ティーチャー大沼の
『英語のツボ!!』 〜英語のエッセンス〜
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夏目漱石の「草枕」に、英国の詩人、P.B. Shelly (1792 - 1822) の To a Skylark の名訳を載せております。「前を見ては、後(しり)えを見ては、物欲しと、あこがるるかなわれ」の中に、漱石自身、人間の生活は現在・過去・未来にわたり、理想あり、追憶あり、現在のみをもって満足するものでない、と自分自身を投影させているのではないかと判断されます。原文と訳を紹介しておきます。
We look before and after, 前を見ては、後へをみては、
And pine for what is not 物欲しと、あこがるるかなわれ。
Our sincerest laughter 腹から、笑ひといへど、
With some pain is fraught; 苦しみの、そこにあるべし。
Our sweetest songs are that tell うつくしき、極みの歌に、
of saddest thought. 悲しさの、極みの想ひ、
籠もるるとぞ知れ。
「草枕」の主人公の青年画家が山路を越えて温泉場に行き、そこで才知に富んではいるが、変わった振舞をする一人の女性と出会います。人情を越えて交渉を続けているうちに絵のモチーフが浮かんでくるのです。つまり、「住みにくき世から住みにくき煩ひを引き抜いて、有難い世界をまのあたり写すのが詩ある、畫である」と考えました。多分漱石自身が苦しい現実から逃れて、第二の現実を文学の世界に求めていたのでしょう。
悩みを持つ文豪夏目漱石の人間性の一面を垣間見たような気がしま
せんか。
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