2003/11/3

海の向こうのシェルターから
のアドバイス(ニューヨーク発)



新しい子を迎える前に
 
新しい犬を飼おうと思ったら、どの犬種がほしいか、どこから手に入れるかを考える時に、考慮に入れてほしいことがあります。たいていの方は、事前に自分の好きな犬種の本を読み、すでにその犬種を飼っていらっしゃる方の話を聞き、ある程度の知識を得る努力をします。 彼らは何のために努力をするのでしょうか。 
 
新しい犬を手に入れようとする時、一般的な入手方法として、ペットショップ、ブリーダー、新聞雑誌の広告、知り合いなどから子犬を手に入れるのではないでしょうか。血統書つきの純血種なら、成犬になったときの大きさや性格が、ある程度予想しやすいという利点があり、子犬から育てれば、自分の思い通りのしつけを最初から出来ます。ただ、同じ犬種、同じ月齢の子犬は、全て同じ性格でしょうか。
 
犬を飼おうと思ったら、まず自分が犬を飼ったときのことをイメージしてみてください。 あなたは犬とどのような生活を望んでいますか? どんな犬があなたの理想ですか? 犬に何を望みますか? 正論を考えず、漠然としてでも、自分に正直に、身勝手な夢の生活でいいのです。 犬との生活を思い描いてみてください。
 
ラッシーのように賢い子がほしいですか? 一緒にフリスビーやスポーツをしたいですか? 居間でテレビを見ているとき、あなたのすぐ横に一緒にいてくれるような、おとなしい子との生活がイメージに合いますか? アメリカ映画のように車に乗って一緒にどこへでも出掛けているところを想像しますか? 被毛のきれいなおしゃれな子がいいですか?夕飯のお買い物に一緒に行き、庭の犬小屋で寝ている子を台所の窓越しに見ながら、夕飯の支度をする光景を想像しますか?
 
あなたに合った犬を見つけるには、犬種を考えて、大きさや容姿、それに加えてその子の性格を考えていくことも、とても重要なポイントになります。 ラッシーの映画を観て、ラッシーのような犬が飼いたいと思い、コリーを手に入れたとしても、ラッシーにはならないのと同じことです。いくら愛情をそそぎ、プロ並みの訓練をしたとしても、ラッシーのようになれる性格の子と、そうではない子がいます。しっかり愛情を注げばどんな子でも、家族の一員になると思っていらっしゃる方、少しだけ冷静に考えてみてください。言葉が通じる人間同士でも一緒に暮らしていくには誰でもよいわけではないです。ただの同居人とでさえ、きちんと決まりを作ったとしても、一緒の生活は難しくありませんか? まして、家族の一員を求めているのでしたら、あなたの生活スタイルに合った性格の子を選ぶことも、犬種を考慮することと同じくらい大事なことではないでしょうか。
 
自分が犬と何をしたいのか、犬とどのような生活をしたいのか、ある程度自分の中でイメージをふくらましてみて下さい。 
 
今、すでに犬を飼っていて、新しい子を家族の一員に迎えようと考えていらっしゃるのでしたらなおさら、今いる子も含め、あなたたち 「家族」 がどのような子を望んでいるのか、あなたの犬の身になって、考えてみてください。 あなたは今飼っている子のお母さん、もしくはお父さんで、彼らのことを1番理解している人です。 彼らは普段公園などでどのように他の犬友達と過ごしているか、思い出してみてください。 単に同じ大きさ、違う性別の子ならそれでいいのでしょうか? 新しい犬を子犬にすれば問題ないのでしょうか。さかりのついた猫にも好みはあります。お散歩途中のお母さん同士の井戸端会議の最中に一緒に遊ぶことと、同じ屋根の下で生活することは、かなり違いがあり、相性は重要な問題になってきます。人間同士でも同じことですよね。)
 
新しい子犬を手に入れて、最初は問題なくスムーズに生活が始まったと見えても、子犬が大人になり、支配顕示欲が出て挑戦が始まったとき、今まで子犬だからと大目に見ていた年上の犬は、どうなるでしょうか。きっと何の問題もなく、彼らで片を付けるかもしれません。若い犬は挑戦をあきらめるか、年上のこが地位をゆずるかもしれません。ただ、そううまくいかなかった場合は・・・? 最悪の場合、血を見る戦いを一生仲裁し続けなければならないかもしれません。失敗は許されない、とてもストレスの溜まる生活です。 
 
小さなお子さんがいる、もしくはお孫さんや近所のお子さんがよく遊びに来るのか、共働きで昼間長時間家には誰も居なくなるのか、すでにいるペットは犬好きか、嫌いな場合きちんと隔離された環境を与えてあげることが出来るのか…etc,新しい犬を家族の一員として迎えようとする時、すでに飼っている犬猫その他のペットを含めて、家族全員のイメージを描き、それにあった子を選んでいくことが、これからの10年以上の犬との夢の生活を快適にしてくれる最大のポイントではないでしょうか。
 
家の大きさと、犬の体の大きさは、比例しません。小さくてもかなりな運動量の必要な子もいますし、大型犬でもおとなしくあまりスペースの必要ない子もいます。 同じ犬種でも性格はかなり違います。大事なことは、自分がいったい犬とどのような生活を望んでいるのか、自分のまた、家族の生活スタイルはどのような性格の犬との生活があっているのか、ある程度はっきりとかたちづくることからはじめてみては同でしょうか。
 
それから、実際犬に会ってください。最初の印象はとても大事です。心を動かされた子と少し時間をとって触れ合ってみてください。その子と一緒の生活がイメージできますか? 実際に多くの犬の中から選ぶ時の注意点は、次回にしようと思います。
 
犬の性格と成犬譲与
 
家族全員の新しく迎える犬との生活のイメージが出来上がったところで、そのイメージに合った犬を探しに行きましょう! どこへ・・・?
 
あなたが思い描いた理想の犬は、どんな犬でしょうか?あなたの普段の生活スタイルはどのようなものでしょうか?ここで少し考慮に入れていただきたいことがありますそれは、成犬譲渡についてです。 
 
あなたの今までの人生の中で、理想の犬、お気に入りの犬はどの犬ですか?映画のなかの犬、物語の中に出てくる犬、名犬で有名な犬、警察犬、盲導犬、ショードック、飼い犬、近所の犬、知り合いの犬…etc。実在する犬でなくても良いのです。 それから考えてみてください。  なぜ、あなたはその犬たちが好きなのでしょうか?その犬たちはどのような犬でしょうか?  優しい、おりこう、かしこい、番犬になる、きれい、かわいい、かっこいい、いつも一緒にいてくれる…。 
 
あなたの理想に一番近い子を手に入れる手段の一つに、成犬譲渡を考慮にいれてみてはどうでしょうか。 あなたの思い描いた犬のイメージが仔犬だったら、それは仔犬を手に入れることになるのでしょう。 なぜ仔犬が欲しいの?仔犬は何といってもかわいいですし、自分のところで成長していく過程を見ることが出来ますし、自分なりのしつけを1から出来ます。ただ残念(!?) なことに、全ての仔犬は約1年後にはもれなく成犬となり、残りの長い人生を成犬として過ごしてしまいます。そこで! 仔犬を飼い続けたいのであれば 「仔犬の性格を持った犬、仔犬の心を忘れない犬」 を探してみてはどうでしょうか。 
 
 
あなたが思い描いたイメージの犬を仔犬の中から探し出すのは、難しくあたる可能性のかなり低い博打です。 ただでさえ難しい性格判断、離乳されたての2ヶ月の仔犬では、かなり難しいです。 それが成犬になると、ある程度性格が出来上がっています。 訓練の簡単な子、頑固で難しい子、 おっとりしている子 (散歩よりも寝ていることが好きな子、一緒にテレビを見るのが好きな子)、好奇心旺盛な子 (一緒にいろんなことが出来る子)、  警戒心が強い子 (誰かが来れば吠えてすぐに教えてくれる子)・・・etc。
 
 
 
仔犬から訓練によって彼らの行動をコントロールすることは出来ても、性格を変えることは出来ません。 私は犬に「来い、待て」を教えられます。 ただ、呼ばれたから来る子と、呼ばれなくても私のそばに来たい子、居たい子の性格の違いは、伴侶犬として一緒に生活していくうえで大きな違いになってくるのではないでしょうか。
 
呼ばれて来る来ないはかわいい問題ですが、これが伴侶犬の攻撃性問題になった場合、犬なのだからしょうがない、などと言っている場合ではない大きな問題になってきます。私に子供がいたとしたら、子供に対して 「寛大な犬」 ではなく、子供のことが 「大好きな犬」 でなくては困ります私には、それは犬だからと妥協は絶対出来ません。  仔犬から子供と一緒に育っても、子供に容赦ない犬 (特に小型犬はこのタイプが多くいますよね) はいます。
 
私個人の好みとしては支配的な犬が好きです。 彼らのチャレンジ精神は訓練することはもちろん、一緒に生活していてとても楽しいものです。 ですが、支配的でも攻撃性が少ない子がいいです。  私は攻撃性を持った犬でも訓練できますが、支配性による攻撃的な犬を、咬まないように訓練し私を咬まない犬より、もともと私を咬もうと考えない犬、咬むことで自分の意思を伝える犬、私を支配しようとする攻撃的性格ではない犬と一緒に生活したいです。 攻撃性は訓練によってコントロールすることは出来ますが、その子が抱えている攻撃的性格は変えられませんし、なくなりません。 その子の中に一生残ります。 (犬の攻撃性にはいくつかの種類がありますが、ここでは支配性による、飼い主または知っている人に直接向かう攻撃性について書いています。)
 
仔犬の育て方を誤ってしまい攻撃的にしてしまうということは全くのうそではなく、攻撃的傾向にある子を助長してしまうことはあります。良い性格の子は間違った訓練をされても、良い子です。 攻撃的性格ではない子を攻撃的にすることは、とても難しことです。あなたの犬との理想の生活は、攻撃性の心配のある犬の訓練、コントロールをすることでしょうか? それは家族全員、特にお子様も含めた皆様の理想でしょうか?
攻撃問題のある犬たちを扱ってきているプロの訓練士のうちのどれだけの方が、ご自分のペットに攻撃的問題のある子を選ぶでしょうか?  攻撃問題のある犬との一緒の生活は、更正されることのない、その子の一生をコントロールし続けなければならない、気の抜けない、同情では続かない作業です。 その苦労に喜びを見出すことがあなたの理想の犬との生活でしょうか? 愛情だけではそんな彼らを扱うことは出来ません。
 
私は自分と一緒に暮らしている犬を訓練しますが、かなり甘やかしてもいます。いちいち撫ぜる前にお座りをさせる、なんてことはしたことがなく、犬が寝ていようが、えさを食べていようが、ガムやおもちゃをかじっている最中だろうが、私が撫ぜたいときに撫ぜ、抱きしめたいときに抱きしめ、彼らが何も良いことをしていなくても私の気分で何かをこじつけ褒め、おやつをあげたりもします。ゲームや引張りっこをしても私がいつも最後には勝たなきゃならないなんてことは、特別考えていません。これは私の好みですが、私達はソファーに上がることを許し一緒に座り、夜は一緒のベットで寝ます。 
 
あまりお勧めできないだろう甘やかし放題の犬との生活をしていますが、権勢症候群や攻撃問題を抱えたことがないのは彼らの性格が良いという事が最大の理由ではないでしょうか。 
  
なぜ、権勢症候群になってしまった犬の飼い主の方が多くいらっしゃるのでしょうか? 
それは多分それだけ多くの方々が、私同様、ご自分の犬を甘やかしたい、又は特別な「訓練」を毎日の生活の中で続けることが難しいからではないでしょうか? 確かにそれで問題犬をつくってしまうようでは良いこととは言えませんが、甘やかすこと自体を悪いことと否定してしまっては、私を筆頭に甘やかしたい症候群の多くの飼い主の方々は続々と権勢症候群の犬をつくってしまうのではないでしょうか。
 
 
犬の性格で選んだ犬との生活は本当に楽しく、心置きなく自分の愛犬を甘やかすことが出来ることなんですよ。この彼らとの楽しい生活は、いくら訓練をしたとしてもどの犬とでも出来るものではありませんから、性格のはっきりわからない仔犬から飼い始める博打的仔犬譲渡は、私自身では出来ません。
 
仔犬からでないと訓練が入りにくいということを心配される方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。私はシェルターの犬を片っ端から訓練しています。ほとんどの犬たちが成犬です。 みんな立派に訓練されています。アメリカは多くの方が室内で犬と一緒に生活しますし、譲渡希望者の多くは室内犬を希望しています。ただ、室内で飼われていた犬だけがシェルターに来るわけではありません。室内に入ったことのない子、家庭を知らない猟犬、番犬として屋外につながれていた犬たちにとって、トイレのしつけのアイディアなど全くありません。 それでもみんなきちんと覚え、役には立たない愛嬌ある芸の一つ二つをマスターし、幸せをつかんでいます。
 
これから犬を飼おうと思っていらっしゃる方、ご自身の好みに合った犬を性格で選ぶ成犬譲渡も考慮に入れていただければ幸いです。 性格テストやら、攻撃的性格やら訳のわからない説明を長々とされ、何が何だかさっぱりわからなくても、天気の良い日に暇つぶしにお近くの愛護センターの犬に会いに行ってみてはどうでしょうか・・・? そして譲渡を扱っているセンターの職員の方々に尋ねてみて下さい。 愛護センターの成犬譲渡、まだまだ問題点も多いとは思いますが、きっと親身に相談にのってくれると思いますよ。(みゆ


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