倶留尊歳時記
 三重県美杉村太郎生にある滞在型市民農園「城山クラインガルテン」での生活四年間に地域の人たちに教えていただき、また自ら求めて見聞し、たくさんのことを経験、また知りもしました。
 

倶留尊山麓・池の平高原・美杉村
歳時記
 
この歳時記は倶留尊山麓の池の平高原で四季を楽しみながら生活してみえる私の師の谷口光雄さん、「くろそ山荘」の主人の今井昭三さん、田中龍太郎さんに教えていただいたことなどをもとにして作りました。

 1998年9月15日夜半から台風5号が上陸。室生寺で巨木が倒れ五重塔を直撃するなど倶留尊山麓の村々に大被害をもたらしました。杉で山が覆われている美杉村太郎生でもたくさんの杉が倒れました。その倒れた木のほとんどは年輪にそって割れていました。米作りを中心とする弥生民族は風によって年輪にそって割れた杉を田に水を引く「樋(とい)」として使っていました。「弥生民族にとって杉は宝」を実感しました。

池の平高原の四季を肌で感じる
 助走して雉走り立つ山畑 登 七曜子
★ 四月末高原に桜が咲きだした。雉が盛んに力強く鳴く。畑の横に立ててある鏡に写る我が姿に「ここは俺の縄張りだ!」と挑んでいる。私の大切なルピナスの花房も大きく膨らんできた。
★ 五月連休 東海自然歩道を歩く人が増える。山菜どっさり。
★ 五月十二日 カッコウの鳴き声が伸びやかに高原に響いた。「おお、来たな」と高原の仲間が喜びの声を出した。そして一週間後ホトトギスが「特許許可局特許許可局」と木の頂にとまって、また飛びながら、そして日没後も高原での自分の存在を強調するように鳴き始めた。その鳴き声を楽しみながら農作業も急ピッチ。高原が急に様変わり。ルピナスが見事に咲いた。山菜が次々と出る。
★ 六月 山あじさい、卯の花、野ばら満開となり、中旬にささゆりが咲く。「全校生峠を下りて花野行く 登 七曜子」となる。
★ 七月初旬 名張川で鮎釣り解禁。高原で野かんぞうが咲き、赤とんぼが飛び、ひぐらしが鳴く。ねむの木の開花にあわせて小豆蒔きが始まった。下旬 タラの花芽が美味しい。
★ 八月初旬 ミョウガの花芽がたくさんでる。サビタの花咲く。下旬 月見草、萩咲く。
★ 九月下旬 あけびの実稔り、もず鳴く。
★ 十月 高原に秋風が漂う。季節もよし。トライポットにダッヂオーブンをかけて野趣豊かな料理を作って楽しみ登山者にも勧める。夜間、月は幻想的で美しい。スギヒラタケを採る。
★ 十一月 倶留尊山と池の平高原がすすきで揺れる。つるうめもどきなどリース作りの材料を集める。
★ 十二月 高原に人の気配がなくなる。草が枯れ夜間動物ウオッチングの最適な季節となる。
★ 二月 高原に降雪。歩くスキーを楽しむ。
★ 三月 曽爾高原のすすきを焼く煙が池の平高原から見る稜線を鮮やかに浮かび上がらせる。
村の祭り、民俗
★ 2月11日 奇祭 三重県指定無形文化財 仲山神社 牛蒡祭 美杉村下之川
 各地の伝承されている祭などを見ると「今も此処に在る民族の根源」と感じることがある。高原の師に「いちど下之川のごんぼ祭りを見ておくべきだ」と言われて行き驚いた。「なにこれ?なにこれ?」顔が赤くなったが祭りのおおらかさに誘われて恥ずかしさも吹き飛んだ。牛蒡祭は山椒味噌と唐辛子味噌であじ付けされた牛蒡を朴の葉に盛ってボラと共に神前に供える。そして御弓神事、俎板神事が行われた後に男女のシンボルの御輿を担いだ氏子青年たちが石段を威勢よく駈けのぼり境内を練り回る。
★ 1月4・5日 県指定無形文化財 三多気の精進祭もしくは弓射神事 菅編みし的が真四角弓始 登 七曜子
★ 3月12日 東大寺二月堂松明調進行事 名張市一ノ井極楽寺
★ 3月下旬 曽爾高原山焼き 曽爾村
★ 4月中旬 国史跡・日本桜名所百選 三多気の桜
 千年の歴史を重ねた千本の山桜が国司北畠氏が祈願所としていた真福院まで続く。 里山に日が昇り来る山桜 登 七曜子
★ 5月中旬 青山高原つつじ祭り 高原から近い奥山愛宕神社の三重県天然記念物のブナ原生林が新緑に燃える 青山町
★ 5月下旬 花しょうぶ祭 室生村滝谷
★ 6月第1日曜日 西蔵王堂祭 太郎生
 NHK特集「知られざる古代」で一躍有名になった西蔵王堂。春に里の人々が集い楽しい一日を過ごす。かって山桜の地であった。
★ 8月16日 丹生俣の獅子舞 美杉村丹生俣 午後丹生俣多目的集会所で舞われる。
★ 10月19日 川上山若宮八幡神社大祭
 民俗
● 1998年5月30日(土) 上太郎生のある家の軒にヨモギとショウブが束ねて吊るしてあった。早速写真を撮った。以後毎年季節になると見るのを楽しみとした。太郎生を歩いたが吊るしてあるのは1軒だけである。訪れて聞いた。端午の節句の頃に吊るして飾るのだが太陽暦の5月5日では菖蒲が伸びていないので旧暦で飾ると教えていただいた。伝統を大切にされている広瀬正六さん御夫妻に敬服。
● 1998年6月6日(土)師の谷口光雄さんから「さぶらぎ」をいただき食べた。塩気とふきの葉の香りが絶妙で眺めながら噛み締めながら味わって食べた。田植え仕事の食事であったと教えていただいた。作り方・・・大豆を煎って皮をむき、一晩塩水に漬けておく。米とともに炊き、熱いうちにふきの葉に包む。
 
 高原では四季折々に花が咲く。名もない花はないというが、ふと足元に目をやると名も知らぬ花が可憐に咲いており立ち止まる。ゆったりと時が流れる。
 春一番に顔を出すのがふきのとう、たんぽぽ つくし すみれ れんげ草 ハハコグサ ハコベ オオイヌノフグリ ナズナ ホトケノザ ネコノメソウ ショウジョウバカマ 春蘭 わさびの花。
 やがて桜やすもも チシャの木に花が咲き、藤が彩りを添える。絶滅危惧種のクマガイソウを大切に育ててみえるのを見せていただいたこともあった。
 夏が近づくと花の種類は一層豊富になる。野原一面のヒメジョオン、そしてカワラナデシコ 白ツメ草 紅ツメ草 ヨメナ カタバミ シャガ アマドコロ ジシバリ ノゲシ ゲンノショウコ ヒオウギ オオマムシグサ ニワゼキショウ、野バラや卯の花 アケビの花が咲き、山あじさいの小道と名づけた山道を歩くのも楽しい。
 この頃山は山菜の宝庫となる。セリ ノビル ワラビ コゴミ シオデ ウド タラ ゼンマイ・・・夫婦二人で食べる分 一握りをいただく。
 双葉より芳しというセンダンにうすむらさきの花、マユミに真っ白の花が咲く頃、ササユリ アザミの花が咲く。
 やがてネムの花が咲くと、小豆の蒔き時だとのこと。野にはヒルガオ ノカンゾウ ドクダミ ホタルブクロ ウツボグサ ツリフネソウ 山ユリ オニユリ ガマ、木イチゴが真っ赤に熟れる。
 夏から秋にかけては、ツユ草 ギボウシ 月見草 ネジ花 ツルリンドウ 萩 彼岸花 オミナエシ フジバカマ ウバユリ ホトトギス ワレモコウ サビタ 葛 野菊 尾花 ミゾソバ イヌタデ リンドウ ミズヒキ草。大アワダチ草が野を埋める頃 マユミが鮮やかな赤い実をつける。
 秋はアケビ 栗 胡桃の実が熟れ、スギヒラタケなどのきのこもあがる。ヨウシュヤマゴボウの実もきれいだ。
 秋も深まる頃にはカラスウリ ツルウメモドキの実が赤と黄の鮮やかな彩をみせる。
 
 
 

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