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自閉性障害のページ
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| 2 成人は置き去り 発達障害 2007年8月21日 毎日新聞夕刊 | ||||
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自閉症など発達障害の疑いがあり,日常生活で支障を感じている成人(19歳以上)のうち、医療機関で診断を受けたことのない人が約5割に上ることが、「大阪府発達障害支援センター・アクトおおさか」(大阪市淀川区)に寄せられた相談内容の分析結果から明らかになった。就労できずに長期間の在宅生活を送っている人も3割占める。発達障害者支援法の施行から2年半。子どもの支援が本格化する一方、置き去りにされている成人障害者の実態が浮かび上がった。(大場弘行)
発達障害は,自閉症のほかアスペルガ−症候群や学習障害、注意欠陥多動性障害等の先天的な脳機能障害。コミュニケーションが苦手てなどの特徴があるが、知的障害を伴わない場合は本人や家族が気がつかないうえ、周囲から「自分勝手な人」などと誤解されがちで、職場になじめず,頻繁に職を変えざるを得ない人が多い。
センターは02年度、府の依託を受けて発達障害者や家族の相談事業を開始。06年度の相談者は約1000人と,前年度から倍増した。相談を分析したところ、19歳以上が約350人で、このうち「医療機関で診断を受けたことがない」と答えた人は約5割だった。
また,相談内容は「診断や療育をしてくれる医療機関や、就労支援をしてくれる機関の紹介要請」が約4割を占めた。職業別では、一般就労やアルバイトなど所属先がはっきりした人が2割なのに対し、不明分を含め約7割は決まった所属先がなく、長期の在宅生活の可能性が高いという。
センターによると、発達障害者の多くは障害者手帳を持たず、企業に一定割合の障害者雇用を義務づける法の対象外。診断や治療に時間と手間がかかる割りに診療報酬が低く、発達障害を扱う医療機関が少ないなど、問題が山積している。
2年前にアスペルガ−と診断された府内の30歳代男性の母親(65)は、「息子は障害を受け入れて今春から物流会社で働くようになった。企業の無理解から,障害を隠して就職して結局長続きしない人が多い」と訴える。
新沢伸子センター長は「子どもの場合は学校があり,親同士が情報交換して支え合えるが、大人は孤立しがち。早期発見が大切な子どもとともに,成人への支援体制の充実も忘れてはならない」と話している。
社会で支援必要 発達障害に詳しい関西医科大学附属滝井病院の上野千穂医師(精神神経科)の話 成人期の診断は、幼少期までさかのぼって成育歴から聞き出す必要があるなど難しさが伴うが、障害として受け入れることで本人も親も不安が和らぎ、周囲の理解も得られる。専門医を増やすだけでなく、社会で支える視点が必要だ。
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| 3 年令に応じた発達課題 | ||||
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1 身の回りの事とをできるようにしておく課題(これが自立の基本)
★身辺自立は、「心の自立に結びつきます」ので、幼児期から10年後,青年期を見通して,療育をしましょう。
この部分の発達課題表については『自閉性障害児者の発達と教育』西田清・高橋 宏・別府 哲・藤本文朗共著 クリエイツかもがわ 2000円+税 20005年に6刷』をお読みください。クリエイツかもがわには、このホームページからリンクしています。
成人までにつけたい力は、具体的には、次のようなことを身につけさせましょう。
自力で起床、衣服の着脱、排便(大便の後お尻の始末もできる)、洗顔、歯磨き、食器を並べる、箸を用いて食事をする、食事のマナー、食事の後片付け、食器を洗う、お米をといで炊飯器でご飯を炊く、包丁を使って簡単な味噌汁などを作る(おかずは作れない場合には買えばいい)、洗濯機を使用して洗い乾す、乾いたのを取りこんでアイロンがけ、衣類を分類してしまう、針やさみを使ってボタン付けなどの簡単な裁縫、風呂洗い、雑巾がけ、掃除機の操作など。
・時計を見て行動できる(アナログ時計よりデジタル時計のほうが、はっきり時刻がわかるので好みます。)靴の左右、信号機の見方や横断のし方、東西南北を覚える、電話の受け答え(わからない時は家族の人に代わってもらう)、小動物を飼い、えさをやるなどで、命の尊さ(死ぬこともある事を理解させる)を経験を通して理解させる。
将来,恋愛した時の人との付き合い方や、自分の感情の表現の方法、食事の作法やレストランでの注文のし方も,実際の場面で身につけておく。自分でも愛情表現できるようにする。自己決定して家庭内労働を責任を持って分担し、自尊感情(セルフエステイ−ム)を育てる。
以上のことができるように、幼児期から身辺自立を大切にしながら頑張らせることが、思春期青年期の発達の節を乗り越える時に、とても大切な基礎になります。
2 学校教育の中での取り組みについて
(1)幼児期、児童期から10年先を見通して取り組む
一番大切なことは、自分の身の回りのことは、最低限自分でできる、できなくてもがんばってやろうという気持ちを持たせることです。自分で決定して、自分で頑張ろうという意欲と技能を身につけることです。この事が自閉性障害児の一生を左右するといっても言い過ぎではないでしょう。自閉性障害児は、人の動作を見て、模倣して自分を変えようという面が、障害の特性で弱いのです。ですから、日常の家庭生活や学校生活に必要なことを、細かく丁寧に教えて、自立できる技能や生活習慣を身につけさせましょう。お手伝いから初めて、家庭内労働ができるようになれば、就職や自立できる可能性が非常に大きくなります。
(2)幼児期につけさせたいものとしては
@早寝早起きの生活リズムや、健康な体を作るためにも、昼間はたっぷりと遊びきる。
A将来の労働の能力につながる力を育てる。足腰と手指の発達を、楽しい遊びに組み込んで十分に保障する。特に、働く時に中心的な役割をする親指と人差し指の発達を大切にする。
Bコミュニケーションの課題。言葉を社会生活上に生きて使えるようにするために、絵本の読み語り、絵を描いて感情や思いを表現する。感情表現のし方や動作で自分の思いを表現し、相手の顔の表情から
思いを読み取る練習をすることを重視した指導をする。人間を相手にするのが楽しいという体験を、沢山させてあげましょう。
C高機能自閉性障害やアスペルガ-の場合には、幼児期から勉強だけの幅の狭い指導だと〔足腰の発達の遅れ、手指の操作性の弱さ、体の統合機能の遅れ〕等を見逃してしまい、自立心や社会生活に必要な技能の獲得ができない。思春期に向けての基本的な身辺自立、自律的な心や生活上の基本的な技能を育てることが見落とされる。その結果、自分の行動や友達との関係に自信が持てないために、いじめにあったりすることが起こります。自信を失っての不登校や、逆に暴力行為に走ってしまうことも起こります。障害が軽いとか、重いとかよりも、幼児期からどのような子育てや教育を受けてきたかで、思春期青年期の発達が大きく変わります。ですから、幼児期から、10年先を見据えた、息の長い取り組みを始めていくことが大切です。
(3)小学校での課題
・生活を豊かにして、自閉性障害特有の不自由さを軽減する取り組みをします。おもちゃなどを使って遊べる子。手指を本来の物を操作する、目的に添って使える子にしましょう。
・生活の場面と教育の場面と関連させながら、体作りや生活経験を広げながら、行動と感情の調和と統一をはかります。身の回りの簡単なことから始めて、やればできるのだという自信を持たせます。例えば切符の買い方や目的地までの乗り換え場所、駅名や帰りの道順や時間など出かける前に地図を作って、次の行動を見通しさせておくと、自分で地図を見ながら理解して納得して乗っているので、電車の中で騒いだりパニックを起こすことが少なくなります。又、理解を助けるために具体物(切符や地図や電車の玩具)を持たせることで、子どもは安心して行動できます。
・指導者と子どもたちの信頼関係を、子どもとしっかり遊びきることなどを中心にして築き、物から人へ興味を向けさせ、(共感と信頼のできる人を獲得させましょう。
@目で考えるといわれるように、自閉性障害の特徴・視覚を使った指導を心がけます。日課表等も自分で描いた絵やカードを使って、一日の生活や学習の見通しをもてるようにしましょう。ただ、子どもによっては
耳(聴覚)からや触覚からのほうが入りやすい人もいることに注意が必要です。目からの入力はむしろ苦手な自閉性障害児者もおり、その子どもの特性に合わせた選択が必要な場合もあります。
A場面設置を必要に応じてしましょう。学習する場と、内容を結びつけることも必要な場合があります。言葉での指示は、短くはっきり言いましょう。長い文や、抽象的な不明瞭な言葉は、混乱を引き起こしますので、1回には1つの内容にします。
B要求の先取りはしないで、子どもが要求を出せるようにします。単語やなん語が出ない場合には、動作のサインや絵カード、クレーン動作でもよいでしょう。
C家庭と学校とはよく連絡を取り合って、学校の課題と家庭の課題を結びつけて活動させます。統一的に評価しないと、評価が人によって変わると不安になり、自閉性障害の子は、それだけで混乱してパニックを起こしてしまうことが多いです。お手伝い的な事から始めて、時間はかかりますが、家庭内の労働ができるようにします。水遊びの固執の問題行動を発展させて、洗濯やお風呂掃除、お米をといでご飯を炊飯器で炊く等も、高学年になればできるようにしていきましょう。
D良い行動はほめ、否定的な行動に対しては妥協しないで、社会で許される行動へと転化していきましょう。(この場合には、生活年令と生活経験との関連を大切にしましょう。)
特に、通常学級に在籍する高機能自閉性障害やアスペルガ-の場合には、セルフエステイ-ム(自尊感情)を高める指導をしておかないと、自信の無さや不安から不登校や暴力的な行動に走る場合がありますので、注意が必要です。自閉性障害のこの時期、分かる事を増やし、できることを身につけて増やしていく事が、新たなる世界への旅立ちの思春期、青年期を乗り越えるのに決定的に重要な基礎になります。自立するときの、生活の基盤になります。
E幼児期から青年期まで、指導はゆったりと時間をかけて、本人が納得の行く取り組みを基礎にします。性急な暴力での指導(体罰や言葉での脅迫)は絶対に禁止です。暴力的な指導は、暴力的な自閉性障害者を作り出してしまいます。
鉄則・・・デリケートな心を持つ自閉性障害児者には、時間をかけて根気強く、愛情を込めて、本人が理解できる内容と方法で、子育てと教育をしましょう。
(4)中学・高等部の時期の課題、卒業後の課題も含めて
思春期になり、様々な生活経験や教育の成果で、幼児自閉性障害の特徴などが軽減され、集団でに規制ができるようになることや、目で考えて見通す力がついてきます。又、同時に思春期の様々な荒れが出てくる時期で、自分の認識(実行したいと思うこと)と行動(実際に自分の力でできること)の差のギャップや、思春期のからだの成熟やホルモンとの関係から、思春期パニックを起こす場合もあります。医療との連携も大切にしておく必要があります。
@遊びから労働へと発展する時期なので、十分体を使う教材を用意しましょう。
A家族の一員と位置付けて、炊事、洗濯、料理などの家庭内労働を分担させ、生活力をつけ、それらを実行することで、自信と責任という概念と、労働への意欲を育てることが重要になってきます。
B体の成熟と合わせて、肥満や寡動の問題が起こってきます。この点を視点にいれて、体育で水泳やマラソン、部活動などで体を動かすのが楽しい、という活動を十分にさせましょう。体が柔らかくなりますと、考え方も柔軟になり、偏食なども減ってきます。嫌いな食べ物なども、畑で野菜を作ったり、料理を作る過程に参加させることで、少なくなってきます。
C男女ともに体がホルモンの関係などで変化してくるので、不安になる人もいます。又、思春期の心と体の振れが大きい人もおり、医療との連携が必要になる場合もあります。体の変化や、性教育については分かりやすく指導してください。この時期、男子は精通などの問題、自慰行為も起こりますので、父親の出番です。女子は生理の問題もありますが、男女ともに親や先生と同じ大人になっていくのだ、という喜びを感じさせる性教育、命の神秘さと大切さを教えて下さい。
D幼児期からのこだわりを利用して、この時期に趣味に発展させて、自由時間に自分で楽しめることを獲得させますと、家庭や職場での空白がなくなります。又、趣味を通じて、新たなる友達関係を広げられることのあります。カラオケなど、ストレス解消と友達関係を広めるのにも役立ちます。
E幼児期から小動物を飼い始め、ハムスター、小鳥、猫、犬のえさをやるなどの世話をさせ、動物に対する可愛がり方も身につけさせます。いつも人から愛情を受けるだけでなく、自分からも愛情を表現できるようにしておきましょう。自分の体が大きくなると、大きな動物も怖がらなくなり、自分から愛情をもって飼育できるようになります。人に対する愛情表現も、生活年令に相応しい言葉や態度で、表現できるようにさせましょう。いくら大事に可愛がっても、動物や人は死ぬこともあるのだという体験をさせることで、命の尊さを理解できるようになります。
F将来、友達や好きな人とレストランで食事もできるように、料理の注文の仕方、マナーやお金の支払いなどについても、中学から練習をしておく必要があります。
G自閉性障害児者本人が、分かること、できる事が活動の根底になります。自閉性障害の軽減してきたこの時期こそ、幅の広い、内容豊かな教科教育を保障する事が、自閉性障害児者の全面発達(人間としての文化を受け継ぐ)をさせることにつながります。
H単に与えられた労働をするのではなく(単純な訓練的な作業学習などではなく)、人間としての人格を大切にした、発想(相談)や計画や実行、評価という労働への全過程への参加が大切です。様々な場面に参加させることによって、全面発達をさせる労働教育こそ大切です。
Iこれらのことを身につけておきますと、高等部卒業後には、自分の力で自分の壁を乗り越えて、新たなる青年の発達をして行くことができます。私の関わってきた人の中では、幼児期には考えられなかったほどの発達をして、仕事と生活を楽しでいる人が出てきています。
◎自閉性障害児者に関わる人たちは、彼らに対しては、要求が高すぎても低すぎても駄目だと思います。理論と実践の両方から集団的に学びながら、その境目を歩んでいかなければ、自閉性障害児者の発達を保障することはできないのではないでしょうか。
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| 4 ゙アスペルガ-症候群・Asperger’s Disorderと関連の新聞記事 | ||||
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1 アスペルガ-障害診断基準
軽度発達障害の高機能自閉性障害や、アスペルガ−障害は、AD/HDと併発していることがあります。このことにも留意した、指導や子育てが必要になることもあります。
アメリカの精神医学会「精神疾患の分類と診断の手引き」の診断基準 (DSMーWーTR 2004年による)
A. 以下のうち少なくとも2つにより示される対人的相互反応の質的な障害
(1)目と目でみつめ合う、顔の表情、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩 な非言語性行動の使用の顕著な障害
(2)発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。
(3)楽しみ、,興味、達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如(例:興味ある物を見せる、もって来る、指差すことの欠如)
(4)対人的または情緒的相互性の欠如。
B. 行動、興味、および活動の限定され反復的で常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる。
(1)強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはいくつかの興味だけに集中すること。
(2)特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。
(3)常同的で反復的なげん奇的運動(例:手や指をパタパタさせたりねじ曲げる、または複雑な全身の動き)。
(4)物体の一部に持続的に熱中する。
C. その障害は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の臨床的に著しい障害を引き起こしている。
D. 臨床的に著しい言葉の遅れがない(例:2歳までに単語を用い、3歳までにコミュニケーション的な句を用いる)。
E. 認知の発達、年令に相応した自己管理能力、(対人関係以外の)適応行動、および小児期における環境への好奇心について臨床的に明らかな遅れがない。
F.他の特定の広汎性発達障害または精神分裂病(現在日本では統合失調症と言葉に変更された)の基準を満たさない。
2 ギルバーグ/ギルバーグによるアスペルガー症候群診断基準 訳 よこはま発達クリニック
(1)社会性の欠如(極端な自己中心性)(次のうち少なくとも2つ)
a 友達とやりとりする能力の不全
b 友達とやりとりしたい気持ちの不充分さ
c 社会的なキュー(合図)を認識する能力の不十分さ
d 社会的・情緒的に不適切な行動
(2)興味・関心の狭さ(次のうち少なくとも1つ)
a ほかの活動をしようとしないこと
b 同じことを繰り返して気にする
c 意味よりも、機械的記憶に関心が高いこと
(3)反復的な決まり(次のうち少なくとも1つ)
a 自分に対して、生活上で
b 他人に対して
(4)話し言葉と言語の特質(次のうち少なくとも3つ)
a 発達の遅れ(注:既往)
b 表面的には誤りのない表出言語
c 形式的で、細かなことにこだわる言語
d 韻律の奇妙さ、独特な声の調子
e 字義通りにとって言外の意味を汲み損ねる誤解を含む、言語理解の不良さ
(5)非言語コミュニケーションの問題(次のうち少なくとの1つ)
a ジェスチャーの使用の少なさ
b ボデイランゲージのぎごちなさ/気の利かなさ
c 表情の乏しさ
d 表現の不適切さ
e 風変わりで不自然な視線の合わせ方
(6)運動の不器用さ
神経発達検査の成績不良
3 高機能自閉性障害・アスペルガ-障害の幼児期・小中学校における問題
(1)集団参加への困難やパニックの頻発の問題がある。
(2)自閉にある過敏性の問題や、小中では障害の特性を理解されないために、いじめにあったり、人に対する怖さや、成績の不振等から不登校などになりやすいので、配慮が必要です。
(3)他の障害(LDやAD/HDとの合併症)と重なる場合もある。
(4)体や手足、指の発達の遅れもある場合が多く、学習面だけの取り組みだけでなく、全面発達を保障する取り組みを重視して欲しい。教科指導なども、個別の特別な指導が必要な子が多いので、この面も十分に考慮した取り組み(TTの先生についてもらう、通級学級や情緒障害児学級での個別指導など)が必要です。
(5)知的には平均的なものを持っていますし、理論的に学習する能力は持っています。しかし、特有の障害を持っていることに留意した指導が必要です。
(6)人の微妙な感情を理解するのが難しい。他の人の感情や思いを、推察して把握することが難しい。言葉を文字通り解釈してしまい、その場の雰囲気や言葉以外の顔の表情や動作などから総合的に判断して、相手の意図を判断するのが難しい。相応しくない行動をした場合には、すぐその場で正しい対応の方法を教えて、練習して身につけるようにする。
@相手の立場に立って考えることが難しい。
A顔の表情など、動くもの、変化するものの認知が困難な場合がある。
B全ての学習したことを、パターン化してしまうことが多い。
C全体を見ることが難しく(森全体を見るのが難しく、木の葉や葉の葉脈を見てしまう)。つまり、部分にとらわれて全体を見ることが難しい。
(7)対面して、話すことが苦手な人がいる。
目に見えていること、文字に書いてある以上のことは、読み取るのに困難がある。例えば、お店によく備え付けてあるアンケート用紙に「お客様のお声をお聞かせください。」と書いてあると、アンケート用紙に向かって、声を出してしまうなど。
(8)同時に二つの事がなかなかできません。ですから、一回には一つの内容ですと理解できますので、できるだけ内容は一つで具体的である事が良いでしょう。
(9)青年期になりますと、高機能自閉性障害の子は、高機能自閉性の青年に、アスペルガ-の子は、アスペルガ-の青年になりますので、自分と同じ悩みを語り合えるサークル等に参加して、同じ感覚や思考や文化を共有できる仲間同士が必要です。
★3・【大阪・寝屋川教職員殺傷 大阪家裁決定要旨(毎日新聞2005年8月5日より)】
大阪寝屋川市立中央小の教職員殺傷事件で、殺人などの非行で送致された少年(17)を検察官送致(逆送)にした4日の大阪家裁決定の要旨は次の通り。
本件は少年が以前に通学していた小学校に、白昼に、刃物を準備した上で不法侵入し、教職員1人を刺殺し2人を刺傷するという通り魔的に敢行されたものである。
本件非行のうち殺人については、原則として逆送すべき事件である。少年の凶行によって失われた法益は極めて重大であり、教育現場である学校内の秩序まで揺るがす重大事案といわなければならない。
本件非行の重大性、悪質性、峻烈(しゅんれつ)な被害感情等に鑑(かんが)みれば、資質上の問題点、生活環境等、少年を取り巻く一切の事情を勘案しても、検察官送致が相当と判断した。
付添人は、本非行に及んだ間接的な背景として、少年の罹患(りかん)症が相当程度に影響しており、非難可能性が減殺される余地があると指摘し、少年法20条2項ただし書きに該当し、保護処分を相当とすべきと主張する。
この点、当裁判所としては、少年がどうして今回の凶行を着想し、実行するに至ったかについては、今後の刑事手続きの中でさらに審議を尽くし、解明されるべきものであるから、中間決定に過ぎない現時点において詳細に認定することは差し控えたい。
とはいえ、少年の罹患症(特定不能型の広汎=こうはん=性発達障害)それ自体が直接に凶行に結びついたわけでは無いものの、記録からうかがわれる以下のような事情、すなわち、少年が@幼少期から広汎性発達障害に起因して、対人相互性、情緒的疎通性が阻害され、周囲から受け入れられない不幸な経験を重ねてきたために漫然とした違和感や不適応感を募らせ、被害的な対人認知を強めがちであったこと。A被外的な対人認知の影響で、他者への攻撃的な空想を頻繁に想起しがちであり、そのことが今回の凶行を着想する契機となった可能性があることB対人相互性や情緒的疎通性が阻害されている為に、引き起こす凶行の社会的な反響を、具体的に言えば、人を刺すことで刺された人や周囲の者がどのように感じ、考えるであるとか、周囲が自分のことをどのように見るかであるとか、その後に自分がどのような立場に置かれ、自分の将来がどうなるか、などといった、社会的な意味での「人を刺す」ことの重みを十分に理解できにくかったことC独自の着想や判断に対するこだわり(脅迫性)が強く、そのことが着想の行動化に結びついいた可能性があること―などに鑑みれば、少年の罹患症が、少年を取り巻く対人関係や生活環境、状況要因などと密接に関連性を持ちながら、間接的な背景として、今回の犯行に影響を与えたものと推測することが出来る。
少年の罹患症について、早期から適切な医療的支援を施され、少年を取り巻く関係者が、もう少しきちんと発達障害についいて理解し、適切に少年とかかわりを持てていたならば、このような悲惨な結果は生じなかったたであろうと思われることに鑑みれば、少年や保護者に同情すべき点があることは否定できない。
しかしながら、記録によれば、少年は、対人疎通性の障害や情緒的相互性の欠如について、いずれも日常生活に終始著しい障害をもたらすには至らない程度の比較的軽度の障害があるにとどまるものとされているし、本件非行に際し、事理弁識能力や行動制御能力が十分に保たれていたものであり、法的枠組みにおいて少年の非難可能性が否定できない以上、少年が広汎性発達障害に罹患し、それに伴なってさまざまなハンデイキャップを抱えていたとしても、凶悪性、悪質性を大きく減ずるべき特段の事情があるとまで評価することは出来ず、少年法20条2項ただし書きには該当しないといわなければならない。
少年がこれから社会復帰し、就労生活を送るなどして社会に適応しつつ、被害者に償いをしていくためには、被害者や遺族、その他の事件関係者、地域住民等の理解を得ていかなければならないところ、被害者や遺族らの被害感情は峻烈を極めており、現時点で少年を保護処分に付し、その後に社会復帰を図ったとしても、理解が得られることはないと思われる。
被害者や遺族らから理解を得るためには、少年に公開された法廷で刑事裁判を受けさせ、本件非行が生じた間接的な背景や、少年が罹患する広汎性発達障害を取り巻く問題点その他の事実関係について、被害者や遺族に対して明らかにすること、少年を罪責に応じた刑罰に服し、自らの凶行に対する社会的な責任を全うさせることを避けることはできない。
なお、少年に対する刑の執行(処遇)は、当面は少年刑務所が受け持つことになると思われるが、当裁判所としては、少年が自ら犯した凶行の社会的意味を十分に理解し、被害者や遺族その他の関係者に対し、人としてあるべき罪障感、規範意識を十分に醸成された上で社会に戻ることができるよう、可能な限り、矯正施設においては、少年の広汎性発達障害
を踏まえた処遇プログラムを策定、実行し、施設職員においては、少年が抱える資質上の問題点を十分に理解した上で、適切な矯正処遇を実施されることを強く要望したい。
★「この事件から思うこと」・・・・西田
★事件のあった翌日、私は事件の起こった学校の隣の小学校に軽度発達障害の校内研修の講師として招かれて行きました。当初から新聞やテレビなどで報道されていること等を総合して考えると、アスペルガ―症候群ではないかと心配をしておりました。この大阪家裁の決定要旨を読みますと、不幸にもその予想が的中してしまいました。
痛ましい事件です。この家裁の要旨の中で、アスペルガ―症候群に付いての認識がきちんと書かれ、周囲の人や教師等がどのように関わるべきかも触れられていますように、早急に正しい知識と対応が求められます。特に保育・幼児教育や小中学校の義務教育や、高等学校や大学教育に携われ人は、子どもが生きて行く為の知識と実践力を、父母から依託されて教育をしている、命を預かっていることを肝に銘じて教育に取り組んで欲しいものです。
この事件が起こったことで、アスペルガ―症候群の事について誤解を生まないか心配です。アスペルガ―症候群の人が、犯罪を犯す率は本当に少ないのです。むしろ健常者の私たちの方が、ずっとずっと犯罪を犯す率は大きいのです。
この少年がアスペルガ―症候群であったとするならば、日本の軽度発達障害の理解や、教育の遅れがその背景にあると思います。幼児期から適切な療育や教育、子育てが行われていれば、このような悲惨な事は起こらなかったのではないか、いやむしろ彼等の持つ優れた才能を開花させることができるのではないかと思います。
残念な事には、日本の軽度発達障害の教育等は、やっと始まったばかりです。療育・教育現場での、いっそうの努力が求められます。私もよく教育現場の研修会に講師として年間60回〜90回程度(年によってばらつきがありますが)呼んで頂きますが、これらの教育はまだこれから始まるのだと言う思いを強くします。
保育士や教師の教員養成の為の内容に大きな弱点があります。免許取得の為には、「障害について全般や、発達障害のことを学び、どのように考え、対応すべきか等ばなければならない」ということを必須の内容として、義務付ける事が必要です。それと同時に、公的機関などを通して、広く社会一般への理解を促がす行動や施策を早急に取る必要があります。その為には、皆さんがたのお力をお貸しいただけますようにお願いいたします。
以上が毎日新聞の記事を読んで感じました。このような事件を事を二度と起こさない為に、私達の力を結集して頑張りましょう。公的機関は私達が要求や運動を進めないかぎり、なかなか重い腰を上げてはくれません。この件などに関して、意見がありましたらこのホームページの掲示板に書きこんでください。
★アスペルガ―のことを知りたい方は最近出版された『特別支援教育のためのアスペルガ―症候群の医学』
榊原洋一著 学研 1600円+税を是非1度読んで見てください。
★詳しいことや専門的なことについては、コラムbPのページで、AD/HDと自閉性障害についての参考図書を紹介してありますので、そちらを参考にしてください。共著の「自閉性障害児者の発達と教育」クリエイツかもがわ 2000円+税 クリエイツかもがわには、このホームページからリンクしております。
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| 5 自閉性障害児者の指導について | ||||
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T 自閉性障害児者独特の認知を生かした指導(ワンチャンネルの思考である事を重視する)
(1)問題行動の指導
@周囲との相互関係の結果として誘発され、強化されていくという認識を持つことが必要です。一つの課題を習得させる場合には、最初は必ずといっていいぐらい抵抗があります。2〜3週間してうまくいかない時には、その方法が合わないと考えて、違った方法を考えましょう。
A教える側の指導が一貫性を欠いた場合、よく混乱をおこします。特に子どもが大きくなると、こういう例が多いようです。受容しすぎる指導と、禁止する指導という、その都度指導する人によって違った対応をされることによって、自閉性障害児者は不安になるので、学校や作業所などでは、関わる指導者全員の統一した理解での指導が必要です。
B空白の時間、適切な課題が与えられない時、空白の時間が長くなると、自分の世界に入ってしまい、こちらの課題の世界になかなか戻ってこられなくなります。
Cパニックを起こす場合
パニックの原因を探ると、いくつかの条件が浮かんできます。
ア・・無理な要求をされた場合
イ・・本人のレベルに合わない
ウ・・自分の予定の日課が、予告無しに急に変更させられた場合
つぎの場面や、他者の意図への抵抗が強いために、「見通せない、自分の能力以上の事に対処しなければならないという不安」の時に起こすことが多いので、見通しができるような生活設計をさせることが大切です。
Dオウム返しの時には、提示が理解できない場合に出ることが多いようです。その時には、単一の整理された、具体的な提示に変えてやるとよいでしょう。1回の指示の内容は一つのことで、短く、具体的に。
抽象的なことや、その場の雰囲気から察しなさいというような事は理解できません。
(2)教育内容の特質と、訓練や治療との違いを考慮した指導
私達は、この二つの違いを明確にして、指導をする必要があります。学校教育の重点は、基礎的な学力の保障や、社会で生きて行く能力を身につけさせることだと思います。障害児の場合には、そこにプラスして障害を軽減、克服するための訓練等が必要になります。例えば、言語の治療訓練によって言葉は発達させるのと、絵本などの内容を理解して、何が書かれているのか等の内容を理解するのと、両方とも欠かせません。
(3)言葉(特に話し言葉)での理解のし難さ
自閉性障害児は、いくつかの情報を組み合わせる統合機能の障害のために、過去の経験から学ぶことが不得意なので、見通したりするのがなかなか難しく、変化するものになかなか対応でいないために、状況が変わっても同じような対応(固執)する事が多いです。
・話しかけたり、指示する場合には(そばによって、静かに、具体的に)電報文のように短く、内容は一つにします。又は文字を読んで理解できる子には、簡単な文を書いて示したり、本人の描いた絵カード等を使うと、安心して行動してくれます。
(4)自閉性障害者は、「目で考える」といわれるように、視覚的な情報があると理解がしやすいようです。ですから、文字が読める子には、話し言葉で指示が通りにくい、短文や絵で指示の内容を示してやると、なんべんも見返せるので、理解がしやすくなります。自閉性障害者の大部分の人の認知は、目で考えるという事です。
視覚優位、この面からも絵を描かせることや、絵本の読み語りから始めて、要求や心の中を描いた絵や単語と結びついた絵日記の指導が大切になってきます。文字表現ができない子どもでも、絵本の読みかたりで指導を重ねていきますと、やがて自分のイメージで描いたカード等で、要求を表現できるようになります。
更に進めば、言葉だけで場面をイメージできるようになり、文字だけの日記に発展させることができます。それらができるようになると、自分の要求や思いを表現できることから、パニックも減ってきます。
(5)言葉にならない相手の顔の表情や、雰囲気、態度などの読み取りにくさの弱点があります。どのような事が分かり、どのような事が分からずに苦労しているのかを、健常者が彼らの持つ独特の感性や異文化を理解して、付き合うことが大切になります。
2 自閉性障害児を発達させる集団の条件とは
自閉性障害者を発達させるためには、最低3つの集団の保障が大切です。青年期には(4)を追加する。
(1)同じぐらいの発達集団。ほぼ自分と同じレベルでの発達集団で、自分の意思を十分伝えることができる、同じ交通手段を持った学習集団。
(2)自分が安心して心を開ける、時間的にもゆったりとした集団。保育所、幼稚園、障害児学級や養護学校では、自分の生活年令の同じ学年の学級などがこれに該当します。
(3)自分よりやや上か、やや下の発達課題を持った、少し大きい集団に参加して、教えたり教えてもらったりの学び合える学習集団。他の障害児学級との合同授業や、通常学級との共通課題を達成できるように配慮された交流学習。障害児学級での市町村単位の交流会、養護学校等であれば、学部単位等の交流などがこれに当たります。
(4)更に青年期になると、幼児期から身辺自立などで自律心がついてきている自閉性障害者は、かなり複雑な集団への参加や、集団での規制ができるようになります。作業所や職場での仲間集団や指導員、家庭などで兄弟や家族に仕事や家庭内労働を評価されることで、プライドを満足させ、自尊感情を高めることができます。自尊感情、自分が役に立っているというプライドから、青年期の新たなる荒れや発達の節を、自らの力で乗り越えていくことができます。家庭内労働(簡単なお手伝いから始めて)ができないで、就職に成功した人は殆どいません。
3 自閉性障害児の集団への接近と参加
以下は西田が体験した事実をまとめたものです。個別の訓練的な療育だけで、自閉性障害者を人間として、全面発達を保障するのは無理です。幼児期から、心と体の全面発達を保障して、集団(社会生活)の中で自己決定ができるように育てることがとても大切なのです。ただしここに載せる内容は、全ての子どもが子のような順とは限りません。子どもの状況によって変わります。ケースバイケースです。
(1)全く孤立しているように見える状態
(2)1対1の関係の成立
(3)自分は参加しないで、小集団から離れているが、時々ちらりと横目で集団のしていることを見ている。見る参加。始めは3人ぐらいの集団のほうが、見やすいようです。
(4)集団のそばへ呼びかけて欲しそうに寄ってくるが、参加を促がすと、逃げていってしまう。歌などその場では歌わないが、ひとりになった時に歌っています。
(5)自分のそばにきた子や、自分が気に入った好きな子、自分に関わってくれる子等に、たたいたり、触ったりする参加の方法。この時期に、たたいたことで強く叱ると、集団から離れてしまいます。外見的には、否定的な参加に見える時期。
(6)小集団の2〜3人の、特定の優しいい子どもとの関係ができ始めます。自分がその子や先生をモデルに、まねをしたらみんなの中には入れる。安心してそばにいられる子、優しく関わってくれる子、同じぐらいの発達で交通手段(表出言語やサイン等)をもっている子等が、初めての友達になれます。この時期には、自分と外界をつないでくれる、そんな人が重要です。
(7)相手の言っている事が、ある程度分かるようになると、自分も興味があり、能力的にも同じ行動ができる一部分にだけ、参加できるようになります。
(8)集団の特定の子や、信頼できる人(親や保育士や教師)などと、要求が一致した場合に手をつないだりして、かなり長い間集団に参加できるようになります。
(9)理解言語が豊富になり、言葉かけで理解できるようになると、指示が分かるので安心して、大きな集団にも参加し、みんなと同じような行動が取れるようになります。
(10)集団に参加できるようになっても、ストレスを解消して、次の行動への意欲・パワーを奮い立たせたり、心を安定させるための場所(障害児学級など)や時間の確保が必要です。
★集団への参加はあせらないで、辛抱強く、子どもの発達を保障する様々な取り組みをするうちに、子どもが自分から参加してきます。自分で判断をすることを少しずつ身につけ、自己決定力をここでも大切に育てていく。意味の理解と行動力の獲得、そしてなによりも、不安を無くして自信を持って参加することを主体に考えましょう。
4 10年先を見通した取り組みを
10年先を見通した時に、こんな大人に育てたいという願いを持つことが大切です。それを実現させるためには、子どもの現状を分析して、今何が出来、発達課題はなになのか、その課題を身につけるのには、どのようにしたらよいのかを、指導に関わる全員で考えて実践しましょう。
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| 6 10年先を見通した自閉性障害児者(高機能・Aspを含む)の教育と子育てについて | ||||
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T 自閉性障害児者の発達について
1 発達障害です。昔言われた情緒障害ではなく、機能、認知の発達障害です。ですから、社会的な技能の獲得は、なるべく早く行うことが重要になってきます。
★自閉性障害についての訳語は、ロシアでは「友達と一緒に遊べない子」というふうに訳しているが、適切な訳だと思います。「自閉性障害児者は、内にこもろうとしているのではなく、他の人に対して自分の意思を、言葉や表情でどのように表したらよいのかわからない。社会的なルールに、どのように対応したらよいのか分からないで、戸惑っている障害である」と理解するのが、より自閉性障害児者の実態に近づいた考えかたではないでしょうか。尚、私はより人を大切にするという意味で、自閉症ではなくて、「自閉性障害を持った人」という障害よりもまず人を大切にするという意味で、自閉性障害という言葉を使っています。
★物事に敏感すぎる自閉性障害児者に対して、脅かさない、強く迫りすぎない、この二つの点を考慮した子育てや指導が大切です。
(1)自閉性障害に対するとらえ方の変遷
@第一世代の自閉性障害(情緒障害などという間違った説も・・・)
1943年・・カナ-による「早期小児自閉症」は、ア・・情緒的な接触の欠如 イ・・
言葉をコミュニケーションとして用いられない。 ウ・・同一性の保持 エ・・良好な潜在能力
日本では短絡的に、テレビに子育てをさせたからとか、親の育児、子育てが不充分で自閉性障害になったという、まったく間違った説がマスコミ等の一部から流されたりして、誤解が世の中に広まってしまいました。「親のせいだ症候群」と私達は言いますが、とんでもない誤解でした。当時、一生懸命に子育てに頑張っていた自閉の親はとても苦しい、受難の時期でした。
A第二世代の自閉性障害(脳の認知障害へ、コペルニクス的障害像の転換)
自閉性障害への研究や実践の広がりと深まりを見せた1970年代になると、情緒に問題があるのではなく、脳のある部位の何らかの不具合による障害である、ということが(ラターやショプラーやウイング等)が、状況証拠であるとことわりながら、この考え方が主流になってきました。
B第三世代の自閉性障害(脳の機能・認知に問題がある事が、医学的に明らかにされ始めました。教育の現場等でも、実践的にそれが確かめられてきました。)
扁桃体、海馬、小脳(新小脳虫部のY小葉とZ小葉に限定して縮小している)、大脳辺縁系の萎縮や前頭葉の脳波異常、ド-パミンレセプターのD-4の関係等が指摘されています。しかし、まだ完全に解明されたわけではありませんし、まだ論争が続いているなど、更なる研究の成果が期待されています。
Cローナ・ウイングの自閉性障害についての基本的な考え方・三つ組み「自閉症スペクトラム 東京書籍 1998年」で次のように述べています。
ア・・社会性の障害「症状の中で中核的なものである。視線が合わない、どこかへすぐに行って迷子になる、相手と気持ちが交換できない等の、社会的な相互反応に問題がある。」
イ・・言語、コミュニケーション障害「言葉の問題(言葉が遅れる、おうむがえし、会話の成立の困難、高機能自閉性障害児者でも、冗談が通じない)がある」
ウ・・想像力の障害と結びついて行動の障害「常同行為やこだわりから、社会的な行動の障害」
D1995年のアメリカのDSM-Wによる自閉性障害の診断項目
ア・・生後36月未満までに発症する
イ・・他者に対する反応の全般的な欠如が見られる。
ウ・・話し言葉が存在する場合は、即時の又は、遅延反響言語、比喩的言語、代名詞の逆転のような特異な言葉のパターンが見られる。
エ・・周囲の様々な状況に対する奇異な反応、例えば変化への抵抗、生命のある対象あるいは、生命のない対象への特異な興味、愛着を示す。
オ・・精神分裂病(現在この言葉は日本では使いません)におけるような、妄想、連合弛だん、支離滅裂が存在しないこと。
E自閉性障害は、生涯にわたる発達障害です。見るもの、聞くもの、その他感じるものを正しく理解することが困難な障害です。しかし、障害の軽重に関係なく、幼児期から10年先を見通した、工夫されたきめこまかな療育を長期にわたって受けることで、青年期の頃には幼児期には考えられなかったほどの、大きな発達をしている自閉性障害者が、日本中で育っています。
(2)自閉性障害スペクトラム
近年、高機能自閉性障害や、アスペルガー症候群といわれる人たちの存在が、新たな注目を浴びています。2003年〜2004年になると、アスペルガ−の日本人の人が書かれた優れた本が出版されました。是非とも読んでもらいたいと思います。この本については、参考書の所で紹介してありますので、そちらを御覧ください。
@軽度の自閉の一つを、高機能自閉性障害と呼称します。知的にはIQ70台〜140台の広がりを一括して言います。知能が高いという意味ではなく、明らかな知的な遅れがないという意味で使用されています。社会性、相手の感情や思いを言葉や顔の表情や動作から、的確に理解できません。社会的な暗黙のルールなどが理解できないなどがあります。
Aアスペルガ-症候群といわれる、知的にはあまり目立ちませんし、高機能自閉性障害と障害の部分が重なりますが、その他に独特の障害があります。運動機能の遅れやアンバランスが目に付きます。特に言語面では、表面の理解はできますが、言葉の裏側に含まれる意味は,なかなか理解できません。例えば、挨拶のつもりで「今日は暑いですね。」と言うと、「今は31℃です。」と相手に言うとかです。
カナーが主として重い自閉性障害の研究をしていた時代、オーストリアの小児科医のハンス・アスペルガ-が、第二次世界大戦中に、軽い自閉性障害について研究して発表しました。彼の論文はドイツ語で書かれたこともあり、長い間埋もれておりました。イギリスのローナ・ウイングが研究を評価したことから、近年になって世界的に注目され、評価されるようになりました。
カナ-タイプの自閉性障害と比べると、言語発達が比較的よく、一見人とのコミュニケーションもよさそうに見えますが、状況判断に弱さがあります。
ウイングはアスペルガ-症候群の特徴を、次のように述べています。
ア・・共感性の欠如 イ・・無邪気で、穏当さを欠く、一方的な人への接し方 ウ・・友人関係を作る能力の欠如か、希薄さ エ・・過度に細かく、繰り返しの多い話し方 オ・・非言語コミュニケーションの乏しさ カ・・特定の関心事に強く凝り固まる キ・・動作の不器用さや組み立てのまずさ、姿勢のおかしさ
「学校では、能力のアンバランスさに先生は気づきます。特殊な興味に非常な集中力を発揮したり、独創的な方法で問題を解いたりします。それとは対照的に、他の子ども達が教室で興味を持って行う活動への意欲や関心の無さ、一部の領域に特異な学習能力の障害があるという評価結果、動作の不器用などが見られます。教室内や校庭では、人との交際は引き下がりがちで、他の子どもたちにからかわれる傾向も先生方から心配されます。」アスペルガ-症候群 トニー・アトウッド 東京書籍
2 自閉性障害の特徴について
(1)言葉の問題や問題行動など
「他の人から見ると、自分の世界に閉じこもる」ように見えますが、そうではありません。一番の特徴は、言葉を相手とのコミュニケーションの手段としてなかなか使えないことがあります。又、人やまわりに対する過敏性と、その結果による不安のために、固執性やパニックが見られることが幼児期には多いです。
何事にも過敏すぎるので、いつもと違ったりすると、不安になることがありますが、経験を積むことや、見通しをつけてあげることで、問題行動といわれるものを減らしていくことができます。男女比は4対1程度で、早期発見システムの完備しているアメリカのアトランタ州の2002年の調査では、1000人に3.4人という(日本自閉症協会心を開くより)。広汎性発達障害は、横浜市のリハビリセンターの清水、木田氏の報告によると100人に1人であるという。
@パニック・問題行動
要求が高すぎた場合に起こします。逆に低すぎると常同行動になってしまいますので、子どもの認識に合った接し方を何時も心がけてください。
・問題行動やパニックを否定的にとらえないで、発達的に理解することが大切です。保護者や指導者から見れば問題なのだが、本人は言葉で表現できないので、言葉の代わりとしての一つの表現であり、訴えであり、それに対する反応の結果と見ましょう。問題行動から何が出来るかを見つけ出し、発展的に解決をはかりましょう。
ア・・自傷行為「エネルギーが自分自身に向かい内向化する。」重度の子に多く、中度に発達すると減る。主体のエネルギーが発達するにしたがって、内から外に向かう。
イ・・他傷行為「エネルギーが外に向かう、他人に向かう、人に向かう。」中度の子に多く、本人の持つエネルギーが、物や人に向かってくる現象で、叩いたりしてくることが多いが、発達の証である。
ウ・・自傷行為、他傷行為は、禁止と規制することだけよりは、その子の発達の現実から出発して、別の興味を育ててやる。時間をかけて興味を持てるものを作ってやることで、解決をはかることができる。更にこだわりや問題行動を生活に役立つものに発展させたり、趣味(切り絵、カラオケ、山歩きやスポーツ等)として発展させられる。やり方一つで、問題行動を少なくすることができ、生活を豊かにすることと結びつけることができる。
エ・・常同行動、低次元の感覚刺激としての常同行動は、感触、ひもなどへの固執、手をひらひらさせるなど、重い子ほどエネルギーが外に向かないが、それらの行動を生活に役立つ方向ヘ向かわせることができます。体の幹や手足の発達をさせ、興味を広げると少なくなります。
オ・・パターン化 いつもと違うと、どうしてよいのか分からなくなり、前にうまくいった行動を機械的(パターン化するのが特徴)に繰り返し、パニックや常同行動の反応を起こします。なるべくたくさんの行動のパターンを獲得させておくと、適切な行動が取れるようになります。
カ・・多動は、幼稚園の頃から小学校1年生の頃にかけてピークをむかえ、小学校中学年の頃のなるとおさまってきます。
自分が興味を持って遊べるもの、場所などが決まってきますと、多動が収まります。
思春期になると、今度は反対に寡動(動かなくなる)が見られます。寡動にしないためには、幼児期からの自分の身の回りは児分でできる。お手伝いや家庭内労働等は自分で判断して、責任を持って行動できる子どもに育てておくことがポイントになります。身辺自立は、心の自立に結びつきますので、重要な指導項目です。
A味覚過敏、臭覚過敏
味覚が過敏なために、偏食になってしまう場合もあります。偏食の子が多いですが、温度が違うだけで、同じ牛乳でも飲めない場合があります。 味に対しても、過敏すぎるので自分の慣れた味以外は拒否します。生野菜(サラダ)やりんごのシャリシャリした音や、歯ざわりの感じには絶えられないで、食べられない子がいます。
牛乳や食べ物(ご飯、味噌汁等)の温度や
微妙な味の違いで、食べられない子もいますので、温度や味が違っても同じ食べ物であることを、だんだんと分からせる取り組みが必要です。
B触覚過敏
肌や髪の毛に触られるのが嫌いな子。木綿に化学繊維が混ざって入ると気になって、脱いでしまう。靴下もはけない子がいます。触覚過敏な子がいることにも注意して、衣類の着脱指導もしましょう。新しい着物の肌触りに慣れるまでに、ある程度の時間がかかる子もいます。
逆に、他の人の髪の毛や、肌触りのよい皮膚やストッキング等には、相手かまわずさわりに行く場合もあります。他人にやたらとさわる事は、知らない人には痴漢と間違われることがありますので、幼児期から他人にはやたらにさわらないように、眺めるだけで我慢できるように育てましょう。
C聴覚異常
私達は多くの音の情報の中から、自分に必要な音だけを選んで聞くことができます。必要な音を選択し、不必要な音をカットするバリアを張ることができます。自閉性障害は障害のために、テープレコーダーで録音した時のように、不必要な音を含めて全ての音を拾ってしまいます。つまり、自閉性障害の人は、音に対してはバリアフリーの状態なのです。
・「どの音も同じレベルで入ってきて、自分にとって必要な音の情報を取り出せない。普通の人は、聞くべき音だけを拾い上げる高指向のマイクロフォンのような聴覚を持っているが、私は環境音を締め出すことができないので、やかましい場所では、人の話しを理解できない。私の場合、全ての音を拾い上げるマイクロフォンみたいなものだから、2人の人が同時にしゃべっていると、片方の音を意識の外に押し出し、もうひとりの声に耳を傾ける事が難しい。」自閉症の才能開発 学研 テンプル・グランデイン 高機能自閉性障害者
D光の刺激
光の刺激が強すぎたり、取り入れるスピードの違いで、物が適切に認知できない人もいる。暗所過敏症候群といわれる人です。「自閉性障害者に対して、どの色が一番適切であるかを検査して、カラーレンズを使ったメガネで、目に入る波動をコントロールして、欠けている波動を補ったり、多すぎる波動を取り除いたりして、視覚に入ってくる情報が適切になるようにするのだという」ドナの結婚 新潮社 ドナ・ウイリアムズ
日本の高機能自閉や、アスペルガ−の人でも、同じようにサングラスをする事で光りの入力を調節して、上手く適応して生活している人がおります。
E多動から寡動ヘ
体の成長と共に、脳の生理学的変化も絡んで、中学生の頃から、指示するとするが、指示しないと行動しない現象が起こる子もいます。活動の意欲を持てない子や、親や指導者から強圧的な指導を受けると、「暴力的な指導や、物事の内容を子ども自身が納得・理解していないのに無理やりやらされてきた場合に起こります。思春期頃から寡動傾向のある子にとっては『○○したい』という人間にとってもっとも大切な、基本的な権利を奪われつづけることになるので、結果として『指示待ち人間』になります。ある特定の訓練法などをずっと強制されてきたこの中には、不登校になったりパニックを起こしている子も出てきています。その子に合った、指導法が大切です。
(2)高機能自閉性障害者から見た世界
(多分・他の自閉性障害児者も、同じような感じだろうと記録などから推察されます。)
@ドナ・ウイリアムズの感覚のシステム・・体で世界を感じる。感覚を通して世界を理解する。(大阪でのセミナーでの発言から学んだことから)
・私達健常者は、マルチチャンネルであるので、同時に、見たり聞いたりした事柄を総合的に判断して、表情や言葉として出せる。つまりパソコンのように印刷しながら、同時に文章もキーボードで打ちこめるが、自閉性障害者は同時にはできない。
・「自閉性障害者は、取りこめる情報量が少ない。単一のチャンネルなのです。一度に受けとめられる情報量が圧倒的に少ないのです。ですから、会話をするときに相手の顔を見たりすると、相手の表情の意味を理解するのに単一のチャンネルを使ってしまうので、空いているチャンネルが無くなってしまいます。そのために相手が何を言っているのか理解できず、分からなくなるので、意識して目を相手からそらす努力をします。また、相手の視線が怖い(人間の視線には圧迫感がある)ので、ちらりと横目で見て、すぐに視線をそらす場合が多いです。
A「自閉症を完治できる魔法のような治療法は存在しないのだから、親たちは、自分のセラピー方法を広げたいばかりに、途方も無い成果を宣伝する人たちの口車に乗らないように注意すべきである。効果的な療育法は、自閉症者に無理な要求をしないものだ。ひとりの自閉症者に有効だった方法が、必ずしも他の自閉症者に効くわけではない。有効な療育法や教育プログラムは、膨大な資金をかけなくても実施できる。献身的な親や、有能な教師たちは、独学の後、彼ら自身で効果的なプログラムを作っている。親たちは、研ぎ澄まされた直感を信じるべきである。さまざまな違った方法を試してみて、効果あるものを続け、そうでないものは捨て去るがいい。いくつかの違った方法を組み合わせることで、相乗効果が生じることがよくある。・・・テンプル・グランデイン」
Bある特別な療法に無理に子どもを当てはめない事が大切です。その子にあった方法を親や療育者は見つけたり、開発して、合わない方法や療法は止めるべきです。私の知り合いの子で、学校で担任の教師が無理に一つの療法で指導した結果、登校を拒否してしまったという例が、何件も起きています。
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