漱石の小説は、初期の分は別として、だいたいが男と女の関係、三角関係が多いです。後期になればなるほど、他人の腹を探るような世界が多くなりますから、私は若い頃はあまりわからないのではと思っています。社会でもまれるようになるとわかってくるのですが−−−。
「こころ」は絶筆となる「明暗」の前の作品で、私の記憶が正しければ、本当はもっと長くなる、三部構成ななるはずでした。「こころ」も三部構成になっていたと思いますが、これが第一部だったらしい。最後突然乃木大将の殉死の話が出てくるのが「なんで」と思うところもありますが−−。
この青年が「先生」にホモセクチュアル的である、という許せん評論も有るが−
−。
友だちの恋人を「ずるい」方法で奪ってしまう、という話ですね。その良心の呵責に耐えれない。確か5年前の「それから」も友だちの−これは奥さん−を奪うという明治時代ではとても許されないような小説ですが−それも朝日新聞の連載小説だった−。三角関係の話が多い。それまでの漱石の小説はどちらかというと、社会や他人を疑っていたのに「こころ」では、ついに自分を疑ってしまう、自分を信用できなくなってしまう、そのために自殺をしてしまう。怖い小説ですね。でも、あなたが友だちの恋人にほれたらどうしますか。
で次の「明暗」に漱石は取り掛かる、気が私はするのです。完成せず無くなったのは残念です。
|