鹿児島に出張。いつも泊まる宿と別な所に泊まろうと、インターネットで検索し
て、仕事に都合の良い川内温泉にする。インターネットで見て電話したら、おばあさんの声で「始めての人には私の宿はお奨めできません、常連だといいのですが。昔の宿でトイレも水洗でない、もっと良いところに泊まられたほうがいいです」と言われてしまったが、インターネットに出ているくらいだから、よかろうとお願いした。「本当にいいんですか」「山登りも好きでテントにも泊まっていますから、全然気にしません」と言ったが、どんな旅館かと楽しみになってきた。
途中で宿に電話したら、川内について、旅館の名前を言えば直ぐに分かります、というから安心して、観光案内のタクシー会社の人に聞いたら、知らないと言う。民宿の人に聞いたら、川内から30分くらいの山の中という。で田んぼの中を走りに走ったら、それはそれは情緒豊かな寂れた温泉街に着いた。「寅さん」の映画に出てきそうなうらぶれた小さい町で−−。車一台通れるような道の両脇に数軒宿があり、明かりが漏れている。運転しながら看板を見ると破れた看板があり、その裏をみてようやくたどり着く。普通の民家みたいな玄関だ
ったが、案内されてついて行くと、部屋数がいくつもあり、大広間あり、100人は泊まれる宿で驚いた。迷路の奥に案内されてようやく自分の部屋にたどり着いた。宿の経営は70歳くらいのおばあさんで、女中さんがおられて聾唖の人で、部屋への案内、クーラーの使い方、温泉の場所、洗面所など手振りで説明してくれ、食事も部屋に持ってきてくれて、ビールの注文も私も身振りでお願いした。宿泊者は私1人で、食事まで風呂に入り、その温泉街を浴衣姿で歩いてみる。50mあるかないかの温泉街で、西郷隆盛が泊まった宿や共同風呂もあり、竹細工を売っている店も2軒あり、母親と子供がタオルを持ってその共同湯から出てきた。いやはや映画にするには素晴らしい場所です。
宿はどういう訳か青年週刊漫画雑誌−大学生以上が読む−がたくさん置いてあり、
湯治のお年寄りの宿にしては場違いな漫画雑誌で−−不思議な気がしたが、大学
生の合宿でも頻繁にあるのかもしれない。クーラーがあって快適に眠れました。一泊二食で六五〇〇円。朝40帖はありそうな大広間で1人で朝食。
朝会計をして帰りしな「素晴らしいところですね、映画に出てきそうな場所ですね」と言ったら「この宿で映画の撮影があったんですよ」と言われた。「なんて映画ですか」「微笑みに抱かれて」なんか聞いたことがあるな−−−「また泊まりに来ます」といって仕事に向かったが、いやはやデジカメを持って居たらと思いました。道ばたに温泉に入っている西郷どんの人形があったが、夜浴衣姿で歩るいていて最初見たときは、少し暗くて、目をそらさないで、私の顔をじっと見続けるおっさんが居たので怖かった。あれはあの温泉地には場違いな人形でごわす。今は泊まる人も少ないそうです。なんもないさびれるばかりの温泉地でした。
微笑みを抱きしめて
製作国:日本製作年:1996
配給:グループ風土舎配給
スタッフ
監督: 瀬藤祝 セトウイワオ
プロデューサー: 三角清子 ミスミ
原作: ジーン・リトル 脚本: 関功 セキイサオ
撮影: 須藤昭榮 スドウ音楽: 丸谷晴彦
美術: 石井勝貴 イシイ編集: 三上悦子 ミカミエツコ
録音: 熊谷良兵衛 助監督: 神園浩司 カミゾノコウジ
キャスト(役名)
竹内哲哉 タケウチテツヤ (森田翔太)宮崎淑子 ミヤザキヨシコ (森田寛子)
勝野洋 カツノヒロシ (森田淳)西元佳那実 ニシモト (森田さや香)
前田耕陽 マエダコウヨウ (成人した翔太)樹木希林 キキキリン (長野淑子)
林千春 ハヤシチハル (篠原志穂)雷恪生 レイ・コーション (篠原吉彦)
解説
ガンに侵された父親とその家族の絆を描いたドラマ。監督は「大阪の章二クン」
の瀬藤祝。カナダ のジーン・リトルによる児童文学『パパのさいごの贈りもの』
を関功が脚色した。主演の子供たち は舞台となる鹿児島県下よりオーディショ
ンで選ばれ、勝野洋と宮崎淑子がその両親にふんして いる。なお、この映画は
鹿児島県川内市が製作費の半分を出し、同市の市民団体の協力によっ て作られ
た。
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