インフルエンザは風邪ではありません。重症になると脳炎や肺炎を併発します。脳炎に罹患すると死亡率は10−30%にも達する非常に重症な疾患です。(脳炎は6歳以下に多くここ2−3年の死亡率は10%前後、ただ、インフルエンザによる死亡者数は高齢者に多く、毎年200−1200人前後です。)インフルエンザワクチンにはほとんど副作用はありません。ただ、まれにADEMなる脳炎などが報告されていますし、ギラン・バレー症候群(下肢から神経が麻痺してくる病気)が、起こることもあります。しかしワクチンを接種するメリットのほうが明らかに大きいのです。
治療薬のタミフルについては異常行動が起きる場合もあるようですが起こる頻度はごくわずかです。飲んだ方が明らかに熱のさがり方が早いのです。心配な方は申し出てください。異常行動は高熱のためでタミフルが原因ではない、とする意見が学会では多い、とされています。ただ、最近またタミフルによると思われる事件が2−3件報告されているので、吸入薬のリレンザを使用すべきかな、と最近考えています。皆さんも「リレンザはありますか?」と聞いてみてください。リレンザは吸入で使用しますから、だいたい5−6歳位から自分で使用可能になります。朝、2ブリスター吸入し、夜2ブリスター吸入します。やや使い難いですが耐性ができ難くすぐれた薬剤です。吸入薬ですからしっかり吸える事が大切で6歳以上でないと無理ではと考えています。また、5日分がセットになているため2−3日分だけ投与することができないことも欠点である。先日厚生労働省はタミフルを投与する場合には必ず異常行動、幻覚などを説明しなさい、と言う通達をだしました。ただ、医薬品とは、効くと同時に副作用も多いものです。例えば、抗生物質などは、ショツク死が常にありうるのです。なにもタミフルが特別副作用が多いわけでもありません。この辺を冷静に見極めることが大切です。平成19年3月20日厚生労働省は10歳台にはタミフルは原則として使用禁止と言う通達をだしました。20歳台でも異常行動が問題化しています。ほとんどの大多数のタミフルは問題なく効いており10−20例のためだけにその他の著効していて肺炎も起こさず合併症も起こさなかった大半の有効例まで無視していいか?と言う問題が出てきます。このあたりをどう評価するかが問題です。ただ、最近、シンメトレルやリレンザでも異常行動が報告されています。やはり高熱のせいかもしれません。リレンザ による異常行動が疑われ れば 当然使用禁止になってしまいます。 上のスライドのようにインフルエンザワクチン接種すると80%ぐらい有効率があると言う報告もあります。有効率が高すぎる気もしますが。とにかくかなり感染しにくくなるのは間違いなさそうです。幼児のインフルエンザワクチンについては、その有効率は20−30%程度しかない事を説明した上で接種すべきです。B型はもっと有効率が悪い可能性があります。インフルエンザ脳症を予防できるか?と言う質問にも明らかな答えは今のところありません。「有効率が20−30%だとしても、感染が減少すれば脳症発症の可能性のリスクは減少するので、ワクチンを接種する意義はある。」と、厚生省は説明しています。1歳以下の乳児ではインフルエンザワクチンの有効性はほとんどないとされていますので当院では1歳未満のお子様の接種はお断りいたしております。B型は胃腸症状が多く、発熱もたいしたことがありません。 全世界のタミフルの使用量の80−70%が日本で使用されているのはやはり問題です。抵抗力の強い10−40歳代などはタミフルを使わないほうが良いかもしれない。抗生物質だけ投与し2次感染を防ぐだけでよい、と考えているDrも多いと思う。タミフルに耐性のインフルエンザウィルスも出できているようです。
昨シーズン頃より、タミフル耐性のインフルエンザウィルスが出てきているようです。ソ連型ウィルス(A型でH1N1型)でタミフル耐性の割合を調査した結果、日本では2,8%がタミフル耐性であったと言う報告でした。ただし、地方によってかなりばらつきが認められたようで、鳥取県では、なんと32%がタミフル耐性でした。A型インフルエンザ(たいていはソ連型)の3人に1人はタミフルが効かないと言うことです。横浜などでもタミフル耐性のインフルエンザの流行が報告されてました。日本でタミフルの使いすぎのためかと思いましたがそうではないようで、ノルウェーなどではソ連型ウィルスの67%がタミフル耐性という結果で、南アフリカなどでは、なんとほぼ100%が耐性ウィルスでした。抗原変異が色々変化しやすいためでしょうか。これは大変な問題です。日本でもタミフル耐性が急速に進むかもしれません。今回の報告では、タミフル耐性のA型インフルエンザウィルスが検出されたのは9つの都道府県で残念ながら岐阜県でも検出されました。
原則的にヒトには感染しないとされているH5N1(鳥インフルエンザ)が鳥との濃厚接触で感染するはずのないヒトに感染する例が2004年あたりから報告されています。そうです、新型ウィルスの大流行がせまっています。2007年でH5N1(鳥インフルエンザ)がヒトに感染した例をみてみると、インドネシアがもっとも多く29人感染して25人死亡しています。エジプトでも20例感染して5例死亡しています。平成19年8月13日にバリ島で初の死者が出たことが以前報道されました。ヒトでH5N1に感染したことが確認された地域は、この他にもラオス(患者2名の内2名死亡)、中国の安徽省、福建省で3名の内2名死亡、ナイジェリアでは、1名H5N1に感染して1名死亡しています。カンボジアでも1名がH5N1に感染して死亡しています。2008年度も同様な地域で発生しています。とにかく、鳥のインフルエンザ(H5N1)の流行地(東南アジア、中国、アフリカ、トルコ、など)では鳥と接触しない事、高熱のヒトに、近寄らないように。もし、H5N1(鳥インフルエンザ)に感染したら致死率は60−80%です。H5N1の患者では、日本で使用されている検出キットでは感度が悪く38%程度しか陽性になりません。そうです、H5N1のパンデミック(大流行)はもうすぐです。東南アジアの旅行から帰国した後に発熱した場合は指定病院などに連絡しましょう。
また、ノロウィルスによる急性胃腸炎について解説します。以前は生牡蠣による食中毒の大半がノロウイルスによるものでした。その当時は小型球形ウィルスと、呼んでいました。ヒトからヒトへ吐物を介して大流行するために食中毒というより胃腸風邪と言ったほうが分かりやすいでしょう。現在でもノロウィルス感染症のなかで貝類(二枚貝や牡蠣)の関与がみとめられる例はノロウィルス感染症の50%程度と言われています。予防には、一般的な食中毒の対する注意で予防できます。手をしっかり洗うとか必ず火を通すとか造り置きしないことが大切。2007年に入り減少していましたが、12月に入るとかなり感染性腸炎は流行しました。現在でも冬場になると必ず流行します。いずれにしても、予防には注意しましょう。ちなみにノロウイルスは塩素系の消毒薬しか効果がありませんので、吐物の消毒などは塩素系の使用を。平成19年12月になってまたノロウィルスによる感染性胃腸炎がかなり流行しました。ノロウイルスによる胃腸炎の50%はまだ牡蠣や、二枚貝がからんで発生しています。ですから冬に多く発生する事が多いのですが、夏にももちろん起こりえます。B型インフルエンザも腹部症状がかなり強いのでノロウィルス感染症とよく似ています。このあたりの鑑別が大切ですが、発熱したら2日以内にDrに見ていただきましょう。2日以内でしたらタミフルが良く効きます。(今のところ。)また、最近は毎年マイコプラズマ肺炎が大流行します。咳が特に酷く、直ぐに肺炎になってしまいます。マイコプラズマは細菌ではないですからマクロライド系、キノロン系しか効きません。この辺も注意点です。
吐物は次亜鉛素酸ナトリウム(ミルトン)で手袋を使って掃除します。その時、吐物から舞ってくるウィルスを防ぐためにマスクを必ずすること。(マスクをけっこう忘れる)。手袋を脱いだ後も流水と逆性石鹸でしっかり手を洗うことが大切です。トイレでの感染が最も多いのでドアの取っ手などもきちんと消毒しなければなりません。
ノロウィルスの感染経路をまとめると
1、汚染された貝類を、生または十分に加熱調理しないで食べた場合
2、食品取扱者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合。不顕性感染でノロウィルスを便から排出し続けている場合あり。(症状回復後、1週間から1ヶ月間便中にウィルスを排出している。)
3、患者の糞便や吐物から二次感染した場合
飛び散った飛沫に加え、放置や、誤った処理によりウィルスを含んだ有機物やほこりが舞い上がり、吸引したり、体に付着後吸い込まれ、感染する。
4、家庭や共同生活施設でヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ直接感染する場合
検出にはノロウィルスRNAやノロウィルス抗原をTRC法やEIA法で調べるのが一般的ですが実施していない医療機関も多いので確認してください。