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コラム V AD/HD児への接し方と教育/子育て中のQ&AU・軽度な発達障害
コラムのU【教育とQ&AのT】のページが一杯になりましたので、続きをこれからこのページに載せていきます。
13      奈良日日新聞の記事「AD/HDを個性に変えるために」より
2003年5月28(水曜日)〈上〉
最近「落ち着きがない」「言うことを聞かない」など知的障害ではないのに周囲との歩調が合わせられない子どもたちに対して、一定基準に基づいた診断で「AD/HD(注意欠陥多動性障害)」という診断が下されている。しかし、言葉自体の認知度も低く、実際に診断を下されたとしてもどう対応したらいいのか分からない。そこで、AD/HDに対する理解を深めてもらうため、AD/HDについて紹介する。
四十人学級に1人−2人居てもおかしくないと言われるAD/HD児ー。AD/HDとは注意欠陥多動性障害のことで、授業中に席を立つ、宿題があるのを忘れるなど、平均的な知能を持っているのにもかかわらず、学級生活などに順応できない障害。
AD/HDのある子どもへの対応については、今年度から取組が始まったばかりで、保護者や教員にもとまどいが見られる。
奈良県立教育研修所(磯城郡田原本町 中尾勝二所長)にも、そう言う悩みや相談が多数寄せられたためこのほど、AD/HDに関するガイドブックを発行した。
それによると、AD/HDという障害が認知されるようになったのは、1994年にアメリカで国際診断基準「DSM−W」ができてから。その基準に基づき調査した結果、「七歳までに発症し、六つ以上の不注意または六つ以上の多動性−衝動性の症状が、二ヵ所以上の場所を通じてあり、その程度が子どもの発達年令にふさわしくないもので、最近六ヶ月以上続いている」ことをAD/HDの定義としている。日本においては、2002年にその定義と判断基準の試案が示されたばかりで、AD/HD児の診断や、本人やその周囲の人を支援するための体制は整っていない。
AD/HD児には、落ち着きがない、席を離れる=多性=、忘れ物が多い、課題をやりとげられない=不注意、出し抜けに答える、順番が待てない=衝動性などの症状が見られる。また、周囲の無理解によっては自尊感情の低下などのニ次障害も併発してしまう。しかし、見方を変えれば、興味のあることには驚くほどの集中力を示す、実行力やひらめきがあるなど、長所もたくさん発見することができる。根本的な原因は明らかになっていないが、親の育て方や本人の性格上の問題ではなく、意欲や衝動コントロールを調節する大脳の前頭葉の機能障害が原因だと示唆されている。「リタリン」という脳の神経伝達物質を増やす薬を使用すれば、集中力は一時的に改善するが、AD/HD児のうち20〜50%は、大人まで症状が続くことが分かってきている。奈良県立教育研究所では、「AD/HDに関しては、まだ研究段階だが、社会生活の場である学校への支援に努めていきたい。また、今後、講演会などを開催する予定なので保護者や教員など似参加してもらいたい」と話している。
2003年5月29日(木曜日)〈中〉
「AD/HD児は、自分の思いをうまく表現することや相手の気持ちを察することができない。だから自分勝手だととられてしまう。」AD/HDにかかわる人を支援する「奈良AD/HDの会ポップコーン」の事務局長を務める西田清さんは、自分の体験を通じてそのことを知った。誤解を受けやすく、それが原因でいじめに合ったり、不登校になったりする子どもも少なくないという。
障害児学級を受け持つ教師だった西田さんは、初めてAD/HD児を受け持ったとき「アホ、ボケ、死ね」ときつい言葉を何度も投げつけられ、学校に行くのが嫌になった。しかし、接していくうち、それが彼らにとって「興味を持って」という自己アピールだということに気づいた。
西田さんが離任する日、その生徒は家を出たまま学校には姿を見せなかった。探しまわってやっと見つけたとき「なんで登校しなかったの?」と問いかけると、「だって先生やめるんやもん」と言い放った。西田さんはその時、「ああ、この子に好かれてたんやな」としみじみ感じたという。
「AD/HDは知的障害ではない。エジソンも、J・F・ケネデイーも坂本竜馬もAD/HDだが、ある方面では素晴らしい才能を発揮する」重要なのは、周囲がどれだけ理解し、子どもの個性を引き出せるかなのだ。
まだ耳にして新しいAD/HDだが、「今一番の問題は、学校の体制ができていないこと」と西田さんは指摘する。アメリカでは、一人一人に合った指導教育ができるように18人学級を導入しており、また障害があるために特別な指導を必要とする児童のための通級学級の設置も義務付けている。
それに比べ、日本は二十年以上遅れをとっている。西田さんは「AD/HD児は、早くみんなと同じようにというのが一番不得意。だから、通級学級があれば、問題は減る」。
また1年ごとに行われる担任替えについても、1年間かけて築き上げた教師と生徒の信頼関係が無駄になってしまうと、体制改善の必要性を訴える。
ほめること、そして一度に情報が入りすぎるとどれが大切か分からなくなるので、一つ一つ指示をするなど、AD/HD児と接するにはいくつかのポイントがあり、「知っているか知っていないかで大きく変わる。全ての親や先生に知ってもらえるよう務めるのがわれわれの任務だと思っています」と西田さんをはじめ、ポップコーンのメンバーは、AD/HDへの理解を深めるため、懸命に取り組んでいる。
2003年5月30日(金曜日)〈下〉
自分の感情をうまくコントロールできずに、周囲と足並みをそろえるのが苦手なAD/HD(注意欠陥多動性障害)児には、高機能自閉やLD(学習障害)を合併している子どもも少なくない。特に脳や脊髄の中枢神経系に何らかの機能障害があり、聞く、話す、読むなど学習上の困難が見られるLD児は、AD/HD児の約40%程度が合併するといわれる。
また、周囲に理解を得られないことから、自尊感情の低下や、対人関係能力の弱さなど社会に適応する能力が低下し、不登校や家庭内暴力、非行などにつながる可能性も高い。
このほど京都市に住む同市立小学校に通うAD/HDとLDを持つ5年生の女児とその
母親が、小学校と同市教委に対し「児童への十分な配慮や支援を怠ったため不登校になった」などとして、改善を勧告するよう京都弁護士会に人権救済の申し立てをした。
AD/HDの理解を訴える奈良AD/HDの会「ポップコーン」の西田清事務局長は、「奈良県ではそういった事例はないが、学校の児童への対応に不満を持つ保護者から、多数の申し入れや相談がある」という。
「担任と児童の相性を考慮せずに担任決めを行い、それで不登校になる児童もたくさんいる。京都での人権救済の申し立ては氷山の一角。問題解決の鍵は、人事決定権のある学校長が、どれだけAD/HDを理解しているかだ」と語る。
県内の学校で、ポップコーンヘAD/HDの講習の申し込みがあったのは、定期的に講座を開催している奈良市や、校長会で研修を開いた磯城郡以外にはない。『注・個々の学校や園ではAD/HDの研修をされています。市教委などの段階で組織的に研修しているところはまだ少ないという意味でとらえてください。ここの文章は、記者さんの言葉足らずだと思います。西田』
 
現場の苦労を知る教職員は、機会があればそういった研修に進んで参加するが、直接かかわることの少ない管理職は研修会に参加することはほとんどない。学校の人事決定権を持つ管理職の理解なくしては、学校環境は改善されないのではないだろうか。AD/HD児の対応について西田さんは、「ポイントは『ほめて育て・叱るのは最小限に』」と話す。本人の能力などを配慮した上で接し、本人の個性を認めて自信を持たせること、そして担任や親などそれぞれが一人で抱え込まず、学校内全体、家庭と学校など互いに連携を取り合うこと。
一人ひとりでなく、周囲全体が一つになって支える体制が必要だ。
食品添加物やダイオキシン、農薬などの摂取もAD/HDに影響しているといわれ、今後AD/HDを持つ子どもは増えていくだろう。だからこそAD/HDの理解を深め、正面から向き合える体制作りが急務ではないだろうか。
 
◎以上が奈良日日新聞の記事です。紙面の関係もあり、やや言葉足らずの面もあり
ますが、問題点なども指摘してありまして、
知らない方が読まれても、ある程度分かりやすい記事かと思います。
学校個々からの研修依頼は、かなり増えてきて、関心の広がりを感じていますが、教育委員会自体が、AD/HDの研修会を開いているところは、まだ少ないです。
私も、奈良や大阪をはじめ、近県の園や学校などに研修の講師などに呼ばれていきますが、ここ2年ほどで急速に先生方も、関心を持たれて、実践をはじめている学校や先生方にお目にかかれるようになってきました。現場で実際に子どもたちに関わって下さっている先生はまだ良いのですが、まったく関心のない管理職の先生のいる学校では、子どもや父母と学校との間でトラブルがかなり起こっております。問題を解決する中で、子どもが良くなり、学校と父母との関係がより深まる、そのようになるように頑張って下さい。
 
京都の件、早く良い方向に解決されることを願っております。
更新日時:
2003/06/04
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Last updated: 2008/11/12