最近みょうにナツメロなんですよねぇ、聴くと一気に30年前の少年に戻るような気がするんです、なぜなんでしょう。(^^;;
32    バラードといえばJOHN COLTRANE AND JOHNNY HARTMAN (2002/2/2)
JOHNNY HARTMAN
ジョンコルトレーンという人の魅力は、なんといってもバラードと、ずっと思っております。バラード演奏でこそ、この人の本音である、「美しいものが好き」という感じがつたわってくる。バラード演奏というとなんといっても有名なのが「バラード」。このアルバムも素晴らしい。また、「コルトレーン」の中の「コートにすみれを」も、涙もの。しかし、わたしがもっとも聴いたバラードといえば、男性ボーカルのジョニーハートマンとの共演アルバムだ。夜、疲れて、軽く酒でも飲みながら、すぐに手が出るベストアルバムといっても過言ではない。コルトレーンのむせび泣くテナーとハートマンのしぶいソフトでけだるい低音がピターッとあっている。特に体が疲れたときに、とても心地よい。アルファー波、βエンドルフィンがバンバンに出ること請け合い。できれば、2回ぐらい続けて聴くと効果絶大気分最高。金曜か土曜の深夜、明日はお休みという日に聴くのがなんといっても一番だ。
33    「アスペクト・イン・ジャズ」とFMエアチェックの日々・・・17歳の頃 (2002/1/24)
GERRY MULLIGAN
高校の頃は、お金もなく、レコードもめったに買えないので、電気屋さんでTVアンテナを買ってきて屋根につけ、FM大阪を聴けるようにしました。大阪の電波を高知で受け取ろうとすると、電波状況が悪いときは雑音がはいるが、夜は比較的良好でステレオで聴けました。番組はFMレコパルでチェックし、ジャズ番組は赤色だったので、それを切り取って、エアチェックしたら、カセットケースにそのまま入れる。なかでも、毎週火曜の夜にかかさず聴いたのが、油井正一さんの「アスペクト・イン・ジャズ」。ジェリーマリガンのバリトンサックスがかなでる、夜のしじまにピッタリなテーマ曲。ショパンのプレリュードIN Eマイナーをボサノバ調に奏でるこの曲がはじまると、ラジオの前でパブロフ状態。 なにしろ油井さんというと、アメリカでジャズが生まれるところを目の当たりにしたという、ジャズ評論家。 さまざまなジャズの巨人たちの特集もあり、ジャズマンやレコードの解説もわかりやすく、ジャズというものを深く知るきっかけになる番組でした。また、油井さんの声もいかにもジャズ評論家らしい、少々かすれたシブイ声で、田舎の高校生の憧れでした。 小遣いの大半はカセットテープに費やし、大半のジャズ番組はエアチェックしたため、あっという間に数百本のテープがたまり、今もすべて後生大事に手元にあります。久しぶりに一本とりだして聴いてみる。75年1月21日放送の「マッコイ・タイナーストーリー・3」 いま聴くとすんなり入ってくるが、17歳のわたしはこれを聴いてどう感じたんだろうか。当時はあまり聴きなれないモーダルな演奏ばかり集めたもので、きっとまだ体は受付ずらいまま無理やり聴きいれていたに違いないと思う。
34    SONNY ROLLINS「サコソフォン・コロサス」と高校時代 (2002/1/23)
SONNY ROLLINS
なんといっても、高校時代、もっとも聴いたアルバムはロリンズのサキソフォン・コロサス(1956年録音)。ソニー・ロリンズ(TS)、トミー・フラナガン(P)、ダグ・ワトキンス(B)、マックス・ローチ(DS)。 朗々と歌うロリンズのアドリブは、朝の目覚ましがわりにちょうどぴったりだったので、タイマーをセットし、1曲目St.Thomas(6:46)で目を覚まし、2曲目のYou don't know what love is(6:28)が終わる頃ベッドを出て、3曲目のStrode Rode(5:13)で着替えし、4曲目のMoritat(10:06)で食事、最後のBlue 7(11:18)が終わるまでには家を出る、な〜んていうパターン。St.Thomasにおける、マックス・ローチの「ドン・スコココン、ドン・スコココン」というドラムスのイントロで自然と体が動く。ロリンズのテーマのあとのアドリブが、「アドリブ」とは思えない、完成された、「もうこれしかない!」1回聴くと1生忘れない、歌いまくりフレーズの連発。これを朝、体にセットすると、一日元気でいられるような気がしたものです。 ・・・30年後の今、朝の目覚めにはちょっと重たくなったが、時々むしょうに聴きたくなり、鳥肌がたつ、永遠の傑作です。そうそう、マック・ザ・ナイフともいう、4曲目のMoritat(モリタート)は、なんといっても曲名に親しみを覚えました。(^^)
35    WHAT IS THIS THING CALLED JAZZ?・・・ODE TO BILL EVANS (2002/1/16)
BILL EVANS
ビル・エバンス(P)、スコット・ラファロ(B)、ポール・モチアン(DS)、1959年録音のこの名盤の中にはいっている曲で、もっとも聴いた演奏はAUTUMUN LEAVES(枯葉)ですが、言葉としてインパクトがあったのは、WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?(恋とはなんでしょう?)です。高校1年の頃、ジャズをがんがん聴き始めて、変わったこととは、英語が好きになったことと、英語の成績が上がったことでした。勉強はなかなか好きになれない、覚えられないのに、何故ジャズの曲名はすぐに覚えられるのでしょう? 曲名にもいろいろなパターンがあり、何百曲も覚えると、さまざまな英語の文法が理屈抜きに覚えられるんですよね。・・・そんな30年前のことを思い出しながら、このアルバムをまた聴く。何度聴いても、アドリブの感じ方が違う。エバンスの左手のテンション、ラファロのうなるスライド、ぐっと抑えたモチアンのブラシ、涙ちょちょぎれます(^^;;  そんなジャズとはいったい何でしょう?

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Last updated: 2007/12/22
♪LOVE ME TENDER/Tsuyoshi Yamamoto Trio