2006/10/28

フィリピン国際養子縁組


 
フィリピン人の子供を養子として迎え入れたい場合、日本とフィリピンでの手続きをしなければなりません。
 
フィリピンの養子縁組は、基本的に、子供のいない夫婦に喜びを与え、恵まれない子供に安らぎと幸せを享受してもらうべく生まれた博愛精神なのです。
 
フィリピン人の子供を養子とする場合、どのような法律を適用させるかという問題ですが、日本・フィリピンの両国の養子縁組に関する法律となります。
 
具体的には、日本側は、民法、フィリピン側は、フィリピン家族法第7章(養子縁組)大統領令第603号(児童少年福祉法)共和国法第8043号(渉外養子縁組法)となります。
 
フィリピンでは、国際養子縁組のサイトで記載した条約には、1990年国連「子供の権利に関する条約」批准し、1997年「ハーグ国際養子縁組条約」に批准していますので、上記にような法制度が制定されています。
 
 
 
フィリピン家族法第183条(養親の条件)
 
養親は、成年に達しており、行為能力を有する者として、養育することができる資力を有する場合は、養親となることができる。
養親は、養子より16歳以上年上でなければならない。
 
※ 16歳上の年齢差を要件としたのは、生殖能力が発達する年齢が16歳として規定したものと思われます。
 
また、フィリピン渉外養子縁組法第9条には、養親は、申請時に、27歳以上を要件としていますので、ご注意ください。
 
 
フィリピン家族法第184条(養親の欠格事由)
 
1、被後見人である養子を後見人が養親となる場合
2、反社会的な犯罪行為により、有罪判決を受けた者
3、外国人。ただし、次は例外とする
 
A 親族を養子にする元フィリピン国籍を有する者
B フィリピン人配偶者の嫡出子を養子にする場合
C フィリピン人と結婚して、その配偶者と共同で親族を養子にする者
 
前項の例外に該当しない外国人は、渉外養子縁組規定により、養子にすることができる
 
※ 外国人が養親の欠格事由に該当しますが、例外規定により、養親縁組が認められます。
 
 
 
フィリピン家族法第187条(養子の欠格事由)
 
1、成年に達したもの
2、フィリピンと外交関係のない国
 
※ フィリピンでの成年の年齢規定は、フィリピン国内養子縁組法第8条に、「18歳未満は養子となることができる。」規定がありますので、通常に解釈すれば0歳〜17歳までとなります。
 
 
 
大統領令第603号(児童少年福祉法)第29条
 
配偶者の一方が外国人の場合、養親となる夫婦は、共同で養親となる夫婦共同養子縁組が、義務とされています。
 
 
 
児童少年福祉法第35条(試験監護)
 
養子縁組は、養親が裁判所の監督を受け、6月以上試験監護を実施して、親としての適正を判断した後でなければ、決定してはならない。
裁判所は、子の最善の利益に合致すると判断したときは、職権、又は申立人の請求により、試験監護の期間を短縮するか、若しくは免除することができる。この場合、裁判所は、短縮、免除の理由を明らかにしなければならない。
外国人が、、フィリピン人を養子にする場合、試験監護の期間を完全に満了しなければならない。
 
※ 子供が養親に適応できるかなどを判断しますが、フィリピン人には免除期間がありますが、外国人にはないようです。
 
日本の家庭裁判所においては、養子の福祉を尊重して、裁判所の国際的調和を図ることから、家庭裁判所調査官が、これを代行して面接調査を行うようです。
 
 
児童少年福祉法第36条(裁判所の決定)
 
社会福祉事業省、又は児童福祉施設の報告書、提出された資料を審査して、裁判所は養子縁組の決定をする。
 
以上述べてきたことは、国際養子縁組の大まかな規定です。
 
次は、国際養子縁組の詳細な手続きの規定になります。詳細は、1995年6月7日の制定された渉外養子縁組法となります。
渉外とは、国際とか外国と言う意味です。
 
日本での試験監護期間を経過した後は、民法第798条に家庭裁判所の許可審判を実質的な差異がないとして、家庭裁判所の許可審判をもって外国法上の養子決定に代えることができるとしました(盛岡家裁平成2年8月6日審判、盛岡家裁平成3年12月26日審判、山形家裁平成7年3月2日審判)。
 
これは、裁判所が判断することなので、すべて上記審判のとおりになるとは、一概にはいえません。
 
 
共和国法第8043号(渉外養子縁組法)第4条
 
渉外養子縁組委員会(以下「委員会」という)を設置し渉外養子縁組に関する中央官庁としての機能を有するものとする。
第6条には、ガイドラインの作成・申請書の様式、内容、金額を定めるとなっています。
 
※ つまり、渉外養子縁組委員会は、フィリピン側の窓口、手続き官庁となります。
 
 
渉外養子縁組法第8条(提出書類)
 
親権から開放された子のみが、渉外養子となりえる。子の措置を検討するために、次の書類を委員会に提出しなければならない。
 
1 子の調査報告書
2 出生証明書
3 親の任意引渡証書
4 子の健康診断書
5 子の写真
 
※ 養子の要件などを確認するための資料です。
 
 
渉外養子縁組法第10条(申請先)
 
渉外養子縁組は、養親となる国の機関を通じて、養子の住所を管轄する裁判所、又は委員会のいずれかに行い、その申請は、規則、細則の要件を満たすこととする。
申請書には、次の書類(訳文付)を添付しなければならない。
 
1 申請者の出生証明書(戸籍謄本)
2 結婚証明書(戸籍謄本)
3 10歳以上の実子がある場合は、その同意書
4 健康診断書
5 所得税申告書(所得証明書・課税証明書など)
6 無犯罪証明書(警察から)
7 寺院の住職・会社の上司・近隣住民のいずれかの方からの人物証明書
8 申請者の写真・家族の写真
 
※ 養親側の資料です。
 
 
渉外養子縁組法第11条(面会)
 
いかなる子も、国内での養子縁組ができないことの証明がない限り、外国の養親との面会をしてはならない。委員会が許可を与えて、かつ渡航書類(航空券・旅券など)がそろった場合は、養親の双方・一方は、養子を迎えにフィリピンに迎えにいく。
 
 
フィリピン家族法第189条(養子縁組の効力)
 
1 身分法上、養子は養親の嫡出子とされ、養子が養親の姓を名乗る権利など、親子関係に基づく権利義務が生じる。
 
2 養子に対する実親の親権は終了し、養親に親権が与えられる。
 
3 養子は実親の法定相続人の権利を失わない。
 
※ 日本の普通養子縁組の規定と同じようです。
 
 
補足事項1
 
フィリピンには、1977年「フィリピン・ムスリム身分法」が制定され、1990年ムスリム・ミンダナオ自治が誕生して、ムスリム身分法を管轄するのは、シャリーア裁判所となっています。
 
 
補足事項2
 
フィリピン政府が認める日本での国際養子縁組は、フィリピン政府社会福祉開発省(DSDW)、国際養子縁組委員会(ICAB)と業務協定を締結した社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)を通して行われるものだけが有効となります。
 
ISSJは、1993年5月20日フィリピンと業務協定を締結していましたが、契約期間が失効していました。
2003年3月12日、再契約の調印式が実施された結果、再び協定の締結されるように至りました。
 
 
(備考)
国際養子縁組の養子の在留資格は、特別養子の場合、「日本人配偶者」となり、6歳未満の普通養子は、「定住者」となります。
 



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