収容所の話、ある本から。
「夜と霧」ドイツのフランクルというアウシュビッツから生還した精神科医の書いた本の紹介から。彼の本の中にこんな事が書かれているという。
あの収容所から生きのびた人はどんな人が多かったのだろう。強い信仰を持った人、強い意志を持った人、最後まで希望を捨てなかった人、などが生き残ったと考えがちだが、必ずしもそれだけではないと書いているそうな。
強制労働で、死んだ人たちのためにスコップで穴を掘っている。そのうち日が暮れ、栄養失調のために身体は凍えそうに寒い。そんなとき、林の向こうに夕陽が沈んでいこうとしている。それを見た瞬間、スコップの手を休めて「オーイ、見ろよ、なんて素晴らしい夕陽じゃないか」というようなことを言う人、「本当に、綺麗だ」というようなことを言える人、そんな事が言えるひとが極限状態で比較的生き延びたというのです。
「夕陽がどうした、自分たちはガス室に送られるかもしれないんだぜ」と言って、そういう自然の美しさとか、夕日が沈んでいく様に全然心を動かすことの無かった人の方が先に死んでいったというのです。
枯れ木のようにベットで寝ていて、遠くから聞こえる曲に聴き惚れる、そんなタイプの人たち、そんな心持ちの人たちのほうが生き延びる可能性が高かった。
映画では、そんなドラマのない人間は描きませんよね。強い意志を、希望を捨てない、人間ばかりを描いてきたような気がするが−−。
生活に追われていると、そんな感動する暇、心を忘れそうになる。感動は気をつけさえすれば暇など必要ないところに転がっていると思うが。
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