これはNHKTV、BS、未来への提言、未来学者アルビン・トフラー氏のへの、21世紀政策研究所理事長、田中直毅氏のインタビュー番組を視聴した私の記録である。仏教経典は初めに「如是我聞」と唱えられるが、あれは「私は、このように聞きました」という意味で、それと同じ。つまり、これは「私はこの番組から、このように学びました」と言う、”私の記録“である。
番組は冒頭のナレーション。全体への導入にこうあった。
“人類は未だ経験したことのない高速で動く変革の時代を迎えている。テクノロジーの進化によって人類は新たな富を生み出す力を手にした。情報革命は社会の変化を迫っている。われわれは激動する変革の時代にいる。
1、文明改革の三つの波
未来学を提唱したトフラー氏は、第一の波を農業革命の時代、第二の波を産業革命の波、つまり、工業化、大量生産の波と位置づけ、第三の波をコンピューターの発明を契機にした情報革命の時代としている。第三の波を予言したのは25年前、それが今日、ことごとく現実のものになっている。波という表現は、その力を目に見えるような形で連想させる。歴史を見れば、今起きていることには、必ずそれが起きるある傾向があることがわかる。それは波のようなもので直線的な変化ではない。
第三の波については多くの人がテクノロジーによる変化だと思っている。しかしもっと注意深く観察すれば、テクノロジーの変化は社会のありとあらゆる構造を変えていくと気づくはずである。実際に夫婦の関係、教師と生徒の関係、職場での上司と部下との関係などで劇的な変化が起きている。政治や社会におけるさまざまな関係などに大きな変化が見られる。日本やアメリカだけでなく、多くの国でこれまでの枠組みが根底から崩れてきている。そしてこれらに代わる新しい関係が日々生まれている。これは過去二つの革命に匹敵する重要な変革である。
2、知識こそ価値を生む
トフラーは最近の著書の中で、「知識は明日の石油である」と言っている。工業化社会ではエネルギーの源は石油であったが、情報化社会にあっては知識こそがそれに代わる力だというのである。これが「知識経済」という考えが生まれる所以であるという。
この変革をあらわす象徴的な出来事が、IBMのコンピューター事業からの撤退という事件である。IBMはコンピューター作成というハードウエア製作の会社から、特許を販売するというソフトウエアを売る会社へと大転換をしたのである。それは中国とかインドとかアジア諸国が低賃金で組み上げるコンピューターにシェアを奪われてのことである。工業化時代の「規模の経済、大量生産がものをいう経済」では安い労働力がごまんといる中国に分があったのである。IBMはソフトを生み出す知恵、知識を売り物にする企業に転換して、世界各国で特許をとってそれを売るという転換を図ったのである。
3、見直すべき概念・時間・社会観・人間観
今日、ものづくりの現場は、グローバル化の実態から、基盤となる考えを見直さざるを得ない。同じように、時間の概念も見直さなければならない。人々の感じる時間の観念はこれまでとは違う高速である。人々はいわばせっかちになっているといってもよい。すぐに結果を求めるのは、情報化時代の落とし児のようなものである。そんな中でスピードデート業という企業を立ち上げたアイデアがある。一昔前のデートは今日では意味がないもののようだ。何年も付き合って、じっくりじっくり相手を知って、伴侶をきめていくという時間がないのが現実になっている。インターネット時代ではネットで登録した男女は一人について何日も何ヶ月も付き合っていく時間はないのだ。そんな中でデートの仲立ちをするサイトを立ち上げて、結婚の実績を上げている企業がある。これは在宅勤務が増加しこれまでのような職場でのかかわり、通勤と上でのかかわりなどが減ってきたこととつながりがあるだろう。こういう事業も知恵、知識が富を生む例と考えてもよかろう。
さらに第三の波、情報革命時代では、集団的なものから個人的なものへと変わっていく。これまではチームを組んで同じ仕事を共同してやっていたが、これからは個々が知恵を出し、個々が工夫し、知識を活用して仕事をこなす、集団的なものから個人的なものへと変わっていく。
4、情報革命時代の道路を走る
好むと好まざるとによらず社会全体が24時間体制営業の体制に変わっていく。トフラーはそれを高速道路を走る車にたとえることができるという。その車のスピードは同じではないところに問題が生じている。その道路をうまく走っていくのは先端を行く企業の組織で、これは時速100キロで走っていく。NGOの社会団体は90キロ、家族は60キロ、労働組合は30キロ、官僚機構は25キロ、公教育制度は10キロ、国際的統治機構は5キロ、政治の構造は3キロ、法律は1キロののろのろ運転であるという。これは能率を考えてもおおよそわかる。みなが同時に、足並みそろえては、工業化時代の遺物、これからはプロジェクトチームを組んで、その中での個々の働きがネットワークして業績を生むという時代だと考えられる。
空間の概念も変わる。グローバル化である。
グローバル化は問題もはらむ。これは否めない。格差の問題、貧困問題、公害、温暖化、犯罪の多発、人身売買、女性差別、世界から孤立する中東、アラブ世界の問題などがそれである。そんな中でNGOの重要性がますます大切になってくる。グローバル化は従来の国と国との関係を違ったものにしていく。他への影響、内政干渉という概念の見直しまで含むようになる。
5、具体例
こういう社会の動きについていけなかったのは、大手のダイエーもそうであった。私たちはその経営破たんに典型を見る思いがする。ダイエーはこれまでの経験を踏襲して経営していたが、中国で同じ品質のものが安く作られ、それが大量に入ってきたため従来の方式では利益が出ず、大きな赤字を抱えることになった。グローバル化や、流通業の変革の、スピードについていけなかったのである。
6、始まったばかり
この知識経済、第三の波の変化は始まったばかりである。貨幣による経済ではなく、貨幣によらない経済、知識と知恵による利益が生まれるという経済、それが知識経済であるが、それに移行しつつあるのが現在の状況と言うこともできる。庶民のDIYという動き、何かを買うというのではなく、何かを自分(たち仲間)で造るという動き、そのために材料とか工具とかがビジネスに成長するという動き、(日本では、東急ハンズとかドイトDOITのような)、生産消費者というべき傾向、新しいパワーがそういう動きを示している。千葉県柏市のカスミスーパーで導入されたセルフレジもその延長である、ロボット化時代が浸透して自販機、ATMが当たり前のようになっている時代である。LINUX、自由参加型の百科事典、ウイキペデイア、NGOの活動、など「富の未来」は始まっていると思わなければならない。
携帯電話がそうであるようにパソコンはますます安価になって、価格ゼロになるであろう。ソフト(つまり知恵、知識)が富につながってくる時代になる。インドで、貧しい子どもらに安価なパソコンを与えて自由にさせていたら、6,7歳の子が、短時間で操作を覚えネット検索をするようになったという事例がある。遊びながら身に着けてしまう操作、そういう事実を含めて第三の波は世界を変えているのである。
7、教育問題が大切であるが
ここで、急進的であるが重大な意見が出てくる。それは「現在の教育制度は子どもたちに害を与え、将来子どもたちに必要とされる創造的な能力の育成を阻んでいる」というコメントである。なぜ義務教育であるべきか、なぜ同年齢の子達を集めて一斉に授業するのか、子どもが学校を選ぶという動きの本質的な傾向を確かなものとして捉えているか、学校の存在、教室の存在、教師という立場の意味、そういうものを一切含めて「人間の再定義」をしていく必要があるのではないか。こうした一連の提言、これが情報革命時代の大きなうねりの中にある私たちへ向ける「未来への提言」である。
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