俳句・短歌のページです。

都夢の部屋

上になるほど新しい作品です。
下段に俳句があります。
        

短歌
 
★あの日には戻れぬことと知りながら今宵も君の囁きを待つ
 
★きりきりと言葉の奥の痛みには耐えることなどできぬ新月
 
★オリオンのひかりこぼれる森ありて凍裂の声たかく鳴きぬる
 
★哀しくて恋の一文字書いて消す雪の降る夜は長くて暗い
 
★おろおろと膝を抱えて泣く夜は森の梢もきしきしと啼く
 
★抱きしめて抱きしめて泣く母の手の白い爪切る弦月の夜
 
★細雪やむこと忘れ降る夜の心の震えにおののくばかり
 
★蜜柑むく母の指先おろおろとひと房つまむことば少なに
 
★凍てる夜の哀しい影の蒼き月君を求めてさまよい歩く
 
★眠る母ちいさく呟く声を聞く母を求める吾子に戻りて
 
★佇めば君の面影微笑みて吾の心のより奥に棲む
 
★文月の駅のホームに佇みて駆け来る君の黒き濡れ髪
 
★緑濃く友と歩まん道標白き蝶舞うエルムの森を
 
★手を伸べて母を求める吾子の如痩せた指先絡みて離る
 
★露ひとつ小さきままに丸まりて真珠のごとく音なく落ちる
 
★アカシアに雨ある夕べ札幌の街ゆく二人言葉ないまま
 
★夕凪の佐渡へ向く風頬に受け君のまなざし何をもとむる
 
★日高嶺のふところ深く残雪の中にも咲ける紅き花あり
 
★抱きしめて母の重みは熱くあり溢れる涙を隠す術なし
 
★山吹の闇に寂しく咲く里の茅葺屋根は昔のままに
 
★山里の霞みの中に夕暮れて梨の花影甘く消えゆく
 
★旅人は切符一枚連れにして各駅停車に乗りこみてゆく
 
★山深く抱かれし里若葉燃ゆ君の口笛峰を越えゆく
 
★山里の村のはずれの白桜遥か彼方の夕日に染まる
 
★こもれびの薄く射しこむ森にいて心の奥に棲む人ありぬ
 
★木苺の棘の逆らう指先の赤き血を生む人恋うる日よ
 
★密やかに森の霞みに抱かれて君に似ていて水芭蕉の花
 
★リハビリの母の一歩の重たさに幼き頃の吾をかさねる
 
★独り居の父を想わん花吹雪せめて今宵は静かに落ちよ
 
★ほろほろとこぼれる涙手に熱く何を言いたく母の心は
 
★母の手が救いを求め宙をゆく何が哀しくこんなに強く
 
★落雁の小さきかけら手でくずし涙と落とす君の知るまに
 
★落葉松の芽吹きも淡き北国の昨日と今日と恋の旅人
 
★故郷は椿咲く頃かも知れぬ文の途絶えて幾年過ぎぬ
 
★惜別の霧笛消えゆく港街肩抱き寄せて言葉少なに
 
★囁いて涙をふいてくれし人せめて一夜の夢の中には
 
★押し花の想いのままに春詩集とじて涙の栞をおとす
 
★抱き寄せて抱き寄せている朧月囁くほどの明りを残す
 
★頑なな想いの果ては戻り雪あしあとさえも残せぬままに
 
★細雪こぼれて出でる古寺の一輪咲ける紅藪椿
 
★限りなく蒼く鋭く三日月の刃の刺さる如月の宵
 
★手におちて熱くころがる涙には人に話せぬひとつやふたつ
 
★明けてゆく春の窓辺にさすひかり心を射抜く冷たさもある
 
★抱き寄せて欲しい想いとうらはらに拗ねて背を向く今宵新月
 
★心まで染めて過ぎゆく故郷の茜の空の色よ恋しき
 
★沙羅ひとつ闇に浮かびて咲く夜は眠れぬままに人恋しくて
 
★人知れず涙の意味を想うとき月の蒼さに身を震わせる
                     
★萌えいづるやはらかき芽を描きたく4Bの鉛筆やさしくけづる
 
★眠りから覚めた児の如黄あげはは伸びひとつして翔つとき待てり
 
★珈琲をたいむかーどのように買い通院バスに乗り込みてゆく
 
★消印は富士山頂と決めている夏の便りの君の癖字よ
  
★ランドセルかたかたとゆく朝の路離れて住めるあの児もたぶん
 
 
☆ 色鉛筆の六十色を 削りをえまづつゆくさの瑠璃色を描く
 
 
☆ ひとめづつ編み込む糸は からみつつあなたサイズの生成りのセーター
 
☆セピア色した休日のひととき珈琲かおる二人だけの午後
 
☆ いまだ雪残せし山脈のむこうには春を知らせる娘の住む十勝


俳句
 
 
★とろとろとまだ目の覚めぬ春の海
 
★日高嶺を越える朝日に霧氷燃ゆ
 
★淡雪に恋の片道切符買う
 
★故郷のにおい染みつく花野かな
 
★出稼ぎの村一様に雪根づく
 
★細雪どこまで積もる里恋し
 
★凍てる月追いかけてゆく恋列車
 
★わだつみの声きく夜の冬の月
 
★十六夜のあかりほのかに無人駅
 
★ふるえてる細き肩抱き秋の宵
 
★故郷は紅葉色づく文届く
 
★吊橋のゆれる間の秋しぐれ
 
★武蔵野の花野に入りて旅終える
 
★恋にゆれこぼれて地を染め萩の花
 
★抱きしめて抱きしめている十三夜
 
★手をぬけて君の影踏む恋蛍
 
★赤き帯文庫に結び紺浴衣
 
★ぎぼうしの淡き蒼色咲きいそぐ
 
★木苺の赤き夕日とカゴに入る
 
★花野には花野の風の色ありぬ
 
★君の手に届けて欲しく紅ぼたん
 
★安曇野に若葉抱ける逃れ水
 
★母恋し故郷恋し楠若葉
 
★津和野路の蕎麦挽く水車きしむかな
 
★五月雨に句帳がにじむ旅の窓
 
★一面の空をくもらせ八重桜
 
★母のいぬ母の日花を買いそびれ
 
★名も知らぬ花の揺れいる朧かな
 
★風の音眠れぬ夜の白牡丹
 
★林檎咲くお岩木山の袖隠し
 
★菜の花の裾野盛りあげ津軽富士
 
★雨の色静かにためて忘れ草
 
★水染めて桜の吹雪流れゆく
 
★初蝶の舞う空にいて母の喜寿
 
★泥も買う深谷の葱の白さかな
 
★訪ねきてここは津和野の春一番
 
★たんぽぽに児を奪われし午後の路
 
★春の灯のゆれる寂しき山の宿
 
★菜の花の陰にかくれる初の恋
 
★梅一輪君想う日のかぐわしき
 
★かなもじの文開かざる春の闇
 
★この恋を削る刃をあて竹とんぼ
 
★軒つらら恋の病に噛んでみる
 
★地方紙に包まれ届くふきのとう
 
★つくしんぼ幼き頃のわすれもの
 
★野遊びのはないちもんめ恋ひとつ
 
★貴船より友来たりなば多佳子の忌
 
★冬の日の影引いてゆく郵便夫
 
★揺れて咲く秋の桜と恋の罪
 
★君を抱く雪の白さの肌熱く
 
★父炊ぐすこし軟めの今年米
 
★朴葉味噌ちりちり焼いて蛇笏の忌
 
★童歌母からつなぐ日向ぼこ
 
★戸隠は雨のちみぞれ文にじむ
 
★ふきのとうかごめかごめの土手のした
 
★梅一輪品川宿を過ぐあたり
 
★ビスケットひとつこわれる春の雷
 
☆ 紅筆の 細き先より春めきぬ
 
☆ ポケットに にぎりしめてる 春切符
 
☆ 眠たげに 色まだ浅き 葱坊主
 
☆ 真っ直ぐに 海からうけて 春の風
 
☆ 分校の 窓あけはなつ 啄木忌
 
☆ 白あやめ 剪りしはさみの おもさかな
 
☆ 尾根をゆく 祭り火あかく 山ゆらす
 
☆ 雨くるや かおりのひくき 針えんじゅ
 
☆ 文月の 湯の宿早やも らんぷ吊る
 
☆ 地の涯と 名のつく大地 夏炉焚く

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沙羅のはな                           
      
 
白いはなが咲きました
媚びもせず香りもないのです
けどなぜか惹かれます
あなたも好きだといいましたね
今年はいつもより寂しい咲き方でした
寂しさが募ります
手にのせた沙羅の花は軽く静かに落ちました
闇に浮き出る白い花です
思い出してくれたでしょうか
 
 
 
 
父達が隣りに住むようになったときのこと。
田舎ではタクシーに乗ることもなく
暮らしてきた父が、買い物があるとタクシーを
利用する。
ある日のことです。
「いやぁー今日なぁタクシー代まけてくれたさ」と
嬉しそうに話し始めました。
やさしい運転手さんに出会ったんだと聞いて
いました。
にこにこと話した話。
「あんなぁ、今日は母さんと乗ったんだ。
なのに俺の分しか取らなかったんだ」。