この話は龍虜ヒロ様のサイト【SIXTH SENSE】に捧げた、
テルテルサスケ×カエルナルトの番外編?です。
春 ―――――― 。
その年の冬は何時までも寒かったせいか、数日続いた温かさのせいで色とりどりの花々が先を争うように一斉に咲き始めた。
霞みかかった稜線。
春独特の色合いをした淡い青空。
柔らかい眩しい陽射し。
たゆとう優しい春の匂いをさせた風。
数え切れぬ程に同じように繰返される季節の移り変わり ―――――― …。
今年もまた、何時もと同じような春が過ぎ去るはずだった……。
『てるてるサスケ』。
サスケはこの辺り一帯の【雨】を司るテルテル坊主である。
己の気分一つでこの辺り一帯に雨を降らせたり止ませたりすることの出来る、不思議な能力(ちから)を持ったテルテル坊主だった。
サスケは穏やかな春の陽気に誘われて散歩に出掛けた。
色とりどりの花々を愛で、声高にさえずる鳥達の声を聞き、風が奏でる囁きに耳を傾け、若葉が吹き出す青さに目を細め、移ろう季節を感じていた。
「 ―――――― …てェ……」
「 ――――――― ?」
ゆっくりとした足取りで春の季節を楽しんでいると、どこからか微かに声が聞こえてきた。
それはどこぞの誰かの悪戯だろうか……。
【運命の出逢い】。
その言葉があるのならばこの事を言うのだろう…。
サスケはその〈音〉に誘われるようにその方向へ足を向けた。
「ア〜ン! 誰かァ! 誰か助けてってば〜ァ!」
サスケは確かに聞こえてくる声の元へ向った。
そこは大きな木の根と根の間だった。
覗き込むとそこにはぬかるんだ泥に塗れた一匹のおたまじゃくしがいた。
「お前、こんな所で何をやっているんだ?」
手足は生えているものの、まだ尻尾が残るカエルになりきれないおたまじゃくし。
ちゃんとしたカエルならばこの程度の高さの木の根など飛び出せるのだろうがまだ尻尾の残るおたまじゃくしでは手足があっても筋力が弱く、そこから脱出出来ずにいた。
「アッ! 助けてってばよ!」
聞こえてきた声に顔を上げると木の根の上から誰かが見下ろしていた。
手足の生えたおたまじゃくしは迷う事無く助けを求めた。
「ほら……。」
サスケは溜息一つ吐くと木の上から手を差し伸べた。
どうしてこのおたまじゃくしを助ける気になったのか?
そう問われたのならば、
『解らない ――――― …』。
そう答えるだろう。
普段のサスケならば目の前で今にも死にそうになっているモノがいても平気で無視をする。
自然の摂理だ。
木の根の間に落ちたおたまじゃくし一匹、死のうが生きようがてるてるサスケには全く関係は無い。
例えどんな理由があろうとも木の根の間に落ちたのは明らかにこのおたまじゃくしのミス。
この場で乾いて死んでも飢えて死んでも鳥や虫の餌になってもそれは総て自然の摂理。
この自然に生きるモノはすべからくそれに則らねばならぬ。
それが誰よりも何よりも理解しているのは〈てるてるサスケ〉自身なのだ。
それなのに何故 ―――――― ?
己でも不可解に思うがそれに無理矢理理由をこじつけるとしたら、多分、何となく……。
ほんの気紛れで……、助けてやっただけだ。
春の穏やかな陽気に誘われて、散歩に出掛けた。
その時に助けを求める声を聞き止め、ただ何となく、理由など無く手を差し伸べてやった。
おたまじゃくし一匹、生きようが死のうが全く己には関係無い。
この広い〈自然〉には何ら影響は無い。
この場で己が助けてやっても無事にカエルとなり、カエルとしての天寿を全うする保障などどこにも無い。
ならば少しくらいの未来を与えてやってもよいか……。
己が気紛れで雨を操るように………。
「ぷはぁ…。本当に助かったってばよ。ありがとう…。」
サスケに助けられたおたまじゃくしは本来、自分がいるはずの小川で頭の先から爪先まで泥だらけとなった身体を洗っていた。
「あっちに好い匂いがする綺麗な花があるって聞いて出掛けてみたら、穴に落ちちゃって這い上がれなくて、本当にこのままカエルにもなれずに死んじゃうのかと思ったってばよ。」
「 ――――――― ?!」
泥に塗れて解らなかったのだが、泥が落ちたそこから現れたのは珍しい金の髪。
「本当にありがとうだってばよ。俺はおたまじゃくしのナルト。」
「 ――――――― !」
振向いた蒼い双眸に雷に打たれたような衝撃を受けた。
長い長い時間を一人で生きてきた。
この己が納める自然の中で誰よりも長く生きてきた。
しかし、こんな衝撃を想いをしたのは初めてだった。
すらりと伸びた白い肢体。
光の粒子を集めたような輝く金の髪。
蒼穹の空を嵌め込んだような蒼瞳。
意志の強そうな顔立ち。
よく響く声音。
濡れた金の髪に白い肢体に澄んだ蒼瞳にまだあどけない表情に、その存在に、言葉にならない感動を覚えた。
「えっと…。あの…、名前、教えてくれるってば?」
サスケは穴が開くほどにマジマジとナルトの顔を見ていたのか。
ナルトは少し戸惑ったような声を掛けた。
「えっ? ああ…。俺はサスケ。てるてるサスケだ。」
サスケは我に返ると動揺するに似た心情をおくびにも出さず、何事も無かったように平然として答えた。
「サスケって言うってば? 俺を助けてくれてありがとう、サスケ?」
素直に名前を教えてくれたことに安堵しつつ、ナルトは改めて礼を述べた。
「いや。お前を助けて本当に良かったよ。ナルト……。」
己の気紛れに感謝しつつサスケは口の端に笑みを浮かべた。
この偶然の出逢いを、知り合えたことを、心底悦んだ。
二人の出逢いはこの場所から始まった。
二人の関係はこの瞬間から始まった。
気まぐれから始まる【恋】もある。
春爛漫の、とある日の出来事でした ―――――― …。
お粗末さまでした(^_^;)
姥桜、久し振りの更新です(T_T)
この話はヒロ様のサイト【SIXTH SENSE】(16禁サイトです。ご注意下さい)
で描かれたオタマジャクシのナルトに一目惚れして拉致って来る換わりに投付けた、もとい、捧げた話です。
素敵なテルテル坊主のサスケとカエルのナルトのイラストが飾ってあります(^_^)v
一応、公認です(^_^;)
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